901. テン
10が10点満点の10とも知らずに見てしまったのだが、コメディのようでもあり、ロマンスか音楽もののようでもあり、はたまた不倫ものか18禁かとも思ったが、なかなか良かった。普通に始まった映画だったが、パトカーに車をぶつけたとたん、前年のファウルプレイを思い出す。やっぱりダドリー・ムーアだ。 ちなみにラヴェルのボレロは演奏時間が15分くらい。○○○をするにはちょうど手頃の時間か。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-31 16:51:50) |
902. しびれくらげ
どうも見てもエロティックな映画というより、ヤクザ映画という印象が強い。もともとヤクザ映画は嫌いだし、暴力をふるう映画だとなおさらなのだが、幸か不幸か見るまではヤクザが絡んでくるとは思わなかった。 しかしヤクザが出てきて暴力をふるう映画なのだが、見ているときはそんなに嫌ではなかった。みどりや健次など登場人物の個性が強いし、見る者を引きつける。みどりのダメ親父など最高である。 このダメ親父を演じている玉川良一だが、前作でんきくらげではただのスケベ親父だったがこの映画ではまさにキーマン。この人はもともと浪曲師で当時はコメディアンとしてテレビで活躍していた。その印象とまったく同じななのだが、妙に愛着がある。 そして主役の渥美マリ、この人の演技は一本調子で決して上手とは言えないのだが、こういう役にはぴったりという感がある。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-28 19:12:53) |
903. ル・アーヴルの靴みがき
密告者はいても、マルセルと彼の周りの人たちは皆いい人たちばかりだ。最後には意外な人物まで人情味あふれるというか、おとぎ話の中の人物にさえ見える。これこそカウリスマキと言えるだろう。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-24 16:19:00) |
904. 奇術師フーディーニ~妖しき幻想~
魔術の恋もおもしろかったが、これもなかなかおもしろい。同じマジシャンのフーディーニを主人公にしながらも、こちらのお相手は心霊術士。彼が母の死後心霊術(撃破?)に凝っていたことは有名であるが、そちらに焦点をあてたもの。 肝心の奇術に関しては「魔術の恋」に一歩劣るが、後年の作だけあって映像と音楽が良い。キャサリン・ゼタ=ジョーンズよりも最後はシアーシャ・ローナンが勝っていたかも・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-23 23:58:28) |
905. テス
映像美やナスターシャ・キンスキーの美しさは文句の付け所がないが、映画自体も堂々とした作品である。主人公テスの生き方にはついてはあまり好きにはなれないが、運命に逆らってまでも愛を貫こうという姿には何か強く惹かれるものがある。その点では少しばかり風と共に去りぬのスカーレットと共通するのかもしれない。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-20 22:07:30) |
906. 玄海つれづれ節
ショートカットの吉永小百合にまず驚く。お嬢さん役が多かった彼女だが、今までとは断然違う。言い寄る男を手玉に取ったり、借金取りをうまくかわしたり、バイタリティに満ちあふれている。何とこどもの貯金まで失敬したりするほどだ。坊ちゃん育ちの夫が蒸発したのも、多額の借金返済だけが理由ではでなかろう。映画にもスピード感があっておもしろく、楽しませてくれる。 謝金取り立て人役の八代亜紀は当時流行の演歌歌手であり、吉永小百合や風間杜夫とともに3人で歌う挿入曲「キャバレー・フラミンゴ」がまた良い。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-20 01:43:01) |
907. 八甲田山
物語の設定と同じように、実際の冬の八甲田で撮影するという極めて過酷な状況の中でできあがった映画だ。映画は原作と同様に大変な人気を呼び、私の勤務する高校でも学校をあげて鑑賞することとなった。 事細かに雪中行軍に至った経緯が語られ、青森の第5連隊と弘前の第31連隊がともに真冬の八甲田を踏破する計画が進められる。しかし案内人を用い少数精鋭の小隊で編成された31連隊と、大隊長らも加わって統制のとれなくなった第5連隊とでは、計画内容は大きく違っていた。この辺の描き方が実に丁寧で、前半からすでに見応えのある堂々とした映画になっている。 ところが大規模なスケールで始まった映画も、悪天候の雪の中では誰が誰だかわからず、豪華キャストも形無しになっているように思われる。そしてまた、雪の中で彷徨する過酷な重苦しいシーンが続くが、それはまた観客にも同様の体験を味わってもらいたいとさえ言っているように思える。 その中にあって回想シーンがアクセントとなって映画を引き立てている。また全編繰り返し流れる音楽もまた良い。 ただ心配なのは、時代背景や走行ルートなどある程度の知識を持っていないと、ただ単に雪の中を歩く映画に思われてしまいそうだ。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-19 06:50:46) |
908. 日本の悲劇(1953)
冒頭の音楽や新聞記事、東京裁判の映像など見ていると、まるで新藤兼人か山本薩夫の社会派ドラマを思わせる。しかしそれはあくまで時代背景を表したもので、中身は戦争未亡人と二人の子どもの心情劇。親の心子知らずというか、世の中の変化に対応しきれない愚かな親心というか、やはり木下恵介ならでは物語である。 不幸は起こるべきして起こったとも思えるし、こういう不幸が拡がらないようにという願いにも思える。 しかし映画を正しく理解するにはやはり時代背景をもっと知らなければならないだろう。戦争の悲劇は多くの人の死だけではない。物資の不足は不法なヤミ商売を生み出した。配給だけでは食べていけないギリギリの生活、だますかだまされるかで運不運が分かれる戦後の混乱期。その不幸な時代に起こった悲劇の一つだということを認識しなければならないだろう。 [DVD(邦画)] 7点(2012-07-16 23:23:40) |
909. その名にちなんで
米国に移り住んだインド人夫婦と米国で生まれ育った息子たち、地球を半周するほどの二国間の隔たりは、文化や生活習慣など様々な違いを見せてくれる。人間誰しも自分の生まれ育った所が故郷なのだ。 映画は名前に込められた親の愛の物語かと思ったが、そればかりではないと思う。ゴーゴリの「外套」、どんな内容の小説かは読んだことがないのでわからないが、あらすじを読んでなるほどと思わせるものがある。さらに、「われわれはみなゴーゴリの『外套』から出た」という有名な言葉までも。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-16 18:31:46) |
910. チャンプ(1979)
映画館で見たのは、もちろんこっちの方のチャンプ、あのときは素直に感動した。子役がとてもかわいかったし、ボクシングの試合もすごくリアルだった。何より父親と息子の関係が実に良い。後にオリジナルをDVDで見たけれど、内容的にもこっちが良い。 だけど、元ボクシングチャンピオンがけんかしたら駄目でしょう。素手も凶器なのだから・・・。ただフェイ・ダナウェイの母親がいまいち馴染めなかった。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-15 17:04:16) |
911. 魔術の恋
《ネタバレ》 「脱出王」の異名を取った米国の伝説的奇術師ハリー・フーディーニの伝記映画だが、奇術シーンを見るだけでも楽しい。不可能と思われる脱出を次々とやってのけるが、観衆は一度実現できた脱出は、再度やっても驚かなくなる。そして客を呼ぶため、脱出劇は命をかけたさらに危険なものとなっていく。 この映画は伝記映画ながら、その過程を実に見事に描いているだけでなく、夫婦の愛や母親を思う気持ちなどもうまく織り込んでいる。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-15 11:24:55) |
912. シムソンズ
映画も良かったけど、カーリングのおもしろさやチームワークの大切さも改めて教えられた。カーリング日本女子チームがんばれと応援したい。 [DVD(邦画)] 7点(2012-07-13 22:27:31) |
913. 歓喜の歌
突っ込みどころは多々あるけれど、映画(落語)の世界であれば許容範囲、というか、落語の映画化なんて画期的すごいと思う。ダブルブッキングというとんでもない問題発生にどう対処するのやらと見ていたら、優しさと暖かさで心を満たしてくれる。ママさんコーラスも、おばさんたちの暇つぶしではなく、仕事や家事の忙しさを忘れさせる大切なものだとわかる。ところで主題歌のあの鐘とは、除夜の鐘だったんだ。 [DVD(邦画)] 7点(2012-07-13 07:30:48) |
914. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
《ネタバレ》 70年代は毎年恒例のように寅さんを見に行ったのだけど、今回は私の好きな十朱さん。私の小さい頃は、NHKドラマ「バス通り裏」の明るくやさしいお姉さんでとても憧れていたっけ。 その十朱さん、映画では明るさにプラスして、とてもひょうきんな面をも見せてくれる。とくに、雨降って地固まるの下りでは思わず笑ってしまった。 ひげづらの歌手上条さんも、この頃大活躍をしていたし、パンダのぬいぐるみもこの頃の流行だった。赤ん坊の父親月亭八方さんもとてもおもしろい落語家なのだけど、ちょっと落語っぽい話が始まったかと思ったら、春川さんに話を取られてしまった。もっちょっと例の調子で聞きたかったのに・・・。 総じてよくまとまった映画だったと思う。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-11 06:38:09) |
915. 山びこ学校
戦前戦中の軍国主義教育が正され、民主主義教育が模索されていた頃の教育実践映画である。戦後まもない頃は、忠臣愛国思想や戦意高揚を尊ぶ記述には教科書に墨が塗られたが、その墨塗り部分は膨大なもので、教育者たちは何を教えて良いのかさえ迷う実態だった。そのなかで山形の寒村では、こどもたちの生活体験作文を元に教育を行う実践をやってのけたのだ。 映画は日教組支援により低予算で作られたものだから、できばえは必ずしも良いとは言えない。だがこれが戦後の貧しい寒村の実態なのである。従って見るべき人が見れば心打たれるものがあると思う。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-07-10 02:42:23) |
916. 彼岸花
モノクロがカラーになろうとも、どこからどこまでも小津映画だ。立体感を意識したカメラワーク、独特の台詞まわし、一目でそれとわかる。テーマもまた娘の結婚問題だし、中村伸郎・北龍二といった同窓会メンバーも小津映画だ。 この当時は親の承諾がないとなかなか結婚できない時代、一家の主をさしおいて縁談が進むと不機嫌になるのは佐分利さんだけではなかろう。 この映画でひとつ気になったのは、佐田啓二扮する谷口が佐分利信の会社に現れたとき、応接室でなく常務の部屋に直接通されたこと。このときは相手がどういう人物かわかっていなかったはずなのに・・・。 ところで笠智衆さんが主役(東京物語)になっても、佐分利信が主役になっても、平山さん。いや主役でなくても多くの小津映画に平山さんがたくさん登場するのはどうしてだろう。 [DVD(邦画)] 7点(2012-07-09 22:43:11) |
917. 痴人の愛(1934)
とんでもない女に捕まってしまったと言えばそれまでだが、男と女、人間と人間の結びつきは理屈では計り知れないものがある。それが人間の絆というものだろうか。一度や二度でなく、三度も四度も・・・。心の底から私が悪かったと惚れた女性から謝られるとついつい・・・。端から見ればなぜ、どうしてと思うのが当然なのだが、人体の模型が恋する女性に見えるくらいなのだからどうしようもない。 この憎たらしい女性から、妖しげな女性、惨めな女性までを演じたベティ・デイヴィスの演技は神業か。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-07 15:58:19) |
918. アンネの追憶
《ネタバレ》 「アンネの日記」にはゲシュタポに捕らわれた後のことは書かれていない。もちろん、書くことができなくなったためである。この映画は、アンネの家族で唯一生き残った父親や彼らを匿い日記を保管したミープ、アンネの友人で生き残ったハネリらの証言を元に作られている。そしてその中でも重要なのはハネリの証言を元に書かれた「もうひとつの『アンネの日記』」 したがって、隠れ家生活は簡単な描写となり、収容所生活が映画の中心となる。収容所に送られる貨物列車もすごいが、髪を短く切られた上に全身裸にされ、シャワーを浴びせられるシーンもすごい。男と女、大人と子ども、働ける者と働けない者に選別され、必要とされない者は焼かれていく。ユダヤ人収容所がいかにひどかったか、私たちは絶対に知るべきだろう。 ただ映画としては、今まで作られた同じ題材の映画より優れていたかどうかは自身がない。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-06 02:25:28) |
919. 乱れ雲
昔見たときは私も若かったので、映画に一抹の物足りなさを感じせられたが、この年齢になって改めて見ると、これぞ大人の愛、大人の映画という感を強く抱かせる。 実直な青年三島と美貌の未亡人由美子、それを演じる加山と司葉子に強く惹かれる。成瀬監督の最後の作品と知っていっそう感銘が深い。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-04 22:13:22) |
920. 約三十の嘘
《ネタバレ》 この「約三十の嘘」はおもしろい舞台劇だし、映画もそのおもしろさが結構生かされていると思う。 舞台と映画は根本に違う。限られた人数だけで限られたスペース、密室劇というか、会話(台詞)の妙を味あわないとおもしろくない。3年前の事件や北海道での仕事の成功はグループの会話によって示されるが、こういったところがいかにも演劇調で良い。 そして見ものはラスト、何千万のお金よりグループを壊さないこと、そして仕事とリーダーの志方さんを選ぶ女性を演じる中谷美紀が圧倒的にすばらしい。祝「チームハバロア」といったところ。 と思ったんだけど、皆さん、てきびしいなあ。やっぱり舞台に負けているのかな。 [DVD(邦画)] 7点(2012-07-04 09:08:23) |