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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  悪魔をやっつけろ(1953)
先月にジョン・ヒューストン生誕100年を記念して上映されたもの観ました。名コンビ(ボギー+ヒューストン)最後の作品である今作は『黄金』の「金」を「ウラニウム」に変えて人の欲を描く。といっても『黄金』のようなシリアスな展開ではなくあくまで喜劇。もちろんシリアスな場面もあるにはあるんですが欲に駆られた登場人物たちの滑稽さが前面に出ており、全体的には喜劇として楽しめます。もうすぐ日本公開される『カポーティ』その人トルーマン・カポーティがシナリオを書いてますが、ロケ地(ヨーロッパのどこだか)で撮影が始まってもシナリオが完成せず、ヒューストンやボガートや大プロデューサーとして名高いセルズニックやらがてんやわんや(といってもきっと酒でも飲みながら)撮影毎にシナリオを作っていったのだそうです(って映画館にあったチラシに書いてあったと思う、そのチラシはどっかいった)。そのせいなのか、どこかチグハグさを感じ、それがかえってヌーヴェル・ヴァーグっぽい既存の映画から開放されたような奔放さを醸していて、その奇妙な感覚こそがこの映画の最大の魅力となっている気がします。
[映画館(字幕)] 7点(2006-09-19 18:14:58)
82.  マダムと泥棒 《ネタバレ》 
たぶん部屋のセットから来るんだろうと思われるイギリス映画独特の空気に、イギリス紳士の中に気色悪さを漂わせるアレック・ギネスのカメレオンぶりが加わり、もうこの時代じゃないと絶対作れないだろうイギリス映画の強烈な臭いプンプンの映画。ちょっとこの空気が個人的に苦手なせいか、屋外のシーン、とくにラストのドタバタ、はっきり言うと殺し合いが外の開放感を味わえて爽快感すら感じてしまう。後にコーエン兄弟がリメイクしておりますが、ブラックさではこのオリジナルに敵いません。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-09-15 14:29:49)
83.  野菊の如き君なりき(1955)
日本のある一時期を切り取った映画。物語の持つ、封建的な社会の犠牲となる若い男女の顚末にある時代性もさることながら、映画は人物よりも風景をメインに撮ることでその時代の素朴さとか愛しさというものまで映しているかのような錯覚をおぼえる。回想形式で見せる物語は日本独自の情緒が常に画面を被い、素人俳優の主演二人の棒読み演技も実に純朴な男女を表現しており、この情緒感を盛り上げている。いかにもセリフですという感じの有名な「民さんは野菊のようだ云々」が実に自然に発せられた言葉としてモノクロの野山の風景とともに脳裏に焼きつく。
[映画館(邦画)] 7点(2006-08-11 13:38:48)
84.  見知らぬ乗客
アップで撮られた二人の靴がコツコツと歩を進め、そして出会う。偶然の出会い、そして運命の出会いが表現された印象的なオープニングから延々と頭にこびりつくようなシーンのオンパレード。唯一の証拠となるライターをめぐって犯行現場に行く二人の男、1人の女、追う刑事たちが、そしてだんだんと暮れてゆく景色がクロスカッティングの妙技のもと最高の興奮を生み出す。眼鏡越しの殺人、テニスコートやパーティー会場での異常行動のさりげない見せ方による恐怖演出、ただ怖いだけではなく歪んだ愛を常に内包させた犯人像の奥深さなど実にうますぎ、出来すぎの傑作サスペンス。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-08-03 14:27:11)
85.  間違えられた男
主人公が新聞の見出しを「見る」。そしてその見出しごとに表情を変える。「見る」という行為がことさらに強調されたこのシーンがその後、保険会社の受付嬢に怪しく「見られ」、取調べの面通しで「見られ」、という恐怖体験を暗示する。主人公の目に映る警察官、留置場へ続く廊下が主人公の不安感を高め、妻の異変もまた主人公と弁護士の、妻の行動を見る目によって露呈される。視覚に訴える映画という媒体の中で視覚の有効利用をしているわけだ。また、状況説明を「見たあとの顔」だけで表現しているのでリアルな恐怖感が出ている。ヒッチコックの他の作品とカラーが異なるが、この作品もまた巧みな映画術が満載だ。
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-02 16:13:23)(良:1票)
86.  知りすぎていた男
イギリス時代の『暗殺者の家』を自らリメイク。リメイク映画のお手本でオリジナル作品に縛られない自由な演出が成功しているが「縛られない」というだけでも並みの監督ではないことの証明になっていると思う。サスペンスとは似つかわないゆったりとした「ケ・セラ・セラ」が作品に緩急を与え、その歌声が物語を盛り上げ、その歌詩が母の想いとリンクする。この効果的な歌の使われ方は天才的です。歌手ドリス・デイの起用と合わせて極めて完成度の高い作品。今までのヒッチコック作品のレビューでヒッチコックらしいとからしくないとか書いていたかもしれないが、どっちにしろこの人は天才だというところに落ち着きそうです。それはヒッチコック作品を見れば見るほど確信を帯びてきます。
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-01 10:35:57)
87.  拾った女
スリとすられる女、そしてそれを見ている男、と主要な人物が交互に写されいきなりサスペンスを盛り上げるオープニングシーンは電車の揺れの再現、窓からの光、新聞紙などの小道具の使い方も含めて何気ないけど完璧に観客をひきつける。この映画はストーリーもじゅうぶん楽しめるがストーリーを堪能しなくても楽しめる。まずなんといってもテンポがいい。テンポがいいから唐突なラブシーンにも酔える。印象深いシーンは多々あるがコミカルな部分を背負っていたタレコミ屋の老女がゆっくりと大げさにクローズアップされてゆくシーンがとりわけ印象に残る。彼女のコミカルな会話が走馬灯のように蘇り彼女の人生、はたまた下層級の生活の厳しさまでもが浮き彫りにされてゆくというとんでもなく素晴らしいシーンです。娯楽映画としてのツボをおさえた作品であると同時に細部へのこだわりに満ちた作品です。
[映画館(字幕)] 7点(2006-07-07 11:50:13)
88.  北北西に進路を取れ
ヒッチコックの作品の中で最もスペクタクルに富んでいる。それゆえにヒッチコックらしくないと言われることもあるらしいが、全編、巧みでユーモア溢れる演出が満載されており、スペクタクルも<=大味>ではなく見事にサスペンスを盛り上げている。その一番の代表がセスナに追っかけられるシーン。一面畑の広々とした、それでいて寂しい空間にぽつりと立つ主人公。ヒッチらしからぬ長ーい間が緊張の色を徐々に濃くしてゆき、一気に「静」から「動」へと加速する。スペクタクルといってもいわゆるスペクタクル映画と言われるものと比べたら迫力には欠けるかもしれないが、そのことを逆手にとってラストではクライマックスのピークでいきなり端折って列車の中に切り替えてしまうなんて演出はもう参りましたとしか言いようがない。ヒッチコック作品には個人的というか生理的に苦手な演出ってのがあって、それは悲鳴を上げたときの忘れられない恐怖の顔のアップだったり、とにかく精神が普通じゃないときの人物の見せ方にインパクトがありすぎるってことだと自分では思ってるんですが、この作品はそういうのが無いので、素直に楽しめたという意味ではヒッチコック作品で一番かもしれない。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-07-06 18:20:49)
89.  泥棒成金
偽者は誰なのか!というストーリーはまぎれもなくサスペンスなのに極力サスペンス演出を排除し、ロマンス色、コメディ色を前面に押し出している。今気づいたのですが『ダイヤルMを廻せ!』『裏窓』そしてこの『泥棒成金』というヒッチコックとグレース・ケリーのコンビで見せる3作品ってすべて同じ年の製作なんですね。凄い!でもなるほど、だからこそ作風をあえて変えてきたのでしょう。ロングショットで見せるカーチェイスシーンは意図的にスリルを排除しているのがわかる。南仏ののどかな景色を眺めながらのちょっとした観光気分を味わえるカーチェイス。そしてやっぱりグレース・ケリー。クールなお嬢様がプンプンと怒る様がなんとも可愛らしい。そして熱烈なキスシーンでは大人の女の顔を見せる。美しいグレース・ケリーを堪能する映画。でもどうせならもっともっと彼女を前面に出し切ってほしかったような気もする。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-29 11:50:08)
90.  理由なき反抗 《ネタバレ》 
若者たちの反抗を描いた青春映画のパイオニア。ストーリーがありきたりと感じるのはパイオニアの宿命。それだけたくさんの映画がこの作品を模倣したということである。前年、けして泣かないというハリウッドヒーローの公式を覆したジェームス・ディーンがココでもリアルティーンエイジャーを見せつける。ほとんどの者が経験するだろう反抗期、そしてその反抗を正面から受け止めることができない親たち。主要人物3人のそれぞれ異なる家庭環境を描くことで「反抗」はまさに理由なきものとして描かれ、一方で「反抗」の継続、あるいは増幅は理由があるものとして描かれる。3人のなかでもっとも悲しい家庭環境にある者が悲劇を迎える必然がなんともやるせない。
[DVD(字幕)] 7点(2006-05-25 18:59:43)(良:1票)
91.  大砂塵 《ネタバレ》 
ジョーン・クロフォードの意向により大幅に変更された脚本によって、ニコラス・レイの他の作品同様、これもまたなんとも奇妙な作品に仕上がっている。原題が「Johnny Guitar」とあるにもかかわらず、肝心のジョニーは自慢のガンさばきを女に封印され、恋敵キッドはその運命を女に翻弄され、保安官や町の人々も女の意のままに動くことしか許されない。しかし「西部劇」というジャンルにすでに植えつけられた概念を取り払えばいたって普通に楽しめるもの(ストーリーがシンプル!)だとも思うし、それ以上に、力がものを言う西部開拓時代の終焉をガンマンも無法者も保安官も本来の(西部劇でいつも見せてくれた)姿を見せないことで『シェーン』よりも克明に描かれてしまっている。「鉄道が町に敷かれる」という新しい時代を拒否する女が殺されるとき、男たちはただ傍観するのみ。時代の流れに誰も逆らえないことを悟ったかのように。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-24 12:15:45)
92.  孤独な場所で
これも『暗黒への転落』に続きボガートのプロダクションが製作していますが、なんでもボガートの意向で元々のサイコスリラーにロマンス色をより濃く反映させたのだそうですが、それゆえに異色な作品となっている。ハリウッドで映画を作るということは、ハリウッドでの映画製作に付きもののあらゆる方面からの意向を無視できないということが前提となる。むやみに受け入れれば監督の持ち味は喪失してしまう。しかしニコラス・レイという人はそんなあらゆる意向を進んで取り入れながらも本筋では自分を貫いているという稀な監督だと思う。だからこの人の作品は言葉は悪いがどこか中途半端なところがあってその中途半端な部分がなぜか魅力的という独特の雰囲気を持っている。これ、ボガートの提案が無ければとんでもなく怖い映画になってたかもしれなく、それはそれで観てみたいが、ロマンス色があるおかげで万人受け映画を最低限クリアしていると思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-05-23 10:39:18)(良:1票)
93.  ダイヤルMを廻せ! 《ネタバレ》 
夫とのキスシーンで始まり、次に愛人とのキスシーン。女は二つの顔を使い分けていることをいきなり見せているのに悪者にならない。それは彼女が練りに練られた完全犯罪のターゲットにされているから。では完全犯罪を目論む夫が悪者になるかといえばそうでもない。それは妻に裏切られているから。そして電話のシーンに代表されるような計画通りにコトが運ばないまどろっこしさがあるから。観客は女は殺されずにいてほしいという気持ちと完全犯罪を見たいという気持ちという相反する感情を持ちながら、まんまとヒッチコックの思うつぼにはまっていく。この作品、真相は初めから解かっている。解かっていないのは劇中の人達だけ。しかしどう解決していくのかが最後まで解からない。その見せ方がうまい。オチを犯人よりもほんの少しだけ先に教えてもらえる。あとは全てを知らされる犯人の驚きを犯人以外の全ての人達と共に堪能するのみ。巧いなぁ。
[DVD(字幕)] 7点(2006-03-08 18:40:15)(良:1票)
94.  恋人たち(1958) 《ネタバレ》 
「恋は盲目」現象を見事に映像化した作品と言ってしまおう。裕福でも田舎暮らしには不満を持つブルジョワジー。週末にはパリで遊び、愛人まで作るがそれでも満たされない。そんな様子をジャンヌ・モローのわかりやすい表情が語る。そこに登場するブルジョワ嫌いの男。いきなり恋が芽生えるなんてことはない。しかし月の明りが美しく風が心地よい深夜にそれは突然やってくる。グラスとグラスがぶつかる音、ブラームスの音楽、水の流れる音、そして甘く囁かれるフランス語が静寂の中に溶け込む。アンリ・ドカエの撮った月夜の映像とのコラボレーションが美しい。そして恋する女はもはやブルジョワでも主婦でも母でもなくなる。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-02-20 16:22:02)(良:1票)
95.  東京物語
今、どこであるのかを、例えば煙突からモクモクと煙が出ているカットで「東京」と判らせ、冒頭と同じ画を見せることで「尾道」だと判らせ、旅館と海が当然「熱海」で、「大阪」は大阪城のカットをもってくる。今、どの家にいるのかをその前に差し込まれる美容院や病院の看板が語ってくれる。説明セリフやナレーションが無くても画だけで判らせる。 大半が人物が大写しで映される中、例えば熱海での翌朝の老夫婦の後姿や、半ば追い出されたカタチの二人の道端に腰掛ける姿や、一人で朝焼けを見ていたと言う妻に先立たれた父の姿は小さく小さく映し出すことでその寂しさを表現する。老夫婦の尾道の家での会話に近所のおばさんが割って入る。老夫婦のあいだにおばさんがいる、という構図を、妻亡き後もそのまま同じ構図で映し出す。妻のいた場所がぽっかりと空いた構図が強烈な喪失感を演出する。映画とはまさにこういう作品のことをいうのである。しかしそれだけでは傑作とは言えない。この作品は映画として本来当たり前にすべきことをちゃんとしていて、それをベースに小津流の独特の画と独特の間で小津らしさを出し、さらに老夫婦をメインにした「家族」のストーリーの中から、東京で一人で生きる女の物語をラストで出現させるという構成が素晴らしすぎる。終始見せてきた原節子の意味ありげな視線が本当の「東京物語」の伏線だったのである。傑作です。
[DVD(字幕)] 8点(2006-01-16 12:53:37)(良:4票)
96.  殴られる男
その時代の最も立場の弱い人間たちがボクサーという職業で身を削る。アイルランド移民であったり、イタリア系であったり、黒人であったり、、。強い人間たちはボクサーを食い物にして私腹を肥やす。この作品では南米から連れて来られた大男が餌食となる。そんな内幕を暴露した社会派の色を持つ映画ですが、同時にボガート主演によるところのハードボイルドの臭いも漂わす。これが遺作となったボガートの役どころは、時代に取り残され落ちぶれようとした記者。その記者がさらに男としても落ちぶれようとしたとき、騙され続けたボクサーの見せる男気が記者の眠っていた男気を引き出してゆく。花は無いけど味のある作品。ハンフリー・ボガートの最後の男気をじっくりと味わって下さい。
[DVD(字幕)] 7点(2005-12-02 16:06:08)(良:1票)
97.  妻(1953)
夫婦の倦怠を描いた『めし』『夫婦』に続くこの『妻』は前のニ作以上に救いの無いところまで夫婦の溝が深まっている。冒頭の心情の語りで惰性の夫婦を暴露した二人は結婚十年目。お互いが現状に不満を抱きながらもけして自ら打破しようとはしない。二人ともこの憂鬱な現状の責任は相手にあると確信しているのである。そこに夫婦というカタチが壊れていこうとするきっかけとなる事が起こる。夫が動いたわけなのですが、打破するために動いたのではなく逃げただけ。そこで妻も動くがこれまた現状打破のためではなく己の保身に動いただけ。結果、夫婦というカタチだけが残って夫婦たる機能は崩壊する。「妻」とはいったいなんなのか。夫婦というシステムの中の一端であることは間違いない。この映画はそのシステムの中に組み込まれることだけに安住してしまった女の悲劇を描いている。自ら悲劇を助長していることに気づかない女が痛々しい。そして相変わらず成瀬映画の男は情けなく、その情けなさがリアルすぎて見てらんない。
[映画館(字幕)] 7点(2005-10-07 14:50:19)
98.  おかあさん(1952)
もうたまりません。子供たちがストーリーを無視して勝手なことばかりしてくれます。そうです、子供ってなんでもないことで口喧嘩するんです。突然意味の無いことをするんです。なにげに面白いことするんです。とりあえずなんでも言い返すんです。部屋の中を映せば絶対に目にする、しかしどうでもいいっちゃあ、どうでもいい光景が常に映し出される。演出で作り上げたものとは思えないほどの素の子供たちの笑顔が、お母さんはけして不幸ではないということを見せてくれます。下の娘を里子に出すとき、お母さんは泣かないし娘も淡々としている。抱き合って涙を誘ったっていいシーンである。しかしドラマチックにしなかったことで、この当時ではごく当たり前の光景なんだと非情な現実感を呼び起こす。それと同時にやっぱり泣けるのである。ドラマチックにしなくたって光を逆光にするだけで涙が出るんです。そして延々と映し出されていた子供たちのバカ丸出しの楽しいシーンがここで効いてくるんです。泣かされて、笑わされて、また泣かされて、また笑わされて、、映画館を出るときには泣きながら笑っていました。
[映画館(字幕)] 10点(2005-10-06 13:34:05)(良:1票)
99.  夫婦 《ネタバレ》 
家族ではなく夫婦を描いたところが小津との差異でしょうか。冒頭の同窓会帰りの菊子が階段を上り高台からの景色を見下ろし清清しい顔を見せる。オープニングでいきなり解放を望む内なる心情を映し出しているわけです。その後夫婦のどこにでもあるようなちょっとした諍いが描かれ、ベースにある夫婦の倦怠がこのちょっとした諍いをどんどん大きなものへ変えてゆきます。いっしょに住むことになる夫の同僚、その同僚に密かに好意を寄せる女性が絡んでドラマが展開されてゆくのですが、そのひとつひとつのシーンで見せる、会話に無い心情の見せ方が非常にうまい!ドラマは夫婦の崩壊へとなだれこみそうな展開をみせつつ、そんな諍いがあるのが夫婦なのだと言わんがごとくに、あることを機に絆を深めて終える。絆を深めるというより、最後の最後にやっと「夫婦」となるのである。それもこのドラマを彩った他の登場人物たちを全く介さずに、夫は夫になり妻は妻になる。まさに「夫婦」となった瞬間、この映画は終わることを惜しまれつつ終わるのである。
[映画館(字幕)] 8点(2005-10-05 13:30:05)
100.  空の大怪獣ラドン
当時の特撮怪獣モノって独特のレトロ感があって好きです。この作品も例にもれずですが、それって特撮であることとかミニチュアの町の再現から成るものじゃなくて、きっと怪獣が出てこない部分で描かれる風景や家屋のセットからくるような気がします。そういう意味でもこの作品は炭坑の現場、工場、事務所、集合家屋、そしてその住民たちの独特の生々しさに溢れていて、ラドンそのものよりも強烈に印象に残っています。かといって、ラドンがダメってことじゃなく、むしろ幼少の頃からゴジラやガメラよりも、ただ飛ぶという行為だけでとてつもない破壊力を見せつけるラドンが好きでした。はっきりと見えるピアノ線は電線がひっかかってるんですよ、きっと。学者や警察を交えた会議はシリアスなくせして怪獣の存在にあまり驚かずに淡々と進むのは怪獣映画全盛期ゆえでしょうか。それはそうとラドンって、プテラノドンだったんですね。
[ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-02 15:46:33)(良:1票)
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