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放浪紳士チャーリーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1446
性別 男性
自己紹介 初めてこちらのサイトに投稿させていただいたのが2004年の1月。間もなく15年目の節目を迎える事に。
何かきっかけだったのかなあ・・・と思い返してみると、モンゴメリー・クリフト&エリザベス・テイラー主演「愛情の花咲く樹」(1957)が、なんで作品登録されてないんだ!って義憤(?)に駆られ投稿を始めたことを思い出しました。
レビュー数、今日現在1337本。自分が投稿した作品のレビュー読み返してみると結構気恥ずかしいことをつらつらと、とりとめもなく書いてるなあと反省しきり。
でも「冷たい熱帯魚」(2点)と「パッセンジャーズ」(6点)「3時10分、決断の時」(8点)なんか我ながら良くこんな文章書けたなと感心。
これからも宜しゅうお願いいたします。

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81.  妻(1953) 《ネタバレ》 
成瀬巳喜男監督「めし」「夫婦」そしてこの「妻」、「夫婦もの三部作」の一本。鑑賞は一番最後になったが、製作順序的にも「めし」⇒「夫婦」⇒「妻」の順との事。大阪が舞台で色々とゴチャゴチャ動きがあった「めし」は別格として、後の二作はとにかく類似性が高い。煮え切らない夫役がどれも上原謙、訳アリ同居人がどっちも三國連太郎。解る方には解って頂けると思うが、ハワード・ホークス監督「リオ・ブラボー」と「エル・ドラド」を連チャンで観た時の感覚になんだか似てる。しかし相手役は替われども、上原謙さんっていっつも同じ演技、同じ表情しかしていないように見える。同じ成瀬映画の常連森雅之氏と比べ、この方の演技についての評価は聞いたことが殆どないが、妻役が誰であれ、それを受けて立つ度量の深さ、もしやこの方は稀代の「女優輝かせ名優」だったのではないかと思えてきた。妻役原節子、杉葉子、高峰三枝子は、それぞれ自身のキャリアの中でも特に深い爪痕を残した好演技。そう考えると成瀬監督がこの方を繰り返し起用し続けた理由が何となく解る。それにしても若き日の三國連太郎が間借り人の自宅に、奥さん一人っきりで残して外出なんて危険極まりないってつい思ってしまうのは自分だけでしょうか(笑)?
[インターネット(邦画)] 7点(2024-01-06 08:41:32)
82.  浮草
大映専属だった山本富士子に「彼岸花」(10点)へ出演してもらった返礼として、翌年小津監督が大映に赴き撮った唯一の作品及び唯一の自作リメイク。妖艶になる、あと一歩手前時期の若尾文子がなんとも可愛らしい。いや、京マチ子にせよ野添ひとみにせよ、女優陣みんなそれぞれにいい。大映現代劇特有の、あのねっとりしたカラーが小津監督タッチによって若干浄化されたようなイメージ。小津監督の他社作品「小早川家の秋」(宝塚映画)「宗方姉妹」(新東宝)を観ると、松竹作品全般に感じられる、窮屈な「縛り」みたいなものから、ほんの束の間解放されたかのような自由な空気感を感じます。もちろんその「縛り」が21世紀になっても評価が全く衰えない小津作品の真骨頂だとは思いますが、この作品とか観ちゃうと、息抜き的に他社でこしらえた作品をもっと観たかったなあとも思います。流石に東映とは合わなかっただろうけど。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-26 07:53:34)
83.  白夜(1957) 《ネタバレ》 
自分の中でヴィスコンティ監督が「世界名作全集御用達監督」のイメージを決定づけたのは、暇と時間だけはあった大学時代、懐かしの名画座「三鷹オスカー」三本立て(ニーノ・ロータ特集)で観た、この作品の印象が強く影響していると思います。恋人をひたすら待ち続けるヒロインを見守る主人公という、ストーリーそのものはどうという事もなかったかなあと。でも、今でも記憶ありありと浮かぶのは橋に降り積もる吹雪描写の凄さ。若き日のマストロヤンニもカッコ良かったなあ・・・。
[映画館(字幕)] 7点(2023-08-22 16:05:54)
84.  現金に手を出すな 《ネタバレ》 
私が鑑賞したDVDのジャケット表紙には、渋いギャバンと若きリノ・ヴァンチュラご両人が、思わせぶりで怪しげな笑みを浮かべるツーショットのシーンが。少し前鑑賞した「地下室のメロディー」(8点)では、ギャバンとアラン・ドロンがほぼ同格主演、丁々発止のやり取りを繰り広げていたので、この映画でもそういう展開になるのかな~と、期待していたのですが・・・。この時期のヴァンチュラは見事なる脇役。ギャバンとの絡みも僅かワンシーンかツーシーンのみ。完全な肩すかし。フレンチノワールものとしては面白かったんですが、最初のハードルを高くし過ぎたせいか少々物足りず。この時ギャバンってまだ50歳?!マジで?!貫録十分だけれど、成熟した男の色気ムンムンですね。昔の50代ってオトナだったんだなあ・・・。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-07 22:04:25)(良:1票)
85.  殺人鬼に罠をかけろ 《ネタバレ》 
フランス警察小説を代表するメグレ警視、ジャン・ギャバン主演でシリーズ映画化されたこれが第一作。パリ市内のある地区内で頻発する女性ばかりを狙った連続殺人、犯人検挙に乗り出すメグレ氏。偽の容疑者や、覆面女性警官を囮に使って、真犯人に罠をかける、という展開。ギャバン扮するメグレ警視の執拗な容疑者への追及シーンが見どころ。神経衰弱状態の容疑者にも全く手を緩めないあたりは、凄いというかタフというかなんというか。ヒロインアニー・ジラルドが魅力的。入り組んだ迷宮みたいなパリ下町の風景も面白い。残念ながら推理小説的犯人当て要素は殆どナシ。そういう意味では次作『サン・フィアクル殺人事件』の方が、探偵映画趣味的には面白かった。そもそも、ジャン・ギャバンとリノ・ヴァンチュラ御両人が雁首揃える警察署なんて、裏でギャングかマフィアと繋がっている悪徳警官にしか見えない・・・、というのは冗談で、ここではまだ職務に忠実な刑事役。でもこのお二人って、裏街道を突き進む役どころを演じてる時の方がずっと生彩あるよね。
[DVD(字幕)] 7点(2022-09-04 21:23:36)
86.  サン・フィアクル殺人事件 《ネタバレ》 
小説のメグレ警視ものって、多分一作くらいしか読んだ事ありません。ドルリー・レーン氏やポアロとは違い、小説で描かれたメグレ警視の人物像に魅力を感じなかったせいかも。へえ~、メグレ警視ってこういうヒトだったんだって、この映画を観て初めて知った次第。クライマックスで、容疑者を集め各々を執拗に追及し白状させるのが、メグレ警視お得意の捜査方法なんですね。コロンボと同じ倒叙ミステリーかと思いきや正統派の推理物。ギャング役や過去に罪を犯した陰のある男が似合うジャン・ギャバンが警視役=正義側っていうのが最初ピンとこなかったけれど、流石名優、渋みのある正義派役も十分に守備範囲、カッコいい。パリ郊外の大邸宅が舞台の古風な探偵小説的ミステリー。メグレ警視の少年時代の憧れの女性が教会で怪死するのが事件の発端。私が好きなお膳立てという事もあるけれど、謎解き映画としてもなかなかの面白さ。真犯人も意外で、登場人物はそれほど多くもないのに、鈍感な自分は土壇場ギリギリまで犯人解らなかったです。これは毎度毎度の事ですが。
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-29 22:08:47)
87.  拳銃の報酬(1959) 《ネタバレ》 
自分は十代の頃『誇り高き男』での、保安官役を観て以来のロバート・ライアンのファン。善人役でも悪人役でも、脇でも主役でも、このヒトは常に抜きん出た存在感を魅せてくれるオールマイティーな曲者役者。どちらかと言えば、あの不敵な面構えから悪人役のが多いような気もするけど。この作品でも見事に私の期待?に応え、寄る年波への諦念とまだやれるという葛藤の中懊悩する、真のワルになりきれないアンチヒーローを演じてます。クリーニング済の、女性用ドレスを雑踏の中持ち歩く姿だけでもなんか粋でカッコ良く見えてくる。よーく考えたら、無職のヒモ男なのに。鑑賞途中、これって、もしや前年製作『手錠のままの脱獄』が高評価された為、その時流に乗って企画された映画なんかなあとも思ったけれど、面白かったから文句ナシ。うんうん、クライマックスの銀行強盗シーン、内側からドアチェーン外させるのは俺もあの方法がベストだと思った。いつか何かの機会に試してみたい(←どんな機会やねん)流れるモダンジャズや音楽の使い方も巧みで次作『ウエストサイド物語』で、大ホームランをかっ飛ばす、ロバート・ワイズ監督の面目躍如といったところ。渋過ぎる二大女優も含め、脇役も地味だけれど見応えある佳作。ここではホンのチョイ役なのにグロリア・グレアムがモノクロ画面に登場すると、途端にフィルムノワールって雰囲気になるのが不思議。先日観た『重役室』も面白かったし、ワイズ監督の大作主義以前の作品群もっと観たくなりましたね。↓あの小ウサギを撃つのに躊躇するシーン、そんな意味が含まれていたとは!
[DVD(字幕)] 7点(2022-08-01 20:01:32)
88.  朝の波紋 《ネタバレ》 
当時この映画、「高峰秀子フランスからの帰朝第一作(!)」と、大々的に銘打たれ公開されたらしいです。「東京のえくぼ」(6点)同様、彼女の長い長い映画出演歴の中でも、ひときわふっくらふくよかな、貴重なお姿を拝見することができます。彼女の自伝「わたしの渡世日記」によると、この半年間のフランス渡航前後っていうのは、周囲で色々なゴタゴタやら「波紋」があった時期だったにもかかわらず、そんな混乱した背景を一塵たりとも感じさせない、普段通りの魅力的な高峰秀子を観る事が出来、もう自分はそれだけで感無量。英会話を自由自在に操れる、キャリアウーマン的役どころっていうのも新鮮。映画自体は淡々とした運びで「煙突の見える場所」(8点)しかり、いかにも戦前からの松竹の名匠五所監督らしい作品です。自社の切れ者のイケメン同僚(岡田)とライバル会社のヌーボーとした営業マン(池部)との狭間で揺れ動くヒロインの心情も、意外にあっさりスッキリで、それほど恋愛に比重を置かずに描かれ好感を持ちました。ラスト近くになって、唐突に尼僧姿で登場してきた香川京子にはびっくり。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-05-05 09:03:09)
89.  波止場(1954) 《ネタバレ》 
これ、骨太な秀作なのは認めます。でも、観ている間ずっと感じてたある既視感が。これはアレですね、間違いなく往年の日活アクション映画と同じ匂いがします。そう思ったが最後、マーロン・ブランドは若き日の裕次郎かアキラ、いかにも薄幸そうなヒロイン、エヴァ・マリー・セイントは芦川いづみ、殺される兄役は三橋達也あたり、ボス役のリー・J・コップは金子信雄にしか見えなくなってきました。オリジナルのこの作品の粗筋やら人物配置を、いかにも上手く日本流にアレンジしたというか、決して模倣というのではなく換骨奪胎したというか。やるなあ・・・恐るべし全盛期のニッポンの映画人。今回のように、バリエーション派生作品群を後追いしてからオリジナルを観ると却って不思議な既視感を覚えてしまうものなんですね。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-04 21:51:03)(良:1票)
90.  地上最大のショウ 《ネタバレ》 
『地上最大のショウ』原題、邦題タイトルに違わず、正にその通りの豪華大作。見世物主義に生涯徹した、デミル監督らしい観客へのサービス満点のサーカス映画ではあります。ノッポのJ・スチュアートを一度もメイクを落とさないピエロ役に当て嵌めたのも効いてるし、ところどころで顔を出すカメオ出演のスターの顔ぶれも楽しい。パレードのシーンを観ながら、サーカスっていうのは当時の一般大衆にとって「移動するUSJやディズニーランド」って位置づけだったんだなって思いました。気になったのは、本筋のストーリーとは全く関係のないサーカスの演目紹介が延々と続き、一編の映画作品としては著しく間延びした状態になってしまった事。しかも肝心要のクライマックスにまで演目紹介シーンは続く為、流石に興を削がれました。2時間半の上映作品ですが、そのあたり20分ほどカットしたらもっと締まった作品になったんではないかと。デミル監督晩年の超大作「サムソンとデリラ」「十戒」も観ましたが、点数はほぼ同じですが自分は前述の史劇2作品のが好きかな。
[DVD(字幕)] 7点(2021-03-28 16:44:27)
91.  東京の恋人(1952)
原節子と世界のミフネ数少ない共演作。偽物かホンモノかどうかの宝石を巡るオハナシより何より、この映画の最大の見どころは1950年初頭当時の、東京隅田川勝鬨橋の開閉風景。東京の街に興味がある方なら、へええええ、こんな風になってたんだ~と、驚嘆の声が出る事必至。何回か登場し、しかも時間をかけその開閉の仕組みをじっくり克明に写し出していく。この令和の世に、その様子を見ることができるだけでも、この映画は貴重な東京文化遺産。全体の演出の調子から明らかにコメディを狙っているのに、アパートでの病床にずっと伏している杉葉子のパートはかなり湿っぽかったりと、ところどころ展開が水と油で落ち着かないところもあるが、貴重な二大スターの共演作という事で自分は愉しめました。でも原節子にベレー帽被らせたって、街の絵描き屋さんにはどうしったって見えないよねぇ・・・。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-02-18 09:30:59)
92.  第十七捕虜収容所 《ネタバレ》 
約20年ぶりくらいの再見。捕虜の中の誰がスパイだったのかとか、細かい部分はすっかり忘れていて、初見の時と同様に全盛期のホールデンの男の色気に魅了されつつ、ワイルダーの職人技を堪能しました。前半はスター、ホールデンの魅力に頼らずあくまで捕虜の中の登場人物一人として点景として扱っている点も好感を持ちました。後半の脱走に至るサスペンスフルな展開も申し分なし。ただなあ・・・前観た時も思ったんですが、やっぱりベティ・グレイブル狂のアニマル君と、その相棒の凸凹コンビの扱いにあまりに尺を取り過ぎてるのがもったいないんだなあ・・・。彼らのシーンを幾つか削れば、もっとソリッドな秀作になったと思います。特にクリスマスのダンスシーンとか内容もないのに長すぎる。話は変わりますが、昨日、一年通して久々にフルで観た大河ドラマ『麒麟がくる』最終回でした。好きな戦国時代のハナシ、みごたえがあって面白かったんですが、ここでも尺を取りすぎて、全体のバランスを著しく崩してしまっていた登場人物が何人か見受けられ・・・。ドラマの感想等で既にさんざん語られてるので誰とは言いませんが。コロナ禍でいろいろと製作状況が厳しかったことは理解できるんですが、彼らのシーンを2~3割削ればもっと良い大河ドラマになったと思うんですがね。これももったいない。映画のDVD鑑賞後、たまたま昨日の最終回を観たので、つい、同じような事を思ってしまいました。描写のバランスってホント難しいですね。
[DVD(字幕)] 7点(2021-02-08 21:45:15)
93.  セールスマンの死(1951)
これもジュネス企画さんが出しているDVDシリーズからの鑑賞。有名な舞台劇として昔から名前だけは聞き覚えがあった、アーサー・ミラー原作「セールスマンの死」。まさか、まさか、こんなオハナシだったとは!!邦画の秀作「Wの悲劇」(10点)の中でも、「翔ちゃん、どうだった?ブロードウェイのセールスマンの死は?」「どうしてトニー賞取れなかったのかしらね~?」って台詞に出てきたり、欧米の舞台ではおそらく何回も上演されている著名な、さぞかし面白い舞台劇なんだろうな~とずっと今まで信じこんでいました。だから余計この内容に驚愕したのかも。決して「面白い!」と、諸手を挙げて万人にお勧めできる映画ではありません。モノクロだし、キャストも地味さを極めています。のちに「真昼の決闘」を手掛ける、気骨ある製作者スタンリー・クレイマーだからこそできた映画。当時のアメリカ映画の基準でも、こんな娯楽性のない「老いた1人のセールスマンが自滅していく姿」を捉えた映画、ヒットしなかったと思います。若い時の自分が観てたら、多分この陰々滅滅とした暗い展開に、途中で鑑賞を放棄してたジャンルの映画。主人公に全面的な共感は出来ないものの、自分が50歳を過ぎた今、現実があまりに辛すぎるから、楽しかった過去への逃避や妄想に走らざるを得ない気持ちは良く理解出来る。出来るけど、そうなってしまったのは自業自得だろうとも思える。F・マーチといえば「我等の生涯の最良の年」や「必死の逃亡者」で、「理想的なアメリカの父親」を演じてた俳優さん。ここではそのイメージを見事に逆手に取って、ブツブツ独り言を呟きながら駅や街中を徘徊する、一歩間違えたら病院行きのダメダメ親父を演じています。この父親役は演技派の俳優であれば、一度は演じてみたくなる役どころなはず、と思ったらリメイクはダスティン・ホフマンが演っているんですね。イメージぴったり。機会があればレビューでも評価の高いこのリメイク版も是非観てみたい。
[DVD(字幕)] 7点(2018-11-12 21:24:40)
94.  くちづけ(1955) 《ネタバレ》 
石坂洋次郎の原作短編『霧の中の少女』は、ずっと以前学生時代に読んでました。だから今回は、大のご贔屓女優高峰秀子の挿話よりも、第二話が一番観たかった。イメージ通りの出来栄えにもう大満足です。長女役司葉子ももちろん適役だけれども、次女役の中原ひとみのクリクリした大きな瞳の輝きと、東北ズーズー弁(?)を自由自在に使いこなす愛らしさに、もう終始メロメロ(笑)時代劇メインの東映所属だった中原さんが、こういった形で他社の現代劇にどんどん起用されていたら代表作にもっと恵まれていたのでは・・・と、この映画での生き生きしている彼女を見ると惜しまれる。田舎のこまもの屋さんにあんな美しい姉妹がいるわけがない!などと、映画の夢を壊すようなことを考えては絶対にいけません(8点)第一話は、ラストの川原での長いシークエンスが全くの蛇足。主役お二人の演技も生硬すぎ。キャンパスで、笠智衆教授に挨拶したところで終わっていたら、もっとすっきり纏まった印象だったかも。(6点)真打ちとも言うべき、成瀬監督の第三話が演出といい、話しの運びといい、役者の使い方といい、最も手慣れた熟練の巧みの技を感じさせるが、何となく大作「浮雲」のあとの息抜きといった趣があり、それほど自分は興が乗らなかった。ラストの八千草薫の見返りに(まさにこれがホントの見返り美人!)場内を埋め尽くした熟年諸氏の方々から「ほおっ!!」という感嘆音が響きました。やっぱり八千草さんはこの年代の方々には特別な存在なんだなあと、改めての認識。幸せな気分で場内を後にしました(7点)好みの順番で言うと、断然第二話→第三話→ぐっと落ちて第一話。一番印象に残ったのはやっぱり中原ひとみ。平均してこの点数です。(←フィルムセンター「よみがえる日本映画東宝編」にて鑑賞)
[映画館(邦画)] 7点(2013-11-30 09:29:24)(良:1票)
95.  本日休診
先日惜しくも亡くなられましたが、この映画は若き日の三國連太郎さんの怪優っぷりを堪能する映画です。当時のイケメン代表格、鶴田浩二、佐田啓二お二人とも、この三國氏のどうにもこうにも枠に収まらないハチャメチャな悪達者ぶりに、影がまるで薄くなってしまっています。特に良い意味でアクのない端正な二枚目の佐田氏なんぞ、えっ、どこに出てたっけ?ってなくらい、まるで存在感ナシ。上記お二人のみならず、名バイブレイヤーの男優さん含め、居並ぶお綺麗な女優さんの存在までも、あの独特なマスクと濃ゆい演技で映画をかっさらってしまった感があります。いやあ、恐るべき役者さんだったんですねぇ・・・。ちなみに、自分が三國さんを意識したのは、これも先日亡くなられた夏八木勲さんと同じで、角川映画の、健さんを恫喝するシーンが怖い「野性の証明」や、太っちょ=「セーラー服と機関銃」あたりからでした。角川映画って当時ずいぶん叩かれてたけど、良い役者起用してたんだよなあ・・・。自分が小中学生の頃活躍していた役者がホントどんどん亡くなられていくっていうのは・・・やっぱなんか寂しいもんですよね。
[DVD(邦画)] 7点(2013-06-01 19:41:58)
96.  リオ・グランデの砦
フォード監督騎兵隊三部作の中ではこれが一番好きです。僕はジョン・ウェインと鉄火肌の「テクニカラー女優」モーリン・オハラのコンビが大好きなんです。てんで融通が効かない頑固無骨一点張りのウェインの奥さん役には、彼女くらいの華とじゃじゃ馬的気質がないとバランスがおかしくなったちゃうんですよ。確かラストあたりに、茶目っ気たっぷりな表情でオハラがパラソルをクルクル回してウェインを見つめるシーンがあったかと思うんですが、やけにそのシーンが突出して印象に残っています。でも騎兵隊ものっていうのは、やっぱり西部劇とはジャンルが基本的に異なるような気がするなあ・・・。
[ビデオ(字幕)] 7点(2012-11-21 23:50:22)
97.  狩人の夜 《ネタバレ》 
「情婦」「パラダイン夫人の恋」の名優チャールズ・ロートン氏唯一の監督作品。ストーリーそのものより、寓話というかおとぎ話的な展開が非常に斬新で面白かったです。子供たちがボートで川に流されていくシーン、追う馬上のミッチャム氏が歩を進めるのを納屋から眺めているシーンなんかは、通り一遍のサスペンスというより、ダークなメルヘンファンタジー的な味わいがあって忘れ難い。う~ん・・・ロートン氏、唯一の監督作にして心のどこかに引っ掛ってくる、不思議な映画をこしらえたもんですね。そう言えば、映画評論家川本三郎氏のエッセイで、ロートン氏は実はゲイだったっていうのを読んだ事があるんですが、この映画での主人公のあまりに露骨な女性憎悪は、それが理由だったんでしょうか・・・?
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-12 23:30:12)
98.  南国土佐を後にして
「銀座の恋の物語」と同じく、当時大ヒットした歌謡曲を基にして生まれた映画。「銀恋」は有名なので知っていましたが、「南国土佐を後にして」というペギー葉山さんが歌ってらしたという曲、自分はこの映画を見て初めて知りました。上映時間80分にも満たないプログラムピクチャーですが、後々の日活のドル箱シリーズとなった、旭&ルリ子コンビ「渡り鳥」「流れ者」シリーズのまさしく原型となった作品。私は裕次郎よりも断然アキラ派なので素直に楽しめました。四国土佐高知という地方都市を舞台にしているのに、なぜか不思議と泥臭くならないのは、スマートな日活という映画会社のカラーと、類まれなる非日常的雰囲気醸成スター旭&ルリ子を起用したおかげ。ストーリーは「チョイ悪旭くんの帰省就職受難記」。もし自分が当時青年期だったら、毎週日活封切館に足繁く通っていたと思いますね。無国籍だろうが荒唐無稽でバカバカしかろうが、同時期の他の会社の映画と比べて断然お洒落で役者がカッコいいんだもん。今となっては「日活時代の小林旭映画」の自体、本レビューの数の少なさから鑑みても、すっかり忘れ去られている状態かと思いますが、とりあえず「渡り鳥シリーズ」の三作目まで、オープニングがミュージカル風で洗練されている「東京の暴れん坊」、本レビュー未登録ですがシリアスな「女を忘れろ」という作品くらいは、映画ファンなら見ておいて損はしない作品かと思います。♪南国土佐を~後にして~♪←すっかりメロディラインは覚えてしまったわたくし。
[DVD(邦画)] 7点(2012-07-05 00:00:58)
99.  次郎物語(1955)
新東宝という映画会社がエログロ路線に入る直前にこしらえた児童名作文学の映画化。リメイクの87年作品のレビューでも書いたけれど、原作は私の小学校時代のバイブルとも言うべき愛読書。原作の雰囲気はこのモノクロ作品の方がより良く出ていると思う。「次郎物語」は私にとっても原作自体、もはやモノクロの中の世界。佐賀県の懐かしい田舎風景、没落していく旧家のたたずまい、子供たちの捉え方は戦前からの名匠清水宏監督ゆえ非常に巧み。ただ、字幕を使って時間の経過を示す方法はあまりに通り一遍すぎて、長大な原作のダイジェストという感は否めず。もう少々映画ならではのアレンジが欲しかった。リメイクは次郎が父親と木に登って歌うという原作にはない詩情溢れる良いシーンを創作していた。「北極星」にまつわる原作の中で、私が一番好きな会話も抜けていたのが残念。いかにも薄幸そうな実の母役花井蘭子、乳母役の望月優子のお二人はこれ以上の適役はいないのではないかとも思える絶妙さ。子供の頃「次郎物語」を読まれた方には是非おすすめ。リメイクも好きなので点数は同点です。
[ビデオ(邦画)] 7点(2012-06-13 10:10:36)
100.  早春(1956)
馴れっていうのは本当に怖いもので、何本か見ているうちに小津監督作品の本流っていうのは、豪華スター共演による「適度にユーモラスな笑いとペーソスを交えた適齢期の娘とその親父の物語」っていう固定観念がいつのまにやら私の中では出来上がっていたようです。その一つの完成型が「彼岸花」(10点)であったわけで。さてさて、この作品は倦怠期を迎えたサラリーマン夫婦の危機を描いています。戦後の小津監督のフィルモグラフィーの中では、明らかに傍流に当たるのかと思われますが、不倫という小津映画にしてはあるまじき事件が描かれていながらも、例によって例のごとくのこの監督のタッチゆえ、ドロドロした様子などほとんど微塵も感じられません。不思議。これがいわゆる小津芸術マジックなんでしょうか?↓どなたかも書かれていますがこの題材で成瀬監督ならどのように料理したのか想像してみると、より楽しいのかもしれません。主役三人それぞれがご自分の魅力を十分発揮していると思います。淡島さんのお母さん役の浦辺粂子さんが少ない出番ながらもやっぱり上手い。本日、淡島さんの訃報に接しました。この映画で夫の浮気に心揺らす女から、「夫婦善哉」(8点)でのひたすらダメ男に尽くす女、時代劇でも現代劇でもコメディでも、どんな役でもこなせる芸域の広い素敵な大人の女優さんでした。数年前「大停電の夜に」(7点)を観たとき、まだまだお元気に頑張って欲しいなあと思ったんですが・・・。残念です。またひとり昭和の偉大な名女優の方が逝かれました。ご冥福心よりお祈り致します。一ファンより。森繁さんはきっとあちらで、笑って出迎えているんでしょうね・・・。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-16 22:40:30)(良:2票)
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