81. ウォー・ダンス
《ネタバレ》 どんなに酷い状況でも音楽と踊りだけは人間から搾取できないという明確かつ強力なメッセージが心を打ちます。少年少女たちは体験談から考えるととても笑って演奏なんかできないんじゃないかと思えるのですが(自分を守った両親の生首を見せられた女の子の話が特に衝撃的だった)、彼らはダンスコンクール当日に精一杯笑って演奏する。しかも彼らは紛争の多い北部の出身というだけで白い眼で見られているにもかかわらずにです。やっぱり映画、踊り、音楽を含む芸術の力って素晴らしいものなんだなーとつくづく思えます。 [映画館(字幕)] 8点(2011-11-05 22:14:04) |
82. トゥモロー・ワールド
《ネタバレ》 これは傑作!アクション映画の場合、アクションシーンが凄くても、肝心のストーリーがお座なりだったりすることが多々あるのですが、本作はアクションもストーリーも完璧でした。まず突然の暴徒の襲撃から逃げるカーチェイスと終盤の市街戦での長回しが凄すぎます。ドキュメンタリーを超えるような臨場感で本当に戦場に放り込まれたような錯覚に陥って頭がクラクラ。とにかく強烈なアクションシーンの連続にテンションはほぼ常にメーターを振り切ってました。ストーリーも素晴らしく、単純に「子どもが生まれる」ということが如何に奇跡的なことなのかということを再認識させられた気がします。戦場で赤ん坊を見て、つい殺し合っていることを忘れてしまう兵士たち。しかし現実では紛争地域の5歳未満の子どもの死亡率は25%超、1年間で20万人の子どもが戦場で命を落としている。この前(12年11月)のイスラエルによるガザ地区への爆撃ではパレスチナ側30人以上の子どもが犠牲になった。イスラエル側も1人の子どもが命を落としている。この映画のジャンルはSFですが、描かれていることは紛れもなく今現在の事実です。誰もが子どもを守ることが大切なことなんて本当は分かってる。できればその感情を忘れないようにしたいもんです。しっかしクライヴ・オーウェンは「シューテム・アップ」でも赤ん坊を守る男を演じてましたけど、なんでこんなに方向性というかノリが違う仕上がりになるんだか、謎です。 [DVD(字幕)] 10点(2011-11-05 18:40:30) |
83. ふたりの男とひとりの女
《ネタバレ》 随所に笑いが挿入される作りになっているお陰で飽きは無いのですが、観た後に何かが残る様な作品では無かった気がします。典型的なアメリカおバカコメディといった感じで、軽く適当に観るにはいいですね。点数の殆どはジム・キャリーの天才的なスラップスティック演技と息子三人のナイスガイっ振りです。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-23 08:50:14)(良:1票) |
84. ファインディング・ニモ
《ネタバレ》 オヤジと子どもの成長を同時進行に描くという離れ業を見事に見せつけられた気がします。キャラクターの愛らしさはピクサーで一番好きですかねー。ドリーを見て最初は「なんだこのイカれた魚は」と思っていたのが、終盤には愛すべき登場人物となっている辺に脚本の妙を感じます。あと個人的にこの映画はピクサー映画の中でも小ネタに凝っていて好きですねー。ヒッチコックの「サイコ」「鳥」のオマージュや、スパイ映画さながらの水槽からの脱出劇、AA(アルコホーリクス・アノニマス)みたいな鮫達の会合なんかは腹抱えて笑いました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-10 23:33:03) |
85. ふたりにクギづけ
《ネタバレ》 個人的にファレリ兄弟の映画に外れが無い。私が彼らのフィルモグラフィーを通して好きな点は、社会的マイノリティーをネタにしつつも彼らの尊厳を描く姿勢なのですが、本作もしっかりその要素が組み込まれていて大満足。それにしてもシェールの体当たり自虐ネタには笑わせてもらいました。この人昔アカデミー賞獲ってたんですねぇ。確かに最近は余りパッとしない印象ですが 笑。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-10 14:53:53) |
86. 愛しのローズマリー
《ネタバレ》 くだらないコメディかと思いきや、キチンと笑えて最後には感動させるところが、いつものファレリ兄弟。本作は美しさと醜さについてですね。ややローズマリーが痩せること、つまり自分の見た目を良くしようと全く思っていない点が気になりましたが、それに目をつぶれば上質なラブ・コメディだと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-08 23:49:53) |
87. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 これは弱き者の為の映画です。古今東西の虐殺を描いた映画は山ほどありますが、この映画は被害者と加害者の狭間の人間の心理を抉り出している。「虐殺はいけないこと」です。そんなことは考えれば誰でも分かる。問題は虐殺が起こってしまった時、そこで人間として正しい選択、この映画の主人公と同じ行動を取れるかということ。こういう状況で隣人に手を差し伸べる事の重要さ。同じテーマを扱った映画としては「シンドラーのリスト」以来の傑作だと感じます。キング牧師の『最大の悲劇は、悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である。』という言葉がこの映画の全てでしょう。 [DVD(字幕)] 9点(2011-09-18 20:30:40) |
88. オールド・ボーイ(2003)
《ネタバレ》 それまでの暴力描写の衝撃などすっ飛んでしまうような、エヴァーグリーンの監禁の真意。もう人が考えられ得る中で最悪の状況の一つですよね、実は娘と愛し合っていたなんて。殆ど気が触れてしまった様な、チェ・ミンシクの怪物演技は言わずもがな。やや場面展開の仕方が変に凝っていて自分好みでなかったので点数を下げていますが、そんな一般的な好き嫌いを抜いたら間違いなく完璧だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-21 17:52:03)(良:1票) |
89. プラネット・テラー in グラインドハウス
《ネタバレ》 タランティーノのダブル目串刺しには大爆笑しました。ロドリゲスは「サンゲリア」が好きなんでしょうね。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-17 02:08:37) |
90. コララインとボタンの魔女
《ネタバレ》 子ども向け映画らしく、ストーリーは古典的。悪く言えば捻りが無いお話です。その代りに美術で魅せる映画といったところでしょうか。前評判通り映像は素晴らしく、特に楽しかった別の世界で、魔女が姿を現し、地獄巡りが始まる様は、圧巻の一言です。あれだけ美しかったものが、突如としておぞましいものへと変貌する。子ども向け映画ですが、子どもが観たら泣いちゃうんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2011-07-18 14:27:13) |
91. ブタがいた教室
《ネタバレ》 脚本に良い点と悪い点が混在していると強く感じました。良い点は子どもの表情や言動が非常に”それ”っぽいこと。食に対して議論する子どもたちのたどたどしいのだけれど、自分の意見を真剣に伝えようとする表情が印象に残ります。そしてキャラクターの立て方も上手い。大して一人ひとりがクローズアップされている訳ではないのに、いつの間にか個々に個性が生まれている。だからこそ生徒たちの食に対する迷いも強く伝わってきました。悪い点はPちゃんを「食べる」か「食べない」か、という二元論に終始していること。広く知られている通り、今の世界では食に対する態度は多岐にわたっています。それも子どもに伝えなければ真の食育とは言えないと思います。それから余談になりますが、音楽の使い方が極めて不愉快。悲しいシーンではノスタルジックなピアノの音楽をひたすら流す。音楽で無理やり感動させようとする演出は大嫌い。 [地上波(邦画)] 5点(2011-07-16 16:45:25) |
92. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
なんというか一番苦手なタイプのスピンオフ作品。シリーズで人気のウルヴァリンを取り敢えず主役にして、あとは適当なヴィランをでっちあげ、最後にこれまでのキャラをそれとなく登場させるっていう流れ。柳の下のどじょうをすくおうとしたのがバレバレで、正直詰まらなかったです。問題は色々あるのですが、そもそもウルヴァリンという孤独を背負った男を通して何を観客に伝えたかったのか?それが全く見えてこなかった。単に私の読解力不足なのかも……。 [DVD(吹替)] 5点(2011-06-19 12:08:04) |
93. トータル・フィアーズ
《ネタバレ》 スパイアクション物としては王道かつ最大規模のストーリー。アメリカ対ロシアの全面戦争の契機として実際に原爆が爆発してしまうという展開は、マクガフィンと思っていたものが実際に発動してしまうという驚きがありました。でも爆心地で何の装備も無しに駆け回っていた主人公が最後にもピンピンしているのは、余りにも納得がいかないと言いますか、昔から核の恐怖・影響について教育されている日本人からすると「なんだかな~」と首をかしげてしまいました。中盤までのギャグの内容がストーリー運びに直結している演出は上手いなと思います。お陰で全体的にダレてはいなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2011-06-05 11:32:32) |
94. ランド・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 定番のプロットながら結構楽しめます。腐った世の中で這い上がろうとするチョロの物語がグッときました。 [映画館(字幕)] 6点(2011-05-27 00:57:34) |
95. 築地魚河岸三代目
《ネタバレ》 ベッタベタな演出とストーリー、上手い演技とは間違えても言えない役者陣、大したメッセージ性の無いエンディング等々がずっと続きますが、プログラムピクチャーを制作する姿勢としては間違えてないと思える出来でした。問題はストーリーの詰まらなさでしょうかねー。私としては序盤に主人公が築地の人間からよそ者扱いされて、挙句の果てに先輩社員の奥さんの為に新鮮な魚を届けたいという思いさえ踏みにじられてしまう。この不当な仕打ちに対する主人公の答えこそ!私がこの映画を観ていて一番興味を惹くところだったのに、この映画はその問題を普通にスルーしてしまう。これじゃ面白くなる訳ないと思ったのでした。結婚話なんて2以降でやればいいじゃん!……と思ったら次回作は公開未定なんですね。ガックシ。 [地上波(邦画)] 4点(2011-03-25 23:42:46) |
96. スライム<TVM>
《ネタバレ》 人の深層心理に潜む恐怖を具現化するモンスターパニック……ってどっかで観たことある様な映画でした。しかも全ての演出が超チープで、途中からどうしてそんな状況になっているのか分からずにパニックになってしまいました。そもそも軟体生物が暴れまわる映画を想像していたのでガッカリです。 [DVD(字幕)] 2点(2011-03-21 16:01:17) |
97. レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
《ネタバレ》 それなりに楽しめるのですが、画面に目が釘付けになる程では無い。何でだろうな~と鑑賞後に漠然と考えていたのですが、殆どワンサイドゲームな展開だからなのかなと思いました。基本的に周瑜と諸葛孔明に翻弄される曹操という図式からは外れないので、観ていてワクワクしなかったのかなと。曹操の成功した作戦と言えば疫病で死んだ死体を敵陣に流しただけ(しかも大して効果は無かったぽい)ですからねー。知将と知将の闘いが描き辛い事は重々承知していますが、出来ればチャレンジしてほしかったです。でも原作があるから無理ですかね。あと尚香がらみのシーンが余りにもお粗末なのですが……。ジョン・ウーってこんな陳腐な演出してましたっけ? [地上波(吹替)] 5点(2011-03-18 20:08:27) |
98. 劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇
紅蓮篇と比べると非常に見易く、分かり易くなっていたと思います。端折れるシーンはキチンと端折っているお陰で、前篇に多くみられたダイジェストで解説する必要が無くなったんでしょうか。しかも30分毎に何かしらの燃える展開が起きるので、観ていて飽きることは余り無いでしょう(起きることは同じですけどね、ピンチ→巨大化→ピンチ)。それにしてもロージェノムとアンチスパイラルって何でも知ってるんですね。劇中で彼らが「……という結果は当然のこと」と説明すると、「……ああ、うん。そうなんだ」としか言えませんね。 [DVD(邦画)] 5点(2011-03-17 11:35:12) |
99. ディノクロコ
由緒正しきB級映画。ワニというよりゴジラの出来損ないのような見かけのモンスターなのも御愛嬌。というか2004年の映画と知った時が、この映画で一番の驚きでした。安っぽいな~。 [DVD(字幕)] 5点(2011-03-15 23:24:55) |
100. ヘイヴン 堕ちた楽園
監督が脚本も兼任しているので、パルプ・フィクション以後のことをやりたいのはハッキリしているのでしょうが、最終的に作品として大して面白くないのが玉にキズでしょうか。元々はスラップスティック・コメディと相性がいい題材に悲恋という要素を突っ込んだアイデアは面白いと思うのですが……。これ見よがしな撮影・編集テクニックも無かった方が良い様な気がします。でも初監督らしいのに、有名俳優を使ってやりたいことをしている姿勢は好きですね。 [DVD(字幕)] 5点(2011-03-15 01:00:38) |