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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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81.  雷電(1959) 《ネタバレ》 
江戸時代に実在した伝説の最強力士、雷電為右衛門の青春時代を描いた尾崎士郎の新聞連載小説の映画化です。本編はその前編で『続 雷電』と合わせて一本の映画と考えてよく、二本合わせると上映時間2時間40分という新東宝にしては珍しい大作であります。 その雷電為右衛門を演じるのは宇津井健で、この頃の彼はけっこう筋肉質のガタイなのでこの役にはピッタリのキャスティングでしょう。映画はいきなり浅間山の大噴火で始まり、その騒ぎの中で太郎吉(宇津井健)と薄幸の娘おきんが知りあうのですが、この噴火シーンは新東宝としてはかなり頑張った映像かと思います。信州の貧しい農家に生まれた太郎吉がおきんと夫婦の誓いを交わすけど運命に引き離され、太郎吉は相撲部屋で力士の修行おきんは老中本多中務大輔の屋敷で腰元をしているところを江戸で再会する。宇津井健はヘタな演技がかえって朴訥で田舎ものである太郎吉のキャラにピッタリで、なかなかの好演と言えます。でもこいつが怪力無双のくせにかなり優柔不断な奴で、相撲を止めて実家に帰ったり出世するまでおきんと逢わないと誓ってもすぐぐらついてしまうんです。おきんも運命に翻弄される可哀想な娘なんだけど、彼女に災難が襲ってくるたびに太郎吉の足を引っ張っている感じでイライラさせられます。そういうわけでなかなか話しが進行せず、ふたりが心中しようとまで追いつめられたところで前編は終了。 でも監督が中川信夫だけあって、そこそこ良く撮れています。彼が得意とする引きのカメラを多用した映像は堪能できますし、おきん役の北沢典子も良い演技でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2015-03-21 19:23:28)
82.  白線秘密地帯 《ネタバレ》 
新東宝で“海女もの”と並んで異彩を放っている“地帯(ライン)シリーズ”の栄えある(?)第一作であります。製作された昭和33年は売春防止法が施行された年で、その売防法の裏をかく売春組織を描くのが“ライン・シリーズ”の共通したプロットです。そのテーマからすると、同年に撮られている『女体桟橋』が起源という説も有りますが、まあはっきり言ってどうでもイイことでしょう。 トルコ風呂なんて懐かしい代物が最新の風俗業と言うことで時代を感じさせてくれますが、こと色の道になりますと古来より日本人は才能を発揮してきたんだなと素直に感心いたします。主人公の刑事は宇津井健、彼にほとんど芝居をさせずに犬のように売春組織を追いつめてゆく姿を市街ロケを多用してドキュメンタリー・タッチで描いています。そして特筆すべきはこの映画こそ菅原文太の映画デビュー作なんです。役は大友純の子分のチンピラギャングでセリフもほとんどないんですが、これは確かに文太です。 ここでどうしても触れておきたいのは、私が観たのはオリジナルの71分が13分もカットされたバージョンだったことです。つまり上映時間にして2割は短いということで、正直言って観てて筋を追うのがやっとという感じでした。1シーンで5カットあったところを3カットに短縮してる様なものですが、ローアングルを多用した意欲的なカメラワークなのでちょっと残念です。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-03-07 23:30:14)
83.  紅の翼(1954) 《ネタバレ》 
なんでもシネマスコープで撮られた初の航空映画なんだそうです。監督は第一回オスカー作品賞をゲットした空戦映画『つばさ』を撮ったウィリアム・A・ウェルマンですからもう適役です。内容は元祖『大空港』にして空飛ぶ『グランド・ホテル』と言えるでしょう。ホノルルからサンフランシスコに飛ぶ旅客機に乗っている17人の乗客と5人の搭乗員にほぼ限定したストーリーなので、『グランド・ホテル』形式のストーリー・テリングには持って来いなわけです。冒頭で空港のカウンターで職員がチェックインする乗客たちの素性をスチュワーデスに詳しく解説してあげるところは、もう『グランド・ホテル』形式そのものですね。スチュワーデスに「あなたはなんでそんなにゴシップに詳しいの?」と聞かれて「前職はホテルマンだったからさ」と答えるところは爆笑でした。これはもう脚本家が“『グランド・ホテル』のパクリです”と舌を出している様なものですからねえ。乗客たち個々のエピソードの方は、各キャラの描きわけが明確ではないところが残念でした。 時代なので旅客機はレトロな四発プロペラ機です。与圧もされていないので飛行中にドアを少し開けて重量物を投棄するなんて、現代のジェット旅客機では絶対あり得ないこともできたりします。事故と言ってもエンジンが一基破裂するだけで航空スペクタルとしては物足りないですね。夜間の海上を飛行するところはかなりチャチなミニチュア撮影ですが、『ゴジラ』と同年の製作だと思えばまあ仕方ないですかね。ジョン・ウェインは心に傷を負った初老の副操縦士で、ちょっとしょぼくれたところがいつもの彼とは違ったヒーロー像です。彼がいつも口笛で吹くテーマ・ソングはけっこうポピュラーになっていて、メロディーを聞いたことある人は多いと思います。でも口笛を吹くジョン・ウェインと言うのは、あまり様になっていませんでしたね。 本作は主演をハンフリー・ボガートにする構想だったのが頓挫し(確かにボギーだったら口笛が似合うキャラクターですよね)、製作者だったジョン・ウェインが出演することになったそうです。でも航空映画なのでジェームズ・スチュアートを主演に持ってきたら良かったのにと思うんですが、いかがでしょうか。 今ではすっかり忘れ去られてますが、民間航空パニック映画というジャンルへの道を拓いた恐竜進化における始祖鳥みたいな重要性を持つ作品だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-02-25 00:22:22)
84.  現金に体を張れ 《ネタバレ》 
キューブリックという映画作家が撮った映画は13本ありますがどれもジャンルはバラバラで、その中で犯罪ミステリーはこの一本です。中期以降のキューブリックでは考えられないナレーションの多用がこの映画の特徴のひとつですが、そのナレーション自体はキューブリックらしい乾いて即物的なもので、このナレーションを使ったストーリー・テリングは、ロジャー・コーマンが『聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ』で真似してますね。登場人物の視点を変え時系列もいじくる手法も一緒で、『マシンガン・シティ』は本作のオマージュと言っても良いかもしれません。 出ている俳優たちもスターリング・ヘイドンはじめひと癖ありそうな顔つきばかり、おまけにフィルム・ノアールの悪女と言えばこの人しかいないマリー・ウィンザーまで出ているんですから、さすがキューブリックは良く判ってらっしゃる。カネを横取りしようとする一味の中にジョセフ・ターケルがチョイ役で出てます。彼はこの後『突撃』『シャイニング』にも出演しているんですが、実はキューブリック映画に三作品も出演したのは彼だけなんです。『シャイニング』のバーテンダーでは強烈な印象を残していますが、彼こそがキューブリックのお気に入りだったみたいですね。 競馬場のレースのシークエンスも徹底してドキュメンタリー・タッチで撮っているので緊迫感ありますね。有名なラスト・シーンを含め、小品ながら後世の犯罪映画に与えた影響は大きいと言えるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-02-04 22:04:10)
85.  吸血鬼ドラキュラ 《ネタバレ》 
40年以上前に初めてTV放映で観たときは怖さに震え上がったものでしたが、“現実世界にはドラキュラより恐ろしいものが沢山ある”という分別と経験を積んだ現在の眼で鑑賞するとどんな感じなんでしょうか。 これが思っていた以上に色あせていないんですよ、この映画は。良く観ると独自の脚色がありますね。まずジョナサン・ハーカーが吸血鬼ハンターの一員としてドラキュラ城に単身乗り込んでくることで、しかも序盤であっさりドラキュラの餌食になってしまい、そして婚約者までも同じ運命に。舞台設定もロンドンがオーストリアかドイツの某都市に変わっていますし、ヴァン・ヘルシングの解説では「ドラキュラがコウモリや狼に変身するという話はウソ」と言うことになってこれも原作と違っています。船で英仏海峡を渡るシーンや変身の特殊メイクが必要無くなるので、まあこれは予算節約ということでしょう。その分展開がとてもスピィーディーで、ヒーローとヒロインがいなくなった分、ドラキュラとヴァン・ヘルシングのガチンコ対決のキレ味が鋭くなっていると言えます。 “吸血行為はセックスのメタファーである”と言うのは定説ですけど、クリストファー・リーのドラキュラはその品格と発するフェロモンでこの説を雄弁に証明してくれています。また吸われる女優たちが色っぽく、ほんとハマー映画の熟女優たちはレベルが高いですね。 やはり本作がハマー・フィルムの最高傑作なんだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-26 20:27:04)
86.  初春狸御殿 《ネタバレ》 
いわゆる「狸もの」と呼ばれるジャンルがかつて邦画で隆盛を極めたということは知っていましたが、今回その「狸もの」を初鑑賞させて頂きました。監督の木村恵吾という人は「狸もの」の創案者で戦前から「狸もの」を撮っていて、本作がシリーズ初のカラー作品なんだそうです。 もう何本も撮られてきたので観客には周知している様なお約束ごとがあるみたいで、マキノ正博の『鴛鴦歌合戦』のような奔放な荒唐無稽さとは違った様式化された破天荒さが感じられます。なんせ何かあるたびに「さあ、狸祭りだ」と豪華絢爛な民謡ショーになっちゃうんですからね。それにしても、高倉健もそうでしたけど昔の映画スターの歌唱力はハイレベルですよね、でも鴈治郎の歌だけは放送事故級のひどさでしたけど(笑)。なぜか勝新が出てくると必ず登場するカッパ娘、実ははじめは自分にはカッパだと判らなかったのですが(だって頭にお皿が載ってないもん)、この二人のゆるーい踊りにはツボを刺激されました。 雷蔵と若尾文子の絡みも衣装を換えまくって見せてくれ豪華絢爛の一語です。エアー羽子板やらいろいろ優雅な舞いを見せてくれて、さすが雷蔵・若尾コンビです。でも梨園出身の雷蔵に言わせると、若尾の踊りは「なんかデンマーク体操やってるみたい」なんだそうです(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-01-19 20:14:59)
87.  影法師捕物帖(1959) 《ネタバレ》 
ご存知アラカンこと嵐寛寿郎の主演300本記念映画なんだそうです。300本も映画で主演するなんて現在ではとうてい考えられない偉業ですが、後年『神々の深き欲望』に出たとき今村昌平に「あなたは主演ばかりしてきたから人の顔をみて喋らない、自分のアップばかり考えてる」とこき下ろされたこともあったそうです。その酷評に「なるほど」と納得して演技に開眼したというから、アラカンという俳優は偉大です。 さてこの影法師は戦前から映画化されていたキャラみたいで、田沼意次の時代の鞍馬天狗みたいな義賊と説明すると判り易いでしょう。実際、色こそ派手ですが衣装は鞍馬天狗とほぼ同一で、孤児の少年を可愛がるというところも同じです。それにしても、まゆ毛のあたりから顎まで露出している頭巾がなんで覆面なんでしょうかね、顔もろバレじゃないですか。むかしから疑問なんです。 監督は新東宝唯一の巨匠(?)中川信夫です。記念大作と言ってもフォーマットが決まっているチャンバラ映画ですから、そりゃセオリー通りサクサクと観れます。室内での殺陣でカメラをグルグル回転させて撮ったり障子に映る影を強調させたりするところは、いかにも中川信夫らしさが出ています。新東宝の時代劇を観るといつも思うんですけど、現代劇の映画に比べるとセットや美術が格段に豪華なんですよね。同時期の東映チャンバラ映画にも引けを取らないんじゃないかな。 黒澤明が創造した斬撃音になれてしまっているので、どうしても50年代以前のチャンバラ映画には物足りなさを感じてしまうんですよね。でもアラカンの殺陣は実に華麗であることは確かです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-12-25 23:54:16)
88.  戦艦シュペー号の最後 《ネタバレ》 
同じ英独の海戦をとりあげていても『ビスマルク号を撃沈せよ!』の様な悲壮感や滅びの美学といった要素は薄いですね。海戦が始まると英国側の視点だけになってしまうところはちょっと考えものです。予算や尺の関係かもしれませんね。 でもこの映画の凄いところは、4隻の英国とニュージーランドの巡洋艦のうち2隻は実際にラプラタ沖海戦に参加している実物で、他の2隻も艦形が良く似た準同型艦を使って撮影していることでしょうね。海戦映画は数あれど、その海戦に実際に参加した艦が出てくる映画って他にないんじゃないでしょうか。対するシュペー号は、もちろん現物は海の底なのでしょうがないですけど、米海軍の重巡セ―レムが演じていますがこれが全然シュペー号に似てない。セ―レムは重巡なのにポケット戦艦であるシュペーより大きいんですから困ったものです。ポケット戦艦という艦種は、巡洋艦より強武装だけど戦艦には太刀打ちできないというベルサイユ条約の制限下で建造されたドイツ独特の艦なので、艦隊戦をするには弱すぎて海賊みたいに行動して通商破壊戦をするのが精いっぱいだったんです。 この戦が第二次世界大戦での英独の初戦になるわけですが、双方とも正々堂々と戦ったというのがよく判ると思います。それが大戦が終わるころには互いに国際法を無視した壮絶な殺し合いになっていたというのは、実に皮肉なことです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-12-22 20:46:11)
89.  リオ・ブラボー
「あなたが好きな西部劇映画はなんですか?」と聞かれたら、過半数の人が本作を選ぶだろうと思われる定番中の定番。それまでのウェスタンの概念を変えた画期的な一篇、なんてことではもちろんありませんが安心して愉しめる娯楽映画の金字塔です。ハワード・ホークスの手腕は当時円熟の域に到達しており、“男の友情”“ロマンス”“敵との駆け引き”という要素のバランスが取れていて心地よい。ジョン・ウェインはもうジョン・ウェイン以外の何ものでもないという堂々たる演技、対照的にそれまで洒落者キャラが多かったディーン・マーティンが人生のどん底まで落ちた男の哀愁を見せてくれる。そこに痺れるぐらいクールなリッキ-・ネルソンが加わるんだから、これはもうキャスティングの妙としか言いようがない。 『恋の手ほどき』がMGMミュージカルの掉尾を飾ったのと同じ様に、1年遅れて撮られた本作が50年代にピークを迎えた西部劇の到達点である事は間違いない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-11 20:49:19)(良:1票)
90.  スター毒殺事件 《ネタバレ》 
嫉妬に狂って恋人と恋敵を毒殺する映画スター、ある意味これは天知茂にうってつけの役柄と言えるでしょう。序盤では万里昌代とデレデレしたラブコメまがいの芝居を見せてくれますが、この存在感が薄い妙なキャラから後半の嫉妬に悶え苦しむいつもの天知茂キャラへの変貌ぶりは、無茶な撮り方してますがそれに答える様に彼も精一杯の演技で奮闘してます。映画スターとあろうお人が、すれっからしに騙された純情サラリーマンみたいに一人の女に入れ込むというのも不自然ではあります。そして天知が自分に毒を盛ったと確信してるのに、まるで殺されに行くように天知の部屋にやってくる万里昌代、お前の行動はアホすぎるぞ。まあそれを言ったら、映画スターが拳銃を持ってるということの方がもっと不自然ですね。その無茶を押し通すのが新東宝の新東宝たる所以なのでございます。 撮影所が舞台なので新東宝の撮影所をそのままロケに使っています。その撮影所の俳優やスタッフということで、新東宝の俳優や女優が大挙カメオ出演してますが、しょせん新東宝ですから有難味はありません。なぜか古川緑波が出てたのだけは印象に残りました。劇中で万里昌代が演じる女優を「東洋のソフィア・ローレン」と称していましたが、彼女の顔と肢体からなるほどと思わされました。そのころ新東宝はそうやって彼女を売りだしていたんでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2014-09-09 22:01:31)
91.  殺人容疑者 《ネタバレ》 
全篇野外ロケで撮影されたセミドキュメンタリー風犯罪映画として知る人ぞ知る映画なんですが、実際観てみると脚本にはかなり?なところがありました。 まず事件は①渋谷でサラリーマンが殺される②被害者が直前まで飲んでいた店の女将を刑事が訪ねると、女将は同じ手口で刺殺されていた③その女将と一夜を共にしていたお役人を割り出すけどそいつは無関係④女将の指輪を質入れしたチンピラを逮捕するがなかなか自白しない、そのうえミスで保釈してしまう⑤そのチンピラは他の強盗殺人事件の口封じのため、親分の丹波哲郎たちに殺される⑥丹波一味は指名手配されて銃撃戦のすえに逮捕される まあこういう展開なんですが、女将を殺したのは結局誰だったんだよと言いたいし、最初の渋谷の殺人事件はどっかに消えてしまってるんです。 と、シナリオはかなりメタメタですが鬼才鈴木英夫が監督なので映像はリアルな迫力です。拳銃や手錠は警察から借りた本物を使ってるそうです。丹波哲郎と土屋嘉男はこれが映画デビューで、二人とも痩せて精悍で丹波なんか後年の手抜き演技から想像できない好演でした。こういう古い映画は当時の風俗の研究資料として眺めるとまた違った面白さがあります。渋谷や銀座でもちょっと裏にまわると舗装されていない泥道なんですよね。車はみな外車ですが、タクシーなんか1934年型のダッジというポンコツを使ってるんです。ほんと日本はまだ貧しかったんだなと納得するのは警察署のボロボロなところで、会議室もなく道場みたいなところでみんな胡坐をかいて捜査会議をしてるんですから。 でもいちばん驚いたのは、伝説のストリッパーであるジプシー・ローズが出演していることです。2カットで十数秒ぐらいですが衣装つけてのセクシー・ダンスを見せてくれます。彼女の全盛期ですがこの時彼女は17歳!、なんと15歳でデビューしたそうですから児童福祉法なんて完全に無視ですよ。ジプシー・ローズが映画に出たことがあったなんて知りませんでしたが、これはある意味貴重な映像だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-09-05 00:32:51)
92.  憲兵とバラバラ死美人 《ネタバレ》 
タイトルは新東宝エログロ映画の中でも1・2を争うインパクトですけど、これが観てみると“フーダニット”を真面目に追求したミステリーになっているんです。そして特筆すべきことは、憲兵がヒーローで正義の味方というプロットは数ある日本映画の中でも本作が唯一なんじゃないでしょうか。戦後日本では東条英機の憲兵政治のおかげで“憲兵=ゲシュタポ”という図式が定着してますが、憲兵は本来は軍隊内の警察なのでこういう兵士の犯罪捜査が普段の業務だったはずです。原作者はどうも元憲兵だったそうで、どうりで憲兵組織の描写がリアルに感じるわけです。 監督が時代劇畑の人なのでストーリー進行が多少もっさりしてまるで戦前の映画を観てる様な感じですが、猟奇的なところやロマンスの部分などとのバランスが良くて手堅い手腕です。DNA鑑定が当たり前に行われている現代から見ると胴体と頭蓋骨があるのになんでこんなに身元確定に手こずるんだろうとイラつきますが、主人公が歯の治療跡から身元を特定させるまでのプロセスはなかなか良く撮れてます。 物資を横流ししてただけなのに殺人容疑をかけられて拷問されまくる天地茂はちょっと哀れでした。でもこの映画でいちばんグロかったところはバラバラ死美人じゃなくて、強烈な屍臭がする井戸水で炊いたご飯を新兵たちが無理矢理喰わされるところです。これは観ててきつかった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-09-02 22:58:27)
93.  北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 
まさしくこれはヒッチコック版“P.T.A.(Planes, Trains & Automobiles)”と呼ぶに相応しい乗り物づくしのサスペンスです。ヒッチコック御大はけっこう動くものがお好きみたいで、中でも列車は「またかよ」と言いたいぐらい使いますね。御大お得意の巻き込まれサスペンスですが、やはりその中でも本作がいちばん有名です。ジョージ・カプランなる人物がCIAの架空スパイだという設定がなかなか秀逸、でもジェームズ・メイスン以下の悪の組織があまりにおバカなのはどうにかなりませんかね。『北北西』という題名もかなり謎めいているというか意味不明で、空港のシーンでノースウェスト航空機が映るので、「ノースウェスト航空に乗って北に行こう!」というシャレというかタイアップなのかと真剣に思いましたよ。 ケイリー・グラントとエヴァ・マリー・セイントという組み合わせは、ジェームズ・スチュアートとグレース・ケリーのカップルと比べると、何と言うかセックスの匂いが濃厚な感じがします。なんせラストショットは、ヒッチコック御大自ら「わたしが撮った映画のなかでもいちばんわいせつなショットだ」と告白しているぐらいですからね(実は列車がトンネルの中に入ってゆくショットです)。でもこの二人、結婚しても絶対長続きしませんよ、あんなマザコン男じゃね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-09-01 20:58:55)
94.  くちづけ(1957) 《ネタバレ》 
これが増村保造の初監督なんだけど、これがほんとに増村保造の撮った映画かと思うくらい瑞々しいタッチの作風なんですね。大人になりきれない子供といった感じの川口浩のキャラがまた良いんです。若いころの彼はセリフ回しに独特の歯切れの良さがあって、とくに増村作品でその傾向が顕著。これは増村監督の演出手腕の賜物と言えるかもしれません。川口浩が演じる大学生の、なんというか焦りに急かされている様な心情は良く判る気がします。野添ひとみも初々しくってイイなあ、じっとりしそうな役柄なんだけど、そこをあっけらかんとした明るさを前面に出して乗り切っています。そして、彼女が歌うちょっとレトロなんだけど情感たっぷりの主題歌がとても印象的なんです。 実は川口浩が川口松太郎の息子だと今回初めて知った次第ですが、母親の三益愛子まで共演していて“川口ファミリー劇場”みたいな様相です。川口浩は映画界で活躍したのはわずか五年余り、その後はご存知TV『川口探検隊』の人となってしまったのは有名ですが、個人的には同時代の裕次郎なんかより引かれます。演技力は川口の方が上だったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-28 21:34:48)(良:2票)
95.  攻撃 《ネタバレ》 
製作されてから60年近く経っているのですが、このジャック・パランスの死にざまを超える映像は未だにスクリーンに登場していないんじゃないでしょうか、まさに顔芸の極致です。大映のスタッフは、このコスタ中尉の死顔を参考にしてあの大魔神の表情を造形したのかもしれません(笑)。 これ観るたびに私は感じるんですけど、どうも最後のウッドラフ中尉の行動が物語から浮いている様な気がするんです。リー・マーヴィンが上手く立ち回って丸く収まるという終わり方の方が皮肉が効いていて良いと思うんですけどね。それじゃああまりに反軍的だということで、天の声がかかったのかもしれません。この映画が撮られたのは朝鮮戦争が終わったばっかりでベトナム戦争なんてまだ影も形もなかった頃ですから、これだけ軍隊内の恥部をさらしただけでも意義は十分にあったことは確かです。 そして私が好きなのはエディ・アルバートの卑劣漢ぶり、アルドリッチの映画に出てくる彼はいつもこんなキャラですけどね。アルドリッチ映画の華は卑劣漢キャラです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-04 21:22:24)
96.  怪獣王ゴジラ 《ネタバレ》 
実はゴジラ出現と東京の惨状を傍観(?)して死にかけたアメリカ人記者がいたんです、という風にレイモンド・バーを無理矢理ねじ込んだ全米公開版ゴジラです。いきなり瓦礫に埋もれて血を流すレイモンド・バーが映されるところから始まり、山根恵美子がボランティアをしている病院に彼は搬送されます。この後バーは記者会見場や国会の委員会場などに背後霊の様に出現してゆくのですが、思ったより違和感がない繋ぎ方かと思いました。このアメリカ人、恵美子や山根博士と芹沢博士とは旧知の間柄という設定なのがかなり強引で、彼らと会話するシーンではミエミエの代役を肩越しに撮って、そこまでして頑張る必要があったのかはあえて考えないようにしましょう(苦笑)。でもこの三人には英語の吹き替えまでしているのに、可哀そうなのは宝田明でこのアメリカ公開版では無視同然の扱いをされちゃってるんです(笑)。彼の出演シーンが一番多くカットされてるし、まるで端役扱いでした。 とにかく一番笑わしてくれるのが大戸島のシーンで、バーの横に立つ島民(というか怪しげなアジア人)の着てる半被らしきものに何やらカタカナが書いてあるんです。良く見るとそれは「ルシイル」という文字でした(爆笑)。バーたちが大戸島に一泊するのがテントというのも脱力ものシーンですが、実際の『ゴジラ』の準備稿にも山根博士たちがテントで一夜を過ごすというシーンがあったそうで、笑っちゃったら失礼に当たるかも。でもレイモンド・バーがバーチャルな存在のくせに「エミコ、エミコ」となれなれしく呼ぶのだけは許せないなあ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2014-07-27 17:50:29)
97.  怒涛の兄弟 《ネタバレ》 
邦画では時代劇の流れを汲んで公儀やお上(今で言うところの国家権力)をヒーローとするドラマツルギーが存在しますが、それにしても公安調査庁の課長が主人公という設定はかなりの珍品です。公安調査庁の課長(中山昭二)には大学生の弟(松本朝夫)がいて、こいつが左翼思想にかぶれて秘密結社(たぶん共産党)の一員となります。この組織、活動資金を稼ぐために会社まで創って密輸に励みます。その社長の悪事が秘密結社のボスにばれ、指令を受けた弟は社長を射殺して裁判にかけられますが、最後は母親の愛によって魂は救われるという、いわば任侠時代劇によくある母子ものをそのまま現代に持ってきただけの古臭いお話しです。だいたい法廷で「裁判長様、私の話を聞いてください」と傍聴席の母親が不規則発言をして、それがそのまま証拠として採用されるなんて、この脚本書いた人世の中の仕組みが判ってるのか非常に疑問です。当時の共産党は武装闘争に走って非合法化される寸前まで追い込まれていた時期でしたが、映画の中でそれらしいモデルとはいえ悪の組織として描かれているのは非常に珍しいことで、さすが新東宝です。 まあ語るほどの価値もない愚作なんですが、みんな時代劇みたいな芝居をしている中であまりにバタ臭い前田通子が浮いていたのが印象的でした。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2014-07-17 22:39:34)
98.  ひばりが丘の対決 《ネタバレ》 
怪談映画のマエストロ中川信夫が撮った、ちょっと変なテイストの映画です。いちおうアクションというジャンルになるとは思うんですけど、なんかヘンなんですよね。 『カルメン故郷に帰る』をパクった様なプロットで、北海道の山奥が舞台という設定なんですが、たしかに山奥だけどどうも北海道らしくない風景で、本州のどこかでロケしている事は間違いない。新東宝の予算で北海道ロケなぞ出来るわけないでしょ(笑)。この“カルメン”が久保菜穂子で、この山奥が故郷というわけじゃなく失踪した兄を捜しに浅草からはるばるやって来ました。職業はもちろんストリッパーです。たしかにこの映画の久保菜穂子はすこぶるチャーミングでして、彼女の新東宝でのフィルモグラフィの中でもっとも輝いているキャラだと思います。彼女が歌い踊るシーンが2つありますが、湖畔で見せてくれるダンスは♪アンパーヌプリヌプリコ、エッパーウ♪なんて何語か判らん歌詞が妙に頭に残りました。 でもカップルは馬車で駅と村を往復する仕事に命をかける高島忠夫と郵便局長の娘矢代京子の方なんです、久保菜穂子は引き立てキャラなのに彼女の方が目立っちゃってます。高島忠夫はちょっとオツムが弱いのかと思うほど茫洋としたキャラで、なんかこの人の容貌にピッタリの役です。 三人組の脱獄囚が後半に登場、こいつら村の家に押し入って強盗殺人、おまけに矢代京子を人質にして逃走。そしてクライマックス、霧が立ち込める峠で三人組と高島忠夫の対決となるわけですが、ここで見せる高島のアクションが鈍重極まりないのはご愛敬です。 どうも『ひばりが丘』というのはこの峠の荒れ地のことみたいなんですが、劇中そんな地名はまったく出てきません。もちろん、西武新宿線の駅がある街でもありません。まあこの題名を見て、まさか北海道の山奥が舞台の映画だと思う人は誰もいないでしょうけど(笑)。 中川信夫の現代劇映画は、どのジャンルでも共通してなんかヘンなテイストを持っているんですよ。まあその頂点にあたるのが『地獄』なんでしょうけど。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-06-26 23:45:41)
99.  女の防波堤 《ネタバレ》 
新東宝の映画の中では、『九十九本目の生娘』ほどではないけどかなりカルト的な存在なんだそうです、この映画。 太平洋戦争終戦直後、空襲で家族を失い焼け出された小畑絹子と親友の荒川さつきは、進駐軍相手の慰安所である特殊慰安施設協会(RAA)に採用されて慰安婦になります。同僚には戦争未亡人もいましたがほとんどはもともとその道のプロの女ばかりで、米兵相手に慰安所は大賑わいです。小畑絹子はNO.1の売れっ子になりますが上司の課長の愛人になったおかげで福生の進駐軍クラブの歌手になり、これはちょっと楽な仕事でした。ここで空軍将校と知り合いめでたく結婚、ところがここから波乱万丈の転落人生に拍車がかかってゆくのです。 お約束通り夫は生後間もない娘を残して戦死、次はギャングの情婦になってヤク中になり、中毒を治療するために入院したら主治医に惚れられて結婚、慰安婦の過去がばれて離婚され自棄になって有楽町のガード下にたむろする街娼にまで落ちぶれる、映画の後半40分はもうジェット・コースター状態です。 小畑絹子は新東宝にはもったいないほどの美人なんですが、裏社会でぐれているときの演技と時折おとずれる平穏な生活の時の淑女ぶりとの落差があまりに大きくて、笑ってしまいました。この映画の呼び物は三原葉子がリンチされる『肉体の門』に出てくるようなシーンだと思いますが、別にヌードを見せるわけじゃないけどなかなか迫力がある肢体です。もっとびっくりしたのは荒川さつきが脳梅毒で文字通り狂死するシーンで、あのリアルな死にざまは子供が観たらトラウマになること間違いなしです。あと特筆すべきはあの古賀政男が音楽を担当していることで、劇中流れるギターのメロディーも古賀政男がつま弾いています。 製作年代はちょうど売春防止法が施行された頃で、こういったことは大きな社会問題だった時代だったことを考えると、新東宝らしい題材であることは確かです。正統派の監督が取り組めばとてつもなく重くなりそうなテーマなのに、新東宝らしくエロを強調したおかげで単なるジェット・コースター・メロドラマに仕上がったという感じでしょうか。 ラストで「もう二度と戦争をしてはいけない」という小畑絹子のセリフがあるんですが、とってつけた様な白々しさが漂い偽善の極みでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2014-06-11 21:08:04)
100.  巨人と玩具 《ネタバレ》 
主人公たちの会社が必死になって売っているのが、自動車でも半導体でもなくキャラメルだと言うのが今の眼で見るととても奇異に感じることでしょう。1950年代とはいえ大手製菓メーカーが単品販売のわけがなく、これは高度なカリカチュアだと思った方が良いのでは。とは言え何とかして子供たちにキャラメルを買わせようとする涙ぐましいまでの景品商法を見ていると、“ヴァレンタイン・デーにチョコレートを送りましょう”なんて言うのは誰が考えついたか知りませんが天才的な販促キャンペーンですよね。 増村保造らしいモダニズムに溢れた映像で、21世紀の私たちからは判りにくいところですが、街並みや風俗は5年から10年は先取りした雰囲気になっています。日本初のグラビア・ガールが実際に登場したのはこの映画の10年あとだったそうですから。 強烈な印象を残すのは高松英郎の宣伝課長で、彼がまくしたてる宣伝理論は的を射ているけど恐ろしいまでの大衆蔑視に満ちていて、高松英郎の姿がナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッべルスとオーヴァーラップしてしまうほどです。どの登場人物にも感情移入出来ない様な撮り方は上手いなと思いますが、安易なストーリー・テリングに走った部分も観られ、とくに川口浩の親友がいつの間にか野添ひとみのマネージャーになっているなんてちょっとクサ過ぎました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-06-01 17:10:36)
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