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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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81.  ザ・レイド GOKUDO 《ネタバレ》 
前作が『死亡遊戯』のインドネシア版というのが相応しかったんですが、この続編は『インファナル・アフェア』のまさにインドネシア・ヴァージョンって感じになってます。中盤までは良くも悪くも普通のマフィア・ギャング映画って感じなのでちょっと戸惑います。映像なんかも北野武の影響が強く感じたのですが、いかがでしょうか。不可解だったのは中盤ヤヤン・ルヒアンが刺客と激闘のあげく力尽きるところで、夜の街中で雪が積もっているんです。これたぶん首都ジャカルタが舞台だと思いますが、インドネシアで雪が降るなんて聞いたことない!これはひとえに監督の遊びというか美意識なんでしょうかね。出てくる殺し屋たちもキャラが立ちまくっていて、ベースボール・バットマンとハンマー・ガールの兄妹が出色、そういや硬式球をぶち当てて殺すってのは『アウトレイジ・ビヨンド』にもありましたよね、ここにも北野映画の影が見えます。カーチェイス・シーンは迫力満点さすがカネかかってますね~って感じですが、道路をまたぐ陸橋のうえに見物人が鈴なりになっているのがチラッと映るのは、まあご愛敬ってことで。ラストのキラーマスターとの対決は、まさにプロ対プロの真剣勝負を見せられている感はひしひしと伝わってくる迫力です。日本の極道の面々(と言っても三人ですが)はほとんど登場も活躍もせず、なんか狂言回し的な存在だったですな。でもラストのイコ・ウワイスの逆説的なセリフにあるように、極道たちとの対決編の第三弾は撮る気満々みたいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-12 23:19:11)
82.  パッション(2012) 《ネタバレ》 
この映画のプロットは前に観た映画でも似たようなのがあったなと思いましたが、自分は未見ですがリュディヴィーヌ・サニエとクリスティン・スコット・トーマスが出演した2009年の仏映画『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』のリメイクなんだそうです。まあこれと似たようなストーリーの映画はよくあるってことです。大して話題にもならなかった映画なのに何故か三年でリメイク、監督には『アンタッチャブル』や『ミッション・インポッシブル』など一時期ハリウッドでリメイク職人になりかけたデ・パルマがまたまたリメイクを担当。でもあの二作はTVシリーズの映画化で再構築=リストラクションと呼んだ方が正解でしょうし、デ・パルマにとっては初めてのリメイク作品ってことかな。 デジャブ感が強いだけにお話しの展開と犯人はぼんやり者の自分でもすぐ判りました。デ・パルマ印のスプリット・スクリーンなどは殺人シークエンスが始まるところあたりで使われますが全体におとなしめで、言っちゃあ悪いけど散歩に連れてった犬が電柱にマーキングをしてる程度の効果しかなかったような印象です。映像には凝るけど割と判りやすいストーリーテリングがデ・パルマ風味なんだけど、ラストの夢オチか?と思わせるような判りにくい展開は彼らしくなかった。これは原作の脚本に忠実にリメイクしたってことなのかもしれませんけどね。根本的にノオミ・ラパスという女優が自分の好みじゃないってことも、悪印象を強めたのかもしれません。 コッポラ・ルーカス・スピルバーグたちの兄貴分でハリウッドでは巨匠と呼ばれてもおかしくない存在のデ・パルマ、こんな映画に関わるようなキャリアの人じゃないはずなんだけどなあ…
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-02-09 23:27:04)
83.  ターミネーター:新起動/ジェニシス 《ネタバレ》 
おお、ついにこのシリーズで無視されてきたパラレル・ワールド理論を取り入れてての新展開(というかやり直し)となりましたか! 冒頭からジョン・コナーがカイル・リースを過去に送りこみ、予備知識不足で観始めていたので第一作のリメイク的な展開かと思いきや、なんとサラ・コナーはすでに戦士と化しており、もうそれだけで???な展開。なんでサラが9歳のときにシュワちゃんターミネーターに助けられたのか、そんなに早くT-800を送り込んだのは誰なのか、なんで21世紀生まれのカイル少年が存在するのか、もう30分過ぎからはこちらの頭の中はグチャグチャです。まあ細かいことは観終わってからゆっくり考えてみようと思ってましたが、いまだに解明できていません(笑)。一つ判っていることは、カイルがタイム・スリップ中に時間軸が交差したのでパラレル・ワールドに存在するもう一人の自分の記憶を共有することになった、という摩訶不思議な理屈で製作者は説明がつくと高を括っていたってことですね。 『3』以来の本格復帰となった年老いたシュワちゃんを活かす設定は上手い発想だと思ったら、これはジェームズ・キャメロンが出したアイデアなんだそうです。彼はこの映画に関わったのはこれだけで、表向きはともかく裏では本作を酷評してるみたいです。でもサラに「おじさん」と呼ばれるT-800を見ることになるとは、まったく世の中何が起こるか判りませんね(笑)。宣伝ではけっこう鳴り物入りだったイ・ビョンホンのT-1000も、「えっ、これでお終い?」と叫ぶほどの出演シーンの少なさには苦笑するしかありませんでした。そして、まさかまさかのジョン・コナーがT-3000ターミネーター化!こうなってくるとこのシリーズのプロットの一つが消滅したことになりますけど、未見ですけど『ニュー・フェイト』ではジョン・コナーはまた登場するみたいなので、こりゃ一体どうなってるんだ?ラストでやっとカイルとサラが合体することが暗示されているので、やはり新しいジョン・コナーが産まれるということなんでしょうね。ああ、ややこしい(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-01-08 22:58:01)
84.  コドモ警察 《ネタバレ》 
TVバージョンは観たことがなく、まったく予備知識なしで鑑賞。『ダウンタウン物語』的な感じかと思いきや、実は『西部警察』のパロディでかなり王道の刑事ものに寄せた撮り方というわけです(コドモが刑事ということ以外はね)。演出なのかこれが素なのか私には不明ですけど、鈴木福の滑舌の悪さはちょっと凄いと言えるレベル。エナメル刑事の子なんかはかなり軽快なセリフ回しができているけど、他の刑事たちも総じて滑舌悪しでした。でもコドモ刑事たちと較べても壮絶に演技がド下手だった本庁から来たエリート刑事役、この人ジャニーズのアイドルなんですね。いくら製作委員会にTV局が入っているからと言っても、こんなレベルで映画に出すなんて舐めてます、同じアイドルでも指原莉乃はさすがきっちりとコメディ演技をこなしていますよ。設定自体が超ナンセンスなのに割とシリアスに展開するストーリーラインが、噛み合ってない感じが凄くしました。もっと弾けるような映画を予想していただけに、期待は大外れでした。これじゃあ、正月の暇つぶしにもならないよ。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-01-05 22:38:07)
85.  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 《ネタバレ》 
あのゲイリー・オールドマンがウィンストン・チャーチルに扮してオスカーを受賞するなんて、まさに“この世界は捨てたもんじゃない”ですな。だって『レオン』の『シド・アンド・ナンシー』の『二ル・バイ・マウス』のオールドマンですよ、それが歴史上の偉人とはいえ体制側のチャーチルを演じるなんて、「お前、転向したのか!」とツッコミを入れておきます。まあ辻一弘の腕前ならば白人の男優なら(女優でも?)誰でもチャーチルのそっくりさんを造り上げることができそうですが、キレ芸が持ち味のオールドマンが少々エキセントリックなところがあるチャーチルを演じるのに適役だったとは、このキャスティングを思いついた人、GJです。 お話しはチャーチルが首相に就任した1940年5月10日からの一カ月あまりの出来事、まさに彼が体験した“もっとも陰鬱だったとき(原題Darkest Hour)”というわけです。劇中たびたび描かれていますがチャーチルはそれまで政界では嫌われ者の問題児、なんとジョージ六世にまで嫌われていたんですね。失敗したけど初の敵前強襲上陸作戦であるガリポリ戦を立案したり、戦車の開発で中心的な存在だったり、戦略的なアイデアを発案するのが得意でもありまさに戦争指導するために生を受けた人と言えるでしょう。それだけに大戦終了直後に総選挙で敗北して退陣したのは象徴的だったと言えるでしょう。余談ですが退陣はポツダム会談の最中で、「なんで選挙介入しなかったんだ?」と出席していたスターリンが驚いたそうです。そりゃ、ソ連と一緒にされてもねえ(笑)。 「ぜったいに降伏しない」「死ぬまで戦う」という英国庶民の反応を見ていると、太平洋戦争末期の日本とどこが違うんだろうと、なんか複雑な気分になります。まあ結果的に勝ったから美談になると言っちゃうと、身も蓋もないんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-27 22:00:38)
86.  トランセンデンス(2014) 《ネタバレ》 
昨今リアルな世界ではAIの進化が話題になっていますけど、AIとは言っていないけど人間的な思考能力を持ったコンピューターが世界を支配するというプロットはSF映画の世界では60年代から登場し始めています(元祖は『2001年宇宙の旅』のHALなのかな)。いまや色んな作品で使われるありふれたプロットなんですが、現実社会がやっとSFに近づいてきたって感じなんでしょう。それでも人間の意識をサイバー世界にアップロードする(正直その理屈はイマイチ理解できないですけど…)という発想は、珍しいというか初めて出会った気がします。要は人間の脳みその中身とコンピューターが一体化するってことなんだけど、それって『ロボコップ2』のケインとどこが違うんですかね? というわけで怪物いや神みたいな存在となるのがジョニー・デップなんですが、開幕して三十分で死んでしまいます。天下のジョニデが主演で二時間の上映時間で三十分しか出てこないなんてあり得ないわけで、あとはモニターに映るほとんど静止画面みたいな登場になります(このジョニデも実はCGだったりして)。ところが劇中でなんかコソコソやってるなと思ったら、どういう理屈かは判らんけど細胞から創造して元の肉体を復活させちゃうんですからぶっ飛んでます。自分の配下の面々に憑依できる能力まであったのだから、てっきりそいつらの肉体を使って奥さんと子作りするのかなと勘ぐってました、でも昔そんな映画あったよな(笑)。 まあ終わってみれば、典型的な風呂敷を広げ過ぎて収拾がつかなくなった映画という感想に落ち着きます。技術者や科学者を大量殺戮したテロ組織がいつのまにか人類を破滅から救う善玉みたいになっちゃうし、ほんとにそれでいいのか?穿った観方をすれば、肉体の滅亡=死と復活というところはキリスト教的な脚本と言えるかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-12-15 22:14:26)
87.  フォードvsフェラーリ 《ネタバレ》 
確かにこの映画は『フォードvsフェラーリ』というタイトルにしてはフェラーリ側からの視点は無いに等しい、しいて言えば『フォードvsシェルビー&マイルズ』とするのが正しいんじゃないでしょうか。アメリカ人ならともかく、普通はカネは唸るほどある大資本フォードじゃなく、職人気質に徹して高級車一本路線のフェラーリの方を応援するでしょう。それではストーリーの前提からして成り立たないので、やはり職人とレース馬鹿のシェルビーとマイルズとフォードのエスタブリッシュメントとの対立という構図の脚本というありふれたストーリーラインになってしまったのはやむを得なかったかもしれません。この映画での66年のル・マンは主題ではなくいわば舞台装置なので、ル・マンの持つ独特の雰囲気を味わいたいのなら、やはりマックイーンの『栄光のル・マン』がお奨めです。 それにしてもクリスチャン・ベイルの役作りと演技は相変わらず凄いですね。『バイス』のチェイニー副大統領と同一人物とはとても信じられません。ケン・マイルズに成りきるためにまたまたデ・ニーロ・アプローチでなんと30キロ減量したそうです。あんたねえ、『バイス』できつい思いして「肉体改造はもうやめると」言ってたのに、こんなこと続けたら寿命がすり減りますよ…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-09 22:15:02)
88.  KILLERS キラーズ/10人の殺し屋たち 《ネタバレ》 
今年はコロナの影響でニコラス・ケイジ出演の映画は公開ゼロとなりそうな雲行きなので、去年製作の本作は彼のほぼ最新作という感じです。でも、何が映っているか判らない夜間撮影・ほとんど全編手ぶれカメラ映像・理解するのが非常に困難なストーリー、と三拍子そろってしまったら、もうこの映画を観てしまったことを後悔するしかありませんでした。 いきなりぶっこまれるニコジーと殺し屋二人の三すくみガン飛ばし大会が五分ちょっと、そして唐突にシークエンスが次の殺し屋に飛ぶのですが、後半まで観れば判りますけど冒頭のシークエンスはクライマックス導入部のカット・フォワードなんでした。こんなことしても話がややこしくなるだけで何の効果もないのですが、監督はこれがカッコイイと思ってたんでしょうね。ニコジーはホテルのオーナー役でこのキャラが狂言回し的な役割を担っているのかと思えばそうでもないし、だいいち後半残り三十分ぐらいまでほとんど画面に登場しなかったかと思います。画面だけではなくストーリー自体も暗く陰鬱で、ほんとどこに取り柄を見つけたらよいか悩みます。ニコラス・ケイジよ、君はもうこんな映画にしかお呼びが掛からないのか!コッポラ一族の名折れだぞ!
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-11-16 00:56:05)
89.  T-34 レジェンド・オブ・ウォー 《ネタバレ》 
知る人ぞ知るカルト映画『鬼戦車T-34』のリメイクという感じなんですが、監督曰く『鬼戦車T-34』の原作戯曲がモチーフにした戦中の実話(?)をもとに構想したのでリメイクだとは思っていないとのこと。たしかに『鬼戦車T-34』は不思議な感じがするファンタジーっぽい要素があるのですけど、本作はガチガチの戦車バトルの王道エンタティメントで、“戦争映画”というよりも“戦車映画”と呼ぶのが正しいと思います。 今まであまり良いイメージを持っていなかったロシア製戦争映画もついにここまでのレベルにまで達したかというのが正直な感想で、『フューリー』なんか目じゃない今世紀NO.1の戦車映画だと思います。ストーリー的にはかなり荒唐無稽なのは全然OKなんですけど、五月蠅く言えば細かい粗が無いわけでもない。41年には陸軍大尉だったイエーガーが44年にはSS所属になっている、まあこれは実際にそういう事例があったそうなので(逆パターンは聞いたことがない)目をつぶるにしても、イヴシュキンが7回も脱走を試みたってのはどうでしょうか。ソ連の捕虜なら7回どころか1回脱走しただけで間違いなしで即射殺、そこは英米兵の捕虜とは大違いで、だいいちソ連の捕虜が三年近くも生き延びたってこと自体がレアケースというのが現実だったみたいです。イヴシュキンに与えられたT-34の車内に砲弾が残っていたという設定も、そこまでドイツ軍って間抜け?と笑うしかないです。『鬼戦車T-34』ではもちろん砲弾も銃弾もなく、ただ走り回るだけでしたからね。まあそんな細かいところを吹っ飛ばしてしまうのがイヴシュキンvsイエーガーの漢対漢のガチ戦車決闘、ラストの橋上の一騎打ちはなんか『戦略大作戦』を思い出してしまいました。実物のT-34が動き回るさまは迫力満点だが、狭苦しい車内での描写も小型カメラを駆使してきっちり描いています。そして砲弾が掠るときのまるで釣り鐘の中に閉じ込められたような衝撃、これも『Uボート』の爆雷攻撃以来の音響効果です。ドイツ戦車もレプリカ+CGですが拘りが凄くて実写にしか見えない、パンサー戦車には末期ドイツ戦車特有のコーティングもきっちり再現されています。本当に最近のロシア映画のCG技術の進歩はまさにおそロシアですな。 ラストも大抵の独ソ戦映画と異なり爽やかなハッピーエンドなのもスカッとして心地良かったと思います。本作には完全版とDC版というヴァージョンもあるそうなので、機会があれば是非観ておきたいです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-11-10 21:57:09)(良:1票)
90.  ヴィランズ 《ネタバレ》 
鳩のマスクをつけた男とユニコーンのマスクをした女がグダグダの手際でコンビニ強盗、ところが逃走中にガス欠して車を盗もうと忍び込んだ一軒家の住人はトンデモない夫婦だった。開幕から二十分ぐらいは快調にとばします。このバカップル強盗はビル・スカルスガルドとマイカ・モンロー。両者とも『ITイット』シリーズや『イット・フォローズ』で最近顔を売ってる若手ですが、スカルスガルドは父親が北欧系のステラン・スカルスガルドとは思えないラテンな風貌、まるでスティーヴ・ブシェミの弟って感じです。サイコ夫婦の方でも気持ち悪いおばさんを演じたキラ・セジウィックの怪演が際立ちます。バカップルは地下室で監禁されている少女を発見して一緒に逃げようとしますが、そこから二人は悪党“Villains”から善人にキャラ変してゆきます。 ぶっちゃけ、この映画は少女の扱いで失敗していますね。そしてコメディの方へ行くのかと思えば尻つぼみになり、ホラーになるのかと思えば肩透かし、バカップルの脱出劇じたいはありふれた展開なので要はどの方面に向けても中途半端な脚本だったというしかありません。終わってみれば、実はバカップルの純愛物語だったというわけですが、うーん、この映画にそんなことを期待した観客はいますかね?
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-10-24 21:53:55)
91.  斬、 《ネタバレ》 
どこか『七人の侍』のネガ像のような感じがするストーリーでした。澤村次郎左衛門は軍師・勘兵衛、都築杢之進は木村功が演じた岡本勝四郎、ゆうの弟市助は菊千代といった感じでしょうか。この映画の登場人物は時代劇でありながらそこをあえて無視したような現代的な言動で終始します。澤村は剣の腕はたつけど軍師的な知恵には乏しくて、無頼集団を斬ったときに一人に逃げられたことには無頓着で、ねぎらいの膳に無心にがっついている。まあこのキャラは幕末に一山あてようと湧いてきた有象無象の一人という感じで、思想性などは微塵も感じられない。「ご公儀のお役に立ちたい」というセリフからすると幕府側で活動するつもりということになるけれど、新撰組の実例が示すとおり歴史の大渦の中で使い捨てにされる運命です。こんな澤村に見込まれて運命が狂ってゆくのが都築と市助というわけです。蒼井優が演じるゆうもけっこうなツンデレで、都築に好意を持っているくせに無頼連中の仕返しで両親と市助が殺されると「あんたが市助を唆したからこんなことになったんだ、寝ているだけでなんもしてない、あんたが連中を斬ってこい!」と熱病でフラフラの都築を責め立てる、いやー、原因を作ったのは澤村じゃないんかい!彼女のキャラはかなり支離滅裂で、身勝手な女子大生って感じでしょうか、でもなんかリアルです。都築も都築で声を張らないセリフ回しでほとんど通し、これじゃあ渋谷のセンター街あたりにいる若いのと大して変わらんじゃん(笑)。こっちもゆうに好意というか欲情しているのにマスをかいて我慢する、ていうか時代劇でマスをかくシーンなんて初めて観ました。 というわけで海外も含めて高評価が多い本作ですが、自分としてはけっこう違和感を感じてしまったというのが偽らざる感想です。手持ちカメラで撮ったチャンバラを見せられるというのも、けっこう苦痛でしたしね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-22 20:06:01)
92.  キューブリックに魅せられた男
「レオンは蛾だ、火に魅入られて自ら羽根を燃やしてしまう蛾。キューブリックはまぶしく輝く光だった。その強い誘惑に抗えずレオンは己が身を燃やしてしまった。」これは冒頭を飾るナレーションで、稀代の天才スタンリー・キューブリックに人生を捧げた男の物語です。 主人公はレオン・ヴィタリ、もとは俳優で『バリー・リンドン』でマリサ・ベレンソンの息子ブリンドン子爵を演じた人です。実はこれが初のキューブリック映画出演で、それまでの俳優としてのキャリアを捨てて撮影後にキューブリックのスタッフに志願しました。彼のパスポートに自ら記した職業は原題でもある“Film Worker”つまり“映画仕事人”で、25年間キューブリックのもとで編集・照明・キャスティングなどすべての製作業務で助手を勤め、出演者への演技指導まで任されていました。あの暴君で知られるキューブリックですからその仕事の過酷さは推して知るべし、キューブリックと同じ屋敷で過ごして24時間一週間休みなし、普通の人ならすぐに逃げ出すこと間違いなしです。でもそのおかげでキューブリック作品に関してはDNAレベルと言っても過言ではないほど精通し、キューブリックの急死後ポスト・プロダクションが残っていた『アイズ・ワイド・シャット』を彼の意図通りに完成させました。 これは天才に魅了されるとその人の人生がどの様に変貌してしまうのかという驚異の物語です。そして『バリー・リンドン』以降のキューブリック映画製作の舞台裏が垣間見れるところも貴重です。キューブリックと言えばポスターやパブリッシングについてもうるさく口を出すことで有名ですが、実は彼の意を汲んだレオンの仕事だったというのはちょっとサプライズでした。逆にキューブリックが映画会社やプロデューサーへ本人の承諾を得ずにレオンの名前で抗議や苦情の書簡を送っていたというのは、笑えないですがいかにもキューブリックらしい話しです。そういう汚れ役も引き受けていたので業界ではレオンはけっこう嫌われていたそうで、キューブリックの回顧展が開催されたときは企画にはノータッチでレセプションにも招待すらされなかったというのには同情してしまいます。 レオン・ヴィタリという人は、資金さえあればそれこそ一人で製作・監督・撮影・編集などをこなせるスキルの持ち主なのに、キューブリックの死後も映画製作は手掛けずにまるでキューブリック博物館の学芸員みたいに彼の偉業の数々をメンテナンスし守っているのには、もう崇敬するしかありません。人格には問題あり、と言われているキューブリックですが、一人でもこのような理解者を育てることができたというのは幸せだったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-19 22:02:53)(良:1票)
93.  地獄でなぜ悪い 《ネタバレ》 
海外の映画作家は自身の映画愛を吐露するような作品を撮ることが多いですが、邦画ではそういう私的な映画はほとんどないというか撮ることを許してもらえないという感じです。でもそこは園子温、まさに『映画に愛をこめて/アメリカの夜』ならぬ『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』という感じで映画愛をぶつけてきました、つまり彼は日本のジョン・ウォーターズということ?でもホントにやりたかったのは、『キル・ビル』青葉屋の死闘の再現だったみたい(笑)。 前半を観ている段階では、「この映画はいったいどこに向かっているのだろう?」という疑問しか浮かばず当惑しかないです。だって武藤組VS池上組の抗争と映画バカ集団ファック・ボンバーズとの接点がまったく見出せず、まるで違う映画のストーリーを交互に見せられているかのような感じです。まあ武藤組組長・國村隼が二階堂ふみを主演にした映画を撮ろうとしていることが伏線なのかもしれませんが、これをどう回収するのかと思いきや、お社で星野源が見つけた10年前の願い文が魔法の様に武藤組とファック・ボンバーズを結びつけるという強引な脚本!だいたい星野はなんで長谷川博己のことを知ってるんだよ!でもそこからの怒涛の展開はまさに園子温の本領発揮としか言いようがありません。園子温の映画では実力派俳優に怪演させるのがお家芸みたいなところがありますが、本作では堤真一がまさにそれ。あの表情というか顔芸はほとんどアホ芸という領域です。星野源もいまと違ってどちらかというとサブカル界隈の人というイメージで、これもかなりの怪演です。 閉幕近く長谷川博己の妄想の中で、首や脚など喪失した部位を包帯でつなぎ直した(?)死者たちが完成した映画にスタンディング・オベーションを送るところは、まるで『タイタニック』の感涙のラストみたいで良かったです。でも、ここで終わればいいのにあのメタフィクショナルな幕の閉め方は、いったいどういうつもりだ!でもこのずれたセンスがまた園子温らしいんだよな…
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-13 21:16:49)
94.  スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 《ネタバレ》 
正直言って観た人の半分は「なんじゃこりゃ?」ってなるだろうけど、才人エドガー・ライトのメジャー二作目としては上出来なんじゃないでしょうか。欧米では興行的にはコケたらしいけど、これでハリウッドで干されることにならなくてよかったですね、ライトさん。設定は日本の格闘ゲームそれもアーケード・ゲームへのゴリゴリのオマージュで、その原作コミックのノリにエドガー・ライトの非凡な音楽センスがミックスされたって感じです。たしかに、ピルグリムのバンドのセックス・ボブオムを始め登場するバンドたちの演奏はグレードが高いし曲も良い。だけど肝心の元カレ軍団とのバトルは、皆さんご指摘の通りトップ・バッターのインド系元カレのインパクトが強すぎてどんどん尻すぼみになる感は否めませんでした。菜食主義・ビーガンの元カレとはピルグリムくんまともに闘ってないじゃん(笑)。元カレ軍団は邪悪なのかもしれないけど、ピルグリムくんも17歳の女子高生とパンク女を二股かけて女子高生を振ったり、この人も結構邪悪です。感情移入できそうなキャラが一人も登場しないこの映画で唯一好感が持てそうだったのがこの中華系娘だったのに、自分の方から身を引かせる結末とはちょっと許せないなあ(怒)。 元カレ軍団のラスボスがおタク感丸出しのジェイソン・シュワルツマンというのがまた微妙なんですが、ラストの対決シークエンスあたりからは完全に『ファントム・オブ・パラダイス』のパロディになっているみたいです。つまり、ギデオン=スワンというわけです。 まあ確かに、もう三十分ぐらい尺が短かかった方が良かったみたいですね、でも原作が前提としてあるので難しいのかな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-25 21:09:08)
95.  カウボーイ&エイリアン 《ネタバレ》 
“ゾンビ&ウェスタン”“モンスター&ウエスタン”という映画はすでにこの世に出ているので、“エイリアン&ウエスタン”が発想としてあるのは至極当然の成り行きでしょうかね。でも19世紀の人間が遭遇していちばんインパクトが強そうなのはエイリアンだと思うけど、飛行機すらまだ存在しない時代にしてはエイリアンのテクノロジーに対するカルチャーショックめいた反応が薄いのはちょっとどうなんですかね。エイリアンの目的が謂わば金鉱掘りで地球人の存在なんか虫けらとしか見ていないって、ゴールドラッシュで西部に押し掛けてジャマなインディアンを殺しまくったアメリカ人とやってることは大して変わらないという図式でもあり、凄い皮肉が効いているとも言えます。ここら辺を膨らませたら毛色の変わった映画になったかもしれないのに、脚本家は気づいてないのか鈍いのかまるで『インデペンデンス・デイ』みたいな乗りの単純な侵略ストーリーにしちゃってるところが痛い。ストーリーもご都合主義で、なんでダニエル・クレイグだけが万能ウェポンになる腕輪がつけられているのか意味不明だし、ヒロインが人間に化けた善玉エイリアンだというのもセンスがない。光が苦手という欠点を持つエイリアンなのに、白昼地下から引っ張り出したのに何の影響もなく暴れまわるというのは大矛盾。まあ王道と言えば王道なんだけど、西部劇やエイリアンものからパクったものを詰め込み過ぎて散漫な出来になってしまったということでしょう。でもダニエル・クレイグが想像以上にウエスタンに合った俳優だということは、新発見でした。 邦画界でも、『侍&エイリアン』とか『戦国武将&エイリアン』とか撮ってみたら面白かろうにね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-22 23:16:51)
96.  映画 みんな!エスパーだよ! 《ネタバレ》 
“パンチラ・フリーク”園子温の趣味が全開、この人ってエロとバイオレンスにふっ切れるとモロに本性が迸りますね。お話しはもう中高生のエロ妄想以外の何物でもないけど、ここまで行っちゃうともう清々しいと言える領域です。私は未見ですけどTVドラマの映画化だそうで、深夜帯とはいえこんなエロドラマを放送していたとはさすがテレ東と褒めてあげます。とくに前半は出てくる女性キャラがほとんどパンチラを見せてくれたような印象で、タモリ俱楽部のオープニングが好きな人には堪らないでしょう。ヒロインの真野恵里菜はかつてのハロプロのソロ・アイドル、いつの間にか園子温映画の常連に収まり、「パンチラは下ネタじゃない」なんてインタビューに答えてる、完全に園子温に洗脳されてしまったみたいで嬉しいやら悲しいやら、ぐれてしまった娘を見せられてるような心境です(笑)。あとカメオ出演の関根勤の嬉しそうな演技、すっかりラビット関根の昔に戻っていました。セリフも八割がたが三河弁、尾張弁もだがこの辺りの方言は可愛い女の子が使うとその強烈なギャップに震えます(笑)。 豊橋の名所案内は確かに出来たけど、よく市役所が協力してくれたと感心します、市長や幹部がよっぽどシャレが解る人達だったんでしょうかね、それが最大の謎です。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-09-19 20:12:10)
97.  ディストピア パンドラの少女 《ネタバレ》 
迂闊にもゾンビものとは予想だにせず鑑賞、だって邦題は“ディストピア”ですしね、でも内容には“ディストピア”要素は皆無だったし配給会社は“ディストピア”の意味が判ってるのかね? まあ戯言はさておき、これはなかなかの良作で拾い物でした。この作品のゾンビは劇中ではハングリーズと呼ばれていますが、喰いものを見つけたらシティマラソンの群衆ランナーみたいに群れを成してしかも全速力、そうじゃないときは路外でやはり群れになって立ったままお眠りとけっこうユニークです。メラニーたち第二世代が小学校低学年ぐらいの年齢なので、このハングリーズ化現象が始まってからは十年ぐらいは経っているという設定みたいなので、ハングリーズたちも食糧・生肉が不足してきたので新陳代謝を減らして省エネ生活なのかもしれません。これは色んな生物で観察されることで、けっこうリアルで考えられた設定なのかもしれません。主人公メラニーも本能が目覚めると猫や鳥まで貪っちゃう、人間以外を食するゾンビって初めて観た気がします。 冒頭の女教師の話にパンドラの箱が出てきますが、実は箱じゃなくて”パンドラの実“だったというオチにつながり、その実を世界に解き放つのがメラニーだったという結末はかなり強烈です。メラニーという少女、語る言葉はともかくとしても表情に喜怒哀楽が全くないので、本心はどうなのか読めずに不気味です。普通の人間と比してもずば抜けた知能を持ち、軍曹の動作を見てるだけで拳銃の操作を理解してしまうところなんか恐いですよ。 ラストは冒頭とはシメントリーな絵面で、女教師が外気から遮断された箱から第二世代の子供ハングリーズたちに授業するという皮肉のきいた幕引きです。でもラス前のカットで涙を流しているところからも、いくら元気なテンションでもそれは決して彼女が望んだ結末ではなかったと言えるでしょう。その子供たちの中で生活指導係のように振舞っているメラニーを見ていると、ふと『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のシーザーを思い出してしまいました。彼女は人類亡き後の地球をハングリーズの指導者となって支配することを目指しているのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-10 22:46:39)
98.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
いやー、筋金入りのオタク監督がモンスター映画でオスカー作品賞と監督賞をゲットしたってことは、とりあえずめでたいことです(スピルバーグも、正真正銘のオタクですけどね)。正直言って作品賞獲るほどかな?とは思いましたが、このジャンルの今後の隆盛につながってくれればと期待します。 まず感じたのは、もちろん時代設定やプロットは全然違うけど驚くほど『パンズ・ラビリンス』と似たお話しだったなというところです。『パンズ』でサディスティックな悪役だったヴィダル大尉と対をなすのが“ハリウッドのヒロミ”ことマイケル・シャノン、その邪悪なパワーはシャノンがはるかに上回っていたと思います。『パンズ』のパンと本作の半魚人に至っては、スーツアクターは同じダグ・ジョーンズですからね。でも『パンズ』のような後味の悪さは本作にはなく、ある種の大人の童話として観れるんじゃないでしょうか。 キリスト教では「神は自分に似せて人間を創った」となっているそうですが、ラスト近くで銃撃で瀕死だった半魚人の復活を見てマイケル・シャノンが「お前は、神だったのか…」と呻きます。ここはけっこう含蓄のあるシーンで、人種の違いや障害の有無や異形の者であってもそれはすべて神の子なんだよ、というメッセージがあるような気がするんです。イライザの喉の傷が水中でエラに変化するところも、心に残るラストカットでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-07 21:14:28)(良:1票)
99.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
アメリカ映画のジャンルの中で、私がもっとも怖いと思っているのは田舎町を舞台としたいわゆるスモールタウンものと呼ばれるカテゴリーでして、とくに南部が舞台となるとまたひとしおです。生まれた町や地域から一歩も外へ出てゆかず生涯を終えるような人がざらにいるお国ですから、みんな顔見知りで濃厚な人間関係でドロドロな生活なんて絶対に経験したくないもんです。 「娘を殺されてるのに捜査は行き詰まり、それでも執念で犯人を追いかける母親」となると我が国では拉致被害者の親族者たちがどうしてもイメージされますが、フランシス・マクドーマンドが演じる母親はけっこう粗野でがさつで独善的な感情移入できそうもないキャラです。日本と違って監視カメラなんてどこにもなさそうなド田舎で、遺留品も目撃者もいなかったら捜査が難航するのは至極当然。そしてまだ事件から9カ月しかたってないんだから、ウディ・ハレルソン署長があそこまで非難されるのはちょっと可哀そうな感じです。でもこのハレルソンが良いキャラなんですなあ、途中退場しちゃうけど本作で唯一最期まで感情移入できたキャラでした。サム・ロックウェルのキャラは「こんな警官、いるかあ?」と絶句しちゃうほどの凄まじさ、でも最近の米国での騒動からすると割とリアルなのかもしれません。この暴力警官がいい歳してママと二人暮らし、やっぱ彼はゲイだったということなんでしょうね。マクドーマンドが火炎瓶投げ込んだり、ロックウェルが犯人らしき会話をバーで聴くなど後半は思いもよらぬ展開だったかと思います。でも考えてみるとマクドーマンドもロックウェルもハレルソンの手紙を読んでからは、ガラッと迄もいかないにしても明らかに思考に変化が現れてきます。普通の映画ならロックウェルが採取したDNAが犯人逮捕につながるとかのカタルシスが待っているものですが、事件解決が何も見えないラストの展開なのに二人の心情の変化がカタルシスにつながるというのはこの脚本の妙味でしょう。でも実行したかは観客の想像に委ねられていますが、アイダホにDNAが一致しなかった男を殺しに行くラストだけはなんかしっくりこないんですね。実はアイダホの男が真犯人で軍が隠ぺい工作しているという穿った観方もあるようですが、うーん、それはちょっと飛躍気味だと思うしそうなると全く別のお話しになっちゃいませんかね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-04 22:31:35)
100.  ロケットマン 《ネタバレ》 
エルトン・ジョンは現代のモーツァルトだと個人的に評価している自分としては、かなり期待して鑑賞。だってその神童ぶりや恵まれなかった肉親関係、そして奇抜なファッションや言動には両者に共通点が多い気がするんですけど。初めてラジオのヒットチャートで“Saturday Night's Alright”を聴いたときの衝撃は今でも忘れられません。 ミュージカル映画と聞いていましたが、これは明らかに音楽劇風味が強い人間ドラマですね。監督がデクスチャー・フレッチャー、彼はトラブル後にブライアン・シンガーから監督を引き継いで『ボヘミアン・ラプソディー』を完成させていて、どちらも主人公がホモセクシュアルであるというのが興味深いですね。この人は芸歴の長い俳優で『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』のソープ役なんかが有名。その長い映画人生を活かして監督業にも進出、今後この分野でも活躍するんじゃないでしょうか。子役時代には『ダウンタウン物語』でジョデイ・フォスターとも共演していて、遅ればせながらジョデイと同じ道に進もうとしているのは感慨深いです。 しかし驚嘆するのは、現役の大スターが製作総指揮まで務めて自己の人生とその恥部をさらけ出す映画を製作したってことでしょう。もちろん全部が全部というわけではなくオブラートに包んだようなところもあったでしょうが、ホモセクシュアル描写を含めて『ボヘミアン・ラプソディー』なんかよりはるかに綺麗ごとを排したストーリーテリングには引き込まれました。これはタロン・エガートンの熱演が効いていると思いますが、オスカーで彼がノミネートすらされなかったのは納得できません。歌唱力も抜群でした、それにしても欧米の俳優たちはどうしてこんなに音楽スキルが高い人が多いんでしょうかね? 気になったところとしては、ジョン・リードに比べてバーニー・トーピンとの関係が割とあっさりめだったような印象ですかね。この黄金コンビは50年以上に渡っていていろいろあったと思いますが、自分の恥部はともかくバーニーのことは突っ込まないようにしたエルトンの友情を感じました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-22 22:01:25)
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