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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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81.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
こういう「エヴァ」を待っていたと言うべきでしょうか。文字通りTVシリーズのイメージを破壊してくれた「ヱヴァンゲリヲン」劇場版。王道まっしぐらなエヴァがあっても私は良いと思うのです。絶望の淵から熱血少年に目覚めるシンジ「さん」、シンジの背中を後押しするミサト、人間らしくなっていくレイ、野生児のマヤ、月でまっ裸とホモに磨きがかかるカヲル(オエッ)、父親に目覚めかけるゲンドウ・・・「ダミープラグ」は息子への愛情か、息子以外はどうでもいいという歪んだ愛か・・・極めつけはアスカ。アスカ愛が尋常じゃありません。あれだけ盛り上げ、観客を絶望に叩き落とし、そして盛大な復活劇を予想させる・・・スタッフのというより監督の異常とも言える愛を感じられます(きっと褒めている筈)。それだけに「Q」は超打ちのめされました。ハンマーで脳天粉々にされるような感じでしょうか。ともあれ私は「破」を評価したいと思います。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-03 17:42:53)
82.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
アクション映画は本当大好きだ。   言葉なんかいらねえ、テーマなんかいらねえ、とにかく動い動いてブチのめせ!  けれども“ストーリー”という「骨」があるともっと面白い。   その「骨」こそ主人公のジェイソン・ボーン(Jason Bourne)。 もちろんスペルはまったく違う。 しかし音で聞けば誕生の「born」、骨の「bone」(発音違うけど)。   「自分は何者なのか?」というシンプルかつ究極の主題、見づらい手ブレ演出も慣れればCG無しの極限アクション、ガラスにダイブ、バイクやカーチェイス、ガンファイトと息もつかせぬアクションのオンパレード。 スゲー疲れるぜ(良い意味で)。   そんなボーンシリーズの終点「ボーン・アルティメイタム」。  最後通牒、ボーンへの、そして観客への最後通告。 己の正体、自分を追う敵、黒幕、そして協力者・・・全ての決着。  正体を知りたいから諦めない、 正体が解っても諦めない、 死んだ者のために諦めない、 何より「生きたい」から諦めない・・・! 「ここで全てが始まった。ここで終わらせる。」ケジメはしっかり付けて退場する。  水中を力強く泳ぐボーンには本当元気を貰える。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-01 17:25:21)(良:1票)
83.  ほしのこえ 《ネタバレ》 
日差しが注ぎ込む電車の窓、その窓辺で携帯を打ち続ける少女。 回想、階段、椅子が逆さまに置かれた机と教室、星を背にたたずむロボットの中でも、宇宙船の中でも頭の中は好きな男の子のことで溢れかえる。その気持ちを携帯電話のメールにしたため続ける。  ゲームオープニングの制作にも腕を振るってきた新海誠。この頃から異常なまでにリアルで美しい風景を楽しませてくれる。 雨を予感させる積乱雲、飛行機雲、ドアの向こうの夕暮れ(「彼女と彼女の猫」でもドアの開閉は印象的だった)、夕陽に染まる雲、星空、クレーターの中の市街地と水辺、桜の花びらを運ぶ風は寝ている者を揺り起こし、ミサイルから尾を引く雲、爆炎、宇宙空間に飛び散る鮮血、しぶきをあげるように星の海へ飛び出していく宇宙船、鳥の群、足跡はクレーターになり水たまりへ。 雨が降りしきるのは雨宿りさせ二人だけの時間を作るため。  メールのやり取りが断たれてしまう光景は「君の名は。」にも繋がる。  登場人物たちは漫画的な(眼がデカい)タッチ。 風景は二人の心情を表すように変化し続ける。汗と涙を落とし、開閉する遮断機の前、降り積もる雪の中、雲間から降り注ぐ木漏れ日の下で立ち尽くす。  傘を断るのは「あの人」に悪いと思うから。だからこそ待ち続け、返事が来るのを、帰って来ることを信じ続けたのだろう。  異文明との衝突、対話、ただ「会いたい」というエネルギーが彼女を動かし続ける。その果て…贈り続けたからこそ「文字」ではなくそこに込められたものが伝わったのだと思う。声に、言葉にならないような想いが。  切ない。実は生きてて再会できたとかないんですかねえ。もれなくタルシアンが地球にお礼参り(ry
[DVD(邦画)] 8点(2017-03-27 07:32:26)
84.  ピアノ・ブルース 《ネタバレ》 
マーティン・スコセッシが制作を仕切る「ブルース・ムーヴィー・プロジェクト」シリーズの中でイーストウッドが手掛けたドキュメンタリー。  レイ・チャールズをはじめデイヴ・ブルーベック、ファッツ・ドミノといった伝説、その先人たちの系譜をたどりながらブルース・ピアノの歴史に迫っていく。  初っ端から響き渡るピアノの音色。 「ピアノ」を創造した先人の肖像、製造し、組み立て、弾き語る映像・写真に残されたピアニストたち、それを経てレイ・チャールズをラフな格好で迎え入れる。 この作品のイーストウッドは実に気軽で、歴史も振り返りながら音楽を楽しみ・学んでいこうという姿を見せてくれる。  白黒の映像で記録されたピアノを弾いて弾いて弾きまくる人々の姿。イーストウッドも自らピアノの音色と言葉で「語り」続ける。  最初に登場するレイ・チャールズの存在感。 キャメラの前を幾度か通り過ぎるスタッフを他所に、サングラスをかけたまま傍らに座り、先人の演奏とスタジオの光景を交互に交え、時折咳をしながら熱を帯びていく語り。  レイがイーストウッドの隣で弾く場面。 鍵盤の上で指先が踊り、リズムをとる足先、起き上がるハンマー。イーストウッドは立ち上がりピアノの脇へ移動し、チャールズは肉体を揺り動かすように歌声をあげる。大きなピアノのフタに反射するチャールズの笑顔が素敵だ。 キャメラもあまり動かないようで、鍵盤を叩く手からピアノの上で波打つハンマーへ移動しながらその光景を捉えたりする。  若き日のレイのエネルギッシュな演奏。 ピアノを弾きながら体を大きく揺らし、足でステップを踏み、微笑み、旋律と歌声を会場に轟かせる。膝を楽器のように叩き、ステップとリズムを刻み盛り上げ、コーラスの女性陣、バックの奏者もそれに合わせノリにのっていく。  レイに先駆けたピアニストたちの演奏も凄い。 様々な技巧でプロフェッショナルとして、音楽を心から楽しみ鍵盤の上で指先をけたたましく奔らせる。ピアノそのものまでが彼等・彼女等の演奏に反応でもするかのように動き出したりもするのだ。 しかしYAMAHAのピアノって昔から向こうで活躍してたんだな(誰がそのピアノを弾いていたかは見た人だけのお楽しみ)。  その系譜に「俺もいるんだぜ」とばかりに「センチメンタル・アドベンチャー」でテンガロンハットを被りながら演奏を務めるイーストウッド自身の姿も挿入してしまう。しかし良い笑顔だこと。  肩に手をやり演奏を終えた者を称え、取り出したハンカチで口の汗をぬぐう熱気。  現在のピアニストの手から過去の奏者たちのセッションに飛び、再び現代へと戻り、受け継がれていくメロディ。 最後は今までの演奏をひたすら繋げていき、レイの歌声で締めくくる。  イーストウッドは自ら映画音楽にも携わり、作品でもチャーリー・パーカーの伝記「バード」、カントリー歌手を題材にした「センチメンタル・アドベンチャー」、「ピアノ・ブルース」の後にはフォー・シーズンズの伝記「ジャージ・ボーイズ」と音楽に対する思い入れをぶつけてきた。 いずれの作品でもピアノの音色が響き、無くてはならない存在だった。それだけイーストウッドはピアノが好きなんだろうなあ。
[DVD(字幕)] 8点(2017-02-08 06:10:59)
85.  頭山 《ネタバレ》 
題材が題材なだけに仕方のないことなのかも知れないが、山村浩二の作品にしては語りが多すぎてちょっと辟易する。  三味線の旋律、男のハゲた頭部、不毛の地に育つもの、ナレーションの語り。  頭部にポコッと生え、芽が出る。地面に落ちた大量の木の実、種、種までがっつく。 芽は取っても取っても生え、少しずつ大きくなる。  冬を超え、春には桜が咲き誇る。男も女も花を見に咲いていく。 人々は小人になって頭の上で酒を飲み、ションベンやゴミをぶちまけ踊り明かす。放り投げられた靴は元のサイズに戻ってカップメンを台無しにする。  穴は夏の遊び場に、無限ループって怖くね?
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:27:42)
86.  冬の日 《ネタバレ》 
川本喜八郎をはじめ様々なアニメーション作家が参加したオムニバス作品。 秋に始まり春に終わる物語、「風」だったら「風」というように連想ゲームの感覚で繋がっていく。  松尾芭蕉、屏風、句の後にアニメーションがはじまる。  秋の野山をかける男、キツツキ、坂を転がる唐笠を追いかけるスピード、野山を駆け抜ける風。 人形アニメーション、椿。  冬、CG、酒屋、月夜。  酒瓶、トラック、一気に現代に、トラックは馬のように嘶き走り出す、柿、月夜。  蒸気機械、歯車の軋み、馬、赤い閃光が飛び交う薄野、夕日。  田んぼ、箪笥の中の家に飛び込んできた男は鷺と一緒に震える、鳥は人間の女になり、髪の毛が無限に拡がる様は恐ろしい。赤ん坊を奪われた女の髪の毛も無限に伸びる。  ロトスコープ?、白装束の女性、割れて粉々になる大地。  森のような女、廃墟、燃え上がるふくよかな女性。  カラス、冬、寒々しい家、カラスの巨大な影。  「冬の日」を書かれた本がめくられる、本の中を飛び交う色彩の数々。  木の下で胸や尻をだし男をさそう女(やけにコミカルな絵柄だこと)、霧が隠す情事。ここからしばらく変わった絵柄が続く。  船曳?船に乗り込むデブチビハゲのクソ女、ああ殴りたい、心中、沈む時だけシリアスな音楽流しやがって。  江戸時代の美人画みたいな絵。   キツネを取り囲んで脅かす鬼たちが消え、桜の木の下で二人っきりで思い出をめぐらす。  人形アニメ、風に吹き飛ばされる様々なもの。   粘土アニメ。  近未来のSF?、蝶、エイリアン?、檻の中、銀河鉄道?  絵本みたいな絵柄、月夜の光を反射、放たれた矢はロビン・フッドから壇ノ浦、ジョン・ウェイン、「蜘蛛巣城」の三船敏郎を通り過ぎ、芭蕉?を射る。矢ごときでは死なない芭蕉、笑ってみせる。  木こりの帽子を射ぬく矢、木「今です!」、何事もなかったかのように去っていく。  河童、目玉をはめる。  鏡に映る目玉。なにがあったんだよアンタ。    冬、着物姿、下し髪の美女、川のようにうねる長い髪。  人形とアニメの混ぜこぜ。  髑髏から弥生時代?  中国、戦場を舞う幻想。  観音像?ホトトギス。 雨音で絵師もみんな眠くなる、何故か鳩時計と水洗トイレ。  月を見て、豚が頭の上を舞う、豚の行進、幸せそうに酔う。  ま た 豚 か。  豚の酒盛り、バラの園、バラを頭に飾り、琵琶打ち、バラ色に染まる月夜。  牛と琵琶打ち、さっきまで元気に歩いていた牛が…ショックで文字通りブルーに。  滝平二郎みたいな切り絵、牛の骨。  砂絵、夜空に輝く、赤ん坊、妹の眉、星がギラギラ鋭く輝く。  裸の女、薄絹一つ、ビーナスの誕生?  平安時代? 
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-29 21:24:53)
87.  ビフォア・サンセット 《ネタバレ》 
若者から大人へ。  前作とは何が違うか、どうか最後まで見て欲しい「サンライズ」の続編。  前は電車という街へ向かう道中、今作はいきなり街の中から、街角、路上、人々で賑わう街、書店、インタビュー、思い出す思い出は前作、キャメラの質感も前作の雰囲気を思わせる。  喋る喋る喋る、喋っている最中も動き出したくてウズウズ、ふと横を向いた瞬間に。  やはり歩いて歩いて歩く、時折悪態をつきながら再会を分かち合う、親しい友人か愛する異性か、子供から大人になった二人だけの秘密があの頃に戻してくれる。 「もっとあるよ(あと1時間くらい)」  二人にとって。会話の内容なんてどうでもいいのかも知れない。ただ互いを見つめ合いながら一緒に歩ければそれで。 過去は一緒にいるための話題として語られ消費される。街にこだまする音も。言葉は映画を彩る、二人の道中を飾る音楽のようになっていく。そう思うと音楽は鳴りっぱなしだな。  だがまさか10分もくっちゃべってる場面を延々と、前作とお~んなじように同じ俳優によって見せられるとは思わなんだ(褒め言葉)!誰にも話しかけねえ!前作のオッサン!!来てくれー!!!助けてくれー!!!!  年齢を重ねた二人、、二人にとっては至福、見守る人によっては苦痛を感じたり退屈に思う人も多かっただろうね。何故俺は退屈に感じなかったのだろうか。  指先が現す銃、カフェでも身振り手振りと舌は止まらない、食事。 「裸見ないと」 上着を脱ぎ、髪を下し、煙草をたしなみ、落ち葉、路地。おっと、ここまで頑張った観客に言いたい。どうかカフェで切らないで欲しい。  路地から歩道橋の上へ、公園を通り、短い橋を渡り、木漏れ日、ラフな格好は男を誘っているからなのか、上着は脱いだまま、性の話は女を求めているからなのか。  会話は前作とのギャップに戸惑う瞬間も。 突然椅子へ彼女を誘う、階段を下りたりすべり下りたり、川沿い。 黙ると死ぬのか!?船すら止まってやがる!!動け!動けってんだよこの野郎!!!動き出してくれてほっと一息。  船が動き続けることで髪と薄布もなびき続ける、船上でも男は姿勢を変え続け女も座る、橋はトンネルとなって影を落とし日も少しずつ傾く。 「細かいところに目がいっちゃうの」 そうなんだ、気をまぎらわそうとしてあらゆる仕草を見ざる負えない。車に乗っても喋り足りない。 運転手「うるせえなコイツら」  哀しそうな顔で触ろうとしてやめる手、路地を曲がる瞬間に雰囲気が明るく、抱擁、路地裏、猫、住人の紹介、自宅へ御招待、一曲、上着を脱いでくつろぐ、ギターを抱えて歌う、写真。 CDの音楽が流れ、二人は黙り…なんて思っていた瞬間が俺にもありました。  身振りでコンサートの様子を伝え、その後は二人だけが知っている。沈むであろう姿も映されて。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 07:38:04)(良:1票)
88.  シッコ 《ネタバレ》 
マイケル・ムーアの最高傑作として評価の高い作品。  とりあえずDVDで笑顔を見せるムーアを殴りたくなったのは俺だけ? 初っ端からブッシュの演説、脚の怪我をみずから治療医療保険を持つことができない人々の現状、指を失った者の選択、たらい回しにされる両親 、子供はただ泣くしかない、これみよがしに悲しそうな子供の顔を見せつけること。  老骨に鞭打つ仕事人、酷い理由で保険が下りない人々、赤い丸やラインを引き強調、著名なwwwww映画作家wwwww、一般人や保険会社、刺客、医師といった人間にもインタビュー。 リストを「スターウォーズ」のパロディで映すのに爆笑。  保険に入れた人々は幸せ…なんて思っていた時が私にもありました、、何故チャップリンのマッサージ、人種差別問題にも踏み込んでいく、過去を示すザラザラのフィルム、写真 、ホワイトハウス、椅子で足を組む男、ニクソン、クリントン、、赤狩り、ジョン・ベルーシ?、政治家どもの茶番、人を診るのに嘘を糞のように垂れ流し、主義もクソもあるものか!  ムーアの評価:カナダ最高 ま た カ ナ ダ か  もう結婚しろよおまえら、トミー・ダグラス、ソ連のプロパガンダ映画、労働、アメリカに当てはめる歌、ムーアは偏見に満ちたアメリカ人となってインタビューしまくる。 戦争を潜り抜けたイギリスだからこそ、イギリスを戦勝国呼ばわりするのは大間違いだ。 広大な植民地を失い、街も焼野原、チャーチルはボケナス、フランスは革命の国、薬のCM、奴隷のように、テロリストになぜ医療を、その癖イラクは空爆、直訴するための船出。 キューバ「訴訟も辞さない」 カストロ「誠に遺憾である」 治療を受ける人々、自分のアンチサイトまで取り上げるからこそムーアは強いのだと思う。そんな自分を楽しんでさえいるのだろう。  最後は命の洗濯を頼みに今日もムーアは歩き続ける。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 06:54:01)
89.  The Follow 《ネタバレ》 
デヴィッド・フィンチャーとウォン・カーウァイが組んだ短編「The Follow(The Hire: The Follow)」。  女性の後ろ姿、鳥の群、夜のハイウェイ、相談をする黒服の男たち、写真、標的を尾行、追跡、回想、封筒、空港、寝ている女と二人きりの夜、キスでもしようとしたが思いとどまる、目の痣?
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 06:20:14)
90.  ボウリング・フォー・コロンバイン 《ネタバレ》 
マイケル・ムーアという映画監督は、ただありのままを映そうとするタイプのドキュメンタリーは撮らないらしい。 あの芝居がかった行動の数々で映画のようなやり取りを見せつけ、一つの事件を通してあらゆる要因を羅列し引きずり出して注目させようとする。今回は銃社会のアメリカに潜む問題のようだ。   自ら俳優のように出まくり映画を引っ張る肥えた肉体。 オーソン・ウェルズのように悪の権化としてずんぐりむっくりの体で威圧感を出すワケでもなく、西部劇で偉そうにのしとのしと歩く腹の出たガンマンの如くムーアは登場してくる。マイナスイメージをあえて前面に出すことそのものが壮大な“当てつけ”なのだ。当てつけしないと死んじゃう病なのかも知れない。だから意地でも痩せないんだと思う。 表情はコメディアンのようにどこか微笑みを称え、銀行で得たライフルを抱えて買い物を済ませる“日常の光景”を映す。 時にインタビュアーとして執拗に問い詰める時もあれば、手を肩にやって同情するような場面も物凄くわざとらしーく見せつけたりする。当事者の目の前でそれをやるのだからつくづく胆の座った奴だわ。  インタビューをした人々の顔もこれみよがしに見せる。銃に狂った老人のギラギラした眼、銃を握りしめ高々と掲げる演説者チャールトン・ヘストンの笑顔、無責任なマスゴミや報道陣の笑み、恐怖に怯える顔、失望と怒りの顔。  幼きムーア少年はおもちゃの拳銃の引き金を引きまくり、現在のムーアはけして銃弾を発射せず、銃を撃つ市民や銃弾を喰らう人々の姿を映しまくっていく。 映像が得られなかったものの代わりに何かを映し、得られた映像の使い方も強烈だ。  ボウリングのピンの件でハワード・ホークスの「暗黒街の顔役」についても語られるかと期待したがそんなことはなかった。あの映画のようにデカデカと書かれた文字が語る社会の矛盾、ピンと人が薙ぎ倒され横たわる光景が幾度も映される。  事件現場の校舎や街、弾痕、道、事件当時の一部始終を捉えた監視カメラ、殺人者と殺害者を明確に示すように光が人物を覆い、助けを求める悲痛な叫びは机の下に伏せる人々の叫びを聞かされるようだ。  「マトリックス」を守るエージェントの「Non!」、「駅馬車」やウィリアム・S・ハートといった西部劇、「國民の創生」の人種描写、「サウスパーク」の冬、企業コップのイメージに何コレ超見てえ、アニメーションで描かれるよくわかる人種差別&銃社会アメリカの歴史に爆笑、細い男の服の中から次々に銃が出てくる瞬間の戦慄。 様々な国で引き起こされた虐殺、銃のゲーム、まばゆい光の中に突っ込んでいく“買物”、当事者たちのすべてをぶつける闘い、ダイナミック営業妨害、毒には毒で、極端には極端で、メディアにはメディアで殴りつける。  右足をソファーに突き付けてインタビューに応えるマリリン・マンソンの職人意識。 彼が取材を受けるのはどんな時でも己を貫く姿勢を示すため。ムーアも黙ってそれを受け入れたのだろうし、一人去っていく者へ黙って写真だけでも置いて去っていく。それ以上の追及をあえてしないのだ。  アメリカとカナダの同じ銃社会でも意識の違いがハッキリしているのは興味深い。 日本も昔は日本刀だの槍だの鉄砲だの世界有数の銃社会だったからなあ。日本人も黙って見過ごせない問題ですよ。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-30 00:38:46)
91.  ホテル・シュヴァリエ 《ネタバレ》 
ウェス・アンダーソンの短編。 ホテルのロビー、部屋から電話で注文するバスローブ姿の男、女からの電話で風呂をため、音楽をかける準備をして待ちかねる。  服をローブから黒いスーツに着替え、音楽とともに女を出迎え、抱き合う。 剥製、オルゴール、絵といった男の趣味、カバンの中に何かを挟む、ホテルの・・・いや男が使ったであろう歯ブラシで歯を磨く。 男がチョコをつまむと女はベッドに寄り、一緒に寝転がる。食事を運ぶ従業員、それに合わせて上着を脱ぐ彼女、従業員が去ると情事の開始だ。ブーツをぬがし・・・その後は・・・。  裸の彼女にゆっくりとローブを着せていく。二人は「食事」を先にすませて続けて別の食事をするつもりなのか、それとも食事前の「前戯」だったのか。 窓辺からホテルの外を見る二人。向かい窓の人はそれを“目撃”していた可能性も・・・w
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 17:42:14)
92.  素晴らしき休日(2007) 《ネタバレ》 
北野武の短編。 カンヌ映画祭で53人の監督が「3分」という制約時間で映画館をテーマに撮ったという作品の一つ。それらの作品と合わせて連続して見たらかなり面白いのだろうが、単発だと物凄く物足りない。  映画館、緑の原っぱ、道を駆けてくる自転車、見かけよりもさらに古びた館内が暗示する不安。 映画館で上映される「キッズ・リターン」の上映は度々途切れてしまう。途切れるたびに「すいませんね」という具合に謝る北野武の確信犯。煙草の数が語る待ち時間。 自転車で走るシーン、ボクシングのシーンがぶつぎり、今度はフィルムが燃えてしまう。 犬に餌をやってまた待つお爺さんの忍耐力。これがジワジワくる。  「俺たち(が出てるこの映画)もう終わっちゃったのかな?」「馬鹿野郎、まだ始まってねえよ」 すっかり夕日でえーこれで終わりかよ! 何だコレ。 怒るどころか呆れて後を去る爺さんの背中が何とも言えない。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-12 14:08:29)(良:1票)
93.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
園子温による最高傑作だと言われる作品。または最も平和でエロもほとんどない「気球クラブ、その後」、あるいわヤりたい放題やった「冷たい熱帯魚」か。 性欲をむきだしにしたという意味では「冷たい熱帯魚」は風呂場で乳繰り合いとかぶっ飛ばしていた。 それに比べると、この映画がむきだす“愛”とは言葉を叫んで叫んで叫びまくるというもの。 屹立する男の勲章も、女の蕾も布で徹底的に隠されている。乳首すら映らない。パンツ見ただけで勃起する人間なんてこの時代、滅多にいないだろう。主人公だって中々ビルドアップしなかった事だし。  前半1時間46分は3人の男女が出会うまで、後半2時間11分は出会った3人が破滅していく様を描いていく。  まず「ユウ」の章。 ユウの青春は祈る毎日だった。マリア像の前で祈る母、食前の、死にゆく者への祈り。 マリア像に見る母の面影、父親を狂わせる女への嫌悪。10分を過ぎた辺りからこの映画は、ユウたちは狂いはじめる。父親は愛する女性を失う恐怖から逃れるために仕事に打ち込む。打ち込みすぎて少年は罪探しから罪作りな子供になっていく。父親に愛して欲しかったから。 同級生の消しゴムを引きちぎり、ボールをあらぬ方向に蹴飛ばし、蟻を踏み潰し、不良たちと自販機をブッ倒して破壊したり。いつしか父親の愛は遠のき、不良たちが本物の友達になっていた。 神父の洗礼、不良たちの洗礼。戦闘訓練、喧嘩。父を狂わせたあの女と同じような言葉を吐くようになってしまう。  ここまでの39分は大いに“真面目”だった。だがこれ以降はシリアスな笑いに嬲られるような展開が待ち受ける。  「すべて股間につまっている」という無駄に洗練された無駄のない無駄な動き。すげえ(馬鹿だ)!  これでハードな殺し屋家業を歩むとか、そういうのなら解るんだけどさ。運命の出会いとか、今まで犯してきた大罪を暴かれて絶望に暮れるシーンとかさ。 でも全部コレ盗撮だからっ!どうあがいてもっ!どんな音楽流そうと!どうしてこうなった。 「四十二番街」を思わせる脚のアーチ!この映画は最高に頭がおかしいぞ(褒め言葉)。  奇跡へのカウントダウン、集まる男たちと女たち、運命の“罰ゲーム”! 女番長(池玲子)とサソリ(梶芽衣子)が合体した黒衣の存在、それと対照的な白いカラーで固めた女たち。 戦いに生きるサソリという仮面、エロに生きるユウという真実。奴らが彼女に白い布を被せたのは意味図的か無意識か。観客のたまった鬱憤を爆発させるような殴り合い、ステゴロ、長い得物でブチのめす。段ボールの山はヤクザのダメージを吸収するため。  やっと「コイケ」の章が語られる。ここから親の愛に飢えた子どもたちの話になってくる。どいつもこいつもろくでもない親ばかり。 家庭内暴力、殺すことよりも恐ろしい“へし折り”。鳥公の仇だ!こんなん見て勃つどころかますます萎縮するわっ。こんな女のアレを見せられてもだから何だよと。そもそもあれだけ見せられたら誰だって飽きるわ。  続く「ヨーコ」の章。 彼女が見る飛び交う弾丸は、ユウのハートを撃ち抜いてしまったようだ。トラックには中指で返事、ノートには男たちへの呪詛、路上の男たちには八つ当たり。 恋は盲目・難聴のようでサソリの“声”も聞き分けられないほどらしい。 ヨーコが慕う女性の正体にもビックリ。愛の暴走が車を海の中にブチ落とす。この暴走はユウにも伝染してしまったらしい。  残る「サソリ」の章はでっちあげられた偶像をめぐって男女たちの争いが繰り広げられる。 偽りの家族、偽りのヒーロー、本音をむきだせない葛藤。そこに割り込む悪魔、NTR、倒される十字架、崩壊する人生。悲しい音楽でごまかそうとしてもダメだ。俺の腹筋は逝っちまった。  すべてを失った者を包み込む不良たちの優しさ、洗脳を解くための根競べ、拉致、精神的な“去勢”。監視が緩くなるまで耐えて耐えて耐えまくり本音をビルの中でぶちまけるクライマックス!すべてはもう一度家族に愛されたかったから。 像が砕かれる瞬間に膨張する狂気、叫び叫び叫ぶ。直接斬ったのは数人だけだが、精神的にブッた斬られた人間はかなりいるだろう・・・という解釈が出来た方には最高のエンターテインメントなんだと思う。でもこれだけ時間かけてあれだけしか殺らないなんて物足りないにもほどがあるわ。別の映画みたいに無双できないというのがユウという人間の限界だったのだろう。何百人も盗撮するのとワケが違うからね。  ところでコイツは何で死刑にならねえんだ?精神障害で精神病院送り程度になるわけ?おお恐ろしい世の中だ。 胸元にしまわれるナイフ、叫び、鏡に映る屹立する男の勲章、走り去る愛のごりおし野郎、手・・・。  何 だ コ レ
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-18 12:11:14)
94.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
「誰も知らない」と比べると、その穏やかすぎる雰囲気に驚く。YOUも毒が抜けて浄化されてしまった感じ。毒のない人物ばかりでちょっと退屈だった。 「花よりもなほ」も最後の“笑顔”を見るまで我慢するような映画だったが、この映画もあの海辺のシーンを見るまで我慢するような感じ。 夏場に田舎の祖父のところまで行く過程、過ごす雰囲気とかは好きなんだけどさ。 小津安二郎の映画にも通じる雰囲気。その雰囲気に共感を覚える者は多いのだろうが、俺はあまり共感できなかった。 のぼったり、おりたり、とにかくゆっくりと歩く映画だ。電車、バス、階段。  荷物を持ってもらう事よりも、父親を名前で呼ぶことをお願いする母。 でも「どっちか持とうよー(怒)」  歯磨きの場面は「誰も知らない」といい、是枝裕和の作品で幾度も挿入されてきた。 野菜を切る音、てんぷら、風呂場の割れたタイル。  子供たちの会話、夏休み、食事。割ったスイカは見えない。じいさんを動かすのは“音”。 写真に作文。ぼやける絵、遠目の写真。当の本人とって、自分の思い出はそれほどぼやけてしまっているという事なのだろうか。  窓ガラスに映る顔、遺影、ドアから出て遊ぶ子供たち、孤独でいたい爺さん、祖母の声をさえぎる子供の声、手で孫を誘う祖父、祖父を睨む父親(息子)。 家族の甘さに対する苛立ち、本業なのに相手にしてもらえなかった苛立ち。取り残されていく苛立ちと哀しさ。 それに対し妻は「ブルーライトヨコハマ」を懐かしみ、蝶を追って呑気ささえ感じさせる。   成長した息子と卒塔婆の数。大体それだけで事情は察する。ナレーションはいらない。 寂しいエンディング、そして天国でも暗示するかのような階段。 バスが去り、静かに坂を上り始める夫婦。  初めてハッキリ映る“絵”、意識する幼い頃の記憶の断片。  蝶、船、影、終盤やっと出てくる海・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 20:17:51)
95.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
この映画の大らかさが好きな人は、きっとカウリスマキの大らかさも好きになってくれると思う。 ただ、カウリスマキがフィンランドの町並みから社会の底辺や人々の闇も捉えるのに対し、この映画は太陽の光を注ぐように明るい、何処か陽気な雰囲気を終始貫く。  水のイメージとカモメたちのイメージから始まり、一人一人客が増えていくように、徐々にハマッていく作品だ。  地を歩くカモメ、かもめ、かもめ、かもめ。  ガラガラのレストラン、窓を隔て、女の耳に御夫人たちの噂は入ってこない。  客も来ないので居眠り、一人で泳ぐ、日課の合気道・・・よく一ヵ月も持ってたのが不思議なほど暇そうな顔で登場してくる。  「ガッチャマン」の歌を通じて出会う様々な人々、ニャロメを着た青年。頭から歌詞がスッと出てこず、止まる指。それが奇妙な巡り合わせで再びペンが入っていく歌詞。 歌が繋げる。   渋いオッサンのコーヒー講座、ちょっと怖いかもめの絵(「ムーミン」風?)、久々に食べる故郷の味に泣く、 アラスカ、タヒチ、ハモる女二人の談笑、森で花摘み、おにぎりを食べ、それを珍しそうにじっと見つめる人々。  ターヤ(Tarja Markus)のエピソードが一番面白かった。 無言でいつも店を睨み、入ったかと思うと無言で盃をグイッ、無言で見つめ合う。お?イメージ通り酒も強いのか?と思った瞬間にバッターンと倒れる。 胸にためこんでいた思いを打ち明け、帰らぬ夫の事を想いながら藁人形に釘を打ち込む。夫のTVも視界も砂嵐状態。  人魂のように揺れる電灯、サングラスで休日を満喫。ターヤもスッキリしたのか、大分女性らしい格好に。  泥棒を合気道で打ちのめす場面。この映画で唯一と言ってもいい対人へのアクション。しかしそれでもっと大きな事件が起きそうで起きない、この緩さ。  赤ん坊のようにコーヒーメイカーを大事抱きかかえる、黄金のように輝く花。  食堂もプールも孤独ではなくなった彼女の姿を映して物語りは締めくくられる。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 19:22:52)
96.  ウォレスとグルミットのおすすめ生活 《ネタバレ》 
1話2分、全10話で次から次へと繰り出されるオムニバス。  相変わらず扱き使われるロボット、転ぶわ爆発するわ、人選ミスだわチーズは自分で買いに行け。 にわとり、ペンギン、TVの逆襲、ゴミまみれ。 トラックに粉砕されるウォレス、クラッカーのホラー、グローブでぶっ飛ばされたり、掃除機の怪獣、下手すりゃ殺される全自動クッキング。 羊のコスプレ、サッカー、テニスと。誠に突っ込みが追いつかない内容となっています。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-04 21:05:09)
97.  花とアリス〈web〉 《ネタバレ》 
DVD特典版の感想。  最初にwebで公開されたver.とDVDに収録されているver.は細部が異なるらしい。 残念ながら最初のver.は見ていないので何とも言えない。   冒頭に「break town cinema」の文字が入る。キットカットの30周年記念の際に作ったそうだが、本編にキットカットと思わせるチョコは発見できなかった。web公開当時のver.には出ていたのだろうか。謎だ。   第一章「花の恋」が17分、 第二章「花の嵐 I 秘密」が13分、「花の嵐 II 乱舞」が11分、 第三章「花とアリス」が14分の三章四部構成。先に見た長編と比べると細部が結構違う。  最大の違いは長編がアリスの描写が多かった事に対し、短編は花がメインだ。 例えば、花の中学時代の電車の中。カバンを椅子に投げ込む不良風の金髪オールバック男とその女友達が出てくる。それを見て花がビクビクする様子が描かれるが、同時に隣に座った宮本先輩の存在にもドキドキしている状態だろうか。岩井俊二の手にかかれば不良も可愛らしい存在になってしまう。 その後に電車に差し込んでくる光を手に当てて戯れるような描写(さっきまでいた客がいなくなっているので、かなり時間が経ってからだと思われる)。花の横でメイクをする女も登場。  このように、本編と比較しながら見るのが楽しい。 ただ・・・長編で一気にダッーと見たせいか、同じような内容の短編を区切り区切り見るのはちょっと変な感じ。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-03 07:18:55)
98.  それでもボクはやってない 《ネタバレ》 
「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」みたいな痛快な映画と比べると、この映画はそういった楽しさが徹底的に削がれてしまった印象を受ける。  ビルを走る一本の電車。その密室では、突然尻をなでてくる者の手が“恐怖”へと変わるし、手を掴んだり密告される瞬間も恐怖と化す。  その恐怖を知る者は、その領域に入った瞬間に両手をあげて命乞いをする。まるで拳銃や刃でも突きつけられている様に。それを知らない者は、出会ったばかりの赤の他人に殺されてしまうのだ。社会的に。  この物語は、そんな社会的に殺されかけた男の孤独な闘いを描いていく。途中挿入されるわずらわしい音楽(最初から無音なんだから最後まで音楽の挿入はして欲しくなかった)も、監督がこの男に同情するが故だろうか。 絶望を語る筈の独房も妙に白いし、照明まで彼を暖かく照らすように明るすぎるのではないだろうか? 「どうしてこうなった」と無言で泣く男の姿だけで充分です。  動く密室の次は、取調室という密室で数人の男に尋問されるという恐怖。常に同じような事件に振り回される男たちの苛立ちは、捕まってしまった人間にブチまけられる。 捕まった人間にとっては「知ったことか」である。誘導尋問、脅し、レッテル貼り、疑心暗鬼、偽善、指紋。 そこに人権とか、偽善がどうとかといった感情は消えていく。あるのはブタ箱にブチこむという“作業”の繰り返し。 何度も何度も何度も「アナタハ痴漢ト疑ワレマシタ。ナノデ逮捕シマス」という具合に延々と同じ言葉を繰り返す。そのしんどさ。二度と見たいと思わない退屈さ。音楽まで似たようなBGMを繰り返しやがる。 あの気の遠くなるような説明は本当に早送りしたくなった。 主人公も感情が消えかけ嫌気が差しているのだから。この辺は社会派映画の悪いクセです。  独房の中で出会う常習犯たちの奇妙さ。それは事件の捜査に疲れて荒んだ警察も、態度をコロッと変える管理人にも、興味本位だけで犯罪を追っかけまわす男たちにも共通する。  痴漢被害に遭ってきた筈の少女の姿にも奇妙さが目立つ。彼女の親は何故裁判所に来ないのだろう。親は既に亡くなってしまったのだろうか。 だとしても、代わりに先生がくるとか、友達が来るとか。そういうのが描かれていないのが不思議だ。 壁に覆われて、主人公やその支持者たちも背中すら見る事が出来ない。主人公も、自分を警察に突き出した女性と一度キリしか会っていない。 そんな奴らに「貴様は犯罪者だ!悪魔だ!」と言われてみなさいよ。誰だって怒りますよ。憎みますよ。ガラスを叩いたり鉛筆を砕きたくもなりますよ。ピーポ君を傘でしばきたくもなりますよ(あのやり取りだけ唯一といってもいいギャグシーン)。 女子高生の視点を知るのは観客だけだ。観客だけがその映像に誘導され、揺さぶられるのである。  それとは対照的に、家族や友人たちはその奇妙さが消え去っていく。真実を知れば知るほど彼らは主人公を支え、一緒に闘うようになっていく。元カノも“信じている”からこそ体を張る。 最初は疑っていたからこそ、それに対する贖罪と共感・共に戦うからこそ得られる頼もしさ。 事件の再現から突破口を開こうとする瞬間、ここで初めて違う音楽が観客の心を洗い流す。様々な人間の視点や感情が真実を探り希望を見出し始めるのである。  それを嘲笑う社会の闇。 小日向文世を殴りたくなったのは初めてだ!素晴らしい演技!予告の躍りかかる主人公のように、あのにやついた顔面をブチのめしてえええっ  裁判のクライマックス。 そこには「それでもボクはやってない」と頑強に戦う覚悟を決めた男の表情だけがある。 主人公が一度挫折し、そこから立ち上がり成長していく姿は「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」にも共通している。  怒り裁判所を出て行った友人も、また彼のために戻ってくるのだろう。それでもカレはやっていないと信じているのだから。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-02 20:01:18)
99.  劇場版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ 《ネタバレ》 
「7日間」という言葉は普通タイムリミットとして使われるが、ポケモンの映画は“7日間だけ”というよりは“7日間もある”という印象。マサトにとってはたった7日間の出会いと別れだけど。セレビィとマサトの温度差が哀しい。今までのマサトとジラージの交流もあって。  セレビィのロマンチックさに比べてポケモンたちが襲われる描写は結構エグい。空中ポケモンたちの閉所での戦闘、デカ・グラードンとのバトルがとにかく凄い。この作品も明確な悪役と呼べる存在がいるかどうか微妙。まるで自然災害と戦っているような印象も。  どうでもいいけど、オープニングのマトリックスもどきは何だったのだろうか。
[地上波(邦画)] 8点(2014-12-31 20:13:53)
100.  劇場版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション 裂空の訪問者デオキシス 《ネタバレ》 
デオキシスとレックウザのバトルだけガチンコの激突、ラルースのハイテク技術やトオイの描写はあまり掘り下げられずオマケ程度。短編が無くなって100分もあるのに、もうちょっと人物描写を掘り下げても良かったと思う。  デオキシスたちが戦う理由は以前のポケモン映画に比べると何も無いに等しい。きっとそれ相応の理由があるのだろうけど・・・。デオキシスよりもラルースのコンピューターが暴走していく様子の方が怖い。アンノーンを思い出す無機質さ。
[地上波(邦画)] 8点(2014-12-31 19:45:00)
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