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花守湖さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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101.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
最初にジュノの個性的な部屋の様子が映しだされ、それだけでかなりマニアックな女の子だとわかりました。しかしナチュラルな子でした。保護者になった気持ちで見ていました。彼女の言動は傍若無人を通り越してすでにファンタジックでした。そんな彼女のことを、まだ何も知らないあの夫婦に誤解されまいかと、はらはらしながら見守っていました。そうしたら子供が欲しいのに妊娠ができない妻の前でジュノちゃんは、ちゃっちゃっと赤ん坊をしぼり出してアンタがたに渡したいなんて、、お中元じゃないんだから!命の尊さのかけらもない言動だけどじつは悪気はないんです、こんな子なんです。私がかわりにあやまりたい気持ちでした。わたしの気持ちが通じたのか夫婦はジュノのことをわかってくれたようで本当によかったです。彼女が妊娠を家族に告白しようとしたとき、おそらく両親は戦々恐々だったでしょう。こんな娘だからレズビアンにカミングアウトするか最悪の場合左翼にオルグされて学生運動に参加するかどちらかです。でも妊娠、ときかされて、「え?ニンシン?逮捕されるんじゃないの?」とでも言いたげな両親の呆けた表情にみとれていました。案外得するキャラクターかも?最後は赤ん坊をすごく欲しがっていた母性のかたまりのような女性がジュノの赤ん坊を手に入れてよかったです。じつは静かにもらい泣きしました。めでたし。めでたし。
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-12 19:38:48)
102.  萌の朱雀 《ネタバレ》 
ひとことでいえば愚直で純粋な映画。フランスの慧眼によって表舞台に出てこなければ一生お目にかかることができなかった映画。観客のノスタルジーを刺激する映像がとても美しかった。私のように今でもこういう場所の近くで住んでいる人間にとっては、かなり痛い映像でもある。ちょうど文化大革命期の中国において、反革命分子の子が再教育のために、奥深い山村へ飛ばされる、そういう場所の映像を思い出してしまった。都会の人間にはさぞかし癒される光景だろうが、実際にそこに暮らす人々にとっては、吉幾三の歌ではないが切実な問題なのです。過疎化は過去の遺物ではない。スズムシの泣き声は都会暮らしの人間にはさぞかし風流だろう、しかし私の住む場所では、スズムシだけではなく、近くの田んぼでカエルまでがゲロゲロ鳴いている。ちょうど「カサブランカ」という映画において、兵士たちがドイツ国歌とフランス国歌を張り合うように歌う名シーンがあるが、それと同様にスズムシとカエルが競い合うようにハーモニーを奏でている。嫌になってくる。家族構成も新鮮だった。無職で無気力なダメオヤジと、すぐに逝ってしまいそうなバアさんがいる。これで老人がボケたら目も当てられない大惨事になるのは火を見るより明らかだ。都会ならば一瞬で家族崩壊であろうシュチエーションでも、田舎ではそう簡単には壊れない。俳優陣は9割が素人。まったく演技せず、素で喋っているので、もごもご何を言っているのかよく分からないけど、特に理解する必要もないとおもう。そういう映画じゃない。なにかを感じる映画です。鉛色の空色や、食卓の場面で開けた障子の合間に見える山々の頂が目線の位置にあること、充分に共感できた。久しぶりに見ごたえがある映画と出会えたと思っている。
[DVD(邦画)] 9点(2008-09-15 20:30:58)(良:1票)
103.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
グロテスクな映像ですら「娯楽」の1つとして魅せていました。「あなたの生まれてくる世の中は残念だけど、とってもつらいわ」と母親のおなかにいる赤ん坊に問いかけるオフェリアに泣かされます。大人が人生に苦しむのはまだ我慢できる。しかし幼い子供が人生に苦しむのは許しがたい。スペインの内戦といえば実際に自ら従軍したヘミングウェイの「誰がために鐘はなる」を読んで昔衝撃を受けたことがありますが、ここで展開される内戦はそんな壮大なものではなくて、あくまでも生きるという事の辛さを伝えるためのものでした。仮に戦争中ではなくて裕福な日本であっても、自殺に成功する人が毎年3万人、自殺に失敗する未遂者がその10倍、つまり1日に900人前後の人がどこかで自殺を試みているわけですから、人生の苦しみというのは、いつの時代であろうが、どこであろうが相対的なんだと思います。つまりこれは特別な人の、特別な場所で起きた、特別な物語ではなくて、誰にでも訪れるであろう普遍的な物語でした。だから共感できる。オフェリアが試練を乗り越えたら、悲しみのない幸せな国の王女様になれるという空想を持つ事だって、滑稽で同情すべきものではないと思います。たとえば仏教の教えは善行を積めば極楽浄土へ行けると言いますが、それはオフェリアの空想となんら変わりません。人間は不安に耐えるために空想を作り出すのです。オフェリアの不安の原因を「戦争」という遠大なものではなくて、もっと身近な「大尉」というものに焦点を絞ったのは分かりやすくてよかったです。この大尉は、自分の妻ですら、女は子供を生む機械だという態度で腹がたちます。彼は自分の遺伝子を残すという動物的な本能以外は何も思想がありません。ひどい男です。オフェリアの唯一の理解者であるメルセデスが大尉の口を裂いたときは痛快でした。ボクシング中継を観ているときのように、そこだ、右だ、よし左、やれ、ぶち殺せ、と叫んで応援してしまいました。この映画はメルセデスが一番輝いていたと思います。本当に哀しい物語ですが、この映画が終わった後、つまり監督が「はい、カット」と言った後に、メルセデスと死んだはずのオフェリアが立ち上がって、2人は仲よく微笑みながら珈琲を飲んでいる。そういう光景を空想して悲しみを紛らわせたいと思います。 空想は人間の特権です。
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-28 22:37:54)(良:4票)
104.  ブラックブック 《ネタバレ》 
ナチスがユダヤ人をしつこく追い回すという典型的でありきたりなヒューマンドラマはいっぱい観てきたので、もう観たくありませんでした。しかしみんなのシネマレビューの評価は嘘をつきませんでした。一番面白いのは主人公のユダヤ人であるエリスが死にそうで死なないところです。素晴らしい。「戦場のピアニスト」のユダヤ人の主人公もかなりしぶとい男でしたが、エリスはそれを上回るしぶとさだと思いました。特に圧巻だったのが船の上でユダヤ人が棒立ち状態で射撃の的にされて皆殺しにされるシーンでした。まわりのユダヤ人は次々に倒れていくのにエリスには弾は当たりません。いや当たっているのかもしれない。不死身なのかもしれない。人間じゃないのかもしれない。未来からやってきたターミネーターなのかもしれない。本当にびっくりしました。またエリスが体に注射されて殺されそうになったときも凄かったです。エリスの体が動かない、これは殺られた!と思いました。チョコ食って、少しは体が動くようになりました。でもこの状態では空でも飛んで逃げない限り助からないと思いました。そしたらやはり飛びました。窓から飛びました。思わず拍手しました。すべてにおいて完璧な女でした。シガニーウィーバーに変わって是非エイリアンシリーズの主役になってください。驚きの映画でした。エリスの生命力を賞賛したくなりました。人間ってすばらしい! 
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-22 18:24:58)(笑:1票)
105.  美しい人(2005) 《ネタバレ》 
この作品には一貫性がある。どの章も女性の孤独が描かれている。1章は服役中の母と、面会に来た娘。娘に恋人のような存在ができ、しだいに自分の手から遠ざかっていく様子を何にもできずに静観するしかない母親の焦燥感といらだちが表現されている。2章は妊婦の女と、女の元恋人が偶然出会う。幸せな結婚生活をおくる女の前にかつて結婚を誓い合った男が現れる。女は過去に男の赤ん坊を身ごもって流産していた。3章は父に会いに来た家出娘。体が弱くて美しい妹のみが父親から溺愛され、姉は父から愛情を受けずに育った。嫌われ松子を彷彿とさせる。4章は愛する女と愛されるクソ男。子供の頃に両親が離婚した経験を持つ女性は、自分は安定した生活を送りたいと願うが、彼女が愛する男はいつも甲斐性がない。母のようになりたくないと思いつつ、母に近づいていく女の静かな怒りが伝わってくる。5章は離婚寸前の両親をもつ娘。子供という生き物は親に迷惑をかけるものだ。ただしそれは親がしっかりしている場合に限る。もし親がどうしようもないクズだと子供は自分がしっかりしなくてはいけないという意識が芽生える。その典型がこの娘。しかし愚かな両親の愛想劇に、娘の神経はずたずたになっていく。6章は聾唖の男とその男の元妻の物語。聾唖の男の後妻が自殺したあとの葬儀で元妻と出会い性欲を訴えるという話。聾唖は無垢の象徴。元妻は母性の象徴だと思われる。7章は不倫する女。特に感想はない。8章は乳がんになった女とその夫。手術前。女が女でなくなることに対する心理描写が秀逸。そんな女を見守る夫は置物状態。女はその置物に安らぎを覚える。9章は祖父と孫の墓参り、もしくは母と娘の関係。取り残された女性2人の将来に対する漠然とした不安心理を自然に表現している。全体評価としては、人間関係や女主人公が置かれている現在の状況を理解するのにはじまりから2分はかかる。1章あたり10分程なので少し気を抜いてしまうと「おまえら誰やねん」という登場人物が必ずでてくる。従ってこの作品は平凡でありながら息の抜けない物語である。短編なので説明不足になるのは否めないがその分、想像力で補う余地はある。ちなみに私が説明した1~9章の感想は正しいと思わないで欲しい。しかし間違いだとも思わないで欲しい。良作は「真実」が監督の考えからはみだして、観客の想像力に委ねられているものをいう。 
[DVD(字幕)] 9点(2008-03-28 20:10:57)
106.  バベル 《ネタバレ》 
1丁の銃が人々の不幸を招いたという見方もできるし、1丁の銃が人々の切れた絆を元に戻す役目を果たしたという見方もできる。皮肉なことに残酷な「銃」が、バベルな人々を再生させるきっかけになっています。「聾唖」は、コミニケーション不全の社会のメタファーだと考えるのが適当だと思いますので、聾唖者(又は日本人)が悪く描かれているという見方をすると、この作品の本質を見失う可能性もあります。つまりこの少女はバベルの塔をつくり、神からコミニケーションを奪われた罪深い人間の象徴として描かれているのです。この映画の本当の主人公でしょう。彼女はコミニケーションに飢えており、奇怪な行動を繰り返すようになる。しかし喋ることができる私たちでしたら、コミニケーションは正常に機能しているのでしょうか?神話の時代に言葉を「分断」されてしまった私たち人間は、今では言葉が通じ合う人たちに対しても、コミニケーション不全に陥ってしまいました。お互いを理解できないモロッコの兄弟や、アメリカの夫婦、日本の父娘をみて、まずそのことに気がつかされます。すべての登場人物たちが、同じ言葉を持つ人たちと意思疎通ができていません。彼らは「銃」をきっかけに、自分の罪を自覚し、一番大切なことに気がつきはじめる。たとえばアメリカの夫婦。妻にもっと努力しろと言っていた夫は、妻が凶弾に倒れ瀕死の状態になったときに、はじめて自分と向き合い、妻に懺悔する。罪の自覚がなかったモロッコの弟は、兄が銃殺されたことによって、死の恐怖を超越するほど強烈な罪の意識が芽生え、銃を持った警察の前に進み出て激しく懺悔する。また、善人であるはずのメキシコの家政婦は、子供に「あなたは悪い人じゃないの?」と言われて「私は悪い人間ではない。ただ愚かなだけなの」と弱々しく言い放つ。誰もが罪を背負って生きているという強烈なメッセージ。彼らは「銃」によって傷つき、そして自分たちの弱さを自覚する。こんな世の中で一番大切なことはまず自分の愚かさに気がつくことなんです。自分の罪を自覚したときにはじめて同じ罪を持った他人を理解できるようになる。バベルの塔を連想させる超高層ビルで抱き合う父娘のラストシーンについて。神から言葉を分断されても、また言葉すら失っても、人間はさまざまな手段でお互いを理解しようと試みる─。コミニケーションの重要性を訴えかけた素晴らしい作品でした。 
[DVD(字幕)] 9点(2008-02-12 20:21:43)(良:3票)
107.  クィーン 《ネタバレ》 
一般的に王室というのは、理想的な家庭の模範として存在すべきだ、という暗黙のルールがあるのかもしれません。それだけにそこにギャップが生まれると非難の的になる。善の仮面をかぶったパパラッチはダイアナを追撃し、最後に抹殺した─。しかし一転して今度は亡くなったダイアナを持ち上げ、国民の怒りの対象を王室へと向かわせる。究極の偽善者とはどこの国でもマスコミなのです。このバッシング騒動によってクイーンの価値観は揺らぎ、彼女は「感情を抑圧することがずっと正しいことだと教えられてきた」という台詞を漏らす。つまりこの時期のエリザベス二世は、クイーンとして矜持を保ってきた「品格」すらも、冷淡だというレッテルを貼られ批判されたのでした。面白いのは、エディンバラというエリザベス二世の夫なる人物。いくら彼女が女王といえども、妻なのだから、夫の言動に少なからず影響を受けているのではないかと思いましたが全然そんなことがなかった。女王が寝ている寝室でおどける夫と、女王の命令に、うなだれて従う夫の対比が鮮明に印象に残ります。鹿と対面したエリザベスがその美しさに見惚れるシーンがあります。彼女が鹿に感じた感情は共感でした。夫のいる寝室ですら、妻として涙を見せられない女王が誰もいない水辺でようやく泣く事ができた。そのときにその鹿は現れたのです。しかし「孤独」の境地に共感したのではありません。鹿には気高さと威厳があった。彼女は鹿に孤高の影を感じて共感したのです。孤独と孤高は全然違います。彼女は妻であり、母親という肩書きも持つが、それよりもイギリスの女王として生きてきた。一切の「私」をすべて捨て去った人間でした。孤独になると分かっていながらも、あえて自分でその道を選んで進んできた─。エリザベス二世は孤高の人だったのです。このようにクイーンの本質を、言葉で説明するのではなく、一匹の美しく気高い鹿を見せることによって表現してしまう。まさに映画の持つ素晴らしさを充分生かした作品でした。 
[DVD(字幕)] 9点(2008-02-06 19:48:33)(良:2票)
108.  エヴァとステファンとすてきな家族 《ネタバレ》 
共同生活をしている人たちの存在感が凄まじい。フリーセックス主義の女、神経衰弱気味の共産主義の若者、フェミニストが嵩じてレズビアンになった女、おかっぱ頭のゲイなど個性的な人たちというよりも変態的な人たちの濃密な人間関係を堪能できる。まず冒頭から衝撃的なシーンがある。レズビアンの女は「性病にかかった」といって下半身を平気で人前で露出している。(毛がもさもさのためモザイクなし)それを見苦しいと思った元夫は、そのことを相手に分からせるために自分も下半身を露出する(もちろんモザイクあり)そんなときにこれからここに住もうとしているエヴァとステファンがやってきて見てしまった。まさに変態ハウスにようこそという様相でした。まずここでこの混沌(カオス)を見て、観客は引き込まれるか引いてしまうかに選別される。それからエヴァの父親は、宇宙戦争のトムクルーズの駄目パパぶりをさらに磨き上げたようなスーパーダメオヤジでした。実際に世の中には子供から孤立してしまう父親というのはとても多いと思う。父親というのは、母親が「あなたは父親ですよ」と認めることではじめて子供たちは父親を容認できる。逆に母親が父親に対して、親失格の烙印を与えれば一瞬にして父親は子供たちの前で親の権利を剥奪されてしまう。この映画の父親はなんとか家族を取り戻そうとするが焦れば焦るほど子供たちの前で失態を繰り返してしまう。そういう父に対してエヴァは現実的な子供の対応をし、ステファンは映画的な子供の対応を見せる。車の中でステファンと父親が抱き合っている姿を母親が窓から見守るシーンは映画的であり感動させられますが、反対にエヴァは冷めた目で親の離婚騒動を他人事のように眺めている。私もエヴァタイプの子供だったし多くの子供も同じだと思う。親の離婚騒動を客観化するのが現実の子供の姿です。ラストのサッカーシーンは泣けます。ゲイもレズもダメオヤジも隣に住むセックスレス主婦まで参加してボールを蹴っている。彼らはボールをどちらのゴールにいれるかに全くこだわっていない。そこに監督のメッセージを感じる。 
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-29 20:59:35)
109.  トランスアメリカ 《ネタバレ》 
男は男らしく、女は女らしくとは言いますが、人にはさまざまな生き方がある。と言いつつも実際に自分の父親や息子が、「男から女になりたい!」と言い出したら悪夢としかいいようがない。理解を示せる人は皆無でしょう。本作は性同一性障害を抱える主人公が高く評価されて主演女優賞にもノミネートされましたが、障害を抱える主人公よりもむしろ主人公の家族たちの苦悩や戸惑いのほうが印象に残りました。女性になったブリーをみて母親は泣き叫び、息子は怒って殴り飛ばす。理解しようとしない家族が悪いのではない。それは当然なのである。やはりブリーのやろうとしていることは家族にとっては絶対に許せない行為だ。他人事じゃなくて実際に自分の父親が女性になったことを想像してみればよく分かる。しかし許せない行為だけど、けっきょく最後には本人が決めることであり多くの人を傷つけても自分らしくあろうとする生き方を選ぶのは強い生き方だと思う。私たちはブリーのように「変態」ではない。しかし私たちはブリーのように自分を肯定して生きることはなかなかできない。すぐに自己嫌悪の襲われ、今の自分を否定しています。ラストシーンではブリーの息子がホモAV男優になることを、女性になった父親に告白します。異常なシュチエーションですが、2人とも今の自分に対して自己嫌悪の感情はなく、あるがままの自分を受け入れている。この映画は「変態となった自分」を他人に認めてもらうことが目的はない。いかに現状の自分を、自分自身が肯定できるかが問われているのだと思う。やさしい映画でした。やはり私だったらこの映画に10点をつけるしかない。 
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-18 18:27:05)(良:1票)
110.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
この作品の舞台となっているシエラレオネは世界で一番寿命が短い国として有名だそうです。RUF(反政府ゲリラ)が残酷非道な悪者として描かれていましたが、政府も腐敗しているのでしょう。少なくとも政府が弱くて頼りないという事実はそれだけで民衆に対する罪です。それにこれはダイヤモンドを買わなければそれで良いという問題じゃないでしょ?ダイヤモンドに限らず石油だって貴重な資源です。その資源を持っている中東では石油を売ったお金で武器を買って内戦をやっていますか?だ、か、ら、ね、ダイヤなんて買いたければ好きなだけ買えば良いんですよ。ダイヤを買ったからアフリカで血が流れているという理屈はちょっとおかしい。ダイヤがなくてもこの国の現状はちっとも変わらないはずです。かりに日本にダイヤがあったところで絶対に血まみれのダイヤモンド(ブラッドダイヤモンド)なんて言われないでしょう。北朝鮮やイラクがダイヤを持っていればそのダイヤを売ったお金で核や生物兵器を買うでしょう。つまりけっきょくはダイヤを持つ国そのものに問題があるんだから。そういう意味ではこの映画は少し一方的にダイヤを悪者にしすぎている印象を受けました。しかし物語としてみると、ソロモンとアーチャーの2人がとても良かったです。アーチャーは欲深い人間ですが悪い人間じゃない。両親を惨殺されているせいで虚無主義に陥っている。ヘリコプターの中であろうが、殺されるかもしれない車の中だろうが平気で眠ることができる神経の持ち主。強い男というよりもタフな男を演じていると感じましたね。ディカプリオは巧い。本当に巧い。娯楽作品としてはパーフェクトでした。 ダイヤに対する偏見を持つ人が増えそうなことだけが気がかりです。
[映画館(字幕)] 9点(2007-05-09 18:42:02)(良:2票)
111.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 
どの映画においても、残酷な殺し屋は愛に目覚めて更生しようとすると、最後は善人になり、そして99%の確率でラスト5分前に死ぬ。なぜなら映画は因果応報にはうるさい世界だからです。つまり罪をおかした人間は法律で罰せられなくても必ずなんらかの償いをさせられる。本作の主人公は冒頭、小さな女の子をためらいもなく殺す。法則にのっとればこの主人公はラストで死ぬことになる。しかし結果は予想外でした。だから考えさせられる。ガンジーのように非暴力主義では愛する人は守れません。しかし「愛する者のために戦うんだ」といえば聞こえがいいですが、暴力に対して暴力で立ち向かう事と一緒です。主人公は暴力を捨てようとしましたが、暴力で対抗するしか方法がなかった。戦争や核や銃の心理もこれと同じで守るための暴力から発生する。つまり「暴力はいけませんよ」なんていう台詞はそもそも暴力について何も考えていない人のいう言葉であって、この監督のように暴力をずっと考えてきた人が「暴力」を語るとき、そのメッセージは含蓄がある。ラストで主人公が家に帰ってくる。わたしはまだ油断していなかった。更生した元殺し屋はいつもラスト5分前に必ず死ぬ。それが物語の鉄則。暴力にめざめた息子が「オヤジ~!」といって銃をぶっ放すことも想像した。食卓には母親と息子と小さな娘がいる。主人公は家の険悪な様子に恐れをなして家から立ち去ろうかどうか考えている。1つの終わり方としてはこのまま彼が何も言わずに家を立ち去る終わり方がある。家族を失うことで、いちおう主人公の罪に対する罰が成り立つ。しかし違った。小さな娘が立ち上がる。そして小皿を父親の席に無言で置いたのだ。父親はおずおずと食卓につく。しかしまだ安心できない。息子の目がおかしい。挙動不振だ。すると息子は食べ物を父親の空の小皿にのせたのだった(泣) 息子は両親の様子を心配して2人の表情を交互に眺めていたのでした。ふとオヤジの顔が画面に映し出されると泣いている。妻も泣いている。私は2人より早く号泣中。 息子と娘は父親をふたたび家族の一員として迎え入れたのでした。一番うれしかったのは母親かもしれません。この食卓のシーンはすべて無言で行われます。映画史に残る素晴らしいラストシーンです(泣)
[DVD(字幕)] 9点(2007-04-20 21:08:52)
112.  サイレントヒル 《ネタバレ》 
いやぁ、楽しかった!これは生死を越えた奇跡の母娘の物語です!神を愛し魔女をでっちあげ、そして仲間の連帯意識を高めようとするサイレントヒルの住民たちは、ドッグヴィルの村人たちと似ていると感じました。最後にリーダー格のおばはんがアレッサに復讐されるシーンは、控えめながらに言わせていただくと、もっと苦しんで殺してやればよかったと感じたのは私だけ? 子役のジョデルフェルランド嬢は素晴らしかった。舌が噛みそうな名前ですが、2歳ですでにデビューしている天才少女らしいです。覚えておいて損はないでしょう。この子はアレッサの善のこころが生んだシャロンと、彼女の憎しみが生んだ死神の一人二役を見事に演じていましたね。とくに死神の時の顔の表情がすごくいい。メイクで怖そうにみせたり、悪ぶっていましたが、やはりかわいさは隠せない(笑) 死神は憎しみの塊のような存在ですが、強がっていても繊細な一面もありました。そこが切ない。 それと母親のローズは偉い!化け物を相手に彼女は一歩もひかずに我が子を取り返そうと走り回る。その姿に感動しました。それにしてもローズの夫は本当に使えない奴だ。サイレントヒルのなかにいて我が子を取り返そうと戦っている母親と、サイレントヒルの外にいてオロオロしている父親の姿が対象的にえがかれています。子供にとって母親は神であり、父親は用なしということか? 実の母親に裏切られて傷ついたアレッサの良心(シャロン)を、あたらしく母親になったローズが癒してくれた。 私にとってこの映画は絶対ハッピーエンドだ。 
[DVD(字幕)] 9点(2007-02-27 19:27:42)(良:3票)
113.  フライトプラン 《ネタバレ》 
面白い!これは母親の物語でした。娘を見失った母親が必死になって我が子を探す。わめく、泣く、怒鳴る、威嚇する、とにかくみっともないジョディー・フォスターを意外な思いで眺めていました。しかし最後になってようやく彼女の演じた「母親」がとても母親らしかったことに気がつきました。一般的に母親というのは「いい人」ではありません。極端なことを言えば全世界が滅びようとも我が子だけは救い出そうと考えるのが母親の本能なんだと思う。だから母親は仏教の世界では餓鬼地獄に落ちると言われたりもする。ジョディーが演じた母親は、乗客たちの安全よりも、とにかく娘のことを最優先に考えていた。その自己中心的な姿に共感する人は少ないと思いますが、私はこれこそ真の母親の姿だと感じる。反対に「男」という生き物は、いつも世間体ばかり気にしてカッコつけようとする。今回のジョディーは、本能をむき出しにした母親を演じていたように思います。そこに偽善が一切ないのが好感が持てる。まわりの迷惑を一切考慮せずに停電騒ぎをおこしたり、逆ギレしてアラブ人を犯人扱いにしたり、謝りもせず、お礼もいわず、ひたすら「娘~~!!」と叫びながら鬼気迫る形相で、善人の機長に食ってかかる母親はもちろん「いい人」じゃありません。乗客全員から悪意のこもった拍手をされているシーンが特に印象的です。しかし彼女は悪びれる様子もなければ自分の行っている行動に微塵の疑いも持っていない。それは「ははおや」だからです。全世界を敵にまわしても我が子を守ろうとする強い意志を感じました。私はそこに潔さを感じる。最後に殺す必要も無い犯人を爽快にぶち殺して、さっぱりした顔で娘を抱いて出てきた母親をみたとき、私は呆れるよりもむしろ感動してしまいました。いやはや痛快です。これぞ母親!これぞジョディー・フォスター! 
[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-12 20:56:58)(良:2票)
114.  ぼくを葬る(おくる) 《ネタバレ》 
葬る(ほうむる)じゃなくて、葬る(おくる)と読むらしいですね。実際にそんな漢字は存在しませんが、雰囲気は伝わってきます。ふつう、死ぬと分かったら、犯罪をおかしてでも、自分の欲望を実行に移そうと思う人もいるでしょう。ロマンもチラリと医者に自分の破滅的な願望(近親相姦願望)を漏らしていましたが、けっきょく実行せずに、自分を葬ります。 人には、色んな死に方があると思います。もし私だったら、絶叫して泣き叫び、家族に八つ当たりするかもしれない・・・また自殺してしまう人もいるでしょう。 反対に立派な死に方をする人もいるかもしれません・・。私は、良い死に方に感動したり、悪い死に方に眉をひそめる・・そのような批評をすることはできない。人間は弱くて優しいから、どんな愚かな死に方をしても、すべて肯定したいと思います・・。 ロマンの場合は、まるで死に場所を探して、さ迷い歩く象のようです。これがこの人の死に方なんだ、ということを、私は素直に受け止めました。最後に辿り着いたのが海・・・その死にいく姿は、非常に美しい。天才カメラマンでありながら超美形のロマンの死は、いかにもロマンらしい。自分に酔いしれながら、自分を葬ろうとしている。まさにロマンティスト。・・・・おあとがよろしいようで。 
[DVD(字幕)] 9点(2007-01-09 23:24:03)
115.  奇跡の海 《ネタバレ》 
トリアーの映画は、罪を背負った無垢な女性が、大勢の人間たちから、痛めつけられるものが多い。子供たちがベスにむかって石を投げつけるシーンをみたとき、それはなんというか、控えめに言っても、私の心は引き裂かれるように痛かった。 そしてベスが死んだあとに、夫がケロリと回復するシーン。不条理の表現方法が、トリアーらしくて憎らしい。 なんて言ったらいいのだろうか・・。うまくいえませんが、トリアー映画の中核を担う女主人公たち、つまりベスや、セルマや、グレースたちには、なにか共通したものがあるように思う。彼は、そういう女性たちを、徹底的に痛めつけることによって、集団ヒステリーの残酷さを炙り出しているように感じる。他のレビューワーさんも言っていましたが、彼の映画の構図は、常に、1対多数です。1人の女性を、よってたかって「常識」や「道徳」というキーワードを持ち出して、徹底的に叩きのめす。そして、彼は観客に対して、「お前ら、これを見てもまだ分からんのか」と叫ぶ。考えすぎかもしれないけど、トリアーの目的は、女たちのジハードなのかもしれない。私の買いかぶりすぎだろうか? でも僕は自分の、この考えが、けっこう気に入っている。 トリアーは、間違いなく女性の側についている、そしていつも女性に温かい視線を送っているように思います。
[DVD(字幕)] 9点(2006-12-11 18:08:46)(良:2票)
116.  RENT/レント 《ネタバレ》 
最高の8人でした。物語が始まって、8人の素性がだんだん明らかになってくると、いつのまにか感情移入していきます。 レント(家賃)すら払えない貧乏人たちだけど、生きる喜びを誰よりも知っている人たちだ。同性愛、エイズ、貧困、ドラッグ中毒、さまざまな問題を抱える8人・・だけど生活に疲れきっているサラリーマンよりも、よっぽど明るくて生き生きしている、そして傷ついているぶんだけ彼らは他人にとても優しい。そのあたたかさが伝わってくる。 それにミミが生き返ったときは素直に嬉しかった。  映画は、厳しい現実では救えないやさしい人たちを物語のなかで救うことができる、だから好きなんです。ミミがあのまま死んでしまうのはリアルな現実かもしれない、しかしそんな現実が見たいなら私は映画を観るのをやめてニュースにかじりついているだろう。 1年は525600分。たしかにそのとおりだ。しかしその意味は、実はそんなことで人生を計ろうとするのではなくて、この8人のように、今を精一杯生きることが一番素晴らしいことなんだよ、というメッセージがあったのではないだろうか。 どれだけ生きるのが大変でも、幸せを実感できる人たちは確実に存在する。そして、幸せというのは、手に入れるものではなくて、いつも自分の身の回りにある。そのことを実感できる人が幸せなのかもしれません。ありがとう、ジョナサン。 
[DVD(字幕)] 9点(2006-11-13 19:43:49)
117.  白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々 《ネタバレ》 
主役のゾフィーの演技で印象に残った点が2つあります。 すぐに死刑が実行されることを知ったゾフィーが崩れ落ちながら激しく嗚咽したシーンと、もう1つはナチの取調官に涙を見られて、「両親に別れを告げていたから泣いていたのだ」といい訳したシーン。これは死ぬのが怖いから泣いているわけではない、ということをナチに示したかったのでしょう。 本当は死ぬのはとても怖いけどそれ以上にナチに対する憎悪の強さを印象付けるシーンでした。 個人的には、すぐに人の話をさえぎるナチの裁判官が一番むかつきました。ちゃんと被告人の話を最後まで聞きなさい! ゾフィーが最後に言った捨て台詞「今度裁かれるのはアンタよ」 この言葉には大いに共感しました。 だけど人間はこんなに強いものでしょうか? 私だったら泣きながら土下座して許してくれとナチに命乞いをするでしょうね(笑)  そして死刑を言い渡された時点で気絶するかと思います。 ───────── 映画のシーンとは関係がありませんがミュンヘン大学に今でも残る「白バラ」の記念碑をみたとき、不覚にも涙が出そうになりました・・。 最後に女性看守の計らいで、処刑される直前に3人が1本のタバコをまわしあいながら笑顔で吸いあったシーンが強く印象に残りました。 そしてもう一言・・・。 「正義」は最後には勝つ、と言いますが、3人は死んだのです。彼らだけではなく大勢の人間が死にました。戦争というものには敗者は存在しますが、勝者など存在しないのです!
[DVD(字幕)] 9点(2006-11-03 20:32:48)(良:1票)
118.  カポーティ 《ネタバレ》 
カポーティというと「天才・ゲイ・アル中」という三拍子が揃ったスキャンダラスな作家というイメージが私には強かったのですが、この映画をみると、巧みな話術によって社交界から持て囃される華のある男という面白い一面も見せている。一見すると一流作家としての矜持を誇っているかのように見える主人公ですが、カポーティの本質はやはり子供のころのトラウマに根ざしており、彼の母親は母性本能の欠如した女だったので、わが子の顔を見るのが嫌で仕方なかったようです。したがって親の愛情を受けずに育った彼は異常なほどに他人から愛情をもらうことに執着し、名声に飢えていた、その飢えが「野心」となり、彼の揺るぎない創作意欲の原動力となっていたことも事実だと思う。歴史的な傑作「冷血」が生まれた背景には強烈な野心があったことは疑う余地もないのですが、その野心とはカポーティが持つトラウマの裏返しだったと考えます。そしてこの不幸な作家と同じく愛情不足で大人になってしまった凶悪犯人ペリーに対する不思議な友情も非常に丁寧に描かれており、ペリーを助けたいけど、早く処刑という結果が出てくれないと本が完結しないというジレンマ、助けたいけど死んで欲しいという相反する矛盾、その葛藤がうまく表現されていて不思議と違和感を感じませんでした。この作家は人格破綻者ではあるけれども、けっして冷酷な偽善者ではなかったと思う。カポーティーという作家は野心家であるがトラウマを抱えた孤独な人間、そして繊細な性格の持ち主であるが華やかな饒舌家でもある。こんな複雑で奥深い人間をどうやって役者が演じることができるのだろうか?見事に演じきってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンに脱帽。 
[映画館(字幕)] 9点(2006-10-25 18:16:33)(良:2票)
119.  空中庭園 《ネタバレ》 
家族に翻弄される子供たちがいました。隠し事をしないという家族は一見理想的な家族のようにみえて、話しが進むにつれて、異常なところが露出されていく。 むしろ主役の小泉今日子よりも、子供たちのほうが、「家族ってなんだろか?」と必死になにか答えを探し出そうとしていたように思います。この家族を作り上げたのは妻役の小泉今日子。 「わたしは母親のせいで、苦しい子供時代をおくってきた。だから自分は理想の家庭を作って良い母親になろう」と考えていた。あの計画妊娠なんてスゴイですね。 それから母と娘の確執はあまりにも強烈。娘である小泉が母親に「死ねよ」という言葉でそれを表現していましたが、回想シーンでは小泉の母親が泣いていたシーンがありましたよね。母親は子供の前では泣くべきではないのです。あの母親は泣くことによって自分を守ったのは一目瞭然。本来は我が娘を守るべき母親が子供よりも自分を守ることを優先した様子に、娘である小泉は怒りに・・いや恐怖に震えたのだと思う。別にこの映画は最後に母娘を氷解させる必要などないのである。永遠に和解できないほど傷つけあった親子は実際に存在するのだから。 一般的にみても私は、母親と娘ほど親子関係で難しいものはないと思う。母が同じ同性の娘よりも異性の息子を強く愛してしまうのは仕方のないことかもしれません。もちろん母親はそのことに無自覚です。しかし愛を受ける子供は敏感にそれを感じ取っている。 通常、母から受けた仕打ちに娘は自分が母親になったとき、絶対に繰り返さないようにしようと決意する。しかしその決意はかなり高い確率で失敗する。小泉今日子はそういう難しい役を見事に演じていたと思います。 
[DVD(字幕)] 9点(2006-10-09 18:44:08)(良:1票)
120.  SAYURI
注目はやはりアジアンビューティーことチャンツィイーであり、彼女がいまや問答無用の大御所になっていることは周知の事実なのですが、圧倒的な美的感覚に優れた映像を通して神々しいまでの彼女の美しさがひしひしと観客に伝わったことでしょう。その貫禄と風格は「厳か」という他ありません。チャンツィイー以外の俳優のすべてが彼女の下僕に見えて仕方ありませんでした。ところで無名のころのチャンツィイーは、キラリと光る原石のような天然の魅力があり、自分の美しさにまったく気がついていない無垢な「美」があったと思います。当時は末恐ろしい女優だと思ったものですが、ところが「SAYURI」では、絶頂を極めた彼女が、まさにアジアナンバー1と呼ばれる自分の美しさを自覚し、そしてその類い稀なる美貌を自ら思う存分に魅せようとしている、そして彼女には他を寄せ付けない圧倒的な武美があり、ゲイシャという役柄を通して、その端麗な容姿から縦横無尽の立ち振る舞いを惜しげもなく披露する、それはまさにこの映画がチャンツィイーの、チャンツィイーによる、チャンツィイーのための作品だということを誇っているように思う。その彼女の恋愛相手となるべく日本男児は、別所・渡辺謙。彼らは日本ではかなり有名な俳優ではあるが、チャンツィイーの前ではもはや奴隷に等しい。彼女の圧倒的な存在感は他の俳優の追随を許さない。ロブマーシャルの魅せる耽美な世界観と世界を美貌で屈服させたチャンツィイーによる美の競演に酔わずにはいられない。ブラボーチャンツィイー 
[DVD(字幕)] 9点(2006-07-14 22:42:24)
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