101. リリア 4-ever
《ネタバレ》 これは我々に怒りを喚起させるための映画だと思います。まるで奴隷狩りのような人身売買を営む輩に対しては勿論のこと、子どもを「これから生きていくより死んだ方がマシだ」と思わせるような親や親類、そしてこういった人身売買の実態から目を背け己の欲望を満たそうとする大人たち・・・・等々に対しても憤りを隠せません。 本当に、考えさせられる作品でした [映画館(字幕)] 8点(2011-02-13 21:13:10) |
102. 沈まぬ太陽
《ネタバレ》 日本航空というナショナルフラッグが何故沈んでしまったのかが良くわかる作品でした。 官僚主義がはびこる大企業、政・官・財が癒着して一部の人間が甘い汁を吸う社会構造・・・・昭和の日本社会の暗部がこれでもかと映し出されています。会社員をやっているものからすれば、やや主人公をヒーローとして描きすぎな印象を受けました。自分は優秀なのだからそれに見合うキャリアを進ませるべきだ、それなのに腐敗した幹部が私怨で邪魔をしているというような思い上がりとも思える本音がどうも鼻につくんですよね。ただ、善悪をはっきりと分けているので非常に物語としては面白く、3時間を超す上映時間も苦になりませんでした。 日航機墜落をモデルにしたと思われる、墜落事故とその後の様子は非常に興味深かったです。 [地上波(邦画)] 7点(2011-02-13 16:37:34) |
103. ジーザス・キャンプ
《ネタバレ》 いわゆるカルト的なキリスト教原理主義団体がが子どもたちを洗脳していく様を描いている作品なのですが、彼らがアメリカの政治に少なからず影響力を持っている事実に衝撃を受けましたね。洗脳にしても、信仰だけでなく政治的なメッセージ(反リベラル)も含めていて気味が悪かったですね。 神様は絶対に間違えることはないでしょうけど、それを媒介する人間が自分の欲など全く出さずに、神の意思だけを忠実に伝えるかどうかは非常に疑わしいと思いますので、やはり政教分離は徹底しないといけないと思いますね。 [インターネット(字幕)] 6点(2011-01-17 00:06:52) |
104. ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム
《ネタバレ》 こんなに格好良い音楽を演奏するバンドなのに、メジャーになると「長い髪の少女」(良い曲でありますが)を歌わされてしまうところに、当時の日本のロックがおかれていた厳しい状況を実感しました。ブルージーでサイケでロックな彼らの演奏を堪能できました。特にルイズルイス加部のベースにはシビれましたね。 当時の横浜・本牧の状況なども知ることができて興味深かったです。 [DVD(邦画)] 7点(2011-01-15 10:42:28) |
105. レバノン
《ネタバレ》 まるで、自分が戦場にいるかのような緊張感を味あわせてくれる作品でした。戦場の兵士たちは、限られた情報しか与えられない情況の中、ただ与えられたミッションをわけもわからずこなしていかなければならないことをリアルに伝えてくれます。 自分が司令官で全体を俯瞰しながら戦争を体験できるのならともかく、一つのコマとして司令官に自分の命を預けて戦場に赴かなければならない恐ろしさを非常に感じました。 [映画館(字幕)] 7点(2011-01-09 21:56:18)(良:2票) |
106. 少年メリケンサック
《ネタバレ》 若者向け映画のように見えますが、この映画は80年代(バンドブーム前)に日本のパンクを聴いていたロック好き中年オヤジが「パンクっつうのは、ロックっつうのはなあ、こういうもんなんじゃああ」と溜飲を下げるための作品です。勿論私も溜飲を大いに下げました。ストーリーもまさに中年ロッカーたちが今の若者に「パンク道」についてひたすら言葉や行動で説くといった感じですしね。 やはり、ロックにはノー・フューチャーな閉塞感を無理やり打ち破る暴力的なカタルシスとその状況を笑い飛ばすような無茶苦茶さ、いかがわしさが必要なんだと思いましたね(今のロックにそれが全く無いというわけではないですが)。 まあ、少年メリケンサックの曲自体は何かセックスピストルズのパクリっぽくてそこまで旋風を巻き起こすようなものではないと思いますけど、田口トモロヲのこれぞ「ロック」な姿が非常に印象的でした。キャストも豪華で、まるで平成の「爆裂都市」といった感じです。 [地上波(邦画)] 9点(2010-12-30 01:35:05) |
107. 君を想って海をゆく
《ネタバレ》 サルコジ政権下のフランスの移民政策がいかに非人道的であるかを告発する作品です(サルコジも一瞬テレビの画面で登場していたような・・・)。ただ、決して堅苦しい作品ではありません。大人の恋愛、スポーツドラマ、コメディ、人情等々いろいろなエッセンスが詰め込まれた非常に見ごたえのある社会派人間ドラマです。 まあ、不法移民が留まりたがらないくらいですからフランスのやり方は徹底しています。店で買い物もさせない、炊き出しもダメ、それだけでなく不法移民にかかわっただけで犯罪・・・・・(日本もかなり厳しいですけどね)。 不法移民の問題は本当に難しいですね。ミクロの視点で見れば同情的になりますけど、マクロの視点で見れば非情にならざるを得ないわけですから・・・・・。この作品を観ている最中も、その2つの見方が頭の中で葛藤していました。そしていまだに決着は付いていません。 [映画館(字幕)] 8点(2010-12-28 22:28:04)(良:1票) |
108. オーケストラ!
《ネタバレ》 旧ソ連時代のユダヤ人排斥政策がもたらした悲劇を背景にしながらも、ややブラックなエスニックジョーク満載の笑えて泣ける人情喜劇音楽映画に仕上がっていてとても楽しめました。なんと言っても、演奏シーンの素晴らしさが際立っていて良かったですね。雑多な要素が見事にハーモニーを奏でている作品でした。 [DVD(吹替)] 8点(2010-12-27 00:43:44)(良:1票) |
109. ソフィアの夜明け
《ネタバレ》 あまり知る機会の少ないブルガリアの現在の様子について描かれていて面白かったです。スキンヘッドによる外国人襲撃やサッカー場での暴動などが、実は政治家が黒幕として背後に存在しているなど、社会の暗部が映し出されているシーンは非常に興味深かったですね。 [映画館(字幕)] 7点(2010-12-19 23:59:19) |
110. 息もできない
《ネタバレ》 ぱっと見は昭和の日本映画風なんですが、それだけではなく、韓国の社会や家族関係の抱える問題点をクールに描いた作品だと思います。 役者陣の演技が皆本当に素晴らしく、最初から最後までまさに「息もできない」緊迫感に包まれていました。 よほど幸福な家庭に育った方以外は、かなり身にしみる映画だと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-19 23:14:00) |
111. プレシャス
《ネタバレ》 「環境が悪いから・・・・」とネガティブな悪循環に陥ったままでは全てを失ってしまい、守るべきものも守ることができなくなってしまう・・・・。では、守るべきものを守っていくためにはどうすべきなのか?この映画はこんな問いの答えのヒントを我々に与えてくれる作品です。 そして、様々な逆境に打ちのめされそうになっても、それに負けることなく前向きに進んでいく主人公の姿は本当に勇ましく見習いたくなりましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-12-12 22:32:51) |
112. シスタースマイル ドミニクの歌
《ネタバレ》 素朴で美しい大ヒット曲「ドミニク」の裏にこんなドラマがあったとは・・・・・。エンターテインメント業界の厳しさは勿論のこと、「自分の本能に従って自由に生きること」の難しさを教えてくれる作品でしたね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-12-11 22:56:44) |
113. 冬の小鳥
《ネタバレ》 主演のキム・セロンの素晴らしい演技に最初から最後まで惹き込まれっぱなしでした。親に捨てられた少女が苦しみながらも寂しさや悲しさに負けずに成長していく姿が本当に意地らしくて可愛らしかったです。何よりも終盤で見せる笑顔が本当に印象的でした。 そして、過剰なフィクションを盛り込むことなくその姿を静かにそして繊細に描いたウニー・ルコント監督の技量も見事でした。 [映画館(字幕)] 8点(2010-12-01 00:08:32) |
114. 恋するショコラ
《ネタバレ》 メリル・ストリープ主演の「恋するベーカリー」に便乗して出されたとしか思えない邦題になっています。おまけにジャケットには登場人物の女性の写真だけが出ていて、説明も彼女が主役のラブ・ストーリーであるかのように書かれています。 しかし!実際の内容は全然違っていて、彼女はあくまでも脇役で主役は金のためなら何でもやる建設会社の経営者の男性です。しかも、いろいろな事があってエジプト人の中年パティシエの代わりにチョコレート作りの学校へ通わなくてはならなくなったことで様々な問題が起きる・・・・という結構コテコテなコメディ映画です。 恋愛を描いたと言うよりは、移民に扮してチョコレートの学校へ通う中で起こるいろいろな出来事を通して一人の男性が成長していく姿を描いていく中のひとつのエピソードの中の一つとして恋愛があるという感じでしたね。 まあ、騙されるのも映画の醍醐味の一つではありますので、個人的にはこういう商法は嫌いではないです。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-28 15:03:57) |
115. 私を撮って
《ネタバレ》 ドキュメンタリー映画のメイキング的な作り方は中々面白い発想だと思いました。 ただ、内容的には身勝手な男と「重い」女のゴタゴタが延々と描いており覗き見的な興味をそそりますが、ちょっと最後はうまくまとめすぎかもしれません・・・。 まあ、そんな中で現在のイタリアの社会状況が垣間見れるので興味深い作品ではありました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-26 22:39:59) |
116. ローゼンシュトラッセ
《ネタバレ》 ナチスのユダヤ人迫害をテーマにした映画は数多く作られ、私自身もかなりの本数を見ていますが、この作品は実際に起きた「ローゼンシュトラーセ事件」をベースにユダヤ人と異人種間結婚したドイツ人(アーリア人)の存在を描いていて非常に興味深かったです。 夫が国家の敵と認定され自らにも身の危険が及ぶ可能性があるにも関わらず、夫を取り戻すために体を張って行動する妻たちの姿には感銘を受けましたね(男は自分を守るため妻を捨ててしまう姿しか描かれてませんが・・・)。 構成も現代の若者が自分の母親の秘密をさぐるという形で非常にわかりやすく面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-26 22:33:58) |
117. マイ・ビッグ・ファット・ファーザー
《ネタバレ》 邦題タイトルは某映画のパクリですが、内容はあるユダヤ人家庭のトラブルだらけの過越祭の様子を見せてくれるとても楽しく興味深い映画でした。 まあ、「サザエさん一家」のような大家族が皆どこかぶっ壊れている設定で、最初から最後までとんでもないドタバタ劇が繰り広げられていてとても楽しく観ることができました。 最後のオチも非常に良く、ちょっとホロっとさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-26 22:28:56) |
118. 4分間のピアニスト
《ネタバレ》 ピアノという楽器の持つ魅力に満ち溢れた映画でしたね。重い過去を背負ったピアノ教師と女性囚人がピアノを通じて徐々に心を通わせていく様にとても惹き込まれました。 ラストの演奏は本当に鬼気迫るものであり、そしてとにかく格好良く素晴らしいものでした。 [地上波(字幕)] 8点(2010-11-23 23:40:30) |
119. ある朝スウプは
《ネタバレ》 非常にリアルで緊張感の漂う作風で、家族であろうと恋人であろうと、他人は他人でしかなくその間には深い溝が横たわっていることを冷徹に提示している作品です。ただ、その「他人は所詮他人でしかない」ことを認識し理解するところから真の人間関係はスタートしていくことにも気付かされました。 並木愛枝が徐々に献身的になっていくのも、恋人が他人ではなく自分の一部だと認識しているからで、その自分の一部を失うのが怖いからなんだと思います。だから、最後のセリフは考えようによっては今後の彼女の人生に希望を感じさせるものなのかもしれません。 こういう人間の弱い部分を抉り取る作品は見ていて辛い面もありますが、いろいろと考えさせられます。 [DVD(邦画)] 8点(2010-11-23 15:41:13) |
120. 14歳
《ネタバレ》 おそらくこの映画の評価は「14歳」という時代をどう過ごしたかで、共感できるか「鬱陶しい」と感じるかに分かれるのではないでしょうか? 本当に中学時代は無邪気な小学校時代や大人へ近づく高校時代の間に挟まれた中途半端な時代で精神的・肉体的に日々急激に変化していく不安定な時代ですからね・・・・。 映画の中の一つひとつのエピソードが胸に突き刺さってくるようでした。 人間は理解し合える筈という考えを捨てるところから、真の人間関係というのは始まるのかもしれませんね・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2010-11-23 15:25:06) |