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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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101.  グレート・ウォリアーズ/欲望の剣 《ネタバレ》 
ポール・ヴァーホーヴェンを語る上では、やっぱ本作は外せないでしょう。子供のころTV放映を見逃してからずいぶん長いこと観る機会がなかったんですど、カットされたところは当然あったでしょうがよくこんな映画をゴールデンタイムに地上波で放映したもんだと感心してしまいます。 見通して感嘆したのはルトガー・ハウアーのほれぼれするアンチ・ヒーローぶりです。この人はアンチ・ヒーローを演じるためだけにこの世に生を受けたんじゃないかと真剣に考えてしまいます。ハウアーは劇中で掘り出された聖マーチン像を皆が自分に投影するように仕向けたりするずる賢い面も持ち合わせていますが、そのマーチンを手玉に取るのがお姫様ジェニファー・ジェイソン・リーというわけです。この人、登場してからはそれこそ頻繁に脱ぎシーンが続きますけど、とうに二十歳を過ぎているとは思えない幼児体型はその手の趣味がある人にはもう堪らんでしょう。また彼女の表情がまた悪女丸出しなんですよ、もっともこの人はもとからこういう顔つきなんだからしょうがないんですけどね。宴会のシーンでこのお姫様がテーブルの陰でハウアーの股間を挑発するところは、もろ『トム・ジョーンズの華麗な冒険』の有名なシーンのまんまだったので笑ってしまいました。 原題が『肉プラス血(直訳)』というぐらいですから、ヴァーホーヴェン趣味が全開でそのグロさは『スターシップ・トゥルーパーズ』といい勝負してます。でもけっこうセットやらにはおカネがかかっているみたいだし、活躍するかどうかは別にしてわき役たちもキャラが上手くたっています。やっぱこれは傑作ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-27 23:31:04)
102.  ノーマッズ 《ネタバレ》 
これが『ダイ・ハード』を監督したジョン・マクティアナンのデビュー作なんだそうですが、はっきり言って仕上がりは微妙でした。SFでも純粋なアクションでもなくホラーなわけですが、なんかおどろおどろしい雰囲気だけは感じられますが、何が起こっているのかわかりにくいせいで、あまり怖くはなかったです。要は、「死霊がパンク野郎の姿になって追っかけてくる」ということみたいですけど、インパクトは今一つという感じです。途中で出てくる怪しげな尼僧は印象深かったんですが、もっとここを膨らませた方が良かったんじゃないでしょうか。妙に情感たっぷりなビル・コンティの音楽もあまりマッチしてなかった感があります。ビルの屋上からピアース・ブロスナンが悪霊を突き落とすシーンには、「なるほど、確かにこの監督は『ダイ・ハード』を撮ることになっている人なんだな」と思わず苦笑してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-29 23:31:31)
103.  ふたりの女(1989) 《ネタバレ》 
観始めて、なんかヘンな感じがしたんです。この映画でソフィア・ローレンがオスカー主演女優賞をゲットしてるんですが、50年以上前にしてはやけに老けてるよな、って思ったんです。そして物語が進んできたところでまさに驚愕、ジャン・ポール・ベルモンドが出てくるはずなのに全然違う俳優がその役を演じているんです。何と本作は89年にリメイクされたTV映画なんでした、そりゃローレンがおばさんにしか見えないはずです、それにしてもカラーである時点で気付けよ、まったく(笑)。 実はオリジナルは子供のころにTV放映されたのを観てすっごいトラウマになるくらいの衝撃を受けたんです。戦火のイタリアで田舎に疎開した母娘がドイツ軍からは逃げおおせて逞しく生きてゆくけど、やっと連合軍に解放されたと思ったらアルジェリア兵にふたりともレイプされてしまう、というかなり悲惨なお話しでした。このリメイク版はストーリーはだいたい同じですが、レイプされた母娘がローマに帰りつき、戦後は幸せになるというハッピーエンドになっていて、ここは記憶では旧作とは決定的に違っているはずです。ストーリーテリングもいかにもTV映画らしい緩さで、名匠ヴィットリオ・デ・シーカが監督だったオリジナルの足元にも及ばない凡作です。 こうなると、オリジナルの『ふたりの女』を何とか再見してみたいものです。でも生きてるうちにその機会はめぐってくるでしょうか…
[ビデオ(字幕)] 4点(2016-06-22 00:20:55)
104.  アフター・アワーズ
『最後の誘惑』の製作が頓挫してスコセッシがへこんでいた時期に撮っただけあって、たしかにやさぐれ感が感じられます。それでもカメラワークやストーリーテリングにはいろいろ実験的な取り組みもあり、研究熱心なスコセッシらしさが感じられます。『キング・オブ・コメディ』がほとんどホラーだったので、本作では不条理でコメディを撮りたかったみたいですね。この頃のスコセッシにはまだコメディ映画では硬さがみられるんですけど、グリフィン・ダン以外の登場キャラたちはさすが“頭のおかしなキャラを撮らせたらスコセッシ”の定評通りでございました。ラストのオチも、これはスコセッシのアイデアではなかったそうですけど、けっこう愉しめました。 そう言えば、グリフィン・ダンがこの映画のだいぶ後で監督した短編を観たことがあるんですが、そのタッチは本作とそっくりでした。
[DVD(字幕)] 5点(2016-06-19 23:24:43)
105.  不思議惑星キン・ザ・ザ 《ネタバレ》 
これが噂の“ク~”ですか、まさにカルト、脱力系SF映画の金字塔ですな。もう設定といい展開と言い“ゆる~い”の一言、でも行きあたりばったりと見せかけて、けっこう緻密な監督の演出意図が隠されているみたいです(いや、やっぱり気のせいかな)。 ロケ地の砂漠風景はまさに『マッドマックス』の世界そのものと言った感じで、冒頭から出ずっぱりの宇宙人(いちおう)二人組の薄汚さも『マッドマックス』です。このキン・ザ・ザ星雲人たち、劇中ずっと“ク~”で押し通すのかと思ったらすぐにロシア語を喋りだすし、まあ監督もあまり細かいことには拘らない人みたいです。この映画は社会主義体制への批判的な風刺なんだそうですけど、正直あまりピンとこなかったですね。唯一それらしかったところは、地下の都市(?)で群衆が監視されながら労働らしきことをさせられているシーンぐらいです。まあこんだけ緩くて脱力感に溢れていたら、ソ連の検閲官も映画の裏読みをする気力も失せてしまったんじゃないでしょうか。これがスターリン時代なら風刺云々よりも「社会主義リアリズムに反した頽廃映画」という罪状で監督はシベリア送りでしょう、崩壊間近のこの頃のソ連ではすっかりタガが緩んでたのが窺えます。 こんなグダグダを二時間以上見せられたらふつう頭にきますけど、不思議と許せちゃう麻薬性のある一篇です。
[DVD(字幕)] 7点(2016-06-18 01:07:37)
106.  2010年 《ネタバレ》 
確かに皆さんがおっしゃる通り、SFエンタテイメントとしてはまあ上出来の部類に入るんじゃないでしょうか。でもこれが『2001年』の続編だと言う眼で観たら、まあちょっと許せないですね、自分としては。良く考えると本作はアーサー・C・クラークの書いた「2010: Odyssey Two」の映像化なわけなので、この子供騙しというかスピリチュアストの妄想の様な結末は、クラークの耄碌の産物ということなんでしょうか。この映画でいちばん許せなかったところは、前作でのHALの反乱を政府役人がインプットした秘密指令のせいだとしたことです。判り易いのはたしかですけど、これじゃモノリスとHALの神秘的な関係がどっかに飛んでっちゃってますよ。あと何度もボーマンを登場させたこと、これじゃまるっきり彼が天国にいて天使かなにかのような存在になったとしか思えません。個人的には『2001年』の終盤のシークエンスには、キューブリックは宗教的な意味合いを持たせたつもりは毛頭なかったと思っています。それがこんな俗っぽいキリスト教的なストーリー・テリングになっちゃったら、さぞやキューブリックもご立腹だったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-25 22:25:47)
107.  長く熱い週末 《ネタバレ》 
“さあ、サッチャー政権も誕生していよいよ狂乱の80年代の幕開けだ!ロンドン・ギャングの親玉である俺(ボブ・ホスキンス)にも一世一代の大儲けのチャンスが巡って来た!と言うわけで、アメリカまで行って出資者を見つけてきたし市会議員も抱き込んでるからロンドン再開発を仕切って欧州一のビッグ・ボスに成り上がってやる!ん、でも帰国してみたらなんかシマの様子が変だぞ、これはいったい…” と言う感じでお話しが進む、ロンドン・ギャングのボスの破滅への2日間です。ボブ・ホスキンス、このエネルギッシュな豆タンク親父はギャングのボスにはピッタリのキャラです。ホスキンスの女房がヘレン・ミレンで、社交力があって仏語がペラペラの堂々たるインテリ姐御ぶりにほれぼれとさせられます。お話しの方は少々複雑で、実はホスキンスを狙っているのは泣く子も黙るIRAでしたという展開になってくると、イマイチ訳が判りませんでした。もはや命運が尽きたホスキンスの表情を長回しで見せるのがラストですが、これはこの人の持ち味が全て出ている様な良い演技でした。 彼自身も本作の次の作品ではイアーゴを演じているんですけど、全体の雰囲気としては『オセロ』の様なシェイクスピア悲劇風のギャング・ストーリーでした。これもお国柄ですかね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-29 23:51:15)
108.  レッド・アフガン 《ネタバレ》 
ソ連軍戦車隊がアフガンの部落を襲撃する冒頭から、もう禍々しさに満ちた映像に圧倒されちゃいます。ゲリラに反撃されて一両だけ残った戦車が焼け焦げた地図を頼って撤収する過程は、ボギーが出てた懐かしの『サハラ戦車隊』を彷彿させるところも有ります。でもその五人の戦車兵たちの人間関係は険悪で、中でも狂信的な戦車長のおっさんは職場でも時折出くわす「こいつについて行ったらトンデモない目にあわされる」上司そのものです。まあ会社ではこの戦車長みたいに部下を殺すところまでは滅多にいかないものですけど、軍隊ですから辞表出して逃げることも出来ません。 中盤からはこの戦車から追放されたインテリ風のクルーと拾ってくれたゲリラの交流が描かれるのですが、このロシア兵とアフガン人が最後まで言葉が通じあわないところが両国の政治情勢を象徴している感じがしました。でもハリウッド映画なんで当たり前ですけど、アフガン人がパシュトゥーン語で喋るのにロシア人が英語と言うのは何とかならないもんでしょうか。 アフガンで出来るはずはないのでどこでロケしたのかと思ったら、イスラエルで撮ったみたいですね。でも岩山と砂漠が続く荒涼とした風景は印象的で『眼には眼を』の有名なラストシーンみたいなショットが延々と続くと言った感じです。まあ主役はT-62戦車みたいなもので、この戦車のメカニックが良く判ります。全体的な雰囲気はどこか北野武の映画に通じるところがある気がしました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-20 23:18:00)
109.  ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー 《ネタバレ》 
マイフェヴァリットの『恐怖の足跡』系のカルトホラーということですが、うーん、ちょっと期待外れでした。いやね、作品自体の雰囲気は良いんですよ、冒頭とラストで女の子たちが“達磨さんが転んだ”みたいな遊戯をしているところなんてストーリーに関係ないんだけどなんか不気味な感じがします。悲鳴を背景効果音みたいに流すところなんて、Jホラー的な感性に通じるところも有りこれも雰囲気が良いです。でも後半の謎解きパートになるとあまりに強引な展開になってしまってダメですね。ここら辺の怖さは『恐怖の足跡』の足元にも及ばずと言うところです。 そう言えば同じく『恐怖の足跡』をパクった『シックス・センス』が有名ですけど、良く考えたらシャマランは“大事故から一人だけ生還”というプロットからすると『アンストッパブル』も本作のパクりと言えるんじゃないでしょうか。まさにこれぞ“パクりのドミノ倒し”、シャマランくんのパクり癖(というかイマジネーション)にはあらためて感心させられます。
[DVD(字幕)] 5点(2016-04-13 23:15:26)
110.  マルサの女2 《ネタバレ》 
マルサ板倉亮子が闘いを挑むのは今回は今となっては懐かしい存在の地上げ屋軍団、前作が街のパチンコ屋だったんですから敵キャラもスケールアップしています。ただ伊丹十三自身もかなり力みかえっている感じで、本作あたりからそれまで伊丹映画が持っていた風味が消えてゆくのでした。■まず言及しておかないといけないのは今回の悪役である三國連太郎で、前作の山崎勉を意識しすぎていたのか暴走気味の演技です。板倉亮子たちマルサがもう単なる狂言まわしみたいなストーリーテリングになってしまい、これは失敗だと思います。“巨悪に挑む”という脚本の意図は判りますが、地上げ屋・政治家たちをあまりにグロテスクに描きすぎて、なんか出来の悪いアクション映画を見せられているみたいです。それ以上に鼻白んだのは大して映画を観ていないわたくしでも10箇所ぐらい指摘出来るほどの過去の名画からの引用というかパロディ・カットで、それがまたセンスが悪いんです。笠智衆が登場するシーンなんかは彼のキャラはまるっきり『東京物語』のパロディで、こんなベタなことして誰が面白がると思ったのか不思議です。■前作を凌駕したと唯一言えるのは本田俊之のサントラで、これはほんとに素晴らしい。のっけからサンバのリズムを多用して、バブルの頃の世相を暗喩している秀逸なセンスです。そして後半から使われ始めてラストにフルで流れるグルーミーなメインテーマは、邦画サントラ史上に残る名曲だと思います。■板倉亮子たちマルサは巨悪には手もつけられずに涙をのむ虚無的なラストを迎えます。でも撮影時には神のみぞ知ることだったんですけど、その後のバブル崩壊で地上げ屋・大手都市銀行・総合商社は壊滅的なダメージを受けたことを思うと感慨深いものがあります。このバブルの狂乱を具現化した様な混沌とした映画の中で、ただひとつ伊丹十三が成功したのは、「宗教を忘れた戦後の日本人が唯一信仰していたのはカネであった」という鋭い問題提起だったんじゃないでしょうか。■伊丹没後の現在では詮無いことですが、板倉亮子のその後というか現在の姿をもう一度スクリーンで観てみたいものです。まあ常識的に考えればすでに役所は退官して、税理士でもやっているという感じでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-04-04 23:00:45)
111.  第四の核 《ネタバレ》 
原作はフレデリック・フォーサイスのポリティカル・ノヴェルです。原題は直訳すると『第四の議定書』という感じですね。冒頭で「米ソ間では核軍縮条約を締結したときに四つの議定書を交わしたが、四番目の議定書は未だに内容は秘密になっている」なんて意味深なテロップが流れます。実はこの議定書のことはその後のストーリーではまったく出てこないので結局なんのことやら判らずじまいなんですが、これは膨大な原作小説を端折ったせいなんでしょう。まあそのことは忘れてしまっても、この映画を観るのにはなんの支障も有りませんけどね。 かいつまんで言うと、英国の米軍基地で事故に見せかけて小型核爆弾を爆発させて英国をNATOから離脱させるという陰謀を強硬派のKGB議長が計画し、その任務のために潜入してきた凄腕エージェントと英国情報部MI5の闘いを描いています。いわば『ジャッカルの日』のリサイクル・ヴァージョンみたいなプロットなんですけど、サスペンスとしてはけっこう面白く撮れています。そのジャッカルとルベル警視に相当する役を演じるのがピアース・ブロスナンとマイケル・ケインというわけです。ブロスナンはまだジェームズ・ボンドに抜擢されるはるか前ですが、とにかくこのKGBエージェントが渋いというか不気味なんです。登場シーンでは1シーンを除いてまったく無表情で押し通し、自分の行動の目撃者はもちろんのこと、核爆弾製造の支援のためにソ連から派遣されてきた女スパイですら役目が終わると表情ひとつ変えずに殺してしまいます。対するマイケル・ケインは、かつての当たり役ハリー・パーマーを彷彿させるカッコよさです。こういう上司には反抗的だけど有能なキャラを演じたら彼はピカイチです。 ケインがブロスナンを追いつめてゆく過程や、土壇場で二人が邂逅し秒殺で勝負がつくところなんかは、『ジャッカルの日』とそっくりなんですが、原作の政治的な要素をばっさり捨ててエンタテイメントに仕立てたのでまあしょうがないというしかないですね。そこそこ面白かったというのが感想ですが、これが日本では未公開だったというのはちょっと不思議ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-17 22:37:23)(良:1票)
112.  火山のもとで 《ネタバレ》 
メキシコ駐在の元英国領事とスペイン内戦帰りの弟、そして弟と不倫関係にあって一時失踪していた妻、物語はこの三人の会話劇みたいな構成です。妻が夫のもとに戻って来てその夜に夫婦が悲劇的な結末を迎えるまでのほぼ一日の出来事となりますが、お話しの内容自体は夫婦と弟の三人で死者の日のお祭りに出かけるぐらいが動の部分で、全篇通してまったりというか盛り上がりには欠ける展開です。アルバート・フィニーがアル中の夫なのですが、見てもちっとも愉しく無いですけど全裸になるシーンまである熱演です。まあこれはこれでオスカーにノミネートされたのは納得の演技ですが、妻役のジャクリーン・ビセットの演技がそれについていけてないのでイマイチの出来の映画となってしまいました。彼女は10代の頃の私のミューズでしたが、いかんせんその演技力の大根ぶりで大女優となることはかないませんでした。監督は巨匠ジョン・ヒューストンですけど、彼のフィルモグラフィで自身が脚本を書いていないのはたいてい映画としての出来が悪いですねえ。
[ビデオ(字幕)] 5点(2016-03-13 20:54:09)
113.  ジプシーのとき 《ネタバレ》 
エミール・クストリッツァにとっては『パパは、出張中!』と『アンダーグラウンド』の間で撮られた作品ですけど、本作以降に濃厚になってくるいわゆる“クストリッツァ印”が確立された映画です。まず動物、これについては七面鳥ということでまだ小粒です。クストリッツァ映画には欠かせない“宙づり”はなんと家が宙づりにされちゃいます。元祖宙づりは、対象が人間じゃなくてこんな大物だったんですね。そして忘れちゃいけないのがジプシーブラスと幻想シーンです。序盤にある川の中で繰り広げられるジプシーたちの祭りは凄く荘厳で心に響いてきます。ストーリーはひとりのジプシー青年の転落の軌跡という感じの物語となります。この俳優は『パパは出張中!』と『アンダーグラウンド』にも出演している当時のクストリッツァ映画の常連俳優ですけど、本作の10年後に29歳で亡くなってしまったそうです。 結婚式のシーンで始まり葬式で終わるというのはいかにもクストリッツァらしいストーリーテリングでしたが、長年観たかった作品でしたのでDVD化には感謝でございます。
[DVD(字幕)] 7点(2016-03-08 20:57:50)
114.  ウォー・ゲーム(1983) 《ネタバレ》 
83年と言えば、当時勤めていた会社に初めてパソコンが導入された年だったんですよ。パソコンとは言え一人一台なんて環境になったのはそれから15年は経ってからのことで、当時は課に一台で機能もごく限られたものでしたが恐る恐る使っていたのが懐かしいですね。この映画が製作された当時じゃまだインターネットも開発されていないし、あのレトロな機具を観てると感無量です。20世紀の終わりに初めてパソコンを買ったときもまだ電話回線接続だったことを考えると、今やスマホの時代ですからテクノロジーの進歩は恐るべきものです。 本作は皆さんご指摘の通り『地球爆破作戦』への返歌みたいなものでして、80年代らしい楽観主義に満ちていてジュブナイル小説の映画化かと思ってしまうくらいです。軍人たちも強面ではあるけど危機回避に成功したしたときの喜びよう観てるとみんな善人ばかりで、この種の映画にしては珍しいパターンです。まあ難を言えば、戦争は政治の延長と言われるのに作戦室の架空シミュレーション画面だけであそこまで危機的状況になるのは、ちょっとヤリ過ぎの感があります。まあこの映画の肝は、コンピューター・ジシュアに○×ゲームで学習させるところにあるんですから、しょうがないかもしれませんね。けっきょくジョシュアも善玉だったというわけです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-07 21:47:43)
115.  襲う巨大怪鳥/空の大怪獣Q 《ネタバレ》 
ラリー・コーエンという人は『フォーン・ブース』の脚本家でもあり、脚本を書かせたらちゃんと出来る人なのになぜか監督すると脱力系になってしまうという困ったお方です(そう言えば日本の橋本忍に似てますね)。監督作はほとんど自分で脚本も書いているのですが、悲しいかな演出力が無いので駄作になってしまうというパターンですけど、本作に関してはどう考えても脚本もヘボ過ぎです。まあ低予算なんで怪鳥の造形や特撮には元から期待なんかしてないのであまり苦になりませんが、だいたい大怪鳥Qとアステカの儀式はどんな関係があるんじゃ!と突っ込みたくなります。NYのクライスラー・ビルの先端に巣を作って飛びまわっているのに誰もその姿が見えないとはどういうこっちゃ!「それはQはいつも太陽を背にして飛ぶからです」なんて解説されても、誰が納得するかい! 宝石泥棒の一味の男が主人公みたいなものですけど、冒頭で宝石が入ったスーツケースを落として紛失しちゃうというのは、いかにもラリー・コーエンらしくてユニークな展開です。でもどうも気になるのですが、宝石泥棒と怪物の組み合わせというとどうしても『宇宙大怪獣ドゴラ』を思い出しちゃうんです。もしラリー・コーエンに会うことがあったら、「あんた『ドゴラ』をパクったろ」と詰問してみたいです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2015-11-04 23:14:45)
116.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
タイムトラヴェル映画で、劇中にタイムスリップした未来の同時点に生きているって、なんか初めての経験の様な気がします。30周年おめでとうございます。もうこの映画の内容なんて語り尽くされていますので今さらという感も強いですけど、とても頭の良い脚本だといつも思います。タイムトラベルについてもパラレルワールド理論はあえて採用されてませんが、パラレルワールドじゃこのシリーズの様なドキドキ感はとうてい出せなかったでしょうから大正解です。小ネタも効きすぎるほど盛り込まれているし、何と言っても80年代のワクワクした懐かしい雰囲気がイイですよね。30年前に青春まっただ中だった人、そしてもう青春が終わっていた人やまだ生まれていなかった人たち、全ての世代にこれからも愛される傑作であることは間違いないです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-10-21 21:34:08)
117.  スターダスト・メモリー 《ネタバレ》 
『81/2』を観たことがあってそれが好きかどうかによって評価が分かれるんでしょうね、もっともウディ・アレン嫌いの人にはとても耐えきれないでしょうけど(笑)。 冒頭の列車のシークエンスなんかは、『81/2』を意識して撮りました、ってのが濃厚に伝わってきます。フェリーニの様に映像に凝りまくるんじゃなくてしゃべくりに凝るアレンですので、『81/2』が好きな私にもちょっとくどいなと感じさせられました。でも映画と現実をごった煮にしたメタフィクションな構成は、本家フェリーニよりも洗練されている気がします。世界の高名な映画作家で“マイ『81/2』”を撮った人は多いけれど、アレンの場合はちょっと撮るには若過ぎたんじゃないでしょうか。 アレンの映画は絢爛たる女優陣の顔ぶれ観るのが愉しみなんですが、シャーロット・ランプリングはやっぱイイですね。友情出演のルイーズ・ラサー以外はみんな唯一のアレン映画出演ですけど、ランプリングが出るアレン映画をもっと観てみたかったです。セリフもないほんのチョイ役でシャロン・ストーンが出てるんですけど、どれが彼女だか判りませんでした(笑)。
[ビデオ(字幕)] 5点(2015-10-07 22:15:45)
118.  愛と憎しみの伝説 《ネタバレ》 
70年代を通してもっとも輝いていたハリウッド女優は誰かと問われれば、それはフェイ・ダナウェイだという答えに異存ある人は少ないでしょう。そのまま活躍していれば今頃はメリル・ストリープに匹敵する存在だったであろう彼女のキャリアを、一瞬にして終わりにしてしまったのが本作です。公開されるや否やフェイ・ダナウェイを含めラジー賞を総なめして酷評の嵐だったんですが、今やすっかり正真正銘のカルト映画になっています。このたび目出度くTSUTAYAからDVDリリースされましたが、どうしてこの映画は皆に嫌われてしまったんでしょうか? 観終わりましたけど…正直これはきつかった。DVDで良かったですよ何時でも中断出来るから、もし映画館だったらこれを一気に見続けなければならないわけで、想像しただけでゾッとします。いえね、決して映画としての出来が悪いわけじゃないんですよ、冷静に考えれば俳優の演技もレベル高いし力作だと思います。でも幼児虐待もの映画が苦手な自分には(このジャンルが好きという人は貴重ですけど)、ジョーン・クロフォードの上映時間の三分の二にも及ぶ養女いじめの数々は観てて苦痛以外の何ものでもありませんでした。もうこのクロフォード=ダナウェイが凄すぎるのなんのと言ったら、あの伝説の針金ハンガーのシーンにいたっては心底ふるえがってしまいました。これが本当だとしたら、ジョーン・クロフォードという人は完全にビョーキです。またフェイ・ダナウェイの激似メイクと演技が凄まじく、お世辞抜きに本物よりもジョーン・クロフォードらしいと言いきってしまいます。 養女クリスティーナが成人してからも強烈なエピソードの連発ですが、昼メロに出演中のクリスティーナが入院したらすかさずTV局に売りこんで自分が代役におさまるというのはちょっと凄すぎです。63歳で28歳のキャラを演じるんですが、本作で唯一の爆笑シーンでした。 「いつ果てるともなく続く苦痛の連続」「休みなく観客を打ちのめし、もはやドラマにも娯楽にもなっていない」これらは公開時の批評ですが、まさにその通りです(笑)。でもジョン・ウォーターズだけは「この映画のクロフォードはサメやゴジラと同じでひとかけらの人間性も感じられない、でもこの映画はダメじゃないそれどころか完璧だ」と絶賛していたそうです。 さてあなたは本作を観てどのようなジャッジを下しますか、私は人にはお奨め出来ないんですがね。
[DVD(字幕)] 4点(2015-09-06 18:53:42)
119.  ゴースト・イン・京都 《ネタバレ》 
珍品映画ながら日本の描写はしごくまとも、東映が協力しているみたいで日本ロケまでしてます。そしてスーザン・ジョージと服部まこという東西セクシー女優の共演ですから、二人ともきちんと脱ぎを見せてくれます。スタッフも手堅い人選で、音楽なんてケン・ソーンですからね。でも肝心の監督が『地獄のモーテル』のケヴィン・コナーだというのが致命的でした(笑)。 まあ突っ込みどころは満載ですけど、いちばん可笑しいのは三人の幽霊たちの意味不明な行動でしょう。不貞を見られて殺された妻と間男、そして自害して果てた武士なのに死後は妙に仲が良い三人組になっているんです。因縁の屋敷に住んだスーザン・ジョージ一家を脅かしていじめるのは判りますけど、ほんとにやりたかったことは彼らにそれぞれがとりついて、かつて自分たちが最期を遂げた事件の再現ドラマを演じることだったと最後に判って驚いてしまいました。後半のほんらい緊迫したシーンのところで、この半透明な幽霊たちが画面をうろうろしているとしか見えない光景も笑っちゃいます。娘を怖がらせる怪奇現象が沢蟹の大群の出現だというのも突っ込むところでしょうけど、その中に二匹だけいる異様にでかい蟹がまるで巨大タランチュラみたいだったのはちょっと不気味でした。 まあB級(かろうじて)ホラーとして観れば愉しく突っ込める作品だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-08-23 17:44:18)(良:1票)
120.  迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険 《ネタバレ》 
“名探偵”じゃなくて“迷探偵”となっている邦題がミソのシャーロック・ホームズのパロディもの。私は別にシャーロキシアンじゃありませんので大して気になりませんでしたが、名探偵は実はワトソン博士でホームズは彼が見つけてきた三文役者だったという、熱狂的なファンたちの神経を逆なでする様な挑戦的なプロットです。でもこの飲んだくれでアホなホームズをマイケル・ケインにやらしているので安心して観れました。ワトソンはベン・キングズレーで、この二人の名優の掛け合いは観ていて実に愉しいものです。敵役にはおなじみモリアティ教授も登場で、ストーリー自体はオリジナルながら色んなお約束ごとは盛り込んでいるみたいですね。ヘンリー・マンシーニが音楽担当ですから洒落た雰囲気も愉しめます。 で、肝心のストーリーなんですが、これがちっとも印象に残らない薄味でした。ラストの劇場でのアクションもちょっとは大掛かりなんですが、何と言うか平均的な凡作としか言いようがないですね。ここは二大名優のボケ・突っ込みを漫才として愛でるのが正解でしょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-07-20 22:06:19)
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