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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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121.  サバイバルファミリー(2017) 《ネタバレ》 
崩壊した摩天楼群だとかのCGデストピア流行りの中で、ゴミ袋の山を適度に配置することでゴーストタウンを演出してみせる、手作り感覚とでも いうべきところがいい。序盤で高速道路上を西へ向かって歩む人々のモブシーンなど、一見地味なようだが 画面加工を含めて様々な工夫と手間暇をかけただろう見事なスペクタクルだ。 『ひみつの花園』時代の人形みたいなユーモアの要素がもう少しあっても良かったとも思うが。  都市を離れて西へ。山々を背景に4台の自転車が一列に走るロングショットに、日本の風景論を受け取る。  自給自足の憧憬でもある大地康雄のエピソードをクライマックスとして、それ以降がかなり失速してしまう印象だが、 ここで涙を流しつつ豚の燻製をいただく葵わかなの食事の表情がいい。 4人を見送って庭に立たずむ大地のショットの、何とも言えぬ寂寥感がぐっとくる。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-15 04:03:29)
122.  駆込み女と駆出し男 《ネタバレ》 
冒頭の俯瞰の瓦屋根ショットとタイトルデザイン、情緒を排し障子や格子による幾何学模様を強調した家屋セット、そして登場人物の早口ダイアログ。 いわゆる「クール、スピーディ、グラフィック」、そして「モダンと伝統」の市川崑スタイルである。  映画は情動的なシーンを出来るだけ排除し、あるいはそうしたシーンをロングに引き、あるいは大泉洋の客観ショットを挿入し(姉妹の再会シーン)、あるいは暖簾の陰にわざと隠すように演出し(ラストの旅立ちのシーン)、ドライに徹する。 火ぶくれの傷に繊細に触れる・触れない、相手を見たい・見てはいけない、そういう絶好の映画的シチュエーションの処理もなかなか軽妙だ。  ただし、複数のエピソードの交錯によってドラマの流れは散漫である。ラスト近く、大泉と戸田恵梨香のやりとりと寺内の騒ぎがクロスカットされるのだが、 このクライマックスも単にそれぞれの状況の羅列であって噛み合わず、何ら相乗の効果をもたらさない。 所々で差し挟まれる市川的スローモーションも全く必然性のないショットばかりで(水を掛けられる大泉など)、アクセントとしても不発だ。 単なる説明に終わる密偵のエピソードなどの残念具合といったらない。  屋内への外光の入射や製鉄の炎や行燈など、光源を限定して暗がりの中に女たちの表情を浮かび上がらせる前半のショットは 晴れて寺を下るシーンで何らかの対照をもたらす為ではなかったのか。
[DVD(邦画)] 5点(2017-02-13 23:21:07)
123.  ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち 《ネタバレ》 
其処此処にちらつくハリーハウゼンは勿論、屋敷上階の窓から急傾斜の屋根へと子供たちが脱出するシーンなどはふと宮崎駿の高所感覚を思い出させるし、 宙に浮かぶ少女エラ・パーネルが海中の沈没船へと沈んでゆく美しいシーンは押井守などを彷彿させる。 水中で彼女のはく息が水玉となって主人公エイサ・バターフィールドの顔を包むなどのロマンティックなイメージ創造は素敵だ。  沈没船を浮上させるシーンの高揚感や、遊園地に流れるポップなBGMがそのまま映画の劇伴BGMにスライドして活劇を盛り上げていくあたり クライマックスへ向けてのテンポアップもいい調子だ。  それだけに、『1941』とまではいかなくとも観覧車などの遊具はもっと活用して欲しいところだし、クライマックスの舞台がタワーであるなら 高所の特性を活かしてアクションを構成して欲しい。 ヒロインの特性が空中浮揚にあるのだから、ここで二人の協闘をもっと見せてくれれば、二人の別離と再会はもっと感動的だったろう。 敢えてそうはさせないところがバートン流なのだろうが。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-02-08 00:08:05)
124.  破門 ふたりのヤクビョーガミ 《ネタバレ》 
多勢に無勢の佐々木蔵之介を助けに戻るか、否か。 クライマックスで逡巡する横山裕のシーンが、いつまで悩み考えるのかというくらい長く、もどかしい。 逆に、躊躇なく行動させた方が高揚感を維持出来たように思うのだが。 中盤で結構なバイオレンスを見せるのに対し、最後の乱闘が少々ぬるいというのもある。  一方でキムラ緑子と横山の母子が食卓を挟んで語り合うショットなどがやはり巧い。 横山が夕食を平らげ、爪楊枝を口にする芝居にふと滲むくつろぎの生活感など、絶品である。  それと対応して、ソファで宇崎竜童と対峙する佐々木蔵之介も貫禄の芝居がはまっている。 眼の剥き出し方もただ事ではない。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-01 23:40:48)
125.  キセキ あの日のソビト 《ネタバレ》 
買い物袋を提げた女性が踏切を越え、街を見下ろす高台の階段を登る。父親が医者ということでの山の手住まいの設定なのだろうが、 後々に兄弟二人が車で走り抜けていく坂道がようやく活かされる程度で、そのせっかくの勾配も踏切もあまり効果的な画面を創ってはいない。  その分、明と暗に関する対比はかなり意識されている。 初舞台で華々しくスポットを浴びる弟と、それを暗い観客席後部で見守る松坂桃李と奥野瑛太。 バンドと学業の間で悩む菅田将暉は公園の木陰の暗がりの中、彼に背を向ける忽那汐里は陽光の下だ。 バンドに復帰する為、仲間を待つ菅田を左端、階段を下りてくる仲間たちを右端に捉えた校舎のロングショットの壁は 前者を黒、後者を白で分割している、という具合だ。 菅田が自室の机で「キセキ」の歌詞を書き出すシーンの机、椅子、スタンドライトの配置も「光に向かう」構図だろう。  前半に曇りがちの天候が多いのは有名俳優らのスケジュールの都合かと感じていたが、 菅田が復帰を決意して走り出す踏切のシーン、菅田と忽那が仲直りする公園のシーン、小林薫と麻生祐未の夫婦が兄弟を見送るシーンは しっかり快晴を選び、背景に肝心なグリーンを配置することも忘れてはいない。  しかし、日本刀を抜いて「成敗してやる」とのたまう小林薫のインパクトが絶大すぎて他の感動シーンまで霞んでしまうというのも、、。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-01 22:42:26)
126.  スノーデン 《ネタバレ》 
インタビューから過去に遡り、ラストが講演会で、スピーチがあって、感動の拍手があって、というメッセージ発信型の定番の構成である。 この演説というのが大抵映画をつまらなくするところなのだが、ロボットの動きと、語り部の交代という仕掛けが奏功して スノーデン氏本人の寡黙な横顔がラストを静かな緊張で締めくくっている。  主義主張が前面に出そうな題材ながら、フィクションを大胆に織り交ぜたサスペンス演出が絶妙に中和している。 会議室の大画面に映し出される上司の威圧感。床に落ちたSDカードを巡る、同僚との視線劇と手話の 感動的なやりとり。そのカードをゲート外に持ち出すシーンの緊迫感と、外の世界の光。 そしてホテルから脱出する際の、メリッサ・レオとの別離のやりとり。特に映画後半はドラマティックなシーンの数々で盛り上がる。  監視の映画として、眼やカメラファインダーをモチーフとしたショットも充実している。
[映画館(字幕)] 7点(2017-01-31 23:37:22)
127.  不屈の男 アンブロークン 《ネタバレ》 
イタリア移民としての被差別、走ることとの出会い、そしてオリンピック走者としての活躍が回想処理によってまずは語られる。 ナショナリスティックな曇りを取り払い、映画的な主題に立ち返れば、走ることに対する抑圧と解放のドラマということになるか。  丹念に描写された前半の海上漂流は、踏むべき地面の無いゴムボート上では立つことも歩くことも出来ない、そういう意味での責苦でもある。 収容所では足・顔を殴打され、幾度も地面に伏すこととり、直江津では重い木材を担がされ、ひたすら直立させられることとなる。 単純化するなら、走ることで自己実現してきた者が走るという行為を奪われ、それを取り戻すまでのドラマ、となろう。  それだけに、エピローグでにこやかに走るザンぺリ-ニ氏の姿は感動的である。  ロジャー・ディーキンスの撮影は、実話の映画化といこともあって合理的な光源を基にした自然主義的なルックだ。 爆撃機のキャノピーの中を一瞬横切る太陽の入射光などの細部が画面にリアリズムを与えている。 直江津の石炭採掘場の見事な美術を舞台に展開されるのは、収容所長との視線の闘いでもある。 ここに至って、写実的な照明はより強度を帯び、二人は順光と逆光で対照化される。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2017-01-29 05:06:06)
128.  ザ・コンサルタント 《ネタバレ》 
ガレージのシャッターが上がるタイミングに合わせて、芸術的な呼吸で車を入庫させるベン・アフレック。 二度目のショットでは、シャッターに接触させてしまうことで、業務が不完全なまま解雇された動揺を仄めかす。 これがシャッターを利用したキャラクター描写の例。  デスクに伏して眠っているアナ・ケンドリックをわざと起こすためにガラスドアを少し乱暴に開ける、二人の初対面のシーン。 対するはソファに眠る彼女を起こさないように気遣いながら、彼女を見納めながらやさしく静かにホテルのドアを閉じる、情感豊かな二人の別れのシーン。 こちらはドアを反復活用した感情変化の描写の例だ。  冒頭の逆光のドアをはじめとして、車のドアやエレベータの扉や抽斗など、サスペンスにロマンスに、とにかくドアを駆使した映画ともいえる。  謎解きパートは少々長いし、ジョン・リスゴーも少々小者ではあるが、各キャラクターの設定を巧みに活かしたドラマはなかなか面白い。 会計監査業務をガラス壁やボードを使ったアクションとしてみせる、童謡などの伏線のあれこれも漏れなく活用するなど、巧妙だ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-01-29 05:01:08)
129.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
ドラマの流れは篠田正浩版(1971)同様、ほぼ原作に忠実だが、冒頭のポルトガルの場面やエピローグの「切支丹屋敷役人日記」の章が映像化されたことで 長尺となっている。特にスコセッシ流の解釈が施されたラストの十字架のショットは映画独自の表現となって印象深い。  1600年代を再現するランドスケープも厳選されており71年版に引けを取らないし、波音をはじめとする環境音の演出も充実している。 浅野忠信、塚本晋也らも安定の好演だが、イッセ―尾形はエキセントリックすぎて嫌味な印象だ。 岡田英次のほうが、穏やかな凄みがあった。  原作のクライマックスシーンは現国の教科書にも採用される有名な箇所だが、 その文章のもつドラマティックな迫力は、「白い朝の光が流れこんだ。」「朝方のうすあかりの中に」「黎明のほのかな光」「鶏が遠くで鳴いた。」などの 極めて映画的描写の充実にもよる。 篠田版は宮川一夫を撮影に起用してそれらの光を忠実に導入し、壁の「LAUDATE EUM」の文字を、踏み絵の図柄を、ロドリゴのシルエットを崇高に浮かび上がらせた。 遠藤周作が強く意識して描写しただろうその肝心な「夜明け」の光をなぜかスコセッシは映像化しない。 その代わりに、篠田版が賢明にも省略した「あの人」の声を聴かせてしまうという、この辺の感覚は違和感を抱かざるを得ない。 あるいは、スコセッシがあえてそのように処理して安易な審美性を拒んだというのは、現在の世界は未だ夜明けには至らないという諦念ゆえだろうか。  溝口的な、濃霧の中に浮かぶ小舟のショット。その視界不良で不穏な様も、全編を覆う曇天とともに何やら現実世界を連想させて、ぞくっとさせる。  異教と民族を巡る分断と排他主義が拡がる現在、時宜を得た公開ではある。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-01-23 16:31:54)
130.  セトウツミ 《ネタバレ》 
二人が並び座るツーショットの距離感とフレーミングが絶妙である。  その長回しによって、正面から見合うことのない二人の反射(リアクション)の妙を余すところなく伝え、 またある時は、それぞれの横顔の切返しによってリズムをつくり、フレーム外への視線の誘導によって 外界のロケーションや人々との通風性を獲得する。   二人の後景をまばらに行き来するエキストラや、無頓着な猫の仕草が何とも云えぬ味を醸し出す。 背後を流れる情景が、彼らの世界を絶妙に相対化するのである。  線香花火の瞬きや、菅田に降りかかって淡く消える粉雪もまた映画的な情趣を纏う。
[DVD(邦画)] 7点(2017-01-18 16:58:18)
131.  バイオハザード: ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
無数のコラージュが集積してヒロインの像を象っていくオープニングは、彼女のアイデンティティをめぐるドラマを象徴する。 鏡像の反射を活用すべく設定された美術や道具立ても、分身の主題を強調する為のものだろう。  そうした謎解きはともかくとして、あの手この手のアイデアを駆使したアクションの釣瓶打ちによって、 追い追われるの状況のみを展開していく潔さがいい。  装甲車上、タワービルからピット内の地下エリアへ、装置の高低差のサスペンスを活かした見せ場がふんだんな上、 打撃系のインパクトを強調して組み立てた格闘がパワフルで素晴らしい。「指を切らせて腹を断つ」とか。  各ショットは短いながらもケレンある構図でコンティニュイティがしっかりしているので、速度に同調すればこのアクションは見れる。  ラスト、再びの映像イメージのコラージュによる記憶の補完もまた、何となくゴダールの『映画史』を連想させたりするといえば大袈裟か。 アクション映画の引用コラージュ集とも云えるし。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-01-18 16:47:23)
132.  僕らのごはんは明日で待ってる 《ネタバレ》 
ドラマの設定は手垢のついたパターンであり、そこに食事の趣向で 独自性を出したのだろうが、双眼鏡や青空や握手の演出も含めて小手先の印象である。 前作同様、不器用男が走る横移動の(これまた陳腐な)ショットをどうしても入れたいようだが、病院の待合室でパンにかぶりつく シーンのほうがまだ力強い。  雄弁なダイアログは二人の個性の描写として許せるのだが、 食べ物の好き嫌いがないとか、イエスのように優しいとか、エピソードの中で描写 すべき事まで台詞で説明というのもどうなのか。  ラストが揺れる白いカーテンである割には、病院の屋上ではためく白いシーツを 画面に載せないなど、主題系としての不徹底が目に余る。
[映画館(邦画)] 3点(2017-01-10 10:16:01)
133.  ピートと秘密の友達 《ネタバレ》 
両親との死別をシンプルな画面処理で静謐に描写した出だしから、林間の木漏れ日をほどよく採り入れたドラゴンとの出会いがいい。 彫刻刀の滑るショットと一本道を走る車のショットのオーヴァーラップなど、スムーズな画面繋ぎによる前半の語りも快調だ。  俳優側の都合ではあろうが、ロバート・レッドフォードの回想談に無駄なフラッシュバックを用いず、彼の語りで見せてくれているのだから、 出来れば原語で聴きたかった。  前作に続いての「家へ帰る」映画であり、絵本の挿絵を使った寡黙な語りに打たれる。  ただデヴィッド・ロウリー、飛翔のアクションは不得手なのかも知れない。 夕焼けの鰯雲などのパノラマショットは素晴らしいが、クライマックスのアクションにはもう一つアイデアが欲しい。 橋が登場すると、水平ー垂直の展開が見えてしまう。
[映画館(吹替)] 7点(2017-01-04 00:10:03)
134.  土竜の唄 香港狂騒曲 《ネタバレ》 
不時着じゃなくて墜落だろ、みたいな科白が図らずもタイムリーに出てきてしまうところが、三池-宮藤作品だな、と。 高層ビルを舞台としたクライマックスのオークション会場で、これから怒涛のアクションが展開されるものと当然期待するわけだが、 それを裏切る失速・停滞・盛り下がりがつくづく勿体ない。 生田・堤・菜々緒ら、それぞれのシチュエーションが交互にカットバックされる度に進行が滞り、その上それらがバラバラのまま一向に収斂していかない。 本田翼もここで何らかの活躍をさせるべきだろうに。序盤のツッパリ演技もこれでは活きない。 とどめが、瑛太と生田の弁論合戦である。そういうのは先にさっさと済ませて、一大活劇で押して欲しいのだ。
[映画館(邦画)] 4点(2016-12-29 21:40:53)
135.  ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
雑多な種族が往来する街のシーンが二度ほどあるのだが、こういうシーンは美術セットやメイキャップの見せ場だろうに、 画面上は単に粗雑で目まぐるしいモブシーンでしかない。人物の対話シーンとなると、浅い深度のカメラによって後景はほとんどボケボケである。 折角のデザインスケープならば、その仕事を観客によく見せてあげればよいのに。美術の手抜き仕事を隠している訳じゃあるまい。  CG特撮を駆使したロングショットの奥行きとの落差が際立ってしまうわけで、そうした画面の単調さもドラマの足を引っ張る。 その観点では、ルーカス版よりは『帝国の逆襲』のカーシュナー版のスタイルであり、『GODZILLA(2014)』と同じ傾向である。 落胆させられるのは、いよいよクライマックスに向かいフェリシティ・ジョーンズに賛同してディエゴ・ルナらが集結するのだが、 彼の背後の仲間たちにもほとんどピントを合わせないことだ。 これは彼らの物語ではないのか。 カルチュラルスタディーズ的にもよく語られるこのシリーズ。この人種配置とrogue stateを連想させずにおかないこのタイトルなら、 彼ら一人一人の表情にもしっかりフォーカスしなければならぬのではないかと思うが。 このような細部こそ疎かにして欲しくない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-12-25 15:03:52)
136.  ぼくは明日、昨日のきみとデートする 《ネタバレ》 
流れていくレールと、光に満ちた車窓の風景。オープニングから照明に対する意識が非常に高い。  陽の当たる窓際に立つ小松菜奈。さらにホームでは自然の順光が、デートの際にはアンティークのランプやイルミネーションの光が、 映画スクリーンや水面の反射の照り返しが、多種多様な光でもってひたすら彼女を賛美するように輝かせる。 あるいはホームに入ってくる電車のライトが彼女を徐々に照らし出していく。美術教室の外光が彼女をまるで異世界のように包む。 それら映画の要でもある光の操りは、ドラマの主題にもかなったものだ。  時間を視覚化する針時計、砂時計、メリーゴーラウンド、交差する複線のレールや月光と、モチーフの映画的活用も巧い。 理屈は荒唐無稽だが、黒板に描かれた円環の図一発で納得させる強引さを買う。  後半の劇伴の過剰さ、エピローグの蛇足感が少々玉に瑕だが、主演二人の清潔感と彼らを魅力的に撮りあげたスタッフの技が 伝わるのがなによりだ。
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-18 21:05:37)
137.  海賊とよばれた男 《ネタバレ》 
『続・三丁目の夕日』で東京タワー展望室内を再現するために、ほとんど画面に映ることが無かったにも関わらず当時の展示資料をスタッフが 借りに来たことがあって、そのこだわりぶりと労力に感心した覚えがある。 そうしたことから、本作でも時代の再現に関する美術面は大いに信頼してもよいと考える。 送迎デッキで船を見送る・迎える大勢のエキストラの衣装ひとつとってもよく作り込まれていて、その画面作りには頭が下がる。  記念写真の用法も山崎映画の特徴となっているが、夫婦のドラマの弱さと共に今回は印象が弱い。 岡田を舳先に立たせて並走する水上シーンのローリングも一瞬の高揚だけで後には続かない。  劇場予告の時点で耐性はついているものの、力みかえった絶叫芝居も相変わらずなら、煽情的な劇伴も山崎印である。 社歌を歌って労働するシーンにBGMを被せるセンスがもう理解出来ない。  何より、この時制を頻繁に往還させる作劇がしんどい。
[映画館(邦画)] 4点(2016-12-15 00:04:07)
138.  疾風ロンド 《ネタバレ》 
疾風を感じさせるのは、かろうじて大島優子とムロツヨシのスキーチェイスのみ。 せめて話運びだけでもテンポ良くやって欲しいが、編集の間も悪く、タイトル倒れである。 レストラン家族の陳腐な人情噺など、小手先でパズル合わせしているのが露わで、 キャラクターはそのコマでしかない。柄本明の誇張芝居などは目を背けたくなる。  とぼけた味の阿部寛はなかなかいいが、もう少し主役らしい活躍の場が欲しい。
[映画館(邦画)] 3点(2016-12-02 00:01:53)
139.  聖の青春 《ネタバレ》 
これがもう少し身体性を伴う競技ならばまた違うのだろうが、表情や仕草・佇まいの再現を重視した演技設計ゆえに松山・東出の両者共に 精巧な模写の印象が強くなってしまうのがつらいところである。  ならば対局シーンはそれに徹して、顔と手のアクションで通してくれれば良いのだが、そこに屋外の情景や白鳥の心理的なショットなどを スローでインサートしてしまうのは、あまり効果的とは思えない。  新聞紙の上に切られた爪と髪の毛を見せてから、わざわざカメラを動かし手と頭まで証拠提示するような愚直でくどいショットもちらほら。  それでも窓外を静かに雪が舞う定食屋でテーブルを挟み語らう松山と東出の朴訥とした情感などは素晴らしい。 シーンの最後に、店外からのショットに引くリズムなどがほどよい緊張に満ちて胸に迫る。  筒井道隆、安田顕、柄本時生、リリー・フランキーらも味があっていい。
[映画館(邦画)] 6点(2016-11-26 06:43:56)
140.  ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 《ネタバレ》 
収監されるもあっさりザル警備の隙をついて脱出してみせるトム・クルーズ。それはいいのだが、序盤からこうもタスクの難度が低いと その後の展開に不安を抱いてしまう。アナログなりの知略をもう少し披露して欲しいところである。  ハロウィン・パレードの混雑の中、パトリック・ヒューシンガーを見つけ出し追跡するシーンも同様に今一つ盛り上がりきらない。 壁を伝って階上へと追っていくトム・クルーズのアクロバティックなスタントをもっと見せてクライマックスへ向けてのテンションを高めて欲しい というのは酷な望みか。地味なアクションを指向しているのは承知だが。 派手な銃撃戦からは、コビー・スマルダーズとの連携プレーを見せていくわけだが、アップの多すぎが逆効果になっている。  ラスト、一旦は別れた娘が踵を返してトム・クルーズに駆け寄り、抱擁を交わすのだが、このショットも想定通りすぎてあまり巧いと思えない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-11-19 00:02:40)
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