121. ミリキタニの猫
《ネタバレ》 路上画家といえば聞こえはいいが、いわゆるホームレスの画家ミリキタニとリンダ・ハッテンドーフ 監督が「911」前のニューヨークで出会い、その後「911」を受けてアメリカ社会にアラブ系やイスラム教徒排斥の空気が流れる中、かつてアメリカ市民でありながら敵性国民として排斥され強制収容所へ送られたミリキタニが自分の過去を語るという、まるでフィクションのようなドキュメンタリー映画でした。 この2人が出会わなければ、ミリキタニはただの絵の上手いホームレスとして生涯を終え、世に知られることもなかったかもしれませんし、幼い頃生き別れた姉とも再会することもなかったでしょうし、かつて収容されていたツールレイク収容所を訪れて長い間背負っていた心の澱を洗い流せなかったかもしれない・・・と考えると、本当にこの出会いは素晴らしい奇跡なのだなと感じましたね。 本当に素晴らしいドキュメンタリーでした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-11-18 23:52:32)(良:2票) |
122. 17歳の肖像
《ネタバレ》 原題に「教育」とあるように、いわゆる勉強をすることだけが教育なのではなく様々な経験を通じて成長していくこともまた教育であることを教えてくれる映画です。 まだ第2次世界大戦を引きずっているようなどこか閉塞感漂うイギリス社会の空気がこの物語のほろ苦さ、そしてキャリー・マリガンの存在感溢れる演技と上手くマッチしていて惹きつけられました。 まあ、うまい話には何かあるということですね・・・・・。 [DVD(吹替)] 7点(2010-11-18 00:16:49) |
123. トリノ、24時からの恋人たち
《ネタバレ》 美しいトリノの街を舞台にした、全編映画愛に満ち溢れたとても素敵な作品でした。幻想的でセンスの良い映像に浸ってしまいました。内容も中々こじゃれた感じで良かったと思います(まあ、とある場面でベルルスコーニを持ってきたのは見事だと思いました)。 フランチェスカ・イナウディがジーン・セバーグを彷彿させるようなショートカットで非常に魅力的でした。 トリノの国立映画博物館がとても魅力的なシチュエーションで一度行ってみたくなりましたね。あと、フィボナッチ数列の奥の深さをもう少し探ってみようかと思いました。 [DVD(吹替)] 8点(2010-11-13 23:50:20) |
124. NOVO/ノボ
《ネタバレ》 記憶がすぐに無くなってしまう設定やスタイリッシュな映像は中々興味深かったものの、やや中味が薄い感じでしたね。ちょっと説明不足ですぐには理解できないシーンも結構ありましたし・・・・ それと、記憶喪失の理由はフランス人的には「あり」なのかもしれませんが、日本人的には「なし」ですね。 [DVD(吹替)] 6点(2010-10-24 01:04:17) |
125. 精神
《ネタバレ》 精神病は決して我々から遠く離れた世界にあるものではないこと、そしてこの問題が根深く難しいものであるのかを教えてくれる作品でした。 登場する患者さんたちも、落ち着いている状況での出演が殆どなので特に違和感は感じませんが、それ故にその裏に隠された心の闇の深さに恐ろしさを感じてしまいましたね。 この作品を観ただけで精神病のことがわかるわけではありませんが、精神医療の実際の現場を見ることができる非常に貴重な映像作品だと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2010-10-17 00:39:06) |
126. ロストパラダイス・イン・トーキョー
《ネタバレ》 荒削りな部分もありますが、この監督の才能は今後楽しみですね。登場人物たちの不安定な状況を手持ちカメラによる映像で美しい光や風景を散りばめて映し出しています。こういう作品を観ると、「映画の質の高さ=制作費の高さ」ではないことがわかりますね。 まあ、出てくる人間がどいつもこいつも他人をわかっているようでわかっていない独りよがりな奴ばかりで、「そりゃ世間で上手くやっていけないよ」と思いながら観ていたんですが、いろいろな出来事を通して徐々に変わっていく展開に引き込まれていきました。 地味な展開でありながらも観客を退屈させない仕掛けも良いタイミングで用意していますし、主要人物のキャスティング・演技も素晴らしく良い映画だったと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2010-10-15 00:28:59)(良:1票) |
127. ウディ・アレンの夢と犯罪
《ネタバレ》 舞台は現代ですけれども非常に古典的な雰囲気の映画です。ただ、キャスティングの絶妙さ、そして人生というものの残酷さ、不条理さを軽妙に描ききるウディ・アレンの熟練技は見事なものです。「重罪と軽罪」を視点を変えて描いた感じですかね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-11 23:48:00) |
128. ブルーノ
《ネタバレ》 第3者が中々近寄れない様々な問題におちゃらけながらも堂々と突撃し挑発的な態度を取ることによって当事者の本音や問題の実像を抉り出すサシャ・バロン・コーエンの姿は見応えがありましたね。下品で悪ふざけが過ぎるシーンも多かったですけれども。 ユダヤ人とパレスチナ人の間に立って「一緒にキリスト教徒を(略」とか「韓国と北朝鮮は争いをやめて、どちらも中国人でしょ」とか中々ブラックジョークもきつく利いていて面白かったです。 ただ、一番のサプライズは最後の歌のシーンですね。あのロックスターたちが出てきたときは本当にビックリしました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-06 00:42:56) |
129. サマーウォーズ
《ネタバレ》 コンピューターへの依存度が高い現代社会への警鐘が描かれていて楽しく観ることができました。 ただ、内容的にあまりに権威主義的というか優生主義的というか・・・由緒ある家系の金持ちやずば抜けた才能を持った人間といった一握りのエリートによって我々の命運は左右されているんだよといわんばかりの展開が個人的にはちょっと引っかかりましたね。まあ、実際そうなんでしょうし、ヒーロー物なんてみんなそんなものだとはわかってはいるんですが。 [地上波(邦画)] 7点(2010-09-29 00:42:46) |
130. 悲しいボーイフレンド
《ネタバレ》 「悲しいボーイフレンド」ってもう25年前の曲になるのか・・・としばし呆然となりました(当時渡辺美里にはまってたんですよね・・・)。自分の年の取り具合を感じさせてくれる作品でしたね。まあ、寺脇康文が37歳というのはちょっと無理があるように思えましたが・・・・。 阪神の日本一も25年前なんですよね・・・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2010-09-25 21:36:32) |
131. 運命に逆らったシチリアの少女
《ネタバレ》 「ペッピーノの百歩」の女性版といった感じですね。マフィアが市民生活に根付いているシチリアの状況はいろいろと考えさせられます・・・・。殺された父親と兄にしても・・・・・な訳ですからね。やはり「義理と人情を 秤にかけりゃ義理が重たい」男の世界に挑む娘に対する母親の複雑な心境がやるせなかったです。 ちなみにポスター等に出てくるかわいい少女は最初の20分くらいしか出ませんのであしからず [DVD(字幕)] 8点(2010-09-20 20:24:59) |
132. パンドラの匣
《ネタバレ》 かなり原作のイメージを崩さずに映像化した印象を受けました。キャスティングも良い感じではまってましたね。特に川上未映子の起用は大成功だと思います。 ただ、ちょっと中だるみ気味なところもあって時間が長く感じましたね(そんなに長い時間ではないのですが・・・)。 [DVD(邦画)] 6点(2010-09-14 00:25:33) |
133. 京義線(キョンイセン)
《ネタバレ》 タイトルなどを観ているとラブストーリーのように見えますが、衝撃的な出来事に出くわし傷ついた男と女のロードムービー的なヒューマンストーリーです。のどかなローカル線のように地味な作品ではありますが、こういう「人間交差点」的な物語は好きですね。 かつては南北朝鮮を結んでいて、国の分断に伴い分断された京義線がまるで衝撃的な出来事により愛する者と分断されてしまった主人公たちを象徴するかのようでした。京義線やソウルの地下鉄といった鉄道の使い方が巧かったですね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-09 00:18:45) |
134. 猟奇的な彼女 in NY
《ネタバレ》 結構、オリジナルに忠実なリメイクなので十分楽しめました。むしろオリジナルでいかにもアジア映画っぽく強調されていた「猟奇的」な部分がマイルドな感じになっているので、元のクセのある作風が苦手な方でも見やすいと思います。 ラストまでの展開も、オリジナルよりも自然な感じで良かったと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2010-09-03 00:20:17) |
135. アメリ
《ネタバレ》 この作品については、とやかく論じたりするよりも、ジャン・ピエール・ジュネ監督のセンスとオドレイ・トトゥをはじめとする役者陣の演技が織り成す幸福な世界にひたすら浸るのが良いでしょう。フワフワとしながらも、時折毒が混じってるのも中々いい感じでした。 [インターネット(字幕)] 8点(2010-09-02 00:15:54) |
136. クリスマス・キャロル(2001)
《ネタバレ》 シンプルではありますが、社会という共同体で生活している限り人間は一人で生きているのではなく、共同体を構成する他者との関わりあいの中で生かしてもらっているのだということを改めて教えてくれる物語だと思います。 自分の現在・過去・未来についていろいろと考えさせられますね。 ケイト・ウィンスレットの曲も良かったです。 [DVD(吹替)] 7点(2010-09-01 21:30:07)(良:1票) |
137. 海角七号/君想う、国境の南
《ネタバレ》 観る前は、日本と台湾の関係を軸にした悲しく切ない恋愛映画かなと思ってたのですが、実際はコメディ色が強くて全然違ってましたね。でも、そのコメディタッチの中に台湾社会の様々な問題が散りばめられていて非常に興味深かったです。 田中千絵演じる友子が台湾の人たちから見た日本人の姿なんですかね?外国人から見た日本人像は中々面白いものがありますね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-28 16:29:03) |
138. パコと魔法の絵本
《ネタバレ》 ストーリーは悪くないですし、途中何度も胸にグッときました。役所広司やアヤカ・ウィルソン、土屋アンナといった役者陣の演技も良かったです。 ただ、過剰な演出・CGが個人的には逆効果でしたね。なんというかゴチャゴチャさが素材の良さを打ち消した感じでちょっと作品に入り込めませんでした。 まあ、面白い作品ではありましたが・・・・ [地上波(邦画)] 7点(2010-08-21 15:12:57) |
139. 童貞放浪記
《ネタバレ》 極めて純文学的な真面目な映画でした。山本浩司の演技が非常にリアルで素晴らしかったです。 [DVD(邦画)] 7点(2010-08-17 00:25:04) |
140. (500)日のサマー
《ネタバレ》 男が惹き込まれ共感してしまうリアルな恋愛映画でしたね(ありそうで中々無いんですよね・・・)。ミュージック・ビデオ製作を多く手がけた監督の作品だけあって音楽のセレクト・使い方も巧みでしたね。まあ、悶々とした男心に満ち溢れた世界を、時系列をシャッフルしたり期待と現実を同時進行させるなどの見せ方の工夫をこらしてちょっと洒落た雰囲気に変えているのも見事でした(21世紀の「アニー・ホール」という印象も受けました)。 最後の結論もオチもバシっと決まっていて、本当に面白い作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-16 16:56:47)(良:1票) |