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空耳さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 180
性別 男性
自己紹介 「刑事コロンボ」旧作全作品批評終了。
「チャップリン長編映画(一時間を越える本人登場作品のみ)」全作品批評終了。
「名探偵コナン」映画……15作品のうち14作品終了。
「黒沢映画」……まだまだ

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121.  生きる 《ネタバレ》 
黒沢映画や日本映画という枠を越え、すべての映画の中で最高傑作を争える作品。「生と死」という重い厄介な主題と取り組んでここまで感動的な物語を作り出したことが何よりすばらしい。一つ一つの場面の何と痛烈なことか! 公園計画の邪魔をしたくせにいざ公園が完成すると手柄を横取りする助役が厭味たっぷりな演説をぶって一同お追随を打った直後のお焼香の場面、こんな強烈な皮肉が他にあるだろうか。役所の連中にひとかけらの良心でもあるのなら、強烈に自分を恥じるしかないではないか。また主人公がヒロインと最後の会食をする場面、「自分にも、何かできる。ただやる気になれば」と興奮しながら立ち去るところで「ハッピーバースデー」の歌が重なるところは何度見ても本気で泣けてきてしまう。主人公の「生きる」姿を祝福しているのである。誕生日の歌はこのすぐ後に役所の場面でも繰り返されて主人公の「生きる」姿を強調している。その直後に急転直下で通夜の場面になってしまう意外性、さらにその通夜の席で主人公の行動と「癌だったことを知っていたのかどうか」の真相が次第に明らかになり、主人公が残り少ない命を真に燃焼し尽くし、その死は無念な悲惨なものではなく満足した上での死であったことも明らかになる。何度も何度も取り直したという「馬鹿野郎!」「助役とはっきり言えよ!」という左卜全の痛烈なセリフがこちらの肺腑にまで届く。またその場面で終わらずに、所詮は皆の感動も酒の席の上での決意でしかなかったことを見せる場面があってから公園の場面で終わるのも深い見せ方だ。他にも胃袋のレントゲン写真からはじまる冒頭、無音の状態からいきなりクラクションの爆音が響く場面などなど、恐ろしいほど考え抜かれて書かれたシナリオであり、天才が全力投球するとこうなるのだと言わんばかりである。この素晴らしすぎる映画にあえて欠点を言うなら、やはり主人公が超人的すぎ、話が理想的に進みすぎることだろう。それととんでもない誤解を受けたからと言って息子に何も知らせず死んでいくのはやはりちょっと息子に気の毒な気がする。そういう部分はあるが、息子についてはともかく、主人公が超人的すぎ話が理想的すぎることについては「生きものの記録」「どですかでん」できちんと回答を出しているように思う。一つの金字塔であり、この作品がある限り自分が日本人であることに誇りが持てる。心から感謝したい。
[地上波(邦画)] 10点(2010-08-01 05:02:20)
122.  ダーリンは外国人
「日本人女性よ、日本人男性とではなく外国人男性と結婚しましょう!」ということになりかねない(なってる)人種差別プロパガンダ映画。誤解のないように書いておくともちろん国際結婚は人種差別ではないが、結婚相手を「人種」で決めるのは100%差別である。この差別に日本人はホント鈍感で、平気で「ハーフはかわいい」と言ったりする人間のなんと多いことか。何の資格も特技もない単なる「外国人」とのお見合いパーティがあるそうだが、お見合いパーティって普通は男性の方が参加費用が高いのに、これはなんと男性の方が安いのである。要するにこれは同じく男性側の費用が安い「医者・弁護士とのお見合いパーティ」と同じわけで、つまり日本人女性にとって「外国人男性(特に白人)」は、それだけで医者や弁護士と同じような存在であるわけなのだ。ぶっちゃけ白人男性様は日本人男よりも「ただ外国人であるということ、ただそれだけで」価値が上であると思っちゃってるわけ。ほんと物凄い人種差別で反吐が出るんだけど、それを指摘する人はほぼ皆無なのが呆れる。このトニーって人もなんとぶったまげることに「ジャーナリスト」なんだそうで、在日外国人たちの差別問題と戦ってきた経歴の持ち主だと聞いて二重三重にぶったまげた。よーするに外国人たちが「ひどい扱いを受ける」差別は許せないけど、「白人様と結婚してハーフのかわいい子供♪」という「ちやほやする人種差別」については、ぜーんぜん不問になっちゃうわけ。もちろんこの夫婦がそんなひどい差別夫婦ではないと思うが、言葉も通じないのに白人というだけで舞い上がって簡単に交際・結婚する女性たちが多いことを思うと、それに加担するような漫画を書いて映画まで出すなんて、ジャーナリストとしてはありえない行為である。「夫が外国人? だからなんなの?」というのがまともな感覚だろうに。
[映画館(邦画)] 0点(2010-07-18 12:24:08)(良:1票)
123.  オースティン・パワーズ ゴールドメンバー 《ネタバレ》 
「裸の銃」に比べると全然笑えない映画。それとはっきり書いてる人がいないので書くけどフクミというのは「フ○○ク ミー」ということで、まぁ日本人女性なんてそんな目で見られてるんだなというのがわかってほんと情けなかったりする。え? フクユなんて名前はない? まぁミーだから双子はユーなんじゃないでしょうか……。
[DVD(字幕)] 3点(2010-07-18 08:37:27)
124.  チャップリンの殺人狂時代 《ネタバレ》 
かつて魔女狩りというものがあったが、あれは単なる迷信ではなかった。魔女狩りで始末される犠牲者たち(女性だけでなく男性も多く処刑された)の財産を誰がどう分けるかが、一番肝心なことだったのだ。要するに魔女狩りは迷信に名を借りたありえないほど悪質な財産略奪の手口だったと言える。これは現代の戦争にも通じる。「戦争で得をする連中」がいるから戦争が起きるのである。要するに戦争はビジネスであり、大勢の人が死ぬことによって大儲けする人間が存在する(特にアメリカには)のだ。チャップリンはそれがわかっていたから、それを大衆に伝えたかったからこの映画を作ったのである。冷酷な殺人鬼が「大量殺人者としては、私などアマチュアだ」「殺人はビジネス、小さい規模では上手くいかない」と言うのはもちろん自分の殺人を言い訳しているのではない。これ以上ないほど簡潔に鋭く戦争の真実をついた指摘をしているだけであり、だからアメリカの武器商人たちは本気でチャップリンに怒った。上映反対の運動は過熱し、映画の興行成績もチャップリン作品の最低となった。アメリカ追放はこの5年後である。チャップリンがこの作品を「自分の最高傑作」と呼んだのにはそうした背景もあったろうと思う。その辺の背景や戦争の本質がわかっていないと、よくわからない映画だということになってしまうだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2010-07-17 09:20:12)
125.  四季・奈津子 《ネタバレ》 
あれ、当時評判になった映画だったような気がするが投稿が少なすぎるような気が……。  まぁそれだけ内容がないってことなんだろうか。確か当時主人公の女性が「新しい女性の生き方だ」などと言われたような気がするのだが、よく見てみると単にワガママで自己本位でしかない女性のようだ。  それがわかるのが婚約者との最後のやりとりで、こんなひどい仕打ちをすれば婚約者から婚約解消されるぐらいの想像は普通つくわけだが、本人は全然気がつかなかったようで後でそれを知ってびっくりしている。ということはあんな仕打ちをしても婚約が解消されることは絶対ないとタカをくくっていたことになるわけで、この鈍感さ・相手への思いやりのなさにはいささか呆れてしまう。  それでいて別の場面ではある事件でひどい仕打ちをうけた姉だか妹だかにひどく同情して憤るところなど、自分のやってることと整合性がまるでとれておらず、トンチンカンも甚だしい。  あ、もしかすると「現代(といっても25年前)の女性って、こんなに人の気持ちがわからないしょうもない人間です」ってことなんだろうかこの映画。だったら筋は通る。
[地上波(邦画)] 3点(2010-07-17 04:27:33)
126.  チャップリンの黄金狂時代 《ネタバレ》 
古さを忘れてしまうぐらい面白くできのいい映画。確かオリジナルに音楽を追加したバージョンもあったように思うが(私が子供のときテレビで放映されたときは、音楽+愛川欽也の語りつきだった)、そっちの方がにぎやかでずっと個人的には好きだ。DVDを入手したが音楽なしのオリジナル版だった。どこかで音楽つき版を入手できないもんだろうか? 有名な靴を食べる場面(「殺人博物館」というサイトによると遭難して人肉を食べたドナー隊の悲劇がもとになっているのではとのこと)や、飢えでチャップリンが鶏に見えてしまう場面、これは何らかの理由で断食・絶食した人じゃないと本当には理解できないんじゃないかと思う。ロールパンのダンスは動きといい顔の表情といい芸術作品と言っていい。音楽つきバージョンだと軽快な音楽が合わさってさらにすばらしい場面となる。小屋が落ちそうになる場面も印象に残る(ここも音楽つきの方がずっと効果的だったと思うが)。一方、ヒロインとの恋物語はさほど濃厚に描かれず、一方的なチャップリンの片思いにも見え、最後いきなりハッピーエンドになってしまう感じなのがちょっと強引に思えた。大金持ちになったチャップリンが貧乏根性丸出しで「まだ吸える」とばかりにシケモク(吸殻)を拾う場面が笑わせてくれる。金持ちになってもそう簡単に習性は変わるものじゃないし、また変わらない方がいい習性もあるのだ。恐らく現実のチャップリンもそうだったんだろう。いやシケモクは拾わないだろうが、苦しかった時代のことを片時も忘れたことはあるまい……。
[地上波(吹替)] 9点(2010-07-15 07:24:08)
127.  赤ひげ 《ネタバレ》 
「生きる」の完璧すぎるほど完璧な出来ばえに比べればどうしても落ちるが、やはり満点。やや時間が長いし、前半の話にはやや助長なもの(特に佐八の話)もあったけれども、おとよの登場から俄然映画自体が変わってしまう。心を開きつつあるおとよが保本の看病をしている場面、ふと窓を開けると雪が降っていてそれに合わせて音楽が鳴り出すところ、この場面がとても感動的だ。おとよ役の二木てるみだけで十分すごいのだがさらに長坊役の頭師佳孝が加わってこの二人が本当にうまい。死にかけている長坊の魂を呼び戻そうとしておとよが井戸に向かって絶叫する場面、はらわたから絞り出すような「ちょぉぉぉぼぉぉぉぉ~~~」(活字にすると変だなぁ)という身も世もない叫び声が悲痛の極みだ。もちろん保本の徐々に成長していく姿もしっかりと描かれており、おしきせを初めて着る場面、自分の情けなさに涙する場面、いずれも印象に強く残る。ラストの「お許しが出たんですね」はそのセリフ自体がうまい。さらに音楽と相まってまさに大団円という感じで、長いけれども良質の映画をみた幸福感で満たされる。いい作品だ。それともう一つ、本作が「理想的すぎ」と思われる方は、ぜひ「どですかでん」を御覧あれ。
[ビデオ(邦画)] 10点(2010-03-25 07:57:49)
128.  刑事コロンボ/歌声の消えた海<TVM> 《ネタバレ》 
事件前にコロンボが犯人と遭遇するのは珍しい。上司が犯人だった「権力の墓穴」はともかく、他に何かあったろうか? 「缶詰買ってメキシコ行こう」という笑えるセリフや、同じ船に乗ってるのにとうとう最後まで出てこないカミサン、「汽船」と「ボート」を何度も間違えまくる警部などなどニヤニヤさせられる部分もたくさんある上に、ミステリーの点でも設定がきちんとしていて完成度が高い作品である。細かいことを言えば犯人が愚かにもコロンボのトリックにひっかかるラストは弱い(が、「どうして自分を疑ったのか」という犯人の問に「床に落ちていた羽から疑いを持った」と答える場面が「よくぞそんな小さなところまで気がつくもんだ」と思わせることによってその弱さをカバーしている……ちょうどそこで羽が落ちるなんざ、実はできすぎなんだけど)、それ以上に銃を購入したレシートを手提げ金庫に忍ばせるのはどんなもんだろうか? 店がわかれば当然警察が聞き込みに行くだろうし、店員が購入者の顔を覚えていたら困ったことになるだろうに。そもそも自分には完璧なアリバイがあるんだから、ピアニストに罪を着せる必要が果たしてあったのかという疑問も出てくる。だがそれはそれ、陽気な音楽と豪華な船旅を満喫する人々の姿が楽しげで、こちらまでちょっとした船旅気分になれる(?)ところも高評価。
[DVD(吹替)] 7点(2010-03-25 07:42:51)
129.  刑事コロンボ/仮面の男<TVM> 《ネタバレ》 
アメリカ人にとってはどうか知らないが、私の世代の日本人だとCIAの部長を見て「あ、『奥様は魔女』のラリー(とんでもないお調子者キャラ)じゃん」と絶対に思ってしまうだろう。しかも声優さんも同じなので、どうみても違和感がありまくり。懐かしかったけど。 それはそうと、本編の謎は最後の冗談だ。吹き替えは絶対に原語と違ってるなと確信させるほどわけわからない内容だが、原語の冗談もさっぱりわからない……と思ったら解説しているサイトがあるそうで、そこを読んでやっと氷解した。それにしても「ある日、ポーカーと麻雀が賭をした」は、余りといえば余りにも意味なし翻訳ではないだろうか。
[DVD(吹替)] 5点(2010-03-25 07:11:53)
130.  刑事コロンボ/さらば提督<TVM> 《ネタバレ》 
本作は日本で初放映(テレビ)されるとき「犯人がわからないコロンボ」というので結構話題になったのだが、この作品の最大のトリックは「犯人だと思われる人間が実は犯人ではなかった」ということなので「犯人がわからない」ことを事前に知らせてしまうのは完全なネタバレでしかない。「犯人がわからないコロンボ作品」だということを知らずに見ないと、この作品は面白くないのだ。だが実はそれを知らずにみたところで、今度は「推理ミスをするコロンボ」を見なければならない羽目になる。取り巻きの刑事たちもいささか金魚の糞すぎる嫌いがある。要するに結局は面白くない作品だ。船名のシートの謎も、日本人としてはパッと感覚的に理解できないのでいま一つ弱い。この作品で終わるところだったって? 冗談じゃない。
[DVD(邦画)] 3点(2010-03-23 05:46:27)
131.  刑事コロンボ/死者のメッセージ<TVM> 《ネタバレ》 
コロンボ作品(旧作)の中で個人的に一番憎めない犯人。姪を殺されたからという動機も「納得」するしかなく、高齢だし温情判決をお願いしたい(汗)。
[DVD(吹替)] 6点(2010-03-23 05:31:31)
132.  刑事コロンボ/美食の報酬<TVM> 《ネタバレ》 
一つ興味深い場面がある。事件解決の場面でコロンボと犯人がお互いに相手を評して「つきあいたいとは思わないな」と言い合うところである。なぜこんな場面があるのか。しかもその「つきあいたくない理由」をお互いに明かしていない。が、コロンボの考えはなんとなくわかる。人間味あふれ人間臭いコロンボからすると、犯人の性格は余りにもドライすぎるんだろう。コロンボのしつこさにブチ切れ露骨に怒りを向けてくる犯人たちの方がまだ感情が剥き出しになるという点で「人間的」とも言えるが、この犯人は特に怒るでもなく苦しむでもなく「邪魔な奴はさっさと片付けてしまうが吉」みたいな感覚で殺人を犯しついにはコロンボまでをも手にかけようとする。そういう点が「どうもいけませんなぁ」ということなのではないだろうか。とするとこの場面は犯人とコロンボの人間性の違いを明らかにさせるために付け加えられた場面なのかもしれない。
[DVD(吹替)] 5点(2010-03-23 05:25:49)
133.  名探偵コナンスペシャル 集められた名探偵!工藤新一VS怪盗キッド<TVM> 《ネタバレ》 
まぁ普通なんじゃないでしょうか。というかこれってキッド対コナンじゃないよね。それなりに謎もまとまって最後の盛り上がりもあったけど。それにしてもキッド、一体どこにハングライダーなんか忍ばせてたんだ……。大体キッドの変装はもはや変装ってもんじゃなくて、宇宙人が地球人に化けているみたいなレベルだな。それはそうと服部君、たかが中間テストぐらいでこんなすごい集まりを欠席するなんてらしくない。きっと親あたりが本人の知らぬうちに返事したんだろうな。で、犯人はちゃんと罪を償うのか? それが気になった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-02-17 07:07:11)
134.  名探偵コナン 14番目の標的 《ネタバレ》 
1作目もそうだったけど本作は動機がさらにさらにさらに無理すぎる。こんなくだらん理由で関係もない人間まで巻き込んで大量殺人を企てるなんて、ありえなさすぎて醒めてしまった。この程度ならテレビの方にもっと面白い話がありそうだ。
[ビデオ(邦画)] 4点(2010-02-17 07:01:15)
135.  となりのトトロ
単なる子供向けの単なるアニメ映画。大人の鑑賞に耐えうる作品では全くない。だが確かに子供にはウケルようで、ウチの1歳の子供はなぜかこれが好き。なので3点のところ+1点で、4点。
[DVD(邦画)] 4点(2009-08-28 23:35:16)
136.  アマデウス 《ネタバレ》 
私は大のクラシックファンだし、特にベートーベンとかモーツァルトなどの古典派が一番好きだ。恥ずかしながら素人作曲までして某サイトに古典調の音楽を投稿までしているほどの「マニア」である。賞をバンバンとって評判もいいこの映画(10点がメチャクチャ多いじゃないか)、大いに大いに大いに期待して観たのだが……。なんともつまらなかったというのが正直なところ。恐らく逆なんだと思う。クラシックをあまり知らない人がこの映画を見れば「なんてモーツァルトってメチャクチャな奴だったんだ」という印象を受けるんだろう。だが私のようなマニアになると「こんなマトモな奴じゃないだろ!」と思えてならないのだ。モーツァルトは私の中ではもっと下品でもっと無茶苦茶でもっと経済力がなくてもっと酒やギャンブルにだらしなくて、そしてもっと天才でもっともっと並外れた超人なのである。なのにこの映画のモーツァルトときたら、単なるどこにでもいるような天才でしかないじゃないか。むしろサリエリの方が(音楽的にではなく人間的に)非凡に見えてしまう。レクイエムを書かせて殺すなんざ、並の人間には思いつかないんじゃないか。それ以上にラストの「赦す」の連呼など、もはや狂気そのものであり、患者たちの酷い姿とあいまって身震いしてしまう凄味がある。これは失敗作だ。モーツァルトを描くためにサリエリなどを持ってくるのが間違いなのだ。サリエリなどはほんの数コマで吹き飛ばされてしまう役で十分なのである。ただ一ヶ所、墓地の場面だけはよかった。モーツァルトは大作曲家であるにもかかわらず適当に数人で埋葬されて現在でも墓の所在がわからないという史実に忠実だし、天才の末路としてぞっとくるものがあった。時間が長すぎるとは思わなかった。むしろ短すぎだ。この倍の時間をつかってもいいから(そうなるとドラマか)モーツァルト自身を描ききってほしかった。これではモーツァルトの孤独も凄味も天才もわからない。
[DVD(字幕)] 3点(2009-08-16 02:56:46)
137.  刑事コロンボ/闘牛士の栄光<TVM> 《ネタバレ》 
細かいやりとりに光るものがいくつもあるが、動機と犯人逮捕の方法が弱すぎる。せめてモントーヤにコロンボが「あのときもこうだった。それを見られたことが殺しの動機だ」とか何とか言ってほしかった。最後の二人の握手がとてもすがすがしい。サンチェス刑事の正義感なくしては、解決なんてできない事件だったように思える。
[DVD(吹替)] 6点(2009-06-19 04:50:40)
138.  刑事コロンボ/黄金のバックル<TVM> 《ネタバレ》 
本作はトリックとしての面白さに欠けるし地味なので凡作と評価されているようだが、この寒けがするような恐ろしい雰囲気は他のどのコロンボ作品にもないもので、一種特別な作品だと思う(強いて言えば「黒のエチュード」が多少似ている)。その原因となっているのが舞台となったこの古めかしい美術館の雰囲気であり、さらにはこの事件のずっと以前に起きたもう一つの殺人事件である。特に後者はコロンボによってその真相が解明されて行くことで犯人の心の闇が浮かびあがるような仕組みになっている。最後の場面、ジェニーに向かって「私がパパを殺したというのは嘘ですよ」と言い、コロンボに「嘘をついたんでしょう?」と犯人が詰め寄るのはほとんど脅迫のような懇願であり、絶対にジェニーにだけは真相を知られたくないという犯人の悲痛な叫びともとれる。だがこのセリフは単純ではない。なぜならジェニーを陥れたのはそもそも犯人にほかならないのであり、解釈が難しい。逮捕は免れないと思った犯人がこのときだけはジェニーを思いやってそう言ったのだと仮定しておこう。ポアロと違ってとことん筋を通すコロンボが常にも似ず「おっしゃる通り、嘘ですよ」と嘘をつくのは、あるいは犯人のその気持ちを汲んだようにもとれる。「コロンボさん、手をとって下さる?」というのは恐らくは犯人の感謝の気持ちであると同時に「どこへ行くにも殿方のエスコートが必要だ」という姉の言葉が下敷きになっている。全編に流れる音楽も雰囲気にぴったりだ。ああそれからもう一つだけ、この話は邦題より原題(「古めかしい殺人」)の方がいい。
[地上波(吹替)] 7点(2009-06-19 04:29:01)(良:2票)
139.  刑事コロンボ/第三の終章<TVM> 《ネタバレ》 
この作品の特徴は他の作品では例がないほどに念が入った逮捕劇にある。他のコロンボ作品なら合い鍵のトリックにひっかかった時点で逮捕してしまっているんじゃなかろうか。「この鍵のことをお話したのはあなただけですよ」とか言って。ところが犯人がシラを切ると原稿配達人を買収していたことを証明し、さらについ最近行われた変更が何ヶ月も前の原稿に記されているという決定的な矛盾をつきつけてさすがの犯人も観念する。いや、お見事。お見事なんだけどコロンボ慣れしていると鍵の件にせよ、「知りえるはずのないことをずっと以前に知っている矛盾」にせよ、他の作品にも使われているのでやや興ざめしないこともない。あともう一つ、コロンボが自分の解決した事件(野望の果て)について語っているのが珍しかった。
[DVD(吹替)] 7点(2009-06-11 15:08:11)
140.  刑事コロンボ/忘れられたスター<TVM> 《ネタバレ》 
もしかするとコロンボ作品中唯一犯人を逮捕できない作品ではなかろうか? もう殺したことすら覚えていないかもしれない……それでもあくまで筋を通し犯人を追い詰めようとするコロンボはポアロとは違うようだ。だが身代わりにたつダイアモンドの決意を聞いて「そう、それがいいねぇ……」と漏らすところ、コロンボの人間味にほっとさせられる。人間描写が本当に見事なのだ。例えばあれだけ芝居にこだわっていた犯人がダイアモンドのニセの告白を聞くや「あなたがいないとダメ」と芝居から降りる決心をしてしまうところなど、殺された夫にしたらあんまりな話だが、哀れな元スターの醜くもあり美しくもある心を深いところから描ききっていると思う。これは並の観察力で書けるものではない。ラストで犯人がたった今あったことすら忘れたような顔つきで自分の若い頃の映画に見入っている場面ももの悲しく、印象的だ(まるでこのまま死んでしまうかのような気がする)。コロンボの魅力は謎解きや推理もさるところながら、より本質的にはコロンボを中心とする人間たちの魅力とその描き方にあると思う。脚本家が変わってしまった「新コロンボ」が全く輝きを失ってしまったのもそこらあたりに原因があるだろう。 あと他の評者の方の「なぜ出資を断られる前から殺人の用意をしていたか」という疑問だけれども、夫は「わしが反対していることは知っているだろう」と言っているので以前から猛反対していたことがわかる。だから「今度反対したら殺してしまおう」というつもりだったと思われるのだが(もちろん賛成したら殺す必要はない)どんなもんでしょうか。
[地上波(吹替)] 8点(2009-06-07 05:41:52)
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