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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1401.  パパは、出張中! 《ネタバレ》 
そのパパは決して前向きの反体制闘士ではなく、ちょっとダラシのない普通のパパ、隣人としての庶民の代表。そこに夢遊病を絡めたことで味わいが深まっている。隣りの女の子が死んじゃう場面なんか、「ちくしょう、こんな仕掛けで泣いてたまるか」とは思っても泣けてしまった、これには「夢遊病」も効いてるんじゃないか。吐く息も白い道を犬と歩いて、女の子の家に行っちゃうとこ。そのまま女の子のベッドの脇に入っちゃう。それを見守るドクター(女の子の父)の気持ちがしみじみと伝わってくる。この子が年ごろになるまでに死んでしまうのかあ、といった感慨。そういう庶民のドラマがあるのでテーマが生きてくる。政治向きの題材扱うと、日本では目を吊り上げて取り組むけど、外国ではこうユトリをもって扱ったりする。なんか日本では「取り組んでる」ってことを主張したいみたいのが多く、かえってあちらの映画のほうが、より題材を咀嚼していた忍耐の長い時間の経過が感じられて、厳しい印象。
[映画館(字幕)] 7点(2010-05-14 12:00:40)
1402.  南極料理人 《ネタバレ》 
ちょっと『刑務所の中』を思った。ルポルタージュ的作りもそうだが、「拘束された男たちのかすかな自由を求めての退屈消化の日々」といった内容も似ている。エピソードの並列になるので、一本の物語としての印象は弱まってしまうが、面白いエピソードは面白い。南極に行くことになった経過をササッと描いた部分、強引な「おめでとう」に対して「家族と、相談させてください」と反復する場は笑った。中盤はダレ気味で、このままいくと低評価になるかというとこで、屋根の上に上げるべき娘の歯を地球の奥深くに落としてしまうエピソードがいい。家庭的なものが非家庭的・極地的な穴に吸い込まれ、ベトベトのカラアゲという着地点にきれいに決まり、ノスタルジーがやるせなく立ちのぼってくる。ラーメンの話もいい。家族と離れ、男だけで暮らしている若干切なさの混じった滑稽。画面の中の体操の、女性のかすかな背中におおーっとどよめきが起こる。逆に自分たちも画面の中に納まり、ぎごちなく家族に姿を見せる。日常から遠く離れた極地での日常的な調理という視点が、遠く離れた二つの世界を暖かくつないでいる。観終わって伊勢海老のフライは食べたくならないが、ラーメンは食べたくなった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-05-13 12:01:26)(良:1票)
1403.  ザ・ペーパー 《ネタバレ》 
新聞社ものってジャンルがアメリカ映画には厳として存在し、これは民主主義の国ってことで理解してもらいたいのだろうが、あの新聞社内のゴチャゴチャしてる活気がアメリカ人好みで、かつ映画向きってことなんだろう。ときに時間に追われる緊張も出せるし。あるいは編集会議シーンのおかしみ。高邁なジャーナリズム精神と商売との接点。弱点としては、黒人が無実だという確信が安易すぎないか、とか、ラストの殴り合いはやや無理がないか、とかあるけど、この後半の次々と畳み込む展開から病院に皆が集まってくるあたりが楽しい。失敗させるために派遣した新米が仕事をこなす、から、病気の編集長まで、企業としての新聞社の幅を見せていてよろしい。
[映画館(字幕)] 7点(2010-05-12 11:51:19)
1404.  処女の泉 《ネタバレ》 
少年が加わっていることで陰影が濃くなる。娘と対になるイケニエ役か。事件のあと雪が降り始め、罪の意識にさいなまれておどおどし、その晩地獄の恐怖に包まれ、やがて娘の母にすがるも投げ殺されてしまう。娘の死も惨めだったが、彼の死もあまりにも惨め、このむごたらしい何ら肯定的な光のない事件を、神は沈黙して見過ごし、その後で泉を湧き上がらせるわけだ(全編を通して火と水が対置されている)。おそらくこのズレに話のポイントがあるのだろう。復讐に至る場の緊張はすさまじい。娘の服を犯人どもに見せられた母の反応、叫び出したいのをじっと抑えたハラの演技が凄く、歌舞伎を思わせた(「先代萩」の政岡に通じるような)。知らされた父も、清めの湯を沸かすための樺の樹を捻り倒すロングのシーンで心情を見せる。朝を告げる鳥のさえずりが凶々しく、さらに家畜の鳴き声も加わる時間経過の描写。おもえば『羅生門』と似たような森の中の事件を扱い、仏教国とキリスト教国の違いが話に出ていた。というか温帯の濃密な照葉樹林と、寒帯の針葉樹林の違いか。顔の上で枝の影と血の流れが重なったりする効果。この監督にしては珍しくストレートな作りで、最初にスクリーンで観たときはちょっと物足りなく思ったが、のちにテレビで観たときは復讐シーンでのめり込まされ、これはこれでやはりベルイマンの映画なのだった。
[地上波(字幕)] 8点(2010-05-11 12:04:15)
1405.  マックス、モン・アムール 《ネタバレ》 
愛とは拘束なのか、いう問題を大島はずっと追い続けていて、夫は妻を拘束したい、妻はマックスを事実上拘束している、って図式。面白くなってくるのは誕生パーティのシーンからかな。カリエール好みの状況。犬の鳴き声で種類を当てているところにマックスの鳴き声が。上流社会とチンパンジーの取り合わせがカリエール的。シークエンスの終わりをアッサリさせてすぐ次につなげてうまさを出しているところが多かった。『戦場のメリークリスマス』ではフェイドアウトを多用していたと思うけど、今回はなかったんじゃないか。演出スタイルがどんどん変わっていくのが、まあこの監督のスタイルで、長回しの『日本の夜と霧』があれば、短いカットの『白昼の通り魔』もやってみる、といった感じ。探偵の二度目の登場「相手はサルでしたよ」がおかしい。鍵穴から覗けばいいのよ、と言われた夫も含めてすべて鍵穴に消えていくラスト、何かずるいって気もしましたけどね。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-10 11:57:42)
1406.  デューン/砂の惑星(1984)
シルバーナ・マンガーノがはげ頭になって頑張ってたけど、つまんなかったなあ。植民地の人間が立ち上がるのではなく、宗主国側の中から救世主が現れて救うという発想が、どうもね。神がかるのよね。キリスト教の根っこなのか。ワケありふうの親友が出てきてアッサリ死んじゃったり、原作知らないけど、長いのを無理に縮めて、ダイジェスト版にしちゃったんじゃないのか。声がやたら入るのも、ただややこしくしただけでしたなあ。出産のとことか、悪玉の頬のデキモノとか、気持ち悪いとこに凝るのは、監督の困った性格ではあるが嫌いじゃない。世界全体が地味な古風な手触りなのが特徴と言えば言える。つまり「公爵」とか何とか言う呼び名にふさわしいような世界になっているわけ。金属質じゃないSF。ニコゴリふうのバリヤーも珍しい。カイル・マクラクラン君はこれではさして魅力がなく、のちの『ブルー・ベルベット』や『ツイン・ピークス』での、病的な魅力での売りは予見出来なかった。
[映画館(字幕)] 5点(2010-05-09 12:02:21)
1407.  奇跡の丘
「キリストもの映画」ってのは、あちらの「忠臣蔵」なんだな。観客は話をすっかり知ってて、それをどう料理するかが見せどころ。あの役は今度は誰が演じるんだろう、といったキャスティングの楽しみとか。だから量産されても、キリスト教徒用という枠が感じられて、異教徒にはちょっと疎外感があった。そういった中で、キリスト教と無縁の私でも楽しめたのが、『ジーザス・クライスト・スーパースター』と、これだった。ドキュメント・タッチで、素人の顔の力が画面にみなぎっている。サロメはいたいけな少女で、マグダラのマリアはおばさん。そして民衆の顔、顔、顔。当時を再現したって感じでもなく、髪形なんかは現代のまま。それがキリスト物語の普遍性を打ち出した。説法して回っているときの、通行人の薄ら笑いなどに、ゾクッとするほどのリアリティがある。無名の教団に対する「変な人たちね」という視線。こういう視点がハリウッド製のキリストものには欠けていた。処刑前に刑吏たちがたむろして食事してるあたりもリアル。人間キリストを出すより、彼の言葉に集中する。こんなにも説法に時間を割いたキリスト映画はなかった。イタリア語圏でない者は字幕を次々読まねばならないのでつらいところだが、新約聖書を改めて点検してる感じ。ユダもなんの解釈もせずに、おそらく聖書どおりにそのまま描いているのだろう。この監督の映画には、斜面がよく出てくる気がするのだが、とりわけ本作と『デカメロン』三部作で印象が強い。崖や斜面を民衆が上下し、それがタペストリーのようにも見えてくる。音楽はバッハあり、黒人霊歌の「時には母のない子のように」ありで、あとアフリカの民族音楽が生きる。とりわけ復活の場。
[映画館(字幕)] 8点(2010-05-08 12:01:52)(良:1票)
1408.  親愛なる日記
ぼやき漫談ではないか。「ぼやき」も洗練すればもちろん「芸」になるのだが、でもかつて世界で一番活力に溢れていたイタリア映画が、そんな芸を見せねばならぬほど衰弱したのか、と思うとつらかった。やりたいのなら堂々とちゃんとした一編のミュージカルを作ってほしいじゃないか。野めぐり。“風変わりな自画像”もの、やたら「僕って変わってるでしょ」と言い続けられているようで、なんかぼやきのレベル。島めぐり。一人っ子ばかりの島での電話のエピソードはやや映画らしいが、終わりのカットで電話3台というのは物足りない。医者めぐり。痒み。これも医療風刺のレベル。ぼやくというのは、非建設的な批評ということか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-07 11:55:49)
1409.  くちづけ(1957) 《ネタバレ》 
なんで川口浩と野添ひとみのカップルに感動してしまうのだろう。今観てもみずみずしい。オートバイすっ飛ばして江の島へ走るとことか、ローラースケートとか、水着の撮影会のスケッチとか、当時みずみずしかったってより、そういったものをちょっとおかしがって捉えてるってこと自体がみずみずしいんじゃないか。カッコよく爽やかなはずの青春が、選挙違反とか公金横領とかつまんない犯罪者を家族の中に持ってることで屈折を持つのが本作のユニークなとこで、ユーモアにもなっている。メソメソしかけてもそれをユーモアに捩じ伏せてしまう。「また小菅で会おうぜ」がいいやね。哀れみを受けるのだけはヤだ、という女の子の強さがこれからの監督の一貫したモチーフになっていく。ヒロインの惨めな気分を描くときはとても優しい。ナプキンの住所を電話帳に挟んだままにしといて観客をヤキモキさせるあたり憎い。住所探しがどんどん真剣になっていくところが見せ場。工事現場が美しい。簡単なトロッコ用の斜面が奥へ続いていて、ザラザラしたコンクリートの感触。こういうみずみずしさの発見も新鮮だったのだ。
[映画館(邦画)] 8点(2010-05-06 11:58:07)
1410.  刺青(1966) 《ネタバレ》 
照明が近いので影が大きくなる。また横向きの場合コントラストが強く、正面の場合ノッペリとする。それでなにか非常に「狭い」感じが出てくる。人物も凝縮していく感じ。あんまり大らかな人物は登場しない話だし。「伝奇もの」でもないんだよなあ。女郎蜘蛛を彫られてから女が変化していく、ってんでもなく、その前からそういう感じで演出してた。だからいくら若尾文子が「だました男に復讐してやるんだ」って言っても、口実みたいになっちゃう。それでいいんだろうね。口実なんだよ。魔性の女には違いないけど、それは彫りもののせいなんかじゃなく、女の本質なんだろう。それを映画は怖がってるだけじゃなく、突き放して笑って見ているところがある、もちろんまわりの男たちも含めて。女がそそのかし、男が「またやってしまった…」と青ざめる繰り返しに、何か、夫婦漫才みたいな感じがチョロッとある。
[映画館(邦画)] 7点(2010-05-05 11:57:23)
1411.  カストラート
兄弟の物語であった。二人で一つ。音楽というものが、作曲と演奏の二つで完成されること、その二者の間の愛と葛藤が重なる。馬のイメージが繰り返される。弟を去勢させた兄の疚しさの象徴か。赤いガウンが兄弟の求心力のあらわれ、白い馬が離反のあらわれ、とも取れる。病気の子どもが主人公の去勢とだぶらせられているらしい。もうちょっと展開を整理できたら良かった。ブーイングしていた観客が手をたたくまでの陳腐な演出は情けないが、それをも許せるほどヘンデルは美しい。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-04 10:43:42)
1412.  鴛鴦歌合戦
ミュージカル映画観てると、ときに思わぬ人が歌ってるのに出会うことがある。最近では『ヘアスプレー』でのクリストファー・ウォーケンか。かつて『ロシュフォールの恋人たち』では、ミシェル・ピコリが歌ってるのを目撃した。でもやっぱり一番驚いたのは、これの志村喬、片岡千恵蔵の連発だなあ。しかも時代が時代だし。なんかここらへんの映画の軽薄な陽気さって、好き。こういう「軽薄の力」が、中国大陸で無茶やってんのと同時進行で生きていたんだ。日本が、この片岡千恵蔵まで歌わせる軽薄さの側にしがみついて、眼を吊り上げるような馬鹿真面目を排除し、心を入れ替え地道に軽薄し続けていたら、日本現代史はあんな陰惨なものにならなかったんじゃないか。別に「時代の不安」の裏返しのヒステリックな笑いじゃないの。ただただ健康な陽気さが満ちている。伴奏が入ってくるあたりのムズムズ感がたまらない。こういう映画が作られていたことをアメリカが知ったらどう思うだろう、とふと考えたものだが、その後、日系人収容所描いた『愛と哀しみの旅路』というすごい邦題のハリウッド映画の中で、デニス・クエイドがこれ観てディック・ミネを真似て歌い踊るシーンを目にした。アメリカに勝ったと思った。
[映画館(邦画)] 8点(2010-05-03 12:16:48)(良:1票)
1413.  ブラック・ウォーター 《ネタバレ》 
製作者が「そりゃうちんとこは低予算映画ですから」と開き直っているような感じがあって、いっそ潔い。広いマングローブの森なのに、ほとんどその一角、舞台は一場に限られる。相手はワニ一匹だけで、複雑な人間関係はなし。これでもっと展開に工夫があれば、その狭さ単純さが煮詰まってくれるんだけど、ワニも人間もアッと驚くようなことはしてくれなかった(ワニがジャンプするぐらいか)。89分というのもいい長さのはずだが、切り詰めた89分じゃなくて、伸ばし伸ばしやっと89分って感じ。胎児は男の形見として助かるんだろう、といった予定調和は裏切られるが、リアリティを出す上での作戦というより、ただいい加減ってみたいで。最初の犠牲者の腕が使われるあたりは、ちょっといいんだけど、それもけっきょくそれほど役立ったわけでなく、場当たり的印象。でも映画における水面の不気味さってのが至って好きなので、その点では楽しめた。すぐ近くが水面の反射によって遮られて未知の世界になっている。そこらへんをもっと突っ込んでほしかったけど、樹上の人間ドラマと水面描写があんまり絡んでこないので、たとえば下に水があるのに喉がカラカラなんて皮肉が、それほどイキてない。
[DVD(吹替)] 5点(2010-05-02 11:59:20)
1414.  男はつらいよ 知床慕情 《ネタバレ》 
山田監督は東映の健サンとか日活の浅丘ルリ子とか、かつて映画会社の個性がはっきりしていたころの看板スターを自分のチームに取り込むのが好きで、映画史への尊敬が感じられる。それも特別出演的な付けたりでなく、ちゃんとスター俳優として扱っている。で今回は三船。『七人の侍』のメンバーでは志村喬と宮口精二がすでにいい役を貰っていて、これが「ストイックな男であることにこだわりすぎて孤独」って役だったのが特徴。今回の三船もそう。東宝の名監督への尊敬と、それへの批評が感じられる。そのストイックを破って告白させるんだから。そして告白できない寅。ちょっと池内淳子の『寅次郎恋唄』を思い出させる縁側のシーンがいい。ラストでりん子ちゃんがまた東京に出てくるのが厳しい。けっきょく知床には若い娘を引き止めておくものがないという現状。知床の人情を賛美しつつ、しかしそれに吸い込まれるのには抵抗を示す。山田洋次の平衡感覚と言えばそれまでだけど、でもそういうふうに行きつ戻りつさせることが大事なのであって、単なる折衷主義とは違うと思う。「寅さんと喋ってると、あくせく働くのが嫌になる」「そういう悪影響を人に及ぼすんですよ、あいつは」なんて会話もあった。今回は夢がなく、またとら屋で寅とマドンナが一緒になるシーンもない。
[映画館(邦画)] 8点(2010-05-01 11:55:48)(良:1票)
1415.  塀の中の懲りない面々
部分的には面白いところもあるんだよ。外に出てからの夢を描くところなんかかなりおかしいし。アベベの脱獄シーンもいい、足音が。シャバに出た植木等がタバコをハッと消しそうになるところ。ただ全体がうねってくれない。つながんない。話の構図が、人間味溢るる囚人にサディスティックな看守、という単純な構図で、そんなもんかなあ、とこちらはつい皮肉な目つきで観ることになってしまう。その構図から離れたのは、ヘリコプターをきょとんと見送るとこかな。突然「革命」なんて言葉が飛び込んでくるおかしさ。インターナショナルはヘリの音に消されがち。この断絶の滑稽さ。口笛は『砂のミラージュ』観てなかったら感動したかもしれない。
[映画館(邦画)] 6点(2010-04-30 11:56:03)
1416.  告発
この監督、長回しが好きみたい。あるいはカメラマンの趣味か。最初の弁護士事務所へ駆けつけるとこ、階段上って上司と会うまでを一気にいく。さらに面白いのは、牢のまわりをぐるぐる回り、ときに中に入り込んだり出たりする(スタッフが牢の一面をあわてて外したりはめたりしてるんだろうね、『ロープ』みたいに)。法廷でもくねくねカメラが歩き回った。まあ画面として退屈になりそうなとこだから、動き回ったってだけのことかも知れないが、楽しいことは楽しい。典型的なアメリカの「正義を行なう勇気」ものなんだけど、飽きずに感動してしまうのは、こういう風土が日本にはないからなんだろう。どんな国家にも地下牢は生まれてしまうのであり、問題はそれを暴く勇気の有無なんだよなあ。こういう話で弱いのは、ワルモン役の演技パターンが決まってしまうこと。G・オールドマンいい役者なんだけど、やっぱ「ナチ型」になってしまう。本当に怖いのは、「どうして私の言うことが分かってくれない」と泣きながら、心の底から真人間に立ち直らせようとしてする善意の拷問なのではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-29 11:57:47)(良:1票)
1417.  果しなき欲望 《ネタバレ》 
上と下の緊張。二階の渡辺美佐子と下の階で二階を気にしている男ども。あるいは画面そのものが上と下を同時に捉え、上で近所づきあいのやりとりしてて、下で西村晃や小沢昭一が穴開いたガス管で苦しんでるカット。あるいは上を行くトラックと、下で穴の崩れを支えている連中。表面の日常のなにごともなさと、下での汗水たらした欲望の渦巻き。今村の世界を象徴するような二分割カットが秀逸。川縁での長門裕之のデートと、下に潜む男たちってのもあった。独特のコッテリしたユーモアになっている。加藤武の脚や小沢昭一の手なども、グロテスクな笑いを誘う。独立志向の中原早苗は今村ヒロインの原型のようで、やがて『豚と軍艦』の吉村実子につながるキャラクター(もっとも体型的には『赤い殺意』の春川ますみにつながり、原作は同じ藤原審爾だ。ついでに言っとくと、この藤原さんて、あと『秋津温泉』とか『泥だらけの純情』とか『馬鹿まるだし』とか『ある殺し屋』とか、60年代を代表するユニークな映画に原作を提供していて、気になる作家。藤真利子のお父さん)。欲望渦巻くさまを喜劇として捉え、渡辺美佐子の描きかたなど、非難せず、どちらかというとそのバイタリティにただただ感嘆しているよう。緊迫した瞬間に入る門づけのチリーンの音が、絶妙。
[映画館(邦画)] 8点(2010-04-28 12:05:35)(良:1票)
1418.  スーパーマンIII/電子の要塞
前作ほどユーモアが一本にまとまらなかったってことか。タイトルのあたりの町の事件のおかしさは、そう悪くないのよ。スピード写真で変化がうつってるギャグなんてのも良かったし。でもね、犯人のほうの戦略が一定してないでしょ、そこが弱い。スーパーマンが不貞腐れて酒場で酔い潰れてるなんてのは、かなりおかしいけど、その後で分身になってユング心理学的に争い出すと、なんかギャグじゃなくなっちゃうのよね。そもそもクリプトンナイト与えられると、すさんじゃうの? 弱っちゃうのは分かるんだけど。スモールビルとコンピューター男とが並行で描かれてるあたりが一番面白かった。「20世紀の方法はただひとつ、ボタンを押すだけだ」なんてのがあった。水を凍らせるんなら、火も消せそうなものだがな。
[映画館(字幕)] 6点(2010-04-27 11:59:01)
1419.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 
歴史からの避難所としての西部。父は歴史の暴力・ヒロイズムの正体を目撃してしまい、西部にこもる。グリムのような三兄弟とともに。そこに女と歴史が侵入し破壊していくというドラマだ。苦労知らずで無垢の三男の死がたたり続け、それで残ったものも無垢ではいられなくなる構造。愛憎の絡まり具合に、いかにも大河ドラマの醍醐味があった。トリスタンは生き残り続け、死んで伝説になるのではない。暴力の時代・無法の時代の最後を、法よりも家族を優先して生き残り続けることで伝説になる。各国をさすらっているシーンはない方がいいわな。最後に兄アルフレッドも、父弟と同じ側に立って銃を撃つ、という仁侠映画のノリ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-26 11:56:11)
1420.  東京の宿 《ネタバレ》 
たぶん小津作品で一番貧窮した人たちの話。そのせいか屋外シーンの比率の高さでも、一番じゃないか。そして犯罪が描かれた最後の作品だろう。『東京暮色』で警察は出るけど。子どものシーンはやっぱりうまいなあ。帽子買っちゃうとこ。思わず買ってしまった帽子が重荷になっていく感じ。父のとこに戻るときは弟にかぶせてんの。「ちゃん怒るぞ」と言いながら兄弟が歩いていく感じ。ふっと振り返ったのをきっかけに、ワーッと走り出していく。あるいは風呂敷包みを互いの責任にして道に置き捨ててきちゃうとこ。意地の張り合い。あそこらへんの子どもの心理はなかなか描けないもんですよ。ぺこぺこしてる親に「あんな守衛殴っちゃえばいいんだよ」と子どもは言う。『生れてはみたけれど』の視線。岡田嘉子は突然画面を横切って登場するんだな。けっきょく喜八は人のいいおっちょこちょいなわけで、女に「落ちぶれてはいけない」と諭しつつ自分が盗みに行ってしまう(ほとんど寅だけど、寅は犯罪にまでは踏み切れない)。『出来ごころ』的な“いいかっこしい”の場面もあり、その裏には、かあやんへの甘えがある。ここらへんの関係の作り方がうまい。『自転車泥棒』より10年以上も前の作品なわけだ。
[映画館(邦画)] 8点(2010-04-25 11:59:28)
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