1501. THE DAY ザ・デイ
《ネタバレ》 何らかの理由により、社会秩序が崩壊してしまった世界で、あくまで人肉食を拒む主人公たちと、そんな彼らを狩り食料にしようと目論むグループとの息詰まるような攻防を描いたSFアクション。なのだけど、終始、どこかで見たことがあるようなシーンが延々と続き、新しさというものが一切感じられなかった。低予算で作られたからだろうけど、画面のいちいちに華がなくて、それならそれで誰も見たことがないような斬新なアイデアで勝負して欲しかったんだけどなー。残念ながら、僕には退屈な映画でした。 [DVD(字幕)] 3点(2013-08-27 04:04:31) |
1502. それでも、愛してる
《ネタバレ》 父親から受け継いだ玩具メーカーでCEOを務めていたウォルター。何不自由なく暮らしていた彼の生活に、鬱という突然の病魔が襲い掛かる。何もかも失い、失意のどん底で自ら死を選ぼうとしていた彼は、ふとしたことからビーバー人形という別人格を手にいれ、それをきっかけに再起を図ろうとする。そんな難しい主人公の役にメル・ギブソンを抜擢したのは明らかな失敗だと僕は思う。やっぱり、ジム・キャリーとかロビン・ウィリアムスとかが過剰なユーモアを伴ってそんな壊れた男をエネルギッシュに演じていれば、もっと彼の狂気と悲愴感が上手く表現できていただろうと思うのに。それに全体的な雰囲気が無難で上品に過ぎるところもちょっと不満かなぁ。興味深い題材と設定だけに、僕にはちょっぴり残念な作品でした。ジョディ・フォスター、昔から好きなんだけどねー。 [DVD(字幕)] 5点(2013-08-22 00:42:18) |
1503. エクスペンダブルズ2
《ネタバレ》 超高級食材である松坂牛ばかり集めて作られた、こってこての脂身たっぷりの〝肉しか入ってないすき焼き〟のような映画。「見た目もゴージャスだし、最初のうちは旨いし、確かにお腹もいっぱいになるのだけど、やっぱり春菊も食べたいし白菜も食べたいし豆腐だってうどんだって椎茸だって欲しいっつーの」という前作を観た人たちの多くが感じたであろう不満に応えるかのごとく、今作では春菊的存在であるマギーが満を持して投入!でも……、やっぱり周りの濃い~~肉汁にあっという間に染められて、ほとんど彼女の存在感ゼロ。ほんじゃまか石塚とか三瓶とか内山くんみたいな特殊な食癖な人にはうけるんだろうけど、僕みたいなもともと食の細い人間にとっては「やっぱ肉ばっかのすき焼きは美味しくねーって!」。 [DVD(字幕)] 4点(2013-08-17 21:06:54) |
1504. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 どうしようもない貧困家庭に育ち、出口の見えない閉塞状況をひたすら這いずり回るように生きてきたマギー。そんな八方ふさがりの自分の人生から必死に這い上がろうと、彼女は偶然出合った老トレーナー・フランキーと共に女子ボクシングの世界でチャンスを掴もうとする。だが、彼女を待ち受ける現実はどこまでも苛烈で残酷だった。前半の絵に描いたようなサクセスストーリーから一転、物語はひたすら奈落に突き落とすかのように陰鬱な展開へと突き進んでいく。多様な解釈が可能な本作のなかで、もっとも重要なテーマは恐らく〝神の不在〟だろう。神なき現代社会において、人にとって〝赦し〟とはなんであるのか。極限の苦難に苦しむ彼女のために、血反吐を吐くほどの懊悩を重ねたフランキーは、最後、彼女が望んだ〝赦し〟という名の罪を犯す。神の定めた倫理に背いてまで、罪を背負う決心をした彼の決断は、永遠に答えなど出ない深い問題を僕らの心に突きつけてくる。正直、重たい作品で観終わったあとの絶望感は半端じゃないけど、それでも現代という不確かな時代に生きる者なら、一度は観ておくべき、イーストウッドの傑作だ。だからといって、カップルで観るとかは、止めといたほうがいいだろうけど(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-15 13:56:00) |
1505. エド・ウッド
《ネタバレ》 才能とお金はかけらもないけれど、映画への愛情だけは誰よりもあった史上最低の映画監督、エド・ウッド。彼のどうしようもないトホホな生涯をティム・バートンとジョニー・デップが最大限の愛情を込めて描いた異色の伝記映画。女装が趣味、映画製作は常に適当、いつだって借金返済に追われ、責任感や常識といったものを母親の子宮にごっそりと忘れて生れてきたかのように自由奔放に振舞い、恐らく社会で立派に生きていくのは根本的に無理なばかりか、もしかしたら最低限の社会生活を送る能力すら欠けているんじゃないかっていう彼の周りに集まってくるのは、これまた負けず劣らず社会生活不適格者ばかり。でも、妙に楽しそうなんだよね、彼らのどうしようもない人生が。決して味わいたくないけれど、それでも日々の競争社会に疲れたとき、幾多の責任感に押し潰されそうになったときに、一服の清涼剤を求めるかのように、たまに覗きたくなってしまう不思議な魅力に溢れた優しい映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-15 12:35:32)(良:1票) |
1506. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
《ネタバレ》 舞台は19世紀末、硬い石畳に覆われまるで陰鬱とした空気をどんよりと閉じ込めてしまったかのような街、ロンドン。悪徳判事に妻と娘を奪われ、絶海に追放されてしまったスウィーニー・トッドが、血塗られた復讐を果たすために地獄の底からこの街に帰ってきた…。一時期、低迷していたティム・バートンが見事な復活を遂げた前作から、もう自分の進むべき道を見出したかのように作り上げた、ダークホラー&ファンタジー。監督の本当に自分がやりたかったことを体現するかのように、ひたすら人を殺しまくる(間に歌も唄う)ジョニー・デップの怪演は見ていて爽快感すら感じられて良い。途中から、もう復讐なんか忘れてしまったんじゃないかってくらい、なんの罪もない人々の喉を掻っ切る(飛び散る鮮血がとても美しい)彼の店の下で、彼が開業してから何故か急に美味しくなったミートパイをひたすら売りまくるヘレナ・ボナム・カーター…。ちっぽけなモラルや常識を軽く笑い飛ばすような、そんな二人の活躍に僕は心底痺れてしまいました。ティム・バートン&ジョニー・デップ、僕は何処までも付いてゆくので、これからもずっとブレずに我が道を突き進んでもらいたい。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-14 22:30:11) |
1507. フォーリング・ダウン
《ネタバレ》 上手くいかない現実生活のせいで様々なストレスを抱え今にも爆発寸前になっている冴えない中年男、そんな彼が真夏のエアコンが壊れた車の中で汗だくになりながら渋滞を抜けようと必死に我慢していたのだけど、そんなこんなに心底うんざりしてとうとうブチ切れ。長年、心に溜めに溜め込んだ社会に対する悶々とした不満をひたすら暴発、暴走させていくだけの映画なんだけど、これがなかなか面白い。良いですね、このキレ具合。マイケル・ダグラスの視野狭窄な自己チュー駄目中年男っぷりも見事に嵌ってました。全編を覆う乾いたユーモア、小気味の良いアクション、そして最後はちょっぴり社会について考えさせられる、自分のなかでは理想的なエンタメ映画の良品です。僕もストレス溜まってつい包丁持って秋葉原に行きそうになってしまったら、この映画を観てスカッとするようにします。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-14 21:42:34) |
1508. 8mm
《ネタバレ》 さすがに『セブン』を手掛けた脚本家の作品というだけあって、重たーいおどろおどろしいダークな映画に仕上がっております。晴れ間なんて一切ない世界で、変態たちが実際に少女を殺す映像を収めたというスナッフフィルムを巡って裏社会を奔走する私立探偵の物語。もう見れば見るほど陰鬱になるストーリーに、そしてそんな世界観をさらに濃厚にする、特濃背油を何時間もじっくり煮込んで煮込んで煮込みまくったような濃ゆい俳優陣(ニコラスもホアキンも顔でかすぎ!笑)。良いですね、このうんざりするくらい暗鬱な世界観。僕は好きです。一応、どうにかハッピーエンドで終わるけど、この観終わったあとの後味の悪さはある意味心地良い。『セブン』よりもこっちの方が好きだなー。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-14 19:56:58) |
1509. ラスト、コーション
《ネタバレ》 これはとても深い映画。女の魔性と男の愚かさをここまで大胆に描出した映画を僕は他に知らない。どうして女が男を狂わせるのか、そして男は暴力をふるってまで女を支配下におこうとするのか、そんな男と女の普遍的な駆け引きが大胆でありながら何処かに上品さをも感じさせる過激な性描写と共に描き出されていく。支配と被支配、復讐と赦し、サディズムとマゾヒズム、感情と肉体、そして憎悪と愛情。疑心暗鬼と肉欲と情愛が複雑に交差する、男と女のそんな深遠な世界へとアン・リー監督はスリリングに迫っていく。最後、極限状況下で女が男にかけた「逃げて…」という言葉は、人間の本能が搾り出した、まるで光り輝く宝石のように美しいものだった。やっぱり女って光り物に弱いんだよねぇ……。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-14 14:58:50) |
1510. ロミオ&ジュリエット
《ネタバレ》 シェイクスピアの古典的名作(あまりにも古典的過ぎて今さら普通に映画化するにはかなり勇気を要する)を、大胆にも徹底的にお下品で猥雑で野暮ったく、それでいてとってもエネルギッシュに映画化。もう、この濃ゆい世界観、好きです!ピストル片手にアロハシャツ姿で愛を語るロミオとか格好良すぎ!!今作のディカプリオは、びっくりするぐらい若いエネルギーが迸ってます。対するクレア・デーンズも恐らくこのころがピークだと思えるくらい可愛くてキュート!!そして脇を固める、これまたアクの強い脇役たちも痺れるくらい格好良い。そして、何よりシィクスピアが何世紀も前に描いた純愛をこうやって現代に(お下品に)甦らせた監督の手腕に拍手!何度、観てもテンション上がるっす!! [DVD(字幕)] 8点(2013-08-14 14:42:23) |
1511. ウェイバック -脱出6500km-
《ネタバレ》 共産主義体制化のソ連、スパイ容疑で逮捕され、シベリアへと流刑になってしまった男たちが決死の思いで脱出。彼らのインドへの6500kmにも及ぶ苦難の逃避行を淡々と描いた作品。事実を基にしているということなのだけど、映画として観るには、さすがにこれは退屈に過ぎるのではないか。芸術性云々よりも、僕はただ単純に映画としての見せ方が下手なだけだと思えてしまった。エド・ハリスとコリン・ファレル以外、誰が誰だか最後までよく分からないから人間ドラマが一向に頭に入ってこないし、男たちがひたすら砂漠を歩く映像を延々と見せられても眠気が湧いてくるだけ。そして、そんな極限状況に追い詰められた男たちに急に若い女が加われば、どう考えても(簡単に人を殺す荒くれ者だって居るのだから)みんなでレイプしようという発想が必ず起こるだろうけど完全にそれもスルー。人肉食の問題も軽く触れる程度。そうやって綺麗事だけで映画を作るならあまりにも娯楽性に欠けているし、芸術性の高い映画とするならあまりにも人間心理への掘り下げが足りない。結局、退屈な二時間を過ごしてしまったなぁという感想しか僕には残らなかった。 [DVD(字幕)] 3点(2013-08-14 13:02:24) |
1512. ホビット/思いがけない冒険
《ネタバレ》 ロードオブザリングの興奮再び!と期待しながら鑑賞したのだけど、さすがに原作のボリュームを考えればこれも同じように三部作にするには無理があったのでは。確かに映像的にも素晴らしいし、ストーリーもRPG世代にはワクワクするものだけど、いかんせん前三部作に比べたら、登場人物の多彩さ、物語のスケールの大きさ、悪役たちのゾクゾクするような恐ろしさなど、どうしてもやっぱりこちらは小粒感が否めないかなー。番外編ということで一作に纏めたほうがすっきりとして良かったんじゃ…、との思いが否めないけど、それでもエンタメ映画としては相変わらずの安定感。三時間近くあるのに、普通に面白いしね(特にゴブリンの洞窟のあのごちゃごちゃ感が良かった!)。次作に期待を込めてということで6点! [DVD(字幕)] 6点(2013-08-13 13:41:36) |
1513. 最高の人生のはじめ方
《ネタバレ》 長年連れ添った妻を亡くした孤独感から酒に溺れ、周囲から孤立してしまった老作家。ふとしたきっかけで片田舎の友人の家で一匹の老犬と共にひと夏を過ごすことになった彼が出会ったのは、シングルマザーに育てられる育ち盛りの三姉妹だった。隣人同士という関係から、少しずつ交流を重ねていくうちに、互いの凝り固まった心がだんだんと解きほぐされていく。冒頭部分こそ、イーストウッドの「グラントリノ」を彷彿とさせるのだけど、こちらはどこまでも薄味。根深い人種差別も理不尽な暴力も一切出てこず、徹頭徹尾、善人ばかりが登場し、そして心温まるハートフルなお話がひたすら綴られていく。そんな映画を作ろうというスタッフの潔さは好感が持てるのだけど、僕にはちょっと物足りなかったかな。これは好みの問題なんだろうけど。 [DVD(字幕)] 5点(2013-08-13 12:21:22) |
1514. 第9地区
《ネタバレ》 久しぶりに面白い映画を観たなぁと素直に思える映画だった。特に設定が秀逸。差別されるマイノリティであるエイリアンの居住地区を南アフリカにもってくるところなど、下手をすると説教臭くなったり変に啓蒙主義的になったりするものだけど、この映画はちゃんとエンターテイメントから軸足がぶれてない。何より、自分をマジョリティであることを信じて疑わなかった主人公の公務員が、徐々にエイリアンに変質していきながら自分が何も考えずにマイノリティを差別していたことを悟っていく姿は深い。そして、最後、そんなどうでもいい人間だった主人公が意を決して男気をみせる姿に、僕は思わず拍手を贈りたくなってしまった。面白い設定、徐々に盛り上がっていくアクション、魅力的な登場人物、ちょっぴりグロくて、そしてほんの少し深い。良質なエンターテイメント映画だった。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-10 19:53:04) |
1515. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 必ず勝つと信じてアメリカと開戦したのに、蓋を開けてみれば完膚なきまでに叩きのめされ、それまでの価値観や常識のなにもかもが灰燼に帰してしまいそうな危機的状況にあった、敗戦後の日本。当時のそんな状況にあって、若き日の天才・黒澤明がまるで時代の要請に応えるかのごとく作りあげた古典的名作。芥川龍之介の作りあげた殺伐とした平安期を舞台に、隠された藪の中で織り成される、3人の男女の陰湿な愛憎劇。各々に秘められたエゴとプライドを照射するかのように降り注ぐ日の光が、今にも何かが狂ってしまいそうな美しいモノクロ映像となって炙り出されていく。そこにあるのは、まるで見栄とプライドと欲望のために、誰も責任をとらぬまま始めてしまったあの戦争の愚かさと同じものだ。それでも、最後に提示される今にも消えてしまいそうな微かな希望は、時代を経た今でも決して色褪せることはない。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-10 19:27:16) |
1516. JFK
《ネタバレ》 今でも多くのアメリカ人の心に、暗い影を残すケネディ大統領暗殺という歴史的な大事件。そんな重たいテーマを真っ向から扱っただけでなく、その内容もかなり攻撃的なもの。こんな政治的にも商業的にも危険な映画を逃げることなく真正面から作りあげたオリヴァー・ストーンの腹の据わり方には舌を巻く。でも、そんな政治色を抜きにしてもこの3時間もある大作には、彼の才気と情熱が隅々にまで迸っており、映画としての完成度も格段に高い。そして、ケヴィン・コスナーをはじめとする、トミー・リー・ジョーンズやゲイリー・オールドマン、ジョー・ペシ、ケヴィン・ベーコンといった今では考えられないような豪華な俳優陣の熱演も見応え充分。あまりにも充分すぎて(濃すぎて?)、観終わった後はしばらくぐったりしてしまうけどね(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-10 18:19:05) |
1517. エイリアン2
《ネタバレ》 やっぱりジェームズ・キャメロンは天才であると再確認できる初期の傑作!あの一作目の考え抜かれた秀逸な世界観を継承しつつも、それを巧みな技術と圧倒的な力量でものの見事にキャメロン的アクション超大作へと昇華させてしまった。SF戦争映画でありながら、個々のキャラクター描写も丁寧で、なかでも途中から現れる両親を失った少女ニュートと、娘を失ったリプリーが二人で逃走するうちに親子のような絆が生まれ始めるところなんかホント秀逸。そして、最後、そんな2人に立ち塞がるのは、これもただ自分の子供たちを守ろうという崇高な本能に忠実に生きるクイーン・エイリアン。クライマックスで繰り広げられる、彼女たちの互いの生存を賭けた母性と本能の壮絶な戦いに否が応でもテンションがあがるって、これー。何度観ても面白いし、実際何度も観たくなる傑作っす!! [DVD(字幕)] 9点(2013-08-10 13:32:48) |
1518. 388
《ネタバレ》 主人公の家や仕事場に仕掛けられた隠しカメラと、その犯人の手にしたハンディカムの映像のみで語られる不条理なサスペンス・スリラー。盗撮魔視線でストーリーを見せるという発想は良いと思うのだけど、さすがにそれだけで一本の映画にしてしまうには無理があったと思う。残念ながら、あまりにも画面に変化がなさ過ぎて退屈極まりない作品となってしまった。それでも、犯人の動機を怨恨の線で引っ張っておきながら、最後は「実は、ただ街で見かけた幸せそうな人間を不幸のどん底へと落として楽しもうという、単なる愉快犯の犯行だった」というオチは、良い意味で後味の悪~い嫌な余韻が残ってなかなか良かった。でも、それでもこのオチのために80分も退屈な映像を我慢して見るのはさすがに辛かったよ、ほんとに。 [DVD(字幕)] 4点(2013-08-07 18:41:37) |
1519. マトリックス
《ネタバレ》 思えばこの映画から、ただ最新のCG技術と撮影法を駆使してただただ格好良いアクションシーンだけを撮りたかった映画という新ジャンルが始まったのではないだろうか。もう矛盾だらけのストーリーや設定なんか刺身のつまのようなもの。いかにグラサン主人公たちが派手にスタイリッシュに暴れまくるかだけをひたすら追求したその姿勢は、良くも悪くも賞賛に値します。もう、ネオたちが飛び交う銃弾の嵐のなかをスローモーションで駆け巡る映像なんか、初めて見たときはほんと身体の芯から痺れました。ストーリー(特にヒロインのキス一つで主人公が無敵になるラストとか)は、まぁ失笑でしたけど。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-07 18:10:06)(良:1票) |
1520. アバター(2009)
《ネタバレ》 ジェームズ・キャメロンって、とことん男社会が嫌いなんだろうね。この作品も、「石油利権のためやったらイラクの子供たちが何人死のうがかまうものかー!」な、大佐を初めとする男どもの欲望をを徹底的に叩き潰す、異界の住人たちの窮鼠猫を噛むような破壊力といったら観ていてホント爽快。そして、アバターとなって彼らに手を貸す主人公の姿もオーソドックスながら、やっぱり格好良い。でも……、最後がいただけない。僕はずっとあの大佐をアバターな自分じゃなくて、足の悪い無力な自分が倒すんだろうと(そしてコンプレックスを克服し〝現実の人間〟としても強くなれるのだろうと)ずっと信じてたのに。これじゃネトゲ廃人の映画って言われても仕方ないじゃん。とはいえ、徹底的に拘りぬいた映像美はやはり映画の歴史をまた一つ塗り替えただろう革新的なもの。それだけでも素晴らしい。 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-07 16:40:01) |