141. 赤い影
憧れのジュリークリスティがあんなシーンを!もうドキドキしちゃったですよ。素敵な女性だわ~。サザーランドは役得というか、とんでもない野郎だ!映画のほうは雰囲気が独特で、ベニスの、というより外国に行った時のその町に感じる雰囲気がよく出てたと思う。前のレビュワーさんが書かれているように、死の予感が前編通じて流れてる。海外への旅行というのはどこか死のニオイが感じられると自分は思うんですね。特に住んでる町で娘を死なせてしまったら余計・・・。ストーリーも面白く、未来の光景を見てしまうことで、主人公が混乱する。そして衝撃のラスト。イギリス映画らしく、品がある、どこか寂しい映画でした。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-03 16:06:49) |
142. さらば冬のかもめ
《ネタバレ》 ラストの方で、追いかけながら銃を出した時、今までのニューシネマならバッドエンドが多いので「やめろー!撃つなー!」と心の中で叫んでいた。でもこの映画は違った。任務は無事、終わるのだが、最後まであの青年が自由になるのでは?と期待して観ていた。が、それもなく、結局この映画は、護送する彼らなりに良かれと思って、青年に色んなことを体験させるという話だ。刑務所から出る頃には女に興味がなくなっているかもしれないので、女郎屋へ、と思う気持ちは優しいものだ。この話の後、ニコルソン演じる水兵は何事も無かったかのように今まで通りに過ごすんだろうなと思うのだが、ベトナム戦争で国内が乾いている時、こんなささやかな優しさも貴重だぜ、というメッセージを感じた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-05-28 20:58:34) |
143. キャリー(1976)
有名な映画だが、ついに観た。キャリーかわいそ過ぎ。せっかく女の子らしい感情が出てきて、きれいになったのに、ありゃないでしょ。ナンシーアレンの演じる女生徒は性格悪すぎ。紐を引っ張って、豚の血浴びせる時、舌をペロリとするところなんか。個人的にこういうので一番嫌いなのは、赤い帽子かぶったナンシーの女友達。血を浴びた彼女を涙を流さんばかりに大笑いしているシーン(しかもスローモーション)は、どういう死に方するのか見てみたいと思ってしまった。いじめはダメです。マンガの「AKIRA」「童夢」を思い出した。色んな方面に影響与えた作品のようですね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-28 23:28:12)(良:1票) |
144. 合衆国最後の日
《ネタバレ》 あんなラストの映画をよく創ろうと思ったね。信じられない。ベトナム戦争の影響を受けて、生まれたニューシネマという映画文化。この映画こそニューシネマと呼ぶのに相応しくないだろうか?何故この映画はニューシネマを紹介してある書籍などに載ってないのだろう?レビュワーの皆さんがここで書かれている様に、ホントこの映画はポリティカルサスペンス映画というのに相応しい。それに政府の意思決定段階をここまで人間くさく描いた作品はそんなにないのではないだろうか?特にラスト。大統領の最後の頼みにも、簡単に情にながされない、あのメガネの国防長官。大統領を描いたアメリカ映画は多いが、こんなのはじめて。大抵の映画は大統領万歳って感じのばっかりだもんね。最初はルメットの「未知への飛行」に似ていると思ったが、やはりアルドリッチ監督。一癖も二癖もある人物を配していて、面白い映画にしているよねぇ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-18 03:33:03) |
145. さすらいの二人
この邦題の「二人」って、ニコルソンともう一人誰をさすんだろう?奥さん?旅先で出会った女学生?それか武器商人のすぐ死んじゃう男のこと?それが気になって、映画を観ていた。建築を勉強している女学生が、なかなかチャーミングだなぁと思っていたら、後で彼女が「ラストタンゴインパリ」に出ているマリアシュナイダーだと知った。てことは、やはりもう一人は、有名な彼女ってことなんだろうなぁ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-03-02 15:25:36) |
146. 歌う女・歌わない女
《ネタバレ》 最初の方を観てる時、これは凄い映画になるぞと思った。「ガープの世界」のような社会派か!?と思ったのだ。が、話は女の友情の方に向かっていった。それはそれで面白かった。特にポム(巻き毛の女性)の方の楽天的な考え方にはびっくりする。イランの男性と別れるとき、もう一人生んで、子供を分けましょう、なんていう発想はどこから出てくるんだ。もう一人の女性(長い黒髪の女性)は最初、薄幸だなぁと思っていたが、人生の後半で大きな幸せに恵まれる。両方の女性ともマニュアルなんか当てにせず、体で考えていくんですよねぇ。強い人たちだなと思いました。男はブルジョア、女はプロレタリア、という歌が心に残りました。映画はかなり古い映画ですが、なるほどね、と思いましたよ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-03-02 15:16:44) |
147. 大いなる勇者
レッドフォードが若い!観てて「イントゥ・ザ・ワイルド」を思い出した。あれが911の後に出来た、今のアメリカを映し出しているのなら、この映画はいわゆるベトナム戦争の頃のニューシネマの一つだ。「大草原の小さな家」ってドラマがあったけど、(観てないけど)この映画の最後のほうに出てくる頼りないおっちゃんとその一家なんか実際はこんな感じだろうなと思って観た。しかし、この頃のシドニーポラックって良い仕事してるよねぇ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-01 01:41:49) |
148. 白い肌の異常な夜
《ネタバレ》 「恐怖のメロディ」と同様、もてすぎる男性も大変だ。でも、この映画、女にだらしくない、そんなにハンサムでない(ジャックブラックやジョンベルーシーみたいな)男性だったら、どんな展開になったろう?そんな事も考えた。でも、あの園長のお兄さんは殺されたんでしょうか?この園長や黒人の女性に手を出したようなシーンが挿入されてたし、園長がこの男を殺そうと簡単に思いついたのも気になったので、この学園のどこかに死体があるんじゃないかな、と思って観ていたが、そういう場面はなかったですね。 [DVD(字幕)] 7点(2010-02-18 15:11:11)(良:1票) |
149. さすらいのカウボーイ
内容はそんなに詰め込んではないのだが、ゆっくり見せる骨太ストーリー。クリントイーストウッドの監督作品に似ているところがある。カメラをズームさせるところやストップさせるところなどが話のリズムを邪魔するところがあり、そういう演出にはまだ新人監督らしさを感じさせた。でも面白かったですよ。金さえあれば、どんどん上手くなっていったかもしれない監督だと思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-02-08 02:13:07) |
150. ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー
《ネタバレ》 やはり子どもの頃に観て、最初に面白いと感じた映画のタイプは、その後の映画人生を左右するものだなと思った。自分はアメリカンニューシネマで映画にはまり、その後、他のジャンルの名作と言われるものをたくさん観たが、素直に面白いと思えるのはこういう映画だ。この頃、「激走!5000キロ」とか「トランザム7000」とかアメリカ大陸を疾走する映画がたくさんあったが、これもその中のひとつ。この映画を観ようと思ったのは、自分の映画センスを磨く意味でも、アメリカンニューシネマを味わいつくそうと思ったからだ。それにしてもスーザンジョージは「わらの犬」とは違う、馬鹿な(それでいて結構したたかな)女性をちゃんと演じきっていた。もっと出演作品があってもいいと思ったくらいだ。日本に配給されたのが少なかったのかな? [DVD(字幕)] 7点(2010-02-01 04:04:01)(良:1票) |
151. M★A★S★H/マッシュ
この映画の主役の髭の人、どっかで見た事あるな、と思っていたら、漫画「気分はもう戦争」の中に出てくる人の顔だった。なるほど、この映画もこの漫画に影響与えたんだろうな、と思いながら観た。筋らしい筋はないが、軍規を守らない連中の魅力が十分伝わった。この事がすなわち、軍という組織で戦う戦争への風刺になっているんだろうね。それにしてもあの金髪の婦長さんは最初みんなからいじめられてたが、最後のアメフトのシーンではすっかりマッシュの人間になってて、案外、帰国するよりこっち(戦場)の方が楽しかったのではないか?とか思ったりした。これも監督の計算なのだろうけど。ただ自分は、アルトマンの映画にしては主役以外のたくさんの人物のそれぞれの描写があまり印象に残らなかったと思った。名作としての評価が高いだけに少し残念だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-01-22 03:17:51) |
152. 離愁(1973)
《ネタバレ》 列車の中で皆が寝てる隣で、愛しあってしまうというシチュエーションにう~んと唸ってしまう。「スターリングラード」もそうだったけど、皆が気づいたら、どうしますのん、と思ってしまう。この時点で彼女はスパイだったのか、それともメガネの主人公と病院で別れてから、スパイになったのかは分からない。前者なら彼女は「強い」女性だし、後者ならかわいそうな女性だ。最後の彼女の表情から、自分は後者じゃないか、って気がするんだよね。あんな美人が寄ってきたら、子供じゃないんだし、そりゃ男性なら・・・・ [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-11 22:29:14) |
153. ルートヴィヒ(1972)
《ネタバレ》 男の没落を描く映画は多い。そのほとんどは、女、酒、ドラッグなのだが、芸術に耽溺してボロボロになるのは、国王ならでは・・。国務よりも、趣味に興じるから当たり前といえば、当たり前だが。国王が引きこもってオタクになってしまったから、戦争には負けるは、政治には無関心になるは・・。金は使い放題だから、税金でワグナーの借金肩代わりしたり、洒落たお城の建築に夢中になるというのは、スケールが大きい。それでも国民から人気があるのは面白いね。ビスコンティの映画らしく、女性が重要なファクターにならず、男一色なので、観てて少し疲れました。 [DVD(字幕)] 7点(2008-07-08 17:08:40) |
154. イノセント
《ネタバレ》 再見。貴族の弱さを描いている映画。と同時にビスコンティの限界でもあったのかな?この作品が最後だもんね。今の時代、この映画が公開されたら、女性たちから総スカンを食らいそうな展開だよね。女優たちの言葉にしない表情が、ものすごくこの映画を確かなものにしている。「青い体験」のラウラアントネッリが、女優として確かな人だということが分かる。この映画では、赤ちゃんを寒空に置く場面は、主人公の貴族が自分の敗北を認めたくないというのが、彼の行動の理由になっているけど、女性の強い今の時代に、再解釈してリメイクされたら、実はあの赤ちゃんは、自分の息子だったという展開もありうる。どのみち、あの主人公の貴族は、ボロボロになるのは間違いないけどね~。部屋の調度品からインテリアまで細部まで美しい映像の中、その中に住む人間が醜いというのは、何とも皮肉な・・。人間賛歌ではないねぇ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-06-23 02:26:16) |
155. イレイザーヘッド
《ネタバレ》 心に封印した、子どもの頃の小動物を虐待した記憶を 引っ張り出すような映画。 まぁそういうのもアートの役目なのかな。 何してるんだろ、この人、何者だろ、この人、リンチのそういう演出術は もうこの頃から出てきてるね。 SFXを白黒で撮影すると、悪夢みたいな新鮮な映像になるのは、発見だった。 [DVD(字幕)] 6点(2019-09-13 20:53:16) |
156. スローターハウス5
《ネタバレ》 ジョージロイヒルは男の世界を描くのが得意だが、 そこにどう女性を介在させるか、ヒルの悩みが如実に表れた一本。 ジョンアービング原作の「ガープの世界」でも彼の混乱ぶりがうかがわれる。 結局、この中身のないSFは、ヒルの混乱の告白の始まりみたいな映画になってしまった。 [ビデオ(字幕)] 6点(2019-08-14 01:50:21) |
157. 不連続殺人事件
《ネタバレ》 昭和のころの男と女の情を 殺人事件の動機にしている点で文学作品なんですね。 金では愛は買えない、それがポイントの映画でした。 で、犯人はだれかとか、知的な挑戦を観客にしてるわけではなく、 だから殺されていく人物の描写などもあまり緻密に演出しない。 観てる自分は、あれ?また殺されたのって感じだ。 そもそも不連続とは、どの事件が本当の犯人の意図か、それをごまかすための連続殺人なので 「不」連続殺人というらしい。 劇中、探偵がそう言ってる。 多くの殺人の時に、奥さんがそばにいることで、殺しの本命のだんなに安心させといて、 昔の恋人と組んで、最後だんなを殺す。そういう話でした。 ラストの事件の解明は明快だった。 モヤモヤした世界に一本筋が入るような感じがした。 だから、観終わってみると、面白かったとなるんだね。 [DVD(邦画)] 6点(2019-06-30 11:14:50) |
158. 叫びとささやき
《ネタバレ》 完成度が高いという本作。 女性3姉妹にメイドを加えた、4人の女性の恐れ、悩みなど魂の彷徨を描く。 されどベルイマンの女性観から描かれるその様は、若草物語のようには行かない。 彼の死生観は私には分かりかねるが、それでもまっ当な演出で、とつとつと我々の前に差し出してくる。 神への深い信仰あっての解釈なのだろうと思う。 [ビデオ(字幕)] 6点(2018-04-02 00:36:56) |
159. フレンジー
《ネタバレ》 ヒッチコックが再び息を吹き返したと言われた作品。ヒッチコックでは珍しく、女性の裸が出てくる。他にも美として女性をとらえていたヒッチコックがこんなシーンを撮るとは?という場面も。当時のR指定になったらしい。 主人公の女友達が魔の手におちた瞬間の演出がヒッチらしい。犯人と部屋に入った途端、カメラがずーっと下がっていって、建物に外に出ることで、絶望をあらわしていた。ヒッチコックのようにユーモアある会話の飛び出すキャラクターが、殺されるのは胸が痛い。 やはりヒッチコックは人間描くよりも、サスペンス映画を撮る方に重きを置く人なのだなぁと思う。 当時のこの映画を観て、手塚治虫はサイコパスの短編漫画「ペーターキュルテンの記録」を描いたのではないかと推測した。発表時期が重なるからね。 [ビデオ(字幕)] 6点(2017-10-16 12:24:24) |
160. 悪魔のいけにえ
《ネタバレ》 うわぁぁぁ・・。容赦なく残酷な映画の古典。本来、この手の映画は観ないのだが、有名なトビーフーパー監督が亡くなられたので、鑑賞。この監督作品は「ポルターガイスト」が結構、好きだったけど、出演者に不幸が続いたりして、以後気持ち悪くなり、この手の映画はあまり観なくなった。ニューシネマらしく、観終わった後に、「あぁクソみたいな現実だけど、こんな映画よりまだましだ」と別の意味で元気(?)になる映画ではある。自分の中では「時計じかけのオレンジ」がトラウマになっていたのだが、この映画よりましだった。もし、この映画を若いころに観ていたなら、今頃は犯罪者予備軍だったかもしれない。あぁ恐ろしい。本当に映倫はしっかりしてくれよ。こんな映画、子どもに観せたら、いかんでしょうが!アメリカがベトナム戦争で、いかに国内が激しくのたうちまわっていたか、まさに心に錆びたナイフでキリキリ切りつけられるように刻まれる一本。悪夢ってこんなんだろうなぁ。 [ビデオ(字幕)] 6点(2017-09-02 01:29:01) |