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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1581.  ポリス・ストーリー/香港国際警察
この泥臭い騒々しさには、どうしても馴染みきれないものがあるのだが、格闘シーンには心底ホレボレする。どの国のアクション映画の格闘シーンより、香港では接近して争ってるように見えてしまう。ほとんど組体操、高度なダンスのよう。戦う者の間の空隙を、一生懸命手足で埋めているような感じ。たとえば日本のチャンバラがしばしば主人公一人の日本舞踊であるのに対し、あちらはちゃんと、格闘というものの複数性を生かしている。そのキビキビした直角的動き。ラストのデパートなんて、うっとり見とれてしまった。ただショーケースがあるものだから、どうしてもやたらガラスが割れることになり(そうい売り場を選んでる)、あのハデな粉砕感は音楽で言えばシンバルの一打ちなわけで、あんまりやりすぎると効果が薄れる。見せどころのふきぬけの落下を反復するのも逆効果。見せどころは一回こっきりで、あとは観た者の脳内で「すごかったなあ」と夢のように反復させるものだ(でもこの3回繰り返すサービス過剰ぶりに、きっと香港映画の中国料理的しつこさの濃ゆ~い味わいがあるんだろうな)。車の崖下りやバスでのぶら下がりなども見せ場だけれど、アトラクション気分が強く、かえって電話番しているときのコント的エピソードのほうにアクションの楽しみを感じた。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-12-02 10:18:38)(良:1票)
1582.  押繪と旅する男
話を膨らませた部分がどうか。つまり現代の部分、図書館で引きずられていくあたりの背後との隔絶感にちょいとした味はあったものの、余分なものの気がする。兄の生き方の対照物として特高を持ってきてしまったので、ベクトルが浅くなったというか。レンズ狂ということ。双眼鏡・のぞきからくり・蜃気楼、なるほど「楼」ということで、また「十二階」に戻ってくるか。老人・少年が見上げた十二階が、まさに蜃気楼だったわけだ。兄さん兄さん、と追いかける境内のあたり。ラストの砂丘に過去の人々が点々とサイレンにうながされて蜃気楼を見つめている図は美しい。
[映画館(邦画)] 6点(2010-12-01 10:03:41)
1583.  カリートの道
「昔気質の男」と「バカ」は紙一重。チンピラに突っかかってみたり、裏切りかけてることが分かってる男に女を駅に送らせたり、それが「昔気質の男」ということで昇華されるかというと、どうもそこまではいかず、「ちょっとバカじゃないか」という感じと微妙なところになる。弁護士への友情も「昔気質の男」というだけではイマイチ説得力不足なんだ。おそらくパチーノだから「バカ」に一気に傾かないでいられたんだろう。最初の少年が殺されるシーンのだんだんヤバい感じが濃くなってくるあたりとか、ラストの駅のあたりが見せ場だが、長い2時間25分の代償としては、ちと物足りなく思えた。最後に「努力はしたんだ」って言われてもなあ。ペネロープ・アン・ミラーいうのは面白味のない顔だ。南米のリズムがあふれるのはパラダイスのイメージか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-30 10:15:10)(良:1票)
1584.  ポチの告白 《ネタバレ》 
交番の警官がわざと自転車を放置しておいて、酔っ払いに「窃盗」させるなんてのは、リアリティあった。でも、パトカーの中で仲間うちで「悪事」を語ってるだけってのは弱い。システムとして悪が発生してくるところをキャッチしてもらいたいのに、人格の低劣どまりになってしまう。システムの腐敗が、眼を輝かせていた新人を駄目にしていった、って言いたいんだろうが、そこがもひとつ出てこない。上司の描写なんかも問題。人間が駄目だから組織も腐る、って感じになってしまう。怖いのは人格の低劣から生まれてくる悪ではなく、立派な人格から生まれてくる悪だろう。主人公も5年飛んだら、サングラスかけてタバコ吸ってるって、あまりにも分かりやすい変貌。人格も低劣になって未成年と泡風呂に入ってる。ただただ人格がマジメのまま、上司へ忠義ゆえの悪への傾斜じゃいけないのか。そういった「大ざっぱ」感が、随所に見られた。日本の「記者クラブシステム」の情けなさを訴えてくれるのは嬉しく、大新聞が後援した映画では出来なかっただろう。だけどこれも具体的な画像としては記事の配信場面でのナアナアぶりぐらいで、外国特派員クラブの会見での言葉によって集約されてしまうのはつまんない。日本語と英語で丁寧に繰り返して、ここんとこ大事よ、と強調したつもりなんだろうが、映画の画面としてはこの反復は緩むだけだった。ときにカメラが回り込む動きをするのは、ちと面白い。「サスペンス&ミステリー」の棚にあったんだから、もうちょっと映画としてのサスペンスが欲しいなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2010-11-29 10:24:28)
1585.  幕末
時代劇と歴史劇のあいだで困っているような映画。史実にのっとって吉永小百合は「眉そり・お歯黒」で出てくるが、やっぱり現代人にはヘン。明治の観客というのが存在すれば、「なかなか正しくやっておる」と満足するかも知れないが、時代考証というものの精度は適当にだんだん崩していってもらわないと、時代劇になり切れない。いっそ『バリー・リンドン』みたいに歴史に徹底してみれば、その「ヘン」が味わいにもなるんだろうが、暗殺のところは時代劇的にくどく、瓦を這いのぼったり、手のアップがあってズルズルと滑ったりと、歴史劇とは言えない雰囲気。竜馬って史実では即死だったんだろ? 酔ってヌルヌルと斬る感じとか、左手だけでのチャンバラとか、全体、見せ場は「時代劇」している。明治の歌舞伎でも同じような問題はあって、江戸時代の芝居は荒唐無稽すぎたということで、史実にのっとった「活歴もの」ってのがさかんに作られたが、その多くは消え去り、現在は「荒唐無稽」なものが残っている。映画も同じ悩みを経て、しかし「マゲもの」というジャンルそのものを衰退させてしまった。賀津雄君のまんじゅう屋の悲憤なんてのは良かったな。やっぱこの兄弟は陽と陰の対象を見せてほしい。後期の錦ちゃん、力んで暗くなっちゃうんだ。
[映画館(邦画)] 6点(2010-11-23 09:54:15)
1586.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン
狭い奥まったとこへ行く感じはちょっとよかった。でも結局この監督で問題になるのは「偏見」でして、難しいところですな。『ディア・ハンター』は偏見と無関係な傑作だと思ったし、微妙なところをあえて扱う姿勢は支持したいと思うんですが、でも結果として本作、西洋人が東洋人に抱く薄気味の悪さにそのまま乗っかって、そのまま終わっちゃった映画になってしまった気がする。苦労を重ねた中国移民のエピソードは、本筋に組み込まれてなく、ただの傍注という感じどまり。妻とのゴタゴタやヒロインとの情事などの脇筋もつまんなかった。ジョン・ローンを軸にしたほうがもっと面白かったんではないか、と思うが、主人公を東洋系には出来ないところがハリウッド娯楽映画の限界か。話の終わりへの持って行き方はかなり雑。ミッキー・ロークがディスコの中やなんかを延々と追いかけていくあたりが、一番密度高かった。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-20 10:11:50)
1587.  トリコロール/青の愛 《ネタバレ》 
映像や音響の格調の高さと、ストーリーの俗っぽさをどう捉えるかだ。死さえ望んだ未亡人が、生きようと回復するまで。子を失った悲しみから、愛人の子を祝福するまで。これとヨーロッパ統合との兼ね合いが、もひとつ見えてこない。「青」は「自由」なんだけど、孤独という自由の話と見ていいのか。音楽が唐突にやってくる効果。音楽だけでなく、ドアを叩く音とか、音一般が計算されているよう。そのことが作品にどういう効果を与えているのかまでは分からない。母親が見ているテレビはいつも危ないものばかり。宙吊りとか綱渡りとか。まさかこれがヨーロッパ統合を暗示してる、ってんじゃないと思うが。そういった個々の部分は気になるものばかりなのに、それの作品への効果が分からない。その統合されなさが、ヨーロッパの未来だ、ってんじゃないでしょうね。ほとんどヒロインのみを追っていくドラマ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-19 10:02:42)
1588.  時計 Adiue I 'Hiver
こういう長い記録をドラマに織り込むって試みは、きっと多くの人が思いついても実際は面倒でやれなかったものだから、そのことだけでも褒めていいと思う。ただその5年間の少女の成長の記録をあまり生かせてなかった。お話が決まっていなくちゃ、そう無駄にも撮れないから、まあ通うとことか練習するとことか何にでも使えるカットになってしまう(現在なら廉価でハイビジョンビデオ使えて、いろいろな想定されるシーンをたっぷり撮っておけただろう)。だから本当にドラマが動き出すのは、現在に至った後半になってしまう。最初にかっちりシナリオを作って配役を拘束し5年撮影し続けるってのは大変だろうし、それではその5年の間に新たに発見するものを映画に加えていけない。そこらへんうまく働けば、映画ならではの記録性とドラマ性が融合した作品が生まれただろう。こういう試みがテレビ畑の人から出てきた、ってのが皮肉。刹那的なものを追っていたようなテレビのほうが、記録性ということに敏感になっていたのか。
[映画館(邦画)] 6点(2010-11-17 09:57:23)
1589.  サラバンド 《ネタバレ》 
まるで脚本家の理想として、シナリオだけを提示したかったような・骨だけが存在しているような映画。演劇に去った監督が、最終的にこういう顔とセリフの映画を撮りたかったというのは興味深い(もうひとり、監督と演劇人を経験した天才にヴィスコンティがいるが、その二人が同じハ短調のサラバンドを映画に使ったわけだ。あちらは『地獄に堕ちた勇者ども』で、ヘルムート・バーガー登場への前奏曲のような皮肉な使われかたをした。ああそうだ、あれにはベルイマンの常連イングリッド・チューリンが出てた。ついでに言うとあまり映画音楽として使われないブルックナーの交響曲を、あちらは『夏の嵐』で7番、こちらはこの映画で9番を流した。絢爛志向と枯淡志向、対照的な世界を撮った二人だが、けっこう共通した趣味が見出せる)。本作で展開している「互いに批評しあう人間世界の業」から逃れられているのは、もう顔だけの存在になった死せるアンナと、狂の人となった娘だけで、アンナは最後まで超越者の地位に置かれるが、狂った娘とはもしかしたら心がまだ通じあえるかも知れないというラストに至る。チェリスト娘は、他人に批評されない楽団員の未来を選び、父の元を去る。批評の心は、ときに侮蔑に振れ、それは裏返されて不安に形を変える。そういう「相互批評」の地獄として人の世を見た監督だった。遺作ということでだろうか、観ながらいくつかの過去の作品が浮かんでは消えていった。「厳しい音楽教育」は『秋のソナタ』だし、「狂う娘」は『鏡の中にある如く』だし、「老い」としての『野いちご』があるし、ラストの不安を静めるベッドは、『叫びとささやき』の、メイドとハリエッタ・アンデルソンのあの美しいカットを思い出させた。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-11-16 09:50:47)
1590.  永遠の愛に生きて
ルイス氏は、おそらく相手の生命が限られていることを知って、それで初めて安心して愛せたのではないか。彼女が死ぬ予定なので、未知の社会の部分としての他者ではなく、彼の閉じた世界に組み込まれる存在になれた。彼女との愛は、彼にとってたしかに彼の世界を膨らませはしたけれど、閉じていることに変わりはない。そこらへんにもっと焦点を当てて展開してくれると、「愛」についての面白い切り口になったと思われるが、終わってみるとただの純愛賛歌ものになってしまっていた。でもいかにも英国的。A・ホプキンスはつまり『日の名残り』と同じような役をやったことになる。閉じた世界の王様。田舎のホテルでのソワソワするところなどいい。兄弟で暮らしてるってのも、すごく英国的な感じ。ああそうか、この閉じてる感じが、英国っぽいのか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-12 10:35:26)
1591.  マダムと女房
本格的トーキーというものを、歌ではなく「騒音」で勝負したところが、ユニーク。ま「本格的でない」トーキーではすでに歌を聞かせていたが(たとえば溝口の『ふるさと』)、そうじゃなくて、あくまでドラマなんだ・我々が作っているのは歌の添え物じゃないんだ、という映画人の意地が感じられる。ネズミを追うために猫の鳴きまねをした後、本当の猫が鳴き出したときの渡辺篤の、俺じゃないんだよ、という田中絹代向けの表情などよかった。田中絹代と伊達里子が、対比されていたんだな、この時代。モダンまるだしの伊達マダムに対して、どこか古風で田舎っぽい田中女房。でも落ち着いた小市民の主婦、というところ。『伊豆の踊子』(同じく五所監督)より前だし、若いんだけどね。ラストはほのぼのと「マイブルーヘブン」、やっぱり音楽で締める。この時代の住宅地の風景は、なぜかとても懐かしい。
[映画館(邦画)] 6点(2010-11-11 09:59:39)
1592.  トリコロール/白の愛
ポーランドとフランスの二極。ポーランド人の夫はパリへ行ってインポになり、フランス人の妻はワルシャワで拘禁される。そういう「平等」。彼がやったのは復讐だったのかどうか。とにかくこの監督は東と西の「うまくいかなさ」ということをいつも心の底に置いている人で、双眼鏡で覗くこと・つまり「憧れること」でしか関係を持てないのではないか、といった諦観もうかがえる。冒頭、鳩に糞をかけられるのも、冷戦後の世界もそんなにいいものではないぞ、と言ってるよう。全体軽妙な味はあるものの、この時代ポーランドが抱いていた夢のはかなさと通底している。音楽はタンゴ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-05 09:59:07)(良:1票)
1593.  アリゾナ・ドリーム
何となく『ガープの世界』を思い出した。ああいう「半ファンタジー」系の作品。亀が犬の世界と魚の世界をつなぐ。ニューヨークの現実からアリゾナの田舎に戻ると幻想味が増してくるの。幻想としての故郷。自動車の墓場にドアを持って立つ人なんか、寺山修司的だし。笑いはややヒステリカルで、なにかというとアコーディオンを持ち出してきて、ラシドーシーラー、ラシドミシドラー、とやる娘の胆汁気質がおかしい(全体の音楽はゴラン・ブレゴヴィッチ、冒頭の11拍子からいい)。けっきょく青年の成長もの、ってジャンルになるのか。どこか南米寄りのファンタジーの気配があり(椅子がフワフワと浮き出したり)、東欧と南米って、どこかでつながってるのかな、と思った。全体のとりとめのなさを、許せるかどうか、観たときの気分で評価が変わる映画だろう。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-02 10:45:20)
1594.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
高校生と原発危機、高校野球長野予選とペンタゴン、が同列に扱われる世界を、受け入れられるか否かが分かれ目でしょうな。あるいはワビスケさんが製作者と分かったときに、つまずくかつまずかないか。こういうのに慣れてないもんで私は若干つまずいたが、話の設定としてこれからはそういうのもアリか、と古い世代の者としては最近寛大になっている。というか、その同列性こそがバーチャルな世界の特徴なんだろう。だからこれ、現実とバーチャルな世界との争いを描いてはいるけど、土俵はもう最初からあっち側にあるのだ。現実の側の描写では、夏の早朝の光の変化が丁寧に描かれ、仮想空間では、ノッペリした白色の中で小さな色たちが飛び交う。どちらもアニメならではの美しさ。ワルモンを城郭に閉じ込めたものの、しかし巨大化してそれを破って出てくるあたりが見どころ。なんか『ファンタジア』の「はげ山の一夜」を連想する姿だが、黒を構成する小さな部分がモゾモゾ動いているのがミソ。最先端の電脳戦争で、花札勝負になるってユーモア。ただ、せっかくあそこで世界の個人個人からの支援を受けたのに、最後は一族の結束(妾の子も含む)で締めるってのは後退じゃないか。「個人たちによる明るい連帯」に突き抜けられそうなところを、「デジタル-孤独-暗い」と「アナログ-家族-明朗」のステレオタイプな対比に戻ってしまったような感じ。
[DVD(邦画)] 6点(2010-10-30 10:22:26)(良:1票)
1595.  ネイキッド(1993) 《ネタバレ》 
オデュッセイのロンドン版と思えばいいのか。遍歴して帰還する話。どこかディケンズの時代をほうふつとさせる夜。いささか上滑りな哲学的会話。しだいに暴力・迫害があらわになってきて、チンピラどもに殴られたりする。冒頭、ジョニーがマンチェスターでレイプしていたような路地で。そして帰還。女の肯定、これはジョイスのユリシーズならyesの部分にあたるのかな。でも、ここでとどまらず、ユリシーズはまた放浪に出ていくところで終わる、っていうんだがね。世の中に拗ねているこの主人公は実にくだらない奴なんだが、それと作者との距離が、イマイチ分からなかった。批判的に見ているわけでも、共感しているわけでもなく、ただ純粋に観察してるってのがポイントなのかも知れないけど、映画観てる方としては、これだけ付き合う価値があるのか、とか思っちゃう。会話の重みなどカサヴェテスに近いが、あの「演じつつ他者と接触する緊張感」みたいなものはない。それがネイキッドってことなのか。でも、衣装への意識がないと、ネイキッドにもならないと思うんだけど。
[映画館(字幕)] 6点(2010-10-29 10:09:57)
1596.  わかれ路
二人の女の間でうじうじする男。そういう状況を状況として丁寧に描くのは日本映画の得意な世界なんだけど、あちらだと短編小説的なキッチリした展開とオチが必要となる。あのラストを生かすとするなら、女の取りっこの話を中心にすべきでしょうな。どちらも最後に勝ったのはアタシだと思う。三方一両損の裁き。男はもっと後退させるべきでしょう。そこらへんで、あちらとこちらの違いを考えさせられた。妻に愛人らしいのができるとスネたりする情けなさは、あちらもこちらも変わらず。迷ってるときにジイサンと孫とを登場させ、家庭への思いと赤毛への思いを引き出すあたりは納得できる。
[映画館(字幕)] 6点(2010-10-27 10:07:55)
1597.  カルネ
人の顔を見せずにてきぱきと設定を展開していく冒頭のあたり、小気味よい。「注意! 感受性を傷つける危険な部分があります」と出て注意を引きつける(期待させる?)悪趣味なユーモア感覚。字幕の効果的用法は、ゴダールゆずりですか。分解写真的カメラの回りこみ、ズームアップ、フェイドアウトして肉切り包丁のような低音がズン、などなど、いかにもフランスのエスプリって感じが横溢。話は、鬱陶しさへの耽溺とでも言うか、父と娘の危うい関係への耽溺ね。思い切って溺れ込むことでのみ得られる手触り。卑しめられるもの、馬肉・デブの女・テレビ活劇らの、なんらかへの復讐といった気配もある。少なくともこの馬肉は、現代社会が見たくないものの側に埋まっている。全編を覆うドローンとした色調。
[映画館(字幕)] 6点(2010-10-25 10:04:37)
1598.  マイ・ガール2
まあ「幻滅を越えて」というやつで、母に対する抽象的な神格化が、具体的な愛着に落ち着いていく経過。移民の街としてのロスが描かれる。日系人にブダペスト自動車修理所。このアンナ・クラムスキー嬢、前作でちょっと気になってたんだけど、少女から娘へと成長してましたが、なんか微妙に味わいは失われていた。ここらへん変わるお年頃なのね。少女のときに見せた味わいを持ったまま、娘に成長していくってのは難しいもんだ。あらためて少女スター出身のスターの偉さ、あるいは彼女らがそこを乗り越えるときにあっただろう葛藤を思った。相手のオースティン・オブライエン君てのには、もう少し見せ場を作ってやっても良かったんじゃないか。歴代大統領でニクソンぐらい安心してからかいの対象になるのはないな。
[映画館(字幕)] 6点(2010-10-22 10:06:25)
1599.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 
SFはもっぱら宇宙基地とか古代恐竜とか、巨大なものを相手にしてきた。『ミクロの決死圏』だって、映像的には巨大な人体の胎内めぐりのようなものだった。しかしこれでは微小な方に向かったのが特徴。そのスケールの小さなものが、大きなスケールに増殖していくかもしれないことの不安。人間の日常のスケールを越えた世界を対象としていく。SFの王道であり狙いはいいのだが、それはやはり理屈の面白さであって、小説では楽しめそうだけど映像としては難しかった。小さな緑の結晶が生きている、ってあたりがドキドキさせるべきところなのだが、顕微鏡映像を通してなので、もひとつ手応えが弱い。これ作られたころは、まだアポロ計画の最中だったかな。人々の興味は急速に薄れていたとは言え、科学の現場をドキュメンタリー的にたっぷり描いたのも、そういう背景があったからだろう。かえって今見ると、その70年ごろの近未来図の野暮ったさが味わい。ジャバラつきの感染防止服なんかいい。あんまりドキュメント調では観客に悪いと、ラストに冒険がサービスとして入るが、文字通り取って付けたようだった。映画としては、最初の死滅した町の探検の部分が一番。宇宙服みたいの着て日常の町を歩き回る凶々しさ。この増殖する生命体、ちょっと「ウルトラQ」の「バルンガ」を思い出す。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-21 09:57:10)(良:1票)
1600.  山の音 《ネタバレ》 
若いときに一度観ていて、チンプンカンプンだった。こちらもヨワイを重ね、そろそろ作品の滋味がしみじみ堪能できるようになったかも、と観てみたが、まだ駄目だった。ポイントは、舅と嫁の、思いやり以上・恋情未満の心の揺らぎなんだろうが、なんか作り手がそこに焦点を当てないように当てないようにしているみたい。それがデリケートな味わいを出すためというより、別のモチーフを隠すために撹乱しているような気もして、どうも素直に観られない。「つんけん」とか「鬱陶しさ」とか「不和」とか、成瀬のモチーフは遍在している。いつもならそれらが「納まるべきところに納まらない」我々の世界への微苦笑へと解消されていくんだけど、これは苦いだけ。成瀬作品では珍しく上流階級が舞台になっていることと関係があるんだろうか。男たちは東京に通勤していてもその世界は鎌倉と会社に閉じており、かえって出戻り娘や上原謙の愛人ら女たちが、外の世界の荒々しい風を作品に導いている。その現代の戦後女性群に対し、嫁の菊子だけが古風な戦前女性として設定されていて、その彼女が中絶するところに当時はもっと衝撃があったのかも知れない。山村聡が杉葉子と路地を歩くあたり(原作によると本郷)に成瀬の味が匂いたち、やっぱり鎌倉よりこっちのほうが似合う監督なんじゃないか。
[DVD(邦画)] 6点(2010-10-19 09:57:49)
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