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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1741.  鞍馬天狗 鞍馬の火祭 《ネタバレ》 
前作のラストで江戸へ走っていった鞍馬天狗が、舞台を変えてどんな活躍をするのか、と思って観たら、長州から帰ってきたところだ、って言って京都にいるの。そうか、そういう世界なのか。毎回完結で前作を引きずって観てはいけないのだった。ひばりは冒頭で天狗のおじちゃんを探しに長州へ歌いながら旅立ち、ラスト近くなって歌いながら戻ってくる、と出番は少ない。いろいろ仕事が忙しかったのだろう。それでもタイトルではアラカンの次に並んでいるのだから、当時の人気の凄さが分かるというものだ。ひばりファンは出番の少なさに、金返せ、と怒ったであろうな。そのかわり別の子役が歌を歌って人気を取ろうとしていたが、全然華のない子だった。でも活劇としては、前作のような山田五十鈴との恋模様がない分、良かったのではないか。行列を崖上から見下ろして登場するあたり、西部劇のノリで、馬が走るとそれだけでワクワクする。能楽堂での対決もリアリズムを離れてファンタジックな面白さ(順々に襖が閉まっていく)、庭での乱戦に移って、最後は川の流れから子どもを救うと盛りだくさん。恩師の牢獄からの救出、親王派公家の処刑寸前の救出と続き、悪玉から岸恵子を救い出す火祭のラストへと雪崩れ込む(火祭は10月22日の今日)。そりゃ、斬り捨てようとしていたひばりを次のシーンでは丁寧に縛ってて、行方を天狗に教えられちゃう、といった悪漢の側のトンマぶりには脱力させられるものの、まあこの悪玉、屈折したキャラクターだったから、それもいいではないか。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-22 12:11:40)
1742.  南京の基督
日本人役を中国人が、中国人役を日本人が演じることで、何らかのつりあいを取ったのだろうか。つまりそうやってつりあいを取らなければならない微妙な要素が、この話の要にあったのだろう。やっぱり男の側の物語だったということか。「歯車」なども加え、また「蜜柑」のイメージもあり、しかしその分、一本の映画としてはへんにフヤけてしまった。キリストのモチーフが弱まったのだな。基本構造は鴎外の「舞姫」的であって、芥川の原作、こういう話だったかしらん。日本の文士が海外を捉える一つのパターンだけど、ヨーロッパと中国とでは裏返しになり、文化の先進地ドイツへ医学を教わりに行ったものと、中国から日本の病院へ連れてこようとしたものとの違いが出る。この上への目線と下への目線の狭間に自国を認めたことが、日本の近代史を暗くしていってしまったのだけど。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-21 11:57:17)
1743.  憎しみ 《ネタバレ》 
出来ることならこういう男とは一生関わりを持たずに生きたい、と思えるような頭のまったくない感情青年ユダヤ系、まだ小僧のおもかげを残すアラブ系、一応考えるアフリカ系。青春群像。前半拳銃が出たら、それは後半で必ず火を噴く、という定理が、これもどたんばで守られた。危ないほうでなく、最も危なくないと思われていた人物によって、ってところがミソ。とにかく全編なにか煮立ってる感じが満ちていて、おそらくそれと対照されるのが、のどかに現われる「牛」の幻影なのだろう。ヌンチャク振り回してたプッツン男をはじめ、反日常的なヤツばかりだけど、でもこういうヤツは確実にいるなということは感じる。屋上にたむろしてるのとか。ピリピリとした退屈の日々。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-19 11:55:53)
1744.  七変化狸御殿
狸御殿ものだけど、御殿が出るのはアタマの化けくらべ歌合戦のとこだけで、どちらかというと七変化道中ものがメイン。鬼ヶ峠を越えるワンシーンだけ桃太郎になったり、フランキー堺とのドラム・腹づつみ合戦では蝶の衣装になったりと、それぞれの場面に合わせて、コスプレしていく(もっとも蝶の衣装で歌ってたのは羊の歌だったが)。歌では、道中おてもやんメイクで“カラコロカラコロ…”と歌う「お祭りマンボ」調の軽快な曲がよかった(追記:あとで調べたら、米山正夫作詞・作曲「日和下駄」という歌だった。「美空ひばりゴールデンベスト」ってCDにも収録されてるぐらいだから有名なんだろう)。高田浩吉が、ひばりのヒット曲の替え歌で天の声を聞かせるって趣向もある。54年は『ゴジラ』の年で、こっちでも放射能雨が絡んでくるが、敵方のコウモリ集団が雨を避けようとコウモリ傘をあわててさす、ってギャグに使われるレベル。ひばりの相棒はポン吉の堺駿二で、ひばり相手のときはあまり弾まないが、舞台が長崎になって悪漢外人の伴淳とやりとり場になると生き生きする。やってることはほんとアチャラカなんだけど、舞台の喜劇人の呼吸が場面を活気づかせる。登場する喜劇人では敵役の有島一郎がコンスタントに良かった。でも一番笑わせてくれたのは高田浩吉の森の精で、頭に手拭いのせた粋な姿の似合う人が、ターバンみたいの巻いてマント着て出てくるの。ひばり七変化の最後は当然お姫様姿、笑って手を振る高田浩吉にこちらも円満に笑えた。有島やフランキーが出て、やたら群舞もあって、すごく東宝的なんだけど、これがなぜか松竹映画なんだな。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-18 10:46:23)
1745.  トゥルーナイト
ハリウッドが中世を扱うのは、自由な一匹狼を描きやすいからか、と思ってたんだけど、逆かもしれない。身分とか権威とか、現代ではなかなか描けないもの、アメリカ人が旧大陸に捨ててきたものへの、ひそかな愛惜があるんじゃないか。集団に帰属する恍惚。現代を舞台に、会社や国家への帰属を恍惚と歌ったら、かなり気味悪いものになるし、立派な王がいて正しい組織がある、ってようなのは、もう中世の伝統の世界に戻らないと出来ない。アーサー王伝説って、しばしばあちらの映画で出てくるけど、どうも頭に残らなくて。もともとはもっと禁欲的な騎士道世界で、リチャード・ギアのどこかニヤけた感じは違うんじゃないか。ま、そこが現代的解釈ってヤツなんだろうけど。活劇としての新味のあるアイデアは一つもなし。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-15 11:57:01)
1746.  誘拐報道
原作読んでないからなんとも言えないけど、この題名は内容を表わしてないよね。おそらく本では最後の協定違反についての弁明のようなものが主になってたんじゃないか。映画製作のバックに読売新聞がいるんでそれは描かねばならず、けっきょく新聞記者の部分が映画としてお荷物になってしまった。演出は『さそり』の頃みたいにやたら凝らず、落ち着いている。犯人の家庭が一番よく、いつも夢を追いかけててやがてその追いかけているという姿勢に安住していってしまう男ショーケンと、夢を信じていない妻小柳ルミ子の夫婦にリアリティ。子どもを持て余してるんや、という犯人の声で、被害者の両親が子どもの無事を知る、なんてのも、そういうもんだろうな、とひどく納得した。
[映画館(邦画)] 6点(2009-10-13 09:13:55)
1747.  新・仁義なき戦い 組長の首
シリーズは退化していく。菅原文太がかっこよくなってしまった。みっともないしぶとさが魅力だったのに、どんどん作っていくとみっともなさがスタイルになってある種のかっこよさになってしまい、それだけでなく、この作品など昔風のニヒルなかっこよさにまで退歩していると感じられる部分もあった。ケライに殴り込ませて死なせておいて、ただ眉しかめてるだけなんて、昔の文太はやらなかった。本作の新機軸としては、跡目を狙って次々と男を渡り歩くひし美ゆり子(アンヌ隊員)がユニークなところだけど、決してこれはしたたかさとして感服するようなことではなく悲惨な状況であろう。しかしどうも作者は、ここに女の強さみたいなものを表現したつもりでいるみたいだったのに違和感。このシリーズにカーチェイスは似合わず、成田三樹夫もあんまり良くなく、梶芽衣子も中途半端。でもそれなりに楽しんでしまうのは監督の力量か。
[映画館(邦画)] 6点(2009-10-11 12:01:19)
1748.  無頼漢(1970)
『心中天網島』の次の作品で、ATGから東宝になって資金は潤沢、白黒がカラーになった。浮世絵や残酷絵が壁面を飾る美術も、繊細な粟津潔から重厚な戸田重昌で、より金をかけられた分、見応え十分、というか、セットが一番の見どころになった。音楽が武満徹から佐藤勝に変わり、ダン、ダダンという桶屋のリズムが反復される(この桶屋が浜村純で、前作の黒子の通奏低音的イメージを継いでいるよう)。70年という時代を背景にすると反抗と挫折のドラマとして分かるし、その時代と幕末期を重ねる意図も悪くはないが、70年を離れて見ると、いささか反抗の気分だけが浮き足立ってる印象(ついでに言っとくと、この原作は幕末ではなく明治の歌舞伎。もう侍をバカにしても大丈夫な時代になっている)。かえって直次郎の母親を登場させたあたりに、脚本の寺山修司らしさがうかがえた。そのベターッとまといつくような母親像(新派の市川翠扇が怪演、この人は山中貞雄の『河内山宗俊』で直次郎演じた市川扇升とは関係ないんだろうな?)。河内山は松江邸で長ゼリフは吐くが、「バーカめ」の決めゼリフは言わず、あとで水野忠邦に逆に「バカめ」と言われるという趣向がある。金子市を米倉斉加年が不気味に演じ、あの異相はこういう役でもっと使われてもいいな、と思った。山中貞雄版の中村翫右衛門で金子市のイメージを持ってる人は驚くかも知れないが、あの金子市はほとんどパロディなんです。さらについでに言うと、だいぶ昔にマキノの『天保六花撰 地獄の花道』ってのをテレビで見てるが、この頃は河内山宗俊の話に無知で、ストーリーがよく分からなかったと日記に書いている。それでは市川右太衛門の河内山に東千代之介の金子市、中村賀津雄の直次郎。けっこうスクリーンではいろんな河内山が活躍していて、河内山映画祭なんてのを企画しても面白いんじゃないか。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-10 12:26:53)
1749.  暴走特急 《ネタバレ》 
驚くほど新味のないフィルムだが、そのために基本線は守れた。これだけデクノボーの主人公でも、退屈はさせない。研究所のシークレット気分てのがけっこう好きで、最高機密とか言うと、そうか、と思ってドキドキする。細い光の帯が人体を縦に切るように光ったりして。そして主人公の乗った列車が動きだし、悪漢に支配され、引込線に入っていくの。広州市の人たちは災難でしたなあ、国が化学兵器作ってたから死んでも仕方がない、って言うんなら、同じことをワシントンでも描けるの? などと思ってしまう。なぜ映画は列車が好きなのか。車窓がスクリーンに似てるからか、移動しているような固定しているようなとこでアクションにメリハリが出るからか。ラスト、列車を駆け上がっていってヘリのはしごに飛びつくのは、笑っちゃいけないとこなんでしょうね。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-09 11:57:17)
1750.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 
こんどは普通のホームドラマだ、って聞いてたから、最初のうちは「粗雑なシナリオだなあ、そんなリアクションはないでしょ普通」などとブツブツ言いながら見ていたが、失業友だちのエピソードあたりからか、「これいわゆるリアリズムじゃないのだな」と分かってきて、途中からちょっと守備位置を変えて鑑賞した。だから役所が出てきても、そう驚かないですんだ。広い意味でのファルスというか。このタイトルは小津の『東京の合唱』を意識してるんだろう。あれも苦いコメディだった。戦前の大不況期の失業家族のドラマを、今回の平成の不況に読み換えていく(子どもの病院行きが共通し、トイレの札束もボーナスシーンを思い出させた)。あっちはラストで“合唱”に至ったが、こっちは家族がばらばらに“ソナタ”という独奏曲を奏でた果てに、三者三様の朝を迎え、とりあえず肩を寄せ合って終わる。でも流れる曲はまだ朝には至らない「月の光」だ。あの時代も現代も、家族ってものは隠し事をする対象であり、また踏ん張る力を与えてくれるよりどころでもあると、変わっていない。ショッピングモールから発進する役所・小泉の車を追って併走するカットや、住宅街のたたずまいのノッペリとした気味悪さなどに、この監督の味。香川照之の赤いネクタイは、作業服の予告でもあるが、同時に朝日の希求でもあった、と思ってやりたい。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-08 12:04:44)
1751.  愛に迷った時
ラッセ・ハルストレムって名前にまだ貫禄があったころの作品で、両親役がロバート・デュヴァルにジーナ・ローランズと固めてあり、これでヒロインを無名の新人がやってたら、もしかすると小味なホームドラマの輪郭がはっきりしたかも知れない。なのに、ジュリア・ロバーツが入ることで、こっちの気構えが不安定になってしまった。スターが出ることでヘンになってしまう映画というものもある。父親の物語なんかもっと展開してもいいのに、それぞれの登場人物に平均的にドラマを配分して、けっきょく定型どまりになってしまった。かえって独自の物語を持たなかった妹が一番印象に残るというのも皮肉。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-07 11:58:48)(良:1票)
1752.  ザ・インターネット 《ネタバレ》 
女性が孤軍奮闘する映画ってのは、いつごろから普通に見られるようになったんだろう。かつては最終的に助けてくれる恋人役ってのが出てきたもんだ。FBIがやっと来たかと思うと、それも敵方で、とうとうラストまで顔の見える味方は登場してこない、ってのも珍しい。ボケた母さんのみ。そこんとこに一番インターネット時代を感じた。最後の味方のFBIも、何か手応えのはっきりしないコンピューターの向こう側であり、これもラスト、ウィルスによって溶けていってしまう。いい男が悪漢だと分からせるのは、もうちょっと後にしたほうが、引き出しからフロッピーが見つかるショックを高められただろう。設定は面白く出来そうなんだけど、けっきょく類型に収まってしまった。サンドラ・ブロック嬢の下唇と「青い影」でとりあえず満足。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-02 11:57:35)
1753.  ハッピーフライト(2008)
この監督には岡本喜八に近いリズム感があって(とりわけ初期の『ひみつの花園』や『アドレナリンドライブ』)、後継者を期待してるんだけど、今回はあんまり弾んでなかった。そのかわり伊丹十三の「世の中のものごとの構造への興味」的な面白さがあった。つまり職場としての飛行機とはどんなものか、という興味。今まで映画で飛行機が出てくると、たいていパニックの舞台としてで、そうでない普段の飛行の裏側にも面白いドラマがあるんじゃないか、とスーパーの裏側を探査する興味と同じように見てみる。その姿勢でラストまでやった方が良かったんじゃないか。乗客には気づかれないように、次々と起こるトラブルをいかに関係者が処理していったか、そして何事もなかったようにホノルルに到着するまでの映画にしたほうが、面白かったんじゃないかな。それだとドラマとして盛り上がらないのではと心配し、つい中途半端に小パニックを入れたために、映画そのものが小さく縮んでしまった、そんな気がする。コックピットのいろんな操作や飛び交う用語、飛行機に詳しい人が見れば、いちいち面白いのかもしれないなあ、とは思った。
[DVD(邦画)] 6点(2009-09-29 12:07:07)
1754.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 
D・クレイグになってボンドのキャラクターが変わってしまったことを痛感したのは、ホテルを代えるとこの「宝くじに当たった教師だ」ってユーモアが映画として生きなかったところ。あれはこれまでの余裕のあるボンド用のギャグであって、クレイグには全然似合わない。人間味が出て苦悩するボンドになったわけだが、それで007の看板を張ってもいいのだろうか。あんまり人間味を出しすぎると、ありえないアクションとの乖離が今度は目立ってきてしまった。アクションでは最初の教会のが一番良かったが、前作の工事現場には劣る。ちょっとカットを割り過ぎる。ジャンカルロ・ジャンニーニが好きで、『ハンニバル』のときは、ただイタリアってだけで登場しあっさり消えてしまったのにがっかりしたものだが、あの失意を再び味わわされた。本作に登場したすべての人物の中で一番貫禄があるのになあ。このシリーズの興味では悪役が何を企んでるのか、ってのがあって、次世代の問題点をけっこう先取りしてたりする。今回は自然保護団体の仮面をかぶって××利権を狙うってあたり、いいとこ突いてた。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-25 12:05:41)
1755.  サブリナ 《ネタバレ》 
オリジナルでは、ハンフリー・ボガートが小娘のオードリー・ヘップバーンに恋をしてしまうって意外性がおかしかったんだけど、ハリソン・フォードでは、まあそういうこともあるだろうな、って感じ。ワイルダー作品としては中級かと思っていたが、リメイク見て思い返すと、やはりちゃんとした映画だった。周囲の人たちがサブリナを見る目が優しく嫌がらせがない、こういい人たちだけでもドラマは出来るってこと。こういう優しさの処理、今では出来まい。美人になって帰ってきたサブリナを弟は気づかないが、兄ハリソン・フォードはあっさり「やあサブリナ」と言うところで、兄弟のサブリナ観の違いをサラッと見せる手際。芝居の切符の手配を頼まれた秘書が「ミュージカルって、役者が不意に歌ったり踊ったりする芝居ですよ」と解説するところは笑った。恋をすると男も女も眼鏡をはずすのだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-09-24 12:02:27)
1756.  トキワ荘の青春
典型的な“貧しいけれど夢があった”式の話で、でも仲間うちのワキアイアイの描写がベタついていないのが感じいい。なれなれしくない。新漫画党結成のパーティシーンなんか、ちょっと距離をおいて話し合ってる雰囲気が好ましかった。実際のトキワ荘がそうだったのか、市川監督の理想なのか。みんな似た帽子かぶってんのね、と母親が言う。恋愛のない青春ものというのも珍しい。石森の姉へのほのかな感情はあるが。全体の骨格としては、マンガの時代の到来と、寺田ヒロオ式のマンガの凋落とが重ね合わされている。そこらへんの陰影がよく、細部に満ちている映画なので、何か芯が物足りないと不満を持ってはいけないのかも知れない。
[映画館(邦画)] 6点(2009-09-22 12:02:59)
1757.  マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶
あたりさわりのない賛辞の合い間に、いくつかの発言が耳に残った。『甘い生活』でフェリーニは、平均的な人間を探していて彼に行き当たったのだそうだ。そういう反スター的なスタートでフェリーニと組んで、なんと非凡な役柄を演じてきたことか。マストロヤンニは“途方に暮れる”演技で最も光ったと思うんだけど、「気弱さを魅力に変えた男」と誰かが言っていた。本当にそう思う。それまでスターってのは、自分を突出させる場面で魅力を出していたのを、彼は逆に引いた場面で見せた。ヴィスコンティの発言「怠けものとか不精とか言われるが、彼はそれで自分の繊細さを守っていたんだ」ってのも分かる気がする。あと電話魔だったそうで、撮影の間にすぐいなくなって電話を掛けていたって。ヴィスコンティは彼の唯一の欠点と言ったし、フェリーニはセットに公衆電話を置こうかと思った、と言う。アンゲロプロスのマストロヤンニ観を聞きたかったが、インタビューはなかった。舞台人としてのマストロヤンニを外国の我々は知らないわけで、さらにもっと多面的な魅力を見せていたのだろう。私の大好きな映画『最後の晩餐』の数カットとテーマの断片を、随分久しぶりに見て聞けたのが嬉しい。クラウディア・カルディナーレは知らないおばあさんになっていた。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-21 12:03:03)
1758.  カットスロート・アイランド
海賊映画というジャンルにそもそも懐かしさがあり、そういうナツメロ的に味わえば楽しく見られる。ロープがよく出てくる映画になるのだ。見せ場はちゃんと次々にあるんだけど、なんかキレがもひとつ感じられないのは、不必要なスローモーションがブレーキになってるんじゃないか。ペキンパーのスローモーションは「思わず息を詰めて」ってところで使われた。でもその後、アクションのごまかし、つまり本当のスピードで映したらゆっくりしてるのを隠すためにスローにしてる、って使い方になってきて、とくにこの作品でそれをしばしば感じた。馬車のシーンなどよくやってるんだが、ロングでスピード感が減じ、一番の見せどころの、下を馬車、上を駆け抜けるいうとこ、上のバタバタが若干多すぎて、きびきび感が失われていた。こういうリズムは本当に難しいものだなあと思う。島もあんまり生きなかったし、かといって船のアクションてのも新味を出しづらい。ジーナ・デイヴィスの色気のない明るさってのは貴重だった。
[映画館(字幕)] 6点(2009-09-20 12:07:24)(良:1票)
1759.  闇の子供たち 《ネタバレ》 
この設定なら、病児を抱えた日本の家族で一番ドラマが膨らんだだろう。身内が生死の問題を抱えているとき、街を行く他人たちが普段の暮らしをしていることを理不尽に思うものだ。その気持ちを増幅させ世界規模に拡大していけば、この家族の残酷は誰にでも無関係ではない。この家族の葛藤を軸にすれば、われわれの日常と世界の南北問題とが大きくつながる映画になったはずである。なのに映画はそのように徹底して社会と切り結ぶことを避け、取って付けたような銃撃戦のあと、取って付けたような推理ドラマ風の結末でお茶を濁してしまった。なんとももったいない。まあ彼に現在の日本の縮図を見ることが出来なくはなく、自分の暗い部分から目をそらして好奇心いっぱいで世界を見て回り、ちょっと突かれるとモロいという自画像にはなった(でも、外から見えるとこで首吊るか? 被害者の子どもの写真ならともかく、つかまった犯人らのを部屋に貼っとくか? 自分への戒めとして貼ってたってこと? 心理がサッパリつかめない)。ただ逃げ腰ながらも社会に向いた映画は今の日本では貴重で、それを人気俳優を揃えて完成させてくれたというところは有り難い。このままでは「社会派映画」というジャンルそのものが消え去ってしまうのではないかと思っていたもので。
[DVD(邦画)] 6点(2009-09-17 12:03:46)
1760.  女工哀歌(エレジー) 《ネタバレ》 
駅の場面なんか、日本の集団就職列車(「ああ上野駅」)を思い出させ、いま中国はあの昭和のころにあたるのか、と思っていると、さらに苛酷な徹夜続きの睡魔との戦いがあって、こうなると大正時代の「女工哀史」だなあ、となり、つまり急速に近代化が進むってことは、こう現代も昭和も大正も一緒くたにドッと来ちゃってるってことなんだなあ。たしかにひどい。劣悪。労働者の中国共産党が勝利した国で行なわれている搾取。この映画がその告発をしているのは確かだが、でもけっこう映画見終わった印象としては、彼女たちの明るさが残る。女子校の寮のような賑わい。寝る前のひととき、ダンスありファッションショーごっこあり。その対比が映画の面白さになっていて、彼女たちのしぶとさを応援したくなる(14歳の女の子が、これ以上給料遅配だとストすると主張するんだ)。だからこの邦題は鑑賞の方向を決めすぎてしまっていて良くない。もちろん問題なのは中国の企業だけではなく、さらにその周りで買いたたいている我々を含む国々があるわけで、異様に安すぎるセールス品を見たときは、彼女たちのことを思い出さなければならないだろう。主人公ジャスミンが出荷前のジーンズに買い手へのメッセージを忍び込ませようとしたときに思ったんだけど、あの冷凍ギョウザ事件って、劣悪な環境で働かされている工場の労働者が、さらに過激な方法で買い手に送ったメッセージだった、とも思えるんじゃないか。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-13 12:01:40)(良:1票)
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