161. 桜田門外ノ変
《ネタバレ》 時系列については最初どうなのかな?と思ったが、事件後の展開もそれなりに意味を持つわけであり、これはこれでよかったのかな?という気はした。江戸期の殺人物としては忠臣蔵に比べ殆ど作品化されてないという意味では貴重な作品。いろいろと勉強になった。 が、話も少々複雑なので多少の前提知識がないとよくわからないのかもしれない。そもそも幕末史に興味ない人は見ないのだろうけど。 事件後各藩が代替わりしてしまって非協力的になる展開には唸らされたが、時の運というか、水戸藩としてもそこまでのリスク管理は流石に出来なかったのだろうなと。 実行犯は殆ど死んでしまうのだが、テロリストであっても、政権が変われば汚名返上され、ヒーローになってしまうという事実がこの国にもあったという事を今更ながら知り少々驚いている。 <追記>7年ぶりに再見。その後色々と勉強して一連の流れについては把握しているので年表を辿るようなシーンの連続は少々退屈に感じた。個々の襲撃者のその後を丁寧に追った方が映画作品としてはドラマ性があってよかったのではないかと思う。原作未読なので、そこまで叙述されているのか不明だが、薩摩の有村兄弟なんかは司馬遼太郎の小説にもなってるし、脚本化の段階で取り込んでもよかったのではにのかと。ちなみに、愛人の拷問死は史実らしく、ちょっと可哀相だった。それにしても幕府や藩の捜査能力?は高いなあと。 [地上波(邦画)] 6点(2020-12-17 23:25:48) |
162. キラー・エリート(2011)
チームプレイでステイサムの存在感が薄くなっちゃった印象。アクションは凄かったけど。デニーロはそれなりに存在感はあったし、あまり評判がよくない?彼女の存在も嫌味はないので許容範囲かな。 [地上波(吹替)] 5点(2020-12-14 23:43:58) |
163. ラストベガス
60年間話が飛ぶのでその間に何があったのかがよくわからないのが難点ではあるが、どうやら皆恵まれた豊かな老後を過ごしているようである。それ自体がもう奇跡的で普通は人生の紆余曲折により行方不明の1人や2人ぐらいはいるだろう。で、ベガスでのドンチャン騒ぎはもはやファンタジー的で名優たちの慰労パーティーのようでもある。こういう老人モノはこれからの年のとり方を考えさせられるが、結局は「夫婦関係の良し悪しが人生の良し悪しを決める」というパターンが多いように思える。それが<映画業界>における真理という事なんだろうか。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-12-07 18:03:27) |
164. エリジウム
マット・デイモンって見た目もイマイチでスター性も感じないし、何で人気があるのか疑問に感じる役者の一人ではあるんだが、いつのまにかブルースウィルス的になっていたとは・・・。それはそれとして、作品内容に言及すると、もうちょと社会派に描けば面白そうなんだが、バトルアクション偏重になってしまったのが残念な印象。あとせっかくの「脳内データ」ネタなんだが、ケーブルで出し入れ可能なんじゃただのHDでしかないじゃん。人為的・機械的に出し入れできないのが「脳内データ(記憶)」の利点なのに・・・。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-12-06 21:12:20) |
165. こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
障害者が図々しくて我侭である(ように見える)のは関わりのある人なら常識だろう。基本的人権は万人に与えられている権利であるし、それを主張する事も当然である。ただし、その事と「自分の気持ちに正直に生きる(それを言動や態度で示す)」というのは別問題であり、それが生きることの難しさなのかもしれない。そもそも本当に「自分の気持ちに正直に生きる」事は可能なのか?(本当に主人公は自分の気持ちに正直に生きたのか?)という疑問や、果たしてそれは「善い事」なのか?という疑問や沸き起こるし、さらには「自分の気持ち」とは何なのか?(「自分の気持ち」を認識する事は可能なのか?)という疑問も生じる。という意味では意義深い作品ではあるが、作品全体としては平凡でありきたりで盛り上がりに欠ける。 [地上波(邦画)] 5点(2020-12-06 09:52:21) |
166. REDリターンズ
相変わらず中身はないが、アクション的には前作よりもスケールアップした印象。 [地上波(吹替)] 5点(2020-12-02 11:47:41) |
167. RED/レッド(2010)
役者は豪華だが、ストーリー・アクション共にイマイチで中途半端。老年なりの知恵の勝負があってもよかったのでは?カール・アーバンは中々よかった。重鎮が彼の引き立て役になってしまったような。 <追記>5年ぶりに再見。見たことも忘れていたが、あらためてみると息抜きに見るアクションコメディとしては悪くはないかな。 [地上波(吹替)] 5点(2020-12-02 10:31:41) |
168. そらのレストラン
モデルとなる団体があるようで、そんなにドラマチックにも脚色できないのか、盛り上がりのない平凡で普通の仲良しグループ物語。町おこしのPR映画程度にはなっているとは思うが。 [地上波(邦画)] 3点(2020-12-01 12:03:55) |
169. 127時間
コロナによるステイホームで引きこもり生活が続いて過去を思い出す人が増えているらしい。ステイホームで死ぬわけではないが、このままどうなってしまうんだろうという不安感が閉鎖空間では増幅され、これまでの人生を振り返るようになるのかもしれない。また、いずれは経験するであろう余命宣告後の病室での孤独な時間においては必ず過去を振り返り自分の人生についてアレコレ考えるに違いない。ましてや、食料もなく身動きも取れず、ただ数日後の死を待つだけの閉鎖空間での孤独な状況では幻覚等を見てしまうのも当然であろう。本作は確かに映像作品として幻覚等の描写には成功しているようにも思えるが、基本的に主人公というか物語的に進行や動きがなく「内省」が中心なので退屈に感じる人がいるのは理解できるし映像化には不向きな作品ではあるとは思う。また極限状況での「軽い感じ」にも違和感があり、総じて悲壮感が足りないようにも思えた。原作は未読だが、この手の物語は文字による音声なしの独白形式の方が「人生を見つめなおす」という意味で向いているように思える。 [地上波(吹替)] 5点(2020-11-30 22:45:07) |
170. 運び屋
《ネタバレ》 人種差別が甚だしい怖いもの知らずの退役軍人の頑固な暴走老人はある意味魅力的ではあるものの、やはり年齢的な危うさはあり見ていてハラハラするし、無限ループ的な超単純な展開も手伝って程よい緊張感が続く。他方、飲む打つ買うわけでもなくDVするわけでもなく単に仕事熱心だけであっただけで、ここまで家族から冷遇されなければならないのは日本人的感覚からは理解できない部分もある。人間が死ぬときに最も後悔するのは「家族と和解できなかった事」らしく、それを克服して一応のメデタシメデタシではあるのだが、ラストのマフィアや警察との攻防はあっさり終わってしまったので、もうヒトヒネリして盛り上げてもよかったような気もする。とはいえ、所詮は単なる運び屋でしかなく、大騒動するほどの重罪人でもないのだが、肝心のマフィア組織は一網打尽に出来たのかどうかよくわからないし、被告本人が「私は有罪だ」と主張したからといって「はいそうですか」と刑務所に入ってしまうのも(少なくとも、初犯で高齢なら刑務所行きは考えにくい)、日米の司法制度の違いがあるのかもしれないが罪刑法定主義の観点からは理解しがたくスッキリしない。このような少々不可解な結末に花作りで誤魔化すといった湿っぽいラストはキレイにまとめたつもりなのかもしれないが返ってマイナスでもあった。尚、ちょうど先日一審で無罪になったにも関わらず、控訴審で「私は有罪だ」と家族の意向?によって主張した群馬で交通死亡事故を起こした被告の老人が話題になっていた事がコメントに影響している事を記しておく。このような事実を耳にすると、本当は家族というものは山田洋次や是枝が描くように「厄介なもの」であるのが真実であるようにも思える。そういう意味では家族をテーマとした作品は邦画の方が上であるように思えるが、それは単に自分が日本人だからなのかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-27 12:35:20) |
171. 南瓜とマヨネーズ
《ネタバレ》 腐れ縁を断ち切るには、愛人やったり昔の恋人と浮気したりといった荒療治?が必要という事だろうか。とはいっても良くも悪くも話はありきたりで湿っぽくて邦画的。最近はあまり耳にする事がなくなった?「邦画はキライ」「邦画は見ない」系の人が敬遠するジャンルの作品ではあるが、これが邦画のよさであるとも言えなくもなく、個人的にはキライではない。 [地上波(邦画)] 6点(2020-11-27 01:49:44) |
172. 007/スカイフォール
アクション映画というより、峠を過ぎて下り坂に向かう高齢サラリーマンの悲哀映画になってしまったような。忠誠とか信頼とか上司に裏切られたとか、007でそんなチマチマした人間くさい話は勘弁してよって感じ。同境遇の人は自分を重ね合わせてそれなりに感ずる所はあるでしょうけど。冷戦終結というより国民国家そのものが消滅しつつある現代において、サイバー時代における国家公認のスパイアクションの限界というか、結局こういう人間物語にせざるを得ないというか、007は今後どこへ向かうのか?という迷いの表れとも思える。 <追記>5年ぶりに再見。MI6不要論という自虐ネタはシリーズ継続の危機感をストレートに表現しているとも言える。随所に懐古趣味共に「新旧交代」の描写もあり、シリーズ継続への模索も感じられる。同じ長期シリーズでも『男はつらいよ』とは違い、役者を交代させながら継続する事は可能であるとは言え、時代の変化にどう対応するのかという課題は今後も継続するのだろう。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-11-25 11:49:39)(良:2票) |
173. チャッピー
《ネタバレ》 人工知能成長モノはこれまでにもあったので目新しさはない。よって、本作のキモは後半にでてくる「意識の転送」にある。が、そもそも「意識とは何か?」という事が明確には解明されていないので、意識と記憶が混同されてしまって(実際に行われたのは意識ではなく記憶の転送に思えるが)、話がグチャグチャになってしまった。ちなみに、意識の転送が可能であったとしてもそれは自覚不可能というのが哲学的な常識である(詳しくは永井均の書籍を参照)。というか、てっきり巨大ロボットにチャッピーの意識が転送されて、「自分対自分」の対決というカオスが展開されるのかと思ったが、イガイと平凡でありきたりな展開で終わってしまった印象。とはいえ、チャッピーの存在は所謂「哲学的ゾンビ」的でもあり、「意識とは何か?」という哲学的な問いをあらためて考えさせられるという点で興味深い作品になっているとは思う。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-11-23 23:11:06) |
174. 図書館戦争 革命のつばさ
実写版を先に見ているせいか、テーマの重たさがアニメだと軽くなる印象。表現の自由をめぐる裁判はこれまでに何度も行われているが、自由がどこまで許されるのか?というのは中々難しい問題で一概に善悪で語れるものでもない。そもそも「表現」とは人を不快にさせたり、人を傷つけたり、社会を混乱させたりする可能性があるものである。それでも自由は守られるべきなのか?本シリーズは「正義」である図書館隊目線で描かれてはいるが、あえてメディア良化隊側から描いてみるバージョンがあっても面白いのではないのかと。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2020-11-23 08:26:54) |
175. 山猫は眠らない5 反逆の銃痕
女性スナイパーの登場という現代性はあるものの、基本的にはチーム行動なのでスナイパーモノというよりもは単なる特殊部隊モノになってしまっている。ベケットパパの復活はあるものの、舞台も転々とするし、やや散漫な印象。それでもついつい見てしまうこのシリーズ。どうやら2020年時点でシリーズ8まであるらしい。ここでは人気ないのか現時点では6~8の登録はないようだが・・・。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-11-19 19:13:05) |
176. 山猫は眠らない4 復活の銃弾
《ネタバレ》 アフリカ舞台で場所が限定されているし、話も単純で緊張感だけが継続するので、原点に返った印象。とは言っても、以前のようなシンプルに敵をやっつけるというよりは、味方による裏切り(見えない敵)への復讐というパターン。これも国際紛争の厄介さが原因なのだろうか。それにしても脚色とは言え、内戦による治安がここまでヒドイとなると、人権の観点からも国際的にもうちょっと介入してもよいのではないかと思うが、コンゴにも国家として自主独立の権利があるので、難しいところでもある。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-11-19 11:47:20) |
177. スターリンの葬送狂騒曲
実際にあった権力闘争をドタバタ劇風に描いた事を評価できない事もないが、なんだか中途半端。ガチでシリアスに作るか、『帰ってきたヒトラー』のようなもっとファンタジー的にコメディ化した方がよかった。そもそも他国のリアルなある種の負の歴史をこのようにブラックコメディ化する事に疑問がある。226事件が中国によってブラックコメディとして製作されたらと想像してみればいい。まあ、中国が自ら毛沢東のコメディを製作したらたいしたもんだが、自分が生きている間にそういう時代は来るんだろうか? [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-07 14:31:21) |
178. ブラック・シー
《ネタバレ》 てっきり金塊発掘冒険アクションかと思ったら全然違ってた。カネか命か。冷静に考えれば命に決まっているが、大金を目の前にして尚且つ閉鎖空間だとまともな思考能力が働かないのかもしれない。最初はカネを巡って殺し合いが始まるが、最終的には命を巡って殺し合いに。この手の因果応報系の似たような話はこれまでにもあったが、潜水艦という限定された空間というのが特徴的。ラストは綺麗にまとまってしまったようにも思うが、緊張感のある展開が継続する見応えのある作品だった。 [地上波(字幕)] 7点(2020-11-06 12:03:02) |
179. 365日のシンプルライフ
中々興味深い実験的生活ではあると思うが、たいした盛り上がりもなく予定調和で終わってしまった。ケータイやめたら友人が減るみたいなシーンがあったが、実はモノ(物)よりも人間関係(者)を断捨離する方がラクだったり自由になれたりする。そういう所にもっと踏み込んでいけば映画として面白い作品になったと思う。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-02 02:42:04) |
180. ザ・サークル
「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」と言ったのはチャーチルだが、大衆社会で危惧された状況から、IT社会の到来によってこの「最悪」がどう転ぶかが試される状況となっている。基本的には「自由」の国アメリカにおいては中国のような監視・管理社会になる事は考えにくいが、監視・管理社会の方が昨今のコロナ禍においては好結果をもたらすという皮肉な状況もあり、IT社会における民主主義のオープン性やアカウンタビリティーのあり方が問い直されている。作品のテイストとしては監視・管理よりも自由というアメリカらしい感じにはなっているが、「安全」や「秩序」においては監視・管理社会に優位性があがる事を提示しているし、情報(知識)共有を基本的人権としている点等は中々斬新でもある。全体的には政治色が強く娯楽系のサスペンスではないし、明確な善悪の価値観提示もなく、物足りなさやモヤモヤ感が残る部分があるのかもしれないが、IT社会のあるべき姿や最適解(自由と管理のバランス)を決めていくのも民主主義である。その問いかけを行い、視聴者に考えさせる価値ある作品である。 [地上波(字幕)] 7点(2020-10-28 17:22:40) |