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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
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自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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161.  X-メン 《ネタバレ》 
なかなか面白かった。  そういえばCGの水準がグッとあがってアメコミ映画化の波が来た。この映画はその先陣だったように記憶している。10年前の映画だが、今観てもそれほど大きくおかしな特殊効果は無かったように感じた。  90年代、CGといえばモーフィングであり、人形を絵のモデルに置き換えたものであり、書き割りの代替であったと思う。2000年代に入ると、形状の変化は物理演算の上現象をなぞるようになり、人間のモーションを絵に置き換え、環境を丸ごと構築したセットを代替し舞台装置的な大道具や、本来の機能や質感を持たない小道具よりも明らかにリアルになってしまった。  これはリアルさの逆転現象を起こした。映画らしい張りぼて感や良くできたスタントが脳内補正でリアルに見えたのが、映像がホントにリアルになり始めたときこれまでスクリーン上に写っていた見かけ上のリアルさとあまりに違っていたため、受け入れられなかった多くの映画好きが戸惑った。結果、「CGだからダメ」とスクリーンの中に出てきた新しい特殊効果を切り捨てた。  この映画はそういう時期の先鋒だった。今観ると当時感じていた違和感というのはむしろ少なく、特殊効果以外を楽しめた。シリアスさや緻密さは今の水準からすると甘々だが、90年代には制作に入っていただろうことを考えるとものすごいことだ。  この後、幅広い年齢層に向けてアメコミの優れた映画化作品が次々と現れるが、リメイクブームやネタ切れと揶揄する人が多いことには疑問を感じる。ブームやネタ切れでは無く、映像の技術革新が連鎖的に脚本やストーリーの革新を呼んで表現が出来るようになった新しいジャンルと言えないだろうか。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2010-08-01 05:12:29)(良:2票)
162.  リアル鬼ごっこ(2008) 《ネタバレ》 
かなり面白くなかった。  パラレルワールド、と言う言葉を簡単に使ってしまうことにびっくりしたが、それ以上にせっかく説明不足でも良い感じなのに変に説明してしまうあたりがさらに嘘みたいだった。なんなんだこれは。  なんだろう。予算を使い切らないといけない系の大人の事情でもあったんだろうか。なんで続編が作れるのか不思議でならない。 
[映画館(邦画)] 3点(2010-07-30 01:29:50)
163.  機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛 《ネタバレ》 
かなり面白くない。  人型兵器が宇宙で戦う。この必然性を考えつかなかったのは演出の緻密さでいくらでも何とかなると思う。現実の戦闘機でも、最新型のドッグファイトを欧米の最高練度のパイロットがやっている動画なんて、映画には期待できない。だったらリアルに感じられて迫力があれば良い。  それだけなのだが。この映画にはそれがあんまりない。ロボットアニメの悪いところが目立つ。決めポーズはいらない、そういうところが観たかった。シャアが弱いのは分かったけど、作られた弱さがスゴく不自然だった。もっと迫力のある弱さというのは作れなかったものだろうか。  ともあれ全然面白くなかった。話自体ももっと何とかならなかったのだろうか。興亡モノではないし、架空戦記物としてはイマイチ作られていないし、ロボットモノとしてはあまりに迫力がない。もうわざわざガンダムを観てみようとは思わないかもしれない。
[DVD(邦画)] 3点(2010-07-29 00:33:47)
164.  マラドーナ
クストリッツァがマラドーナのファンであると言うことは分かった。
[DVD(字幕)] 6点(2010-07-29 00:07:32)
165.  ザ・スナイパー(2006) 《ネタバレ》 
そこそこ面白かった。損はないかもね。実にそれくらいがビシッとくる。  暗殺一味、家族愛、恋人同士、依頼主らしき政府高官、富豪一家殺害計画。これらを90分に詰め込むあたりにおののくが、メチャクチャになっちゃった雰囲気が生まれないあたりはスゴいんじゃないだろうか。  暗殺一味のボスが事故に巻き込まれ逮捕される。これにより依頼主らしき政府高官の女とのバトルになるが、これが最後まで明かされないあたりはキチッと面白い要素を入れてある。途中、死ぬためだけに出てくる恋人同士は、緊張度の操作感はややヌルいとはいえこれも手堅い。メインストリームになる親子の絆だが、これも説明不足感はなくおかしなことも主張していないため押さえどころが完璧だ。  が、追跡にリアリティがない。演出が古いからか、これが80年代に作られていれば結構スゴい作品にみえたんだろうけど、2006年である。下手すると四半世紀賞味期限が切れている。昔どこかで観たような穴のない手法で作られている本作は、やはりそこそこなのである。
[DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2010-07-28 23:33:38)
166.  REC:レック/ザ・クアランティン 《ネタバレ》 
ヤッベ、そこそこ面白かった。  狂犬病的な何か病原菌的なものが仕掛けになっているけど、それより密室だから良かった。これ、病原菌がもっと弱いもので何が原因で出られないのかよくわからないと思っていた序盤が非常に良かった。中盤いきなり暴威をほしいままにしちゃったりするのが魅力をそいじゃったりしている。もったいない。大人の事情か。  しかし、結構みれる。リメイクだと思わなかった。というか、リメイクされてるもんだと知らなかった。オリジナルはもっと面白いんだろうけど荒削りなんだろうなきっと。2とか作られちゃってるみたいだけど、天井裏の子供とかいきなりオカルト研究所みたいなのとか、落とし方がやっちゃいけない感じだからきっとそこからふくらませたらこけるだろう。思わせぶりにして余韻を楽しむくらいの落ちだろうし。そういうところもちょっともったいなかった。終盤のプロットが至って映像作品的で残念。  とはいえ面白かった。普段怖いヤツはほとんど観ないから印象良かった。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 6点(2010-07-18 01:15:40)
167.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
よもやこれほどの物が、これほどの質量で、これほどの記憶を残すとは。ビックリした。それ以外の言葉が思いつかない。  最初に言ってしまうと、昔の宮崎映画にインスパイアされてねえか?っていうシナリオには若干戸惑ったが、それは問題ないだろう。メタノールを金鉱だと思っているヨーロッパ人をターゲットにしてるんだろう、きっと。彼らにサトウキビ畑をどこに作るつもりなんだい、と説いているんだろう、きっと。そういうことにしてスルーしておく。だから日本人がいくらどこかで聞いたような話に感じても当人はそれほど気にならないんだろう、きっと。  といっても、もののけ以前のジブリのクラシック作品で自然保護を叫ぶ映画は、なんか思想的勘違いが入ってるし、そこを上手く練り直してくれてる。正直ありがたい。お話は似ていたらできが良い方が強い、発案者には価値がつく。それで良い。  特殊効果の表現だが、ちょっと待て。凄い。今まで、アクション映画はCGがリアルになってもT2初見の興奮を消し去ることはできないだろうと思っていた、が、今後はアバター初見の興奮を消し去ることはできないだろうという基準に変わった。  今まで観たCGIで、一番、圧倒的に、あり得ないほどリアル。広告やトレイラーを観たときは、生き物の(CG用語ではない)テクスチャが10年前に退化したな、タイタニックで時間止まってやがんな。位に思っていたが、それは一瞬で間違いだと分かった。そういう問題がどうでも良くなった。  モーションが今までのCGにはできなかったレベルで、物理法則が人間の頭では現実に見えるくらいのリアルさで迫ってくる。粒度や質量が、遠影が、実写じゃない人が、すべてが同じ密度に感じられてどこも浮いてない。背景がどう見ても実在し、オブジェクトが不気味なほどのリアルさで動いているということは、後にテクスチャを張り替えるだけで恐ろしいほどリアルな別バージョンを出すことができると言うことを意味する。明らかに意図的に嘘くさい生き物の質感には、そういう後出しじゃんけん商法を感じる。  実は楽しみだ。
[映画館(字幕)] 9点(2010-06-20 03:33:46)
168.  ロスト・イン・トランスレーション 《ネタバレ》 
昔、ひょんなことからとある地方で東南アジアの外国人ばかりが住むコミュニティの中に1週間ほどおじゃましたことがある。 そこでは英語がコミュニケーションの最後の砦で、日本語がまず通じない。かといって彼らの中に英語で意思疎通が出来る人が多いわけではなく、母国語しか使わない方と取り残されると非常に心細かったのを思い出す。  とても日本人には関わりのないような現地まんまのレストランで、とても都内の他国籍料理店では出てこないような料理を食べ、日本人が行かないような飲み屋で歓迎を受けた。 ただでさえ遠い地方都市に来ていて、日本とは思えないような風景の中にいると、とにかくこのままで良いのかということや、疎外感のようなものが溢れてくる。こういうことは環境に誘導されたまやかしの感情であると言うことははじめから分かっていてさえ襲いかかってくる。  そういう所をうまあく練り上げていて、引き込まれてしまった。 何の解決にもならないけど、真剣にふざけてないと潰れてしまいかねないカラオケに逃げるシーンなど、妙な生々しさがたまらない。 礼儀の違いや、慣習の違いが異国情緒を引き出すためにデフォルメされすぎていないぎりぎりの所を上手に作ってるのも秀逸だった。これ以上リアルにしても金が掛かるだけでおそらく外国人には区別がつかない。  台詞も簡潔で、どこの国の人が見てもテーマが分かるようになっていることや、アメリカ映画が得意とする「余韻や切なさ」と言う部分がラストシーンで上手く働いていてこの情緒は日本製には作り出せない雰囲気だな。と、脱帽。 とにかくこの映画のよその国のレビューを見ると思い知らされるのは、わびさびや情緒というものがアメリカ人に遙かに理解されていると言うこと。大昔のこの国にはそういうアンテナはあったのかも知れないけど、はっきりと感受性に差がついているようにさえ読める。  逆に我々普通の日本人が持つ、アメリカに対する想像のズレはこの映画の日本描写とは比べられないほど大きいと思う。もし一人で仕事や趣味などというバックグラウンドもなくポンと他国に行ったら、この映画以上に「いろいろな違い」にうろたえる人は多いと思う。私もそういう一人だ。  それから、何の根拠もなくアメリカ人を見下しているひと、なんだろかと思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2010-06-20 03:07:50)
169.  ロード・オブ・ザ・リング 《ネタバレ》 
神話の時代が終わる最後の時代が完璧に描かれていました。 本当にこれが実現するとは思っていませんでした。最初は本屋でたまたま見かけた映画化決定の文字ですが、まさかこれほどの完成度で映画化されるとは思いませんでしたね、ホントにビックリしたものです。  ドワーフ、エルフ、ホビット、怪物達、そして人間。いろいろな種族が滅亡までの時間をそれぞれに過ごすそのもの悲しさ。他の種族は去りまたは神に見捨てられ、滅ぼされてさえいる。 神にも邪神にも見落とされたホビットのみが自分たちの世界のために指輪を捨てに行く。それに賛同したのは本当にわずかな仲間とそれを支える者達だけだった。  と、バックグラウンド的な、末世感と絶望しかない世界を劇中よく理解してみないとやはりどうしてホビットが主人公なのか、感情移入できるのかがよく分からないと思います。  この物語の中では人間は現代的な精神性を持った人間ではなく、邪神の力をもって欲をかなえようとする弱い存在でしか無い、ホビットを通して進化をする脇役です。エルフは簡単にこの地を捨てて旅立ちますし、中つ国に残された者にとっては、死しか残されていなかったわけですが、ホビットが触媒になり他の種族が種族としての完成度を高めていくきっかけになる、という物語を忠実にあの時間内に実現している凄さ。歴史的作品ですね。  また全く未来に光が見えない状況で、心が折れてさえ前に進むホビットに、現実世界にさえいない強い人間像を見ることが出来ます。即物的な退治劇との厳然たる一線をホビット達が引いているわけです。ホビット達の姿から多くの教訓を受け取ることが出来ます。  国産RPG的な特異な解釈のファンタジーが頭にあるとどうしても勇者さまご一行という見方をしてしまうかも知れませんが、本物の物語は全く違ったものです。その世界や、日本人にはまだ理解しがたい難解なワビサビを存分に堪能できます。  トムボンバティルのくだりは私も大好きで、原典でもスパイスのような役割だったと思いますから、シリアスで陰鬱な雰囲気の完全映像化という視点からはスキップしたのは正解だったのではないでしょうか。
[映画館(字幕)] 9点(2010-06-20 03:01:52)(良:2票)
170.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 
この作品が一貫して主張する、職業や労働というものへの真摯さと、リタイアした者へのいたわりに心が安らぐものがあります。社会での役割を持つという行為が登場人物たちに与えられる本作では、仕事熱心な様々なキャラクターや老後を静かに暮らす者、社会には溶け込むことができない異質が本質となっている者など、受け手が誰に感情移入するかが大変練られていて楽しい。この話の原案と言える童話作品よりずっと高度にブラッシュアップされています。  その小さな社会の中で10歳の子供のへまに、冷笑したり意地悪をしたりするいやな大人もいますが、誰も叱ったり傷つけたりはしないという雰囲気が良いではないですか。明らかに場違いなところに10歳の女の子が来てしまって、当惑する油屋自体も大人になるという二重構造も良い。  江戸期の銭湯や温泉宿にまつわる様々なサービスが渾然一体になってモチーフとされています。宮崎駿監督は大昔からインタビュアーの思惑にわざわざ乗っかって、制作後に思いついた事でファンのリアクションを楽しむようなところがある。銭湯や温泉に関する膨大な取材をして居るであろう事が見えるにもかかわらず、必ずしも性風俗や援助交際をテーマにして居ないと思われる本作に、そういう意味深なところを議論させようとして居るのも面白い。  あの娼館から出られなくなってしまったら湯女にされてしまう、では懸命に何をするべきなのか。というところの方が先に受け止める教訓ではないかと思いますが、監督の思惑に乗っかって現代性風俗産業の実体を表現したかのように別の物語として再構築している所々の解説もまた面白い。解釈を身近なところで止めたくないという監督と受け手の思いがこういった広がりを生んでいるのではないでしょうか。  が、この映画の赤いのが許せない。米版のほんのり赤が正しいんじゃないのか。アカデミー賞を獲った色がまさかあんな色じゃあるまい。ものを作るって言う職業の根本で何かが間違っている人たちが上映後の本編をもてあそんでいるとしか思えない。色温度のパラメーターを偉い人が間違えているのを、怖くて誰一人指摘できませんでしたと正直に言え。10年も開き直りっぱなしのジブリって言う会社を信用して良いのかそうでないのか。ブルーレイで分かるのだろうか。
[映画館(邦画)] 10点(2010-06-13 01:17:49)
171.  イントゥ・ザ・サン
公開当時、セガール様がテレビに結構出ていたきがする。で、この映画が凄いんですよってなことを盛んに宣伝していた。CDまで出してたような気が。で、曰く「セガールが日本で暴れまくる」ってなもんだったと記憶しているが、ここまでアピールしておきながらあんまり暴れない。無念。  セガール様は暴れてなんぼでしょう。合気道でバキバキ暴れてなんぼです。剣道の達人なのもわかりますが、セガール拳が見たかったのに、あんまり見れない。あーあ。  オッチョコチョイな完成度は意外と好きだったりする。
[DVD(吹替)] 5点(2010-05-23 17:00:20)
172.  2012(2009) 《ネタバレ》 
面白い。すんごいCGにご満悦。ここまでくるともう笑っちゃう。確かに「100回死んどるわ」「なんで当んないんだよゲラゲラ」「主役からはぐれるな!死ぬぞ!」とかムッチャクチャなんだけど面白いなこれ。  30分もたたないうちに破滅が始まって、いったいどうやってあと2時間驚き続けるんだオレは?って思ったら意外とあっさり2時間驚いていた。いや、凄いです。  次回作でこれを超えなくちゃならんエメリッヒ監督はエラいもんを作ったなと。敬礼であります。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-05-17 01:30:46)
173.  ミュンヘン
映像の綺麗さと、物語の醜さのコントラストが秀逸でした。今世紀になってからは、メリハリの有りすぎる主張や展開はアメコミのリメイクに一手に任されている感じがします。その分こういった映画は、まじめさとエンターテイメントのすれすれの所を真剣に狙って作られているのではないかと。  また結論を受け手に全部丸投げにしないというのも好印象です。映画を観ているだけでプロの脚本家が大金を掛けた映画の結論以上のモノを想像できるかというと多くの場合そうではないですから。ただ、ドキュメンタリー的な映画だと思って見始めると拍子抜けします。   政治的な要求を、政治家になるなり要職に就くなり、アメリカで文化的な活動をするなりきちんと手段が存在するにもかかわらず、殺人で手軽にすまそうとするテロリストは完全な悪であり一分の理も義も酌量も感じません。政治的な要求に対する一切のコストを払わず、情を挟めば殺して良いなどと言う論理が存在するのはテロリストのコミュニティの中だけです。  ですが、そんな完全悪とはいえ相手は人間。じゃぁ罰する手段は死でもって、となりますが、誰がどういう理由とモチベーションで立ち向かえばいいわけ?という矛盾を突く主題が ぴりりと小気味良い。
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-17 00:41:43)(良:1票)
174.  落下の王国 《ネタバレ》 
面白かった。物語を物語の中の人物に語らせるのはかなりの力量が必要だと思うが、軽やかにやってみせるあたりにそれを感じる。  悪意を原動力に作られた心地よいロイのお話に、少女だけでなく不覚にも観ている私まで思わずワクワクしてしまう。その心地よい都合の良さともったいぶらされ感に確かに続きが観たくなる。その計算された陳腐さは妙に後を引く。  ところが中盤以降、ロイの心が病むことでその心地よさは徐々になくなり融通の効かなさを感じさせる。とうとうロイが現実に対して折れてしまうと、すべてが破綻する。それは、そこにあるロイの願望がロイ自身の、心からの望みであることに気がついてしまうと言うことだった。  しかし、生きようというかすかな思いが彼とその物語の結末を文字通りの終わりから、少しだけ押しとどめた。その後、不可避な現実にどのように折り合いを付けていったのはは分からないが、本人も知らずのうちに寓意を込めたその物語はときには幼稚に、ときには陳腐に、ときには他愛のない空想にも映ることだろう。しかしそれは美しい映像をまとった紛れもない冒険であり心躍る物語だ。ちょっぴり厳しいエールがのっかった物語は彼の心をギリギリ踏みとどまらせた。  映画の中のキャラクタが映画の中で物語の中のキャラクタを演じ、見ている私はその映画の中に入りこんでその話をせがんだ一人になったように感じることが出来た。見終わって、アレキサンドリアと一緒にさんざん励ました自分の背筋がちょっとだけ伸びたような気がした。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-13 23:35:09)
175.  真夜中の弥次さん喜多さん
商品として成立してないような。映画を作るフォーマット、機材、人材は一応そろえたけどそこにいる全員が期日までに何をしたらいいのかよく分からないまま仕事が始まってしまった。そんな感じでは。  原作のチョイスも奇をてらってうまくいかなかったという感じだし、どうもファン心理を利用してやろう的な商売根性がイカン。宮藤官九郎のドラマは大好きでボックス買いとかしてしまうんですが、これはイカン。  宮藤官九郎だから面白いはず、笑いどころみたいだから笑わなきゃと、自分をごまかすのにすぐ疲れてしまいました。相当外してます。ゴリッと滑ってます。有るかどうか分かりませんが監督次回作がこんなだとかなりがっかりなので、正直に面白いとかそう言うレベル以前の仕上がりだったと言いたい感じです。
[DVD(邦画)] 3点(2010-05-11 00:09:16)
176.  イノセンス
見事な本歌取りだろう。これは過去の優れた要素を積み上げて洗練させて行く技法では押井守以上に優れた監督はいないのではないかと感じさせる。また、攻殻機動隊の一キャラから全編に独自の雰囲気を作り出しているところにも良さがある。  本作の哲学的な台詞や、疑似科学技術などは現実世界では意味を持たず、鑑賞中はその世界にどっぷりと浸かり込むための良いアクセントとして使われている。ここに過剰な意味を読み解こうとするとついて行くのが困難になると思われる。本編の内容にリンクはする範囲でそういった文章的ギミックは機能するが、本当に哲学的な部分で哲学的かというと必ずしもそうではないととらえることも可能。  実はテーマも結末も消化していないが、謎要素をちりばめることで「製品としての完成」に成功している作品もある。本作の場合はそういった雰囲気の醸成にあるんだか無いんだかわからない哲学的な意味をそのように使っている。そこにもちょっとした技巧を感じる。  ストーリーは前作よりも筋があるため非常に観やすくなっているのも特徴。終盤のループは面白いと感じるかくどいと感じるか、あるいは作為を感じてしまうか。多様にとられるであろうことが容易に想像されるが全体としては非常に良く出来ている。  映像技術の高さもただごとではなく、素直に楽しめる作品。哲学的な部分や疑似科学が鼻につく人もいるかと思うが、この部分に意味はないし子供だましのたぐいか。それも鑑賞中は作中の人物になったつもりでそれらもひっくるめて受け入れてしまえれば凄い映画ではないかと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-05-09 13:37:07)
177.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 
大変面白かった。  視覚効果の出来はさすがに09年の映画と言うべきか。目で感じる緊迫感を非常に巧く表現している。ちょっと10年前くらいだと各映画会社が渾身で放つ超大作がこういうリアルさだったと思うが、21世紀の映画は凄い。21世紀という言葉がしっくりくる。(パラマウントだが)  旧シリーズはいくつか見ているが、実はスタートレックはあまり好みではなかった。潜水艦や軍艦の中央司令室的な設定は非常に好きだが、メカのデザインがどうにも好きになれず何となくのめり込めないで居た。もちろんスポックの耳にも違和感を禁じ得なかった。  しかし、子供の頃にみたスタートレックと本作。ぱっと見メカの基本的なフォルムはあまり変わらないし、スポックに至ってはよりいっそうバルカン人らしさが際立つメイクである。にもかかわらず魅力的に映った。どうやら好みがここ十年くらいで変わっているらしいことに気づいた。子供の頃大好きだった米陸軍的なスクウェアな兵器デザインよりも、そこに非現実的なオーガニックなイメージを含んだ架空兵器の方に嗜好が移っている。エンタープライズ号はど真ん中だ。微妙に人間ぽくないバルカン人も全然オーケー。  この映画で一番のハードルであった、メカニック的に取っつきにくい部分が全く解消されたため勇んで観てみると、面白い。スタートレック的な指揮や危機管理の妙といった部分はやや控えめだが、それが逆にわかりやすいスピード感を生んでいる。スタートレック初心者には心地よい味だった。  主要人物は初期シリーズと同一だが、その初期シリーズを覚えていないため全く印象を持たない状態で観ることになる。しかしそういった層をメインターゲットにしているらしくあまりスタートレック然としない、キャラ立ちしすぎない造形でまとめられ各キャラの意志の強さをメインに表現されている点が実に巧かった。旧来のファンにはもしかしたら異様に映るのかもしれないが、良くできた話だったと思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-09 01:31:11)
178.  ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer 《ネタバレ》 
世紀末に不条理な物を一つ撮っておきたかった的な、至極個人的な野望が集まった的な。ケイゾク作った人たちの記念撮影に近い的な。  そう、当時金払って見に行きそうだった。危ねぇ。
[ビデオ(邦画)] 2点(2010-05-09 01:26:23)
179.  オールド・ルーキー 《ネタバレ》 
良い。アメリカの野球映画はタマラン。ホントに球速そうだし。  もしかしたらまだまだやれるんじゃないか。もうやれないと思う、がやらないとそれを確かめることが出来ない。やりたいんだからしょうがない。これ以上引き延ばすのは自分の過去と未来に申し訳が立たない。  そんな強い意志が実在感を持って迫ってくる。実際の周りの反応はもっと冷たいものであったと思うが、こうやって物語になってみるとものすごく良いではないか。決して一番になったとか、最大の成功を手にしたとかそういう人生ではないが、その場所とのつながりを捨てず、その場所に行き、その場所で生きた。  大人のディズニー映画という暖かい雰囲気が、良い余韻を感じさせる。私はインターネットで彼のその後を上手に見つけることはできなかったが、講演者として活躍しているのは本当らしい。詳しいことは知らない。しかし、彼の発する言葉は必ず聞く人を鼓舞することだろう。
[DVD(吹替)] 7点(2010-05-05 18:29:30)
180.  アメリ
変人過ぎてついて行かれませんでした。  映像は綺麗だし、雰囲気をかわいらしく感じたのも事実なんですが、どうしてもビデオクリップ以上映画未満に感じました。
[DVD(邦画)] 4点(2010-05-05 03:46:42)
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