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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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161.  女の防波堤 《ネタバレ》 
新東宝の映画の中では、『九十九本目の生娘』ほどではないけどかなりカルト的な存在なんだそうです、この映画。 太平洋戦争終戦直後、空襲で家族を失い焼け出された小畑絹子と親友の荒川さつきは、進駐軍相手の慰安所である特殊慰安施設協会(RAA)に採用されて慰安婦になります。同僚には戦争未亡人もいましたがほとんどはもともとその道のプロの女ばかりで、米兵相手に慰安所は大賑わいです。小畑絹子はNO.1の売れっ子になりますが上司の課長の愛人になったおかげで福生の進駐軍クラブの歌手になり、これはちょっと楽な仕事でした。ここで空軍将校と知り合いめでたく結婚、ところがここから波乱万丈の転落人生に拍車がかかってゆくのです。 お約束通り夫は生後間もない娘を残して戦死、次はギャングの情婦になってヤク中になり、中毒を治療するために入院したら主治医に惚れられて結婚、慰安婦の過去がばれて離婚され自棄になって有楽町のガード下にたむろする街娼にまで落ちぶれる、映画の後半40分はもうジェット・コースター状態です。 小畑絹子は新東宝にはもったいないほどの美人なんですが、裏社会でぐれているときの演技と時折おとずれる平穏な生活の時の淑女ぶりとの落差があまりに大きくて、笑ってしまいました。この映画の呼び物は三原葉子がリンチされる『肉体の門』に出てくるようなシーンだと思いますが、別にヌードを見せるわけじゃないけどなかなか迫力がある肢体です。もっとびっくりしたのは荒川さつきが脳梅毒で文字通り狂死するシーンで、あのリアルな死にざまは子供が観たらトラウマになること間違いなしです。あと特筆すべきはあの古賀政男が音楽を担当していることで、劇中流れるギターのメロディーも古賀政男がつま弾いています。 製作年代はちょうど売春防止法が施行された頃で、こういったことは大きな社会問題だった時代だったことを考えると、新東宝らしい題材であることは確かです。正統派の監督が取り組めばとてつもなく重くなりそうなテーマなのに、新東宝らしくエロを強調したおかげで単なるジェット・コースター・メロドラマに仕上がったという感じでしょうか。 ラストで「もう二度と戦争をしてはいけない」という小畑絹子のセリフがあるんですが、とってつけた様な白々しさが漂い偽善の極みでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-11-11 21:30:03)
162.  ならず者部隊 《ネタバレ》 
50年代はハリウッド製戦争映画の不作の年代で、本作もその中の一本。南部の大農園主であるR・ワグナーが徴兵されて(たぶん)フィリピン戦線に派兵され、農園の小作人たちと同じ部隊で苦労しながら人間性に目覚めてゆく、というのが大まかなストーリーです。アメリカは州兵単位で師団を編成するので、同郷の地主と小作人が同じ部隊で肩を並べて戦うというのはまああり得る話でしょう。軍隊はどこの国でも階級が同じならみな平等というのは大原則ですが、アメリカ南部のように貴族的な風習が残っているとちょっと面白いことになる場合もあるわけです。映画としては良くあるパターンなんですけど、それを戦争映画にしたところがユニークと言えなくもない。 この映画の唯一の見どころは、実はワグナーの上官であるB・クロフォードのキャラ設定なんです。異常に臆病で自分に対して敬礼をさせない(自分が指揮官であることがばれると狙われるから)。常に二人の美青年兵士に警護させていて、彼らとホモセクシュアル関係にあることが暗示されている。この二人だけは上半身裸で、実に変な雰囲気なんです。そんなクロフォードも解任されてしまいますが、そのとたんにきちんと階級章をつけた軍服とヘルメットを着用してジープに乗りこみ、あっという間に狙撃兵に撃たれて死んでしまいます。まるで覚悟の自殺みたいな最期で、名優らしい存在感がありました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-09-29 23:32:16)
163.  潜水艦ろ号 未だ浮上せず 《ネタバレ》 
あの大蔵貢が社長になる前は、『戦艦大和』を観れば判るように、新東宝の戦争映画には独特の暗さと厭世感に満ちていました。潜水艦の戦いを描いたこの映画も、ヒーローとして活躍するような登場人物は一人もおらず、艦長以下乗組員はみな家庭や恋人に後ろ髪をひかれる様な思いを残して出撃して、淡々と散ってゆくのです。 随所に潜水艦内の実写映像を使用しているのがモノクロ本編に良くマッチしています。ただ艦内のセットは低予算の悲しさであまりに大雑把過ぎて実感を損ねています。旧海軍の潜水艦はUボートに比べて大型だったにしても、潜水艦内の閉塞感がまるで表現されてないのは残念なところです。もっと致命的なのは戦闘シーンにおけるミニチュア・ワークにまるでスケール感がないところで、安物の潜水艦プラモデルをマブチ水中モーターで走らせている様な映像は、もう自主映画レベルです。同じ年に東宝では『ゴジラ』が製作されていることを考えると、もうちょっと何とかならなかったんでしょうか。
[DVD(邦画)] 4点(2012-09-22 22:29:40)
164.  裁きは終りぬ 《ネタバレ》 
『12人の怒れる男』とどうしても比較したくなるところで、アメリカとフランスの陪審制度の違いが判って面白いところです。陪審員の人数は7人と『12人』より少ないのですが、その分7人の家庭事情を描いているところが大きな違いです。各人の問題を抱えた私生活を通して「このように弱い人間たちに裁きを委ねることが果たして正しいことなのか?」という問題提起は鋭いのですが、映画としては却って陪審員たちに力点が置かれ過ぎてしまって焦点がぼけてしまったんじゃないかな。また直接のセリフはないのですが、安楽死させた女医がユダヤ人であることが色眼鏡で観られることの方が重い問題だと感じました。ただ変だなと感じたのは、裁判が数日にわたるのに陪審員たちが裁判所の外で外部の人たちと自由に裁判のことを話していることで、日本の裁判員制度とはえらい違いだなとびっくりしました。
[DVD(字幕)] 4点(2011-04-25 01:29:16)
165.  朝やけ雲 《ネタバレ》 
イギリスにもあったんですね、軍部全面協力・御用達映画が。 50年代の空軍士官学校入学した士官候補生と大戦中に候補生の父の部下だった教官との確執がストーリーの中心ですが、しょせん英国空軍(RAF)版『トップガン』ですからそんなものどうでも良いのです。 見どころは50年代のレトロなジェット戦闘機の飛行シーンで、後半では「世界一美しいジェット戦闘機」と称賛されたホーカー・ハンター戦闘機の貴重な飛行シーンがたっぷり拝めます。 しかし、『朝やけ雲』という邦題はどっから思いついたのでしょうかね、これほど内容とかけ離れた邦題はちょっと珍しいです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2010-07-24 20:29:29)
166.  撃滅戦車隊3,000粁 《ネタバレ》 
007初期作品を撮ったテレンス・ヤングが監督した戦争映画です。時代は第二次世界大戦で、英国陸軍に入隊し戦車部隊に配属された英国人と米国人のふたりの友情と死がテーマとなっています。1950年製作の映画ですが、この映画には軍隊批判といった視点がなく、まるで戦時中に作られた戦意高揚映画の様な錯覚するほどです。本編がモノクロのうえ記録映像が多用されているのも一因でしょう。前半は訓練シーンが多いのですが、これはなかなか良く撮れています。戦車隊なのにひたすら三週間も行進の練習をさせられるのがおかしいです。見どころは実物のM4シャーマン戦車が走り回るところがふんだんに観られることで、考証も行き届いています。そして1シーンですがドイツのタイガー戦車の実物が登場するのもファンにはうれしいところです。米国人は第二次世界大戦で英国人とともに血を流した、ということがこの作品のテーマなのですが、米国人である主人公のひとりがどうして英国陸軍に入隊できるのかが不思議なところです。
[DVD(字幕)] 4点(2009-09-02 22:45:04)
167.  殴り込み戦闘機隊 《ネタバレ》 
両足義足のハンディキャップをものともせず、第二次世界大戦での英空軍エースパイロットになったダグラス・バーダーの伝記映画です。第二次世界大戦のエースパイロット(撃墜王)の伝記・自伝で映画化されたのは他に「撃墜王アフリカの星(ハンス・ヨアヒム・マルセイユ、独)」「大空のサムライ(坂井三郎・日)」があります。三人の中ではダグラス・バーダーが最も出世していますが、その分エピソードとしては地味で、映画でも戦前に墜落した彼が、苦労して義足で空軍に復帰して再び戦闘機乗りになるまでのストーリーに重点が置かれています。上映時間の半分強がこのエピソードなので、戦争映画というよりも難病もの映画という雰囲気でした。戦時中のエピソードも時代考証が甘く、これといった見せ場もなく終ってしまいます。伝記映画を本人が存命中に作ると、やはりいろいろ配慮があるのでつまらない代物になってしまいます。ちょっとマニアックですが、誰かアドルフ・ガーランドの伝記映画を撮ってくれないかなあ。
[ビデオ(字幕)] 4点(2009-04-30 21:50:46)
168.  マックィーンの絶対の危機(ピンチ) 《ネタバレ》 
タイトル・ロールでもちろん主役はスティーヴ・マックイーンだが、“Steven”マックイーンとなっていてアレっと感じますが、“Steven”が本名なんだそうです、まあどうでも良いことですけど。それより驚かされるのはそこで流れるキューバン・スタイル(?)の妙にノリノリの主題歌で(実はバート・バカラックが作ったという説あり)、まるでエルヴィス・プレスリーの映画を観ているような気にさせられます。マックイーン当時28歳で初主演、でも役柄は高校生で友人の級友たちと大活躍(?)するという内容なのでまあ製作者としては青春映画のノリだったのかもしれません。いちおうパラマウントというメジャーが関わっていますが配給関係だけだったみたい、プロデューサーのジャック・H・ハリスは典型的なB級映画屋だったからドライブインシアターなんかで上映するために製作されたのかな。おまけに低予算ですから手を抜けるところは徹底していて、肝心の人喰いアメーバがお食事するところやダイナーが炎上するシーンはどこにもなし、最初観たときは放映時にカットされたのかと思いましたよ。最後のオチも「えっ、ほんとにそれでいいの?」と愕然でしたが、ラストの“?”マークはまさか製作側の自虐ネタなのかもしれませんね。けっきょくこのお話しは一晩の出来事だったわけで、映画史上もっとも短時間で撃退されたモンスターという称号が与えられるんじゃないでしょうか。 ちなみにラストが“?”マークで終わる映画を他にも観た記憶があって「なんだったかな~」と頭をひねったら、思い出しました、ピーター・イエーツの『大列車強盗団』でした。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-04-24 17:20:12)
169.  世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す 《ネタバレ》 
いきなり主人公の科学者カップルが車を運転しながらイチャつきますが、この手の50年代ハリウッドSF映画のとはちょと設定が違って二人は前日に結婚したばかりのアツアツ・カップルでこれはナンパでも不倫でもないのでご安心を(笑)。このお熱い車にいきなり空飛ぶ円盤が急接近してきて「おおっ」とさせられます。ハリーハウゼンお得意のコマ撮りUFOですけど、ちょっとカクカクした動きはなんか味があります。この映画のエイリアンはバリアを張ったりロボットみたいなスーツを着用したりで時代的には進んだ映画表現かなと思いますけど、チラッと見せるエイリアン本体はちょっと前に話題になったあのインチキ・エイリアン解剖フィルムのエイリアンとそっくり、というか本作のエイリアンこそが元ネタなんでしょうね。 ストーリー自体はお約束の好戦的な“アメリカ万歳!”なわけで、特に語るような要素はありません。戦闘シークエンスでは実写フィルムが多用されていますが、編集は雑です。UFO迎撃にB29が出動してきますが、時期的にはとっくに退役してるけどまだ州空軍あたりにはストックされていたかもしれません。ところが次の撃墜されるシーンになるとB17に変わっちゃってます、それも大戦中に撮影された有名な映像です。ジョージ・パルがオール特撮で『宇宙戦争』を何年も前に世に出しているというのにこの体たらく、ハリーハウゼン特撮の無駄遣いと言いたくもなります。こういう志の低い製作者が駄作を量産してくれたおかげで、ハリウッドのSF映画の進歩が停滞してしまったのは残念なことです。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-04-09 20:01:52)
170.  水爆と深海の怪物 《ネタバレ》 
正体不明の何かに捕まって九死に一生を得る危機にあった原子力潜水艦、つかみはまあOKです。ところがこの原潜艦長が真相究明をほったらかして女性科学者とイチャイチャし始めるから、観てる方とすればもうドン引きです。この女性も、これまた無駄にイケメンの同僚博士ともそれっぽい雰囲気で、開幕10分でもう「なんなん、これはいったい何の映画なの?」と絶叫したくなります。いきなり三角関係を見せられるとは、特撮モンスター映画にしては珍しい展開です。肝心のタコはサンフランシスコ上陸の場面でその全貌が明らかになりますが超巨大タコでしかも六本足、いくら何でもデカすぎだろ。このタコは放射能で巨大化したわけではなく、水爆実験でフィリピン海溝の生活環境が破壊されたので浅海に出現したという不自然な説明(いちおう放射能は帯びた体にはなっている)、「最近はなんでも水爆のせいにしたがる」なんてセリフまであります。これは撮影に協力してくれた軍部というか海軍に忖度した結果だと推測できますが、けっきょく大ダコ退治に活躍したのは海軍だけで陸軍の登場はないも同然という展開には苦笑させられます。ハリーハウゼンは低予算ながらも精一杯頑張った仕事ぶりですが、いっそのこと水爆実験で放射能を浴びて巨大化し六本足に突然変異したという説明の方がすっきりしたと思います。最後は原潜が魚雷を撃ち込んで大爆発というのが大ダコの最期ですが、「JAWS」のサメの最期はスピルバーグのこの映画へのオマージュなのかもしれません。 「タコが主役の怪獣映画は駄作しかない」というのが私の持論ですが、この元祖タコ怪獣映画にも見事にあてはまりました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2019-03-19 22:38:55)
171.  クリムゾン・キモノ 《ネタバレ》 
もう題名からして『クリムゾン・着物』ですよ、これじゃ日本未公開だったのもしょうがないですね。ちなみにこれは『赤い着物』とでも訳するのが適切みたいです。監督はB級映画の鬼才サミュエル・フラーで、彼はこの4年前にも日本でロケした『東京暗黒街・竹の家』を撮っていますが、本作にも彼なりの日本愛が詰まっていると言えます。 舞台はLAのリトル・トウキョウで、日系二世の刑事とその相棒刑事の友情物語と言う感じです。この日系刑事役はジェームズ繁田(『ダイハード』のタカタ社長ですよ)で、これが記念すべき映画デビューです。相棒の白人刑事とは第二次大戦では戦友だったと言う設定で、と言うことは二世部隊で相棒が将校で繁田が部下ということになります。この映画での日系米人の描き方はおおむね好意的で、本筋に関係ないのですがわざわざ日系兵士たちの墓地をアイゼンハワーが送った賛辞とともに映すシーンがあったりして、サミュエル・フラーの日系人に対する敬意を感じさせられます。この映画の脚本はどうも『カサブランカ』の焼き直しだったみたいで、戦友だった両刑事が殺人事件の鍵を握る女性をめぐって三角関係に悩むお話しがメインとなっていて、肝心のストリッパー殺人事件の捜査自体は途中からグダグダになっちゃって訳の判らない結末になってしまいました。この監督は特異な設定のストーリーでの人間関係を撮らせたら侮り難い力量を見せるんですけど、どうもまともなストーリーテリングとなると粗が出てしまいます。 でもジェームズ繁田や他の日系人役が訛りもない自然な日本語を喋るのにはちょっとサプライズですし、陰影のはっきりしたモノクロ撮影などもあってけっこう丁寧に撮っている部分も有ります。でも肝心のストーリーがこれじゃあねえ…
[CS・衛星(字幕)] 3点(2016-05-12 23:21:07)
172.  怪獣王ゴジラ 《ネタバレ》 
実はゴジラ出現と東京の惨状を傍観(?)して死にかけたアメリカ人記者がいたんです、という風にレイモンド・バーを無理矢理ねじ込んだ全米公開版ゴジラです。いきなり瓦礫に埋もれて血を流すレイモンド・バーが映されるところから始まり、山根恵美子がボランティアをしている病院に彼は搬送されます。この後バーは記者会見場や国会の委員会場などに背後霊の様に出現してゆくのですが、思ったより違和感がない繋ぎ方かと思いました。このアメリカ人、恵美子や山根博士と芹沢博士とは旧知の間柄という設定なのがかなり強引で、彼らと会話するシーンではミエミエの代役を肩越しに撮って、そこまでして頑張る必要があったのかはあえて考えないようにしましょう(苦笑)。でもこの三人には英語の吹き替えまでしているのに、可哀そうなのは宝田明でこのアメリカ公開版では無視同然の扱いをされちゃってるんです(笑)。彼の出演シーンが一番多くカットされてるし、まるで端役扱いでした。 とにかく一番笑わしてくれるのが大戸島のシーンで、バーの横に立つ島民(というか怪しげなアジア人)の着てる半被らしきものに何やらカタカナが書いてあるんです。良く見るとそれは「ルシイル」という文字でした(爆笑)。バーたちが大戸島に一泊するのがテントというのも脱力ものシーンですが、実際の『ゴジラ』の準備稿にも山根博士たちがテントで一夜を過ごすというシーンがあったそうで、笑っちゃったら失礼に当たるかも。でもレイモンド・バーがバーチャルな存在のくせに「エミコ、エミコ」となれなれしく呼ぶのだけは許せないなあ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2014-07-25 22:38:13)
173.  汚れた肉体聖女 《ネタバレ》 
「この映画に描かれたストーリーは特定の宗教とはなんの関係もありません」というテロップが冒頭でますが、どう見たってキリスト教の修道院だろ!って突っ込みは一応入れておきます。数ある新東宝エロ風味映画の中で、たぶん唯一のレズもので貴重ではあります。 どうも新東宝というか社長大蔵貢の頭の中には「九州島原=邪教(キリスト教)のはびこる秘境の地」という図式があるみたいですね、怪作『女吸血鬼』というのもありましたし。この修道院なのか学校なのか良く判らん舞台設定が、チープながらドロドロした感じでいかにもです。名前が「紅百合(べにゆり)学院」なんですからね。シスター姿の生徒たちがフォークダンスを踊るシーンは、滑稽を通り過ぎて不気味の域に達していてトラウマになりそうでした。高倉みゆきと大空真弓の絡みもちゃんとありまして、不思議なエロっぽさがありました。 修道院なのになぜかプールがあったり敷地内に底なし沼まであるというヘンテコぶりは毎度のことで、中盤以降の電気紙芝居としか言いようがないストーリーの暴走ぶりをお楽しみください。主演の高倉みゆきは“新東宝の皇后女優”と呼ばれたそうですが、明治天皇もの以外の主演作ではいつも犯されたり堕胎したりと新東宝女優の中でも指折りのミゼラブルなキャラばかり演っている様な気がします。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2014-03-12 23:17:41)
174.  恐怖と欲望 《ネタバレ》 
キューブリックが生前に封印して再上映を許さなかったという商業映画幻の初監督作がついに陽の眼を見ることになりました。製作から今年はちょうど60年、パブリック・ドメインになっているのかは知りませんが、きっと色々な大人の事情があるんでしょう。 一応プロを使っているけどセリフのある俳優はたったの6人(この中には後に監督として活躍することになるポール・マザースキーもいます)、キューブリックは撮影やら録音までひとり五役をこなしていますが、この映画のスタッフは総勢たったの13人だったそうです。 架空の世界の戦争で戦場は森の中、低予算で戦争映画を撮るには最適のプロットでしょう。敵勢力範囲に降下したパイロットと三人の歩兵が敵の軽飛行機を奪って脱出すると言う単純なお話しなんですが、キューブリックの高校時代の親友が書いたという脚本が韜晦すぎてヘンな映画になってしまった感じです。登場人物たちの心象をモノローグで引っ切り無しに流す、クローズ・アップを多用しているところなど後のキューブリックからは想像つかない演出スタイルでもあります。良く言えば詩的なんだけど、正直言って登場人物たちの行動が理解できないのは難点でしょう。でもキューブリックのカメラさばきはさすがにシャープで、とくに室内の映像は陰影が濃密でもう完全にキューブリック印になっていました。飛行機を奪うために敵の将軍と将校を殺すシーンがありますが、襲う側の二人と同じ俳優を使っているというのは意味が判らないけど印象には残りました。 というわけで当然のように興行的には惨敗したわけですが、NYタイムズの取材に「痛みとは良き教師だ」と答えている当時のキューブリックの言葉がこの映画のすべてを語っています。
[DVD(字幕)] 3点(2013-12-16 18:36:46)
175.  波止場の王者 《ネタバレ》 
新東宝が大蔵貢体制になる直前に撮られた一本です。なのでまだエログロ路線じゃないのですが、本来から新東宝という映画会社が持っていた弱点が良く見えるのです。新東宝は設立当初は文芸映画などに秀作が多いのですが、とにかくアクション映画が苦手だったみたいでろくなものがない。アクション映画にはヒーローが欠かせませんが、このヒーロー役者に魅力的なスターがいなかったこともアクション路線の出来の悪さに拍車をかけてしまったみたいです。 本作でも、宇津井健と中山昭二という新東宝が誇る二大へなちょこアクション・スターが共演です。中小企業の造船会社が密輸組織の妨害を受けながらも新型ジェット・エンジン船の開発に奮闘するという『プロジェクトX』チックなお話しです。石川島みたいな総合企業じゃないのに、一介のボロ企業がなんでジェット・エンジンの開発なんか出来るのかという突っ込みはまあ良しとしましょう。縮尺模型に花火みたいなエンジンを付けて実験、それが上手くいったからと言って「ジェット・エンジン船の開発に成功した!」と言い張るのも、まあ低予算なんだからしょうがないでしょう。 でも私が許せないのは、宇津井健が密輸組織のボス(中国人)と対決するクライマックスで、「そのへっぴり腰のアクションは映画を舐めとらんか!」と正座させて半日は説教してやりたいぐらいです。敵役のボスも変なカンフー技を使うし、ぴょーんと岩にジャンプするのには呆気にとられてしまいました(フィルムの逆回し撮りでした)。 そういや丹波哲朗も出てましたね、まあそれはどうでも良いとして、前田通子を使いながらなんでもっと露出シーンを撮らないんじゃ!これは致命的でした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-11-23 22:49:49)
176.  女吸血鬼 《ネタバレ》 
吸血鬼+狼男+天草四郎伝説のごった煮を作ったらこんなのが出来ちゃいました!ってな感じでしょうか。ちなみに本作は、『女(の血しか吸わない)吸血鬼』が正しい題名でした。話の掴みはけっこうホラーらしい雰囲気なんです。失踪した妻が20年ぶりに帰ってきたら、タイムスリップしてきたみたいにそのまんまの容姿だったなんて話だけ聞けば面白そうでしょ。でもほとんどギャグとしか見えない娘たちの反応で、後はもう訳が判らない新東宝ワールドの御開帳というわけです。 天地茂の吸血鬼もちょっとイイ感じだなと思っていたら、突然狼男みたいに月の光を浴びて変身(顔だけ)しちゃうのでただ唖然でした。最後に監督が中川信夫だと知ってまたびっくり、彼もよっぽど体調悪かったのでしょうね(単にやる気がなかっただけかも)。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-01-19 22:51:14)(良:1票)
177.  人喰海女 《ネタバレ》 
邦画にはかつて“海女映画”というジャンルがありました。といっても、このジャンルの作品を製作したのは新東宝という映画会社だけで、その生みの親こそ社長で“和製ロジャー・コーマン”“エクスプロイテーション映画の天皇”として歴史に名を残す大蔵貢です。もっとも、キャリアから言うとコーマンを“ハリウッドの大蔵貢”と呼んだ方が正しいのかも。ピンク映画すら存在しなかった時代に、いかに女体を売り物にするかと彼が知恵を絞って生まれたジャンルなのです(S・ローレンの『島の女』をパクっただけなのかもしれませんが)。 というわけで本作のご紹介となるわけですが、はっきり言って他愛のないストーリーなぞどうでも良い。三原葉子の演じるファム・ファタールが宇津井健を翻弄し、丹波哲郎には弱みを握られて操られるも、最後には良心に目覚めて死んでゆく。宇津井健は大半の登場シーンが海パン姿というのが良く考えると笑えてくるし、海女たちがみんなグラマラスな若い娘ばかりというのもあまりにも強引です。ちゃんと海中撮影をしているのですが、泳ぐ海女を捉えるショットがあまりに露骨なアングルなので爆笑でした。狂言まわし的な役柄ながら、殿山泰司がコロンボみたいな刑事でちょっと光っていました。あと監督の実弟である平田昭彦がほんの1シーンですが友情(?)出演しています。そして特筆すべきは三ツ矢歌子で、わたしらの世代にはホームドラマのお母ちゃんというイメージが強いけど、若いころは露出演技に体を張ってたんですね(まあ新東宝所属じゃしょうがなかったかも)。 それにしても『人喰海女』とはあまりに題名が大げさ、こういうところがいかにも大蔵貢らしいエクスプロイテーションです。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2012-09-19 20:15:33)
178.  地球最後の日 《ネタバレ》 
今回再見して強く感じたのは、恐ろしく宗教色が強いなあ、ということ。良く見ると、製作総指揮がセシル・B・デミルじゃありませんか、そりゃ聖書じみたお話しになるのは当然ですね。地球から運び出す文献をマイクロフィルムに写すのはいいんだけど、まず新約聖書から始めると言うのは笑ってしまいました。誰が観たって“ノアの箱舟”をSFに仕立てただけとしか言いようがなく、肝心の地球崩壊のスペクタクルよりも脱出ロケットに誰を乗せるかを“選ぶ”ことの方がメインになってしまうのはちょっとねえ… だいたい、あんなでかいロケットに40人しか人間が乗れないなんておかしいじゃないか、動物なんか積むんだったらその分人を乗せろよ。そして何よりこの映画の凄いところは、脱出プロジェクトには政府も国連も関わってなく、たった三人の大富豪が資金を出しているだけということ、つまり完全な民間プロジェクトなんですよ。そりゃ、誰を乗せるかなんて俺たちの自由だ、と言えるわけです。でもその40人が、若いのはしょうがないとしても、白人だけで有色人種はひとりもいないというのはあんまりです。 そう考えると、同じ滅亡ものでも『妖星ゴラス』の“地球の方を移動させて全人類を救う”という大乗的な思想は偉大だなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2012-02-16 23:33:11)
179.  地獄へ秒読み 《ネタバレ》 
第二次世界大戦で敗戦直後のベルリンで、不発弾の処理を仕事とした6人の男たちを描く『ハートロッカー』をはるかに先取りした様なプロットです。でもこの6人は占領軍にとっては単なる復員してきた元ドイツ軍兵士で、任務に失敗して死んでしまっても構わないいわば捨て駒なのが現実。不発弾処理も爆弾一発につきひとりしか割り当てられず、装備もつなぎの作業服だけでヘルメットぐらい被らせろよと言いたくなるぐらいの軽装備です。監督がロバート・アルドリッチですからこの不発弾処理の過程を手に汗握るサスペンスとして見せてくれると当然期待するわけですが、それがこの映画、肝心のハラハラドキドキが全然ダメなんですよ。それはマルティーヌ・キャロルをフューチャーしてるので無理やりジャック・パランスとのメロドラマにしようとして見事に失敗しちゃったせいもあります。男くさい映画を撮らせたら天下一品のアルドリッチも、さすがにメロドラマっぽいお話しでは単なるヘボ監督だったんだと思いしらされました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2011-05-26 23:02:51)
180.  宇宙人東京に現わる 《ネタバレ》 
東宝では『地球防衛軍』、ハリウッドでは『禁断の惑星』が製作されてた同時期の映画とは到底思えないぞ、『宇宙人東京に現る』! パイラ星人の会話には、本当に腹を抱えて笑いました。監督の島耕二のフィルモグラフィはSFやアクションものは他に撮っていないみたいで、たしかに全編になんかホームドラマっぽい雰囲気が漂っています。大映初のカラー特撮映画ですが、色彩は思ったより鮮やかでしたね。そう言えば新天体R星の脅威が去ってめでたしめでたしのラストシーンですが、啓蟄を迎えたみたいに小動物がぞろぞろ穴や地面から出てきて、そのあと「わーい」と歓声を上げる幼稚園児が映って終わり、こんなラストシーンの特撮映画もちょっと珍しいのでは。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2010-10-20 22:46:21)
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