1. 舟を編む
《ネタバレ》 文字の大海原に飲み込まれるとかなんとか 文系らしさ全開の美意識には辟易するのではと思っておりましたが なぜかしっくりと腑に落ちた作品。 主人公をサラリーマンとして捉えるとこの映画のメッセージには気づけません。 人生の仕事とは金を稼ぐにあらず、 金を稼ぐのは生きるための手段であって目的ではない。 人を喜ばせたり、手助けしたり、育てたり 誰かの為に何かをなす事が仕事であって、 金銭はそれを継続するための手段です。 会社を経営するものにはこうした姿勢とスタンスも必要ではないかと感じました。 [DVD(字幕)] 8点(2015-10-24 17:31:24)(良:1票) |
2. インターステラー
《ネタバレ》 古典的なSF映画でありながら、なぜか魅了される素晴らしい映画。 ストーリーに新鮮味はないしドラマもありきたり、 映像表現の点では近年の『ゼロ・グラヴィティ』とそれほど大差がない、というかむしろちょっと劣る程度。 しかししっかり引き込まれた上に、圧倒された。 思うに画面造りと物語のテンポ、シーンの切り替えが素晴らしいのではないかと思う。 粛々と衰退していく人類。のゆったりとしたテンポ。未知の惑星での自然の驚異のテンポ。 それぞれの葛藤をぶつけ合うシーンなど。詳しくはないがオーケストラの交響曲のように 計算された上で織り込まれていくシーンの連鎖こそが素晴らしい。 つまりは映画として非常にオーソドックスに練られているという事なのだろう。 [DVD(字幕)] 8点(2015-07-29 18:02:52)(良:1票) |
3. グリーン・インフェルノ(2013)
《ネタバレ》 えらく上品な所で留まっているなという第一印象はその手の映画ファンのものであって、その手の映画映画ファン以外にはやはりハードな作品だろうう。つまりは極端に振れるべき題材を程良く料理しているといったところでそれがその手のファンには物足らない。しかしやはりここまで抑制の効いた作品として完結させている点を評価したい。また、いわゆる意識が高い系について基本的に良い感情を持っていないので彼らの薄っぺらい独善的な正義感を痛烈に批判している点も面白い。リメイクとはいえ良い挑戦であると思う。 [DVD(字幕)] 7点(2016-06-27 18:25:19)(良:1票) |
4. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 とにもかくにも生き残る執念の映画。知的な『パピヨン』。 ここまで勇敢な主人公はかつて観た事がなく、その精神力に圧倒されているうちに映画が終わった。 とにもかくにも厳しく、甘えの許されない状況で過酷な生存を強いられる主人公ですが、 もちまえの能力を駆使して敢然と運命に立ち向かう姿が好ましい。 『人間賛歌』的な映画ではあるがその実『超人主義』の映画であって、 普通の優秀な ラストの救出劇にはちょっとご都合主義的な部分があり、 ここまでの頑張りはなんだったのかとクビをかしげたくなるが、 もうここまで頑張ったんだからまあいいかなと納得できなくもない。 とにもかくにもサバイバル映画として非常に品質が高い映画といえる。 [映画館(字幕)] 7点(2016-03-15 12:23:23) |
5. ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-
どんな映画でも観る派なので、 劇場版のナルトというかアニメのナルト自体はじめて観たのですが、 本当に出来の良い映画なのではと思った。 ファンの方の評価が低いようなので自信がないのだけれども アイデンティティの獲得を目指す主人公の頑張り、が原作漫画の肝だと考えているのですが、 その上で幻の世界ではそれが必要では無くなるという・・・ 物語の大目標への挑戦として、映画版という括りにはうってつけの題材だったのではないかと。 アクション的なものも、初見の人間には斬新で格好の良いものでした。 ファンがダメっていってる以上間違ってるのは私かな~。 [インターネット(字幕)] 7点(2015-11-07 15:45:02) |
6. マッドマックス 怒りのデス・ロード
やっぱり映画館いっときゃ良かった。 素直に反省してしまう映画でした。とにかく監督が若い。 実はもう耄碌されているのではと思い映画館まで行かなくてもいいかな。 とか思ってしまいました。映画ファンとして不明を恥じ入ります。 現代的なアクションシーンと第二作目のパワーを併せて見事に御しきられております。 マックスを含めた前キャラクターよりもじゃじゃ馬ならしがお得意なようで、 マッドマックス以降ブタとペンギンを経てここまでハードな物語を 作られるようになられてしまう事が事実ならば、 マイケル・ベイなんかも恋愛映画とか作ってみるといいのかも。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-31 19:14:04) |
7. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 フォレストガンプの構造をそのまま黒人社会と優秀な執事に当てはめたとような映画で、黒人運動とそのターニングポイントを大統領の変遷とともに描いている。当然足早になり結果としてそれらが薄く印象付けられることになるのかと思いきや、軽妙すぎず重厚すぎず適度な語り口でその点は見事。しかし、主人公の描き方が人畜無害な好人物に偏りすぎたきらいがあり、そこがもう一歩物語に深みを持たせられていないように感じた。黒人大統領誕生という苦難の歴史の一つの終着点を迎えたこの運動のある種の祭典として大目に見るとともにその活動に敬意を表することに苦はないが、映画の質としては佳作の部類としての評価に止める。 [インターネット(字幕)] 6点(2016-06-29 15:11:46) |
8. フォックスキャッチャー
《ネタバレ》 富める者がその気になれば人間だって買えてしまう。恐ろしいのは買われる者だけでなく、富む側もまた何かを失うという点。 冷静な視線を評価します。富貴な者の孤独を表す丁寧で繊細な描写。静けさに溢れるシーンにもどこかしら破滅を予兆させるような印象を受けて飽きがきません。上質な映画ですね。 [DVD(字幕)] 6点(2016-06-27 17:21:07) |
9. ジョン・ウィック
《ネタバレ》 キアヌがかっこいいだけの映画。 ストーリーは至極簡単で大事な犬を殺されたので、マフィアを壊滅させる。というだけ。 アクションは最近のアクション映画を観まくって、使えそうな部分をまとめただけですが、 これで映画としてそこそこのクオリティを保てている点が恐ろしい。 多分、二流の俳優をキャスティングすれば大変酷いことになったのだろうが、 キアヌの説得力が半端なく、これでいいんだ。いやこれがいいんだったか。 とぐいぐい引き込まれていく、また主人公の強さが常識的でどうやっても無理なものは無理なあたりの抑制もよい。 まあ相手マフィアがもう少しちゃんとやれていれば壊滅まではしていないと思うけど、 爽快感があり暑苦しくない無双映画。 特に工夫無くそれなりにオリジナリティが出せている点を評価します。 [DVD(字幕)] 6点(2016-05-20 18:50:25) |
10. 猫侍
北村さんの演技を愉しむ映画。 おばかコメディではあるが、なかなか殺陣など見られるシーンが多く、 評価に値する映画だと思う。時代劇がいつのまにやらたそがれ路線に落ち着いてしまい、 良くも悪くも清貧ばかりが目に付くこのご時世、 こうした変りだまで勝負してくること自体に価値を感じるし、 のんびり安心しながらみられる作品が稀有なためなかなか存在感のある映画だと思う。 他の皆様の評価が低いのがちょっと残念。 [地上波(邦画)] 6点(2016-03-16 18:37:34)(良:1票) |
11. メイズ・ランナー
《ネタバレ》 光るものは感じたので6点献上。 ですが、どうも、展開に驚きが無くて、肩透かしを食らった気分。 迷路をとくという作業をどのようにみせるのか興味があったのですが、 まさか解けているとは・・・ 設定も必然性に欠けていてなるほどと思わせてくれるようなところが無く、 (もしかしたら今後の作品でそうなるのかもしれないのですが) できれば一作品でもある程度の完結はして欲しい私としては、 これで終りでいいのか。とクビをかしげるばかりでした。 設定は確かに奇抜ですが、もうちょっとバランスがとれていないと 何でもありになってしまいます。 どのように暮らしているのかどんな工夫があるのかなどの、 細部にもう少しこだわりがあればはねると思います。 [DVD(字幕)] 6点(2016-01-02 20:03:16) |
12. サンブンノイチ
個人的には監督があまり好きではないが、悔しいことにこの監督は今まで そつなく、及第点以上の映画を撮り続けて来たといえる。 よく映画を観ているし、それ以上にその経験を巧く扱えている。 小杉さんの演技はややあやしかったが、全体として派手なキャラクターが出るので、 そこまでおかしな印象派受けなかったし、監督の精神安定剤として仲間がいないとダメなのだろう。 脚本がイマイチというか練りすぎているわりには、上手くこなれておらず、 どこか取ってつけた内容になっており、後半から終盤まではもはや蛇足の域。 それでも邦画では貴重なまともな映画。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-19 16:51:15) |
13. 清須会議
歴史好きの人間としては今回の人物像に納得しにくい部分もあったが 陰謀劇として、また時代の転換点で残されていく人間の哀愁を描いたコメディ作品として楽しめる作品だった。 監督もお得意のキャラクター作りに上手く歴史的な要素を入れていて、安心して見られる作品。 収穫は大泉さんの秀吉。面白さと説得力があったと思う。 それ以外のメンバーで光る役者が見当たらなかったことが不思議。 少し、演出が厳しかったのでしょうか。 演出は軽すぎだが、物語は実は重たく、このあたりをもう少し調和が取れればよかったのではと思う。 最近の邦画ではそれでも嫌味がなくみれるだけでもありがたいのだけど。 [映画館(邦画)] 6点(2015-12-19 14:56:20) |
14. ポテチ
こっちの方が断然いい。というのは思い込みで案外どっちでも納得できたりする。 人間ってそんなもんだよねというお話。 コンパクトで内容が濃いのでぐんぐん引き込まれるし、 会話やキャラクターの面白さは原作から保障済み。 ただ犯罪者の倫理観にどうしても賛成できない。 おまえ泥棒じゃねーか。やはり映画だし岳君だしで騙されそうであるが、 犯罪者はダメ。という所はやはり物作りとして最低限守られるべきではないかと思う。 いくらか減点で6点。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-17 13:06:08)(良:1票) |
15. トランセンデンス(2014)
未知なるモノへの畏れ、革新への拒絶反応、命の価値とは、 みたいな大ネタを盛り込んだ作品ゆえにそれらの見せ方がさらっとし過ぎたのかもしれません。 しかし、邦画によくあるような、同じテーマを繰り返し叫ばせる類の映画よりも、 きっぱりしていて自分としては好みの作品です。 高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない。 まさしく、映像表現ではこれが科学なのか無限の魔法なのか、 見分けがつかず、何でもできちゃう化け物にしか見えない。 ただ何でも出来ちゃう化け物に見えるからこそ劇中で彼を畏れる人々が抹殺に動くわけでして、 それをもって人の愚かさ映画のご都合主義というのは些か早計ではないかと思います。 SFの醍醐味でもある映像表現がすでに古臭いものになってしまっていたのも この映画にとっては逆風だったでしょう。 全体的に不運なタイミングで作られた可愛そうな映画です。 [インターネット(字幕)] 6点(2015-12-16 12:00:25) |
16. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
とにかくアカデミー賞受賞作らしい作品。 劇中では批評のための批評。批評のための作品への怒りがぶちまけられている割には、 批評家うけしそうな作品。 監督は今世紀の初頭から出てきた天才の一人。イニャリトゥさん。 エッジの聞いた現代的センスで軽くならないしっかりした作品が作れる、稀有な才人ですが、 どうした事か、映像センス、音楽、演技どれをとっても素晴らしいのに、 それだけで面白くはならない。むしろ、ノートンの演技だけが切り取られて素晴らしい。 このまとまっているのにちぐはぐな印象が、千千に乱れる主人公の心根を表しているのだけれども、 孤独なスターの心根はついぞ寄り添うには遠すぎる。 つまりは主役の独り相撲を傍観する映画でしかなく、 全てが主役の目から見た真実であるとしても、私達の心の置き場をどこにすればよいのか、迷うばかりの映画。 キュビズム的に人を表現すると映画ではこうなるのかもしれないが、 いかんせんそんな遊びが面白いとは思わない。 [DVD(字幕)] 6点(2015-12-15 18:09:04) |
17. グランド・イリュージョン
手品と映画の親和性が非常に低い事を発見できる映画。 テンポと演技が面白いので爽快感のある作品であるが、 主人公側の武器、つまりは手品が脚本しだいで何でもできてしまうという点が残念。 こうしたクライム系の映画では仕掛けが肝心だが いや手品だったんです。となればこちらもそうですか。 としかいえない。いってしまえばゴジラを召還して追っ手をぶちのめすような 事だって出来てしまうのではなだろうか。 そういう意味で抑制が効いておらず、評価しにくい作品ではあるが、 素直に面白さは確保できている点。 手品としてではなくイリュージョンの映像としては面白い点、 甘めの判断で6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2015-11-08 12:23:10) |
18. ジュラシック・ワールド
新しさを求める大衆とそれに応えるために~と考えていくとテーマパークとこの映画自体がリンクする所は面白い。 しかしこの映画に構造や背景を求めるの事は無粋ってもんでしょう。 要はどれだけサービス精神があるか、そして巧くそれを発揮できているか、 そんな視点では目新しさはないもののファンを喜ばせようという工夫 といくかギミックに満ちた作品だったと思う。 もう少し抑制を外してもっと直球でもよかったかな。 ワクワクしたし、楽しめた。ラストだけ夜ではなく昼の決闘だとよかったかな。 しかし、田舎ではなんと吹き替え2Dのみの上映。 だったらせめて俳優ではなく声優にして欲しい。 [映画館(字幕)] 6点(2015-11-05 15:14:15) |
19. GODZILLA ゴジラ(2014)
怪獣のデザイン(設定を含む)が良かった。 物語は冗長で無意味なテーマにいらつくが、米軍と怪獣の戦闘だけで十分に満足できた。 どこまで無心に怪獣と怪獣映画を信奉できるかという 踏み絵のような映画である。 大きさやデザインは時代に合せて変る。 それは仕方が無いし必要である。 オリジナル版をいかに愛していようが、 この時代にあのデザインでは勝負できないのはたしかですから。 先行優位のイメージに立ち向かい作品を世に出してくれた事に 感謝しましょう。 次は面白い作品をお願いします。 [映画館(字幕)] 6点(2015-10-24 20:27:45)(良:1票) |
20. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
《ネタバレ》 それなりに面白い娯楽大作。 物語はどう考えてもアベンジャーズだがキャプテンアメリカ。おそらく今回超パワー二体も欠席しているところから観ると、 もう一回は内輪もめをアベンジャーズでするのでしょうね。 特段、ファンでもないので悲壮な物語も気にせず楽しめたが、 所詮はアベンジャーズの次回作のためのつなぎであるという感は否めない。 いろいろいて、それが楽しい映画なのだけれども、どうしても個々の力の差が大きくて、 普通の人間の延長線上にいるようなキャラクタは自分のことをどう考えているのかと不安になった。 いわゆるデートムービー・ファミリー映画なので、 あえて文句を言うにはあたらないだろう。 [映画館(字幕)] 5点(2016-05-20 17:02:35)(笑:1票) |