ジョニーは戦場へ行った の 鱗歌 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > ジョニーは戦場へ行った
 > 鱗歌さんのレビュー
ジョニーは戦場へ行った の 鱗歌 さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 一体何なんでしょうね、全編にあふれる、このインディー魂みたいなもの(笑)。笑っちゃあいけませんが。
この作品の設定、どうしても江戸川乱歩の「芋虫」を連想させて(一応、先に書かれたのは「芋虫」ですね、トランボは知ったこっちゃないでしょうが)、しかも「芋虫」の恐怖小説としてのインパクトってのは並々ならぬものがありますからね。その恐怖ってのは、手足を失い自らのコミュニケーション手段を持たない男、なされるがままの、受動的立場の究極のような男の、内面が見えないこと、内面の恐怖を我々に想像させること、そしてその内面の恐怖を最後に我々に垣間見せること。
一方の本作、この「芋虫」以上に外部から閉ざされた男の、内面そのものを描いて、受ける印象はかなり異なりますが、それにしても、触覚のみによって知りうる「現在」を、映画なもんで映像として我々に見せ、そこにいちいち独白をシンクロさせる描写は、やや野暮ったい気もいたします。「現在」をモノクロ、「過去」や「幻想」をカラー、という色分けも、ちと図式的。
それにしたって、本作のコワい点、目を引くのが、前半の「現実」パートにおける、暗闇の中に灯る白熱球。希望ですらない冷たい光。
それが、中盤から部屋に外光が取り入れられ、作品にもやや穏やかな空気が感じられてくる。そして子どもの頃電信で遊んだ記憶から、ついに外部とのコミュニケーション手段を思いつき実行に移すクライマックス、しかしそれは結局、最後の希望を閉ざす結果をもたらすだけ。外光が閉ざされた上、白熱球すらも灯されていないラストシーンの虚しさに、戦争での死者数、負傷者数のテロップが重ねられ、たまらん気持ちにさせられたまま映画は幕を閉じます。
主人公個人が抱え込んでいた恐怖が、普遍化される瞬間でもあります。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-01-30 07:16:32)
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-21新・座頭市物語7レビュー7.15点
ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録7レビュー7.27点
2024-04-14片腕必殺剣7レビュー6.33点
2024-04-07ゴーストバスターズ/フローズン・サマー7レビュー5.25点
2024-04-07わが青春のアルカディア7レビュー3.90点
2024-03-31ソニック・ザ・ムービー6レビュー6.44点
2024-03-31ジョン・ウィック:パラベラム8レビュー6.57点
2024-03-30ウホッホ探険隊5レビュー6.07点
2024-03-30CURE キュア8レビュー6.67点
2024-03-24透明人間現わる8レビュー4.33点
ジョニーは戦場へ行ったのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS