チャップリンの殺人狂時代 の なんのかんの さんのクチコミ・感想

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チャップリンの殺人狂時代 の なんのかんの さんのクチコミ・感想
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戦前『独裁者』を撮ったチャップリンとしては、戦後反対方向から眺める必要を感じたのだろう。あの時代の狂気を生み出した責任を独裁者一人に負わせてはいけない、それの協力者であった我々社会の“妻や子を養うための「ビジネス」”を分析しよう、という姿勢。この態度は間違いなく正しい。撮影当時始まっていた冷戦下では、資本主義への疑いは当然レッドパージに引っかかるものとなった。本作で一番とんがった部分は、かつて貧困から救った娘が軍需会社で立ち直っている、という皮肉だったと思うんだけど、そこを描くチャップリンの切れ味が弱いんだ。裁判を彼女が涙ながらに傍聴しているシーンが入り、センチメンタリズムに流されてしまう(彼の映画で繰り返される「美女に感謝される」というモチーフは、切り捨てられないほど心の根になっていたらしい)。そもそも最後の演説から逆算して作られたような映画で、いつもの切れ味がなく、会話体のシナリオがうまく書けない欠点もハッキリした。結婚式場での逃げ隠れの出入りなど、サイレント的な部分でのみイキイキする。作品評価としては悪くなるが、テーマに対する作家の誠実さも考慮するなら、点数はもっと上げなければならない。
なんのかんのさん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-05-15 09:43:58)
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-03-15エデンの東(1955)8レビュー7.25点
2014-03-14アゲイン/明日への誓い6レビュー5.22点
2014-03-13オリバー!7レビュー6.08点
2014-03-12世界の中心で、愛をさけぶ6レビュー5.27点
2014-03-11真珠の耳飾りの少女6レビュー6.33点
2014-03-10ゴースト/ニューヨークの幻7レビュー7.02点
2014-03-09EMMA/エマ(1988)6レビュー6.00点
2014-03-08稲村ジェーン4レビュー2.43点
2014-03-07つぐみ5レビュー4.96点
2014-03-06ボイス・オブ・ムーン6レビュー5.25点
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