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《ネタバレ》 舞台劇の映画化ではありますが、「今まで捕虜収容所が舞台の映画なんて撮られたことがなかった」という冒頭のナレーションの通り、本作がハリウッドで戦後初めて製作された捕虜収容所映画みたいです。捕虜収容所ものというと普通は“脱走”がテーマですが、この映画は“スパイ・裏切り者”がコンセプトということになります。どちらかというと陰湿になりがちですが、そこを思いっきりコメディ仕立てにしてるのがビリー・ワイルダーらしいところです。この映画ではキャスティングなどに小ネタを仕込んでいて、収容所長にドイツ系だけどユダヤ人である映画監督オットー・プレミンジャーを引っ張て来ています。この人は名匠ですけどその現場でのパワハラ親父ぶりは鬼レベルで、キャスト・スタッフから恐れられていました。いわばセルフ・パロディみたいなキャラなんですが、彼に「どういう風に演技したらいいんだ?」と尋ねられたワイルダーは「あなたが撮影現場でやってる通りでいいんですよ」と答えたそうです(笑)。所長の出番は意外と少なかったですが、けっきょく尊大ではあるけどどこか愛嬌も感じられるキャラで、ちょっと拍子抜けでしたが。他にも元俳優でハリウッド・スターの物まねが得意という捕虜もいましたが、この物まねは当時の観客にはウケたんでしょうね。ウィリアム・ホールデンの商売熱心な捕虜役は彼の生涯の当たり役みたいな感じで、後の『戦場にかける橋』でも本作を彷彿させるような捕虜キャラを演じていました。ちょっと不満だったのは誰がスパイかのネタ晴らしが少し早い感じがするところで、これは原作舞台劇があるのでしょうがなかったかもしれません。できればもっと引っ張って『情婦』みたいなどんでん返しのような展開もアリだったかなと思います。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-18 20:21:33)(良:1票)
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