サラエボの花 の クロエ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > サ行
 > サラエボの花
 > クロエさんのレビュー
サラエボの花 の クロエ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 サラエボの花
製作国ボスニア・ヘルツェゴビナ,オーストリア,,クロアチア
上映時間95分
劇場公開日 2007-12-01
ジャンルドラマ
レビュー情報
《ネタバレ》  ボスニア紛争を知らなければ理解できないのではないかという、観る前から勝手な偏見を持つ人がいるかもしれないが、内容は世界中に通用する母と娘の親子愛、シンプルな話しである。
 娘は男にも真っ向から喧嘩を買って出るほどの強気な性格で、母親の仕事ぶりからも二人が共に人生を乗り切ろうとしている姿が重ねて強調されている。
 皆と一緒に修学旅行へ行く。父はシャヒード(殉教者)である。この国ではごく普通の人間でありたいと思う娘に母親は娘の出生の秘密を打ち明けることができない。教えたくない母親の気持ち。だが彼女もやはり女であり一人の人間、打ち明けてしまったことで本当に大切なものが何なのか悟る。その告白シーンがハイライトで胸を締め付ける。
 全体を通して、娘の修学旅行が娘にとっても母親にとっても人生の岐路になったところに真のドラマを感じた。
 娘は一見わがままで身勝手ではあるが、母への愛情を誰よりも必要としており、ラストのバスのシーンで、皆の合唱に合わせて少しづつ口ずさむシーンは、観客の誰もが「頑張って!」と応援したくなると思う。
 登場人物全てがこの腐敗した国の現状から抜け出そうと必死に生きている。一見悪そうな大男まで真剣に生きようとしているところに人間の綺麗な部分が見える。
 後で知ったが、監督は30代の女性。紛争経験がある。娘は12歳の設定だが、日本人でいえば高校生くらいにも見える。これは戦争というものが老若男女関係なく強く生きなければならないことを訴える姿勢で、とても自然に表現されていると思う。
 「戦争待望論」という言葉が日本でも言われているが、戦争を起こした国ほど心から平和を願う人が多いことに皮肉めいたものを感じてしまう。
 「あ~、いい映画観たなぁ~」と思える作品。沢山の人に鑑賞してもらいたい気持ちを込めて9点。
 しかし、この邦題のセンスのなさ、なんとかなんないのか…(悲)
クロエさん [DVD(吹替)] 9点(2009-02-16 09:00:24)(良:1票)
クロエ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2022-03-06カクテル4レビュー4.84点
2022-01-21悲しみは空の彼方に5レビュー6.40点
2021-12-29グレムリン4レビュー6.15点
2021-12-06透明人間(2020)4レビュー5.88点
2021-12-04アス5レビュー5.56点
2021-09-10山の郵便配達7レビュー7.72点
2021-08-16ボウリング・フォー・コロンバイン7レビュー7.16点
2021-08-15我等の生涯の最良の年7レビュー7.44点
2021-07-02追跡(1962)2レビュー4.75点
2021-05-27健さん6レビュー6.00点
サラエボの花のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS