<ネタバレ>まずは名優ジェフリー・ラッシュの時に凄味を見せる、時に弱味を .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>まずは名優ジェフリー・ラッシュの時に凄味を見せる、時に弱味を見せる名演を堪能しました。ラッシュが演じる男は確かな目を持つ美術品の鑑定士として富を築いた男。その一方でずっと女性と縁が無く1人で生きてきた孤独な男でもある。彼の恋愛の相手は秘密の隠し部屋の壁一面に飾られた女性の肖像画。
そんな男が受けた、電話のみで決して顔を見せない女性からの鑑定の依頼。ここから静かにドラマが動き出します。どこにいるかも分らない依頼人。しかし、ついに依頼人の居所を突き止めるが、彼女がいる部屋の扉は開かない。次第に顔の無い依頼人に恋をしてしまう男。しかし鑑定士だけでなく、見る者にも声だけでその姿を見せない。
彼女は何者か?その容姿は?謎の依頼人の女性に興味が尽きないミステリアスな前半。鑑定士と見る者に少しずつ彼女の姿を見せ始める緊張感のある中盤から、後半の孤独な鑑定士に幸せが訪れるロマンス、といった展開の組み立ても見事。
しかし、トルナトーレがただ幸せなロマンスを撮るとも思えなかった。最後には思わぬ落とし穴が待ち受けています。彼が初めて恋した1人の女性。更にはビリーにロバートといった登場人物と鑑定士との関係。どんな贋作にも騙されなかった彼の、生身の人間の真贋の見極めの結末は・・・。最初はたった1つの部品。そこから少しずつ輪郭を現していく機械じかけの人形、屋敷の向かいのカフェの小人・・・鑑定士と依頼人の周囲にあるものや登場人物も印象に残る哀しき男の人間ドラマ。[良:1票]