<ネタバレ>冒頭のカーチェイスから鷲掴みにされる。
荒削りでギラギラし .. >(続きを読む)
<ネタバレ>冒頭のカーチェイスから鷲掴みにされる。
荒削りでギラギラした熱情の一方で冷徹な眼差しのコントラスト。
タランティーノの乾いた暴力とポール・トーマス・アンダーソンの濃厚な悲喜劇の融合だ。
しかし、あくまでイニャリトゥ特有の辛苦さがねっとりしたメキシコの空気を支配する。
三度繰り返される交通事故が及ぼした人間模様はあまりにも容赦なく、もう取り返しのつかない喪失感を際立たせる。
「それでも人生は続く」。
これが監督の取り組む一貫したテーマである。
犬と共に何もない荒野を前に一歩一歩踏み締める姿に、生きる強さを感じざるを得ない。
兄嫁に見放された青年も生きていく。片脚を失った元モデルも生きていく。
絶望を超えて達観している。