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ザ・チャンバラさんのレビューページ
プロフィール
コメント数 32
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  ハウス・オブ・カード 野望の階段 《ネタバレ》 
シリーズのショーランナーを務めてきたボー・ウィリモンが本シーズンより降板したとのことですが、その抜けた穴の大きさを実感させられるシーズン5でした。面白いことには面白いのですが、普通に見られる平均作レベルに落ちてしまったという印象であり、非常にポテンシャルの高い本シリーズに要求される水準には達していません。 本シーズンは大統領選が描かれる前半パートと、フランクが過去に犯してきた不正や犯罪行為がついに周知のこととなり追及に晒される後半パートに大分されますが、どちらのパートにおいても「フランクが追い込まれる→ありえない対応策で危機を乗り切る」という展開に単調さがあり、危機また危機で煽れば煽るほど緊張感が失われるという負のスパイラルに陥っています。致命的だったのはフランク側の対応策に知性や意外性が欠けていたことであり、臭い物にはフタをする、都合の悪い奴は殺すという対応は本シリーズに求められているものからはかけ離れています。勢いと緻密さが奇跡的な配合となっていた前シーズンから緻密さが抜け落ちてしまったという印象であり、ボー・ウィリモンの偉大さをつくづく感じさせられました。 また、シリーズの名物であった視聴者に対する語り掛けも随分と様変わりしています。節目節目で一言二言毒のある発言をすることが本シリーズにおける語り掛けの良さだったのですが、本作では視聴者相手にダラダラと状況説明をするようになり、もはや「世にも奇妙な物語」のタモリみたいになっています。こちらでもかなり興を削がれました。 キャラクター劇としてもイマイチで、何人かのキャラクターが別人のようになっています。 まずフランク。確かに彼は腹に一物持った悪人ですが、それでもその最終目標は「自分の手でレガシーを作ること」であり、実際にシーズン3では福祉政策の大転換に挑んでいました。達成のための手段を選ばないという姿勢にこそ問題はあれど、そもそもの目標は公益性を伴ったものであり、だからこそ視聴者はこの人物を愛していたはず。しかし本シーズンではそうした目標すら失い、ただ権力にしがみつくだけの私利私欲の塊と化しています。挙句に、自分は表舞台から消え去り、国民人気のあるクレア政権に対する院政を敷いて権力を維持すると言い出す始末であり、これではシリーズを通して彼が批判してきた金の亡者達と大差ありません。最低限の美学すら失ったフランクを、私は支持できませんでした。 次にクレア。彼女とトム・イェイツの関係性は欲求不満を紛らわせるための愛人という上から目線のものであり、その冷徹さの中にこそ彼女の超越性が宿っていたというのに、本作ではトムにハートまで持っていかれた様子を見せるために、彼女の魅力が随分と失われています。トムはトムで、自分の立ち位置を瞬時に理解する知性を持ちながらも、退廃性に身をゆだねてフランクの犬・クレアの愛人に成り下がっているという実に味のあるキャラクターだったはずなのに、本作では単なるエロキャラに見えてしまっています。挙句に、あのみっともない最期ですから、魅力あるキャラに随分と勿体ない扱いをしたものだと残念な気分になりました。 そして、一番変化が激しかったのが選挙参謀・リアン・ハーヴェイであり、融通の利かないキレ者だったはずの彼女が、本作では「私を切らないでください」と懇願するだけの被害者キャラに成り下がっています。強者同士の蹴落とし合いが見どころの本作に、弱者キャラは不要です。
[テレビ(吹替)] 6点(2017-06-15 22:41:06)
2.  ハウス・オブ・カード 野望の階段 《ネタバレ》 
多少の中弛みが気になったシーズン3の反省からか、本作は怒涛の展開の連続で度肝を抜かれました。しかも話の風呂敷の広げ方がうまいために「そんなアホな」と思わせないギリギリのところで踏み留まっており、そのバランス感覚は見事なものでした。「フランク大統領・クレア副大統領のアンダーウッド夫妻政権を目指します!」など現実的にはまったくありえない話なのですが、視聴者が理解可能なイベントの積み重ねの末にこのトンデモ展開を受け入れさせてみせた力技に、本作のショーランナーであるボー・ウィリモンの非凡さが表れています。 シーズン3では鳴りを潜めていたパワーゲームも本作では復活。まず、シーズン3の敵であったヘザー・ダンバーを、フランクの身に起きた不幸を逆手にとって葬り去り、続いて共和党大統領候補ウィル・コンウェイとの一騎打ち。またこいつがフランク並みの腹黒さであり、キツネとタヌキの化かし合いがとにかく熱くて面白くて最高でした。 細かい点では、数シーズンお休みしていた懐かしのキャラクターの再登場等、本シリーズが持つ資産が実に効果的な形で再利用されているという点にも感心させられました。豪快な展開の中にも細かい技が光っており、今のところの最高傑作はこのシーズン4だと思います。
[テレビ(吹替)] 9点(2017-06-15 22:39:44)
3.  ハウス・オブ・カード 野望の階段 《ネタバレ》 
野望の階段を登りつめて国の頂点に立ったフランクのその後。最高権力を握った途端にフランクは勢いを失い、それまでは「大統領になるんだ」という目的の下結束してきたアンダーウッド夫妻が、実は目指していたゴールが違っていたことが露呈して分裂を始めます。攻めに攻めていた1・2シーズンから一転してフランクが防戦一方となった本シーズンでは作品全体の雰囲気が大きく変わっており、また完全な公人となり24時間の監視に晒されたことでフランクが裏工作に動くような展開もなくなったために、かなり真っ当な政治ドラマに落ち着いています。前シーズンまでのトーンが好きだった私としては最初の数話にはあまり乗れなかったし、中弛みしているエピソードもあったため序盤はイマイチだったのですが、それでも終盤できっちり盛り返す辺りは、さすが名物ドラマです。 終盤にて、フランクは多くの取り巻きを失います。これを裸の王様状態になったフランクの自業自得として見ることもできますが、私はフランクに大きく感情移入できました。どいつもこいつも大統領に一方的な期待ばかりを募らせ、望んだ見返りを得られないと見るや「私のことはどうでもいいのか」などと言って離れていく。権力者になって受けられたものは敬意ではなく文句ばかりで、これではフランクもイヤになるでしょう。 まずシャープ。シーズン2にてフランクの抜擢人事によって党内の要職に就いた彼女は、フランクからすれば当然に駒となるべき存在です。しかし、彼女は大統領選で窮地に立たされるフランクとダンバーを品定めし、副大統領職という餌を提示されたことでようやくフランク側に立つ決断をするという恩知らずな態度をとります。その割に、駒として使われたことにブーブー文句を言い、自分の心情に配慮しろなどとお門違いなことをぬかすものだから、フランクも堪らないわけです。まず情を失ったのはシャープの方であり、そこから先は取引というシビアな形で二人の関係が進み始めた。駒となることへの対価は副大統領職の提示で済んでおり、餌を見せることで渋々付いてきているような部下の心情にまでなぜ配慮しなければならないのか。フランクのイライラには、とても共感できました。 次にレミー。元はフランクのスタッフとして働きながらも、敵対者側のロビイストに転職。シーズン2では完全な敵に回っていたにも関わらず、クライアントであったレイモンド・タスクが倒れるやまたフランクの元に戻ってくるという究極の風見鶏でありながら、フランクは大統領補佐官に就けるという実に温情ある対応をします。しかし、彼はフランクに対する恩義などビタ一文感じていない様子で、同じく恩知らずのシャープの逆切れに同調して再びフランクの元を去っていきます。こいつも最悪、出て行かれて正解でした。 最後にクレア。フランクを応援する様は糟糠の妻のそれではなく、自己実現の手段であったことはシーズン1の頃より分かっており、今シーズンではいよいよ彼女も自分の目的のために動き出すのですが、そのタイミングがことごとく最悪。まず彼女は国連大使を目指しますが、大統領の妻が国連大使になるという権力の集中など世論の理解の範囲を超えており、当然議会では否決をされます。ここで諦めればいいものを、旦那にねだりその権力を使って無理やり大使就任するものだから、ただでさえ低い旦那の支持率に悪影響を与えます。しかも、大使でいる間は私情を捨てて公務に徹するべきなのに、肝心の場面では妻に戻って大統領の指示に従わないため、彼女の存在がフランクのアキレス腱となります。彼女もシャープと同じく情と利の両方を求めてくるため、実にめんどくさいのです。クレアの要求に耐えかねたフランクが、「ある時は君を平等なパートナーとして見られる理解ある男で、ある時は君をリードできる頼もしい男。それを君の気分に応じて都合よく使い分けろって言うのか!」とブチ切れる場面では拍手喝さいでした。よく言った、フランク。 ただし、大統領という立場では実質的に離婚という選択肢が残っていないのがフランクの辛いところ。そして、クレアは旦那の弱みをよく理解していて、容赦なくそこを攻撃してきます。シーズンクライマックスでは旦那の選挙戦における重要局面においてスキャンダルを起こそうとするという、最悪の行動に出ます。あなたは共倒れって言葉を知らないのか。女性って、男が一番困るであろうタイミングで騒動を起こすと脅迫し、自分の言うことを聞かせようとしますね。絶対にうんとは言えない状況で「じゃ、離婚よ!」とか言ってくるうちの嫁を見ているようで、実に複雑な気持ちになりました。がんばれ、フランク。
[テレビ(吹替)] 7点(2017-06-01 23:55:53)
4.  ハウス・オブ・カード 野望の階段 《ネタバレ》 
前シーズンにて野望の階段をひとつ上がったフランクの次なる戦いが描かれるシーズン2ですが、作品の趣はかなり変わったように感じました。前シーズンでは自分より格下の者を掌で弄びながら野望を実現させていたフランクですが、戦いのスタージがワンランク上がったことで自分と互角もしくはうわ手の敵が相手となり、フランクが状況を意のままに操るという前シーズンにあった爽快感はかなり失われました。この点で、シーズン1がお気に入りだった私としては多少の失望がありました。 ただし、米中の財界の大物を敵に回しての戦いには緊張感があったし、そんな陰での死闘を表にはまるで出さず、上司たる大統領に忠臣として取り入ろうとするフランクのイヤラしさは相変わらず見ていて楽しく、世界中の中間管理職がフランク・アンダーウッドの振る舞いに拍手喝采したのではないでしょうか。 ついに大統領に野望が発覚した後、大統領とフランクが主導権争いを繰り広げるラスト2話の盛り上げ方は非常に素晴らしく、それまで着々と準備してきたカードを一斉に切っていくという総力戦感や、すべてのカードを切りつくし運を天に委ねるしかなくなった瞬間の焦燥感などが見事に演出されています。
[テレビ(吹替)] 7点(2017-06-01 23:54:53)
5.  ハウス・オブ・カード 野望の階段
最近のハリウッドは中国市場向けの超大作か低予算のドラマしか作られなくなり、大人の鑑賞に耐えて、かつ、それなりの娯楽性も確保された中規模予算の作品が壊滅状態になっています。その影響から、思うように作品を撮れなくなった映画界の人材がテレビドラマへ移動するという現象が起こっているのですが、そんな中でもとびきり豪華な布陣で製作されているのが本作です(ネット配信のみでテレビ放送されていない本作をテレビドラマと呼ぶべきかどうかは微妙なところですが)。 デヴィッド・フィンチャーとケヴィン・スペイシーが製作総指揮を務め、フィンチャー、ジェームズ・フォーリー、ジョエル・シュマッカーといったハリウッドの一流監督達が各話の演出を手掛けるという、史上最高とも言える人材により支えられているドラマなのです。これだけのメンツが揃えば視聴者側の期待も否応なしに高まるところだし、しかも本作は有料会員向けサービスの目玉コンテンツとして位置付けられていたこともあって「普通に面白い」程度では許してもらえない作品なのですが、本作にはそうして極限にまで高まった期待にきっちり応えるだけのクォリティが確保されているのが凄いところ。知的で面白く、そして深いのです。 主人公・フランク・アンダーウッドは剛腕で党をまとめあげる縁の下の力持ち的な役割を担ってきたという、イケイケ時代の小沢一郎みたいな政治家です。ギャレット・ウォーカーの大統領選に協力して見事ウォーカーを当選させたものの、協力の前提条件として約束されていたはずの閣僚ポジションが与えられなかったことから、ウォーカー大統領を失脚させるための策略を巡らせます。ただし、上司である大統領の首を直接取りに行くような危険な方法はとらず、表面上は忠実な部下として有能なところを見せながらも、こっそり裏で手を回してウォーカー肝いりの政策を潰したり、子飼いの議員を狙い撃ちにして破滅させたりといった陰湿な方法をとるのが面白いところです。そして、その過程をわかりやすくするために「ほら、バカが騙されたぞ」みたいな感じでフランクが第4の壁を越えて視聴者にホンネで話しかけてくるという演出が施されているのですが、ケヴィン・スペイシーの芸達者ぶりと相まって、これがまた面白いのです。 フランクはモラルをまったく持たない悪人なのですが、多くの視聴者は彼の非道に拍手喝采します。それは、フランクの戦いはまんま企業のヒエラルキーに当てはめて見ることが可能であり、ソリの合わない上司と自分を押し殺して付き合ったり、同期に先を越されたり、パっと出の若手からの突き上げを受けたり、社外から求められる責任に応えたりといった、世の中間管理職が抱えるストレスがこのドラマではまんま表現されているからです。ただし普通のサラリーマンと違うのは、自分の顔に泥を塗った相手をフランクは決して許さず、時間をかけてでも必ずやり返しにいくということ。しかも、自分の手は汚さないよう巧妙に小細工をしながら。そして、まんまと術中にはまって消えていくライバルに対して「騙されたお前が悪いんだ」と捨て台詞を吐く。こうした一連の過程が、このドラマに強烈なカタルシスを生んでいるのです。 また、モラルがないゆえに世の真理を突いた発言をフランクがすることも本作の見所となっており、実生活でも使いたくなる名セリフに溢れています。 ・権力の階段を上るゲームにルールはひとつだけ。狩るか狩られるかだ ・ライオンはシマウマを食べる前に許可なんて得ない ・権力者にノーと言うのは勇気がいる。だが敬意を勝ち取るには効果的な手だ ・正体を暴けば相手を言いなりにできる
[DVD(吹替)] 8点(2016-05-25 00:31:54)
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