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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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221.  アントマン 《ネタバレ》  傑作でした。マーベルものって事で、これも『アベンジャーズ』絡みの一編ではあるものの、そこら辺のゴチャゴチャした知識なんて一切無くても楽しめる程度の作りである点が良かったです(S.H.I.E.L.D.が出てきたり毎度のエンディング後の映像があるので知識があった方が判るのは確かですが)。  ヒーローになる過程は微妙に長さを感じさせて、もう少し簡潔でも良かったんじゃないかなと思いましたが、冴えないおっちゃんが娘に会いたいがために奮闘する姿がコミカルに描かれていて楽しめました。  あまりアタマのよろしくないワルの仲間達など、物語の足を引っ張るんじゃないかと最初のうちはウンザリしちゃうんですが、これが意外なチームプレイを見せて痛快な存在になってゆき、映画がクライマックスに向かってどんどん加速してゆく感覚にワクワク。  でも最大のポイントはやっぱりサイズの変化によって様々な新鮮な見せ場が楽しめる事。日常空間がスリルとサスペンスを生むバトル世界となり、サイズを活かした戦闘を繰り広げ、そして笑いを生んで。アメコミ映画の濫造によってこの世界での戦いはもはや力のインフレ状態に陥っていた感がありましたが、そんな中でまだこんな新鮮な楽しみを生む事ができるんだ、って感心。  一応、地球のピンチに繋がる可能性云々とかいう話ではあるのですが、大風呂敷を広げずコンパクトなサイズで娯楽エンターテインメントにしていて見やすい作品でした。アメコミヒーローものって世界規模の話なのにごく狭い関係者だけで話が進むみたいな不自然さを感じさせるものが多く、その点、これくらいの範囲だとそれも気になりません。  休日のシネコンには男子中学生のグループがいっぱいいて盛り上がっておりました。やっぱりああいう連中を湧かせてこそのヒーローものですね。  あと蟻めっちゃかわいい。[映画館(字幕)] 8点(2015-09-23 20:54:45)(良:3票) 《改行有》

222.  カリフォルニア・ダウン 《ネタバレ》  娯楽エンターテインメントってヤツです。だからここから何か教訓を得ようとか、メッセージ性が云々とか、そういうのを求めても無駄っていう。不謹慎とかなんとかっていうのも的外れ。  昔ながらのパニック映画。映像的には最先端ですが、お話的にはクラシカルな要素の寄せ集め。科学者や専門家の健闘虚しく大災害が起こって、そこから生き延びようとする人々の苦難が描かれる、それだけ。見終わって何かが残るってほどのモノでもなく。  脚本的にはツッコミどころ満載。ドウェインがレスキュー隊の隊長なのに大地震後は行動が自分の家族を助ける事だけに終始するとか、それどころか津波後のボート大暴走は「それ確実に何人か轢いてるだろ!」とか。あの社長はそこまで悪いヤツか? 知り合った兄弟だって最後には水没する彼女を見捨てたじゃん、とか。留守電に入れたメッセージが結局なんの意味もなかったですし。大地震起きても地下鉄運行してるし。  ロスから娘のいるサンフランシスコに向かうロードムービー的展開に「このパターン、アメリカの安い製作費のチャチなビデオスルーのパニック映画によくある」ってイヤな予感。それでもB級に堕ちずになんとか留まっていたのはやはり映像テクノロジーのお陰ですか。  74年の『大地震』のリメイク的な面があって、崩れるビルや高速道路、落下する人、落下する瓦礫、ダム決壊、降り注ぐガラスなど、映像的に共通する要素が沢山。それが今のテクノロジーで圧倒的な迫力をもって描かれます。映画の中の出来事なればこその、破壊の快感に満ちていて。  でも大地震映画ならセンサラウンドが欲しかったところ。今の映画館の通常の音響設備ではセンサラウンドは再現不可能で(サブウーファー何基入れたってデジタルのブルンブルンした音じゃねぇ)、その点ではむしろ退化。  それにしても『モンスターVSエイリアン』『ゴジラ』コレと最近ゴールデンゲートブリッジはよく落ちます。『猿の惑星:新世紀』『ベイマックス』(アレは鳥居型ですが)『インサイド・ヘッド』にも出てきますし『アントマン』にも出てくるっぽいですし、金門橋、流行り?[映画館(字幕)] 6点(2015-09-16 22:59:46)《改行有》

223.  キングスマン 《ネタバレ》  コリン・ファースの退場の仕方、あんなんで良かったと思います? あれ、納得できます?  どうにも面白いと言ってしまえないひっかかりどころが結構あって。  マイケル・ケインは頭部爆発の原因が判明して以降も普通に傷晒していて結果的にどんだけ大穴よ?ってくらいの墓穴掘るし。  サミュエル・L・ジャクソンの思想と計画のオリジナリティの無さ(それは作品全体を貫くモノのオリジナリティの無さに直結します)、その軽薄な描かれ方には悪意を感じるし。  アクションシーンは例によってコマ切れで見づらく。  でも、それらよりも個人的にはせっかくのスタイリッシュなスパイアクション映画がグロテスクな映像とグロテスクな精神で汚されている感じがとても嫌で。  教会のシーンと『威風堂々』のシーンには嫌悪感しか湧きません。アレを笑って見られる神経が私の中にはありません。  007や『それゆけスマート』『おしゃれマル秘探偵』(あるいはそのリメイクの『アベンジャーズ』・・・マーベルのでなくレイフ・ファインズとユマ・サーマンのアレ)などのオマージュのようでありながら、それらが築いた伝統をも汚してしまっているような感覚を受けてしまって。  キングスマンの基本設定は良いのにそれをわざわざバカ映画にしてしまった感じでガッカリでした。[映画館(字幕)] 4点(2015-09-16 22:23:38)(良:1票) 《改行有》

224.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》  超限定的な名作。  『シュガーラッシュ』『スコット・ピルグリム』同様、ゲーマーでないと本当の面白さが判らないという点では同じですが、ハリウッドメジャーな娯楽映画でありながら、その間口は更に狭く。  新風営法施行前のゲーセンで夜を明かしたようなゲーマーにとっては夢のような映画で、そしてそれ以外の人には理解し難い領域を描いているのですよね。だからそこには単なるノスタルジーではなく今に続くモノが込められている、なんて事だって当時からリアルタイムにゲームの進化を見続けている人間以外にはなかなか理解できないでしょうし、あくまで夢物語でちっとも教訓としてオチてない点からして、ちゃんと映画として見て欲しいなんて思ってもいないのだろうなぁ、と。    8ビットのレトロゲーを(あくまで個性を損なわずに)現代の映像テクノロジーでこの世界に出現させる、その素晴らしき世界を誰が否定できるでしょう? メインタイトルとエンドロールを飾るうっとりするようなフォントの美しさ、ラストのQバートの選択だって、あれはゲーマー的にとっても正しいのです。あくまであっち側はあっち側でしかないのですよ、なんて当たり前の退屈な描き方は望んじゃいないわけです(その点、ちょっと残念だったのは字幕がちゃんとゲームに詳しい人の監修を受けていないっぽかった点。「創世記の香りがする」って訳、その「ジェネシス」はアメリカ版メガドライブの事を指してるんじゃありません?)。  で、んなこたぁフツー理解できないでしょ? ある種の断絶を生む映画ではあるわけです。  結局、映画を映画のみで語る事には限界があるのでしょうね。私にとってテレビドラマ映画やテレビアニメ映画の殆どが理解できないシロモノであるのと同様に。だからこれ、映画として云々でなくて(もはやコレを映画として語る事に意味があるとすら思えません)、当時のゲーマー、当時からのゲーマー限定でお薦め。  ちなみに、でも私はこれらのゲーム、ヘタクソでした。『ゼビウス』ならカンストまで行けたんですけどね。[映画館(字幕)] 9点(2015-09-16 21:48:14)(良:2票) 《改行有》

225.  ミニオンズ 《ネタバレ》  ミニオン達の可愛さが第一。なのでブラックな笑いとかSF的ガジェットの世界とかを、これまでの『怪盗グルー』シリーズからの流れで期待してしまうと何やらハンパな感じで。まあまあ、そこそこ、良くも悪くもイルミネーション作品ってこのくらいだったっけねぇ、と。  60年代のイギリスを主舞台にする事でブリティッシュロック流れるレトロなユニオンジャックワールド(『オースティン・パワーズ』にイメージが直結するような)を堪能できたりするのですが、いや、そこってそんなに求められてるモノなのか?っていう疑問も湧いてしまって。そこに拘り過ぎちゃいませんか?とツッコミ入れたくもなる世界で。  それからいくらミニオンの言葉が意味不明だからって冒頭からしばし延々とナレーションで状況説明をしてくるのがなんかとても不粋な感じ。二度目の鑑賞時に注意して見ていたのですが、本来ナレーションが一切無くても映像だけで話は判るように出来ているんですよね。親切のつもりが逆に客観的な視点になって何かよそよそしいモノを生んでしまっている感じがしました。  スカーレット・オーバーキルはビジュアルは魅力的なのですが、彼女に与えられた設定、背景がどうもキャラの魅力に直結していない感じで惜しいなあ。天海祐希の見事な吹き替えによってキャラは立っておりましたが。  犯罪者一家とか犯罪者集団とかエリザベス女王とかの脇キャラが魅力的だったりする一方で、グルーは前2作を見ていてナンボ程度のポジションだったり、肝心のミニオンズはメイン3人(その関係性は『グルー』シリーズのマーゴ、イディス、アグネスのポジションに通じています)以外殆ど個体の見分けが付かないくらいの扱いだったりと、シリーズのファン大満足、ってレベルに達してはいない気がしました。  最も気になったのは『映画ひつじのショーン』との大量ネタカブリっぷりですが(主人探しの旅、イギリスが舞台、上に重なって人に化ける、ちびっこいのが熊のぬいぐるみ抱いてる、アビーロードのビートルズジャケパロ等々)、これはまあ題材的に似ちゃうモンだと。  いっそ「ミニオンズかわい~、ボブかわいい~」っていうそこだけに特化していてもいいんじゃないかと思うのですが、あれもこれもと八方美人的に、あるいは拘りを盛り込んでちょっと雑音が多かったかな。  とはいえやっぱりミニオンズは魅力的で彼らの奮闘っぷりにおっさん、ちょっと泣けましたわ。[映画館(吹替)] 6点(2015-08-12 21:03:59)《改行有》

226.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》  トムの映画ってば毎回俺様っぷりがハンパなくて、その「俺を見て見て!」っぷりは「お前はジーン・ケリーか!」みたいな状態で、『M:I-2』の頃なんかはそれが鼻に付いちゃって仕方なかった訳ですが、最近のトムはその俺様っぷりにキチンと俺様なりの筋を通してる感じがします。  冒頭の飛行機シーンだって物語にとって必然性のある映像って訳じゃない、始めに「凄いコトしちゃってる俺ちゃんを見て見て」ありき。だけど常識で考えて「離陸する飛行機にノースタントでしがみつくハリウッドのTOPスター」なんていないですよ。冒頭が凄くて霞みがちではありますがバイクチェイスのシーンにしたってめっちゃ大変。  「やっぱりカッコいい俺様をしっかと見てもらうにはそれ相応の凄いコトしてみなきゃね」っていう。凄まじき映画バカっぷり。  映画自体はキープコンセプトって感じです。『知りすぎていた男』オマージュなオペラシーンや、カースタント、バイクスタント、水中時限サスペンス(このシーンはCG臭ハンパないんですが)と見どころを散りばめつつもIMFピンチ!(組織名までいちいち覚えてないんで予告編では国際通貨基金の敵だとか解体とかって何?世界規模の金融危機サスペンス?とか思っちゃったんですけどね)の窮地からの脱出パターンは毎度おなじみ。新味には欠けますが、悪いヤツに翻弄されながらも最後には大逆転なお話、そのカタルシスを味わわせて貰えました。  個人的にはヒロインより「彼女が今回のヒロイン?・・・って殺されちゃった・・・」なお嬢さんの方に魅力を感じたりしましたが。  大予算で俺様っぷりを発揮しながらちゃんとエンターテインメント。今や誰も真似の出来ない(かつてはジャッキーがそうでしたが)映画バカゆえの意地の成せる技を堪能できる映画でした。[映画館(字幕)] 7点(2015-08-12 20:00:06)《改行有》

227.  ヒックとドラゴン2 《ネタバレ》  映画的には6~7点くらいって感じなのですが、前作が私の生涯ベストワンでスクリーンで58回見てシネコンで貸切の上映会までした、それだけ思い入れのある作品の続編の個人的感想としては精一杯でも4点というところで・・・  まず私が最も問題に思ったのは今日的な現実を反映し過ぎた作りだと言う事。フロイトのエディプス・コンプレックスをあからさまに引用し、9.11がなければ存在しないような物語であり、その現実感は『ヒックとドラゴン』の世界に意識が入り込んでゆく事を阻害します。  トゥースがヒックと一心同体である事が描かれた上でのストイックの最期は父親殺しを示していますし、母親とのランデブーは近親相姦願望をイメージさせる、つまりこれは絵に描いたようなエディプス・コンプレックスの世界なわけです。そしてそれは前作をも穢してしまう事になるわけで、トゥースは男根の象徴であり、テストドライブのシーンは精通と射精の快楽を、トゥースがストイックに連れ去られるシーンは去勢の恐怖を象徴していると取れます。もちろん、到底受け入れ難いです。  また理解し合う事のできない敵を配し、「誤った思想」を「正しい思想」の下で力によって制圧する事の正義なんていうのを描かれた日にはアメリカの大義を感じない訳にはいかず、そんな事を『ヒックとドラゴン』でやるなよ・・・と悲しくなります。  この作品内ではヒックはもはや成長もせず(妙に悟ったつまらないキャラで状況を受け入れるだけ)、ヒロインであった筈のアスティにはドラマすら無いヒックの飾りポジション。ラフの方がよっぽどドラマがあるっていう。  また、描きたい事を優先させるあまりに展開に不自然な点が多く、キャラの行動に納得がいかない点ばかり。敵ボス前でヒックが延々と儀式的行為に走り、ボスは何故かそれを放置するという状況が二度も存在しているあたり、どうにも擁護のしようがありません。  作品の価値を高めようとメッセージ性を強めたがゆえに逆に妙に視野が狭く不自然な流れの映画になってしまっている気がしました。  それでも日本では劇場公開されなかったのが残念でなりません。私はたまたまイベント上映に応募してシネコンの大スクリーンで見る事ができましたが(ブルーレイ上映でしたが)、劇場で見たかった多くのファンが涙を飲む事になりました。最近、やたら日本の映画後進国っぷりを象徴する出来事が起こりますが、これもそんな中の1つ。20世紀フォックス配給になってから6本製作されたDWA作品はまだ1本も公開されておらず、中でやっと『ペンギンズ』がビデオ発売と同時に限定公開という扱い。早く他社に配給が移って欲しいもので。[試写会(吹替)] 4点(2015-07-24 22:11:58)《改行有》

228.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》  シンプルなキャラクターがシンプルに織り成す複雑な「心」の物語。  ライリーという一人の少女を中心に据えてその心の動きと精神の成長を描いていますが、それはライリーのみの閉じた世界ではなく、誰にも共通して存在する世界。映画を見ているうちに自然と観客は自分を見つめる事になります。これは子供向けのようでありながら、全ての世代に対応した物語。  指令室から放り出されてしまったヨロコビとカナシミが帰還するまでの冒険物語は、引越しによって大きく揺らぐライリーの心にシンクロし、そこには成長する事の痛みが描かれます。谷底に棄てられた無数の記憶、イマジナリーフレンドとの別離はこちらの深層をも揺さぶってきます。可愛らしいキャラクターとファンタジックな映像によるポップな映画のように見えながら、非常に奥の深い作り。  ディストピアもののようなスタイルで、世界が滅びに向ってゆくファンタジー(そう、『指輪物語』や『はてしない物語』のように)でもあって、そこには暗さ、重さ、悲しさといったネガティブなイメージがつきまといます。でも、それこそがこの映画のテーマを映しているのですね。悲しみもまた成長にとって重要な感情であるという事。喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れ、それらと上手くつきあって成長する。自分はそれと上手くつきあえてますか? 子供や他人のそれと上手くつきあえてますか? そんな事を考えさせてくれる映画。  そこにはディズニー、ピクサーの作品的成長すらも反映されていて、アメリカのアニメーションの奥行きと可能性をしっかと感じさせてくれる作品でした。良質なものに触れて心を豊かに、そんな成長の欲求を満たしてくれる映画だと思います。 【追記】字幕版を見てきましたが、字幕版の方が理解しやすいようです。吹替版は何故か抽象的表現が多くて難解になっている気が。それにしてもセリフだけでなく各所のブロッコリーの映像を全てピーマンに置き換えてあるあたり、ディズニーのローカライズ能力は凄いです。 【追記2】日に日に思い返しては心の中で大きくなってゆく映画で、なので点数をちょっと訂正。本当はいちばん悲しい存在なのはヨロコビ(ジョイ)なんですよね。それが切なくて。[映画館(吹替)] 9点(2015-07-23 13:59:55)《改行有》

229.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》  ジャパンプレミアで鑑賞。  予告編時点でイヤな予感はしました。その映像や設定から連想されるのが『ジョーズ3』だったり『ディープブルー』だったり。  で、実際に見てみたら見事にそこら辺の感じと言うか、もう少しレベルダウンして『ジュラシック・ランド』とか『ダイナソー・パーク』とかいったタイトルが付いてるような、ビデオスルーの低予算亜流映画みたいなお話し(実在する作品的には『シャークトパスVSプテラクーダ』に設定や話が近いです)。そういう映画のCG部分がチャチじゃなくて超豪華仕様になってます、って感じ。  ここ一番ってところのキメの演出、パシッと決まった画で飾るってのが、もう全然出来てないの。恐ろしいもカッコイイもなんだかダラーンと繋がった画の中に呑み込まれちゃっていて、そんな中ではキャラクターの感情もメリハリが薄く感じられて、存在感のない、軽い登場人物ばっかりのB級感。初代『ジュラシック・パーク』は今見ると大仰な演出が目立ちますが、あのくらいやってくれるからこそ人間も恐竜も際立って見えたわけで。  テーマパークのスケール感やリアリティは格段に上がっていて、大ゴトっぷりも今までの比ではない筈なのに、なんでみんなそんなに呑気に喰われちゃってるの?みたいな。  2万人もの観客が危機に陥る中で、パークの人間達の行動には疑問符付きまくりですし、クリス・プラットの人間的魅力が描かれていないので恋愛描写も子供達の信頼も取って付けたような状態。子供達に与えられた設定が最終的にちっともドラマに昇華されていかないもどかしさ。  それでも点数がいいのは子供目線でワクワクする恐竜ランドの世界をハッキリと視覚で見せてくれたから。これまで部分部分でしかなかった、あの島に広がるテーマパークが完成されていて実際に大勢の観客がいて、その中でみんなと一緒にドキドキの体験をするような感覚。それは一作目の『ジュラシック・パーク』の、観客を島内ツアーに誘う作りに見事に則っています。  最近大活躍のマイケル・ジアッキーノ担当の音楽も手伝って、その世界のワクワク感は『トゥモロー・ランド』と似ていたりしますが、両作ともこれまでは成し得なかった子供の夢の具象化が今の技術で表現可能になったという点で感慨深いです。  あと、恐竜にこれまでは殆ど無かった性格・個性・意思を与えている点は賛否あると思いますが恐竜がキャラ立ちする事で怪獣映画っぽくなって個人的にはそれはそれで心ときめく感じで。クライマックスなんか、色々な不満をねじ伏せる気持ち良さ。  なのでこれは大画面、大音響で楽しんでこその映画。シリーズに則ってビスタサイズなので通常のスクリーンよりもビスタサイズを大きく表示できるIMAXの方がより効果的かもしれません(TCXならフルサイズがシネスコの日本橋、新宿、六本木よりもビスタの船橋ですね)。アトラクション要素が強いので4DX、MX4Dでも存分に楽しめるでしょう。  正直なところ、映画としてはツッコミどころ満載なのですが、細かい事は気にせずに、その見世物映画っぷりを味わうのが吉という映画でした。[試写会(字幕)] 7点(2015-07-16 23:12:34)(良:4票) 《改行有》

230.  ターミネーター:新起動/ジェニシス 《ネタバレ》  「審判の日を回避するだとぅ? 『2』の愚行を再び犯すのか!」と予告編見て憤懣やるかたない状態だった『1』至上主義な私ですが(なので個人的には『2』よりも『3』や『4』の方がまだマシ)、本編見たらそれ以前の問題でした。どんどん別の時間軸が生じて、どんどん書き換え可能です、って設定にしたらさ、もうなんでもアリだっての。そんなもん、幾らでも作れちゃう。  映画は二次創作みたいな状態です。『1』と『2』の事が大好きなオタクが妄想爆発させました、みたいなシロモノで、その両作の設定をひたすら弄ぶばかり。物語は『4』以外の定型フォーマットに則って毎度おなじみの事してます、って状態。何か新しい事をしたか、と言えばその都合のいい設定をした事と、今回の敵が(既に予告編時点でネタバレしてるので書いちゃいますが)ジョンだって事くらい。それだって過去の設定を弄んだだけですけどね。  T-800が老けてる部分を始めとして「むしろファンとしてこのオマージュから来る面白味を共有してね」的な甘い作りが目立ちます。でも、そのワリにそこはおかしいんじゃない?って部分もあって。カイルがジョンから貰ったサラの写真は途中で燃えちゃうハズじゃなかった?みたいな、そもそも『1』と比較してズレてる部分があれこれあるんですけど?って点があって。  大体、シュワT-800の顔にはとことんこだわってるクセになんでサラとかジョンとかカイルとか似てなさ過ぎなん?  でも今回最大の問題はキャラにちっとも魅力がない点ですね。T-800は単なる過去作のパロディキャラの域を出ませんし、サラはこれまでと別の第三の人格として登場しますが背景がややこしい事になっているので背負ってるものの重さが見えてきません。カイルに至っては一切の影が無くなってただの短気なおっさん。T-1000は単なる咬ませ犬で「これでもか」っぷりがとても希薄。  色々なシチュエーションを並べて「これって面白いでしょ?」って見せつけてくる感じですが、キャラに魅力がなくて、どうとでもなる設定では危機感も希薄になって、もう『ターミネーター』の世界で遊んでます、って感覚。  謎を残して更なる続きの予感を示して終わりますが、この物語に延長線を引っ張ったところで同じ事をダラダラ続けるばかりになる気がするんですが。  未来に向かうとか言いながらひたすら過去に囚われ続けてちっとも未来に進んでいかない皮肉なデキの映画ではありました。[映画館(字幕)] 4点(2015-07-10 22:06:49)(良:3票) 《改行有》

231.  アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ネタバレ》  「今回は社長の発明が地球の危機を呼ぶの? じゃあなんでもアリな神様相手と違って面白いかも」って思ったんですけどねぇ、結局いつものヤツで。そもそもあの杖の存在が一見さんお断りを高らかに宣言しちゃってる訳で、ちゃんと関連作全部見てきてるハズの私だっていちいち覚えてないっての。  とにかくゴチャゴチャ。ただでさえヒーローいっぱいな上に絡んでくるキャラがいっぱいでエピソードが複雑に絡み合う、と言うよりももう少し整理しようよ、ってレベルでゴテゴテと盛られてる状態。マイケル・ベイとかクリストファー・ノーランの映画みたいにとにかくエピソードたっぷり詰め込んでおかないと不安です系ハリウッド大作のパターン。  ウルトロンが成立してゆくまでの過程とか、新ヒーロー誕生までの過程とか、なんであんなに回りくどい必要があるの?みたいな。  ヒーローに対する洗脳もいちいち進行の足を引っ張ってる気がしますし。その恐れから見る夢というか幻覚がキャラによって過去か未来かの差がある点が興味深くもあったりするのですが、全員洗脳される訳でもないのでなんか半端です。  クライマックスのスペクタクル要素満載なアクションシーンはもちろん面白いのですが、そこまでさんざん自分達のせいで大ゴトになってるのに人命救助がメインな展開になるっていうのはツッコミどころですか。ヒーローはやっぱり人命救助してこそ!みたいな?  ハルクVSハルクバスターとか、アクションシーンは総じて面白かったと思いますけど、何やってるのか判りづらい状況が多かったのはIMAXのいちばん前なんて席で見た私が悪かったのかな?  結局ファンのためのお祭り映画。そんなに各キャラに思い入れない私としてはスカヨハのブラックウィドウが心の拠り所でしたね。クインジェットからバイクで降りるシーンなんか、『ガッチャマン』でゴッドフェニックスから降りる白鳥のジュンのバイクを思わせて心躍りましたわ。  クライマックスで敵だったスカーレット・ウィッチにホークアイが「ここから外に出たら君もアベンジャーズだ」って言うあそこの上がりっぷり、あの上がりっぷりをもっともっと体験したかったなぁ。[映画館(字幕)] 5点(2015-07-05 09:32:45)(良:2票) 《改行有》

232.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》  個人的には「ツイッターのTLに溢れてる“映画史に残る大傑作”って程の映画じゃあねえよなあ」とは思いましたが、でも面白かったです。  映画のルール的にはどうなんだろ?って思う部分もありました。イマジナリーラインをガン無視していて、それはそれでスタイルとしてアリなんですけど、その無視し過ぎっぷりが爆走のベクトルを曖昧にしちゃってるんですね。みんなして迷走状態なの。どっち目指してるのか、逃げてるのか立ち向かってるのか、映像的に決まった方向性が無いので、もう乾いた大地をひたすらグルグルしてるだけです、って感じになって。  だからノンストップ猪突猛進映画を期待していたら、意外と足が鈍ってるところがあるぞ、みたいな。そこで今ひとつノリきれなかったかなぁ。  映画自体は西部劇の超最新作、あるいはヒャッハーの世界のチルチルとミチルみたいな、古典的な要素が礎にあって、それが独自性の強い世界観で語られるのが良かったと思います。暴力的ですが、抑制が効いていて激しい生理的嫌悪感を与えるような映像はありません。むしろそこには特有の美しさがあって。  ヒャッハーの祖がデジタルの時代の毒々しい色彩を用いてヒャッハーの美学、ヒャッハーの美を徹底的に描出してみせる、その映像と音響の陶酔感は他では得難いもの。大スクリーンに大音響という環境にこそ相応しい、イベントムービーでした。[映画館(字幕)] 7点(2015-06-30 21:06:02)《改行有》

233.  トゥモローランド 《ネタバレ》  謎をひっぱり過ぎたせいか、知りたいところがちゃんと見えてこない困った映画。  ユートピアがどのような意志によって成立していったのか、そしてそれが何故独裁者が支配する排他的世界へと至ったのか、その辺がどうも明確でないので映画全体がモヤモヤとした印象。とにかく肝心の後半がバタバタ。世界は大量のセリフによって説明され、それを咀嚼する間も与えられず少人数な登場人物のまま戦いが行われ世界は救われました、みたいな。  見終わって、なんかヘンな映画って感覚は否めません。  でも、それでもここまでいっぱい好きなものを並べられてしまうとね、低い点数付けるわけにもいかなくて。  最初のディズニーお馴染みシンデレラ城から既に世界は夢のトゥモローランド。レトロフューチャーなデザインの中にちゃんとディズニーランドのトゥモローランドのデザインも紛れ込んでいて(スペースマウンテンなんかハッキリと存在を主張してます)。  昭和の昔に少年少女が夢見た希望に溢れた未来都市がこうして明確な形でヴィジュアル化されているのを目の当たりにして、ときめかない訳がありません。  数々のSF映画のオマージュ(っていうかモロなモノいっぱい)まで散りばめられたそこは幸せに満ちた映像空間。  そして都市の守護女神の名を持つアテナ。クラシカルな魅力を持った謎の美少女。彼女の存在によってこの映画はまばゆい輝きを放ちます。想像もしなかった彼女の意外な見せ場も満載で(笑)  セリフで語られるテーマは安直に思えますが、でも、実際にそういう夢を見ていた人々が、今、未来に希望を見いだせなくなっているという現実。この映画に対する批判に多く見られる選民意識、それを感じるならば、それこそが未来に希望を抱けていない事の証明のような気もします。何故自分は選ばれる側の人間だと思えないの?と。夢と希望を持ち努力する全ての人間にトゥモローランドは開かれる、そんなオプティミスティックなメッセージを受け止める事がポイントだと思います。  『鉄腕アトム』と『メトロポリス』と『火の鳥2772』を足したような、本当に手塚治虫な世界の映画で手塚ファン必見の作品でもありました。[映画館(字幕)] 9点(2015-06-09 21:47:31)(良:2票) 《改行有》

234.  ピッチ・パーフェクト 《ネタバレ》  困ったなぁ。結構良かったんですよ。笑えるし、エキサイティングだし、感動もできるし。でも。  全体的にはコメディで軽め。結構、描き足りていないエピソードがある感じ。恋愛部分はかなり物足らないですし、父親とのわだかまりも類型的で薄べったい、基本的なキャラ設定レベルの背景があるだけ。メンバーでキャラ立ちしているのは半分程度ですし、寮のルームメイトの韓国人の扱いは殆どどうでもいいレベル。  それに悪役ポジションの存在に最終的に全く罰を与えていないのが気になりました。ヤツはあのままでいい訳がないのですが。  それでも、スタイルに固執して退屈なパフォーマンスしかできなかった大学のアカペラ・グループが個性的な新入生を寄せ集め、バラバラでまるで調和していなくて、それぞれ反目しながらも実力を付けて上を目指してゆく、それはそれは熱いドラマを見せてくれます。  主人公ベッカを演じるアナ・ケンドリックは表情の変化に乏しい気もしますが、『イントゥ・ザ・ウッズ』の冴えないシンデレラよりは血が通っている感じですし、突き抜けたおデブの“ファット”エイミーや、ちいさな声で恐い事を言う東洋人リリーが魅力的。  ライブ・パフォーマンスシーンは鳥肌モノですし。  で、だけど最大の問題はゲロネタ。この映画の場合、ちょっとしたお笑いのために出てくるのではなくて、ドラマの中心に存在しちゃってる状態なんですよね。ゲロネタやめて、ってこれまで何度も何度も何度も書いてきてるわけですが、これは他とはレベル違い。かなりヤバめで。映画見てる間に具合悪くなりました。なので、良かったのだけれども、もう二度と見たくない映画になってしまっていて。もう少し他の何かにできなかったんでしょうかねぇ。ゲロで笑い取る映画ってのが苦手なので大減点状態になってしまいました。カンベンして・・・[映画館(字幕)] 5点(2015-05-29 21:39:29)(良:2票) 《改行有》

235.  メイズ・ランナー 《ネタバレ》  ティーン向け小説の映画化で3部作の1部目とか、コレ絶対ダメなヤツじゃん!って思ったのですが、意外にも面白くて。  このテの何部作モノ映画って最初に設定の説明を延々とし始めるような、いつになったら本題に入るのよ?ってシロモノが多かったりするのですが、コレは主人公が記憶を失っていて、一体そこがなんなのか全く判らないという設定。観客は主人公と共に物語の進行によって世界を知ってゆく構造になっています。ロールプレイングゲームによくあるテではありますが。  しかも、主人公が訪れた事でそれまでの世界に変化が訪れ、更にこれまで若い男だけだった世界に最後の一人としてヒロインが現れて更なる波乱を生んで、といった感じでどんどんと状況が転がってゆきます。「一体どうなっているんだろう? これからどうなるんだろう?」という興味がずーっと続いてゆく状態ですから、映画に対する意識の集中が途切れてしまう事がありません。  で、「このダンジョンの中だけで3作かけて延々出口探しするのかいな? 中でグダグダと人間同士の葛藤のドラマとか見せられちゃうのかいな?」と思っていると全然違って。葛藤はあっても状況が追いかけてきますから、物語はどんどんと先に進みますし、この映画だけでひとつの完結を見せ、また次なる展開へと続いてゆきます。最近の邦画の何部作モノにありがちな、儲け出すために分けました的な、1本では全然成立していない内容の薄い作品と違って、ちゃんと映画1本見た、っていう満足感はあって、そして続きも見たい、という気持ちになって。  難点としては主人公がワリと軽率に行動する系であまり共感できず、むしろ悪役になっちゃう保守的な少年の言う事に一理あると思ってしまう点ですか。あと『ハンガーゲーム』に似た部分が結構ありますね。  外へ外へと向かってゆく、どんどん開かれてゆこうとする物語のベクトルには気持ち良さがあって、見る前に抱いていたイメージと違って、なかなかに侮れない作品でした。[映画館(字幕)] 7点(2015-05-25 22:33:33)《改行有》

236.  フォーカス(2015) 《ネタバレ》  いやもうすっかり騙されました。どれだけ凄いトリックが隠されているんだろうと思ったら、なんか見事にケムに巻かれてしまって。エンドロールが出てきた瞬間に「え? まさかそれで終わり?」って。映画自体でなく、映画会社に騙された感じ?  前半は窃盗団の犯罪行為を描いているがゆえ全く共感はできませんが、スピード感のある展開で楽しませてくれます。もっともウィル・スミスがいちいちヒロインからスってみせる映像が具体的なテクニックを一切見せない、ただの魔法状態なのでイヤな予感はしましたが。  そこから「3年後」ってブッツリと切れた中盤はダレダレ。グダグダな男女の駆け引き描写が続いて、でもそれもきっとクライマックスのための伏線なのだろうな、と思うと耐えてこそのグダグダなんだろうな、と。  だけどクライマックスは「それで終わり?」なんですよ。しかもそのオチすらも、もはや古典と化した有名な映画から臆面もなく頂いてきました、という。ある意味、意外な展開です。まさかその程度でお茶を濁すとは、っていう悪い意味で、ですが。普通はあの映画との類似は意識して避けるよね・・・  結局、コレもまた最近目立つウィル・スミスの俺様映画の一本という感じでした。ヒロインはキレイでしたけど。[映画館(字幕)] 4点(2015-05-25 21:51:02)《改行有》

237.  チャッピー 《ネタバレ》  『ロボコップ』と『ショート・サーキット』と『A.I.』(ついでに『アンドロメディア』)足したような映画、なんていうのは見れば判りますが。んー、つくづくこの監督の趣味と合わないとしか言い様がないです。見てる途中でもう「くだらない」って思い始めて。  チャッピー、バカに育てられるんですよね。延々バカの繰り広げるバカ描写が続いて。そこを全く楽しめない、むしろ不快って思うので、どうしたってつまらないし、くだらないと思うし。で、そこには批判がなくて、むしろバカをヒーローのように描く、なんだかんだこのバカを持ち上げてる、このバカにリスペクトしてる訳で、それはもう趣味合わないとしか言い様がないです。バカ一家の『アルマゲドン』(その更に元ネタは『ライトスタッフ』だと思いますが)な横一列スローモーションなんか「本当にくだらないわ」って。  そこに教育とは何ぞや?って問いかけがあるのは判ります。ダメな環境に生まれ育ち、ダメな個性を身に付けていってしまう、だけどダメなりに救済されるべき、正すべき道は残されている、って。だけど「バカがドンパチ」ってのが本当にやりたい事なんだよね、ってのが容易に見て取れる訳で。  前2作とタッチ一緒。この監督、引き出し少ないっていうか、スラムとSFと人体破壊しかないんか、っていう。日本公開版はその少ない要素のうちの1つすら削っちゃって、それも露骨に「削りました」っていうのがハッキリ判るような不自然さで、あーあ、って感じで。  デジタル生命体ネタって好きなのですが、こういうおふざけみたいな扱い方をしてるのは嫌。  ソニー作品毎度の得意芸、VAIOとプレステ4を使った手前味噌っぷりも失笑モノではありました。[映画館(字幕)] 4点(2015-05-24 22:13:39)(良:2票) 《改行有》

238.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》  タイトルから、何かほのぼのとした映画かな、って思ってたのですが、これがもう大変に厳しい映画で。  スーダンの内戦で孤児となった4人の難民がアメリカに移民として受け入れられる話、映画はまず4人になるまでを描きます。  アフリカの雄大な自然の中での平和な生活、侵略、父母の死、国境までの長い長い逃亡生活、倒れ死んでゆく仲間達、信頼していた兄との別れ。幼い少年少女が不条理な暴力に翻弄される姿が胸に突き刺さります。  彼らが大人になり、難民キャンプを離れて渡米してからは明るさが見えてきます。半ば巻き込まれるような形で彼らに付き合うようになるリース・ウィザースプーンの飾らない人物像が魅力的で(自覚のない「片付けられない女」って)、異文化コミュニケーションをユーモラスに彩ります。  だけど、移民の生活にも様々な問題が生じる上に、彼ら自身が抱えた心の傷や罪の意識が重く影を落して。  映画は主人公の贖罪によってハッピーエンドを迎えます。アメリカが9.11で移民の受け入れを止めるまでの短い間に渡米できた4人はスーダンの難民の中ではとても運の良かった4人。そう、彼らは故郷を遠く離れたアメリカの地で苦悩し、苦闘しますが、それでも他の難民に比べてとても運の良い4人。人間性を取り戻した彼らの姿を通して、その背後に存在する難民の厳しい現実が見えてきます。それはエンドロールで更に明確に。これはドラマティックに描かれた劇映画だけれど、最初から最後までその現実はちゃんと映っていたんだよ、と。  子供が平和に暮らせる世界、そんな当たり前のように思える事が何故実現できないのか、深く考えさせられる映画でした。[映画館(字幕)] 9点(2015-05-21 22:16:59)(良:1票) 《改行有》

239.  シグナル 《ネタバレ》  「あなたのSF脳が試される」とかなんとか言ってますが、そんなモノに踊らされる必要はありません。これ、難解なのではなくて、単純に独りよがりなだけ。だって結末は色々な解釈があるとかではなくて最初から決まっているのですから。そこに至るまでのプロセスをそれっぽい雰囲気で覆い隠してるばかりで。基本は70年代の永井豪や諸星大二郎が描いていたような話。  冒頭のアメリカン・ニューシネマみたいなロードムービーの映像は良い感じです。男2人に女1人っていう構成もアメリカン・ニューシネマっぽいですしね。  でも、事件が起きて隔離されてからはひたすら単調で変化の少ない、思わせぶりなばかりのシーンが続くばかりで映画のテンション、ダダ下がり。このシーン丸々カットしても話としては成立しちゃう、っていう。  で、クライマックスらしきところで、ちょいと花火一発上がる程度で終了。意外なラスト!とかでなくて「あー、こんなモン見せられちゃって、もー」みたいな。  映画が始まる前にTOHOシネマズ新宿限定で見られる『アニメガタリ』という短編アニメでヒロインが「『攻殻機動隊』が『マトリックス』に似てる」と発言して思いきり先輩にツッコまれるシーンがありましたが、それがなんとも皮肉に思えてくるような映画で。  売り込む側はデヴィッド・リンチとかキューブリックとか『第9地区』とか『クロニクル』を引き合いに出してみたりしてますが、せいぜい懐古主義的なオタクが自分の嗜好するものを集めてひけらかしてみせたスノッブ映画程度のモノにしか思えませんでした。[映画館(字幕)] 3点(2015-05-21 21:13:22)《改行有》

240.  ラン・オールナイト 《ネタバレ》  よくある、ただリーアム兄さんが悪役をボコりまくるだけのリーアム兄さん無双映画ではなくて、結果的に敵となってしまう相手が旧友で、むしろそれまで救われてきた、信頼していた相手だったという設定が物語に深みを与えてます。それまで罪を重ねてきた男の贖罪の物語であるという点も世界に奥行きを与えて。  だけど全体の印象は「雑」。  なんかあちこち作りが雑なんですよね。組織から買収されていた警官2人を射殺した時点で警察側からの危機終了とか、店に突入して数人射殺して組織壊滅とか、脚本的にはそれでいいんか?と(少なくともニューヨーク全体が敵みたいな宣伝文句は大嘘です)。  会話シーンでの単純でめまぐるしいカットバックは冗談のようで。  カーチェイスシーンでは頻繁にシフトノブを操る手元がインサートされますが、肝心のクルマの動きはワリと直線的でシフトチェンジ要らんだろ、みたいな状況ばかり。シフトノブはクルマへの気合注入棒か?っていう。  アクションシーンではカメラ動かし過ぎのカット割り過ぎで、もつれ合う二人、どっちがどっちだか判断しづらく、クライマックスの湖畔のシーンでは主人公、息子、殺し屋、家族の位置関係がまるで判らず。  夜のニューヨークの空を翔ける凝った映像の影で、大量の雑な映像を見せられている感じ。  雰囲気はいいけれど、大きな部分も細部ももっとちゃんと作り込んで欲しかった、そんな映画でした。[映画館(字幕)] 6点(2015-05-19 21:38:38)(良:1票) 《改行有》

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