みんなのシネマレビュー
鱗歌さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 3872
性別 男性
年齢 53歳

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順123456789101112131415
投稿日付順123456789101112131415
変更日付順123456789101112131415

41.  実録外伝 大阪電撃作戦 何がどう「実録外伝」なのか。『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』に続いて明友会事件を取り上げたから、ということなのかもしれないけれど、『日本暴力~』の方は「すべてフィクション」という断り書きが入っており、内容も特定の事件をフォーカスしたものでもなく。一方の本作は、やはりフィクションだという断り書きは入っているものの実際の事件を基にしていることは認めていて、実際の事件に沿っている部分も多いようです。 作品の特徴は、事件で「敗北する側」を描いたこと、滅びの美学みたいなもの。 最後の晩に乱痴気騒ぎやって、一気にに追い込まれていく姿、しかしその中でしっかりと、今で言うところの「インディー魂」みたいなものを見せつける。 松方弘樹はコワモテの演技が堂に入ってて、さすがと思わせますが、渡瀬恒彦は完全に目が据わっていて、うわー何だかホンモノだなあ、と。ちょっとレベルが違う。けど出演者全員がこのレベルに達してしまうと作品が成立しなくなっちゃう。 敗れ去る者を描くが故の、独特の迫力があります。[インターネット(邦画)] 8点(2021-12-18 20:25:43)《改行有》

42.  新・仁義なき戦い 組長の首 とうとう、これはフィクションです、というテロップが冒頭に登場し、もはや仁義なき戦いでも何でも無くなってしまったのですが、これが意外に面白い。とは言っても、こんなのを面白がってていいのか、という不安は何となくあるんですけど、面白かったんだから仕方がない。 刑務所で過ごした7年間の補償として500万円を要求する、菅原文太の狂犬ぶり。というほど自身で何をするわけではないけれど、それでも「何をやらかすか判らない」という危険な匂いがプンプンと。それ以上に異常な、山崎努の狂人ぶり。それって、いつも通りじゃないの、という話もありますが、兎に角、危険な匂いが充満していて。 若者が呆気なく命を落としていく、という点、仁義なき戦いの世界を感じさせる部分ではありますが、芋クサく泥クサいカーチェイスは実録路線から大きく逸脱していて、意表を突かれます。さらにはひし美ゆり子姉さんの脱ぎっぷりの良さ。確かにこりゃ、フィクションだ。 という、だいぶ変な路線にはなってますが、単純に欲望が突っ走ってる感のある内容が小気味よく、これはこれで、魅力的な作品だと思います。[インターネット(邦画)] 8点(2021-12-14 22:45:23)《改行有》

43.  ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 日常の中に次第に非現実が浸食してきて、やがてその日常の方の実在性がアヤシくなってくる、一種の幻想譚。一応、「意外なオチ」に相当するものはあるのだけど、そんなに意外じゃない、というか、次第にそのオチの方へとジワジワ寄せて行って、最後は落ち着くべきところへ落ち着いた、という感じ。 まあ、最初の戦場の場面から、敵の姿は見えないし、これって米軍同士が戦っちゃってるんじゃないの?というシーンもあったりするし。 意外性を求め過ぎると、理屈っぽくなるもの。この作品はそれを回避して、しっかり幻想性で我々を魅力しつつ、迷宮の出口たる映画のラストでは、何とも言えない虚しさを感じさせます。 ホラー映画の新たな可能性を指し示した作品、と言ってもよいのでは。[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-28 22:13:53)《改行有》

44.  地獄への逆襲 《ネタバレ》 前作のラスト、ジェシー・ジェイムズが背後から撃たれる場面が、本作品のオープニング。まさしく文句なしの続編です。 前作でもジェイムズ兄弟の犯罪行為を、鉄道会社の悪辣行為に対する復讐として位置付けていましたが、この続編ではより直接的に、弟殺害の下手人を兄が追うという復讐譚になっていて、いわば個人的な戦い。見てても盛り上がりますわなあ。一種の、人間狩り。 主人公の怒りが映画前半でよく表れているのが、あの舞台の場面。自分達のことがネタにされてる舞台をわざわざ見に行って、わざわざ立腹して見せるというのも、いささかオトナ気が無いんですけれども(黙って立ち去る手もあるだろうけれど)、客席に仁王立ちになって舞台を見下ろし、睨みつける姿には、やはりシビレます。 いや実際、そのくらいの事をやってこそバランスが取れるんであって、実はこの作品において、ヘンリー・フォンダ演じる主人公のフランクは、自らは相手に対して手を下さないんですよね。銃撃戦にはなるけれど、相手が足を滑らせて転落死する。相手を追い詰めた時には、先に受けた銃弾のためすでに相手は死んでいる。。。主人公が強盗を働く場面では巻き添えで死人もでるけれど、これは追っ手の流れ弾にあたったもの。 復讐自体は完遂されたと言えるのかわからないけれど、それを他の緊迫感あるシーンが充分に補ってバランスを取っています。 一方では作品にユーモアも感じられて、あの陽気な黒人のオッチャンの存在もそうだし、後半の裁判シーンなども北部vs南部の対立などを交えながらユーモラスに描いています。 裁判の直後、主人公は一気に駆け出そうとするけれど、そこから一転して、銃を片手にゆっくりと仇敵に迫っていく姿が、印象的です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-19 11:33:16)《改行有》

45.  昭和残侠伝 一匹狼 最初の方で高倉健と池部良とが出会うも、殆どすれ違い状態。このままでは池部良が単なるチョイ役で終わってしまうではないか、だけどもはや彼とは遠い物語となり、ストーリーに絡むのは無理だよね。と思ってたら(思わないけど)、ちゃんと凄まじい偶然により二人は皮肉な再開を果たします。 強引な展開、故の味わいなり感動なりってのは、やっぱりあるわけで。運命ですね、これは。 で、二人の間の因縁。はたまた、悪辣なる親分に率いられたヤクザどもの横暴と、繰り返される悲劇。王道ストーリーです。だけどそこに、この二人ならではの味があって。どうしてこうも、この二人は落ち着き払ってるんでしょうか。その落ち着きが頼もしくもあり、と同時にそこには、静かな悲壮感も感じさせます。わかっててなお、ホロリときちゃう。 そういや、新喜劇の小島慶四郎さんが出てます。若い!いや、変わらない![インターネット(邦画)] 8点(2021-07-07 22:40:06)《改行有》

46.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 冷戦下、世界のあちこちで勃発した戦争は、大国間のいわば代理戦争だった。一方、日本のヤクザ社会もまた、そういう代理戦争の様相を呈していた、というのがタイトルの由来ですが、どうでしょうね、そんなに「代理戦争」感は強くない、ってか、もともとこのシリーズ自体が、消耗品としての男の生き様を描いてて、むしろシリーズの世界観そのまんま、という気も。 代理戦争、というよりは、心理戦。吹き荒れる暴力の背景には、裏切り、謀略が渦巻いている。上は金子信雄から、下は(一見何も考えてい無さそうな)川谷拓三まで、とかく要らん策略を張り巡らせては、事態を悪化させ、その結局犠牲になるのは、渡瀬恒彦のような若者。ただ死んでいく者が多い中で、渡瀬恒彦演じる若者は、母との関係が作中に織り込まれ、息子を失った母親の哀しみをこれでもかと描く。こういう、殺伐とした映画にウェットな情を絡めてくるのが、深作監督らしいところ、と言えましょうか。 危険なニオイをプンプンさせる菅原文太ほか、コワモテ俳優がずらりと並ぶ中(眉毛が無いとは言え梅宮辰夫の顔が、コワモテに分類されるのかは正直よくわからんが)、スター・小林旭がそこに顔を並べているのが、ちょっと異彩を放っています。正直、東映に来てもこういう「非・スター映画」の中に放り込まれてしまうのでは、もったいない起用、という気がしなくもないのですが、確かに作中で独特の雰囲気は醸し出しています。 ラストは、まさにここから、という場面でオシマイ。イジワル。[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-01-02 07:13:48)《改行有》

47.  新・夕陽のガンマン/復讐の旅 もちろんセルジオ・レオーネ作品とは何の関係もない、「なんちゃって邦題」なんですけれども、とは言え本作もしっかり、ユナイテッド・アーティスツ提供。それより何より、リー・ヴァン・クリーフが出演。これ、重要。この人相の悪さは、ホント貴重です。 かつて、目の前で家族を虐殺された少年が、大人になって銃の達人となり、復讐を果たそうとするのだけど、彼の前に、彼と同じターゲットを狙う謎の男が登場する。という、一種のダブル主演状態の映画なのですが、マカロニといえばやっぱり主人公が敵にとっ捕まってリンチされてナンボ。という訳で、この二人それぞれに「とっ捕まってリンチ」シーンがある、というのが何とも律儀。のみならず、そのとっ捕まり方というのが、不意に床が割れて落とし穴に落とされる、という、スペクターの基地みたいなシステムだったりするから、うれしくなっちゃいます。あるいはとっ捕まった後、首だけ出して地中に埋められる、という実に情けない姿。これもうれしくなる。 で、この主役二人が微妙な距離感を保ちながら共闘し、クライマックスでは敵の一味と、プチ戦争映画みたいなちょいとダイナミックな銃撃戦を展開。さらには「さすがにちょっとやりすぎ?」な、猛烈な砂嵐の中の死闘から、やがて砂嵐が収まった時、ついに運命の対決へと。 バカバカしさも含めて、見どころ満点。こんないい加減な邦題の作品にも時々「当たり」がある、という良い例。いや悪い例。[CS・衛星(吹替)] 8点(2020-07-06 21:28:19)《改行有》

48.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 もう、鉄板、ですね。 まずタイトルが秀逸で、単なるダジャレと言えばそうなんだけど、そもそも「相撲」という単語をストレートに使ってない(けれどテーマは一目瞭然)ってのがウマいですね。しかもラストでこれを、一種のオチとしてしっかり「回収」する、という念の入れよう。 会話シーンを正面からのショットで描く場面があって、周防監督らしい小津安二郎へのオマージュか、と思いきやそれにとどまらず、この手法は相撲の仕切りのポーズを正面から捉える場面にもちゃんと繋がっていて、妙な納得感があります。 しかしこの仕切りのポーズは、正面からのショットよりも、劇中に何度も登場する斜め前からのアップ(構えのポーズでちょうどフレームに収まる)が、素晴らしく印象的です。モックンはもとより、妙に汗だくの田口浩正までが、この瞬間は輝いています。 でも、輝いてるったって、相撲部に入部した留学生にも語らせているように(あるいは竹中直人以外の登場人物がマワシのことを“ふんどし”と呼ぶように)、「なんでこんな、ケツ丸出しの恰好しなきゃいけないんだ」っていうのが基本的にあるワケです。不本意にも相撲を取らされ不本意にもマワシ姿になっている場合には、ちょっと哀愁のこもった滑稽さ、があるんですね。あるいは滑稽さの伴った哀愁というべきか。 それが、本気度が増すごとに、輝きが増してくる。竹中直人はあくまでお笑い担当として、滑稽さと哀愁とを随所で思い出させてくれるけれど、次第に違和感がなくなり、相撲の魅力というものが映画の中に浮かび上がってきます。 因縁の相手・北東学院との死闘(?)がクライマックスになってて、終盤の「入れ替え戦」のくだりは、別に無くっても物語としては成立してるんだけど、あえてダブルヘッダーな構成で試合シーンを盛り沢山としてくれる大サービス。しかも、ここでは新たなアイデアも投入されており、本日医科大(だっけ?)の連中がテーピングでグルグル巻きだったのは単なる小ネタだと思ってたら、実はここに繋がる伏線だった、ってのが、実にお見事です。 それにしても、応援団の歌っている歌、なんでレナウンのCMソング(の替え歌)なんだ?と思いつつも、今となってはホント、懐かしいですね。日曜洋画劇場の裏・テーマ曲みたいなもんでしたから。[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-04-25 03:22:43)(良:1票) 《改行有》

49.  地獄の逃避行 『トゥルー・ロマンス』の原点、な訳で。 テレンス・マリック=“マジックアワー”の監督、などと思って本作を見ると、決してそんな気合マンマンの作風じゃなくって、どっちかというと気まぐれに撮られたような印象すらあります。映像美をわざわざ作り出そうというよりも、撮りたいときに撮りたいものをそのまま撮ったような。 まあ、もともと、主役の二人の行動自体が気まぐれっぽい、ってのもあるんですけれども。 まったくアテも何もないような、殺人と逃避行。カーチェイスっぽいものまであったりして。背景に広がるのは、どこまでも続く大平原。 それにしてもこの雰囲気、抒情性と呼んでいいのか、それとも一種の倦怠感なのか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-16 20:33:18)《改行有》

50.  七人の無頼漢 《ネタバレ》 B級西部劇の魅力満点の作品、これは拾い物。 初老の保安官と若い夫婦連れが、ひょんなことから道中を共にすることになるのですが、その一行にさらに、ヤな感じのチンピラたちも加わってきて。いろいろと過去が絡んでくることでオハナシが膨らんできます。ようするに無法者たちに妻を殺された保安官の復讐譚、いわば過去の物語なんですけれども、こうやって様々な登場人物が加わってくることで、物語が現在進行形で進んでいきます。何だかアヤシイ人間関係、中でもチンピラ役のリー・マーヴィンが、一癖もふた癖もあって、何を考えているのか、何をしでかすのか、予測不能。自由自在に銃を捌いて見せる手つきが、またアヤシイ。 おまけに夫婦連れの若奥さんと初老保安官が、何となく憎からず、という関係にもなってきちゃったりして、旦那の方はもう全然存在感ないよね、なんて思ってたら、実はとんでもないキーパーソンであることがわかってきて、また物語に大きなうねりを加えるとともに、なかなかオイシイところを持って行ってしまったり。 こういう無責任スレスレの展開が、やっぱり魅力ですよね。 カメラもB級の無責任さを最大限発揮して、多くの見せ場を提供してくれます。奥行きや前後の動きを多分に取り入れる大胆さ。酒場を訪れたリー・マーヴィンが相手に銃を突きつける場面の細かいショットなんて、「俺たちに明日はない」の終盤のシーンすらも彷彿とさせるではないですか。 恐るべし。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-04 15:26:05)《改行有》

51.  情婦 《ネタバレ》 主人公の弁護士が裁判のあと、この事件が「too neatで、too tidyで、まったくもってtoo symetricalだ」とかボヤいてて、ちょっと意味がわかりませんが(笑)、私のこの映画に対する感想がまさにコレ。だもんで、なんとなくニガテな映画だったんですけれどね。オチもこれ、予想通りというか、いかにも教科書的なオチなもんで、neat and tidyだなあ、と。 ただ、今回久しぶりに観てみると、くそ~これやっぱり面白いなあ、と思っちゃう。冒頭の10分ほど、主人公の弁護士のどうでもいいやりとりが続く中で彼の偏屈ぶりが描写されるのですが、そのやりとりに、物語と何の関係もない「階段の昇降機」を絡めてきて、妙に動きのある場面に変えてしまう。 オチがさほど意外じゃない、と言っても、それは一つには、判決の瞬間のマレーネ・ディートリヒの表情に微妙な含みがあってちゃんとヒントになってるからで、この彼女の表情のもつ二面性、二重性が、映画全体を象徴しており効果を上げています。 舞台となっている法廷内の比較的大きな空間の描写。これも物語に動きを与えていて、映画を魅力的にしています。[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-10-07 21:52:36)《改行有》

52.  仁義 《ネタバレ》 片や、刑務所長から何やら良からぬコトを吹き込まれて出所する男がいて、片や、何やら良からぬコトをして捕まり護送中に逃亡する男がいて。で、その二人が出会って意気投合、と言うにはあまりに静かな出会いなんですけれども、ここでアラン・ドロンがタバコとライターを投げてよこすシーンが、闇雲にカッコいい。まるで相手の手元に吸い込まれるように投げ渡されるもんだから、この後じゃ、そりゃ拳銃だって何だって簡単に投げ渡そうってなもの。 後半はこの二人にイブ・モンタンも加わって、何をするかと思えばコソ泥なんですけれど、ただでもセリフが抑えられたこの映画の中で、さらにセリフが無くなって、ただその宝石泥棒の一部始終が、静かに、緻密に描かれていきます。 突如、警報が鳴り響き、計画は一巻の終わり。逃げ行く彼らの背景には、風の音。シビれますね~。[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-13 15:11:45)《改行有》

53.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 面白かったです。今後が不安だけど。このままいくと、まさかまさかの『猿の惑星』旧シリーズみたいになっちゃうんじゃなかろうか。 4作目は1作目と強い関連を持っていたかと思えば、この5作目は2作目の恐竜狩りを再現させてみました、という感じですが、今作は、より「ノアの方舟」のイメージが強くなってます。終末的な噴火シーン、そこから恐竜たちを助け出そうとする人間たちの活動。だけどその活動は、ノアの方舟とは異なり神の意志によるものではない。それは人間の傲慢なのか? ってのが、後半のサスペンスの物語に繋がっていて、2作目以上に「前半/後半、2本立て」っぽい構成ですが(笑)、それでも大いに楽しめます。今回活躍する悪役怪獣(恐竜じゃなくてもはや怪獣ですね)の相貌は、ほとんど悪魔。映画の語法も、パニック映画というより、スリラー映画のそれになっています。 そういった部分も含め、小ネタのよく効いた作品になってます。恐竜のケージの中に入っての、恐竜と接近したアクションの面白さ。随所でアイデアが凝らされています。 ポッドに閉じ込められたまま海中に沈む場面などは長回し風に見せる一方で、単に男女が言い合う場面では、ショットを徐々に細かくし、徐々にアップにして盛り上げ、ああ、結局は男女の口論が一番オソロシイんだな、と(ほんまかいな)。 という訳で、満足感、高かったのですが・・・最後のエンドクレジットの音楽。映画音楽(特にこういう大作の)に対しては、音楽に中身があろうとなかろうと、とりあえず「ゴージャスさ」を期待してしまうのですが、本作では何やら厚みのないシケた音楽が延々と流れ、最後に盛り上がるかと思いきや、ちっともカッコよくない凡庸な不協和音がかき鳴らされて終了、という、とりとめのなさ。観客(というか聴衆というか)の安直な期待には沿うまい、という一つの試みなのかもしれませんが、映画のシメがこれでは、それなりにガッカリ感があったりもするのです。[映画館(吹替)] 8点(2018-07-29 06:43:23)《改行有》

54.  シシリーの黒い霧 松本清張作品を臆面もなくパクった邦題なんですけれど、ああいう、独自の推理で黒い霧を晴らそう、ってな作品ではなく、真相という点ではなんとなく最後までモヤモヤしてます。しかし作品の印象は決してモヤモヤしたものではなく、ドキュメンタリータッチでトンガってます、むしろ神経質な印象。 しかし時系列がことさらにバラバラになっていて、なかなか全貌が掴めず、最後まで観てようやく全体が繋がるような感触があるのですが、それにしても、物語の冒頭で殺害されていた、ジュリアーノという人物。彼こそがこの作品の中心となるカナメの人物のハズなのですが、作品全体を通じて、その彼の存在感というものがまるで感じられず、映画の中心にポッカリ穴があいているような。 不思議な印象の作品です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-03-16 20:14:34)《改行有》

55.  ジャッジ 裁かれる判事 《ネタバレ》 ロバート・ダウニー・Jr演じる弁護士は、裁判というものを商売としてしか見ておらず、法廷の前で緊張からえずいてしまう新米弁護士にも、依頼人に肩入れしすぎだ、みたいなこと言ってるんですけど、実の父親の裁判、そして父の弁護を自ら行う中で、自らの人生そのものをこの法廷の場に投影させることとなっていく。父親の職業は判事で、裁判こそ我が人生、みたいな人。裁判を単なる商売道具としか思っていない主人公とはおよそ相容れないし、陪審員の選択から始まる法廷戦術の数々には、茶番じみた要素があることも、この映画では否定してない。だけどそれでもやっぱり、裁判というものには、当事者たちの人生がかかっており、だからこそ血の通ったものであるべきだろう、という想い。 映画の中で小難しい理屈をひねくり回す必要なんかなくって、そういう素朴な想いを、こうやって、物語と印象的なシーンの中に溶け込ませてくれれば、充分に感動できるのですね。 セリフで語るよりも、黙って横顔で語れば、幾層倍にも雄弁であることもある。 嵐があって、ラストの穏やかな湖面がある。コレ、「雨降って地固まる」をそのまんま映画化した作品じゃないでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-02-18 09:31:11)《改行有》

56.  ジョン・ウィック だいぶ「総合格闘技」からヘンな影響を受けてしまった感のあるアクションですが、それが何とも小気味よいというのも事実。昨今、格闘シーンが細切れで撮影されることへのアテツケなのか何なのか、異常なまでに長回しの格闘シーンが映画に取り入れられることがあり、観てるとこちらも緊張してしまうというか、やらされてる俳優さんが気の毒になってくるというか、あまりやり過ぎるとかえって、自己目的化した「長回し」そのものが気になってしまいかねません。その点、本作は、いいバランス保ってるんじゃないでしょうか。高度な身体アクションを見せるためにこそ存在する、見事な長回し。ホントにキアヌ・リーブスが強そうに見えるではないですか。 本作、復讐譚の体裁をとっているのですが、「飼い犬が殺されたこと」がキッカケになっている、というのが何とも思い切った設定。これも場合によっちゃ「そんな大袈裟な」と言われかねないところですが、まずそれ以前にこの映画を支配する雰囲気を見れば、実は「キッカケ」なんていうのはどうでもいいんだなあ、と(愛犬家にとっては、どうでもよくないかも知れませんが)。むしろ、これがあくまで「キッカケ」に過ぎないからこそ、主人公が闇と暴力の世界へと向かって行く流れも、より強く、より避けがたいものとなる・・・。[CS・衛星(吹替)] 8点(2017-10-29 15:27:48)《改行有》

57.  ジャッキー・ブラウン 特徴的な登場人物たちを配置し、視点や時間軸を自由に行き来する、というのは『パルプ・フィクション』では、物語を章立て構成にすることで、なされておりましたが、本作ではそれがさらに巧みに行われています。続く一連の物語の中で、画面分割を行ってみたり、現金受け渡しの場面を各登場人物の視点から何度も描いて見せたり、というお遊びを入れて、誰もが物語の中心に出てきうるし、また突然退いたりもしうる、その流動性が、自然な形で実現されています。 その分、物語はややモヤモヤしてくるし、さらにはそれが、あまり意味のない会話の連射で彩られ(例えば、クリス・タッカーが車のトランクに入るというだけのためにどれだけ会話を費やすか)、何となく取り留めない印象にもなるのですが---バイオレンスというスパイスもここでは抑制されているし---逆に、ふと見せるカメラの指向性(嗜好性?)、パム・グリアーの仕草やコスプレを強調したり、デ・ニーロをほったらかしにしたり、というのが妙にオモシロかったりします。まるで家具のように存在するブリジッド・フォンダ。しかし彼女がいるせいで、「電話」の存在も妙に気になったり。 ムダとか余白とか、というものは、それを省略する贅沢もあれば、過剰に取り入れる贅沢ってのもある訳で。[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-01-22 08:50:10)《改行有》

58.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 前作でナチスをコテンパンにやっつけたけど、オレは別に何のこだわりもないんだぜ、ってことなのか、この作品ではドイツ人のナイスなオヤジが登場。マカロニウェスタンがベースかと思わせて、実は何でもアリアリ。 主人公のジャンゴは黒人で、物語の背景には奴隷制度というものがあるけれど、別に人種差別を批判しようってな意気込みがあるようにも思われなくって(ホントはあるのかも知れんが)。単に「ヒーローは虐待を受けねばならぬ」「敵は理不尽でなければならぬ」「最終的に敵は徹底的に殲滅されなければならぬ」「だってその方が面白いもん」というサドマゾ的お楽しみのためには、うってつけの題材が奴隷制度だった、ってな感じですね。 後半は(終盤を除き)会話が中心になりますが、そんなにスピーディーなものではなく、ディカプリオがネチッこい。で、たまりかねたのかクリストフ・ヴァルツ演じるシュルツがこれを射殺し、「すまん、ガマンできんかった」などとアッサリのたまうのが絶妙。前半において、あくまで自分は法に基づいた処刑を行っていることを強調していたこととの対比。あるいは、ジャンゴが3兄弟に「つい」手をかけてしまったこととの連関。 おそらくは「派手な死」ほどオイシイ本作の中で(だって、ねえ、カントク)、せっかく頑張っていた(頑張り過ぎていた)ディカプリオにも、もう少し盛大な死をプレゼントしてあげて欲しかった気もしつつ。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-10-28 14:31:44)《改行有》

59.  人生の特等席 エイミー・アダムスが実にステキな娘を演じていて、そりゃまあ私もイーストウッドほどの歳でもなければ、こんな大きな娘もまだいないけれど、つい娘を見るような気持ちで彼女を見てしまう。 キャリアウーマン(これももう死語かも知れませんが)の彼女は、弁護士としてバリバリと第一線で活躍しようとしている。そんな彼女が、野球のスカウトとして、どこやらの田舎に来ている父親のもとにやってくるのですが、パリッとキメた彼女の姿格好は、この田舎では、ちと浮いている。そんな姿が、「精一杯背伸びしようとして無理をしている、我が娘」という感じも出してます。一方、対照的に後半のラフな格好は、何か自分を取り戻したような。 この父親にしてこの娘、つまり野球バカなところがあって、いくら何でも(他のプロのスカウトマンを差し置いて)野球に詳しすぎるんでないかい、というような設定なのですが、それがまったくイヤミになっておらず、むしろユーモアとして大いに楽しめるのは、父と娘が、一種のライバル関係でもあるから。 そういう意味では、彼氏との関係もこれまた野球バカのライバル関係。この楽しい緊張感が、心地いいですね。そして、スカウトのエピソードも含めて、物語がうまく収束していくのも楽しくって。 監督のロバート・ロレンツは、プロデューサーや助監督としてイーストウッドを支えてきた、イーストウッド一家ともいうべき人のようで、このガンコそうなオヤジを起用しつつ(イーストウッドの恩返しみたいなところもあるのかも知れませんが)、かつガンコで影のあるイメージを借用しつつ、うまく脇をサポートしてもらってあくまで明るい作品に仕上げております。[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-10 09:17:07)《改行有》

60.  白い肌の異常な夜 南北戦争時代、イーストウッド演じる北軍の伍長が南部の戦線で負傷し、女ばかりの寄宿学校みたいなところに匿われる。さまざまな年齢の女性数名に対し、男が一人、もうより取り見取り。これがイタリア映画ならお色気コメディ映画にでもなったかも知れませんが、ドン・シーゲルとイーストウッドが組んだら、ほとんどホラー映画みたいなサスペンスになりました(何度か出てくる真っ赤な血の描写がコワイ)。密度の高い、緊張感に満ちた映画で、「イーストウッドがモテモテ役だなんて、許せんなあ」という気持ちもすぐに引っ込みます。 まずそもそも、学校の外部というものが、戦時下で秩序というものが無い不安な状態。その中において、舞台となる女学校は、厳格さに満ちた閉ざされた世界、であるのですが、そこに負傷した男が一匹。負傷してたって、男としてヤルことはヤル、っていうかむしろ体の不自由さゆえに性的な方向に暴走しがちなもんで、女ばかりの秩序だった世界(それはもともと表面的なものに過ぎなかったらしいのだけど)に、嫉妬に満ちた大きな波紋を投げかけることになる。それは、映画後半におけるあるショッキングなエピソードによって、男をより純粋な性的存在へと変化させ、事態をより深い混沌へと導きかねない展開にもつながっていきます。が、それでも危ういバランスは保ち続けられ、そしてそのまま、一連の混乱は唐突に、断ち切られるように終わりを告げる。あとに残るのは、不気味極まりない、秩序の世界。まあ実にヤな感じで気持ちの悪い、「異常な」映画です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-11-15 08:24:20)(良:1票) 《改行有》

030.08%
1190.49%
2411.06%
3731.89%
41614.16%
53619.32%
663116.30%
7122231.56%
888622.88%
93749.66%
101012.61%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS