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21.  バケモノの子 《ネタバレ》 師匠と弟子二人並んでの、一風変わった型稽古の情景モンタージュが前半の山だ。 少年がひたすら模倣することによって次第に上達していく様が、 ロングショット主体でレイアウトされた動きの変化の中から表れてくる。 そこには二者の動きが次第にシンクロしていくアクション映画、舞踊映画の快感があり、 アニメーションによる誇張(スピード・タイミング)の醍醐味がある。 キャラクターにはあえて影をつけない平板な絵柄を採用し、その分 部屋の内外を駆け回っての喧嘩や、卵かけご飯の食事など アニメーションならではの動きの楽しさを充実させ、 一方で人物の表情のアップでは瞳の潤いを細やかに揺らす繊細な演出を施し、息吹を与える。 モブシーンの動画を含め、特に前半はよく頑張っている。 今回のクレジットでは細田単独の脚本だが、台詞が削り切れていないのは児童向けを意識したためか。 ラストでの回想シーンも少し親切すぎる。 トレードマーク的な青空と白い入道雲は決めのカットにはしっかりと登場していてそれなりに印象的だが。[映画館(邦画)] 7点(2015-07-18 16:18:26)《改行有》

22.  バンクーバーの朝日 《ネタバレ》 始めの製材所のシーンから、木材を運び、それを積み重ねる俳優らの労働を 長目のショットで丹念に描写している。 その中で次第にクロースアップされていくのは、彼らが見つめる手だ。 彼らの過酷な境遇は何よりも、じっと己の手を見るショットによって語られる。 それはライバルチームの投手らについても平等である。 モブシーンでも 冒頭の移民たちの顔、試合のギャラリー一人一人の顔をパンフォーカスで 可能な限り映し出そうとするあたり、作り手のFAIRNESSの発露といえる。 高畑充希のスピーチ前半を収めた引きのショットが引き立てる彼女の健気。 夜の日本人街に静かに響く波音のノスタルジア。 それらを邪魔しない、控えめで節度ある音楽用法が好ましい。 艶のあるナイトシーンの多さが、球技シーンの晴れ舞台を引き立てる。 それだけに競技シーンの運動感の欠如はやはり勿体無い。 敏捷性と連携プレーを活かした戦術なのだから相応のカメラワークで 盛り上げて欲しい。 妻夫木聡の初めての出塁・得点シーンにスローでは落胆である。 [映画館(邦画)] 7点(2014-12-28 20:21:58)《改行有》

23.  ばしゃ馬さんとビッグマウス 書き仕事が中心となるシナリオライターのドラマを如何にアクティブに描出するか。 映画としては困難な題材だろうが、『風立ちぬ』の図面書きのようによく工夫している。 最後の挑戦となる執筆を前に、髪を束ねる麻生久美子の凛とした横顔。 安田章大と麻生のリズミカルなカットバックと、キーボードを打つ手のアクションが、 手持ちカメラの躍動と共に画面を弾ませる。 一方で、要所要所では丹念な長廻しによって俳優の心情の静かな昂ぶりを収めきる。 友人の結婚式の帰り、安田に携帯電話をかけるシーン。 岡田義徳の部屋で泣きだすシーン。それぞれに、麻生のナチュラルな芝居が活きている。 脚本あっての映画だが、俳優の活かし方が良いのだろう。 主演らの芝居の背後にさりげなく映っている助演たちもまた彼らの世界を生きている、 という細やかさがいい。 双子の姉妹とか、本筋とは無関係ながらそのキャラクターたちから 映画が豊かに肉付けされていく感覚がある。 出番としては少ない山田真歩も、彼女なりのドラマを持った役柄となっており、 それが作劇にも活かされている。 [映画館(邦画)] 7点(2013-11-10 21:55:35)《改行有》

24.  箱入り息子の恋 夏帆の横顔から、ピアノを弾く彼女の指の動きへ、 彼女自身の演奏をしっかりと捉える緩やかなカメラの動き。 二人の主観に可能な限り近づけんとするかのように、 お互いの肩越しの接写で切返される、二人の出会いのショット。 小高い丘の上でぎこちないキスを交わす夏帆と星野源の清々しさを 演出する、彼らを撫でるそよ風。 雨に濡れること。並んで牛丼を食べること。互いの生身の身体に触れること。 そうした接触・感触を意識した部分部分の積み重ねが丁寧でいい。 それだけに、二階へよじ登る星野と彼の手を握って引き上げる夏帆の 協働のシーンが手抜きにみえてしまい残念だ。 2人が渾身の力でベランダを乗り越える、 最も肝心な触れ合いの部分が省略されてしまっている。 誰がどういう動作をして、どうなったという流れはとりあえず解る。 が、心を動かす映画のアクションにはなっていない。 ベランダからの落下のくだりも同様である。そこが惜しい。 [映画館(邦画)] 7点(2013-06-25 23:10:30)《改行有》

25.  ハンナ シアーシャ・ローナンと、彼女が道中で知り合う少女がテントの中で横になりながら語り合うシーンは、二人が向き合っているはずでありながらカメラに対して二人が同一方向に身体を傾けているという、一般的にはあり得ない切り返しで撮られている。 同じく、走るキャンピングカー内でオリヴィア・ウィリアムズと対話する際もそれぞれ左右の窓際席の切り返しとなるが、 何故かどちらの窓外にも太陽光が輝いているという具合だ。 共に光の加減が見事な画面であり、自己との対話といったニュアンスを仄めかしたのか、ともあれ、整合性を無視した繋ぎをあえて選択している事は間違いない。 前半のICA施設のダクト、中盤のコンテナ置き場、後半の遊園地内といった舞台設定や、随所に現れる円形や回転のモチーフも含めて、映画に夢幻的な迷路感覚を呼び込むよう施された演出の一環だろうか。 縦横無尽の移動を絡めたバスターミナルから地下通路までの超ロングテイクや、太陽光の人物への当て方・屋内人工照明の印象的な用法といったジョー・ライト印の技巧も、その意味では効果を挙げている。 シア―シャ・ローナンの俊敏な疾走と、徒手格闘。そして、ケイト・ブランシェットの凄みは流石だ。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-26 23:57:54)《改行有》

26.  母は死なず 《ネタバレ》 菅井一郎がひたすら歩く。職探し、家探し、営業まわりと、歩行のショットが続く。 勤勉と誠実と朴訥の父親像は同年の松竹作品『父ありき』の笠智衆とも通じ合いながら、嫉妬や頑迷さや不器用も垣間見せる子煩悩な姿は、より人間味を感じさせる。 小津『父ありき』の親子が、離れ離れでありながらもふとした瞬間、動作をシンクロさせてしまう(川釣り)のに対し、菅井一郎・小高まさるの親子は同居しながらも次第に齟齬を深めていってしまう。(暴投ばかりのキャッチボール)。 その噛み合わない父子の絆を亡き母が取り持つ。 入江たか子自身は映画の中で早々に退場してしまうが、その思いは遺言の筆跡とナレーション、木漏れ日の美しい墓地の画面を介して最終的に父子を結びつける。 自ら命を絶った妻(入江)の遺言の文面にかぶさりながら菅井一郎が悄然と歩くスクリーンプロセスの感覚がとてもいい。 『まごころ』の加藤照子が登場する1シーンはご愛嬌。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-13 22:43:27)《改行有》

27.  バーレスク カウンター席に並ぶC・アギレラとシェール。そこへ一旦はクラブを辞めたクリスティン・ベルが戻ってくる。すかさず、スタンドチェアを回転させて彼女に背を向けて場を外すアギレラ。そのあくまでドライで毅然とした所作がいい。 続く控え室の鏡台の場面。両者は鏡を介して互いを意識しあうが、その二人に対しカメラは交互にピントを送り、二人同時に焦点を合わせることをしない。従って二人は画面上では視線を交えることもなく、対話を交わすこともない。互いに尊重しつつも、馴れ合いを潔しとしないライバル同士の高貴なプライド。それらをシンプルな描写の中に垣間見せる、その視線のドラマがいい。 シェールからアギレラへ、睫と唇への触れ合いを通して擬似母娘の関係を築く化粧シーンもまた、簡潔にして情感豊かだ。柔和な画面が美しく、これも鏡台を巧く使っている。 歌曲では、唯一同時録音的な効果のある「Tough Lover」が白眉。 アギレラの声量が遺憾なく発揮されると共に、客席のざわめき、嬌声、雑音の満ち干きが採り入れられて、舞台・客席相互感応のライブ感がよく出ている。 その分、逆に他の曲の別録が気になってしまうのが皮肉なところ。重低音の音楽は気持ちよいが、リズム重視のカッティングの連続で少々飽きる。 せめてシェールの「You Haven't Seen The Last Of Me」くらいは同録でお願いしたい。[映画館(字幕)] 7点(2011-01-03 16:45:34)《改行有》

28.  パリ20区、僕たちのクラス 《ネタバレ》 冒頭での教師同士の自己紹介などを除き、基本的に物語に関する背景や説明的描写は大幅に省略され、原題通りカメラは校舎の外へ出ることなく教師と生徒、あるいは教師同士のコミュニケーションをひたすら捉えていく。通俗的起承転結も大団円もなく、彼らの間では葛藤・摩擦・対立が次々と生起し、授業そのものが優れてサスペンスフルな劇となる。多国籍・多人種・多階級の社会を生きる生徒たちと教師による舌戦の丁々発止ぶりが非常に面白い。強かであったり、反抗的であったりと、個性豊かな生徒達の表情に現れるフィクションと写実のせめぎ合いが画面に緊張を漲らせ、非常に見応えがある。カメラは教室の全体像を収めることはなく主として発言者の横顔を大きく捉えるが、同時に周囲の生徒たちのリアクションも確りフレーム内に収めており、画面はフレーム外の世界と、共存者たちの存在を常に意識させる。極端に狭い校庭で、教師と生徒混合でサッカーに興じるラストの図はほとんど個人戦の様相だが、その雑然感が良い味を出している。 [映画館(字幕)] 7点(2010-07-21 20:27:04)《改行有》

29.  春との旅 《ネタバレ》 例によって、ゴーストタウンのごとく往来のまるで無い殺風景な地方の街路。『バッシング』でも、『愛の予感』でも、小林作品に登場する「北の辺境」は無機質で人間味を欠き、主人公らの殺伐とした心象の反映といった具合で一面的に捉えられる。それでもこの作品はオーソドックスな脚本の趣向によるものか、東北や道南地区(牧場シーン等)の生活感のある暖色系のロケーションや、徳永えりの羽織るジャケットの印象的な赤が作品に温かみをもたらしている。 『白夜』ほどではないにしろ、佐久間順平の音楽は心情説明的で少々押し付けがましいなど不満もあるが、祖父と孫娘のツー・ショットと歩行、食事、その様々なバリエーションと反復表現にはやはり妙味がある。序盤の拒絶の身振りから、旅館の二階と一階それぞれの窓から外を見る二人のショット、仙台の大通りのベンチで肩を寄せ合い眠る二人のショット、腕を組み牧場の坂を駆け下りていく二人のショット、そして冒頭と対になるラストの電車シーンへと、二人が横並びとなるシーンは触れ合いの所作とともに滋味と幸福感を醸していく。 また、味覚以上に活力としての食事が描かれるのもまた小林作品独特の味だ。ラーメンのスープ、コップの水も必ず飲み干させている所が良い。 その他、印象的な細部として、配膳する徳永の手付きをさりげなく見守る淡島千景の視線。一泊目の夜、旅館の風呂場で徳永が口ずさむ歌声の澄んだ響きなどが忘れ難い。[映画館(邦画)] 7点(2010-06-12 21:02:18)《改行有》

30.  バリー・シール/アメリカをはめた男 《ネタバレ》 TWAパイロット時代のエピソードがまずは語られる。何を思ったか、自動操縦を手動に切り替え、 機を揺らして乗客を怖がらせて楽しむバリー・シール。 手動⇔自動のシーンはこの後のエピソードでも登場するが、ここでは彼の大胆不敵さ、茶目っ気、 ふと日常から逸脱して刺激を求める彼の性向のようなものを描写したのだろう。 それと共に、安定した人生から自分の腕一つを頼りに波乱の人生を選択していくドラマを冒頭で簡潔に示唆する挿話でもある。 人生の選択を迫られる転換点というべき契機がいくつもあるが、そこで主人公が逡巡したり悩んだり決断したりという描写はほとんどなく、 一呼吸置いて次のショットでは彼はすでに行動に移っているという繋ぎが多い。 場当たり的で選択の余地なく状況に流されているような印象を生むが、そうした巻き込まれ型的な展開が テンポの良いカッティングと場面転換の軽快さ、そして常に動き回る手持ちのラフなカメラワークと相乗して、 映画の疾走感となっている。 主人公バリー・シールはいわゆるワルであるながらトム・クルーズの好漢ぶりが中和して憎めないキャラクターに仕上がっている。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-10-26 23:00:44)《改行有》

31.  PARKS パークス 《ネタバレ》 前半は移動のシーンで構成されていて、橋本愛と永野芽郁は公園内をひたすら駆け巡る。 その移動を、どのように撮っているのか、鳥瞰ショットがたびたび挿入されて公園や街と彼女らの小ささが対比される。 その大胆な高低はまず二人の出会いの切り返し(井の頭線とアパート)を強く印象づけ、 後半のフェスティバルでの見つめ合いへと繋げている。 風が渡り木々がざわめき橋本の髪を揺らす現在パートと、静的な過去パートもきっちり意識して区分けする徹底ぶりもいい。 映画の骨法としては二人を途中で仲違いさせるのは基本なのだが、後半まで和気藹々の状態が続く。 まさかこのままという事はないだろうと不安になったところで、フェスティバル直前からの一筋縄ではいかない転調にやられた。[映画館(邦画)] 6点(2017-09-18 22:28:20)《改行有》

32.  パトリオット・デイ 《ネタバレ》 アーカイブ映像なども多々織り交ざっているだろう事件現場のスぺクタキュラーな再現ぶりが見事。 監視カメラ映像の挿入も巧妙でドキュメンタルな効果を大いに発揮し、 中国系移民の青年を始め、表情の良い俳優が多いのでアップも苦にならず、爆発現場や銃撃現場のシーンでは緊張に満ちた臨場感が出ている。 現場保存のために路上に放置された、毛布にくるまった遺体。その傍に付き添って立哨警備する警官の表情。 ようやく回収車が到着し、遺体は車に乗せられる。それに対し、警官は敬礼をもって静かに見送る。そんなさりげない点描がグッとくる。 ラストは常套的で、如何にもあざとく、ナショナリズム紛いのメッセージに少し感動が冷まされるが。[映画館(字幕)] 6点(2017-06-17 00:10:03)《改行有》

33.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 主要なキャラクターは若干4名。そういう意味では経済的なのかも知れないが、その分船内の美術のスケールと豪華さによって 見る楽しさが持続する。それでもドラマをほぼ二人だけで見事に牽引するのだからどちらも大したものである。 中盤までは、ジェニファー・ローレンスを除く二名と観客が秘密を知っている、その事がサスペンスを生み、 後半は二人の愛憎の劇とスペクタクルで魅せていく。 命綱を使った救出劇は『オデッセイ』には及ばなかったか。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-03-26 21:59:54)《改行有》

34.  破門 ふたりのヤクビョーガミ 《ネタバレ》 多勢に無勢の佐々木蔵之介を助けに戻るか、否か。 クライマックスで逡巡する横山裕のシーンが、いつまで悩み考えるのかというくらい長く、もどかしい。 逆に、躊躇なく行動させた方が高揚感を維持出来たように思うのだが。 中盤で結構なバイオレンスを見せるのに対し、最後の乱闘が少々ぬるいというのもある。 一方でキムラ緑子と横山の母子が食卓を挟んで語り合うショットなどがやはり巧い。 横山が夕食を平らげ、爪楊枝を口にする芝居にふと滲むくつろぎの生活感など、絶品である。 それと対応して、ソファで宇崎竜童と対峙する佐々木蔵之介も貫禄の芝居がはまっている。 眼の剥き出し方もただ事ではない。[映画館(邦画)] 6点(2017-02-01 23:40:48)《改行有》

35.  バイオハザード: ザ・ファイナル 《ネタバレ》 無数のコラージュが集積してヒロインの像を象っていくオープニングは、彼女のアイデンティティをめぐるドラマを象徴する。 鏡像の反射を活用すべく設定された美術や道具立ても、分身の主題を強調する為のものだろう。 そうした謎解きはともかくとして、あの手この手のアイデアを駆使したアクションの釣瓶打ちによって、 追い追われるの状況のみを展開していく潔さがいい。 装甲車上、タワービルからピット内の地下エリアへ、装置の高低差のサスペンスを活かした見せ場がふんだんな上、 打撃系のインパクトを強調して組み立てた格闘がパワフルで素晴らしい。「指を切らせて腹を断つ」とか。 各ショットは短いながらもケレンある構図でコンティニュイティがしっかりしているので、速度に同調すればこのアクションは見れる。 ラスト、再びの映像イメージのコラージュによる記憶の補完もまた、何となくゴダールの『映画史』を連想させたりするといえば大袈裟か。 アクション映画の引用コラージュ集とも云えるし。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-01-18 16:26:41)《改行有》

36.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 映画に対する感動、というよりは実話に対する感動といった方がよい。 ラストも結局は実際のモデルに頼ったようにみえる。 まずは眉をしかめたトム・ハンクスの表情のアップの多さが気になってしまう。 夜間にジョギングする彼のシルエットの背後に影が覆いかぶさるようなショットなどにらしさがあるが、 トラウマのシーン以外、人物の顔に深い陰影を落とせないのは今回も実在の人物をモデルとしているからか。 簡潔に処理した二度の回想シーンなどはともかく、ビル群に突っ込んで爆発する妄想CGまで必要か、結構無駄を感じる。 わざわざコンピュータ処理に頼らずとも、誰しもがそれを連想するのだから。 隣席に同乗した女性の代わりに乳児を抱いてショックに備える男性客のエピソードなど、細部のドラマはさりげなく感動的であり、 ラストのアーロン・エッカートのジョークも爽やかでいい。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-09-25 20:09:30)《改行有》

37.  バクマン。 《ネタバレ》 漫画を題材として映画ならではの特性を活かすとするならば、要となるのは必然的に絵を描く行為の具体性、身体性という事になるだろう。 例えば、絵が姿を現していくキャンバスをそのまま捉えていくクルーゾーの『ピカソ』。 例えば文字を書く手と鉛筆の動きをアクションとして、表情として捉える柳町光男の『十九歳の地図』。 本作では、まず野蛮なまでに荒々しいペンの音が描き手の生々しい息吹を伝えてくる。 それだけで充分に格闘の具体的描写となっているのだから、ライバルとの格闘イメージシーンなどは逆に意味として概括してしまっているようで アクションが際立たないという転倒が起こっている。 入稿締切までのタイムリミットにも時間の具体的な提示が欲しい。 何しろ、逆光ショットの多用によってとにかく画面が暗いという印象がまず来るのだが、 学校の階段上、通路、病院のベッド際、暗い室内から見るテレビ画面内の上段と、 ヒロインの小松菜奈が特権的に光芒を放つという映画的な論拠もあるだろう。 『ゲゲゲの女房』に続いて、宮藤官九郎の漫画家像がいい。[映画館(邦画)] 6点(2015-10-10 03:43:49)《改行有》

38.  花とアリス殺人事件 階段を駆け下りる構図までそっくりな「ハッピー・バースデー・トゥーユー」の 合唱が出てきた時点で、次は公園のブランコでも登場させるのだろうと簡単に 予想がついてしまう。 そういう露骨なのは、あまり延々と引っ張らないで欲しい。 ハレーション効果を採り入れた一枚絵の背景美術も、新海誠ら以降の作品としては 物足らない。人物に焦点を当てたアニメーションならばこのあり方が本来的なのかも 知れないが、本作の作風ならば背後の情景にももっと何らかの動きが欲しい。 光の揺れとか、草木の揺れとか、雑踏とか。 実写トレースによって日常的な人物の動きは確かに生々しさを獲得しているものの、 反面で例えば、リレー競争での三人抜きなどにあるべきアクション性も希薄に なってしまった感がある。 欲張りついでに云えば、ラストの走りももっと息せき切らせなければ。 [映画館(邦画)] 6点(2015-03-17 14:02:22)《改行有》

39.  ハンナ・アーレント 《ネタバレ》 ハンナ・アーレント(バルバラ・スコヴァ)は、モニターの中の アドルフ・アイヒマンをひたすら凝視する。 ソファに身体を横たえながら煙草をふかしつつ、思索にふける。 学生への講義の際も、煙草は手放せない。 そうした身振りと対話のうちに、人物が象を成していく。 夜の書斎の美術や照明も、思考と執筆について映画表現する 難題に対して、よく補助している。 ラストが独演会での長広舌で、さらに賞賛の拍手というのでは少々 安直だが、中盤とラストで彼女の講義に聞き入る学生たちの 真剣な表情と眼差しがいい。 前半でアイヒマンの裁判を傍聴する彼女の批評的な眼差しからの継承の シーンとなっている。 冒頭とラストの夜景も印象的だ。 [DVD(字幕)] 6点(2014-09-16 15:42:30)《改行有》

40.  バレット(2012) 運転席と助手席での対話が多く、その深度のない構図の反復も単調。 ならば、流れる背景だとか車内に入射する街燈の光などで画面に変化をつけて欲しい。 クライマックスの発電所廃屋も、三者それぞれの位置関係の提示が不出来。 音の反響で繋ぐなり、縦構図を利用するなり、現場機具をもっと活用するなり、 もう少し空間を活かして欲しい。 湯気に煙るプールでの乱闘も、『イースタン・プロミス』の後ではいささか物足りない。 が、数々のアクションをこなしてきたシルヴェスター・スタローンの 武骨で年季の入った面構えと、彼の発する低音の響きは非常に渋く印象深い。 『スペシャリスト』以上に、彼の声の魅力がよく引き出されている。 [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2013-06-09 23:44:06)《改行有》

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