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コメント数 3876
性別 男性
年齢 53歳

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241.  大海原を行く渡り鳥 宍戸錠が、出演してないんです。出てたら出てたで、勘違いキザ男ぶりが何とも変なんですけれども、いないと寂しい、というか、彼の演技が作品にユーモラスな雰囲気を醸し出していたんですが(ただし、どこまで狙った効果なのかは不明)。今回滝信次が現れたのは、異国情緒あふれる(?)長崎、今回の彼の好敵手も、宍戸錠の代わりに、アヤシゲな中国人が登場。こういう間違った中国人像、どこか懐かしいですな。セリフ回しも北京語ならぬ、ゼンジー北京語。これであと、両袖突き合わして手を入れてたら完璧です。でまあ、とりあえず冒頭、地元民が暴漢に襲われているのを、たまたま通りかかった滝信次が助けに入り、彼がいきなり銃を持ち出しても誰も驚かず「助けてくれてありがとう」という、例によって例のごとくの展開な訳ですが、宍戸錠がいないことと関係あるのかないのか、滝と悪党どもとの抗争ばかり描かれて、やや単調。一応、銃撃戦なんぞでもって、盛り上げたりはするんですが。浅丘ルリ子も「え?いたの?」という感じのまま、映画が終わってしまいます。宍戸錠、やっぱり必要な人材ですね。出てらら出てたで変なんですけど。[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-01-03 16:06:08)

242.  ミヨちゃんのためなら全員集合!! いかりや長さんの顔芸vsカトちゃんの顔芸。そういや長さんって、こんなスゴイ顔だったんだよなあ、とつくづく思います。って何に感心しているのやら。ミヨちゃんのためなら全員集合!!って言っても、ミヨちゃんを演じるのは美津子ボンバイェ、だいぶ貫禄がありますね、しかも「ミヨちゃんのため」どころかむしろ、いかりや氏の零細工場を地上げ屋から守るためにミヨちゃんが奔走するオハナシじゃないですかコレ、という点に一番笑ってしまったんですが。この時代に公害問題をこういうふうに茶化してよかったんだろうか、とも思えば、この時代ならではの節操の無い自由さよ、とも思えたり。「ゴリラを殺す」なんて日記に書いてるうちはいいとしても、本当に包丁を持ち出しちゃうブラックさがこれまた、やり過ぎといえばやり過ぎだし、表現が自由だった時代のユルさといえばユルさ。それにしても、いかりやさんの顔芸より、カトちゃんの顔芸より、仲本&高木コンビのあまりに似合っている芸者姿が、目に焼き付いてしまって・・・[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-12-28 10:25:31)

243.  グレートレース ニューヨークから西回りでパリへ、空前の自動車レース! って言っても、参加者がやたら少ない上に、早々に皆、脱落してしまい、永遠のライバル、レスリーとフェイト教授との一騎打ち。この時点で、スケールでかいのやら小さいのやら。しかも、レース途中に立ち寄る各地方でのエピソードが主で、基本的にこの映画、レースをしていませんね~。レース映画ではなく、『八十日間世界一周』のノリの映画です。トニー・カーチス演じる、カッチョ良過ぎるキザ男レスリーに対し、敵役のフェイト教授と助手マックスを、ジャック・レモンとピーター・フォークがヤケクソのように体を張って演じ、それを古き良き時代の懐かしきギャグが彩る、という趣向。特に、ジャック・レモンのハイテンションぶりに、ついていけるか否か。ギャグは色々と盛り込まれているのですが、正直、この映画で一番楽しいのが、映画冒頭からレースが始まるまでのショートコントの部分、後が続かないのが残念で、やや冗長に感じさせる一因にも。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-28 09:40:01)

244.  続・次郎長富士 前作に続き、大映が満を持して送るオールスター次郎長映画。物語は前作からの続きで、出演者もかなり共通していますが、役柄は次郎長・石松を除き、ほぼシャッフルされちゃっております。前作で黒駒を破り、破竹の勢いの次郎長一家。勢力を伸ばせば伸ばすほど、敵対する各ファミリーの包囲網もきつくなる。そんな中で、前作にも勝り存在感を示すのは、やっぱり勝新演じる石松。本当にノリノリで楽しそうに演じており、この勝新を前にして、いったい雷蔵は何のために出てきたのかと(笑)。いや、チョイ役とは言え雷蔵様の顔もしっかりと拝める、これぞ大映大作映画。勝新が活き活きしているからこそ、どっしり構えた長谷川一夫次郎長の貫禄も増し、男気も光るというもの。クレーンを用いた俯瞰の殺陣など、見所も多く、昼のシーンと夜のシーンが混ざって時系列のよくワカランところもあるけれど、何しろ勢いです、勢い。勝新と中村玉緒のカラミ、妙にネチッこくって、正直ちょっと引いてしまう(笑)けど、これも勢いということで。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-10 22:51:50)

245.  渡り鳥いつまた帰る 渡り鳥シリーズ第3作。今回、主人公・滝信次が現れるのは、佐渡島。日本各地に忙しく出没し、御苦労さまです(3か月に一本のペースで製作されていたようです)。どこに現れようとやることは同じ、「宍戸錠とライバル関係を保ちつつ、浅丘ルリ子を助けるために不届きな連中をやっつける」ですが、今回は特に、潜入捜査官的な役どころ。金子信雄演じる榊原一味が狙うのは、会社の乗っ取りなのか、それとも廃坑の中に何か秘密があるのか? という訳で、その謎を探りつつ、小林旭が例によって胸のすく大活躍を見せてくれるのですが。実際、今回も自ら体を張ってのアクションを見せてくれます。しかし結局のところ、廃坑の秘密というのが、榊原自身が昔埋めたお宝、そりゃアンタ、深く埋め過ぎやろ。それに、もうちょっとこっそり掘ればいいものを、部下どもの品行の悪さもたたって、とにかく目立ち過ぎ。さらに、巻き込む必要もない小林旭や変人宍戸錠、彼らを巻き込んだがゆえに、事態をムダに大きくしてしまってるのですが、これは娯楽作品、事態は大きいに越したことは無い(笑)。なぜか殺し屋まで登場しクライマックスは銃撃戦へ。日本海の荒波を背景に繰り広げられる数々のアクションを堪能すべし。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-12-07 09:09:51)

246.  赤い夕陽の渡り鳥 例によって素晴らしいロケーションの中を馬に乗って行く小林旭、例によって宍戸錠との遭遇があり、例によって地上げ屋みたいな連中に困らされている人々がおり。背景はとにかく絶景、やっぱり渡り鳥シリーズ最高。と言いたいところですが、小林旭演じるところの主人公・滝伸次、冒頭の子供を救出する場面での大ジャンプはカッコよかったものの、イマイチ見せ場が少ない。誰かが危機に陥るたびに都合よく馬に乗って助けに現れるのが、何だか判で押したような感じがして、もう少し変化をつけられないものかと。その分、宍戸錠が頑張る(オーバーアクションな演技は観てて若干疲れるけど)。無精ヒゲ生やしてると、気味が悪いほど宍戸開に似てますな。さらに盛り上げるのは、殺し屋のジミー。これ以上無いくらいに殺し屋っぽいイデタチをしておりますが、仕事に差し支えないのでしょうか。という訳で、やや盛り上がりに欠ける(笑)のですが、それでも何でも、とにかくロケが素晴らしいのです。これだけ風光明媚だと、崖を転落する自動車の姿も映えて、実に見事、「中に乗っていた主人公がなぜ無事だったか」なんてこともまるで気になりません(笑)。さあ、景色を楽しみましょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-11-26 22:56:52)

247.  さすらいの用心棒 何はさておきとりあえず殺戮シーンから始まるってのはマカロニ・ウェスタンの定番かも知れませんが、本作、その後の展開はむしろコメディ・タッチ。ジュリアーノ・ジェンマ演じる主人公、丸腰ってのが何ともマカロニらしからぬところ。しかもこの主人公、とことんチャラチャラしていて、相棒をダシにしまくり、自分ばかり上手い汁を吸おうとしている、とんでもない奴。これがまた、ジェンマのイメージにピッタリなのです。他の作品での真面目な役はイマイチしっくり来なかったのですが、本作はまさしく「これぞジェンマ」。という訳で、前半は相棒とのやりとりでなかなか笑わせてもくれるのですが、そのまま終わっちゃ、マカロニじゃない。後半、主人公の過去が明らかになるとともに、見事なガン捌きを披露、アクションになだれ込んでいく。という、まあ罪の無い(主人公の罪深い言動を笑い飛ばす、という前提ですが)コメディアクション映画です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-26 20:53:36)

248.  口笛が流れる港町 本作、やっぱり尺が短いので、オハナシはドンドン進むのだけど、この短さにも関わらず、冒頭、2分近くも、ただ小林旭が馬に乗って岩山をやってくる姿をワンカットで見せてくれる。で、いきなり、宍戸錠との拳銃での挨拶。「これは西部劇なんだぜ」という宣言ですね。だから彼らがなぜ拳銃を持っているか説明もないし、地上げ屋風情の連中から彼らによって助けられるヒトも、彼らの拳銃に驚くこともなくアタリマエの顔をして「どうも有難うございました」なんて暢気に礼を言ってたりする。素晴らしきこの強引さ。何しろ尺が短いんだから。と思っていると、今度はサイコロ賭博のシーンが延々と続いたりする。そう、「対決」のシーンについては端折る訳にはいかんのです。ってな訳で、小林旭と宍戸錠が、微妙な距離感を保ちつつ、巨悪ならぬ微悪に立ち向かう、シリーズ第2作でした。次に“渡り鳥”が現れるのは、あなたの町かも知れない。もしも風光明媚な土地ならば、ですが。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-11-22 01:43:08)

249.  シャイアン 一見すると、とりとめのない感じもあり、何とも奇妙な作品なんですな。故郷から居留地への旅の間に仲間の多くを失った先住民族のシャイアン族が、居留地でも白人に配給の約束を反故にされ、再び故郷への長い旅路に立つ。かつての西部劇で悪役にされてきた先住民たち、しかし実際には白人たちに迫害されてきた彼らの立場から描いた作品、と言えばそうなのかも知れないのですが、一筋縄にはいかない。あくまで映画は、彼らを中心に描くという程には、我々の感情移入を許しません。何しろ、比較的彼らの立場に同情的な主人公リチャード・ウィドマークすら、完全には彼らにシンパシーを抱いてはいないし、そもそも彼らを庇うにあたっても殆ど消極的で、無力と言ってもいいくらい。およそ主人公らしからぬ主人公なんですね。一方、ここで描かれる先住民は、我々の安直な「同情」の対象として描かれるのではなく、「耐える者」としての誇りと崇高さをもって描かれており、だからこそ、安易に我々を受け入れたりもしない。むしろ、理解しやすいのは白人たちの方なんですね。彼らはあくまで職務に忠実なのだから。実に真っ当。そして、忠実であればそれでよいのか、真っ当であればよいのか、結局は誰かを(先住民たちを)踏み台にした上での忠実さ、真っ当さではないのか、と。最終的には白人が白人を糾弾し、解決を見出そうとするのは、希望と言えば希望。中盤、幕間的に挿入されるエピソードは、白人を中心にした、いわば表の歴史。その裏に隠された歴史に光をあてつつも、単なる同情に流されない、驚くほどにストイックな作品です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-11-11 23:15:54)

250.  バファロー大隊 主人公は、黒人を中心に構成された騎兵隊の中尉。部下の黒人軍曹が強姦・殺人の容疑をかけられ、中尉自身が彼を逮捕するが、軍法会議では彼の弁護を買って出る。という訳で、西部劇ですが、法廷ミステリーでもあります。いや、この“法廷ミステリー”というのはあくまで形式上のことであって、やはりこれは“西部劇”なんでしょう、強固な意志たちと、その意志に挟まれ苦闘する主人公の姿を描いた作品なのだから。法廷での証言から過去が徐々に明らかにされていく形式、法廷での証拠のやりとり、意外な結末などは、いかにもミステリーらしい構成ではあります。しかし、証言から始まる回想シーンは、真相究明という点から見ればしばしば脱線もするし、証言者の主観に止まらず客観的な描写(証言者が実際には見ていない場面の描写)もあり、言ってみればこれらの証言で描かれているのは、謎ときゲームのための単なる手がかり、というよりもむしろ、登場人物たちの人物像、彼らの意志そのもの、とも言えるでしょう。信じるべき部下の軍曹、しかし主人公を容易には受け付けない強固な意志。軍曹の無実を信じ主人公を批難する、主人公の恋人の意志。時に人種差別をむき出しにする検察側の攻撃。そしてこれらに挟まれつつ、最後まで真相究明にもがき続ける主人公の姿こそが、本作の大きな魅力となっています(要するに、主人公がイマイチ頼りないから、盛り上がるんですな)。頑固者で強敵と思われていた判事が、意外にもグダグダになり、ユーモアをふりまいて物語の下支えをしているのも見逃せません。ラストはいささか唐突ですが、このあたりはミステリーとしてのサービス、ということで。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-11-04 10:02:04)

251.  新選組始末記 新選組を題材にした映画ですが、今の視点からすれば、これは「ブラック企業モノ」と呼んでもよいでしょう。近藤勇にあこがれて新選組に入隊した山崎蒸だが、いざ入ってみれば彼の理想とはかけ離れた実態。その体たらくに呆れているのはまだ序の口、気がつきゃイザコザの詰め腹切らされ、文字通りあわや切腹、という身に。しかし、本人は武士としてのヤル気マンマン、近藤新局長も何だかかばってくれるしで、「ズルズルと」池田屋騒動での大活躍になだれ込む。これは今の言い方では、ブラック企業に加担しちゃうブラック社員という奴でしょう。しかし、そう言っちゃうのは単なる「レッテル張り」、何とも味気ない。ブラック社員にも生き様があり、悲しく見送る女がいちゃったりもする訳ですな。というようなオハナシ(と言ってよいのか)を、三隅監督が鋭い演出で描いておりますが、後半、ちょっとまとまり切らなかったかな、と。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-10-12 17:41:17)

252.  宮本武蔵 巌流島の決斗 《ネタバレ》 吉岡一門との対決を制し、「後悔せず!」と叫んでみせた武蔵、しかしどうみても後悔しまくりなんですね。身寄りの無い少年の面倒を見るあたりは、罪滅ぼしといったところでしょうか。しかし、これまでの戦いで武蔵が得たものは、何だったのか。剣豪としての名は広まり、細川家指南役という話も舞い込むが、それではまるで、吉岡一門をギタギタにし子供の命まで奪ったのは、就職活動のためだったみたいではないか。と言う訳で、武蔵はスタコラサッサと旅立ってしまうのだけど、いくら逃げても肩書の方が追いかけてくるのが、有名人のツラいところ。一乗寺下り松の石仏、過去の妄執もまた武蔵を追いつめる。ついでにオババも武蔵を追いかけてきちゃったりして、最後の対決の場に武蔵を待ち受けるは、小次郎か、オババか。さあここから先は、ネタバレもヘッタクレもありゃしない、誰もがお馴染みの名セリフに名対決(小次郎が「卑怯」と罵る通り、武蔵は最後まで心理攻撃の手を緩めない。いやあ、卑怯だなあ)。剣の道に対する武蔵の疑念が、一種の諦念の形で確信に昇華されて5部作は幕を閉じます。シリーズ中、特に見所が多い作品でもないかも知れませんが、さすがにこの最終作を見ないことには、落ち着いて眠れませんからね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-29 11:58:04)

253.  シェナンドー河 《ネタバレ》 『馬上の二人』で、さらわれた人々の救出に向ったジェームズ・スチュワート。今回もまた、同様のテーマですが、作品の中に見られる対立軸は、さらに厳しいものとなっています。今回の彼は、妻を亡くした身とは言え、6男1女、さらに息子の嫁もいて、まさに“大家族スペシャル:アンダーソンさん家が大変だ”状態(ああいうTV番組、観たことありませんが…)。家族というより、プチ国家なワケで、南北戦争時代、南軍にも北軍にも与せず、教会とすらもやや距離をおいて“独立”を保っている。いわば、家族vsそれ以外、という対立軸の中で、末っ子がたまたま南軍兵士の帽子を拾ってかぶっていたもんだから、北軍に捕えられ捕虜になってしまう。で、息子たちとともに、末っ子奪還を目指すのですが、映画に「捜索モノ」というジャンルがあったとして、こんな切り口があったのか、と思わせるテーマです。「内部」から「外部」へと連れさられたとは言え、「内部」とはあくまで家族という極めて小さな世界、それに対し「外部」とは社会そのものとも言える訳で、絶望的なほどに明確な「周囲との対立」が描かれています。アンダーソン家は国家であり、息子たちは国民であるとともに兵士であって、それがアンダーソン家のアイデンティティであると同時に、悲劇の始まりでもある。家族のあるものは暴漢に襲われて命を落とし(犯人は逃亡)、またあるものは戦死するも殆ど事故死に近いもの。勧善懲悪や因果応報とは無縁の、無念の死としか言えないもので、まさに、独立するということが内在的に抱える悲劇性そのものの表れでしょう。そう言う訳で、ともすれば暗い展開に流れるのですが(息子たちを軍隊になぞらえた時点で予想された展開とは言え)、最後は、教会に突然、末息子が帰ってくる、という奇跡にが起こり、今まで不信心だった主人公が積極的に讃美歌を歌う姿で、映画は大団円を迎えます。ただし、コレ、周囲との和解というよりは、神との和解、というラストですから、私のような不信心者にはちょっとピンとこない部分もあるのですが。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-29 09:48:58)

254.  宮本武蔵 一乗寺の決斗 一乗寺下り松。わたしゃ子供の頃に、武蔵が地形と敵の配置を書いた紙を布にくるんで鉢巻にするのを見て、ああ、覚えにくいことはこうやれば頭に入るのか、とエラく納得したもんでした。が、ホントに効果があるのかどうか、この歳になるまでまだ試したことはありません、ハイ。本作、吉岡一門との最終決戦が描き、伝七郎との対決あり、73対1の壮絶な死闘あり、五部作の中でピークをなすような作品ですが、その分、やや大味な感じが無くも無く。ただ、武蔵が主人公とはいえ、本作ではむしろ武蔵の理不尽な挑戦によって滅亡の道を歩む吉岡一門の悲劇がクローズアップされ、一方の武蔵もまた、下り松での決闘は不本意な文字通りの“泥仕合”となった上、比叡山の坊さんに、鬼、悪魔と罵られる。一体、この戦いに勝者はあったのか。という、一大バトルを描きつつも、剣の道に対する信念の揺らぎをも描いて、これはもう何が何でも最終作を観なければ(笑)という気分にさせてくれる、なかなかに「お上手」な心憎い作品でもあります。ところで、小川べりを歩くシーンは、上賀茂神社でしょうか。伝七郎との対決の場面は、三十三間堂ですね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-09-24 22:07:54)

255.  沓掛時次郎(1961) 任侠モノとも思えぬ雷蔵の異常なサワヤカさが、目に眩しい……。池広一夫監督というと、マチャアキが孫悟空やってたテレビドラマ『西遊記』の、とりわけヘンテコな内容の回を演出していたとの印象が強いのですが(この偏った印象もどうかと思うけど)、本作ではどうしてこうも無難路線に走ってしまったのか。何しろこの雷蔵時次郎さん、いいヒト過ぎて、というより、「いいヒト」であるかのように作られ過ぎてて、ワケがわからない。まあ、この作品、お茶漬けのようにサラサラと楽しめれば、それでよいのかな、とも。志村喬が出てきて、杉村春子が出てきて、まるで黒澤映画と小津映画の片鱗を大映作品で味わえちゃった、みたいなちょっとしたお得感(?)はあるかも。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-09-15 12:42:41)

256.  集団奉行所破り 東映の一連の“集団抗争時代劇”が、時代劇の歴史における異色作であるならば、本作はさらにその集団抗争モノの中の異色作とでも言えるでしょうか。虚無感や悲愴感より、ユーモアがまずは表に出ています。ここでの“集団”とは、ほとんどゴロツキのような連中、その彼らの大阪弁での軽妙な会話というか、逆にディープ過ぎる会話というべきか、がテンコ盛りで、要するにユーモラスであると同時になんともコッテリした、関西人以外のヒトが観れば胸焼けしそうな世界です。開高健の「日本三文オペラ」みたいなエネルギーあふれまくりの世界。小難しい顔した大友柳太朗演じる浪人も、軽妙な彼らの中に混じるとむしろ、これまたユーモラスな存在ともなるんですけれども、映画はただただ明るい色調なだけではなく、登場人物たちそれぞれの「訳あり」なところが、時に映画に暗い影を落としたりもします。彼らが目指すは、よりにもよって、奉行所への押し込み強盗。究極のアナーキズム。そしてクライマックスの死闘へなだれ込むと、やはり悲愴感・虚無感が表れてくるのですが、それをひたすらあおり立てるのではなく、BGMなどに感傷的な要素を入れているのも、見逃せない本作の特徴。登場人物誰もが、活き活きとして素晴らしい。一見冷酷ながら二面性を備えた役どころの佐藤慶が素晴らしい。そして誰よりも、シナシナとシナを作りつついかにも訳アリ感に満ち満ちた、桜町弘子が素晴らしいです。[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-31 10:54:04)

257.  危険がいっぱい これはどういうオハナシかというと、「日頃の不真面目さがたたり、ついに和尚さんにお寺を追放されてしまった小坊主さん、山中で道に迷い、たまたま見つけた一軒屋に泊めてもらうことに。しかしその一軒屋で暮らすお婆さんの正体は、鬼婆で……」という、アレですね。だいぶ違うけど、まあ、そういうことでしょう。ただし3枚のおフダは出てきません、代わりに気の利いたオチが待っています。アラン・ドロン演じる主人公、ギャングに追われ、逃げのびた先で、とあるマダムの運転手として雇われる。しかし、マダムの家には、秘密があった。という訳で、マジックミラー越しのやり取りなどのミステリアスな道具立てや、ときにはユーモアなども織り交ぜながら、自由きままだった主人公が、身動きが取れなくなっていく様を描いていて、大いに楽しめる作品ながら、毒のきいたオチには、ため息も出てしまいます。ラロ・シフリンのいかにも彼らしい音楽も、秀逸。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-18 16:38:55)

258.  拳銃無頼帖 流れ者の群れ 《ネタバレ》 抗争の末、壊滅状態となった丸千組。麻島(アキラです)をはじめとする生き残り3人組に、追手が迫る。その追手というのが、これまた愉快な3人組①暗闇の銀次郎(錠です。暗闇でも百発百中の切れ者)、②青大将、③金メダル。名前の由来は①以外はよくわかりませんが、観ればなるほど、そんな通称で通ってそうな気がしてきます。丸千組の3人は、アキラはもちろんクールでニヒルでダンディ、言う事なしですが(笑)、あとの二人はどうも緊張感がない。それに比べると追手の3人組の、見事にキャラ立ちしていることといったら……いや、それほどでもないですね。まず③金メダルの泣きが入り、②青大将も冷酷になり切れず、肝心の①宍戸錠にいたっては、したり顔でゴタクを並べまくった挙句、ラストでは麻島側にちゃっかり寝返ってしまう。まるで、続編にも登場してやるぜ、と言わんばかり(多分、続編は作られなかったと思うのですが)。これだけナイスな敵役あるいはライバルのキャラクターを登場させておきながら、映画の最後までそのナイスさをまったく維持できないとは、いったいどういう了見なんでござんしょ。それを除けば、実にスバラシい作品だと思うんですけどね。「それを除くと」というすなわち、アキラ演じる麻島の兄貴の魅力に尽きる訳ですが。クールでニヒルでダンディ(しつこいってか)。単細胞の子分ふたりを巧みにいなすだけではなく、我々の目も巧みにかわし、なぜか本当になぜなのか、突然、板前と化してしまう麻島の兄貴。訳わからんけど、イナセでカッコイイから、OKなのです。アキラの魅力爆発、それに比べると、宍戸錠、ホントになんとかならんのかい。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-16 19:38:22)

259.  宮本武蔵 二刀流開眼 宮本武蔵5部作の中で、ドハデな決闘を描く第2作と、破天荒過ぎる戦争映画のような決闘を描く第4作に挟まれ、繋ぎのような、はたまたちょいと地味な緩徐楽章のような、この第3作。サブタイトルの“二刀流開眼”がじっくり描かれる訳でもなし。しかし、前2作からの因縁をここに纏め上げ、続く2作へと期待を盛り上げる意味で、この第3作が一番、シビレる作品と言えるかも知れません。いや、実際、本作を観ていると、最終作では小次郎とではなくオババとこそ因縁の対決をして欲しくなっちゃう(笑)。いや、健さん小次郎の高笑いも勿論悪くないですよ。非人間的ですらある剣豪・小次郎と、剣豪になるには人間的すぎる武蔵。そして剣豪として担ぎあげられてしまった悲劇を背負う吉岡清十郎。はたまた、彼らに翻弄されてしまった女たち。実にシビれる、5部作の中でも特に欠くことのできない作品だと思います。[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-15 20:59:38)(良:1票)

260.  怒りの用心棒 ガーフィールド大統領暗殺事件を題材にしたマカロニ・ウェスタン、なのですが、題材となっている暗殺事件が、どう見てもコレ、ケネディ大統領暗殺事件やんか(製作のほんの数年前)、というのが売りの作品であります。そういう意味では、いまさらこんな中途ハンパな作品を観なくとも、『JFK』を観れば充分ではないのか、と言われそうですが、いやいやいや。こちらにはこちらの味わいが。何しろ、実に強烈なカメラワークです。「どう撮れば面白いか」を考えるのは大事なことですが、本作、考え過ぎてしまったのでしょうね(正直、横顔ドアップがいかにも暑苦しい)。で、内容はというと、前半は、ジュリアーノ・ジェンマ演じる主人公が、大統領を暗殺者の手から守ることができるか否かに眼目があるのですが、本作の場合、大統領が暗殺されなければオハナシにならないので、とりあえず暗殺されます。で、後半は敵の一味に闘いを挑む、ジェンマ、と来る。正義のためでもあるし、殺害された父の復讐でもあるし、大統領暗殺犯としてデッチ上げられた友人オズワルド(という名前じゃないけれど)の復讐でもある。そこにさらに、亡き大統領の側近の暗躍も絡んできたりして、大いに盛り上げたいところではあるのですが、これがイマイチ。主人公が妙チキリンなルールで決闘を挑むのが、マカロニらしいと言えばマカロニらしいのかも知れないけれど、どうも取ってつけたような感じ。やや社会派的なテーマの本作にそういう要素が合わないのかというと、決してそんな事は無いはずなんだけど、どうもテンポが悪いんですかねえ。ラストの対決も拍子抜けだしなあ。でもラストシーンは素晴らしい。意地を張っていた男たちが、あくまでそれぞれ自分の信じる道を歩いて行くんだけれど、一瞬、歩み寄る。うーむ。何が問題かわかった気がする。本作、ジェンマそもそもミスキャストなのではないだろうか(ひとりだけ不真面目な奴が混じってるように見えてしまうのです)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-07 00:06:01)

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