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タイトル名 |
EO イーオー |
レビュワー |
Cinecdockeさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2025-05-29 22:50:34 |
変更日時 |
2025-05-29 22:50:34 |
レビュー内容 |
人間たちのモノサシによって、様々な"役"として組み込まれたロバは、 サーカス団の一員として、牧場の荷役として、サッカーチームの幸福の女神として、 流されるままに渡り歩き、待ち受ける不条理をただ受け入れているように見えた。
動物愛護団体が主人公のためにサーカスを潰しても、一方的な独善でしかない。 「ペットは家族の一員だ」と言われても、自由に外出はできず、意思とは無関係に去勢・避妊手術を受ける。 屠畜されている動物に目を背けながら、ペットを可愛がっているヒトの姿はグロテスクでさえある。 最後まで対等な関係にならず、人間の都合で常に生かされている。 その不条理の中で、サーカス団の娘からの愛情だけが微かな心の糧。
時折、差し込まれる赤い映像は鮮血のように見え、「生」と「死」が表裏一体であることを指し示す。 たとえ最後は悲劇だとしても、果たしてそれは悲劇なのか? 善とは?悪とは? そういうのは人間の作り出した思い込み、モノサシでしかない。 この物語もまた、そういう思い込みで観客が勝手に作っているのではないか?と訊かれているようである。 動物の根源である、ただ「生きる」ことを描いた作品。 |
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