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タイトル名 |
誰がキャプテン・アレックスを殺したか |
レビュワー |
Cinecdockeさん |
点数 |
4点 |
投稿日時 |
2025-05-31 00:13:20 |
変更日時 |
2025-05-31 22:40:20 |
レビュー内容 |
ワカリウッド──それは、ウガンダの首都カンパラのスラム街、ワカリガの映画スタジオから生まれた。 欧米の映画を見たことがないレンガ職人の男が、映画作りの原始的な衝動と想像を総動員して作られた、 純度100%のウガンダ製アクション映画が本作だ。
製作費はわずか85ドル、日本円で1万円にも満たない超低予算。 出演者は職業俳優ではないスラム街の住人で当然ノーギャラ。 撮影用のデジタルカメラが一台のみで同じシーンを違うアングルで撮らなければならないし、 ビデオ編集にはジャンク品から組み立てたパソコンを使い、ハードディスクも大容量ではないので、 DVDに焼いたらデータをすべて消去してマスター版は存在しない。 ウガンダの平均年収が570ドルということを考えると、どれだけ貧困が深刻で政情不安なのかを察する。
そのような環境で作られた作品は、画質もストーリーも演出もお世辞にも良いものではない。 しかし、その粗さがある種のドキュメントらしさを醸している。 アクションシーンは意外にも頑張っていて、身体能力を活かしたカンフーシーンは見どころ。 本作を象徴する衝撃的な空爆シーンはここまで来ると斬新さすら感じるくらいだ。 そこにVJエミーによるハイテンションなナレーションが被さると、独特の味わいを引き出しているではないか。 本編とは無関係な説明や同監督作品の宣伝もノリノリでブッ込んできて、 これが無ければ場面・状況が分からず、より退屈な映画になったに違いない。 それだけ70分が長く感じ、興奮が長続きしない。
YouTubeからの投稿によってチャンネル総再生数が2000万以上再生されるという大きな反響を呼び、 映画祭にも招待され、100万ドルを投資してくれる人も現れたとか。 ワカリウッドはウガンダの地に蒔かれた希望になっている。 映画の出来はC級かもしれないが、映画作りへの情熱と真摯さはAAA級。 観客に対して上から目線で適当に作っている邦画には見習ってほしい部分があり、 エド・ウッドもネット配信が当たり前の時代に生きていたら違う人生があったかもしれない。 |
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