映画『太陽(2005)』の口コミ・レビュー

太陽(2005)

[タイヨウ]
The Sun
(Solntse)
2005年スイス上映時間:110分
平均点:6.74 / 10(Review 34人) (点数分布表示)
公開開始日(2006-08-05)
ドラマ戦争もの歴史もの
新規登録(2005-02-24)【リーム555】さん
タイトル情報更新(2024-02-27)【イニシャルK】さん
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監督アレクサンドル・ソクーロフ
キャストイッセー尾形(男優)昭和天皇
佐野史郎(男優)侍従長
桃井かおり(女優)皇后
六平直政(男優)阿南惟幾陸軍大臣
品川徹(男優)迫水久常書記官長
西沢利明(男優)米内光政海軍大臣
灰地順(男優)安倍源基内務大臣
田村泰二郎(男優)研究所長
配給スローラーナー
あらすじ
昭和20年8月。地下シェルターと焼け残った研究所を行き来し、息の詰まるような日々を送る昭和天皇。既に後がない戦況の中で、彼は本土決戦よりも国民の平和を選び、自らの判断において占領軍司令官マッカーサーと向き合い、そして国民に対し自分は現人神ではなく一人の人間であると宣言する。終戦前後の絶望的状況の中で、孤独と苦悩に耐え忍ぶ昭和天皇をアレクサンドル・ソクーロフ監督が独特の映像美をもって描く。
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💬口コミ一覧

34.ネタバレ この映画が日本からでてこなかったことこそが日本の最大の魅力なんだと思う。
aimihcimuimさん [DVD(字幕)] 9点(2014-08-05 00:21:40)
33.これは、まず日本じゃ撮れない。日本は主観で天皇像をやたら特別視しすぎるきらいがある。天皇もせっかく「私も人間だ」といったのだから、日本人はもっと砕いて描いても良い筈だ。
その点、ソクーロフは客観的で、あくまで一人の人間として天皇を描いた。
口ももごもごし、まるで子供のように植物の研究に明け暮れ、「人間て良いな~」と謳歌していそうな、何処にでもいそうな感じに。これほどユーモアと気品を両方感じさせる天皇、中々いない。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-30 19:12:36)
32.ネタバレ 面白い。ストーリーも面白いんだが昭和天皇そのものの人物像が面白い。シュールすぎて。口がもごもごしてるシーンは笑いをこらえるので必死だったけど所々会話シーンで途中話が中断し昭和天皇がボソッと日本語で「あっそう」。なんてシュールなんだ
TRUST NO ONEさん [DVD(字幕)] 9点(2007-05-06 06:38:35)
31.日本を照らし続けるものの象徴として、「昭和天皇」を「太陽」として喩え、彼が敗戦という事実を受けとめて終戦を迎える日の一コマを、外国人の視点から描いたもので、静かな中にも終始緊張感の漂う作品となった。敗戦国の風景と天皇ヒロヒトの姿をシンボリックに描いたのが本作のポイントであり、それらは独特の映像で表現された東京の景観であり、イッセー尾形の形態模写的なソックリぶりとして、それぞれ独自の表現方法で画面に定着させていく。一人芝居で培ったイッセー尾形の独壇場ともいえる演技は、天皇ヒロヒトにどこまで迫れたか。それは映画を観た人の多くが納得いくものであろうし、少なくとも彼を起用した意図は十分に感じとれるものである。顔立ちや表情或いは何気ない仕草に加え、口癖のように「あっ、そう~」という言葉の言い回しや、“口モゴモゴ”の癖などをデフォルメして表現してみせるのも、生まれながらにして本当に言いたい事も言えず、言葉を呑み込まなければならない、その置かれた立場と哀しさをより強調したいからに他ならない。しかし、そのボソボソとした言葉は至って明瞭であり、全編に流れる微かな効果音と対を成していて、極めて印象的な演出方法だと思う。また、本編のセリフにもあるように、その容姿から“チャップリンのような”と形容され、事実、モーニング姿のおどけたような仕草に、ジャーナリストから好奇の目で見られるが、自身、意に介さないばかりか、むしろどこか得意気であり、そこに道化師の悲しみに似たものを感じさせる。多くの民を失わせた、その最高責任者としての表情と、一方で、どこにでもいそうな平凡な家族思いの男として、人間味を滲ませるなど、いかにも本物らしく、又は本物に近づいたかの如く、見事なまでに様々な表情を見せてくれる。未だ夜が明けきらぬままの、暗く重苦しい東京が終始映し出される。エンドロールに於ける、その上空から俯瞰で捉えた画面の端に、微かに鳩(だろうか?)が現れては消えるを繰返す様は、平和を願って已まない者の心の現われなのか、或いは、これからの日本の行く末を見守るものの象徴としてなのか。宮中の防空壕の暗い闇の中を、手探りで彷徨う天皇の姿と重なり合う。本作は、皇室の気品に溢れた調度品の様式美に至るまで、統一された色調による映像と演技者たちの表現力で、言葉だけでは伝えきれないものを我々日本人に齎してくれた力作である。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-18 17:21:05)
30.ネタバレ 地獄絵図の東京でぽつねんと取り残された楽園に暮らす、孤独な孤独な王様の姿に目が潤んだ。極度のマイペースで、蟹の甲羅に向かって真情を吐露したり、丹念に写真を眺め思いを巡らす彼の姿は、ぴったりとカーテンを閉めて他の誰をも信じず受け入れはしない。「神」と呼ばれる自分を受け入れていないのだから無理もないが。「人」であることでの新たな苦悩が感じられるラストも胸が痛んだ。2時間の独壇場、確かに昭和天皇であり続けたイッセー尾形と、外国人がこれを監督したという事実に観賞後改めて驚愕した。
のはらさん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-04 22:04:00)
29.うっわ、ノルシュテイン実写化(笑)。
いやホント、あの幻想的な空襲シーンを見れただけでも「ロシア映画観たァ~」って気になります。もう美術に関しては文句のつけようがない。
スタニスラフスキー・システムをわかってる者としては、各人の役作りは役者本人の投影であるのがわかるため、安心して見る事ができました。もちろんオイラも桃井かおりの役の作り込みには首を傾げたんですが、もう少し考えてからでなければ結論は出せないような気がします(少なくとも、この映画独特の時間経過表現と、人間宣言後に皇后が登場する事を考慮すべき)。
そして音楽! バッハのチェロ独奏曲を世界で一番、重たく悩ましく弾いちゃうロストロポービッチ爺さんの演奏っすから、腹に響かないわけがない(CD持ってますけど、体力消耗するのでそうそう聴けません)。ちなみに音楽評論家・吉田秀和はバッハのチェロ独奏曲を「奏者と神のみが聴く、最も孤独な音楽」と評しました。まさにこの映画のモチーフです。他のBGM全体は基本的に無調音楽で、緊張感あふれる使われ方をしていました。こういう素晴らしい劇伴は今後も増えていって欲しい。というか、やれ(命令形)。

本作はレビューが大変だというのが予想できたので、事前にチェホフの『かもめ』『ワーニャ伯父さん』をセッセと読んでロシア演劇を予習してから劇場に向かいました。でも付け焼刃はダメですね。それぞれの演技が意味するものが、まだ観えてこない状態です。そもそもスタニスラフスキー方式で昭和天皇なんていう奇っ怪な人間像(いや人間以上ですらある)を演れんのか? …ってな根本的な疑問もあります。ここで表象される天皇=太陽像は、読み解くのがとてつもなく難しい。
オイラには、まだまだハードルが高かった「演劇作品」でした。ただ、美術・音楽・演出の力で何度も観れるモノに仕上がってますから、今後しつこくチャレンジする事になるでしょう。
今は、とりあえず目の前に展開されるモノのみを評価して、この点数で。
エスねこさん [映画館(字幕)] 9点(2006-10-07 01:33:47)
28.ネタバレ 銀座シネパトス特有の地下鉄の走行音&微振動と、ソクーロフ映画特有のサウンドとの合成によって、気持ち良さのあまり序盤思わずウトウトしてしまったが、終わってみれば相変わらずのソクーロフ節というか、むしろ昭和天皇を演じるイッセー尾形という俳優を得たことで、ソクーロフの諸作品と比べると親しみやすい映画であったように思う。イッセー尾形の道化ぶり、佐野史朗の狼狽、桃井かおりのぎこちなさ等は普通に見ていて面白く、それらをあの独特の暗色画面の中でやってしまうソクーロフの大胆さも面白い。「昭和天皇は断じてこのような人物ではない」という意見もあるだろうが、それは確かにそうだろうと思う。ただ、そんなことは実はどうでも良く、むしろイッセー尾形が演じるヒロヒトが演じていた/演じざるを得なかった現人神(=太陽?)としての昭和天皇の姿を、人物そのものの造形ではなくて「関係(侍従との関係、マッカーサーとの関係、皇后との関係等・・・)」として捉えただけでなく、退避壕を中心としたほとんどが室内で構成された場面、あるいは妄想や窓越しからしか見る事の出来ない焼け跡の東京までもが昭和天皇の中に包含されるような世界として構成するそのやり方が見事であり、ラスト、佐野史朗の一言を聞き沈黙するヒロヒトを、桃井かおりが手を引っ張って部屋から出て行くシーンによって唐突に映画を終わらせることで、閉じられた世界にわずかな裂け目が作られた(それがエンドロールのあの白い鳥なのか?)。これは必見です。「あっそ。」と言われたらそれまでですが・・・(笑)
Qfwfqさん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-20 19:33:21)
👍 2
27.戦争で引き裂かれた愛はたくさんあるだろう。でも、本当の愛は、そんな劇的なものではなく、むしろ何の変哲も抑揚もない毎日に耐えるところで静かに紡がれるものではないだろうか。この映画の統治者の姿は、いつも通りの日常に身をおくという、人間にとって実は最も困難な生き方を表現しているように思われた。統治者だけが、戦時下の日本において、一人だけ「変わり映えのしない日常」を生きていた。だから、彼だけが、敗れゆく日本の姿を、唯一の仕方で感じ取っていたはずなのだ。それゆえに、ソクーロフ監督の映像の中の日本は、日本人にとって誰も見たことのない雰囲気と色彩に満ちている。この映画はドキュメンタリーではないのだから、歴史的な考証が正しいとか正しくないとか、昭和天皇は本当にこの映画に描かれるキャラクターみたいな人だったのかとか、なるべくそういう考え方から離れて観てみるとより楽しく見れる。
wunderlichさん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-07-25 23:25:55)
26.ネタバレ 友人と観にいったら私たち2人を含め5人しか客がいなかったのでホームシアター気分でした。昭和と平成の境目に生まれたもので昭和のことも昭和天皇ご自身のことも良く知らないのですが、印象に残ったのは空襲シーンです。上空からの視点で、燃えている町の映像はぼんやりしている。これはおそらく火の下を逃げた事のないであろう天皇の空襲のイメージなのだろうか、と思いました。
HOPUKOさん [映画館(字幕)] 8点(2007-12-06 00:04:25)
25.ネタバレ  非常に興味深いテーマではありますが、何となく禁忌を冒す罪悪感を感じてしまいながらの観賞となりました。まあ、日本では作れない映画ですね、上映できたことが驚きです(「昭和も遠くなりにけり」ということなんでしょうかね?)。
 イッセー尾形は、いろいろな意味で難しい役を見事にこなしていると思います。下手すれば命を狙われかねない訳ですから・・・・・。
 まあ、感想を述べるのが非常に難しい映画ですね。他の国の国王やら皇帝の話であれば簡単に述べられるんですけど・・・・。ただ、映像の美しさ等格式の高い芸術作品であったことは良かったなと思います。
TMさん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-11 23:40:03)
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24.僕の知っている昭和天皇は温和なおじいちゃんという感じで、尊敬すべき人格者です。
それは天皇という地位が齎すものではなくて、人として内面から滲み出る風格でした。
この作品では、また違った一面を見ることができて面白かったし、本質的な威厳も損なわれていないように感じましたね。
物語としては、そんなに面白いものじゃないけど、人間観察という意味で非常に面白い作品でした。
もとやさん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-06 21:10:52)
23.ネタバレ イッセーさんてなんて勇気のある人なんだろう。ただただ感嘆するばかりです。まさかロシア人監督が描く昭和天皇の映画で、まさにその昭和天皇の役を演じるなんて!しかもその描写と行ったら、もう。僕の見方は間違っているのかもしれません。でも僕にはそうとしか見えなかった。この映画で描かれているのは多分、その器もないのに神と等しい位置にまで祭り上げられてしまった一人の哀れな男の姿です。そしてこの、本来もの静かで知性も備えた、現人神でいるにはあまりにも我の強くない男はその重荷に耐えきれずに半ば精神に変調をきたしかけています。僕は観てて本当に戦慄が走りました。”これじゃイッセーさん右翼に殺されちゃう!”て本気で思いました。特にマッカーサー登場までは。この内容を徹頭徹尾リアルな映画として撮ってしまったとしたらほんとに政治問題や国際問題になりかねないな、って思いました。ところがこの映画はそんな愚をおかすことは決してしないで、美しくもグロテスクなイメージを重ねつつ、あくまでファンタジィの側で踏みとどまります。これは現実の皇居で起きた現実のことではない。どこか観ている僕らにはその確信がある。その上でこそあのイッセーさんのすばらしいお芝居が輝きます。その緻密さ。連合軍のジープに乗せられて去ってゆく現人神の庭には丹頂鶴が憩うている!しびれます。太陽と崇められた男の心はしかし崩壊の手前で踏みとどまります。そして月光の下で一人の小さな人間としての悲しい再出発を決意する。この先の人生が苦い苦いものになるであろう予感を含んで。やがて太陽は昇る。今日もゆっくりと。
amさん [DVD(字幕)] 8点(2007-05-30 03:56:16)
👍 1
22.昭和天皇は本当に神格を否定したかったのか、自分には疑問に思う。
人格を欲したのか、それが本当の気持ちなのか違和感が非常にある。
国民を想い、日本を想う昭和天皇が最終的に間違えた選択を起こしたかの錯覚を
みせる内容に見えて非常に嫌であった。
敗戦の責任は暗に天皇であるといわんかの内容は自分の思い違いなのか?
「人格」のない昭和天皇にはあろうはずも無く、すべては時の政治が起こした
「神格」の錯覚と欺瞞にほかならないと自分は思う。
 天皇を語れば右翼といった安直な精神は押し付けられた憲法と今でも占領下の
日本では仕方の無いことかもしれないが、戦争にいたった経緯、国民の想いを
なぜに教えずに謝罪のみを繰り返すのか憤慨してやまない。

 古き良き日本の文化をノスタルジックに語るのならば、当時の日本の宗教であった
剥奪された天皇教をも語ってほしい。 

 映画的には7点。 みなに今一度考えてほしいから+1点。
Jane.Yさん [DVD(字幕)] 8点(2007-05-03 08:05:01)
21.ネタバレ かつては国民には決して触れることの無かった”神”と”人間”の昭和天皇の姿、おそらく日本人がここまで昭和天皇を描く映画を作ることは永遠に無いのではないでしょうか。面白いかと言えば微妙、マッカーサーと陛下の会談辺りからようやく面白さが出てきましたが...国家、国民の運命、そして自らの運命を握るマッカーサーに対し堂々と渡り合う陛下の姿はさすが国家元首として生きてきた人間だと思わされ、その後の皇后陛下とのやりとりに真の人間・裕仁が垣間見られとてもいいシーンでした。当時戦争を停めることが出来たであろう唯一の人間としては、国家や国民に対する責任はあったと思うが、彼はヒトラーでもなくサダム・フセインでもない、陛下が国内裁判でもなく、ましてや東京裁判に掛けられることが無くて良かったと思う。ただ裁判に掛けられようが、判決がどう出ようが陛下は「あっ、そう」と受け入れられるのでしょう。
亜流派 十五郎さん [映画館(字幕)] 8点(2007-01-05 15:04:37)
20.ネタバレ 天皇陛下の苦悩が滲み出て、いい作品だと思った。
人間だと思いたい反面、天皇を神と崇めて死んでいった国民のために、神として生きる葛藤があったんだろうなぁ。
この映画を見て、もっと歴史を知りたいと思ったし、知らないといけないと思った。
ただ、最後の息子(皇太子)に会いたくて必死な姿は、まさに人間を感じた。
kontikiさん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-11 00:40:38)
19.前半部分は、特に敗戦の御前会議と思われる会議が「?」です。・・・阿南陸将はどうして軍服を着ていないのだろう。天皇が「四方の海」と明治天皇の歌を詠むのは、開戦の時の御前会議で、敗戦の時の会議ではなかったはず。・・・・外国の映画だから、仕方がないといえばそれまでだけど、日本的環境では確認されている事実が、ないがしろにされてしまうと、事実は事実として扱ってね、と思ってしまう。・・・・・・とはいえ、特にマッカーサーとの対面や、会食のあたりが興味深い。昭和天皇とはこういう人だ、と決めつけるのでなく、子供じみた部分、科学者的側面、責任感、プライド、外交的能力などなど、昭和天皇の多面的な部分を、イッセー尾形が実に良く表現している。そして実際の人間や出来事というのは、そのように多面的なものなのだから、イッセー尾形を見ていると、一つに決まらないもどかしさがある一方で、現実性、リアリティを感じることができるのだ。そして占領期の日本について考えるきっかけを与えてくれる点でも貴重な作品といえる。・・・・・・とはいえ、天皇制の宗教性など、文化的な事柄を考えるには、全く掘り下げられていないと感じました。
王の七つの森さん [DVD(字幕)] 7点(2008-01-04 23:31:04)
18.「朕の不徳なる・・・」と云う文芸春秋に掲載された文を読んで、昭和天皇に対する畏敬の念が大きくなっていました。この「太陽」を映画館で観れなかったのでDVDで初めてみました。天皇があんなに堂々とマッカーサーとやり合っていたとは知りませんでした。また、多数国語が喋れたということにも吃驚しました。さらに畏敬の念を強くしました。
亜酒藍さん [DVD(邦画)] 7点(2007-08-03 09:21:37)
17.なりきってたなぁイッセー尾形。
いや、実際昭和天皇をよく知ってるわけじゃないけど、完全に入ってた。
集中力がすごい。特にマッカーサーに背を向けて、ドアに向かって歩く姿は
確かに日本を背負ってる威厳のようなものを感じた。

監督はあくまで、「昭和天皇を形態模写するイッセー尾形」
を、通して昭和天皇像にアプローチしている。
だって、イッセー尾形はくたびれたサラリーマンと同じベクトルで昭和天皇を演じているだもん。
最初はオーバーアクトだと思ったけど、あえてやり過ぎたパロディに、そして滑稽さを醸し出すことで
表現できるリアリティを選んでいることが分かる。

きっと日本人がイッセー尾形の形態模写を見るとき、あーそれあるある的な感想で笑って
終わるのに対して、欧米人がイッセー尾形のひとり芝居を見るとき、笑いを越えて何かしらの
メタファーを読み取ろうとするんだと思う。芝居に対しての感受性の違いというか。
まぁ、しかしいろんな意味で日本人には撮れん映画だわな。
michellさん [DVD(字幕)] 7点(2007-05-05 21:20:04)
16.昭和天皇の人となりがこの通りかどうかは別として、これほどまでに天皇を一人の人間としてとらえた映画を、よりによってロシア人に撮られてしまうとは。終戦にともなう天皇の孤独や苦悩も、どこまで史実をもとにしたのか、ソクーロフの解釈が多くを占めているのかわからないが、イッセー尾形の勇気ある役作りに助けられて興味深く観ることができた。しかし劇場ではどうだったかわからないが、音声が聞き取りづらい。何を言っているのかわからないから英語字幕で確認する始末だった。
ロイ・ニアリーさん [DVD(字幕)] 7点(2007-03-27 17:07:31)
15.終戦間際の未知なる何かを迎える不安と焦燥を薄暗い室内空間と微音で綴っていく。コチコチという時計の音が一定のリズムを刻み、経過する時間の平等性、普遍性を画面に与えていく。時の平等性と普遍性は、あらゆる空間のみならず、全ての人間に与えられたものであり、天皇も例外ではない。天皇がローソクを消したり、皇后が登場し電灯を点けても、変わらない画面の明度は、人間という意味で天皇も一般人と「変わらない」ということか。しかしこの作品は単に凡なる人間仲間として天皇を平に整地しようとするのではなく、その立場を常に差別化し続ける。人間と立場、平等と差別、その落差の構造に巻き込まれたままに、ラストの天皇のお言葉を「天皇の人間宣言」などと呼んでもいいものかどうかと歴史をぶつけられる。
彦馬さん [映画館(字幕)] 7点(2006-11-24 17:04:04)
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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 34人
平均点数 6.74点
000.00%
100.00%
225.88%
325.88%
425.88%
512.94%
6411.76%
7926.47%
8720.59%
9720.59%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review4人
2 ストーリー評価 7.50点 Review4人
3 鑑賞後の後味 8.25点 Review4人
4 音楽評価 5.25点 Review4人
5 感泣評価 5.66点 Review3人

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