映画『市民ケーン』の口コミ・レビュー(3ページ目)

市民ケーン

[シミンケーン]
Citizen Kane
1941年上映時間:119分
平均点:7.01 / 10(Review 200人) (点数分布表示)
公開開始日(1966-06-04)
ドラマモノクロ映画ミステリー
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2018-03-25)【イニシャルK】さん
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監督オーソン・ウェルズ
キャストオーソン・ウェルズ(男優)新聞王チャールズ・フォスター・ケーン
ジョセフ・コットン(男優)リーランド
ルース・ウォリック(女優)エミリー・ノートン
アグネス・ムーアヘッド(女優)メアリー・ケーン
ウィリアム・アランド(男優)トンプソン(トムスン)
ポール・スチュアート(男優)レイモンド
エヴェレット・スローン(男優)バーンスタイン
ドロシー・カミンゴア(女優)オペラ歌手スーザン
小松方正新聞王チャールズ・フォスター・ケーン(日本語吹き替え版【NHK】)
島宇志夫リーランド(日本語吹き替え版【NHK】)
脚本オーソン・ウェルズ
ハーマン・J・マンキウィッツ
音楽バーナード・ハーマン
撮影グレッグ・トーランド
製作オーソン・ウェルズ
RKOラジオ・ピクチャーズ
特撮ヴァーノン・L・ウォーカー(特殊効果)
美術ヴァン・ネスト・ポルグレス
ダレル・シルヴェラ(セット装飾:ノンクレジット)
ペリー・ファーガソン
ヘアメイクメル・バーンズ(ヘア担当:ノンクレジット)
編集ロバート・ワイズ
録音ジョン・アールバーグ
あらすじ
「薔薇の蕾」という謎の言葉を残して死んだ新聞王チャールズ・ケーン、アメリカン・ドリームを体現したかのような彼の私生活をめぐり、新聞記者がケーンを知る人の間を奔走する。大統領の姪だったケーンの最初の妻はで彼の政治的野心の助けになるはずだったが、ケーンは歌が好きな女性スーザンと恋に落ちて政治を断念する。妻と息子が事故死した後、ケーンはスーザンと再婚し、彼女をオペラ歌手にするために私財を投じるが、金では変えることができない現実に直面する。ケーンにとって富とは、愛とは、成功とは一体何だったのか?
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💬口コミ一覧

160.ネタバレ 直球のお話でしたね。お金がいくらあっても心が満たされなければ不幸だ、という。でも素直に胸を打たれました。号泣したりはしなかったのですが、後から「薔薇の蕾」という言葉の意味を思い出すたびに胸の奥がしくしくと痛むんです。とくに切ないのは後妻が出て行った後のケーンの描写。怒りに任せて後妻の部屋を荒らすわけですが、目は虚ろで力がなく、足元はふらついていて自分が散らかしたものにつまづく始末。暴れまわっているはずなのに、あまりにも弱々しい。大人の男性というよりは、かんしゃくを起こした子供みたいな。そして召使たちが見守る中、生ける屍みたいになってとぼとぼと歩いていく。あの姿、大勢に囲まれながらも途方もなくひとりぼっちで、傷ついた子供のような姿が目に焼きついてはなれません。攻撃的なビジネス戦略も、莫大な財産の浪費も、選挙運動も、すべて幼い頃に見捨てられた寂しさを埋めるためのものでしかなかった。そして結局最期までその思いは満たされることもない……。哀しく、辛い映画でした。 (ほとんど予備知識なしで観ました。題名は聞いたことがあっても、アメリカ映画一位に選ばれたことも知らなかったし、まったく映画通ではないので技法のこともよくわかりません。他の方のレビューを読んで、素直な気持ちでこの作品を観られたことがすごく幸運だったと思いました。古典とは歴史的な意味合いだけで評価されているわけではなく、現代にも通じる部分があるからこそ残るものであって、それを感じ取ることができればとても良質の作品だと思います)
no oneさん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-04-14 12:05:07)
👍 1
159.ネタバレ 新聞記者から大富豪となったケーンという人物の生涯を、
最初ドーンと映画の中で映画を見せてくれます。記事にするために。
ところが決め手がない。これではただ生涯を追うだけだ。
最後に残した言葉、「薔薇のつぼみ」これが気にかかる。
で、その言葉の謎をケーンと生前にかかわった人に聞くことで、
本当の映画が動き出すのです。
ホラーが始まるような冒頭から映画の中の映画の紹介。
さかのぼりながら現在までをうまくリンクさせていく、
「羅生門」のようでもあるしサスペンス仕立てで飽きません。
最初の方の雪の中で遊ぶケーン少年が窓の向こうで見える。
それを奥に映し手前で養子(といえば聞こえはいいが)の話をする。
最初の記事にするための映画をうまく使い過去の映画の中に戻るんです。

大きな富を得たケーンが死ぬ間際に握っていたスノードーム。
でもなぜそれが「薔薇のつぼみ??」スノードームは幼いころの雪。
この人は愛情に飢えていることのトラウマで思い出している。
言おうとしてることはスノードームもパズルも同じ、でも違うんですよ。
わかったつもりで見ていたのに急に出てきたのであわてて巻き戻す。
昔の映画はエンディングとオープニングがつながっている。
咲くことのないつぼみ。
けど「薔薇のつぼみ」は女性と思うよね・・
謎解きの映画のようで真実はそこに転がってるもの。
邦題!市民ケーン・・
市民、スノードームの中のおうち、市民、咲かないつぼみ・・
本当は大富豪になって名声を得たかったんじゃなくて、
ただイチ市民の雪の中に舞うおうちの家族のひとりとして、
この人は暮らしたかったんじゃないか・・
洋画の邦題はセンスが悪いのですが、この映画はそのまま見事な答えです。
それを思うと謎解きに一生懸命になってたのを忘れ感動します。
あと別なところで感動したのが、旧友の送ってきた手紙。
これを見てさらにケーンは意地を張るのです。
これも両方の気持ちがよくわかります。
そしてケーンの最後の妻は、実はケーンにそっくりだということ。
夢が叶わないなら叶わせよう、大衆が認めなくても認めだすかもしれない。
旧友の手紙は自分を見透かされるから、
妻を本物の歌手と世間に認めさせるまで続くのです。
それでも薔薇は開かない。お金や夢や言葉でも開かなかったのです。
それが雪の舞う中に埋もれていたのだから・・

アルメイダさん [DVD(字幕)] 9点(2005-04-03 00:51:06)
👍 2
158.ネタバレ なんて寂しい映画なんだろうと観た後は溜息しかでなかった。"億万の心"など一生理解できない境地ではあるけどストーリーが進むにあたってケーン氏の表情がどんどん濁っていく様がどう表現して良いのか分からないけど「なんとも救いようが無いねぇ・・・」という感じでした。妙に記憶に残ったのはオペラシーンでケーン氏だけが一人スタンディングオベーションで立ち上がり顔から上半身にかけて影の部分に入り表情がまったく見えなくなる構図が他との孤立感を深め人としての感情が薄らいでいく様に見えて無性に寂しさを感じてしまいました。「薔薇の蕾」に関しては私の個人的な解釈をさせていただくと、薔薇の花言葉・・・”愛情”が出てきました。だから私はケーン氏が「私は生まれて幼少時から親元を離れ愛を知らず成長して”つぼみ”のまま一生を終え、ついに”花=愛”を開花させることが出来なかった・・・」と捉えさせていただきました。人は誰しも生まれ持って愛情の”つぼみ”を心に抱いている。それを花として開かせ心から充実した人生を送るか、蕾として感情を閉ざしたまま人生を終えるかは人それぞれだろうか・・・ 。
tetsu78さん 9点(2005-01-16 16:17:58)
157.本サイトの投稿における、映画の点数付け、映画の完成度によって付けるべきものであれば、例えば、『市民ケーン』を10点、『ミミズバーガー』を0点とした数直線上に他の映画を載せて行く、という行為なのかもしれない。しかし私は10点ではなく9点にしました。映画はやはり客観的完成度だけでは語れないから。いや、この映画、映像にはとことん圧倒されたし、しかもミステリー仕立てのストーリーの、このラストの衝撃。観終わって、う~ん、これがあの『市民ケーン』なんだ、さすがだ!と唸ってしまいました。しかし。さすがに不勉強な私でも、本作のスゴさというものは、それまでに何かにつけ見聞きしてきており、観ていても「ああ、このシーンも『市民ケーン』の一節だったのか」などと思うシーンもちらほら。いや確かに、映画を観る前に、その魅力、見どころを知っておくのは、悪いことじゃない。字幕を追ってストーリーを追って、さらに映像を堪能するのは、1回の鑑賞では難しいが、事前に知識があれば、その大きな助けになります。だけど本作ほど映画の魅力が語りつくされ、分析されてしまうと、さすがにどうでしょう。私が映画から一番衝撃を受けるのは、「分析不能の得体の知れぬパワー」。その意味では、本作は、手垢がついてしまい、本来持っていた筈の衝撃力を弱められてしまった気がします。不幸にして人為的に古びさせられた映画、とでもいいましょうか。そう、まるで有力なスポーツ選手ほど、他の選手にマークされ易く、必ずしもトーナメントで優勝できなかったりするかのごとく・・・。本作の映像のスゴさはどこにでも書いている(勿論このサイトにも)ので、今更私ごときが付け足す事もない。ここでレビューを終わってもよいのですが、何だか映画自体について何も語っていないようなので、最後に珍説を発表しておきます。「本作のカメラ、それは写真芸術とは異なる。ショットの中に、空間的時間的(物語的)拡がりが凝縮されている。そう、これはまさにヒトコママンガだ!市民ケーンとはヒトコママンガの集合体なのである!」なんちゃって。
鱗歌さん 9点(2004-08-13 14:22:36)
👍 1
156.お金で買えない価値がある、ってどこかで聞きましたが正にそれ。しかし白黒映画ってのは陰影を上手く使うとこんなにも美しいのか。上映当時に見てみたかった。
TAIQさん 9点(2004-03-06 00:12:06)
👍 1
155.映画の演出法や撮影法は1930年代までにはほとんど開発されていた。しかもモンタージュ理論が駆け抜けていた時代。1940年代にこれだけ革新的なカットを開発し、長回しを駆使してみせたのは天才の所業としか言うほかない。「当時としては斬新だったからといって現在高評価するのはおかしい」という意見の人もだいぶいるが、この作品は斬新どころの話ではなくてエポックメイキングとなった革命に近いようなものなんだからそれなりの評価はされるべきだと思う。たとえばメリエスの『月世界旅行』やグリフィスの『国民の創生』のように。退屈な映画だという人が多いけど、ストーリー展開もテンポ良く、構成も見事で、はたしてそんなに退屈な映画だろうか?複数回の鑑賞に堪えられる味わい深い作品だと思う。単にビデオで見て暗い画面に眠気を起こしたという可能性も無きにしも非ずではないか(小さなテレビ画面だと確かに見づらい)。
藤村さん 9点(2004-02-08 10:51:02)
👍 3
154.もしリアルタイムで見ていたら、その後の孤独を描いた諸作品が全て焼き直しに見えてしまったのではないか、と思わせるほど本質をズドンと突いた作品。前半はやや退屈だったが、後半は時間を忘れた。すごい映画だ。
ラーションさん 9点(2004-01-24 02:39:53)
153.ネタバレ ひじょうに難解な映画で、当時の社会情勢やモデルとなった新聞王にも詳しくない私は、10点をつけるのがおこがましく思われ、この点数です。以下、私の勝手な解釈ですが、何もかも手に入れ、しかしその手に入れたものの愛で方を識らないケーンは、自己には完全なる自信を持ちながら、他に対する時、とてつもなく不器用になってしまうアンバランスな男。その不器用さは、幼くして母からひきはなされたという悲しい過去に由来している。だから誰もが羨む大富豪でありながら、どこか子供じみた頑固さを引きずっている。その彼が老い、世間から相手にされなくなり、いよいよ臨終を迎える時つぶやいた「薔薇のつぼみ」。それは幼き日への憧憬でありながら、ケーン一流の茶目っ気でもあったのではないだろか。メディアは騒ぐ。「ケーン最期の言葉の意味は一体なんだ?」記者が謎解きのために奔走する。それをせせら笑うかのように燃える橇。謎は曖昧な解釈を残して、人々の胸にわだかまる。それがケーンの狙いだったのではないだろうか。そして観客だけには、真実が明かされるのである。そして明かされた瞬間、それは黒い煙となって消えてしまうのである。その他にも「立ち入り禁止」の看板が含むニュアンスの巧妙さ。二人の夫人に対する態度の多様さなど、見どころ満載。好き嫌いに関わらず、「見ておくべき映画」の1本だと思う。
ともともさん 9点(2003-12-20 00:23:29)
👍 3
152.地位も名誉も得たのに幸せになれなかったケーンに、人間の幸せ、生きる意味って何だろう、と考えさせられた。人間は「尊敬されたい」と「愛されたい」という二つの欲求から成り立っていると思うけど、ケーンは究極的には愛されたかったのだろう。
凛々さん 9点(2003-11-02 11:16:32)
151.アメリカンドリームの真実が競争社会の哀しさであることを、このストーリーは物語っていて、社会的な成功をむなしいと感じつつも追いかけて生きている。そう考えるとアメリカでの高い評価の理由が見えてくる気がする。どういう時にどんな気分でこんなにも長く見られ続けているのか、そこにとっても興味があります。生意気言ってすみません。
うこっけいさん 9点(2003-07-27 23:30:25)
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150.物語だけを追っていたら大して面白くもない作品。しかしストーリーなんぞ軽々と超えたこの映画的ダイナミズムはどうだろう。観るほどに「映画の驚き」と「楽しい!」を味わえる作品。
るーすさん 9点(2003-01-26 20:25:31)
149.ウェルズのヘンな風貌が気にいった! 「バラのつぼみ」の意味は、確かにわかりにくいと思う。(私はちょっと巻き戻して確認しました)でも、ストーリーのほうで「結局はそんなもんさ」って言ってるみたいな感じがするので、わからなくてもいいような気がします。
ぽんたさん 9点(2002-12-28 00:42:49)
148.シナリオは10点。最後のバラの蕾の正体ががちょっとわかりにくいかなと思いました。ビデオで見たんですけど白黒の映像で形状がわかりにくかったです。何回か巻き戻してみて、やっとそれが序盤で出てきたアレだとわかったときの衝撃はすさまじいものがありましたが。それがちょっときになったんでマイナス1点です。
keeper7さん 9点(2002-12-09 15:55:42)
147.今となっては当然の事をやっているので「それがどうしたの?」程度にしか感じられないかも知れない。それはそれで真っ当な感覚だがオリジンを知っておくのも悪くはない。第二次世界大戦の幕開けの年に封切られたという時代性も加味すると感慨が増す。
バムジンさん 9点(2002-11-17 01:05:24)
146.観た後、素直に面白いと思える作品だった。「薔薇のつぼみ」については、人によってさまざまな意見があると思う。だが、観終わってから自分が思った答えがあれば、それが正しいのだと思う。人によって意見が異なる作品だからこそ、名作と呼ばれるに相応しいのだろう。
ロウさん 9点(2002-11-06 19:25:32)
145.「薔薇の蕾」とは一体何であるか。あれほど豪放磊落な男の、誰も知り得なかった秘密めいた言葉。映画を観る者のみにそっと教えてくれる作品。人間の強い部分と弱い部分、優れたところと駄目なところも見せてくれる。記者たちの顔は見えない。まるで映画を見る傍観者のようだ。自分の人生に思い馳せる
takeさん 9点(2001-06-06 04:25:49)
144.ネタバレ バラのつぼみ。
何もかも手に入れた男が、最期に残した言葉の意味を探る旅のような映画。
ラストシーンで、彼が本当に求めていたものが明かされる。
しかし、それはお金では買えないし、そもそも歳取った彼には手に入れられないものだった。
彼はそのことに気づいていたのだろうか。
それとも、代わりになるものをずっと探し続けていたのだろうか。
なんだか、北斗の拳の聖帝サウザーを思い出した。
いや、名作と言われる映画を冒涜するつもりはないので念のため。
roadster316さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-21 21:32:03)
143.ネタバレ 『Mank マンク』の予習のため10数年ぶりに再見。初めは睡魔との闘いで印象に残らなかったが、今見ると愛着障害を描いた現代に通じるテーマだった。愛情の代わりに金は無尽蔵にあり、強大な権力もあった。それでも二人の妻も二人の親友も去っていったのは、こういうことをしたんだからという見返りが透けて見えていたからで、他人の心情を上手く汲み取れない不器用さがあまりにも悲しい。世間的には新聞王として持て囃されても彼の一部分でしかないし、関係者の証言も彼の一部分でしかない。あるのは、遺品が容赦なく焼却処分されるように、死んでしまえば忘却の彼方へ置き去りにされる虚無感だけだ。今でこそ珍しくない演出手法も当時は斬新で、実在の新聞王をモデルにしたのだから、このセンセーショナルさがオーソン・ウェルズの強大な野心と深く重なる。ドナルド・トランプはこの映画が好きだったようだが、現在の窮状を見るに大いなる皮肉を感じた。野心、野心、野心・・・。名を残すとはこういうことなのだ。
Cinecdockeさん [インターネット(字幕)] 8点(2020-12-06 00:52:00)
👍 2
142.ネタバレ 古い映画だけど、面白い。ばらのつぼみという冒頭の謎の提示から始まるミステリー&サスペンス。アート作品であり娯楽作品。そして、パンフォーカス。
にけさん [映画館(字幕)] 8点(2019-01-15 11:08:53)
141.ネタバレ 「フォルスタッフ」「黒い罠」「オセロ」と随分楽しませてもらったウェルズだが、この作品はどうも退屈だった。というか、この映画1本だけでウェルズを語るのは「市民ケーン」以外のウェルズへの過小評価にも等しい行為だ。そのせいで日本における、いやアメリカでもウェルズは過小評価されてきたのではないだろうか?だからハッキリ言っておきたい。ウェルズは絶対に「市民ケーン」以外も見ろ、と。この映画を楽しめなかった人・楽しめた人すべてに。

この映画もワンシーンワンシーンは好きなんだけどさ。
新聞社に乗り込んでどんどん成長させていくシーンとか、
ケーンと奥さんの冷え切った会話、
鳥が飛び立つような場面転換、
終盤で怪獣のように室内で暴れる様子は「ゴジラ」へ、その暴走を止める「薔薇の蕾」、
鏡の前を歩き幾人にも分裂するケーンの姿・・・。

重厚な音楽と共に始まるオープニング。侵入を阻む柵、鉄格子、まるで城のようにそびえる不気味な黒い建物。
窓の灯りが消えたり付いたり、雪が降り続ける丸い球体が手から転げ落ち、砕け散る。「薔薇の蕾」の言葉を残して・・・。
続いてたった今くたばった人間の生涯を語るニュースフィルム。城主に君臨する新聞王としてのケーン。
およそ10分に渡るニュースフィルムが終わると、続いて新聞記者が“本当のケーン”探しに出かける。劇中の人物は時折黒いシルエットのように映される。
夫としてのケーン、雪の中で無邪気に遊ぶ子供だったケーン、養子としてのケーン、野心を燃やして新聞社に乗り込む若者としてのケーン、共に仕事をした仕事仲間としてのケーン、ライバルとしてのケーン。様々なケーン像が明らかにされ、過去を語る場面と共に蘇っていく。

映画そのものが偽りであるように、世間に知られるケーンもまた偽りの存在でしかない。劇中の記者は、観客は本当のケーンを知る事が出来るのか、出来ないのか。様々な要素を持った謎解き映画でもある。

残された夥しい遺品に蟻のように群がる人々、街のビル群のようにも見える遺品の山。そして何も知らない人々に焼き尽くされる“真実”。黒い煙はケーンのいるあの世にまで届くのだろうか。
すべてを奪われ、すべてを手に入れたつもりになって、本当に欲しかったものは最後まで得られなかった。


修復版で意図的にザラザラにしたニュース・フィルムの演出まで修復してしまったのは残念でならない。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 11:20:55)
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マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 200人
平均点数 7.01点
000.00%
121.00%
221.00%
352.50%
4147.00%
52613.00%
62613.00%
74120.50%
82814.00%
93216.00%
102412.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.45点 Review11人
2 ストーリー評価 7.33点 Review15人
3 鑑賞後の後味 7.69点 Review13人
4 音楽評価 6.00点 Review8人
5 感泣評価 6.83点 Review6人

【アカデミー賞 情報】

1941年 14回
作品賞 候補(ノミネート) 
主演男優賞オーソン・ウェルズ候補(ノミネート) 
監督賞オーソン・ウェルズ候補(ノミネート) 
脚本賞オーソン・ウェルズ受賞 
脚本賞ハーマン・J・マンキウィッツ受賞 
撮影賞グレッグ・トーランド候補(ノミネート)白黒
作曲賞(ドラマ)バーナード・ハーマン候補(ノミネート) 
美術賞(白黒)ヴァン・ネスト・ポルグレス候補(ノミネート) 
美術賞(白黒)ダレル・シルヴェラ候補(ノミネート) 
美術賞(白黒)ペリー・ファーガソン候補(ノミネート) 
編集賞ロバート・ワイズ候補(ノミネート) 
録音賞ジョン・アールバーグ候補(ノミネート) 

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