映画『イゴールの約束』の口コミ・レビュー

イゴールの約束

[イゴールノヤクソク]
The Promise
(La Promesse)
1996年ベルギールクセンブルグ上映時間:93分
平均点:6.67 / 10(Review 9人) (点数分布表示)
公開開始日(1997-05-17)
ドラマ犯罪もの青春もの
新規登録(2005-12-23)【sayzin】さん
タイトル情報更新(2025-06-15)【Cinecdocke】さん
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監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
キャストジェレミー・レニエ(男優)イゴール
オリヴィエ・グルメ(男優)ロジェ(イゴールの父)
脚本ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
撮影アラン・マルクーン
製作ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
配給ビターズ・エンド
字幕翻訳寺尾次郎
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5.ネタバレ 設定やシチュエーションは違うとはいえ、犯罪で繋がったグレーな人間模様という点で『万引き家族』を思い出した。
後年のダルテンヌ兄弟の作品群と比べても細かいカット割りが目立ち、
全体の粗削りさが嘘臭さのない、イゴールの葛藤に対するリアリティに貢献している。

イゴールは、外国人不法就労者の斡旋、搾取している父親ロジェの命令には絶対で従属的であり、
自動車修理工の見習いも辞めざるを得なくなるほど。
一方で金のある老婆の財布をくすねており、今まで罪の意識すら感じなかった彼が、
アフリカ系難民のアブドゥの事故死を目の当たりにし、
亡くなる直前に「妻子を守る」という約束をしてしまったことで罪の意識に苛むことになる。

ロジェは違法な仕事を続けていくために時折、不法就労者たちの存在を内通者に知らせて警察に売ったり、
アブドゥの事故死を隠蔽して、その妻アシタに真相を悟られないために娼婦として売り飛ばそうと画策する。
そんな非人道的な行いに、イゴールは「これで良いのか?」と違和感を募らせて、
ついに絶対的な存在であるロジェに逆らって、アシタとその幼い子と一緒に逃避行を始めるのだ。

グレーな存在だったイゴールが自らの倫理観に基づき、
今まで一心同体で密接に繋ぎ止めていたロジェの支配から自分自身の人生を取り戻そうとする。
しかし、その勇気ある選択は大きな責任と代償を伴うものだ。
不安だらけで父親にいつ見つかって捕まるか分からない。
そして無事にアシタたちを親戚のいるイタリアへ送り出せるかというサスペンスが浮上する。
母親がいなかったイゴールがアシタを抱きしめる行動は、自ら"孤独"を選んだ彼の偽りのない本心だったのだろう。
血も人種も超えた、新たな繋がりと信頼関係。

イゴールの告げる真相を聞いて、アシタは無言で駅のホームから踵を返し、三人は行く当てもなく歩いていく。
この中途半端とも言える着地点、安易な希望を与えないダルテンヌ兄弟らしい。
突き放したロジェの元には二度と戻れず、今まで以上に苦しい生活が待っている。
事故が明らかになれば、イゴールの服役も、アシタ親子の強制送還も免れないだろう。
ただ、共依存的な親子関係と、犯罪が引き継がれる負の連鎖を断ち切ったとも言える。

「困った難民を助けている、差別から守っている」という某団体の意見をテレビを見ていると、
本当に彼らのためなのかと訝しくなる。
真の優しさとは、人道とは、ネットのエコーチェンバーのように白黒つけるものではなく、
今までの積み重ねから自分自身に問いかけることである。
Cinecdockeさん [インターネット(字幕)] 7点(2025-06-14 21:54:05)
4.ざらざらとした質感がそのまま伝わるような映像、息遣いもざらざらしている。厳密にはイゴールは約束していない。後から約束と見なしたのである。そこには父親からの指示でもゴーカートの遊戯でもなく、自らの意思による立場の表明、価値観の選択があったのである。
Balrogさん [映画館(字幕)] 7点(2012-09-24 23:54:19)
👍 2
3.イゴールの勇気は素晴らしいけど、本当にあれでよかった?
さん [地上波(字幕)] 7点(2009-09-14 21:15:36)
2.主人公は十代の若者であるが、この映画は決してそこに執着はしていない。
何が人を育て、何が人を動かし、何が人を変えていくのかを、切々と描いている。
つまり彼らは、人間の性善説を強く信じているのだろう。
xxxさん [DVD(字幕)] 7点(2009-08-17 22:57:22)
👍 1
1.ネタバレ 物語が進むにつれて父親とイゴールの結びつきの強さが明らかになります。そして同時に違和感を覚えます。それは親子に距離感が無いから。お揃いの指輪、刺青、カラオケでデュエット熱唱。年頃の息子と父親の関係とは思えない。一心同体。血肉を分けた子ですから、父が息子を同一視する心情は分かります。それは愛情でもある。ただし、本作のケースは度を越えています。父にとって息子は、今も幼い子供のまま。コミュニケーションの取り方ひとつ見ても、それが伺えます。しかし父は子を縛っていることに気付いていません。それは息子にしても同じ。いや、気付いていないというより、甘んじていると言うべきか。束縛は苦痛ではありません。面倒な選択と決断をしなくていいなら楽なものです。しかし、少年はそれを“よし”としない生き物のはず。従順だったイゴールの反発。それは父と共有してきた価値観の放棄を意味しました。そのきっかけは“死”。自分が関与した人の死は、彼に大きな衝撃を与えたでしょう。その圧力が束縛を切る力に転化したのではないか。そしてキーとなるのが、死んだアミドゥの妻の存在。幼子を抱えながら凛と振舞うその姿は、あるべき母親像そのもの。イゴールが自身の母を彼女に重ねたと想像するのは難くありません。そういえば彼女に抱きついたイゴールは、まるで母に甘える子供のようでした。母親不在の状況が父子の濃密過ぎる関係を構築し、仮初めの母が息子の自立を促したと見てとれます。そうだとすれば興味深い。イゴールが自立のために払った代償はとてつもなく大きいものでした。しかし、もし“今払わなかったら”と考えるともっと恐ろしい。
目隠シストさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-28 18:14:50)
👍 2
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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 9人
平均点数 6.67点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5111.11%
6222.22%
7555.56%
8111.11%
900.00%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 7.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 6.00点 Review1人
4 音楽評価 6.00点 Review1人
5 感泣評価 6.00点 Review1人

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