映画『歩いても 歩いても』の口コミ・レビュー(2ページ目)

歩いても 歩いても

[アルイテモアルイテモ]
Still Walking
2008年上映時間:114分
平均点:7.58 / 10(Review 98人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-06-28)
ドラマ
新規登録(2008-05-19)【尻軽娘♪】さん
タイトル情報更新(2025-03-24)【イニシャルK】さん
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監督是枝裕和
キャスト阿部寛(男優)横山良多
夏川結衣(女優)横山ゆかり(良多の妻)
田中祥平(男優)横山あつし(ゆかりの連れ子)
原田芳雄(男優)横山恭平(良多の父)
樹木希林(女優)横山とし子(良多の母)
YOU(女優)片岡ちなみ(良多の姉)
高橋和也(男優)片岡信夫(ちなみの夫)
野本ほたる(女優)片岡さつき(ちなみと信夫の娘)
林凌雅(男優)片岡睦(ちなみと信夫の息子)
寺島進(男優)小松健太郎(松寿司店長)
加藤治子(女優)西沢ふさ(横山家の隣人)
原作是枝裕和
脚本是枝裕和
音楽ゴンチチ
佐々木次彦(音楽プロデューサー)
作詞橋本淳(作詞家)「ブルー・ライト・ヨコハマ」
挿入曲いしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」
撮影山崎裕
製作川城和実
李鳳宇
バンダイビジュアル(『歩いても 歩いても』製作委員会)
シネカノン(『歩いても 歩いても』製作委員会)
テレビマンユニオン(『歩いても 歩いても』製作委員会)
松竹ブロードキャスティング(『歩いても 歩いても』製作委員会)
配給シネカノン
特撮松本肇(視覚効果)
美術磯見俊裕
三ツ松けいこ
衣装黒澤和子
編集是枝裕和
照明尾下栄治
あらすじ
良多は、妻、息子とともに、実家に帰省する。15年前に亡くなった兄の命日なのだ。家族のあいだに鬱積した様々な思いが、少しづつ、その顔をのぞかせる。
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💬口コミ一覧

78.ネタバレ CGや、サラウンドとは、ほぼ無縁の映画は、じわりとしみ込んでくる。それにしても是枝監督はどうやって演出しているのだろう。不思議だ。そして樹木希林は、セリフ、動作、表情、さりげなく上手すぎる。YOUはやはり天才的。夏川結衣は最近のテレビドラマでファンをやめようと思っていたが、子持ちの嫁の居心地の悪さを上手く表していたし、ふと垣間見せる初々しい表情が「青い鳥」以来のツボだった。そして、次男の「いつも、ちょっとだけ間に合わない。」というセリフがあとを引く。
ブタノケ2さん [DVD(邦画)] 9点(2009-07-20 23:28:37)
👍 1
77.暑い夏の日、亡くなった長男を弔うために家族が集まる。
どこにでもいる普通の家族の、何でもない一日。

自分自身も毎年経験していることだけれど、離れて暮らす家族が会する場というものは、実のところとても独特な空気を持っていると思う。
いつも一緒に暮らしているわけではないので、実際問題各々のことをそれほど把握しているわけではない。
にも関わらず、「家族」という微妙な関係性に縛られているから、特に改まることを許されず、努めて親密に振る舞わなければならない。
それは、互いの関係が良いとか、悪いとかに関わらず、そういうものだ。

だからこそ、表面的な会話の裏に見え隠れするそれぞれの思いにドラマが生まれる。
そのドラマ性を決して表立たせるわけではなく、あくまで個々が抱えた「感情」として描き出す。
それぞれの感情をもっと膨らませて、言動としてぶちまけたなら、荒々しい“波”のある映画になったかもしれない。
しかし、それを敢えてせず、作品全体を水面に落ちた一滴が生む波紋のように仕上げたことが、この映画の最大の魅力であり、是枝監督の流石の巧さだと思う。


歩いても、歩いても、人生が完璧に満ち足りるなんてことは、ないのかもしれない。
それは、息子を亡くした老いた母親にとっても、父親を亡くした少年にとっても、誰にとっても同じことなのだろう。
哀しいことだけれど、そういう何かしらの“物足りなさ”を抱えて生きていくことこそ、本当の意味で人間が人間らしく生きるということのような気がする。
鉄腕麗人さん [DVD(邦画)] 9点(2009-06-20 10:10:55)
👍 1
76.最近見た邦画でNo1ですね。淡々とした、ある夏の1日を映し出した映画でしたが良かったです。これ見た後、実家に帰ったときにトウモロコシの天ぷらを母に作ってもらいました。
ポドルスキさん [DVD(邦画)] 9点(2009-05-16 06:47:00)
75.ネタバレ 台詞の一言一言、描写の一コマ一コマが生きている映画です。
今の若者には理解できないかもしれないが30代40代以降の人には
ものすごく共感できる作りになっている。我が家の帰省の環境にもの
すごく酷似しているかもしれないがとても心に入ってきた。
おじいちゃんのおじいちゃんの家だろや毎年、命日に助けられた少年を
よぶおばあちゃんの心境。こどものパジャマを用意していないことに
対する嫁の感情等すべて理解できる。YOUの演技も秀逸。外人には
理解不能の領域かつタイミングの問題で賞は取れないかもしれないが
かなりよい作品と断言できる。タイトルはあえてこの名前にしなくても
よかったと思う。
K2N2M2さん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-22 12:57:10)
👍 1
74.ネタバレ 映画の一番最初のカットからやられた。樹木希林とYOUの何気ない会話。彼女らの背景については一切説明がないのに確かな存在感がある。阿部寛や原田芳雄がぼそっと放つ小言、仕草など、俳優陣の演技力も超一流ながら是枝監督の演出力は半端じゃない。日本映画の良さを感じられる素晴らしいホームドラマ。
家族だからこそお互いに嫌な所を知り尽くしているし、長い付き合いでうんざりしてくる。そう簡単には断ち切れない縁だからこそ鬱陶しい。だからこそ親族との関係は希薄にもなるし、争いごとも絶えない。
みんながみんな嫌な所を持っていてさらりと嫌みを言うし、喋ることが無くなってしまった時の場の空気といったら辛いの一言。ほとんどサスペンス。大したことでもないのに家族の前だと何故か突っ張ってしまって、でもやっぱりあとで反省してこっそりと破いた紙を貼り直す。このあたりのシーンを見ていると何とも言えず居た堪れない思いになり、キリキリと心が痛む。見ているのが辛い程に。
この登場人物の異様なまでにリアルな存在感の中、老いた母親が見せる心の闇には痛ましさとともにぞっとする程恐くなる。普通にしていれば気付かない所で人はその脆い心に闇を抱えているのかもしれない。
月日を経るほどに家族という存在はお互い面倒くさくなってくる。一緒にいても辛いことばかり。
しかし、まるで他人の家に来たようだった次男の息子も、この何気ない2日間で父親に心を開くきっかけになった。最後に母親から聞いたどうと言うことのない話を次男は娘に語った。
この時に感じた優しさ、温かさはやはり家族だからこその物だと思う。
Sgt.Angelさん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-08 00:07:29)
👍 2
73.世間は『おくりびと』一色だが、日本アカデミー賞を獲るべき作品はこれしかないし、アカデミー外国語映画賞に出品される作品もこれしかないだろう。これこそが「ザ・日本映画」。この情緒を分かるのは日本人しかいないし、たとえ外国人には理解できなくとも、我々日本人が擁護しなくてどうする!日本アカデミーの助演女優賞に樹木希林が受賞しなかったのは理解に窮する(余貴美子が悪かったわけではないが、はっきり言って政治的な匂いがしてならない)。
フライボーイさん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-05 21:46:52)
👍 2
72.それぞれの登場人物の描写が丁寧で、最初から混乱することなく人間関係を把握できるところがすごい。直接画面に映ることのない長男にすら存在感が与えられているし。何気ない会話でつながれていく画面の間にも小さな綻びが見え隠れし、やがてはそれが決定的なものとなっていく。各人が違う事情を抱えていて当たり前なのに、どうしてこういう場では「普通」であることを演じてしまうのだろう。そんなことを考えさせられた。
クルシマさん [映画館(邦画)] 9点(2008-08-25 20:51:48)
71.ネタバレ 冒頭の昼餉の支度のシーンから胸が熱くなります。誰でも抱えそうな家族の問題を、さりげなく描いていますが、ここまで自然な姿に凝縮するのは、並大抵な演出の手腕ではないですね。キャスティングが秀逸。「あ~似てるね、やっぱり親子だね。」と思わせる俳優陣の取り合わせと演技(樹木+YOU、原田+阿部)、後妻の微妙な心境を演じきった夏川。「誰も知らない」の毒と汗の部分を奥深くにしまい込みつつ、たまに人間の醜い本質を見え隠れさせる処がまた憎い。ちょっとすれ違う親子の心のふれあいが、主人公の年代に近い自分にも重なり、もの悲しくまたほほ笑ましく・・・本当に親子の関係とは、ちょっとづれてしまうものですね。  優しい気持ちになれる映画でした。

つむじ風さん [映画館(邦画)] 9点(2008-08-20 02:25:02)
70.ネタバレ ものすご~く普通の家族の会話のように聞こえる台詞ですが、日常であんなに説明することはありえない。おたがいの言葉がほとんどかぶらないし。そういう意味でとてもとても向田邦子的。日常会話に聞こえないほどカリカチュアライズされてたとしたら橋田壽賀子ですけど(笑) ということで「ただいま11人」に始まるTBSホームドラマの王道を継承している作品だと感じました。是枝くんは今度はこれをやりたかったのね。毒のある言葉が思わず出てしまうところなんか「寺内貫太郎一家」そのまま。風呂場での「板橋」はその極みでしたね。そうとう笑える台詞が散りばめられていたのだけれど、あんまりクスクス笑う人いなかったなぁ。きんばあちゃん=悠木千帆(樹木希林)主役で、里子さん=加藤治子がアクセントつけてるってのはうまいキャスティングでしたね。この二人の絡みのシーンもほしかったけど、やりすぎないのがさりげなくてよろしい。夏川結衣うまくなったねぇ。「花よりもなほ」のときもそう感じたけど、鈴木杏の母親役やってたTBSドラマ「青い鳥」のときはどうしようもなかったのにね。そうそうYOUは最高ですよ。浅田美代子、風吹ジュンを出すといかにもって感じだけど、YOU使ったことで趣に変化つけられたと思います。多分「誰も知らない」で使ったときこの着想が生まれたんじゃないかな。ゴンチチの音楽と「ブルーライトヨコハマ」だけでも評価高いですよ。特に「ブルーライトヨコハマ」のシングル出してくるところでジャケット見せないのはうまい、コロムビアの内袋をさりげなく見せててね。
shintaxさん [映画館(邦画)] 9点(2008-08-15 18:39:58)
69.ネタバレ 自然すぎる!どうしたら演者たちからこれほどまでの自然さを引き出せるのだろう。監督の力量に脱帽です。ストーリーとしては、ほのぼのとしているようでいて、実は長男の死という重いテーマが全体に覆いかぶさっています。樹木希林演じる母親が、はじめは親しみやすいお母さんだったのに、時間がたつにつれて、新しいものを排除しようとしたり、息子を殺したも同然の青年に対して束縛し続けたりと、人間の哀しくて醜い部分を見せ付けられ恐ろしかった。しかし、彼女が蝶を追いまわすシーンでは人間の醜さだけでなく脆さまでも印象的に表現していたと思う。その他、お父さんや姉などみんなが人間くさく、リアルで物悲しい映画だった。
kanekoさん [映画館(邦画)] 9点(2008-07-22 19:10:40)
👍 1
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68.ネタバレ 『結婚できない男』観てたなぁ。あのコンビが再婚夫婦役で出ているのがなんか嬉しい。ドラマでは気の強い役だった夏川が、阿部の実家で、借りてきた猫のようにしてるのが面白い。
名の知れた俳優が出てなければ、まるで帰省のドキュメントを観ているようです。お盆って、その地方の独自色(イベント感)が出過ぎるから避けたんでしょうかね?兄の命日をお盆の少しあとにしたことで、どこにでもありそうな夏の帰省が描かれます。昆虫採集とか打ち上げ&手持ち花火、ラムネ、生ビール、浴衣、夏祭りといった、定番の夏の記号は入れてこない。枝豆ご飯にとうもろこしの天ぷら。それだけで夏。美味しそう。

うなぎを食べている最中、お吸い物の肝を取るおじいちゃんが箸チュパチュパ…潔癖っぽいけど、立ち位置を理解しているあつしが黙ってるのが、ぽいなぁ。
「ちょっと休憩…」常に気が張って、ずっとストッキング脱げないゆかり。あつしも靴下履いたまま。両親はもちろん、姉夫婦一家は子供も婿さんまでも裸足。良多も実家なのに靴下履いたまま。数デニールの絶妙な距離感表現。
“二人の思い出の曲は?”と言われてレコードを掛ける母。良多の「これよく歌ってたね」に箸が早くなる父。普段ジャズを聞き、カラオケで『昴』を歌う父が、30年も前に不倫相手に歌ってた『ブルー・ライト・ヨコハマ』。「来年もまた、顔を見せてくださいね」母が15年経っても良雄くんを呼び続ける理由。

歳を重ねて開いてしまった父との距離。おそらく今まで見ようとしてこなかった、母の生々しい人間性。人間だから当然と言えば当然なんだけど、子供にとっては人のまえに母であり父であり。なんだよね。
実家を離れたから、両親が老いたからこそ見えてくるものって、あるよね。母を車に乗せることもなく、父とサッカーを観に行くこともなく過ぎてしまった、一緒に居られる時間。
墓参りのあと、姉夫婦が住む実家に寄らず、まっすぐ帰ったのかなぁ?良多、免許取って車買ったんだな。信夫の勧めていたRV買わされたのかな。顔くらい出したのかな?親が居るのと居ないのとで、実家の存在意義って変わるよね。
父「次は正月か」何だかんだ言うけど、子供の顔見たいんだよね。
K&Kさん [DVD(邦画)] 8点(2024-08-17 13:41:04)
67.ネタバレ 話は、一晩実家に帰省するだけなのだが、何とも濃度の濃い2時間だった。身内同士の会話や距離感、義理の嫁と母の掛け合い等、とにかく上手い。ツッコミどころがないというか、最後まで落ち着いて観れる。樹木希林と夏川結衣の演技は圧巻。阿部寛は何言ってるか聞き取れないことが、何度かあったのはマイナス。音楽も心地よい。
SUPISUTAさん [DVD(邦画)] 8点(2016-07-15 22:14:56)
66.ネタバレ 帰省するだけの話だが、長男の死が大きく影を落としている。
それが説明的にならず、自然な台詞だけで一枚の地図が出来上がっていく。

生き残った長男の友人に対する僻み、
長男の魂を象徴する蝶を追う母親、
歌謡曲「ブルーライトヨコハマ」の一節、
歩いても、歩いても──

如何なる過去や問題があろうが、距離と瞬間のズレがあろうが、
そうやって日々を積み重ねていくしかない。
お盆が来るたびにこの映画を思いだす。
エンドロールを含め、ゴンチチのスコアが本作と完璧に符合し、印象に残った。
Cinecdockeさん [DVD(邦画)] 8点(2016-06-16 21:34:40)
65.ネタバレ 阿部寛さんの演技は最近では褒めるのが当たり前になって来ました。
信夫を演じた高橋和也さんが役どころも良く作中では光って見えます。
特筆すべきは、孫達を演じた子役と言ってしまったら失礼に値する3人の役者さんです。
作品を通して大人達が作っている淡々と安定した世界観を壊すことなく、それどころか作中での夏という季節にシンクロするように作品に瑞々しさを与えてくれています。
3人の演技は勿論ですが『そして父になる』での子供達も同様の印象だったので是枝監督の演出や撮影現場の雰囲気作りが卓越していると考えるのが自然だと思います。
百日紅の紅い花を手に取って遊んでいるシーンは本当に素晴らしかったです。

家族だから言えない事、言ってしまう事、家族なのに伝わらない事、伝わってしまう事、家族の中で比較してしまう者、比較される事を否定する者、比較の対象として受け入れて貰いたい者等を親族の死を絡め、何気ない伏線を自然に回収させながら絶妙の距離感や台詞と丁寧な脚本、映像で厳しさや優しさとして小さくすれ違いながら表現されています。

長男の墓に水を掛けながら語りかけるとし子を死んだ兎に手紙を書こうと言った友達を笑ったあつしがじっと見ていますが、何年後かの墓参りで良多も同じ事をしています。
あつしの中に良多がじわじわと入ってくるというシーンを基に考えると、そんなあつしにも彼等の行動を理解する日が来るのかもしれません。
また、助けられた男性を長男の仏前に呼ぶ本当の理由を吐露するとし子の後ろで低く一定に鳴る換気扇の機械音は彼女の消える事のない怨念のような不気味さを増幅させる効果となっています。

登場人物が画の中にわさわさと居ても各人が的確な演技を見せてくれています。
しかし自然ではあるものの演技や演出に無駄や隙がなさすぎるので作品全体が無機質になってしまう箇所もあり、話の抑揚がかなり抑えられて各シークエンスもそれぞれに完結してまっている所が多く、そこからの発展が少ない為に見ているこちら側が委ねられるような大きな流れのようなものを感じられません。
この様な演出は監督の狙いだと思いますし私自身も劇的な展開やあざとい心理描写等を本作からは望んではいませんし程度の問題だと思いますが、話の本筋というものが掴みづらいと単なるサイドストーリーの集合体で成り立っている俳優や雰囲気で見せる作品という印象になってしまいます。
そこに少し上手過ぎる演出の弊害のようなものを感じてしまいました。
しってるねこのちさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-06-19 18:58:41)
64.ネタバレ 「誰も知らない」と比べると、その穏やかすぎる雰囲気に驚く。YOUも毒が抜けて浄化されてしまった感じ。毒のない人物ばかりでちょっと退屈だった。
「花よりもなほ」も最後の“笑顔”を見るまで我慢するような映画だったが、この映画もあの海辺のシーンを見るまで我慢するような感じ。
夏場に田舎の祖父のところまで行く過程、過ごす雰囲気とかは好きなんだけどさ。
小津安二郎の映画にも通じる雰囲気。その雰囲気に共感を覚える者は多いのだろうが、俺はあまり共感できなかった。
のぼったり、おりたり、とにかくゆっくりと歩く映画だ。電車、バス、階段。

荷物を持ってもらう事よりも、父親を名前で呼ぶことをお願いする母。
でも「どっちか持とうよー(怒)」

歯磨きの場面は「誰も知らない」といい、是枝裕和の作品で幾度も挿入されてきた。
野菜を切る音、てんぷら、風呂場の割れたタイル。

子供たちの会話、夏休み、食事。割ったスイカは見えない。じいさんを動かすのは“音”。
写真に作文。ぼやける絵、遠目の写真。当の本人とって、自分の思い出はそれほどぼやけてしまっているという事なのだろうか。

窓ガラスに映る顔、遺影、ドアから出て遊ぶ子供たち、孤独でいたい爺さん、祖母の声をさえぎる子供の声、手で孫を誘う祖父、祖父を睨む父親(息子)。
家族の甘さに対する苛立ち、本業なのに相手にしてもらえなかった苛立ち。取り残されていく苛立ちと哀しさ。
それに対し妻は「ブルーライトヨコハマ」を懐かしみ、蝶を追って呑気ささえ感じさせる。


成長した息子と卒塔婆の数。大体それだけで事情は察する。ナレーションはいらない。
寂しいエンディング、そして天国でも暗示するかのような階段。
バスが去り、静かに坂を上り始める夫婦。

初めてハッキリ映る“絵”、意識する幼い頃の記憶の断片。

蝶、船、影、終盤やっと出てくる海・・・。
すかあふえいすさん [DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 20:17:51)
63.映画が人に共感を与えるのはストーリーだけではないことが良く分かりました。どうってことないストーリーですが、人の心の奥底に潜んでいる他の人からはよく見えない心のひだに何度も触れさせてくれます。とてもいい映画だと思います。
ProPaceさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-09-22 22:16:05)
62.2014.01/08 鑑賞。まずYOUの演技に驚かされる。とりとめのない日常会話が全く自然で我が家でも同じで「そう、そう」の連続。これで映画になるとは思いもよらぬ、ましてどんどん惹きつけられるとは。家族への思いやり、煩わしさ、心情が溢れている。ラストの後日の実家の訪れで、その思い出と新たな生活が寂しさと活力で描かれている。佳作。
ご自由さんさん [地上波(邦画)] 8点(2014-01-30 17:39:35)
61.すべてが自然で、すばらしい。お料理もおいしそう。
邦画特有な言い回しなどが大嫌いなので、本編は自分も実家に帰っているくらいな気持ちで見ることができました。しかし、樹木希林演じるお母さんの恐ろしいほどの執念が尾を引きます。家族にはあったかいのですが、嫁=他人にはまあ、実は鬼のようなところがあるんです。まだのかたは乞うご期待ください。
HRM36さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-25 17:28:47)
60.ネタバレ 今まで歩んできた自分の人生と照らし合わせて、こんなこともあるし、そんなこともあるよなって場面が多々ありました。

現代版・小津作品という感じ。

家族って、表面に出ない色んな確執があったりするけど、それでも天涯孤独な独りぼっちより素晴らしいと思う。

後悔先に立たずじゃないけど、失ってから気付くことが人生には本当に多い。
それが『ちょっと間に合わない』というセリフに込められていると思う。

良作でした。

ぐうたらパパさん [インターネット(字幕)] 8点(2013-05-03 02:39:12)
59.ネタバレ なんだこれはという映画でしたね、とくにこれということは無い、ただの、良くあるドラマなんだが、脚本、配役、舞台がマッチしてる。なにか、観終わってしばらく頭から離れない映画でした。皆さんのあげている、「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」は、そうなのかもしれない。
minさん [DVD(字幕)] 8点(2013-02-21 20:33:14)
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【点数情報】

Review人数 98人
平均点数 7.58点
000.00%
100.00%
200.00%
322.04%
422.04%
566.12%
61515.31%
71313.27%
83030.61%
92222.45%
1088.16%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.66点 Review6人
2 ストーリー評価 8.07点 Review13人
3 鑑賞後の後味 8.14点 Review14人
4 音楽評価 8.33点 Review9人
5 感泣評価 7.12点 Review8人

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