62.脚本・配役共にすごいですね。スワンソンが出演を断らず、見事な演技を見せ付けたのはサイレントスターとしての意地だろう。パラマウントがいかにビリー・ワイルダーを敬服していたか、この映画を許可したことからわかるのである。 【T橋.COM】さん 8点(2005-02-26 16:03:27) |
61.チャールズ・ブラケットと共同でシナリオを書いていた頃の作品で、いわゆるラブコメディーの傑作群とは系譜が違います。映画界の内幕をパラマウント、20世紀、ザナックなどの実名を盛り込んで、セシル・B・デミルやキートンまでもが自身の役で出演しているとは驚きです。サイレント時代の大スターを演じたグロリア・スワンソンもはまり役で、彼女のグロテスクな存在感はハリウッドという映画社会の歪みを強烈に風刺しています。召し使いの男も同様で、この二人の狂気の様がハリウッドの象徴だとするならば、そこから出て脚本を書くこともできなければ、死んでもそこから抜け出せなかった売れない脚本家は、もともと脚本家から身を起こしたビリーワイルダー監督自身の投影でしょう。ラストシーンにおけるスワンソンの狂気迫るクローズアップには、映画界の恐さと共に、どうあがいても結局はハリウッドという奇妙な社会からは抜け出せない、という自身の覚悟が込められているのではないでしょうか。いずれにしても、忘れられない残像を残す強烈なラストカットです。 【スロウボート】さん 8点(2005-02-02 00:29:40) (良:1票) |
60.「何がジェーンに起こったか?」もそうだったけど、こういうテーマの作品はいまいちピンとこないんだなぁ。作品の完成度は高いし、俳優の演技も素晴らしいことはわかるんだけど・・・。 【夏目】さん 3点(2004-11-24 08:56:36) |
59.ネタバレ 映画を見始めて数分後には展開が読める。結末が分かる。主人公が、何故、誰に殺されたのかが。しかしこの映画はあっと驚く「大どんでん返し」が売りの映画では無い。例え結末が読めたとしても、登場人物の細やかな心の描写、またそれを見事に演じきる名優を堪能する映画だと思う。そういう「クラシカル」な映画が僕は大好きです。プロレスでいうなら派手なタイガーマスクでは無く、味のある天龍といったところか・・・。 【アーリー】さん 8点(2004-11-23 01:04:19) |
58.初めて観ました。ノーマの老いを受け入れられない姿は強烈な印象ですが、自分にはマックスの存在が圧倒的でした。ノーマに仕える姿は執事としての忠実さを超えたものを感じましたが、最初のご亭主だったとは・・・自分の想像をはるかに超えるものでした。無償の愛というのでしょうか。ラストシーンの、マックスの別れを覚悟したような眼差しは胸が痛くなり、最後の晴れ姿を見届けてあげるから悔いなく精一杯演じよ、という思いがこめられたような「アクション」 この一言には胸が一杯になりました。心に残る作品です。 |
57.ネタバレ (全面的に改訂)さて、本作で最も評価すべきはノーマ・デスモンドという一人の女優が辿る悲劇を通してハリウッドの諸行無常っぷりを辛辣に、それでいて娯楽性たっぷりに描いて見せたワイルダー(とチャールズ・ブラケット)の凄まじい迄の力量と先見性だろう。先ず”サイレント期の大女優”というノーマの基本設定がウマイ。過去に生きる亡霊の如き彼女の存在を描くに説得力抜群である。ホールデン扮する青年ギリスとのジェネレーション・ギャップを映像とサイレント風演技で雄弁に表現している。勿論MVPはグロリア・スワンソンを措いて他にあるまい。野心に燃えるワイルダーの演出・シナリオに敢然と受けて立った彼女の”女優魂”にはただ敬服するのみ。殊にラスト、発狂したノーマが「サロメ」の衣装で階段を降りつつクローズ・アップで迫る様は正に「鬼気迫る」の一語。ここにも又、演出と役者の幸福なる二人三脚を見る思いがした。マックス役のシュトロハイムも圧巻。こういう作品を傑作と呼ぶのである。 【へちょちょ】さん 10点(2004-10-17 00:24:28) (良:2票) |
56.ネタバレ 「イヴの総て」つづきで私も最近になって見ました。このプール、どうやって撮ったの?とばかり考えてました。初っ端にコレを映してくるこの自信には恐れいりますよね~(意外な結末や犯人を最後の最後に明かしても面白くない作品はあまたあるじゃないですか)。登場人物たちは、身勝手でそして哀れでした、でも自分だったらそうするかも、と納得もしますね、やられた。 スワンソンやポーカー(だったっけ?)仲間役のthemselvesさんたちが実際に当時「過去の人」になりつつあったというのもえげつないです。オスカー取る力あってオスカー向きでない、怖すぎ。 【かーすけ】さん 9点(2004-10-11 15:52:27) (良:1票) |
55.『何がジェーンに起ったか?』を最近観たこともあって、往年の大女優の晩年の悲劇がずしりと身に染みる。久々に映画を観て嫌な汗をかいた、グロリアさんのラストの狂気。サスペンスというよりホラー。きっとアカデミーの会員は恐ろしすぎて賞をあげるのをためらってしまったのだろう。執事は気味悪く、偏屈し、不気味であるが究極の愛。主人公のジョーはどう見ても売れない脚本家というより映画スターだが、死体の回想という物語の構成は見事。つまるところ、『何がジョーに起ったか?』。 【紅蓮天国】さん 6点(2004-09-07 04:17:53) |
54.この映画は、脚本の良さと配役の妙に尽きるのではないでしょうか。そのおかげで、この映画は奇妙なドキュメンタリー性を持つこととなりました。迫真の演技なのか、それとも役を借りた上での生の声なのか…。この境界をも曖昧にしてしまうとは…、恐れ入りました、ビリー・ワイルダー監督。 |
53.確かに怖い映画だった。はじめから主人公の男が殺されることはわかっているので、誰にどうして殺されたかを知るために映画が進んでいくわけだが、冒頭のシーンに来てから締めくくりまでが本当にワイルダーが見せたかったものなんだろうなと思った。 【HK】さん 7点(2004-08-13 05:31:18) |
スポンサーリンク
|
52.ネタバレ 冒頭のシーンが実は最後のシーンで、死んだ男(主人公)のモノローグで今までのことが語られていくっていう演出がかなり良い。でもやはりストーリーが物凄く良い!ハリウッドの華やかな銀幕の裏側を描いた内幕劇だけれども、ぶっちゃけ下手なハリウッド製娯楽映画(特に近年の)なんかよりも遥かに面白い。それに様々な名作や俳優、監督の名前も沢山出てくるので、それだけで見ていて面白いし、劇中の台詞どおり、カメラの外の世界の方がずっと面白いのかもしれない。しかしながら、特記すべきはやはり、過去の栄光にとりつかれて復活を夢見ている大物女優を演じたグロリア・スワンソンの鬼気迫るラストの演技。長年の夢がこう言う形で叶うというのは、なんとも皮肉だけれども、これも、ある意味では、映画という大衆の注目するものに生きた女優としては良かったのかもしれない…ってなんだか自分でも何言ってるかわからなくなってきたけど、とにかく、様々な楽しみ方が出来る本作は間違いなく名作ってことです。 |
51.あぁ~、話の結末は始まった時に既にわかっていた。でも、それがどんなどんでん返しでそこに行きつくのか楽しみだった。しかし、イライラした。その理由は、あの気味の悪い元大スター女優の顔、性格。あれを観ていると胸がムカムカした。あごを上げ、下目使いをしているのを観続けているのは、苦痛以外の何者でもなかった。まぁそれはさて置き、あの結末は正直、ガッカリ。もっとストーリーにひねりが欲しかった。適当に予想したら、その通りになってしまった。結局、この映画で印象に残ったものは、あの女の嫉妬深い恐怖的な行動と、ラストのあの女の下目使いの気持ち悪い目だけだった。 【ボビー】さん 6点(2004-06-27 09:10:20) |
50.ネタバレ 頑張ってみましたが、ダメでした。白黒でした。気持ち悪い妄想おばさんのお話をとうとうと聞かされて、うんざりしました。 【杜子春】さん 3点(2004-06-15 22:30:16) |
49.先日、ウィリアム・ホールデンは死後数日して、死体が見つかったということを知りました。どんな状態だったのかはわかりませんが、きっとプールに浮いていたんだろうな……と思いました。若い身空で可哀想に……とも。えっ?ホールデンは夭折したわけじゃあなかったんだよね。そ、そうだった、それだけこの映画のプールに浮いたホールデンが印象的だったってことなんです。 【元みかん】さん 7点(2004-06-13 14:39:24) (笑:2票) |
48.ワイルダーのドイツタッチが、満開の傑作。「ザ・プレイヤー」などのハリウッド内幕物の先駆だと思うのだが、プールに浮いてる死んだホールデンのモノローグで始まる冒頭は、チャップリンの「殺人狂時代」とも重なる凄みがある。物語も、素晴らしいが、サイレント映画の女王グロリアスワンソンには表情と身振り手振りを駆使したサイレントの演技、ウィリアムホールデンには、日常そのままみたいな自然なトーキーの演技をさせて、その二種類の演技のぶつかりあい、演技合戦を見るのも一興だ。ワイルダー、粋な遊びをするではないか。執事に扮するエリッヒフォンシュトロハイムの存在感も圧巻。 【ひろみつ】さん 10点(2004-06-03 22:53:52) |
47.映画「マルホランド・ドライブ」に影響を与えた映画ということで観てみました。「女王」(自称「王女」)の奇矯な言動、執事の歪んだ愛情(ある意味、性的倒錯ともいえる)など、たしかにD・リンチ好みの題材です。結末を冒頭に持ってきているためにストーリィには意外性がないのですが、ハリウッドの内幕ものとして興味深い作品になっています。「女王」の「宮殿」の不気味さもうまく表現されており、製作当時としてはなかなかの衝撃作だったのではないでしょうか。私にとっては、バスター・キートンが出演しているのが儲けものでした。”wax works”扱いなのが、ちょっと寂しいですけどね。 【山の木屑】さん 7点(2004-05-25 15:40:36) |
46.ワイルダー、ハリウッド監督7作目。この作品がブラケットと組んだ最後の作品となってしまいました。サイレントからトーキー、モノクロからカラーへ。そんな時代に刻まれるハリウッドの内幕、人間模様をリアルに写実しておりますねー。スワンソン、シュトローハイムを配すること、この作品そのものをモノクロで撮影することで、古き時代へオマージュが捧げられ、同時に風刺がなされます。作中、スワンソンが邸宅で見ている映画が、実際に自ら出演、シュトローハイムが監督した『Queen Kelly』だってんだから泣ける・・・。大スターを大スターのままに存在せしめる執事の姿は自らの存在価値をも賭けたシュトローハイムの執念のようにも見えます。そして、「映画のほうが小さくなった」のスワンソンの台詞・・・、今の時代の方が響いたりしますねー。自らに目覚めたジョーの悲劇、自らに目覚めぬスワンソンの悲劇。うならされるラストでした。 【彦馬】さん 8点(2004-05-21 19:22:37) (良:1票) |
45.この映画の最大の見所はなんと言ってもグロリア・スワンソンの鬼気迫る演技である。その圧倒的なパワーと存在感は、もはや「正視しがたいほどの怪演」といっても言い過ぎでなく、名キワモノ映画、「ブリキの太鼓」のそれに近い。ちょっと言い過ぎか(^^;Aまあ、簡単にいうと正直キモかったです |
44.どれほど不気味なシーンであろうと、いかに残酷な場面であろうと、常に諧謔を感じさせるところは、「さすがはB・ワイルダー!」と唸らされます。たとえば、大晦日の夜の2人だけのダンスシーンや、私のおかげでパラマウントが成り立っていると大見得を切る場面など、老いた大女優に悲哀をおぼえつつも、何ともいえないおかしみを感じてしまいます(さすがにラストはちょいとやりすぎだと思いましたが…苦笑)。また、いまさらいうまでもないことですが、キャストの豪華さにも注目。セシル・B・デミルは撮影現場で張り切っているし、シュトロハイムは「元監督」「元旦那」とそのまんまの配置だし、キートンは例の仏頂面でブリッジをやっているし。枝葉の部分でも楽しめる作品です。 |
43.過去の栄光にどう折り合いをつけて生きていくべきか?すべては需給バランス。現実の見えなくなった人間ってのは厄介だなあ。 |