映画『マイ・バック・ページ』の口コミ・レビュー

マイ・バック・ページ

[マイバックページ]
2011年上映時間:141分
平均点:6.18 / 10(Review 39人) (点数分布表示)
公開開始日(2011-05-28)
ドラマ青春もの小説の映画化
新規登録(2011-05-08)【8bit】さん
タイトル情報更新(2024-08-17)【にじばぶ】さん
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監督山下敦弘
キャスト妻夫木聡(男優)沢田雅巳
松山ケンイチ(男優)梅山(片桐優)
忽那汐里(女優)倉田眞子
石橋杏奈(女優)安宅重子
韓英恵(女優)浅井七恵
中村蒼(男優)柴山洋
山崎一(男優)徳山健三(週刊東都デスク)
中村育二(男優)島木武夫(週刊東都編集長)
菅原大吉(男優)小林(東都ジャーナル編集長)
山内圭哉(男優)前園勇
近藤公園(男優)
並樹史朗(男優)
あがた森魚(男優)飯島(東都ジャーナルデスク)
山本浩司(俳優)(男優)佐伯仁
岸井ゆきの(女優)
熊切和嘉(男優)
宇治田隆史(男優)
本田隆一(男優)
仁後亜由美(女優)
小寺智子(女優)
ノゾエ征爾(男優)
早織(女優)キネマ旬報編集者
水崎綾女(女優)タモツの妻
赤堀雅秋(男優)私服刑事
松浦祐也(男優)タモツ
青木崇高(男優)キリスト
古舘寛治(男優)中平武弘(週刊東都記者)
長塚圭史(男優)唐谷義朗(東大全共闘議長)
三浦友和(男優)白石(東都新聞社社会部部長)
康すおん(男優)高峰(刑事)
足立智充(男優)
脚本向井康介
作詞ボブ・ディラン「My Back Pages」
作曲ボブ・ディラン「My Back Pages」
主題歌真心ブラザーズ「My Back Pages」
奥田民生「My Back Pages」
撮影近藤龍人
製作バンダイビジュアル「マイ・バック・ページ」製作委員会
WOWOW「マイ・バック・ページ」製作委員会
アスミック・エース「マイ・バック・ページ」製作委員会
日活「マイ・バック・ページ」製作委員会
制作ビターズ・エンド(制作協力)
配給アスミック・エース
特撮オダイッセイ(VFXスーパーバイザー)
美術安宅紀史
衣装伊賀大介(スタイリスト)
録音小川武
この作品のラストや重要展開が気になる方に向けて、ネタバレありのレビューを厳選して掲載。結末や伏線、キャラクターの動向について深掘りしたい方におすすめです。
あらすじ
「週刊東都」の記者沢田(妻夫木)は、学生運動に共感しながらも、ジャーナリストとしての立場もあり、身の置き場の無い日々を送っていた。ある日、活動家を名乗る梅山(松山)という男と知り合う。「京西安保」の幹部であり、武装決起を起こすなどと打ち明けられるが、なぜか沢田は親近感を覚えていく。やがて梅山は学生仲間と「赤邦軍」という組織を作り、自衛隊を襲撃して武器を奪うという計画を立てる。それを明かされた沢田は独占取材を申し出、やがて事件に巻き込まれていく。評論家川本三郎の回想録が原作。
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ネタバレのみ表示しています。
未見の方は注意願います!
(ネタバレしていない口コミも表示)

💬口コミ一覧

26.ネタバレ 当時の雰囲気を再現した映像は抜群によかった。東大安田講堂事件など、実際の事件をできる限り再現してくれたことはとても興味深いことだ。 ただ、目に見える出来事ばかり心に突き刺さってはくるけど、全体的に答えが見えないというか、、。 梅山をそこまで駆り立てたものは何だったのか? 沢田の原動力は野心だったのか、好奇心だったのか、ジャーナリズムの精神がそうさせたのか? そのジャーナリズムとは? そして、、全共闘運動とはいったい何だったのか? 妻夫木に泣かせて、これは若かりし日の過ちだった、でうまく着地はさせてるけど、色々とわからないままで終わってしまった感じ。 「なんか、嫌な感じがする」 結局のところ、彼女 (忽那汐里) が最後に言ったこの言葉こそ、この映画全体をうまく包括している気がする。そう、なんか、嫌な感じがするんだ。早い話が、確固たる思想を持ち合わせていない若者たちが、まるでブームのように運動に便乗して、過激派のモノマネをして、ある者はそれを煽り立て、結果として、それが時代に (建設的な) 大きな変化をもたらしたかと言えば、そうでもなかった。人が死んでいるのに。 だから率直な感想を言わせていただくと、これは嫌な感じがする映画だった、それ以上でもそれ以下でもない。
タケノコさん [DVD(邦画)] 6点(2021-03-28 18:00:31)
25.ネタバレ 山下監督だからという理由で、前知識なく見たのが大失敗。
苦手な学生運動をテーマにした映画だとすぐに気付いたが、なんとか最後まで見た。
劇中に「洲崎パラダイス 赤信号」が出てきたのでプラス1点。
にじばぶさん [インターネット(邦画)] 3点(2020-11-18 19:40:06)
24.ネタバレ 話自体はまあまあ面白いのですが、作品の核となるテーマが掴みづらいので長尺で抑揚の余り無い本作は、話が展開していっても客観的にしか見られないので少々ダレ気味になってしまう箇所も有ります。

作品を俯瞰的に見ている観客には梅山も前園も『本物』でない事は簡単に看破できます。
目的は自己顕示で、思想は空っぽで、行動はノリです。
過激な思想家というより打算的な夢想家という感じに描かれています。
その時代を代表する様な連合赤軍の実録本等を読み彼等の内情を理解すると、革マル派等とうそぶいていた左翼を平均化した人間が、梅山という中身の無い無駄に言論武装したキャラクターの様に感じます。
東都出版の先輩記者達が梅山を『偽物』と見抜くのに対して、CCRの曲を一緒に歌う事で共通のアイデンティティを見出し、その程度で沢田が梅山にシンパシーを感じてしまう表現等は大人と子供の間にある壁や、沢田の幼さを上手く描いていると思います。
しかし、沢田も徐々に梅山の人間性に疑問を抱く様になり「君は誰なんだ」と問い詰めます。
結局、梅山にとって沢田は都合の良い道具でしか無く、騙され、利用され、裏切られ、それが原因で沢田の青春の1ページであったマスコミでの仕事も辞める羽目になれば、沢田の悔しさは計り知れないものだったと思います。

月日が流れて沢田は居酒屋のカウンターを挟んで偶然タモツと再開し、彼と過ごした日々を思い出しながら語り合い、そして気付いたのではないでしょうか。
潜入取材という利己的な目的で自分の素性を偽りタモツに近づき彼を利用して、罪悪感を感じつつも記事を書いた事を。
ウサギを真剣に売っているタモツの横で彼のしている事とその状況を笑いながら傍観していた事や、ウサギを死なせてしまった事をお金で解決しようとした事を。
結果こそ違うが自分がタモツに対してとっていた行動は、マスコミという世界と真剣に向き合っていた青春の1ページの中で、梅山という身勝手な人間が青臭い自分に対してとった侮辱にも値する行動と同じだったのではないか、という事を。
そして今までその事に気付かなかった自分の浅はかさを。
勿論そんな事を当時も今も知らないタモツが、キリストにあげたスーツを本当は沢田にあげようと思っていたと言われれば彼が泣いてしまうのは当然だと思います。
大人の男が泣く事の伏線をもう少しぼかして気付くか気付かないか、このシーンを見て思い出す程度に上手く張って貰えれば私も一緒に泣く事が出来たであろうし、泣きたかったので残念です。
重要なシーンへの伏線を明確にさせ過ぎると逆に冷めてしまいます。

私自身も今まで気付かぬままに、『青春』や『若さ』という未熟な思い込みの特権で、『我武者羅だったから』とか『周りが見えていなかったから』等の言い訳にもならない様な理由で、他人の世界を踏み荒らしたり、その人自身を傷つけたりして来たのではないかと、鋭く問い質される様なラストのシークエンスは泣き崩れる主人公に自分を重ねずにはいられませんでしたし、作品的にも瞬間的に引き締まったものにして切ない余韻を残しつつ上手に纏め上げられていると思います。
しってるねこのちさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-06-12 19:06:38)
23.ネタバレ 学生運動、あったんですよね、こんな時代が。
今で言うデモとテロの間ぐらいなのかなぁ。

そこに思想があるのかないのか?
たとえあったとしても『殺すべからず』ですよ。
どんなに偉そうな事を言っても、殺してしまったらいけません。

ジャーナリストと活動家の絡みで時代感を真摯に表していたところは素晴らしかったですね。

最後の妻夫木さんの『泣き』良かったです。
ろにまささん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-05-31 18:57:51)
22.ネタバレ 編集部のさりげない1シーンなんかでも表れている、小道具や衣装やエキストラの動きの、すみずみまでのこだわり。さらに、ロー・キーを多用した照明と長回しを効果的に使うカメラによって、見事に昭和40年代の空気感が蘇生している。ものすごく丁寧な、かつ気合の入った制作態度が窺えます。●考えてみたら、梅山については、初対面の場面で、それまでに学生運動を深く知っていたであろう中平によって、即座に「あれはニセモノだ」と断定されている。しかも、1万円をめぐるくだりで、梅山が「口から先に平然と嘘をつける」人物であることも宣言されている。しかし、その後のもっともらしい展開と、そして松山ケンイチの正確な演技によって、見る側も沢田同様、「怪しいんだけど、本当はいい奴だったりして・・・」と思わされる仕掛けになっている。巧妙な演出、そして構造。●数回しか登場しないのですが、関西弁をずしりと決める前園が、中盤の引き締めに貢献していると思います。
Oliasさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-10 04:12:33)
21.ネタバレ テーマがテーマなので分かりにくい映画かなーと思っていましたが、親切にストーリーや心情が描かれており、問題なく楽しめました。松山ケンイチ、妻夫木聡両人ともキャラクターが魅力的でした。ラストの泣きシーンも良かったです。共感ポイントが少ないからでしょうか、それほど心躍るシーンが少なくこの点数です。
なこちんさん [DVD(邦画)] 6点(2014-02-09 23:24:33)
20.ネタバレ 僕はノンポリが多い世代であるせいか、感情移入はできなかった。なんのために、なにと闘っているのかよくわからないというのが正直なところだった。しかし、当時の雰囲気が伝わってきたし、何よりドラマとしてとても興味深かった。
lalalaさん [DVD(字幕)] 6点(2013-05-06 22:22:22)
19.ネタバレ 私は安田講堂事件や三島事件があった頃は中学生だった。当時、この作品の主人公達の世代であるお兄さん達がやっていた学生運動や一部の過激な活動家が起こす事件は連日ニュースで放映されていた。私達の世代は、それらを半分憧れ、半分冷めた目で見ていた。世の中を変えるんだという情熱は伝わってきたが、テロまがいの行為まで賛同はできないという雰囲気だった。今考えると、高度経済成長の真っ只中で、人々は確実に豊かさを感じるようになっていたのかもしれない。ここで描かれている当人たちの本心も、有名ロックバンドに憧れるような「本物になりたい」というものだ。革命を語っても、所詮、有名になるための手段としか考えていない。たぶん、そうだったのかもしれない。既に、豊かになりつつある大衆の支持など得られる訳が無かったのだ。でも、映画を観ながら思った。こうした批判は、結局は、第三者が語る結果論なんだと。彼らの当時の心は彼らにしかわからない。自分のバックページでもある、あの時代を振り返るときの高揚感や懐かしさは、忘れることがないだろう。
パセリセージさん [DVD(邦画)] 7点(2012-04-11 23:02:25)
18.ネタバレ 当時の学生運動について無知なせいもあると思いますが、心情的に理解できないシーンが多すぎた。まず、騙されたかられ利用された澤田(=妻夫木さん)がそれでも梅山(=松山ケンイチさん)と共に行動しようとするのかがさっぱりわからない。澤田は単に梅山のことを信じたかったからと言われればそれまでなのですが、個人的感情に振り回されすぎるジャーナリストに辟易。あんなブレやすい人に記事を書いてほしくない。「事実だけ書いてればいいんだよ!」という出版社のえらいさんの言葉はある意味正しい。彼は出版社辞めて正解だ。
一方梅山の方も理解に苦しむ。あそこまで汚く生きられる人間をむしろ理解しろって方が無理がある。自分の周りの人間を道具としか見ていない。己の目的のために簡単に人を利用し裏切る彼の不遜な態度にはもうがっかり。思想犯でもなんでもない。ただの私利私欲の塊にしか見えなかった。中途半端に頭が良いことが余計に彼を傲慢に見せている。

以上のようにメインキャストの二人に魅力が感じられなかったために評価はちょっと・・・。妻夫木さんは童顔過ぎて、何しても幼稚な行動・考えをしてるように見えるのはもったいないですね。
TANTOさん [DVD(邦画)] 4点(2012-02-08 16:19:03)
👍 1
17.ネタバレ これはなかなかいい映画だったと思います。1960年代後半から70年代前半の世界が、衣装や小道具、そしてフィルムの古めかしい質感などによって見事なまでに再現されている。その当時の空気感や匂いまで伝わってきそうなリアルさに思わず惹き込まれました。学生運動にいては、知識としては知っていても、私が生まれる前の出来事なので、実態としていまいちピンとこないというか、理解出来ないところがあったのですが、そんな自分にとってはとても興味深く、面白く鑑賞出来ました。結局のところ、「若かった」の一言に尽きますね。全共闘世代は人数も多く高度成長の時代であったし、当時の世界情勢と相まってあの運動が繰り広げられていたのでしょう。梅山の行動の一つ一つが、大いなる理想以前に、ただ単に幼いだけでしかなかったことを端的に表現している。熱中の対象として、音楽の後にたまたま転がっていた学生運動に乗っかっただけ、みたいな。そんな彼の軽いノリと、実際に自衛隊員を生々しく殺してしまうその落差が恐ろしい。共産主義は結局のところ、現実より観念を優先したが故に崩壊したわけだが、この自称活動家もやはり現実をしかと捉えるにはまだ若過ぎたのだろうか。そしてまた記者の沢田も若さ故の過ちを犯してしまう。ジャーナリストは事実を伝えるのが仕事だが、彼は梅山を「信じたかった」。その心自体に罪はなく、ピュアであるが故に尚の事ラストの涙は切ないのである。
あろえりーなさん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-29 19:28:17)
👍 1
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16.ネタバレ 実体の伴わない「言葉遊び」をしているだけの学生運動家・松ケン、そんな彼の言動に翻弄されるジャーナリスト・妻夫木。やがては時代の波と共にのっぴきならない状況に追い込まれる(あるいは自らはまり込む)彼ら。70年代初頭を生きた二人の若者の苦い青春を描いた、山下監督渾身の一作。ざらついた映像に、当時を再現した美術、衣装、そして脇を固める「大人たち」の自然体の演技は圧巻。当時をよく知らなくても、そのリアルさには目を見張る。虚を突かれた時の松ケンの歪んだ口元が印象的。そして、もちろんラストの妻夫木の涙。あの瞬間のためにそれまでの長い2時間があったのだろう。
フライボーイさん [DVD(邦画)] 8点(2011-12-16 21:54:26)
👍 1
15.ネタバレ 赤軍も学生運動も、その出来事を日本の歴史の一部
としか捉えることのできないぼくにとっては、
この時代に何が起き、どうしてそうなったか、
という事実性はもちろんのこと、
それによって翻弄される社会がどういう
状態だったか、というのは
とても新鮮な情報として
ぼくは受け取ることができた。
映画はドキュメント的に、
多くの人に世界情勢や社会問題を
知ってもらうための媒体として
使われることもしばしばあり、
この作品に関して言えば、
学生運動に荒れるこの時代の
人間たちの姿というのは、
知っておく価値は十分にあった。
若松孝二監督の「実録連合赤軍」に
関しても、まずは何が起きていたのか、
という事実を知るにはもってこいの
作品だった。
ただ、事実を知るだけなら教科書で言い訳で、
せっかく映画を観るのなら、そこに映し出される人間たちを
通して、監督が何を描きたかったのかが、
見えてこなければ映画にはならない。
若きジャーナリズムに燃える青年と、
口の達者な運動家の青年を通して、
ぼくが感じたことは、
幼さに尽きる。
両者とも、至る所は後悔の淵で、
つまり後先考えず、衝動と流行りに
身を任せてしまった愚か者なのだと思う。
互いに言いたいこと、やりたいことは
あったにせよ、
しかしながら劇中でも描かれているとおり、
論理が纏まっていないように思えた。
ようするに、流行りに流され、
自分の意思が固まる前に
衝動的に動き出してしまった
あさはかな若者でしかないのだと。
さらには、連載誌も終わるまさに流行りの末期で、
若者の多くが抱える自分も何か時代に名を残したい、
という願望も合間っての愚かさだったに違いない。
そんな二人こそ、その時代の象徴なのだと感じた。
監督の同情ではないにしろ、
その時代を覆う大きな哀しみや痛みに対しての、
その肩にそっと手を添えるような
優しさは見えた気がした。
ただ、山下監督の「天然コケッコー」
以来の新作がこれ、というのは癪然としない。
人間の滑稽で愚かだけど、ユーモアに満ちた姿を
豊かに描ける山下監督が、
なぜこの作品を撮ったのか、
納得のいく回答をこの作品から見出せないのが残念だった。





ボビーさん [映画館(邦画)] 7点(2011-07-09 08:41:06)
14.ネタバレ  非常に見応えのある作品でした。60年代後半から70年代前半の社会の空気を山下監督が上手く作り出しています。自分を、社会を変革しなければならないという思いと、世の中の真実を伝えていきたいという思い、そして己の使命に忠実であろうという思い・・・様々な思いが上手く重なっていくように見えて少しずつズレていく展開は、まさに若者が「大人の世界」の前に挫折していく姿を映し出したアメリカン・ニューシネマの世界観に相通じるものがありましたね。

 まあ、マスコミのあり方というものについても考えさせられる作品でしたね。

TMさん [映画館(邦画)] 8点(2011-06-12 21:29:29)
13.ネタバレ 
らんむさん [映画館(邦画)] 5点(2011-06-10 18:07:07)
12.ネタバレ ダメなヤツら、なんですよね。彼らは時代を生きようとした。でも、時代に対する責任は負わなかったし、ケリも付けられなかった。もう、若い、青い、イタい、って連中の話で。この映画は、そういうダメっぷりを容赦なく抉ってると思うんです。松ケンが言うじゃないですか、「活動をする前は音楽をやってた」って。彼にとっての闘争はシュミで音楽やってま~す、っていうのと同レベルで、音楽の次に来たのがたまたま学生運動だったようなもので、それは早々に運動のそもそもの目的は存在していないというカラッポっぷりが明らかにされる時点で宣言されちゃっています。その上、遅れてきた後追い状態ですし。ブッキーにしても立場は違えど安田講堂陥落後の、最早地下に潜伏しつつあった学生運動にシンパシーを抱いてしまった遅れたジャーナリストだった訳で。そして、それぞれがエセではなくホンモノたろうとして取り返しのつかない、ただ青いだけでは済まされないところへ行ってしまった。その、決して同情できない痛々しさがよく表れた映画だな、って。映画が進めば進むほどに情けない表情を見せてゆく松ケンとブッキーの小ささっぷりが見事です。ちょっと1カットが長過ぎに思える箇所が散見されましたが、二人の役者に求めたものを引き出すのに必要な時間だったのかもしれません。ところで当時、責任を負わずに逃げた人達は今どこで何をしているのでしょうねぇ? って別に知りたくはなくて、もうこのまま静かにしていて欲しいだけですけど。
あにやん‍🌈さん [映画館(邦画)] 7点(2011-06-09 22:09:24)
👍 1
11.ネタバレ この映画の良さは、マツケンの語り口とその佇まいにあると思う。
C.C.R.を弾き語る無邪気さや、彼女にささやく甘い言葉、上滑りする論理、仲間が自衛隊駐屯地に潜入している時にしゃーしゃーと漫画を読んで笑っている姿(それを同志の女性に見られても平気な体面)、警察に対する飄々とした虚偽の受け答え。実に多面的かつ、それぞれに表層的すぎるキャラクターを見事に演じていた。何事をもカッコにいれて、ただ運動で名を残すことだけを目的としていた男。その打ち捨てられた構造だけを模倣して、本物になろうとした(なれると錯覚した)男。それはそれで魅力的にも見え、且つ示唆的だとも思った。

とは言え、当時の全共闘の学生達が目指していたことを軽くみてはいけないと僕は思う。ただ訳も分からず彼らは戦っていたわけではない。彼らは何を打倒しようとしていたのか。それは、「世間」と呼ばれていたもの。今でもそれは日本社会に蔓延り、日本人の倫理を決定づけている。というよりも、日本人が本当の意味の倫理感を抱くことを強力に阻害している頽落そのものが「世間」なのである。それは「空気」とも呼ばれる。空気との戦い。(そりゃ勝てんわな)

気が付けば、闘争の論理は空虚なものとなり、敵となるべき対象を射程できずに、全ては内ゲバとなった。それが連合赤軍事件である。

それでも、当時、学生達が大学という特権的な空間にいたが故に「世間」に対峙できたこと、それはとても自覚的なものだったのである。しかし、いまや世間と大学の間には何の境界もなく、それは無自覚であるが故に問題意識の端にもかからない。「思想やジャーナリズムなんて分かりませーん」と臆面もなくつぶやく若者達を作ったのは「あの頃の僕らより、今の方がずっと若いさ」として過去の挫折を総括してしまった団塊の世代の大人達なのは確かだろう。彼らが「世間」を軽く見做すものとして、そこから逃走するものとして、80年代のポップカルチャーを設定したのは60年代から地続きの現象であったが、70年代以降に生まれた者たちにその意味や経緯がまともに伝わることはなかったのである。。。

主人公の部屋の壁にはディランのレコード"Another Side of Bob Dylan"がちゃんと飾ってあった。エンディングの真心ブラザーズの『マイ・バック・ページ』も心に響いた。
onomichiさん [映画館(邦画)] 8点(2011-06-09 21:44:21)
👍 1
10.ネタバレ あんまりおもしろくなかった。ラストの15分くらい寝た。映像がアナログ放送みたいな感じで荒く、その質感が心地よい。細部まで40年前の風景が作られていて感心。
エロが足りない。若者の映画なんだからエロは必要だろう。
『バーダーマインホフ』『実録日本赤軍 あさま山荘への道程』『パッチギ』あたりを参照。
『真夜中のカーボーイ』を観なきゃいけないなと思った。

あの学生運動の熱気、もう日本には訪れないのだろうか。一部のプロ市民とチャンネル桜と怖い大人たちの週末のサークル活動なんかではなく、東大を入試中止に追い込むくらいのそれを、なんとなく欲している。
no_the_warさん [映画館(邦画)] 7点(2011-06-09 21:04:56)
9.ネタバレ 一冊まとめて読んだ記憶があるわけではないので恐縮ですが、さまざまな媒体でたまさか川本三郎の文に出合っても、評価できると思ったためしがなかったのに、映画の評判の良さにつられてこの人の原作と知りながら見に行っちゃった私がアホでした。それでも、氏がジャーナリストとして若き日々に挫折を味わったと初めて知ったので、この映画が若者らしい苦悩を描いているのかと思いきや、さっぱり伝わってこず。映画としての思想性が浅くても、せめてジャーナリストらしさの片鱗でもあればその世界に身を置くことの臨場感を味わえたのではと思いますが、それもなかったなあ。いったい何を描きたかったんだろう。この時代を笑い物にしたかったのか、この監督は。わざとらしくゲバラのポスター貼ってるとことか、いちいちムカツク。感動した方には申し訳ありませんが、最後の沢田の泣くシーンなんて、松田聖子のウソ泣き?を思い出してしまったほど、私にはつまらなかった。時代考証がしっかりしてるとの評判もあるようですが、私に言わせれば「あの時代にこんなもんなかったぞ」というもの、幾つもありましたぜ。それに、いくらあの時代だって、家に帰ったらすぐタバコ、飲み屋でもすぐタバコ、何かにつけてすぐタバコなんてほど、みんながモク中だったわけじゃないですよー。時代を表す小道具としてのタバコを安易に使いすぎ!
おばちゃんさん [映画館(邦画)] 3点(2011-06-09 01:50:43)
👍 1
8.ネタバレ 当時の雰囲気を現代の若者にも伝えようという努力のせいか、少し長くなりすぎた嫌いはあるが、登場人物一人ひとりの心の動きを丁寧に描いて味わいのある佳作。妻夫木聡も松山ケンイチも演技派の名に恥じない好演を見せている。
何よりも面白いのは、この映画が全共闘時代(1970年頃)の若者の狂騒を一歩引いたところから批判的に描いていることだ。映画業界の人(というかマスコミの人やら芸術家やら全般)はリベラル寄りの人が多いから、どうしても「青春のあの頃」を描くと自分達に甘くなる。マルクス主義に傾倒し、小難しい議論を延々と繰り返し、警官と衝突し、タバコをふかしながら青春を謳歌していた自分達を正当化したがる。「俺たちは真面目に政治のこととか考えて行動してたぜ。それにくらべて今の若者は何事にも無関心だ。熱い思いが無い」などと説教を垂れたがる。僕はそういう輩に対してずっと疑問を持っていた。本当に彼らがやったことは正しかったのか?若者はみな理想に燃えて高潔だったのか?彼らの闘いは未来を変えたいという真情の発露だったのか?
この映画を観て分かった。彼らとて聖人君子では無かったのだ。学生運動とは、現代ほど娯楽の無い時代に生まれた彼らにとっての「娯楽」だったのだ。スリルを得るためのゲーム、やり場の無い暴力のはけ口、そしてモテるための手段でもあったのだ。この映画が出色なのは学生運動の暗部である、彼らの虚栄心、党派心、虚無感、卑怯さ、そういうものを公正に描いていることだ。
もちろん、中には本気で革命を信じて闘った学生運動の「良心」ともいうべき人もいただろう。それが「正しかったか」はおいといて。この映画では長塚圭史演じる唐谷義朗がそれに当たる。でも、当時の学生全員が本気で社会を変えようとしていたわけではなかった。ラストで涙に咽ぶ沢田(妻夫木)は何を思ったのか。自分の青春時代を肯定することもできず、かといって否定しきるのもつらい。精神的な葛藤の末に流された苦い苦い涙だ。当時を体験していない山下監督だからこそ撮れた作品だと思う半面で、当時を生きた世代がこれを撮れなかったのは愧ずべきことのようにも感じる。
エンディングの真心ブラザーズ+奥田民生によるボブ・ディランの「My back pages」のカバーも良かった。「あのころの僕より今の方がずっと若いさ」。過去を反省する勇気を持ち続けていたいものである。
枕流さん [映画館(邦画)] 8点(2011-06-08 23:31:24)
👍 1
7.ネタバレ 学生運動の周辺にいた似非活動家とジャーナリストの青春映画。松ケンは安田講堂後に大学生になったようだけど、冒頭で東大(?)の壁に殴り書きされた檄文に目を輝かせる。その時の表情にはまだ希望があった。彼を律していたのは思想ではない。若さのエネルギーを何かにぶつけたい欲求と、時代に取り残されたくない焦り。唐突な例えだけど、幕末の京都に集まった浪士みたいです。誰もが表層的に尊王攘夷を語り、短絡な思想を暴力の言い訳に使う。松ケンの激情や行動は、あげくに人を殺すところまでそっくりだ。一方の妻夫木は取り残された側の代表。彼にも思想的な主張は見えないが、闇雲に行動しない良識はあった。同時にジャーナリストは傍観者で良いのかという疑問も持ち続け、暗い目に力を込めて闘争を語る松ケンに憧れに似た感情を持っていたと思われる。巻き込まれた有罪判決だったが、強硬に自己弁護しなかったのは彼のプライドだろう。本作は「日本の夜と霧」や「実録・連合赤軍」のように学生運動の渦中を描いた作品ではない。それは主人公の二人が運動の中心的存在ではなかったから。最終的に起こした事件はただの人殺しであり、学生運動の本質とは縁遠いものだった。時代のうねりが感じられるほど熱気を孕んだ時勢であっても、その渦中で活動していた学生や青年はごく少数。本作は外縁から中心に憧れの視線を送っていた大多数を取り上げた作品であり、そのスタンスは同世代の若者には共通項が多いのだと思う。結果的に松ケンはまがい物の酷い奴だったけど、彼の中にあった若者特有の焦りや達成志向には共感する。松ケンと関わるうちに自分のスタンスを見失った妻夫木も理解できる。ラストの彼の涙は難しい。いや、涙が流れる情況は理解できるが、あの涙に含まれる感情はとても複雑です。その混沌とした様が本作が描いた時代を象徴しているようでした。扱っている題材はハードだけど「リンダ」や「天然コケッコー」と同様に、山下監督が青春に注ぐ視線にはブレがない。邦画青春映画好きの私にとって、最も次回作が待ち遠しい監督です。
アンドレ・タカシさん [映画館(邦画)] 7点(2011-06-06 23:22:02)
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マーク説明
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《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 39人
平均点数 6.18点
000.00%
100.00%
212.56%
325.13%
412.56%
51025.64%
6820.51%
7615.38%
81025.64%
912.56%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 Review0人
2 ストーリー評価 10.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 9.00点 Review1人
4 音楽評価 10.00点 Review1人
5 感泣評価 Review0人

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