映画『おおかみこどもの雨と雪』の口コミ・レビュー

おおかみこどもの雨と雪

[オオカミコドモノアメトユキ]
The Wolf Children Ame and Yuki
2012年上映時間:117分
平均点:6.41 / 10(Review 130人) (点数分布表示)
公開開始日(2012-07-21)
ドラマファンタジーアニメ動物もの
新規登録(2012-05-21)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2024-09-28)【イニシャルK】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督細田守
宮﨑あおい
大沢たかおおおかみおとこ
黒木華
西井幸人
大野百花雪(幼年期)
加部亜門雨(幼年期)
谷村美月土肥の奥さん
麻生久美子堀田の奥さん
菅原文太韮崎
林原めぐみ草平の母
中村正[声優]細川
大木民夫山岡
片岡富枝韮崎のおばさん
小林隆韮崎の旦那さん
染谷将太田辺先生
碓井将大
多田野曜平校長
上白石萌音毛野
荒川ちか文子
津田英三
今井麻美自然観察センター受付
井上肇
原作細田守「おおかみこどもの雨と雪」(角川書店刊)
脚本細田守
奥寺佐渡子
音楽高木正勝
北原京子(音楽プロデューサー)
作詞細田守「おかあさんの唄」
製作市川南〔製作〕
日本テレビ(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会/製作幹事)
マッドハウス(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会)
角川書店(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会)
東宝(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会)
電通(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会)
スタジオ地図(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会)
読売テレビ(「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会)
企画スタジオ地図
プロデューサー奥田誠治(エグゼクティブ・プロデューサー)
川村元気(アソシエイトプロデューサー)
制作スタジオ地図
配給東宝
作画貞本義行(キャラクターデザイン)
末吉裕一郎(原画)
大杉宜弘(原画)
井上俊之(原画)
山下高明(作画監督)
美術上條安里(美術設定)
衣装伊賀大介
編集西山茂
録音東京テレビセンター(録音スタジオ)
上田太士(光学リレコ)
その他マッドハウス(プロダクション協力)
東映アニメーション(アソシエイト)
GAINAX(アソシエイト)
丸山正雄(スペシャルサポーターズ)
あらすじ
国立大学に通う花は、教室に一風変わった青年を見つける。聞けば彼はこの大学の学生ではないらしい。興味を持った花は彼に積極的に話しかける・・・。 トリッキーなアイデアを駆使して「子育て」について描く、細田守監督のアニメーション作品。
スポンサーリンク

💬口コミ一覧

130.ネタバレ 個人的にすべてのアニメの映画の中で最高傑作だと思う。
タイトルは「雨と雪」だが、主人公はあくまで母親の「花」である。
ストーリーは花と狼男との出逢いから始まり、2人の子供の子育ての完遂をもってエンディングを迎える。
あくまでこの映画のテーマは主人公である「花」の狼男や子供たちに対する愛であり、
その為に奮闘する母親という「お仕事もの」であり「サクセスストーリー」なのだ。
それを踏まえると無駄のない完璧な脚本だと思う。
自然背景の描写、音楽も素晴らしい。
Nigさん [映画館(邦画)] 10点(2018-08-18 02:46:42)
129.ネタバレ 自分が親かどうかとか、子供がいるかどうかとか、子供の年齢などによって、評価が変わってくる作品だと思います。ストーリーがどうとかより、「子どもを愛している」という一番大事なことをきちんと素直に表現しているところが好き。エンディングの「おかあさんの唄」も素晴らしい歌。
ブラック武藤さん [DVD(邦画)] 10点(2014-08-18 02:23:37)
👍 1
128.ネタバレ ジブリにまったく期待できなくなり、クレしんにも愛想が尽きかけていたそのタイミングで突如現れた巨人。おもしろい。
aimihcimuimさん [DVD(邦画)] 10点(2014-08-05 00:59:59)
127.ネタバレ 花はよくやりました。頑張る母の物語です。と同時に親のエゴに近いものもテーマになっていて考えさせられた。おおかみとして生きていく決意をした雨をどうにか引きとめようとする花。人間としてはまだまだでも、おおかみとしては十分に生きていける。そのことを感じ取っていながら、「まだあなたに何もしてあげてない」という言葉が出る。もっと子供でいてほしいし、もっと母親をしていたいと…。引っ越す理由を「人間とおおかみ、どちらでも選べるように」と説明していたが、実際は人間として育てる気満々だったんだよね。これは親というより人間の自惚れなのかもしれない。しかし雨は巣立っていく。この後のシーンが最も印象的だった。そう、見送る花は笑顔になったんだ。この時、花に芽生えた感情は寂しさを一気に凌駕した。これが親の役目であり、幸せでもあるんだよ。そんな作者のメッセージ。映像は綺麗だし、宮崎あおいをはじめとした声優陣も素晴らしいし、これはもう満点。何もかもが太陽に輝いていた朝の空気、しっかり伝わってきました。
リーム555さん [ブルーレイ(邦画)] 10点(2013-12-05 00:51:01)
👍 2
126.ネタバレ ◆映画の中で描かれない部分を自分で勝手に補完しだしたら、それはハマっている証拠だと映画批評で有名なラッパーがおっしゃっていましたが、もう映画の冒頭からどんどん補完しちゃいました。◆まず、あの旦那さんの性格。「団地って言ってもいろんな家があるんだ。子どもがいっぱいだったり、ひとりぐらしのおじいちゃんの家だったり・・・(うろ覚え)。」と花に説明する。(この人は、楽しみを見つけて感動できる人なんだろう。それぞれ訪れた一軒一軒に深い愛着をもって仕事をしているんだろう。そして感受性がとても豊かで優しい人なんだろう。いい人だな。)とか思ってしまい、この二人が出会えた幸せに涙してしまいました。その後はカール爺さんばりの幸せの回想シーン。多幸感に包まれて涙が止まりません。◆続いて、雪が転校生を傷つけたところ。相手の親からの詰問に、花は声を荒げるわけでもなく、雪に謝罪を促す。その後、駐車場にとめた車内で雪が心情を吐露するシーンになるが、あれは駐車場に車を止めてからこのシーンが始まるまでに、相当長い間沈黙があったと思う。その間、「どうしてあんなことしたの!」とか花は多分言っていない。花は雪の心に寄り添って黙っていた。だから、さっきまで黙っていた雪は心情を吐露したのだと思う。◆このことに関連するが、この映画で秀逸なのは花が子どもをほとんど叱らないところだと思う。おそらく、叱ったのは、前述した謝罪を促すシーンと、森に行こうとする雨を引き止めるときだけである。これは凄い。本当に凄いことだと思う。「これからどう生きていきたい?」と雨と雪に尋ねる花のスタンスは、彼らの意思を尊重してほとんど叱らない所に一貫してある。◆あとはもう人のつながりが生まれる過程を、じっくりと優しい視点で描かれたらもう泣くしかないです。心の隙間をあそこまで埋められたらぐうの音も出ないです。すばらしい。◆ひとつ気になったのが、花があれほど農作業したのにほとんど日焼けしていない所と、農作業するのにあの格好なのかーという点ですが、まあ些細なことです。至極の子育て映画!最高です!
もりたろうさん [映画館(邦画)] 10点(2012-07-30 23:45:48)
👍 2
125.ネタバレ 時期や世代で捉え方や感じ方が違ってくる作りで、非常に面白い作品でした。自分は最近結婚したのですが、子が親元を離れるときの感情、そしてこれから自分たちが通る道を(子育て)、一度にしかも逆の方向から見れた。私はそれだけでも、この作品を十二分に鑑賞した価値があったと感じています。必要最低限の感情表現しかしてなかったお陰で、自分の中で様々な事を考えられたし、この作品には感謝しています。
honeydewさん [映画館(邦画)] 10点(2012-07-22 06:43:38)
👍 2
124.ネタバレ 「しっかり生きて」
自らが選んだ「道」に向かい親元を離れ旅立つ我が子。その背を見送りつつ、母親は絞り出すように、でも力強くそう言い放つ。
そこには、母親としての悲しみと喜び、その相反する二つの感情を平等に抱いた深い愛情が見事に表現されていて、涙が止まらなかった。

自分自身が人の親になって一年が経つ。
“子を育てること”の難しさを感じるなんてレベルではまだまだなくて、“新しい生命と生きていくこと”の難しさと果てしなさを日々感じている。
きっとどこまでいっても、その難しさが解消されるなんてことはなくて、むしろそれに伴う諸々の問題と共存していくことが、子を育て共に生きていくということなんだろうと思う。

この映画で描かれる「親子」の12年間には、まさにそういう親と子が共に生きていく上での普遍的な難しさと過酷さ、そしてそれらがあるからこそ生まれる惜しみない愛情が、数奇な運命に彩られて満ち溢れていた。

自然と人間の関係性、人間と異形種との関係性、親と子の関係性、この映画にはそういった様々な関わり合いにおける対峙を同時に描き、そして現代に置ける的確な“こたえ”を導き出していると思えた。
決して安直な「共存」を描くのではなく、それぞれの“良い部分”と“悪い部分”をちゃんと描き、必要な「距離感」を踏まえて明確な「価値」を導き出していると思った。
そういう簡単ではないことを、親子の物語としてそれぞれの人間描写の中で地に足を据えて堂々と表現している。

激情家で野性的だった少女は「人間」の道を歩み、軟弱で大人しい少年は「狼」の道を歩む。
それは、人間と狼の中間の存在として育った姉弟のそれぞれが、人間世界の素晴らしさ、自然世界の素晴らしさを見出した故の結論であり、二人には自らが選んだ「道」に対しての「覚悟」がきちんと表れていた。

そして、この二つの決断を生み出した礎は「母親」の存在に他ならないという事実。
ごく普通の小さな人間だった主人公が、「母親」という存在になることで、突如訪れた数奇で過酷な運命をすべて受け入れ、二人の小さな生命を守り生き抜いていく愛おしい力強さ。

母親のその“つよさ”が、この映画の最大の感動を生んでいる。
幼い我が子を両脇に抱えて、高らかに笑う姿には神々しさすら感じた。
なんて素晴らしい映画なんだろうと思った。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 10点(2012-07-22 00:56:02)
👍 4
123.ネタバレ 雪の子供時代の声をあてた大野百花ちゃん、うますぎる! 怒ったりすねたり吠えたり笑ったり、これ以上の喜怒哀楽をどうやって表現すればいいのかってくらいガンガンくる。また雪自身が青大将を腕にまきつけたり、小動物の骨を集めたり、面白すぎて最高。一方、巣立ちのときを迎えた雨の方は、人間界を選んだ姉と違い、10歳ではや成獣となる。遠吠えをするおおかみ姿のりりしいこと! 2人の子供たちをいつまでもずっと見ていたかった。また花は、うかつにもおおかみおとこと同棲して、子供も産んで、子供の正体を隠す子育てを選んだため、批判されても仕方ないかもしれないが、彼女がいなければ、おおかみおとこは永遠に、誰とも触れ合えなかったかもしれない。社会的にハンディを負っている人々にとっては、彼女のように苦労を恐れず人生を受け入れてくれる人は、何ほどにも代えがたい存在に違いない。それに、子供たちの正体をさらすということは、世間の差別と戦うこと。シングルマザーの子育てに、そんな余裕など絶対ないと断言できる。成長後の子供たち自身がカミングアウトの選択を持つ方がいい。私は、人や獣を問わず惜しみなく愛を与える花が好きだ。雨も、雪も、命を散らしたおおかみおとこも、この家族が本当にいとおしい。
tonyさん [DVD(邦画)] 9点(2015-07-12 22:50:18)
👍 1
122.ネタバレ 前半、子供達が小学校に通うようになるまでは抜群にいい 「狼とクソガキ」のキメラと言う感じは見ていて心地が良かった 反面、子供達が別々の方向に巣立つ後半は予定された展開で少し退屈 周囲の優しい人たちのキャラクターがもっと見たかった しかし全体的には傑作である よくよく考えてみると、花と雪には距離がある気がする この映画のモノローグの段階ではすでに雪は一人暮らしをしているようだが、雨に気をとられ過ぎた故の中学生での雪の親離れなのか そう思うと雨が溺れたシーン(雪はほっておかれてる)とか、雪をほっといて雨を探して山に入るシーンとかは合点がいく 見直すと花の子育てはあぶなっかしい所が多く、皆が言うように理想の母親では決してない むしろ病んでいる?と思わせるシーンも随所に有った そう考えると最も不可解な父親が死ぬシーンは、花が都合がいいように子供の頃の雪に話して聞かせたのではないだろうか(映画自体が雪のモノローグであるが故に父の死は母親から聞いた話なはずだ) しかし最近の映画のエンドロールは何故黒バックにスチール写真なのだろうか?エンドクレジットはよくわかるが、全面スチールにすれば結構泣けたラストのはずだったのに残念
にょろぞうさん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2013-12-16 15:31:47)
121.「時をかける少女」「サマーウォーズ」と観てきたけど、相変わらず画面の美しさ・動きの滑らかさは日本一と思う。特に狼目線で森を走り抜けるシーンは圧巻。これだけでもこの作品を観る価値はあると思う。物語は前2作とは違い、哀愁を強く感じる。どんなに楽しげなシーンでも、愛する人が既に失われて決して帰らない現実は圧倒的で寂しさを想わずにはいられない。だけど、子供たちが自分の生きる道を見つけるラストでようやくスカッとした気分になれた。いずれにせよ満足できる内容だった。次の作品も必ず観ると思う。
次郎丸三郎さん [DVD(邦画)] 9点(2013-04-07 11:20:12)
スポンサーリンク
120.ネタバレ 鑑賞した後に余韻の残る映画は本当に久しぶりである。非現実な設定なのにリアルな描写でよくぞここまでまとめ上げたと思う。絵も音楽も素晴しい出来。声もむしろ声優を使わなくて良かったと思うぐらいソフトかつ自然な演技でストーリにぐいぐい引き込まれた。涙で汁まみれの2時間だった。母は強し。
コン兄貴さん [DVD(邦画)] 9点(2013-03-29 01:48:22)
119.ネタバレ  おおかみは、人間社会で見つかると恐らく檻に入れられる存在、死んだらごみ袋に入れられる存在である。差別されるマイノリティ、なんてレベルではない、生き方でどうにかなるような甘いものじゃない、厳しい現実を表した設定なのだと思う。
 そういう事って現実の社会でもあると思う。多くの「普通の」マジョリティには、分からない事だが本人にとっては世界が無くなるほどの事。理解者が見つからず、或いは自分自身を否定してしまって、死を選んでしまうことなども。

 そういった事情の中で、その社会に適応して生きていこうと決めた姉と、その外側にも世界があることを見つけた弟。
 どちらにも、その芽を摘まなかったお母さんは、立派に子供を育てたのだと思う。アンタ、すごいよ。
Tolbieさん [DVD(邦画)] 9点(2013-03-28 11:28:17)
👍 1
118.ネタバレ 想い人と結ばれる喜び、別れの悲しみ。若き母子家庭の苦労、子供が元気に成長していく姿を眺める楽しさ。自然の中で生きていく苦労、実を結ぶ喜び。ご近所のしがらみ、ありがたみ。秘密を守る事の難しさ、秘密を打ち明けられる相手の存在。親の子離れ、子の親離れ。半狼人という空想上の生物である姉弟の日常が興味深く描かれる中で、人として生きる苦労や喜びもしっかりと描かれている。二人はこのまま人としての生涯を歩んでいくのかと思いきや、後世を選択する分かれ道が訪れる。二人の違いは何だったのだろう。遺伝だったのか、環境だったのか。そんな事を鑑賞後に考えてみるのもまたこの作品の楽しみ方かも知れない。とにもかくにも二人の子供が可愛くて、とてもほのぼのとした気持ちにさせられる反面、突然の別れの寂しさを二度も突き付けられる、中々にしてリアルな人生模様だ。童話的な設定を生々しい人の人生に置き換えて喜怒哀楽を描いた点に高評価を差し上げたい。…それにしても一度目の別れのエピソードは唐突だし残酷だし辛かった。二度目の別れは逞しく巣立っていく子供の背中に頼もしさを感じ、嬉しくはなるが…ちょっと寂しさの残る作品ではあります。辛い別れもあるけれど、残された人達で元気に笑って生きていくんだ!というメッセージが込められているんだと好意的に解釈してみたい。
にしきのさん [映画館(邦画)] 9点(2012-10-10 22:11:32)
👍 1
117.ネタバレ 細田映画の中でも頭一つ抜けています。この監督の映画はストーリーについて、悪く言えば堕胎しているところがあり、それから発生する矛盾点を演出の良さとハッタリでごまかすところがあるのですが、今回はそれがうまく作用していたと思います。描きたいものが「サマーウォーズ」と比べて明確だった為でしょうか、脚本の詰めの甘さが、観客の想像力を喚起させるアクセントとして昇華出来ていました。自分自身、年を取っていく上で母親という存在の偉大さを感じずにはいられない中、「親子」というテーマをド直球でぶつけてくる本作は大変ツボにはまり、涙腺と感情を大いに刺激されました。特に素晴らしいのが雪の中2頭のこどもが駆けていき、それを後ろから母親が追いかけるシーン。2頭の成長を思う母親の心情を推し量ると、不思議と鳥肌が立ってしまいました。
また、ベッタベタですが弟である雨との別れのシーン、雪が自分の正体を曝け出すシーン、最後の花の笑顔で涙腺が決壊しました。エンドロールの歌でも歌詞と物語のシンクロに感動し、またもや涙腺が決壊しました。つまり、後半は泣きっぱなしでしたww
泣きっぱなしだったので9点にします!
bolodyさん [映画館(邦画)] 9点(2012-08-02 18:55:59)
👍 2
116.ネタバレ 多くのシーンからたくさんのことを感じました。とてもいいものを観させてもらいました。
「手のかかる子供を育てる母」と「自己の人生を選択する子供」の物語です。ありふれた母子のお話と言っても良い内容です。子供たちに狼の血が入っていることを除けば。瞬時に人と狼の姿を入れ替える雪の無邪気さは「幼児」の可愛さの象徴でしょう。壮絶な姉弟ゲンカは四つ足で取っ組み合うこと以外は、オロオロする母親を含めて人の姉弟の日常の一端だと思います。身近に見覚えのある情景だから、特異な設定でも感情を移入しやすい。ファンタジーという分野の容量を活かして、人の日常生活の機微を最大化して豊かな情感のなかにまとめた秀作という意見です。
自我の芽生えと共に、人間社会へ馴染む道を選ぶ雪と自然へ帰って行く雨。幼い頃のそれぞれのベクトルを転換させることを「成長」と捉え、正反対の道を進む両者を個々の人生として肯定しています。このスタンスがとても好感です。特に母と息子の関係が見どころだったと思います。自分の守備範囲を超えた世界へ行こうとする息子を引き留めたい。でも、彼女は最初から人間と狼の両方の選択肢を与えながら育てていました。母の感情と理性の葛藤が分かり易く描かれる。たとえ住む世界が違っても、親子であることに変わりはありません。「絆」という言葉が頻繁に聞かれる昨今ですが、別れることによって強調される関係こそが「絆」なのかな、と思いました。
もうひとつ。父親の亡骸をゴミ回収車に投げ込むシーンは強烈でした。残酷な描写ですが、あくまで現実の社会システムの中で進行するストーリーであることを植え付ける意味があったと思います。この辺りに、監督の才覚を感じます。
アンドレ・タカシさん [映画館(邦画)] 9点(2012-07-28 01:27:54)
👍 6
115.ネタバレ 最近のアニメは、生きる理由に「誰かを助けたい」というのが多い。
そして誰かを助けることができるように、主人公が誰かを助ける力、
たとえば巨大ロボットを操縦する唯一の資格者とか、魔法が使えるとかそういう特殊能力を持っている設定が多い。
特殊能力を持っていて、かわいそうな人たちがいて、
すべてが用意された、受動的で薄っぺらい人生観だと思う。

この映画には、理由や説明はほとんど用意されていない。
花とおおかみおとこが付き合い始めた理由も、おおかみおとこが死んだ理由も、
先生が死ぬ理由も説明がほとんどない。
雪は、元気に自然を駆け回っていたが、人間界を選択した。
雨は、小学校にも通ったが、自然界を選択した。
物理的に出会うことと、魂が出会うことは全く別だ。
雪の魂は人間界を選択し、雨の魂は自然界を選択した。
理由などないし、なぜかなんてどうでもいい。
魂の感じるままに状況から行動を選択し、全うするだけである。
理由があるから生きるのではない。魂の求めるままにただただ生きるのだ。
生きる理由や助ける誰かを用意されないと生きていけないそこらのアニメの主人公より
この映画の登場人物は何百倍も力強い。

あと感心したのが、花と韮崎の交流の描写だ。
花は雪と雨を育てるために山奥に暮らし始め、一人で畑を耕し始める。
うまくいかなくても、一人で耕す。花に特技があってそれが地域の人の助けになった
なんてことは無い。花は自分の人生をひたすらがんばる。そういう姿を見て、韮崎は助言はする。が手助けはしない。花にやらせる。花も助言を受け、自分で畑を耕す。
助けてくれとは言わない。そうやって自分の畑を自分でつくり、そして地域の人たちとの交流が始まる。自分で動き自分の生活を自分で立てて、初めて他の人間と交流ができるのだ。できない理由を他に求めない、できなければできるまでやるだけなのだ。
最後に、鑑賞した映画館の呼び込みの人が「おおかみおとこの雨と雪」といってたのも
おそらくなんの理由もないだろう。
めっくさん [映画館(邦画)] 9点(2012-07-25 02:03:01)
👍 2
114.映画という魔法にかけられたままの2時間を経験しました。日本最高の脚本家のひとり:奥寺佐渡子が書いた母親の成長物語と、オオカミ子どもの成長物語、そのドラマの数々を、細田守は登場人物の喜怒哀楽、そしてありとあらゆる映像表現を使って観客にぶつけてくる。心温められ、また締め付けられるような人間ドラマのシーンと、圧倒的な大自然のシーンとの対比。人間愛と野生、その関係を大胆に、かつ的確に描きだした圧倒的な結末。人間味溢れる登場人物、そこから紡ぎだされることばの数々。おそらく邦画アニメ史上にその名を刻むであろうこの作品。公開初日に観られた幸運に感謝です。
j-hitchさん [映画館(邦画)] 9点(2012-07-21 15:00:08)
👍 2
113.ネタバレ  かなり好きなタイプのアニメです。
 この作品に対する批判的な意見。それは裏を返せば、批判的な意見を持たざるを得ないほどに、見た人がこの作品にリアルを感じてしまっている証明にもなるでしょう。アニメなのにだ。狼男という架空の生き物が出てくるファンタジーなのにだ。これは凄いことではないでしょうか。
 まず第1部の母と父が結ばれるまでの導入部がよくできています。普通にラブストーリーとして心温まる物語だし、二人を応援したくなります。それにプラスして、狼男だと明かす最初の名シーン。この序盤が一番好きかもしれないです。
 第2部ではお母さん奮闘記が描かれます。ここは何をやってもうまくいかないシーンが多くて辛い。シングルマザーの子育ての苦悩を追体験するだけでなく、子供たちの秘密まで守らなくてはならない。普通だったら心が折れます。ですがこれはアニメでありフィクション。心は折れない。頑張り続ける。私には狼男の存在以上にこの母親の存在がファンタジーでした。
 そして第3部。子供たちの成長。
 主人公は花から次第に雨と雪にシフトされていきます。
 すばらしかったのは、雨と雪がそれぞれ違う人生を選択したこと。雪は人間として生きることを選び、雨はオオカミとして生きることを選ぶ。子供のときは雪のほうが野性味あふれていたのに…。このあたりのポジションチェンジがさりげなくてうまいです。
 大きな目的に向かって突き進むような映画ではありませんが、何とも言えない余韻を残してくれる名作。
 そして声優さんたちが実に良い!
たきたてさん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2022-09-26 04:37:10)
👍 1
112.お伽噺のようでした。厳しい環境で体を動かして尚且つ笑顔で子育てしている花に、自分の子育てを顧みて後悔の念が募るところです。「しっかり生きて」子供と孫に最後にかける言葉。秀作に釘付けでした。
The Grey Heronさん [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-18 06:33:33)
👍 1
111.ネタバレ 他レビュアー諸氏の辛口批評を目の当たりにしてビビっております。
すみません、私はオオカミとして生きていく事を決めた息子を送り出す母、
「しっかり生きて」と言う台詞、そして崖の上で凛々しく遠吠えする息子狼の姿、
と言う一連の描写を経て涙腺崩壊致しました。
主人公である母親の言動等、たしかに突っ込み所満載の映画なのかも知れませんが、
女手一つで育て上げた子供達が立派に成長し、それがどの様な形であるにせよ、
子供達本人が納得した上で次のステップに踏み出す姿には人間の琴線に触れる普遍的な何かがあるのかと思います。
他にも、自らの秘密を打ち明ける雪と草平のシーンも素晴らしいと思いました。
良い時間を過ごさせて頂きました。
たくわんさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2022-06-14 14:06:08)
👍 2
スポンサーリンク
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 130人
平均点数 6.41点
043.08%
121.54%
232.31%
343.08%
464.62%
51713.08%
62317.69%
72620.00%
82821.54%
9107.69%
1075.38%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.90点 Review10人
2 ストーリー評価 6.11点 Review18人
3 鑑賞後の後味 6.68点 Review16人
4 音楽評価 6.56点 Review16人
5 感泣評価 6.25点 Review16人

■ ヘルプ