ところで全体のテーマは宗教に関することだったらしい。現地の教団は、昔の新聞では「Angel Cult」と書いてあり、集団自殺事件を起こしたとんでもないカルト教団かと思い込んでいたら、外部情報によれば死んだのは父親だけだったらしい(記事のMember'sも単数)。主人公宅が変な造形物であふれていたのもカルトだからでなく、主人公が収集したものを母親がまとめて入手したからということになる。人を集めて奇跡を起こしてみせるとか、閉鎖的なコミュニティとかはいかにも新興宗教的で怪しいが、監督の話によれば意外にも、カルトというより宗教一般(主にカトリック)を問題にしていたらしい。 宗教の意義と弊害は社会面・個人面でそれぞれあるだろうが、この映画では信仰があったために家族が解体する一方、信仰をなくしたことで母親が絶望的な孤独に陥った、という両面が出ていたように取れる。教団のいう「DESPAIR IS THE AFFLICTION OF THE GODLESS」は、母親に関しては正しかったということかも知れない。