2.ネタバレ 「1」の前日譚となる未来の戦争から、舞台は見覚えのあるロスへ。そこから始まる超展開の中、おなじみのセリフが響き渡る。"Come with me if you want to live!!(生き残りたいなら来い!)"本来なら、サラを守るために派遣されたカイルがクラブで言うはずの言葉。だが今はこの言葉に従ってついていくしかない。スカイネットとの戦いは、「Genisys」で新たな局面へと突入していく。今までのタイムラインをぶち壊し、より強力なターミネーターを出現させ、もはや何でもありの世界観で重量級のアクションを展開させながら。思えば、「3」は基本的には「2」のプロットを流用し、「4」は現代をすっとばしてひたすら未来の戦争を描いていた。それに比べて本作は、まるでファンボーイが自分の夢を好き放題詰め込んだようなサービス精神あふれる作風だ。しかしシリーズのエッセンスはいい意味で十分すぎるほどに踏襲され、なおかつ新起動ともいえる斬新な脚本も内包している。J・キャメロンが太鼓判を押す本作だが、もしかしたら作り手としてこうした挑戦をしたかったから本作を評価したのかもしれない。また、過去作品では「運命を受け入れる」「運命を変える」といった具合に、運命をテーマにした戦いを描いていた。今回も例に漏れず「運命を突き進む」というテーマに基づいて作られているのも小さな感動ポイントだ。今作では、トリッキーで予測のつかない運命を描くからこそ、このテーマも活きてくる。「ターミネーター」である必然性を、ファンサービスや主演俳優の復帰以外でもアプローチできているのが素晴らしい。もちろんシュワちゃんの存在感も忘れてはならない。複数の時間軸を移動する設定も、これは同時にありのままのシュワちゃんを無理なく活躍させられる妙案である。そこを監督がしっかり理解しているから演出にもブレがない。鈍い音が響くガチンコの殴り合い、ことあるごとに挿入されるあのテーマ曲。老いても彼のスター性に陰りナシだ、いつだって僕のヒーローである。総じて満足度の高い娯楽作品だった。ジェニシスはシリーズの正当な続編であると同時に、熱いシュワ映画に仕上がっているといえる。
1.ネタバレ 『3』『4』は不評だったし、シュワはすっかりおじいさんだしと、もはや世界中で誰も待っていないのに勝手に”I’ll be back.”しちゃった『ターミネーター5』。日本より一足先に公開されたアメリカでは興行成績も批評も振るわず、「ほらほら、やっぱ作らなきゃよかったじゃん」という空気が漂っておりますが、映画とは自分の目で見るまでわからんもので、これが意外にも良かった。3D料金に加えてドルビーアトモス特別料金も加算され、しめて2,400円もかかった鑑賞でしたが、その元は十分にとれたと言えるほどの満足感がありました。『1』からの伝統に乗っ取り、本作も未来戦争からスタートしますが、映像技術の発展の恩恵もあって、かなりテンションの高い見せ場となっています。その後は我々の知っている展開が待っていると見せかけておいて、その場面が次々と覆されていきます。これにより、本作の舞台となっているのはタイムスリップにより改変された後の世界であることが明らかになるのですが、老人タイプのT-800や警官に化けたT-1000の登場場面など、予定調和の壊し方がとにかく素晴らしく、ここで一気に引き込まれます。その後は、このシリーズのひとつのテーマでありながら、これまで重く扱われてこなかったタイムパラドックスを扱ったSF映画となり、誰も予想しなかった方向へと話が広がっていきます。次から次へと繰り出される見せ場の迫力は素晴らしく、さらには縦の構図を意識したアクションが多いため、3D効果を得やすくなっています。アトラクション映画としてよくできているのです。一方、お話の方は緻密なようでいて、その実かなり適当な部分もあったりしてツッコミを入れたくなるのですが、タイムパラドックスなんて細かくやりすぎると『プライマー』みたいな訳のわからん代物ができてしまうんだし、夏の大作としては、これくらいの密度で丁度良かったような気もします。少々分かり辛い部分もありますが、幼少期よりセワシ君理論に慣れ親しんできた日本人の観客であれば、その辺は何とかなるはずです。最後に、日本の配給会社による宣伝はどうにかならないものですかね。ネタバレに当たる部分を予告の時点でほとんど見せてしまっていることには、怒りを通り越して呆れてしまいました。そういえば、『T4』公開時にもT-800シュワモデル登場という最大のサプライズをCMでバンバン流していたし、あまりにモラルに欠けるような気がします。