映画『秋刀魚の味(1962)』の口コミ・レビュー(3ページ目)

秋刀魚の味(1962)

[サンマノアジ]
An Autumn Afternoon
1962年上映時間:113分
平均点:7.37 / 10(Review 75人) (点数分布表示)
ドラマコメディ
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2023-12-31)【イニシャルK】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督小津安二郎
キャスト笠智衆(男優)平山周平
岩下志麻(女優)平山路子
佐田啓二(男優)平山幸一
岡田茉莉子(女優)平山秋子
三上真一郎(男優)平山和夫
吉田輝雄(男優)三浦豊
中村伸郎(男優)河合秀三
三宅邦子(女優)河合のぶ子
岸田今日子(女優)バーのマダム
高橋とよ(女優)「若松」の女将
北竜二(男優)堀江晋
環三千世(女優)タマコ
須賀不二男(男優)酔客
浅茅しのぶ(女優)佐々木洋子
織田政雄(男優)渡辺
菅原通済(男優)菅井
加東大介(男優)坂本芳太郎
東野英治郎(男優)佐久間清太郎
杉村春子(女優)佐久間伴子
脚本野田高梧
小津安二郎
音楽斎藤高順
撮影厚田雄春
製作山内静夫
配給松竹
美術浜田辰雄
編集浜村義康
録音妹尾芳三郎
その他東京現像所(現像所)
松竹(デジタル修復版共同復元)
山内静夫(デジタル修復版総合監修)
川又昂(デジタル修復版画調監修)
近森眞史(デジタル修復版画調監修)
IMAGICA(デジタル修復版技術監修)
スポンサーリンク

💬口コミ一覧

35.ネタバレ ハハハ。本当にまっ正面からなんですねえ。想定線の上に堂々と居座る無遠慮なカメラアングル。最初は違和感で仕方なかったんですが、思えばそれが引き金だったんでしょう。気がつけばもう小津ワールドの世界観にドップリ。まるでこちらに向かって話しかけられているような臨場感。「そうなんですかあ」と言われると、こっちがうっかり「そうなんですよ」と返してしまいそう。

さて、ストーリーは、娘を嫁がせる父親の心模様がテーマになっており、前半と後半で内容が別れています。

前半は特に事件も起こらず話も進みませんが、様々な「父」と「娘」が映し出されます。今まさに結婚生活を送っている義娘、未だ娘を嫁がせずにいることを引きずっている恩師、娘に先立たれた過去を持つも今ではすっかり立ち直っている海兵時代の部下。それぞれの形で今日を生きる父娘たち。その「それぞれ」を象徴するように、その時々に食べ物が出てくるのも印象的です。義娘の結婚生活はぶどう味、恩師の心境は鱧の味、と言わんが如く。

そして、後半は、そんな様々な父の一人である主人公がついに娘を嫁がせようと思い立ちます。娘がいてくれた方が便利だけど、娘の幸せを想えばこそ。娘をと嫁がせずにいることを悔いている恩師と、娘を亡くしていながらも笑顔で過ごしている元部下の存在が、その決心に踏み込ませたのでしょう。しかし、嫁がせたあとに待っていたのは、娘がいなくなった家。ラスト2分、もぬけの殻となった部屋や階段が次々と映し出され、主人公は、今にも泣き出しそうな表情を。薄暗い部屋で一人さびしく茶をすする後姿からは、娘の幸せの代償を背負う父親の哀愁が染み渡ります。
Jar_harmonyさん [DVD(邦画)] 7点(2015-05-17 08:57:32)
34.ネタバレ 結婚後の倦怠期、娘を嫁に出した父親、嫁に行きそびれた女、そして老後の寂しい人生。登場人物たちの人生は日本人としてはむしろ平均的で、特に珍しくもないものばかりでしたが、どちらかと言えば人生のはかなさ、むなしさに趣をおいて描いている、そんな印象です。その中でも特筆すべきは、ひょうたん先生が酔いつぶれて帰った長屋の場面。杉村春子演じる娘が横で泣いている。自分の人生はこんなはずではなかったという涙であるが、人生の無情を物語る実に残酷な場面である。片や、若い嫁をもらって幸福の絶頂にある者もあれば、ゴルフクラブの購入費で頭がいっぱいという何とも呑気な者もある。人生は十人十色、様々な人生を淡々とした視点で描いており、他人の人生を少しだけ覗かせていただいたような心境になる映画でした。
タケノコさん [DVD(邦画)] 7点(2014-01-21 22:19:19)
33.笠智衆がそこにいるだけで、もうなんだか安心している自分がいる。剛でなく柔の迫力、「ふぅん」という相槌のまろやかさ。「良かったじゃないか。戦争に負けて」とこの人ににこにこと言われると、そ、そうですねと涙ぐみそうになる。棒読み台詞にも慣れた。笠しかり、岩下志麻しかり、美しい日本人がここにいる。ひょうたん先生をあんまり苛めないでほしかったなあ。
tottokoさん [ビデオ(邦画)] 7点(2012-11-27 16:24:29)
32.小津作品というものを初めて見ました。セリフ回しは妙にキツいのに、ストーリーとしては温かいという、独特の世界観ですね。ふだん殺伐とした映画ばかり見ているせいか、中盤あたり、そのうち佐田啓二が岡田茉莉子にゴルフクラブで殴りかかるんじゃないかとヒヤヒヤしました。
個人的には、岩下志麻の美女ぶりより、笠智衆のイケメンぶりより、東野英治郎の老けぶりが好き(実は笠より年下なのに!)。あの黄昏感・孤独感がたまりません。しかし、登場人物の多くはもう鬼籍に入ってるんだよなぁ。
眉山さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-10 02:01:43)
👍 1
31.ネタバレ 家族にも人生にも悲喜こもごも、繰り返す日々にドラマがあります、色んな思いがあります。変わり行く時代の中でそれを捉え切り取り続けた小津監督はやっぱり偉大だと思います。娘を嫁にやる父と、もはや戦後ではない時代に忘れ去られようとする戦中派が重なり、ひとつの役目を終えた世代への慈しみとペーソスを感じます。
長谷川アーリオ・オーリオさん [DVD(邦画)] 7点(2012-03-31 17:34:19)
30.ネタバレ ストーリーは相変わらずで、娘が嫁に出る出ないの話。もっとも、岸田今日子がいたり岩下志麻がいたりと、新鮮味を感じることはあった。その他は、観たことあるようなセットと役者。だからといって、作品の出来が悪いわけではない。ほのぼのとしていて上品で、どこか残酷。ひょうたんに感情移入したり、笠智衆に感情移入してみたり、岩下志麻に感情移入してみたり、誰に感情移入するかで、感じ方を選んで楽しめそう。昔は、子供の縁談は親が決めていたんだろうけど、いつからか自由恋愛が尊重されるようになった。この作品の時代がちょうどその境目くらいだったんだろうか...とか思いながら見ていた。
VNTSさん [DVD(邦画)] 7点(2012-01-16 19:26:49)
29.娘を嫁にやるお父さんの心情を美味しいけれども、はらわたの苦味もある秋刀魚の味に例えたらしい小津監督の遺作。いい息子がいて、いい娘がいて、実に幸せなもんだな~と思いながら、それでもというか、だからというか、寂しくてたまらない笠智衆がなんとも言えない。その一方で随所に見られる小津監督のユーモアも光る。ゴルフクラブを買う、買わないの岡田茉莉子と吉田輝雄は二人で漫才してるみたい。飲み仲間の中村伸郎、北竜二も毒づいたり、どっきり仕掛けたりと、あんなおっさんになりたいもんだなー。大きな感動があるわけではないけど、じんわりと良さが感じられる小津らしい(のかな?)映画でした。
リーム555さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-10-25 18:03:43)
28.ネタバレ 嫁にやりそびれて嘆き、嫁にやってしまって悲しむ・・・。
小津監督の映画の中で、唯一映画館で見ることのできた映画。少年の頃見た思い出は、他の映画と違って淡々とした感じで、花嫁さんが大変きれいだったということくらいで、監督の名はもちろん、俳優さんや女優さんの名前すら知らなかった。
後にテレビやDVDで2度3度と見ているうち、なるほどこれが「オズワールド」というものかと、次第に映画の良さに引き込まれていった。
軍艦マーチに乗って敬礼をするシーン、同窓生が集まり酒を酌み交わすシーン、瓢箪先生の何とも言えぬ酔っぱらいシーンなどなど・・・、すべてが絵になる映画だと思う。
ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 7点(2011-04-10 10:12:35)
27.ネタバレ タイトルバックが布(なんて言うのかな、麻袋みたいな)じゃなくてイラスト、文字が毛筆体じゃなくて明朝体という「あれれ、他の小津作品とちょっと違う」みたいな感じがありましたが、中身も微妙に違うんですよね。技法、手法は毎度お馴染みなのですが、この作品ではカメラが主人公の家の中にはあまりなくて、他の人の家や酒場を捉えている時間が長いという。今回もまた家族についての映画である事に違いはありませんけれど、それを主に家族との対話よりも外側の人々との対話から描いています。小津監督は、これまでの映画で色々な家族の解体を描いてきて、これもその繰り返しのように見えます。だけどこの作品では娘側の主張が殆ど描かれず、親側からの子離れという視点になっていて能動的解体な形になっているのですね。「家族は壊れてゆくものなんだ」から「家族は壊すべきものなんだ」へと変化したような気もして、時代的に老後の親の自立という今日的側面が出始めたのかなぁ、なんて思ったり。笠智衆の相変わらずの朴訥とした感じがやっぱり良いものの、物語が家から離れ気味な分、ちょっとがちゃがちゃした印象で味わいに欠ける感がありました。映画を純粋に楽しむにはあまりに身につまされ過ぎな部分もありましたしねぇ。それにしてもビール、日本酒、ウイスキーと、飲酒シーンが何度も登場して、見てるだけで悪酔いしそうな映画ではありました。
あにやん‍🌈さん [DVD(邦画)] 7点(2006-07-12 00:51:38)
26.小津監督の映画に出てくる人ってどうしてみんなこんなにもいい人たちばかりなんでしょう。それも善人的ないいひとではなくて、それぞれが弱さや皮肉さを持ち合わせている。こんな人たちばかりの世の中だったら、いいなぁ。それと、岩下志麻が岩下志麻だとわからないくらい若いですね。岸田今日子はとってもチャーミングでした。
kanekoさん [DVD(邦画)] 7点(2006-06-21 17:00:36)
スポンサーリンク
25.なるほど、これが小津監督最後の作品なんですね。どうも観ていてこの方が「麦秋」よりも「晩春」に近い気がしたものの「晩春」ほどの感動が出来なかった。相変わらずしみじみと聞かせる台詞など良いのだが、今まで観た小津監督の作品の中では1番下の気がする。けど最近の日本映画のレベルから比べたらかなり上です。それだけ昔の日本映画は素晴らしい映画が多かったと言って良いのではないでしょうか!
青観さん [DVD(字幕)] 7点(2005-09-25 14:31:09)
24.タイトル「秋刀魚の味」。秋刀魚は一度も出てこない。が、見終わった後、秋刀魚を食したような気にさせられてしまう。「小津安二郎」に造詣が深いわけではないのですが、小津監督の遺作としてすべての小津作品を象徴するようなタイトルではないかと思う時、つくづく秋刀魚ってすごい魚だなーと感心せずにはいられなかったのです。
彦馬さん 7点(2004-03-27 20:42:59)
23.笠さんて本当に味わい深いと言うか、優しくてかわいくて穏やかで控えめで、こんなお父さんいいなぁ。
結婚式後のトリスバーのカウンターで静かに酒を飲みながら、いろんな思いを噛み締めている表情にうるるときました。

だけど、お嫁に行かないという選択⇒哀れな末路っていう価値観が底辺に流れているような気がして、ちょっと気分悪し。そういう時代だったんでしょうけれども。。
さん 7点(2004-01-28 11:33:48)
22.娘を嫁にやるという本当にどこにでもある普通の物語でも、これほどまでに丁寧に描き連ねれば上質な映画に成り得るという非常に味わい深い映画だと思う。小津作品はまだ今作しか見ていないが、この映画監督がこれほどまでに伝説的に崇められるのも、この何とも言えない味わいを前にすると分かるような気がする。
鉄腕麗人さん 7点(2003-12-24 01:34:07)
21.他の小津作品に比べるとちょっとなんだか重苦しい。しかしトリスバーのシーンは切なくて泣ける。笠智衆はよく軍艦マーチ唄いながら帰ってこなかったなぁ。
黒猫クロマティさん 7点(2003-12-12 10:57:09)
20.いいねぇー。あったかいよねぇー。この映画って、全体的に暖かい色を多くしてますよね。それが内容とあってるんだまた。よかったです、お父さん。
あろえりーなさん 7点(2003-10-30 21:20:30)
19.ネタバレ 元海軍将校のお父さんのお話を伺いたい。この人の醸し出す空気に触れてみたい、そんな気持ちになりました。どうも私は品のある老人に弱いようです。お年寄りで話す機会があるのが、ウチのばあちゃん(←私にはむっちゃ甘いけれど基本的にワガママ)&じいちゃん(←学はあるんだけれど話が通じず)だけなもので。司馬遼太郎氏の「街道を行く」(三浦半島編)で、海軍将校たちの上品さを読んでいたからか、元海軍将校と聞くとそれだけで憧れの対象になってしまいまする。娘の結婚式の後、フラフラッと立ち寄ったあのバーで「あの曲いきましょうか」とママに言われたとき、本当は軍艦マーチ自体はどうでもよかったのかも。ただ、元気がなさそうに見える彼を気遣った、その思いやりをありがたく受け取ったように見えたのは私の深読みでしょうか。それはそうと、当時の(良家の)結婚ちゅうものは難しいですね。まず家族のほうに打診しなくちゃいけないというのもまどろっこしい。じれったくて、ちょっとイヤだな。そういえば、私も22と若かった頃、ちょうど彼もいなかったし見合いというのに興味があったので、親に「見合いしたい」といったら「上手くいかなかったときに責任転嫁されるのはイヤだ」ととりあってくれなかったっけ。さすが親だ、私の性格をよく知っている。
元みかんさん 7点(2003-10-29 06:25:46)
👍 1
18.小津作品は地味なホームドラマで出演者も同じような常連が多いから、作品を混同しやすい。これも淡々としたホームドラマなんだけど笠智衆の父親がいい。一番娘の幸せを願って嫁がせながら、その夜は寂しくて飲まずにはいられない。酔って帰って一人でしみじみ寂しさを感じさせるその姿にグッとくる。もう一人の父娘のひょうたんの東野英治郎がまた言葉にならないほど素晴らしい。(往き遅れた娘は杉村春子)恐れられるくらいの元教師は今はしがない飲み屋の卑屈な飲んべえおやじになっている。同級会に恩師で呼ばれて「早く(嫁に)やればよかったんだけど、つい便利に使ってしまった・・」とグチをこぼす。それを聞いて考えてしまうこのもう1人の父。朴訥とした味は笠さん独自の情感、もう理想の父親像です。
キリコさん 7点(2003-09-14 18:46:56)
17.この作品をみて、自分ごとと考えなくてはならない。と思った。
最後は孤独。
自分で自分の世話ができるのか。
へまちさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-02-12 23:05:46)
16.ネタバレ 時代を感じます。そりゃあそうだ。いま40歳の私よりも20歳年上のこの映画。しかもその映画を当時見ていた人たちとするなら、現在80代半ばくらいの人たちの時代向けに作られた映画ということだ。

恋愛結婚ではなく家庭同士で縁談としてまとめる、仕事の同僚がやたらと家庭内の縁談事情に口うるさく突っ込んでくる、女性に歳を聞いてズケズケと早く結婚しろとせっついてくる。すごいな、今の時代にはどれもない。そしてそのどれもが私の感覚では鬱陶しく煩わしく感じるものだった。やはり文化が違うんだな。そう思った。この頃はやはり家として縁談をまとめる、ということが大切にされていた時代なんだろうか。時代は感じたが、そんな時代の中にも抑圧されてきた女性たちの気持ちの鬱屈が見てとれた気がしました。劇中に出てくる女性は元気にバーを経営しているマダム以外、みな何かに不満そうであった。男たちはそんなことどこ吹く風という体であることもまた時代を感じる。想い人でない男性との見合いを承諾したあの様子を見て、「あー、納得してくれたみたいで良かった良かった」と安堵する父親と長男の会話は道化的で逆に失笑として笑ってしまった。あれのどこに納得した感があったんだろう。涙を流すまでもなく、路子が何かを訴えたいことはすぐわかるだろう。
それとも共通する点だが、男たちの傍若無人ぶりがすごい。この時代なら当たり前だろうが、男たちの「男は仕事、女は家事」の意識がすごい。ここまでやるか、と驚くくらい。そういった古い意識に抗い始めた女性たちの姿を見て、当時からそういう流れがあったことを知れたことは驚いたし興味深かった。

合わせて、若い女性の年齢を聞く時「3かい、それとも4かい?」というふうに20を省く言い方から、根底に20代で結婚するのが当然という風潮が感じられたり、「五万円」というのが今の貨幣価値だとどのくらいかすぐに換算できないあたりが、同じ国の話でありながら色々カルチャーショックでした。面白かったです。
TANTOさん [インターネット(邦画)] 6点(2022-11-12 11:21:11)
スポンサーリンク
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 75人
平均点数 7.37点
000.00%
100.00%
200.00%
322.67%
422.67%
545.33%
6912.00%
72026.67%
81925.33%
91722.67%
1022.67%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.00点 Review1人
2 ストーリー評価 6.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 6.00点 Review1人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人

■ ヘルプ