映画『怪物(2023)』の口コミ・レビュー

怪物(2023)

[カイブツ]
2023年上映時間:126分
平均点:7.03 / 10(Review 39人) (点数分布表示)
公開開始日(2023-06-02)
公開終了日(2024-02-21)
ドラマサスペンスミステリー学園もの
新規登録(2023-03-28)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2025-05-31)【イニシャルK】さん
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監督是枝裕和
キャスト安藤サクラ(女優)麦野早織
永山瑛太(男優)保利道敏
高畑充希(女優)鈴村広奈
中村獅童(男優)星川清高
田中裕子(女優)伏見真木子
黒田大輔(男優)品川友行
森岡龍(男優)神崎信次
北浦愛(女優)八島万里子
角田晃広(男優)正田文昭
脚本坂元裕二
音楽坂本龍一
撮影近藤龍人
製作市川南〔製作〕
大多亮
是枝裕和
東宝(「怪物」製作委員会)
ギャガ(「怪物」製作委員会)
フジテレビ(「怪物」製作委員会)
企画川村元気
プロデューサー川村元気(プロデュース)
配給東宝
ギャガ
美術三ツ松けいこ
衣装黒澤和子(衣裳デザイン)
編集是枝裕和
照明尾下栄治
あらすじ
郊外の町で暮らすあるひとり親家庭。ある日、母親は愛息子の様子の異変に気付く。彼を傷付けているのは誰か。教室では日々いじめ行為が起きている。教師の不適切な対応も疑われる。次第に事態は社会問題へと拡がっていくが…。母親、学校、子どもたち、それぞれの視点で語られていく物語。是枝裕和監督が坂元裕二によるオリジナル脚本で描くヒューマンストーリー。音楽は故・坂本龍一。第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞。
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💬口コミ一覧

39.ネタバレ どこか不穏な空気ではじまり、観てるこっちはそわそわ。うちには小5の息子がいるから、余計にソワソワ。何かが子供たちの中での起こってる。でも何が起こってるかわからない。学校の対応に、僕らはググッと安藤サクラ目線に立たされる。いじめがあるのか?とか、サイコパス的な変な事件とか起こってるのか?とか。親目線、学校目線、で物語は進み、そして迎える子供目線。ここで何が起こってるのかが明かされる。いや、もう、涙が止まんなかった。なんの涙かわからんけど。最後は色々、解釈がとれる終わり方だけど、僕は結構、心に響いた終わり方でした。スッキリでもなく、単なる悲劇でもなく、なんてゆーか、ちょっと切ない感じもするけど、希望もあるようなファンタジー?変わらない2人、でも世界の方が変わった感じにも思えました。怪物はどこにもいなくて、そしてみんなの中にちょっとずついて。だから変えていこ世界みたいな気持ちにはなれました。ちなみに嫁さんは、最後が現実よりになってないのが、納得いってないみたいでした。あと、学校の対応、ひどすぎとか。どっちにしろ、色々考えさせられるわー。
なにわ君さん [インターネット(邦画)] 10点(2024-03-08 20:25:34)
38.「怪物」と冠されたこの映画、幾重もの視点と言動、そして感情が折り重なり、時系列が入り乱れて展開するストーリーテリングは意図的に混濁している。そして、その顛末に対する“解釈”もまた、鑑賞者の数だけ折り重なっていることだろうと思う。

本当の“怪物”は誰だったのろうか?
そもそも“怪物”なんて存在したのだろうか?
詰まるところ、私たち人間は皆、脆くて、残酷な“怪物”になり得るということなのではないか……。
鑑賞直後は、自分一人の思考の中にも、様々な感情や気付きが入り混じり、形を変えていった。

ただ、僕の中で、しだいに導き出された明確な「事実」が一つある。それは、この社会の中で一番“怪物”に近く、一番“怪物”になる可能性が高いのは、やはり「親」であろうということ。

本来人間なんて、自分一人を守り通すことだけでも必死で、余裕なんてあるはずもない。
でも、ただ「親」になるということだけで、問答無用に自分自身以上に大切な存在を抱え、それを「守り通さなければならない」という「愛情」という名の“強迫観念”に支配される。
微塵の余地もなく、自分の子を守ることも、正しく理解することも、「親なんだから当たり前」と、自分自身も含めた大半の親たちは、思い込んでいる。

でも、その“私はこの子の親なんだから”という、自分自身に対する過信や盲信が、得てして「怪物」を生み出してしまうのではないか。
一人の親として、本作を観たとき、最も強く感じたことは、誰よりもこの僕自身がモンスターになり得てしまうのではないかという“恐れ”だった。


したがって、本作の登場人物たちにおいても、最も「怪物」という表現に近かったのは、安藤サクラ演じる母親だったと、僕は思う。

彼女は、愛する息子の変調を憂い、いじめやハラスメントを受けているに違いないと奔走する。
シングルマザーとして息子を心から愛し、懸命に育てる彼女の姿は、“普通に良い母親”に見えるし、実際その通りだと思う。
意を決して学校に訴え出るものの、校長をはじめとする教師たちからあまりにも形式的で感情が欠落したような対応を繰り返される母親の姿は、とても不憫で、まさしく話の通じない“怪物”たちに対峙せざるを得ない被害者のように見える。

しかし、視点が変わるストーリーテリングと共に、物語の真相に近づくにつれ、母親が「怪物」だと疑っていたものの正体と、本人すらも気付いていない彼女自身の正体が明らかになっていく。
彼女は明るく、働き者で、息子の一番の味方であり理解者であることを信じて疑わないけれど、実は、夫を亡くした経緯がもたらす心の闇を抱え続けている。
そのことが、無意識にも、息子に対して“普通の幸せ”という概念を押し付け、アイデンティティに目覚めつつある彼を追い詰めていた。
最初のフェーズでは、紛れもない“良い母”だった彼女の言動が、視点が転じていくにつれ、自分が“奪われてしまったモノ”を、一方的に息子の未来で補完しようとしているようにも見えてくる。

“普通に良い母親”が、実は抱えている心の闇と、我が子に対する無意識の圧力と、或る意味での残酷性。
母親のキャラクター描写におけるその真意に気がついたとき、目の前のスクリーンが大きな“鏡”となって自分自身を映し出されているような感覚を覚えた。
無論、“普通に良い父親”の一人だと信じ切っている僕には、安藤サクラが演じる母親を否定できる余地などなく、只々、身につまされた。

人の親になろうが、学校の先生になろうが、人間である以上、心には暗い側面が必ず存在する。
その側面がたまたま互いに向き合ってしまったとき、人間は互いを「怪物」だと思ってしまうのかもしれない。


長文になってしまったが、ちっとも纏まりきらず、語り尽くせぬことも多い。
子役たちの奇跡的な風貌、田中裕子の狂気、坂元裕二の挑戦的な脚本に、亡き坂本龍一の遺した旋律……。
鑑賞にパワーはいるが、何度も観たい傑作だ。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 10点(2023-06-24 22:56:54)
👍 1
37.是枝作品は最近のものは全て見ていますが、正直どれもおもしろいと思ったことはありませんでした。しかし「怪物」はとてもおもしろかったです。安藤さくら、永山瑛太をはじめ、少年二人の演技が演技とは思えないほどあまりにも素晴らしかったです。彼らが一筋縄ではいかない複雑な心情をうまく表現していました。そして、キラキラと輝いたラストシーンは明日への希望を表しているように感じました。
みるちゃんさん [DVD(邦画)] 9点(2024-10-28 11:41:16)
36.ネタバレ 母親、教師、ミナト目線のパートで描かれているけれど、私はこの作品は、「大人の部」と「子供の部」の2部構成とみた。
正直、「大人の部」は、子供たちの心理を理解するための添え物という認識で視聴した。

冒頭で、足元のみで登場する少年は、虫笛を鳴らしている以上、星川、怪物の登場だ。
「怪物」と呼べる人物は、私には彼ただ一人を指しているように思える。
その他大勢のキャラたちは、どこにでもいる大人あるある、子供あるあるで、別段特異には見えない。
でも星川は違う。
おそらく彼の母は、アル中の夫と性同一性障害の息子が手にあまり、離婚して、家にいない、
父は、児童手当欲しさに息子を引き取り、息子の障害を許せず「怪物」と呼び、体罰で女の心を治療する気でいる。
当人は、浴槽で体を冷やさねば痛みを抑えられないほどの暴力を父から受け、
学校では、同級生たちから性がらみのいじめを受け、
好意を寄せているミナトからは、「皆のいる場所で声をかけるな」と言われ、
当てものクイズに使うイラストカードに「怪物」を描いたり、陰でしか一緒に遊べないミナトと「怪物だーれだ♪」と歌うなど、
人格否定のあだ名を、ふだんから気軽に遊びとして取り入れている。
これらの状況下で、小学5年生の「男の子」が、なぜニコニコと愛らしく笑っていられるのか。

星川の父がいうには、息子の頭の中には、豚の脳が入っている。
だから、植物の名前を覚えるような女々しい趣味があったり、男らしい言動ができないのだというのだろう。
自宅で人格を否定され、暴力を受け続けていれば、何ぴとたりともふつうの精神状態ではいられない。
映画の前半では、麦野家の屋内が雑多なもので溢れかえり雑然としていて、それが心の整理がつかないミナトの心を象徴しているように見え、
みずから生を断ちそうな不安定なミナトにハラハラさせられるが、
それ以上に深刻な家庭事情を抱えているのは、実は、星川の方。
その彼の唯一の口癖は、「生まれ変わる」。

星川は、性同一性障害という個性を持たず、心と性が一致した人間として人生をやりなおしたかったのか?
ラストで、横倒しになった車両の下側の窓から出て、狭い坑道を腹ばいになって進み、
明るい表の世界に出た彼らは、母体の産道をくぐりぬけて文字通り「生まれ変わる」疑似体験をした。
ミナトとの会話で星川は、生まれ「変わることなく」元のままで「良かった」と言う。
性の別なく、ミナトを好きでいられる従来の自分を受け入れている自然な様子に、ただ感動した。
2人の子供はきっと、神隠しさながらに、大人たちの手の届かぬところへ消え去ってしまったのだろう。
抜け殻のように車両に残ったミナトのレインコートが、それを物語っている。
何よりも、母や教師が車両に駆け付けたときは豪雨が降っていた。少年たちが脱出したのは、天候が回復した後。時の矛盾がすでに現実離れしている。
現代劇でありながらかすかにファンタジー要素が入っている。現実と虚構の絶妙な配分が、私にとってたまらないツボ。

それに、この作品には、3つの文学作品の香りがする。
冒頭で諏訪市の夜景が映し出される。左右に広がる明かりの帯は、まるで地上に降りた天の川。
夜の街に、遠目に映る火事の光景は、さながら「さそりの火」。
廃車両の中で飾られるのは、土星や太陽のモビール、窓には星などの切り絵、
横倒しになった車両の泥まみれの窓に雨が降る、それを内側から見れば、まるで宇宙の星々のきらめき。
どしゃぶりの中で聞こえた「出発の音」。それは、ジョバンニとカンパネルラが宇宙旅行に出かける時刻。『銀河鉄道の夜』だ。
病気の母を忘れ、ジョバンニはカンパネルラと「どこまでも一緒に行こう」と旅に出る。ミナトもたった1人の身内である母よりも、星川を選ぶ。
また、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』のエリザベートとポール姉弟。
危険な遊戯や人に漏らせぬ思いのために、周囲の大人たちに嘘をつく。それがどれほど多くの人たちを傷つけ、騒ぎを引き起こすかということもいとわずに。
最後に『スタンド・バイ・ミー』。
2人の子供が光の指す線路を目指して駆けていくシーン。映画の文法でいうと、左方から右方へ移動するのは、過去に戻ることを表すらしい。
大人の事情を全く必要とせず、性不同一の目覚めもまだない幼い心に戻って、ただ大好きな友達といられる幸せに浸りながら、力強い雄たけびをあげているラスト。
「怪物」という言葉が、残酷という形容以外に、これほど甘酸っぱく、切なく、狂おしい響きを帯びていることに、本当に心を揺さぶられた。
tonyさん [インターネット(邦画)] 9点(2024-07-02 00:09:10)
35.ネタバレ 是枝裕和の『怪物』は3部構成。ひとつのプロットを3つの視点により描いている。

1つ目の母親の視点では、保利がとことん歪んでいる。
2つ目の保利の視点では、湊が歪む。
3つ目の湊の視点で、歪むのは誰か?

羅生門形式。そもそも、映画とは他者の視線から見られた世界の風景。世界を捉えようと思ったら、その世界なるものを多くの視点で囲んでいくしかない。それは視線の「反復性」と呼ばれる。

視点によって人物像が違っているのは、主観による視点であるから。それが怪物を生む。湊の視点は不安定で、「それ」が歪んで見えかけるのだけど、自分がどうしようもなくなり、それを受け入れる。そのキッカケが校長のいるところ。結局、怪物を断つ回路は、言葉(世界)ではないところ「非言語性」にあったのだなと。

すべての物語は本来、謎解きである。でもそれは容易には解かれない。だから謎は宙吊りとなり、観ている人の身体の中に「内面化」され、その人のものになる。

「反復性」「非言語性」「内面化」
『怪物』を傑作たらしめているターム。私ならこの3つを挙げる。

「なぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか?」
それは、映画がその「気付き」こそを描きたかったから。ある人は、最後に二人が死んで違う世界で生き返ったとし、現世の死を以て、制裁が再生産されたと言う。これを「君と世界の戦い」(カフカの『君と世界の戦いでは、世界に支援せよ』)として単純化すれば、ある人は、「君が世界となるべきだ」と見做し、映画は「君は君であるべきだ」として映す。

私は、映画が文芸であるとすれば、映画は「君は君であるべきだ」ということこそ捨ててはいけないと思う。それが優先されなければ、君が世界になる、その世界を描くことだけに過ぎなくなるから。監督は、性的マイノリティーの世界ではなく、「君」を描きたかった。その決意を『怪物』から強く感じる。

彼ら二人は何処に生き返ったのか?ビッグクランチは時間の逆行。実は死んだのは飽和した世界の方だった、というのが私の解釈である。
onomichiさん [映画館(邦画)] 9点(2024-06-19 00:33:19)
34.ネタバレ いやぁ...
久々に見終わりに唸ってしまった。
 
まさに「怪物だーれだ?」ですわ。
 
いろんなタイプの怪物総出演。
誰もが誰かからすると怪物なんだろな。
 
星川くんのポジティブ風味がいたいけで。
主演二人が本当に名演でした。
是枝監督は子供演出が見事ですよね。
movie海馬さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2024-05-26 21:03:08)
33.ネタバレ さすがというしかない。小説でたとえるなら東野圭吾や奥田英朗のそれ。引き込む力がすごいんだ◾️思春期以前のころのグラグラ感。二人の気持ちを決して他の人に知られないためのウソ。木田さん(女子)には、どうやらバレている(たぶん、雑巾のパス)。◾️本作は二人が事故に遭って宇宙の終焉(ビッグクランチ)を迎えて然るべき映画じゃないかな。すみません、人でなしで。【追記】皆さんのレビューを見て、そうですよねと納得。本作は、あくまでも救いのない悲しいお話です。
なたねさん [DVD(邦画)] 9点(2024-03-17 19:24:32)
32.同じ事象が起きているのに視点が変わればそれだけ見方が存在する・・・。
ラストのファンタジー感が不気味であった。
へまちさん [インターネット(邦画)] 8点(2025-01-11 22:31:09)
31.なぜ可愛らしいこの子供が執拗にいじめの標的にされるのか、教師や父親の奇妙な態度は何か、いろんな違和感が終盤一気に解消され、そういうことだったか!と納得させられます。納得させられるんですが、現実にこの問題で理解されず苦しんでいる人がいるのが事実。共感が今後さらに広まることを望みます。
次郎丸三郎さん [DVD(邦画)] 8点(2024-12-30 09:54:46)
30.ネタバレ 子どもは純粋無垢じゃない。
こども視点から描くと、彼らの世界は、ドロドロしている。
大人の我々は、それを忘れているだけだ。

子どもの扱いに巧い是枝監督が、その子どもワールドを描く。
観終わると、大人が「怪物」ってことになるのかな・・

田中裕子の演技が、見事に映画の層を厚くしている。
貫禄です!
トントさん [DVD(邦画)] 8点(2024-06-09 18:38:36)
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29.ネタバレ すでに評判の通り、同じ事柄を母、教師、息子の3者の視点から描かれます。
視点が変わるたびに見ているこちらの先入観をこれでもかというほどひっくり返されます。
特に湊視点で片方の靴をなくした場面と、校長にトランペット(トローンボーンだったかな?)を吹く場面がとても好ましかったです。
あと、高畑充希が退場する場面での「また今度」にはニヤリとさせられました。

怪物は誰なのか、少年たちは死んだのかがいろいろな場面でコメントされていますので、今時点の見解を残しておきます。
私は、他人や自分自身であっても自分には見えない部分があり、それに対する恐れや思い込みが怪物で、視点を変えながら物語を進め、私たちの先入観を取り除いていくことができれば、怪物なんて本当はいないんだと説明されているように思えました。

嵐の中横倒しになった車両に雨が落ちる場面は、美しいながらも息苦しく、終盤に湊と依里が車両から出て駆け出す場面では涙があふれましたが、でも少年二人は死んでいないと信じることにします。
モチーフになったと思われる銀河鉄道の夜もカンパネルラとジョバンニは死んでいないと信じてます(笑)

是枝監督が活躍する時代に生きていてよかったなと思います。
なつこさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-16 16:23:36)
👍 1
28.ネタバレ この内容に『怪物』というタイトルを充てた凄み。
人は同じものを見聞きしても受け取る側によって見え方聞こえ方がまるで違う。
結論を言えば、登場人物に怪物はいない。敢えて言えば教師たちか、同級生たちか、父親か。だが作中で彼らの視点描写がないだけで、彼らには彼らなりの道理があるのだろう。
みんな自分の価値観や正義感や今まで生きてきた経験値によってものを見ている。だが自分の見ているものが全て正しいとは限らない。これは現在のネットにおける歪んだ正義感を可視化した作品ではないだろうか。
少年たちは最後にどこへ行ったのだろう。作中最も美しい場面なのに、直前の場面とはつながっていないのだ。美しくとてつもなく悲しい場面だった。
denny-joさん [映画館(邦画)] 8点(2023-06-15 20:40:30)
27.良い映画ですね。
子供たちの演技が自然です。
次に「怪物」の正体について、意見を述べます。ネタバレが嫌な方は読まないように。

―――――――――――――
音楽室で「怪物」を思いっきり楽器を使って吐き出す、校長と生徒。唸りを上げる「怪物」
後悔、不安、恐怖、周り(世間)に対する思い、偏見などの感情が「怪物」となって唸りを上げる(慟哭)

この世で最も恐ろしいものが人間の思いの「怪物」であり、それが最悪として表現されているのが戦争。
この映画は日常に潜む「怪物」を上手く表現している。
cogitoさん [映画館(邦画)] 8点(2023-06-11 12:50:28)
26.是枝監督だなーと思える作品。伏線があって最後に、あーそーゆーことかて感じで。人目線ごとに描写が繰り返されて、同じ映像なのにこんなに自分の捉え方が変わるんだーと、少し感心させられた。内容は題目のとおり、怪物らしき登場人物が複数登場して、時々変な空気になって怖い笑
SUPISUTAさん [インターネット(邦画)] 7点(2025-06-20 10:46:13)
25.ネタバレ タイトル、予告編、そして本編鑑賞時の印象。全てに強烈なミスリードを感じてしまいましたし、実際されてもしまいました。ただ、そのこと自体は否定しません。他者の主観を表現し理解を得るにはデフォルメは不可避かと思います。

母親の視点で語られる冒頭部分における愛息子や教師の見え方は母親本人にとっては間違いなく現実であり、保利教諭の視点で語られるパートでの母親の表情や言動は彼自身にとって紛れもない現実です。そこに固有の主観がある限り、誰一人として他者と同じ理解や価値観をもって物事を観察したり考証したり出来る訳はありません。少なくとも一般的な人物である限りは。

映画という手段によってあるテーマを語り、なおかつより多くの観客の理解や感銘を得るためには、作り手は自らの主観を越えた表現を求めなければならないように思えます。(というのも私の主観に過ぎない訳ですが)

なので、本作である意味過剰とも受け取れる人物表現やその表情や言動等の齟齬・矛盾は必要不可欠だったのではないでしょうか。

その上で本作を語らせていただければ、登場人物一人ひとりの人物像が丁寧に語られ、子を持つ親の悩み・苦しみ、人の子を育てる教師の悩み・苦しみ、そして自我の目覚めと性の目覚めの年頃を迎えた少年たちの悩み・苦しみ更には夢と希望、それらが丁寧に描かれた佳作であると思いました。

シングルマザーに至るまでの熾烈な過去を愛息子の前ではひた隠しにし、只管彼の「普通」の幸せを求める母親。ある意味守りに徹している姿には力強さより悲壮感を感じました。

新任教諭として赴任し、子どもたちとのコミュニケーションを大切にし、退勤後は恋人との甘い生活を送る「普通」の青年である保利教諭。追い詰められ、全てを失っても飼っている金魚に残酷な仕打ちをすることは出来ない優しさは心に遺している。(当たり前に捉えれば一番の被害者かも)

ひとり親世帯になった原因を漠然と知りながらも、愛する母親のために平静を装おうとする湊少年。優しさ故に依里君をかばうもののそれに徹することの出来ない自分への内省と、親友的に思っていた彼との距離が縮まった瞬間に性的感情を無意識化に得てしまい身体の反応に狼狽えてしまう「普通」の少年。

自らの性的違和感を理解しつつある中で、それを理解するどころか消し去ることしか考えない父親からの虐待に耐えるしかない日々を送る依里。それはやはり父親への愛なのか優しさなのか。学校で繰り返されるいじめ行為にも、クラスメートを達観することで耐えているように思えます。その姿からは怪物感は得られません。

クライマックス。母親と保利教諭が半分こじ開けた車窓から見たものは何だったのか?湊君と依里君が敢えて通過し直した廃車両の先に広がっている世界はどこなのか?単純に受け止めてしまえば土砂崩れで亡くなってしまった二人の魂が次の世界へと旅立っていく姿と捉えられないこともありませんが、だとすればそれは希望ではなく現世に絶望を遺したままの旅立ちであり、二人が真に求めていた世界とは乖離しているように思えてしまいます。

かと言って、実は二人は無事だった、母親と教師が救出した、というのも無理と言うかそこに至るまでの作品の世界観とは異なるのではと思えてしまう。結果、自分なりの納得いく結論は得られていません。

強いて言うならば、「怪物」は決して特定の個人ではなく、個人個人が生きる社会のシステム全体の中に浮遊しているものなのかなと思えた次第です。幾度か鑑賞し、作り手の意図するものとそれを受け取って得たものについて熟考することを求められる作品でした。

(追記)
校長の葛藤と夫の真意。依里の父親の苦悩。これ以上の長尺化は好ましくはないと思いつつ、このテーマに不可欠な登場人物とエピソードであるのならば、もう少し掘り下げて欲しかったなと思いました。
タコ太(ぺいぺい)さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-02-22 11:41:14)
👍 1
24.是枝監督らしい 作品..独特の雰囲気でクセのある くら~いストーリー..“真実”は 複雑で、難解..ってことかな..ただ、物語としては 現実味が薄くて 説得力がなかった..7点
コナンが一番さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-02-15 19:32:54)
23.ネタバレ ◇「人は、見たいものしか見ない」だから、事実は一つでも、人によって物語(事実)は異なり、すれ違っていく。
◇セリフやシーンが巧みに入り組んでいき、最後に私は私の物語(解釈)にたどり着く、、、
◇他の方の感想や解釈を読むにつけて、私は自分の考え方のクセ、バイアスに気付く。「こうあって欲しい」と「私」は思うのか、、思考が炙り出されるようなザラっとした不快と、仕掛けに気付くスッキリ感がないまぜになりました。
ハクリキコさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-02-15 08:45:21)
22.ネタバレ 様々な視点からの構成されているストーリーはいろんなことを想像させてくれる。特に序盤の違和感満載な学校の描写。いじめやサスペンスは元より、星川くん役の上手さにマインドコントロールを想像した。違ったけど。子どもの視点のパートは素晴らしかった。ラストは観る人間に委ねる感じだか、私は死後の生まれ変わりと受けとめた。それが自然で美しいから。全体観た後で注文をつけるなら、序盤の担任の先生の態度の悪さは過剰だったかな。
ラグさん [インターネット(邦画)] 7点(2025-01-13 21:08:48)
21.ネタバレ 予告編だけの情報しかなかった時はもっと猟奇的な内容なのかと思ってました。実際に観てみたら全然違った。たしかにミステリーぽさはあるけれど、これはもう一つの純愛映画でしょう。同性愛に気付き始めてしまったまだ幼い男の子の純愛物語。私はそう捉えました。「怪物」ていうのは恐らくマイノリティを受け入れられない「偏見」への揶揄なのかな。または自分自身の中にある「嘘」に対するものかも。誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。誰にでも手に入るものを幸せって言う。この台詞こそが「怪物」に対しての宣戦布告なのでしょう。

物語は母親、教師、息子と、三人の視点によって進んでいきます。母親目線だった時は観客も「怪物」であるように仕掛けられて、教師目線でそこから少し距離を取れるようになり、最終的に息子の目線で全てが白日のもとにさらされて「怪物」から解放される。実に見事な編集です。

また一つとても良い映画に出会えました。ありがとうございました。

それとこれは余談ですが、安藤サクラさんの演技が個人的には一番、怪物、でした。ほんと、すごすぎです。
Dream kerokeroさん [インターネット(邦画)] 7点(2025-01-06 16:30:30)
20.ネタバレ 見応えは非常にあったけど、最初のパートで保利先生を異常者みたいに見えるように映像で誘導し過ぎてるのが気になった。麦野の母親目線でそう見えてるという話にしてもちょっと盛りすぎに感じる。
実際次のパートでは全く別人のような保利先生が登場するんだけど、パート1とパート2の時間軸における保利先生の精神状態もあまり噛み合ってるように思えなかった。他にも違和感を感じるところはあったけど、ラストパートの麦野と星川くんとの心理描写は非常に良かった。
映画大好きっ子さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-26 23:25:33)
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【点数情報】

Review人数 39人
平均点数 7.03点
000.00%
100.00%
212.56%
300.00%
412.56%
525.13%
6923.08%
71333.33%
8615.38%
9512.82%
1025.13%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review2人
2 ストーリー評価 6.00点 Review3人
3 鑑賞後の後味 6.33点 Review3人
4 音楽評価 6.00点 Review2人
5 感泣評価 6.50点 Review2人

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