映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』の口コミ・レビュー

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

[ホールドオーバーズオイテケボリノホリディ]
The Holdovers
2023年上映時間:133分
平均点:7.70 / 10(Review 10人) (点数分布表示)
公開開始日(2024-06-21)
ドラマコメディ学園ものクリスマスもの
新規登録(2024-02-26)【Cinecdocke】さん
タイトル情報更新(2024-12-28)【Cinecdocke】さん
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監督アレクサンダー・ペイン
キャストポール・ジアマッティ(男優)ポール・ハナム
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(女優)メアリー・ラム
テイト・ドノヴァン(男優)スタンリー・クロットフェルター
高木渉ポール・ハナム(日本語吹き替え版)
配給ビターズ・エンド
編集ケヴィン・テント
字幕翻訳松浦美奈
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💬口コミ一覧

10.ネタバレ クリスマス休暇に帰省できず寮で過ごすことになった学生、教師、寮職員の3人が織りなす人間模様。アレクサンダー・ペイン監督作品らしいシンプルな舞台設定と最小限の登場人物。堅物のハナム先生の管理を逃れたい学生アンガスの不運を笑いつつも、だんだん一人一人が背負った背景が見えてくると、ひとつひとつの台詞や表情がものすごく雄弁で多義的になる構成と脚本は見事です。ミニマムな設定のなかでも、それぞれが抱えている事情が微妙に重なり合い、反発とともに共感が生まれていくプロセスが自然。オスカー受賞したダバイン・ジョイ・ランドルフはもちろん、教師ポール・ジアマッティとアンガス役のドミニク・セッサのアンサンブルが本当に素敵でした。

「家族」との晩餐や友人とのパーティで楽しむのが当然という、アメリカのクリスマス休暇の雰囲気を知っていると、この登場人物たちの孤独感はとても真に迫ってくる(そういえば、自分も留学していたときに、学生がいなくなった大学町に「取り残されて」、なんともいえない孤独感を抱いたのを思い出す)。好意で誘われた同僚のパーティに出席したことで、息子をベトナム戦争で失ったメアリーが取り乱す姿はとってもリアル(そんな状況でもそこで会った女の子と遊びたいアンガスの姿もまたリアル)。クリスマスという行事がもたらすプレッシャーがいかほどのものか。今作は、そんなシチュエーション自体がもたらす絶妙な悲哀をコメディとしてうまく昇華させたと思います。冒頭のユニバーサルのサインを含め、1970年代の映画を再現したような仕掛けも楽しい一方で、ストーリーのなかには差別や格差、そしてメンタルヘルスをめぐる問題など現代的なテーマも盛り込んでいます。

ただ、物語の内容にしては尺が長いような気が。とくに序盤にアンガスと一緒に居残りになる4人の学生たちのエピソードなど「本題」に入るまでの助走が長いのが気になりました。本作のコメディ・パートという役割なのかもしれませんが、韓国人とモルモンという二人の「マイノリティ学生」の描き方などは、アメリカ国外の観客から見ると、ちょっと嫌な感じもありました。そのちょっとした毒気も含めてのアレクサンダー・ペイン作品、なのかもしれませんが。

あと、これは作品の評価とは関係ないですが、やっぱりクリスマス休暇〜新年を扱った映画を6月に公開するというのもいかがなものか。米国で10月公開、A・ペイン監督で評判も上々とあれば、せめて年始くらいの公開だってできたはず。この季節感のなさは、残念ながら映画の余韻を1割程度は削いでしまったと思います。
ころりさんさん [映画館(字幕)] 7点(2024-06-27 20:16:16)
👍 1
9.ネタバレ 約4ヶ月ぶり2度目観賞。置いて行かれた3人。ギョロ目がチャーミングな堅物教師、ちょっとノムラっぽい学生、米アカデミー助演女優賞受賞の黒デブババの料理長によるドラマ・コメディ。夏上映のクリスマス映画。何だか展開に抑揚が無く、終盤まで退屈。ボケちまって離婚され施設に入れられた父ちゃんに会いに行くオイラ。父ちゃんの孤独が胸に染みるぜ。心温まる幕切れ。近年少なくなったようなハートウォーミングドラマ。
獅子-平常心さん [映画館(字幕)] 6点(2024-06-30 21:18:01)
8.ネタバレ 12月に見たかった。公開は梅雨の時分で、スコールみたいな大雨の中映画館へ向かった。それでも季節を忘れてゆっくり浸って観ることができたから、映画はやはり映画館で観たい。
雪の降る1970年12月、寄宿学校で、高潔な変わり者の高齢教師、戦争で息子を亡くした学食に勤める黒人女性、両親に悩みを抱える男子生徒の3人が、約2週間のクリスマス休暇を過ごす様子を描いている。
"休暇の監督者ではあるが、生徒たちへくれぐれも人間らしく接するように!"と校長から言い渡されるところから物語が始まるように、彼はかなりズレた教師。
みんなどこか他者を寄せ付けず孤独に過ごしているが、それでも何日間も深く関わるうちに、たくさんの話をする。普段ひとに話さないようなことも。オーナメントの無いクリスマスツリーを用意して、満足気に見せるずれた先生が、だんだんと好ましく思えてくる。
それぞれに隠していたことが明らかになり、知った側がそれを受け入れて心を通わせていく様子にこちらも心が温まった。
この休暇がなければ、彼は人生であんなことを言うことは無かったのだろうと思う。車に乗って学校をあとにした彼のその後も観たい気持ちになった。
生徒が自分のことを話しながら教師に心を開いていく様を見て、グッド・ウィル・ハンティングを思い出した。どんな感想をここに残したのかと辿ったところ、レビューを書いていないことに気づく。殆どの重要なシーンを覚えているくらい大好きな映画だけれど、またいつか見た時に改めてレビューを書きたい。
SAEKOさん [映画館(字幕)] 8点(2024-07-14 10:28:40)
👍 1
7.ネタバレ 真夏に季節はずれのクリスマス映画を鑑賞。 1970年、アメリカはボストン近郊の寄宿学校が舞台。冒頭、クリスマス休暇前、浮かれた学生たちでごった返す学校の喧騒がある。学生たちは次々と帰省してゆき、帰り損ねた生徒がたったの数名になる。その後、とうとう問題児が一人取り残され、問題教師と女料理長と合流し、いよいよ (本当の) 本編の始まり・・。ここまでが、ちょっと長い。しかし、段階を踏んだことにより、三人の "取り残された感" がより強調されていた。おまけに、人数が減るたびに、学校がだんだんと広くなり、対象的に人と人との距離は近くなっていくような不思議な感覚があり、そこが狙いだったようにも思う。 ストーリーの根幹は、人生の停滞者たちが、家族以外の出会いによって前進してゆく、、というもので、その描き方は温かくもあり、けっきょく人生は孤独でほろ苦い、、という、実にアレクサンダー・ペイン監督らしい人生賛歌となっている。 なお、及第点の映画として終わりそうな本作であったが、最後のハナムとタリ―の別れの場面が、本作を私にとって特別なものとした。交わした言葉は少ないが、二人の固い握手と、タリ―の後ろ姿を見つめるハナムの表情が、彼らの出会い (の意味) と、これからの人生を雄弁に物語っていた。 思えば、ハナムには子がなく、タリ―には父の不在があった。その背景は、親子ほど歳の離れた二人の関係に深みを与えていたように思う。 クリスマスのお話なので、できれば、コートにマフラーを巻いて映画館を出たかったが、、今回は真夏にしばし心の避暑地に行ってきた、そう思うことにしよう。
タケノコさん [映画館(字幕)] 8点(2024-07-14 12:29:05)
👍 1
6.ブレクファストクラブの進化版で今度は年齢を超えた交流が心にしみる。二人で助け合うところがたまらんなあ
HRM36さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-12-23 21:24:49)
👍 1
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5.ネタバレ 今年のクリスマス映画は、これ!
ワインの勉強のために「サイドウェイ」観ようかと思ってたけど、
同じ監督が、クリスマス映画を撮ったというので、こちらを観ました。

クリスマスの日に、親元に帰れず、寄宿学校で、教授と一緒に過ごすという話。
偏屈物の教授と、賢すぎる問題児が、徐々に心を開いていく過程が、なんとも良い。
そして、実は、一番闇を抱えてる少年だったということが分かるんだね。
人間として、人生の師として、教授がアドバイスを贈るところは、泣きました(笑)

一見いい人だが頭の固いレストランのウエィトレスや校長が、なんとも憎らしく思える。
偏屈先生が、人間味ある結末になってしまうのだね。
是非、大著をものにして、ハーバードの同僚を見返してほしい。

全世界の恩師と言える人たちに投げキッスを送りたくなったクリスマスの夜だった。
トントさん [DVD(字幕)] 8点(2024-12-25 22:16:10)
👍 1
4.「良い映画を見たなあ」って素直に思える。
クリスマス映画の新たな古典誕生。

'70年代を意識したフィルムの質感と演出が、当時のベトナム戦争が影を落とす格差と差別を背景に、
傷と孤独を背負った者たちが如何に現実と向き合うかというテーマを普遍的なものにさせている。
三人が不本意ながら休暇を共に過ごしたことによって救われていく過程に、
たとえほろ苦い幕切れでも前向きに生きていく今後に思いをはせた。

大本命の『オッペンハイマー』がなかったら、アカデミー作品賞はこの作品だったかもしれない。
Cinecdockeさん [インターネット(字幕)] 8点(2024-12-27 23:13:26)
3.頑固で偏屈で嫌われ者の古代史教師ハナム先生。彼のキャラクターが素敵だった。学問を追求し孤独を追求し、嘘はつかず自分を貫くが紳士的で他者の意見を聞き入れないこともない。
歴史美術館にて「退屈だ無関係だと否定しないで、今の時代や自分を理解したいなら、過去から学ぶべきだ。歴史は過去を学ぶだけでなく、今を説明する事でもある。」
先生は斜視だし持病のため魚の体臭がするしで、これまでの人生あまりツイてなかったようだが、そんなことは気にも留めず人のせいにもせず、ただただ古(いにしえ)に想いを馳せているのだろう。自分は自分、嘘はつかないバートン男子のプライドだけを忘れずに。
人はみな孤独。それがどうした。物事は案外単純で、時間軸には過去と未来しかない。今なんて一瞬だ。出会いもあれば別れもある。それだけの事だ。っていう前向きで軽やかな後味が残る作品だった。
ちゃかさん [インターネット(字幕)] 8点(2025-02-20 15:59:29)
👍 1
2.ネタバレ 秀作。
冬の寒さ厳しい夜にバーボンのロックでも片手にゆっくりしみじみと観たい映画。
本作の様な慈愛滲み出る静かな秀作を継続して世に送り出せる所がアメリカ映画界の懐の深さ。

蛇足
この様な素晴らしい作品がこれから減っていく様に思えて心配で仕方がない。
アメリカ、大丈夫か?
たくわんさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-06 11:52:21)
1.ネタバレ  気持ち良く意表を突かれた逸品。

 「ブレックファスト・クラブ」(1985年)的な「学校に取り残された子供達」が主人公の話かと思いきや、実は「彼らの見張り役となる教師」のハナム先生も主人公であり、問題児のアンガスと絆を深めていく物語と判明する流れ、かなり良かったです。
 改めて観返してみると、序盤からハナム先生の出番が多く、彼が主人公格である事は示唆されていたのですが、見事に騙されちゃいましたね。

 正直、初見の際には戸惑いが多かったし「ミスリードの尺が長い」「最初は喧嘩してばかりだった子供達が仲良くなる流れを期待したのに、そちらに関しては裏切られる形になる」って辺りは、欠点と呼べそうな感じなのですが……
 ここまで面白かった以上は、素直に脱帽する他無いです。

 本作に関しては「嫌な奴かと思われたデナム先生が、実は良い奴だった」と判明する種明かし的な面白さを重視せず「生徒のアンガス共々、デナム先生も少しずつ変わっていく」という成長物語のような形で纏めたのも、上手かったと思いますね。
 生徒達が喧嘩した際に、学友を売るよう誘導している場面とか、ハナム先生の憎たらしさも序盤で丁寧に描いていたからこそ、カタルシスが生まれてる。
 他者に対し「行く所の無い哀れな孤児なんだから、多めに見てやれよ」なんて皮肉ってたアンガスが、後に「クリスマス休暇にも実家に帰れず、学校に残る破目になる」って顛末を辿る辺りも痛烈で面白かったし、そこから更に踏み込んで「ハナム先生と共に過ごすアンガスは、決して一人ぼっちの孤児なんかじゃない」と観客に感じさせる辺りも、見事な構成でした。

 ハナム先生と、生徒のアンガス、どちらに偏るでもなく、両者を好きになってしまうような作りだった点も良い。
 こういう映画の場合、普通なら「子供の頃に観ればアンガス側、大人になってから観るとハナム側に感情移入させられる」って形になりそうなものなのに、本当に等しく、二人とも主人公だったんですよね。
 それまで生意気だったアンガスが、父と面会出来た際には子供らしく嬉しそうな顔になり、その後に現実を悟って悲しげな顔になる場面。
 気難しいハナム先生の「停学は目の前に迫ってる」「私は手を引く」なんて台詞が伏線になっていて、前言を撤回するように、終盤でアンガスを庇う場面。
 どちらにも見せ場というか、大いに心揺さぶられる場面が有り、ダブル主人公物として、理想的な出来栄えだったように思えます。

 最後はハナム先生が学校を去るという、悲しい結末を迎えてしまう訳だけど「前々から書きたかったモノグラフを完成させる」という目標が有るので、暗くなり過ぎず、前向きな希望を残している形なのも、これまた素晴らしい。
 別れ際「君なら出来る」と伝えるハナム先生に、アンガスが「俺も同じ事を言おうと思ってた」と返すのも良かったし……
 その後の「またな」を言い合う場面といい、教師と生徒という関係性では無くなったとしても、二人には確かな絆が残ってると感じさせてくれるんですよね。
 「仲良くなった二人が別れてしまうだなんて、可哀想」という悲劇を描いた映画では終わらずに、そんな悲劇を乗り越えるだけの強さを感じさせる映画でもあるのが、本当に良い。

 此度、時間をおいての再鑑賞という形になったのですが、上述の「ハナム先生が前言を翻してアンガスを庇う場面」といい、伏線の巧みさや、構成の緻密さには、改めて驚かされましたね。
 感動させるだけでなく、積み重ねの大切さを教えてくれる、良い意味で教科書のような……
 観客に対する先生のような映画でありました。
ゆきさん [インターネット(吹替)] 8点(2025-06-02 17:42:48)★《新規》★
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マーク説明
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 10人
平均点数 7.70点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6110.00%
7110.00%
8880.00%
900.00%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 Review0人
2 ストーリー評価 6.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 7.00点 Review1人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人

【アカデミー賞 情報】

2023年 96回
作品賞 候補(ノミネート) 
主演男優賞ポール・ジアマッティ候補(ノミネート) 
助演女優賞ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ受賞 
脚本賞 候補(ノミネート) 
編集賞ケヴィン・テント候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2023年 81回
作品賞(ミュージカル・コメディ部門) 候補(ノミネート) 
主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ポール・ジアマッティ受賞 
助演女優賞ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ受賞 

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