映画『サクリファイス』の口コミ・レビュー(2ページ目)

サクリファイス

[サクリファイス]
The Sacrifice
(Offret)
1986年スウェーデン上映時間:149分
平均点:7.29 / 10(Review 31人) (点数分布表示)
ドラマファンタジー
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2024-09-17)【イニシャルK】さん
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監督アンドレイ・タルコフスキー
キャストエルランド・ヨセフソン(男優)アレクサンデル
スーザン・フリートウッド(女優)アデライデ(アレクサンデルの妻)
アラン・エドワール(男優)オットー(アレクサンデルの友人・郵便配達夫)
グドルン・ギスラドッティル(女優)マリア(召使い)
トミー・チェルクヴィスト(男優)”子供”
フィリッパ・フランセン(女優)マルタ(アレクサンデルの娘)
スヴェン・ヴォルテル(男優)ヴィクトル(アレクサンデルの娘婿・医師)
ヴァレリー・メレッス(女優)ジュリア(小間使い)
脚本アンドレイ・タルコフスキー
撮影スヴェン・ニクヴィスト
配給フランス映画社
美術アンナ・アスプ(プロダクション・デザイン)
編集アンドレイ・タルコフスキー
字幕翻訳清水俊二
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💬口コミ一覧

11.ネタバレ 細かな意味や筋よりも、ひたすら映像美に酔いしれるほうがいいのではないかと思うような作品。陰影の美しさ、すさまじい長回しなど、映像としてだけみても十分すごい。飛び散るミルクのカットは有名だが、個人的には最初から二番目の森のカットのあの得体のしれない感じが好き。

さて内容だが、核戦争による終末を淡々と描き切っている感じか。ガタガタ揺れる食器ですべてを表し尽くす。そして最後のサクリファイスはある種の希望と絶望の入り混じった地平を見ているのだろう。もはや論理ではこの映画は理解しえない。そう、ラストのセリフではないが、言葉ではないのである。
θさん [ビデオ(字幕)] 6点(2009-08-17 23:42:15)
10.ネタバレ 『ソラリス』から『ノスタルジア』まではもう完全に酔いしれたもんだけど、これは違和感が残ったなあ。いままでの作品と比べてセリフの比率が多かった気がする。いままでの復習的な面もちゃんとあって、唖の少年は『鏡』の冒頭の吃音を思い出させ、自転車ってのは『ノスタルジア』で重要だった。ドアがギィーッと開くってのも。揺れてガラスが鳴り出すってのは『ストーカー』、空中浮遊は『ソラリス』に『鏡』と、なんか過去のモチーフを総ざらいしている感じがあった。遺作となると意識していたのか。そういう意味では、もちろんタルコフスキーの世界以外のなにものでもない(でも犬がいなかったなあ。途中で鳴き声が入ってきた気もするが)。素材はそうなんだけど、なんか本作はそれに浸り切ってない感じがある。それが衰えから来るものなのか、作者の切迫から来るものなのか。話の骨組みは黒澤の『生きものの記録』と似てて、でもまったく別種の道を通り、まったく異なる質感の世界を提示した、って感じ。でもまだ黒澤のほうが論理的だった、こちらはもう完全に「祈り」だもんね。あの「日本」をどう考えていいかが分からない。未来都市をわざわざ日本で撮った監督が、あの老教授と同じ考えだとは思えない。案外単純にヒロシマの国ってことかなあ、その場合非キリスト教国ってことはどうなるのだろう。
なんのかんのさん [映画館(字幕)] 7点(2010-06-16 12:06:40)
9.ひたすら長かった・・・のはいいとしても、このような手法で作品を構築するのであれば、1つ1つの映像なり台詞が十分に完成しきっていなければならないことはいうまでもありません。本作ではそれが感じられず、アイディアが空回りしているように感じました。
Oliasさん [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-11-17 02:37:35)
8.この作品のオチは要するに、「親は無くとも子は育つ」ってヤツですね。口を聞くことができなかった子供が、植えたばかりの木の下で、新しい世界の始まりを宣言する。そしてダメ押しのように、タルコフスキー監督から息子への献呈とメッセージが。「自分の人生は失敗だったと思わないか」「以前はそう思ったが、子供が生まれてからはそう思わなくなった」。自分の人生が自分だけの人生でなくなり、「子育て」という形で、他の人生のために費やされる。自分に子供が出来た時から始まる、自己犠牲。しかしそれは本当の意味の「犠牲」なのか? 一種の自己満足に過ぎないのではないのか? 口のきけない子供、声なき子供、その一方で、大人たちが始めてしまった戦争の影が、いつ明けるとも知れぬ夜の闇とともに、映画の中盤を覆い尽くす。挿入される戦争のイメージ、恐怖のイメージ。そして、その家に集まる大人たちの間にも渦巻くのもまた、結局のところは大人のエゴではなかったか。取り返しのつかない戦争。過去を取り戻すためならすべてを捨ててもよいという言葉、それは結局のところ、単なるノスタルジーであり、自分自身のための祈りではなかったか。そしてマリアの元へ向う主人公が求めていたものもまた、自分自身への慰めではなかったか。やがて明るい朝が来て、主人公の行った行為。それこそが、過去としての自己の否定と、次世代への無限の信頼、すなわち真の自己犠牲であったと思うワケです。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-01-29 08:32:17)
7.ネタバレ さて、タルコフスキーだ。しかも2時間半だ。うあ観るのに覚悟がいるなあ。台詞にとらわれないこと、プラス理解しようとしないこと。この2点を自ら言い聞かせて観賞。のっけからニーチェの終末論を語りだす郵便配達夫に引く。ま、まだ始まって数分なのにこうですか。哲学的で難解、眠たくなる要素てんこもり・・かと思ったら自分でも意外なほど引き込まれた。光あふれる、とはまた逆のしっとりした品格ある映像。居間の調度品の優雅なこと。磨きこまれた木の床、風にたなびくレースのカーテン。不吉な振動に棚から零れ落ちるミルク。床一面に広がる白。窓とベッドと鏡のみの子供部屋はゴシックホラーのようでどきり、とする。心惹かれる妖しさ。映像詩人とよばれている監督だ。学生の頃詩の解釈が苦手だった私のような人間は、考えることを放棄して感覚でキャッチすることが正しい観賞の仕方なんだろうな 多分。眼福でありました。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-02-04 02:13:00)
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6.ネタバレ さんざん退屈な場面を見せられたうえで、「夢落ち」。そして家に火をつけておしまい。これが芸術というなら、別に芸術はわからなくても、構わない。
みんな嫌いさん [DVD(字幕)] 4点(2012-08-02 22:50:20)
5.ネタバレ 『ノスタルジア』の延長線上にあたる作品なのかな、と思う。長いワンシーン・ワンカットの流麗なカメラワークと映像美は素晴らしく、核戦争を揺れだけで表現するあたりは鮮烈。行きすぎた文明社会が根底から覆される時代に突入する寸前、父親は全てを捨てる代わりに、神に救済を求める。家政婦マリアは聖母マリアの暗喩のように思えるし、陰陽魚太極図のロゴが彫られた黒いバスローブを身に纏い、尺八のBGMをバックに家を燃やし尽くすシーンは、東洋の僧の出家を想起させる。精神的な殉教という意味で前述した『ノスタルジア』に通じるものがあった。過去という虚栄を築き上げた自分勝手な大人を全て否定したことで、はじめて息子は言葉を発する。これからの世界はその時代の人間が作り上げるものであり、老醜を晒す前世代が口を出す権利はない、とタルコフスキーは次世代の子供たちにメッセージを発しているようだ。
Cinecdockeさん [DVD(字幕)] 6点(2015-06-21 10:46:20)
4.高尚すぎてわかりませんでいた。エンターテイメント性の欠片もないような作品が高評価なのですね・・・
あきぴー@武蔵国さん [DVD(字幕)] 3点(2018-08-07 00:29:58)
3.ネタバレ この映画での表現に対して時間が短すぎ、駆け足の感があった。超越的なものと世俗的なものの接触点について、ノスタルジアでは恥ずかしくなるような甘い表現もあったが、本作では硬く締まっていた。ラストシーンで唐突に挿入されるBGMを除いては。
浅田荷葉さん [DVD(字幕)] 10点(2019-03-25 08:22:14)
2.ネタバレ あまりに早い最期だったアンドレイ・タルコフスキー。この「サクリファイス」が、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した7か月後に、タルコフスキー監督は逝った。1986年12月28日だった。

「鏡」で、草原を渡る"風"を描いた。「ノスタルジア」で、この世とあの世の間を取り持つ"水"を描いた。
「サクリファイス」では、自分の投影でもある家を焼き尽くす"火"を描いた。

それらは、あまりに美しく、何度も観たい思いにかられ、観るたびに、ある種の"不思議"に包まれる。

アンドレイ・タルコフスキー監督の故国ロシアへの愛は、「ノスタルジア」で思いきり描かれていましたが、この「サクリファイス」では、その思いがもっと重く、胸にのしかかってきます。

タルコフスキー監督は、私たちに何を伝えようとしたのか?--------。
彼の映画には、いつも「死」と「神」とがつきまとう。全てのものは、象徴されてそこにある。
時には風景までもが、象徴の一端を担っている。

喉の手術で声の出ない息子に、父アレキサンデルが海岸に枯れ木を植え、「毎日、水をやるんだよ」と言う。
その日はアレキサンデルの誕生日でもあった。親友の医師、不思議な郵便配達人もやって来る。
その夕方、唐突に核戦争が勃発したというニュースが流れると、妻はヒステリーを起こし、子供も手術の痛みに苦しんで寝ている。

アレキサンデルは、無神論者だったが、つい神に自分を犠牲にするから彼らを救ってくれと祈るのだった--------。

この「サクリファイス」は、スウェーデンの俳優・スタッフによって撮影されています。
しかし、タルコフスキーは言う。「この映画は、スウェーデンでスウェーデンの俳優によって演じられたが、これはロシア映画である」と。

青い空と海、白い道と緑の野、道端に枯れそうな一本の貧弱な木。そして、父と喉の手術をしたばかりで声の出ない幼い息子。
父は息子に「昔偉い坊さんが、若い僧に、枯れ木に毎日決まった時間に水をやりなさいと言った。それを忠実に守って水をやっていると、枯れ木が生き返ったんだよ」と、話して聞かせます。

この映画の舞台にタルコフスキーが選んだのは、スウェーデンのゴトランド島だ。遥か海を隔てれば、故国ロシアの大陸がある。
海はタルコフスキーの、心の距離を縮めていただろうか?--------。

そして、撮影されたのは、海岸より少し外れた場所らしく、白い砂と松林の海岸が延々と続いている。
そこはあくまでも静かで、平らで、そんな時ふと恐ろしい感覚にとらわれるのは、「サクリファイス」のように、静かな地面の底から地響きが聞こえ、核戦争が始まったのが本当のことなのではないかと、愚かしい想像をめぐらしてしまう時だ。

幼い息子は、父が精神病院に送られてしまってから、父の言いつけに従って、海岸の枯れ木にバケツでせっせと水を運んではかける。
そして、木の根元に寝そべって、空を見上げ「なぜ、はじめに言葉ありきなの、パパ?」と今はもういない父に問うのだ。

父が果たした"犠牲"への報酬は、この子のこの言葉にあったのだろうか?
白い砂浜と青い空は、無情なまでに強烈で、炎上する家の炎の色と、妙に相容れない不協和音が、「サクリファイス」の崩れ折れそうなイメージを残すのだ。
dreamerさん [DVD(字幕)] 9点(2019-04-12 09:47:46)
1.高邁なことはわからないけど、生きる希望を心から感じる傑作。
★★★1/2さん [DVD(字幕)] 10点(2022-09-01 23:11:33)
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【点数情報】

Review人数 31人
平均点数 7.29点
000.00%
100.00%
200.00%
313.23%
4412.90%
526.45%
6412.90%
7412.90%
8516.13%
9516.13%
10619.35%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.00点 Review1人
2 ストーリー評価 Review0人
3 鑑賞後の後味 9.00点 Review1人
4 音楽評価 9.00点 Review1人
5 感泣評価 Review0人

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