映画『浮き雲(1996)』の口コミ・レビュー(3ページ目)

浮き雲(1996)

[ウキグモ]
Drifting Clouds
(Kauas Pilvet Karkaavat)
1996年フィンランド上映時間:96分
平均点:7.40 / 10(Review 43人) (点数分布表示)
ドラマコメディ
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タイトル情報更新(2017-03-05)【イニシャルK】さん
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監督アキ・カウリスマキ
キャストカティ・オウティネン(女優)妻 イロナ
カリ・ヴァーナネン(男優)夫 ラウリ
エリナ・サロ(女優)老舗レストランの女性オーナー スヨホルム夫人
サカリ・クオスマネン(男優)レストランのクローク係 メラルティン
マルック・ペルトラ(男優)レストランのシェフ ラユネン
エスコ・ニッカリ(男優)イロナが面接を受けるレストランの支配人
マト・ヴァルトネン(男優)車のディーラー
出演マッティ・ペロンパー写真立ての中の子供
脚本アキ・カウリスマキ
作曲ピョートル・チャイコフスキー交響曲 第6番ロ短調作品74「悲愴」
撮影ティモ・サルミネン
製作アキ・カウリスマキ
配給ユーロスペース
編集アキ・カウリスマキ
録音ティモ・リンナサロ
ヨウコ・ルッメ
字幕翻訳石田泰子
その他マッティ・ペロンパー(献辞)
あらすじ
イロナは今や廃れた名門レストランの給仕長。夫のラウリは市電の運転手。慎ましい生活にささやかな幸せを感じていた夫婦。だがある日、突然不況に見舞われ二人共に職を失ってしまう。イロナは大手レストラン・チェーン店の乗っ取りにあい解雇され、ラウリはリストラの対象となってしまったのだ。二人は新たな仕事を探すが…。不幸の中で支え合う夫婦の姿を言葉少なに描いた物語。
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3.ネタバレ バスター・キートンの無表情コメディを世紀末に蘇らせたアキ・カウリスマキの“敗者三部作”の代表作。主演はカウリスマキ御贔屓の“幸うす顔の女”カティ・オウティネン、知らない人からすれば「なんて無表情な演技なんだ」と思うかもしれないが、実は本作での彼女はそれまでのカウリスマキ作品の中では最も表情豊かだとファンからは驚かれたぐらいです。短いシークエンスを暗転でつないでゆく彼独特のストーリーテリングは、明らかに親交があるジム・ジャームッシュの影響でしょうね。 ソ連崩壊と世界的通貨危機に巻き込まれたフィンランド、ノキアですら経営危機に苦しむ経済不況の真っ只中でのささやかな庶民の暮らしを、独特のリズムで見せてくれます。カウリスマキの映画は小津安二郎の影響が有名ですけど、正直いって自分には構図も含めて小津色を感じることは少ない。だいいちセリフが極端に少ない作劇法は、小津とは正反対なんじゃないでしょうか。それでも“庶民のささやかな幸福”というある意味ミニマムなテーマは共通していると言えるでしょう。 この夫婦の悪戦苦闘は最後に妻の職場の前オーナーの善意で救われる結末ですが、給料未払いや銀行のゲス対応そしてカジノで夫が資金を溶かしてしまうなど、誰もがどれかは経験してそうな人生の躓きを淡々と見せてしまうところにはかえって思い切りの良さすら感じる脚本です。これは日本でよくいる私小説作家的な監督や脚本家ならドロドロで暗鬱なストーリーにする例が多く、ほんとに「カウリスマキの爪の垢でも煎じて飲め!」と説教したいところです。きっとラストに夫婦が見た空には、雲だけじゃなく綺麗な虹がかかっていたんだろうなと思います。でも原題も『浮き雲』なんだけど、『浮雲』は小津の映画じゃなく成瀬巳喜男の作品なんだけどな、まあ細かいことですけど。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-09 22:59:37)
👍 1
2.ネタバレ カウリスマキ監督の映画は二本目。「希望の灯り」以来。
「希望の灯り」もかなり動きの少ない演出だったけど、これはそれに輪をかけて大げさな演出はなし。
ドラマもそれなりにあるし、けっこう致命的な悲劇も迎えるんだけど、それを淡々と乗り越えて受け入れていく。
実生活と照らし合わせてみると、まあそんなもかものしれないなと。
互いに信頼して労わり合う夫婦の在り方も意外と嫌いじゃなかった。
まあ好き嫌いはあるだろうし、観る人を選ぶ映画かもしれないけど、私は嫌いじゃなかった。むしろ癖になるかも。
roadster316さん [インターネット(字幕)] 6点(2024-08-12 10:18:39)
1.ネタバレ これぞ、ペーソス。という作品。
地味な夫婦の、地味なお話ではあるのですが、夫婦そろって失業し、とにかくロクな事が無い。不運のお話を、淡々と描いていきますが、これが妙に可笑しく、可笑しい故になんとも言えぬ哀愁が漂っています。いかにもカウリスマキ作品らしく、登場人物はおしなべて無表情。不運で絶望的なのに、表情をはぎ取られてしまって、その想いを表出することもできない不自由さが、バカバカしくもあり、切なくもあります。この人たち、落ち込むことすらできないんだから、代わりに我々が落ち込んであげるしか、ないじゃないですか。
夫は職場で、仲間たちとともに、リストラの実施を宣言されます。手持無沙汰に並んだ職員たちの姿もどこか滑稽で、さらには解雇される者をカードで決めるなどという無茶が当たり前のように通ってしまうのも可笑しく、さらにはここで、上司がカードを扱う手捌きがムダに見事だったりするもんだから、さらに可笑しく、でも状況はもちろん笑いごとではない訳で、そのギャップが何だか、たまらない。
その後も、泣きたいような状況がひたすら続くのですが、彼らは決して泣かない。この状況にまるで関心がないかのごとく、淡々と不運が続いていきます。自分が悪いとか他人が悪いとかいうことも関係なく、強いて言えば「状況が悪い」んだろうけれど、それが当たり前の事のように、日常化されていて。
クライマックス(に相当するもの)は、何とか新装オープンにこぎつけたレストランに、お客さんが入るかどうか。これも淡々としていて、妙に可笑しい。開店直後は客が全く来ない閑古鳥状態、ああやっぱりダメだったかと思ったら、昼頃からだんだんお客さんが入り出して、とりあえず初日は大成功、というところで映画が終わります。静かなサスペンスの先に待つ、一種のハッピーエンド、ではあるのですが、およそ、ハッピーエンドとなるべき「根拠」は何もここには示されていないので、明日はどうなることやら。
悪い運が続けば、たまにはいいこともあるでしょ、と。希望があれば、それでいい。
相変わらず表情をはぎ取られたこの夫婦なのですが、ラストシーンで二人は、店の表に出て空を見上げ。なにせほぼ無表情なのでたいして嬉しそうでもないんだけど、二人の顔は光に明るく照らされている。
すみません、単純かもしれないけれど、こういうの、ホント切なくなるんですよね。
鱗歌さん [インターネット(字幕)] 9点(2025-04-29 07:22:22)
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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 43人
平均点数 7.40点
000.00%
100.00%
200.00%
324.65%
424.65%
512.33%
6511.63%
71023.26%
81125.58%
9920.93%
1036.98%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review1人
2 ストーリー評価 7.00点 Review2人
3 鑑賞後の後味 7.00点 Review2人
4 音楽評価 6.33点 Review3人
5 感泣評価 6.00点 Review2人

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