映画『海と毒薬』の口コミ・レビュー(2ページ目)

海と毒薬

[ウミトドクヤク]
1986年上映時間:123分
平均点:6.82 / 10(Review 28人) (点数分布表示)
ドラマ戦争もの医学ものモノクロ映画小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2015-09-06)【イニシャルK】さん
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監督熊井啓
助監督原一男(監督補)
キャスト奥田瑛二(男優)勝呂
渡辺謙(男優)戸田
岡田真澄(男優)ハットリ
成田三樹夫(男優)柴田
西田健(男優)浅井
根岸季衣(女優)上田
津嘉山正種(男優)宮坂中尉
辻萬長(男優)村井大尉
千石規子(女優)おばはん
神山繁(男優)権藤
岸田今日子(女優)大場
田村高廣(男優)橋本教授
大林隆介(男優)
高山千草(女優)患者
平光淳之助ナレーター
原作遠藤周作「海と毒薬」
脚本熊井啓
音楽松村禎三
撮影栃沢正夫
配給日本ヘラルド
美術木村威夫
編集井上治
照明岩木保夫
その他IMAGICA(協力)
あらすじ
大戦末期、敗戦の色が濃厚な九州F市。勝呂と戸田の二人は、F帝大医学部第一外科に所属し、ろくに薬品のない中での診療と研究をこなしている。第一外科の教授橋本は、次期医学部長をねらっているが、軍と結びついている第二外科教授権藤に劣勢に立たされている。ある日、軍からの要請で、B29爆撃機のアメリカ兵捕虜八名の生体解剖が行われることになる。勝呂と戸田も助手として参加する。ニヒルでリアリストの勝呂、そして、1人の受け持ち患者の死に動揺する戸田。二人の精神はこの非道の試みに何を感じたのか…。
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💬口コミ一覧

8.ネタバレ 1980年代の日本映画で最高傑作と呼び声の高い本作。わくわくしながら鑑賞を始めた。ところが、しょっぱなからグロテスクでリアルなオペシーンが登場。ここで早くも気分が悪くなる。モノクロ映像だが、カラーでも観てみたかった気もする。ただ、陰鬱な雰囲気を醸すにはモノクロ映像が功を奏していたかもしれない。さて、本作の肝は、日本国が実際に行ったとされる生体解剖実験を、世に問題提起する社会派劇としての部分だ。米国人捕虜を実験台に、生きたまま解剖し、日本の医学発展に役立てる。これが生体解剖実験の大儀名文だ。日本に原爆を投下し、大量殺戮を行った米国人ならば、生体解剖の生け贄にはうってつけだという主張。これは現代の感覚からすれば、全くの誤りだろう。しかし、殺し殺されの戦時下においては、あながち無理な理屈ではない。
結局、手段こそ違うが、戦争をしている時点で、人が人の命を奪い去っている事には変わりがないからだ。そもそも、この生体解剖実験が良いとか悪いとかいうよりも、もっと広い視点で見て、戦争そのものが及ぼす、あらゆる方面に与える悪影響というものを考えるべきであろう。戦争が巻き起こすあらゆる問題の一つに、この作品の主題である生体解剖実験というものが含まれているにすぎないのだ。そう考えると、戦争を起こさないということが全てなのだ。戦争さえなければ、生体解剖実験などというおぞましい出来事もなかったであろうに。そう色々考えさせられた本作は、反戦映画として出色の出来というべき内容に仕上がっている。なるほど、1980年代の最高傑作の呼び声とやらは、あながち間違っていないかもしれない。それにしても、岡田真澄の外人役はマイナスポイント以外の何物でもないなぁ。岡田真澄の存在が、この作品の社会派劇としての格調高さを台無しにしてしまっている。それに、医師と看護婦のロマンスのようなサブストーリーも必要なし。半端に娯楽要素を取り入れてしまっているのが残念だ。もっと徹底的に硬派な作りにしてほしかった。
それと忘れてはならないのが成田三樹夫の活躍ぶり!ヤクザ役が多い成田三樹夫だが、こういったインテリ役且つ毒気のあるキャラを演じさせても素晴らしい。成田三樹夫には、もっと沢山の個性的でドスの効いたインテリ役を演じてほしかった。実に惜しい。何しろ、成田三樹夫は実際にも破天荒なインテリであったのだから。
にじばぶさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-04-20 00:03:36)
7.ネタバレ 生体解剖に学究的意味があることは解る。それを米兵捕虜を実験台にして行ったことの人道的・倫理的問題が表のテーマで、その場にいた人の何人が純粋に臨床への応用を探求していたかが裏のテーマでしょうか。お馬鹿な軍人さん達には、倫理なんてこれっぽっちも感じなかったけど、解剖実績を出世の糧にしたい奴らは理屈をこねる分だけ軍人達よりも下劣に見えました。戦争という「異常事態」が人の心を狂わせるというよりは、火事場泥棒のようにゴタゴタに乗じて好き勝手なことをやってるなぁ、という印象です。つくづく日本人は「みんなでやれば怖くない」的な気質を備えているのだと思います。あの生体解剖は東京裁判でも裁かれたらしいけど、民家に焼夷弾を落とす米軍の国際法違反は裁かれていない。戦争の混乱のなかで行われた殺人という意味では同じはず。このあたりは永遠に回答の無いもうひとつのテーマでしょう。約20年前にレンタルビデオで観たときには、もっとズシーンと響くものがあったのだけど、先日CSで観たらそうでもなかった。戦争が人の平衡感覚を麻痺させる映画をたくさん観たので、慣れてしまったのか…。
アンドレ・タカシさん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-07-30 20:54:32)
6.ネタバレ 成田三樹夫や岸田今日子という配役が実はちょっと心配だった。モロ悪人・モロ非人間って感じの造形になってるんじゃないか、と。しかしさすがいい役者はフトコロが深い、ズルズルとああいうことやってしまいかねない環境をじっくり再現する部分としての役割に徹し、個人の問題を越えられた。あたりに瀰漫している死。大きい動きに翻弄されて、責任もその大きなものに寄りかかっていれば消えていってしまう気配。言い訳が準備されていれば・別の責任者がほかに用意されていれば、人は大抵のことは何でも出来ちゃうという怖さ。本来善なる目的を持った集団が、狂気をはぐくむ。そこへ向けて凝集している作品になれた。人を生かすための手術では死なせてしまい、人を死なせるための手術では、その心臓の強靭さに素直に感動する空気がみなぎる。ここらへんの皮肉。そしてラストのキモ。日本人がキモと発音するときの精神主義の厭わしさが重なって、私は単なるブラックユーモアを越えたと思った。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-31 10:09:44)
5.狂ったとしか思えないこんな出来事が昔の日本で実際にあったなんて信じられない。特定の宗教を持たない日本人にとって「命」とはなんだ?と考えさせられる作品。原作にはかなり忠実で、描写される集団心理が本当にリアルだったし、怖い映画だった。でも、何故岡田真澄なんだよ。
Fukkyさん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-01 22:35:03)
4.ネタバレ 生体解剖というテーマ。テーマに対して特に答えもなく話がふんわりと終わっていて、だから何?というのが感想。生体解剖の是非なんて映画として見なくても十分議論できるでしょうし、それをテーマとして扱ったこの映画までその土俵で語ってもしょうがないでしょう。映画として語るべきは、生体解剖はただのドキュメンタリーのネタとして、ネタを映画としてどう写したかだと思う。その観点では特に感動もなく、映画としての見所もなく、無感動に観終えてしまった。
afoijwさん [DVD(邦画)] 4点(2012-09-16 00:24:53)
3.若き奥田、渡辺が見られる。しかし葛藤は弱いか。
Balrogさん [DVD(邦画)] 6点(2012-10-30 21:49:28)
2.モノクロでよかった~~。
ケンジさん [DVD(邦画)] 6点(2014-06-05 11:49:43)
1.ネタバレ 先日の終戦記念日。春に某動画配信サービスが終了して、気がつけば未レビューの太平洋戦争映画ストックが無くなっていました。
そこでこの映画の出番となったんですが、太平洋戦争の映画というより、医学界の縮図、日本の社会構造、自分で考えて行動をしない集団心理に焦点が置かれていましたね。
オープニングから古い映画かと思ったけど'86年制作。あぁ、世代的に当時観た顔がいっぱい出てくる。そしてモノクロにした意味はすぐに理解できた。これ、カラーだと多分最後まで観てられない。
戦時中の日本の公的な組織、西部軍と九州帝国大学が、人道的に超えてはいけない一線を越えた実際の事件。私がこの事件を知ったのはここ10数年くらいのことで、戦中に日本軍が行ったと言われる蛮行(南京大虐殺とか)が、ホントかウソか疑問を持った頃だったように思う。で、この事件はホント。

田部夫人のように、出世のために治す目的の患者と、おばはんのように実験のために入院している、治る見込みのない患者。両者に目に見えない線引がされている、病院の裏側を観せられる。
ヒルダが上田看護婦に言った「死ぬことが決まっていても、殺す権利は誰にもない」という考え方。この考え方があまりに欠如しているのが恐ろしい。
上のヒルダの言葉はドイツ語。そのあと日本語で「神様が怖くないのですか?あなたは神様の罰を信じないのですか?」と。上田は休職させられるが、彼女が実験に参加したのはヒルダへの当てつけ。安楽死を命令した浅井にではなく、止めたヒルダに向けられる歪み具合。上司の命令より神の教えが鬱陶しいと思える社会。当時も今も変わらない日本人って気がする。
勝呂にせよ戸田にせよ、捕虜の解剖に対し罪悪感が麻痺していたのは戦争のせいだろうか?大学病院という社会の構図がそうさせていたのか?この映画を観る限り、戦争は環境要素のひとつに過ぎないんだろう。田部夫人の死の隠蔽などは、平時でも行われていたんだろう。

本作のような、大ヒットはしないだろうけど、真面目な題材の見応えのある映画を、もっと創ってほしいと思ってしまう。
ただ100%真面目に作られた社会派映画…ってわけじゃないと思える理由の一つが岡田眞澄の日系アメリカ人通訳。…まぁでも、ファンファン大佐はこの映画の後に産まれてるしなぁ。じゃなくて、この題材で、相当作り込まれた手術シーン。
この映画が制作された当時は、かなり残酷描写が過激になった時代で、ギニーピッグとか悪趣味なグロい映像も創られてた。今の目で観ると必要以上に直接描写されている手術シーンも、この時代の作品と考えると納得できる。

捕虜から切り取ったレーヴル。この話はホントかどうか。でもこの時代(大戦中)だからやってそうだし、この時代('80年代)だから、この場面入れたんだろう。
先日、道東で恐れられた忍者熊“OSO18”が駆除されたニュースをやってて、その肉がジビエ素材として人気急増したそう。その肉食べたい!って感覚が、解る人には解るのかなぁ?
K&Kさん [インターネット(邦画)] 6点(2023-08-19 15:33:38)
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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 28人
平均点数 6.82点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
4310.71%
527.14%
6621.43%
7621.43%
8828.57%
9310.71%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review1人
2 ストーリー評価 Review0人
3 鑑賞後の後味 Review0人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人

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